特許第5692543号(P5692543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692543
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】流体付勢式流体制御バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   F16K31/06 305V
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-515575(P2012-515575)
(86)(22)【出願日】2010年6月16日
(65)【公表番号】特表2012-530234(P2012-530234A)
(43)【公表日】2012年11月29日
(86)【国際出願番号】IB2010001455
(87)【国際公開番号】WO2010146447
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年6月6日
(31)【優先権主張番号】12/486,035
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ベネカー、ジェリット、バンブランケン
(72)【発明者】
【氏名】ケラー、ロバート、ディーン
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0196777(US,A1)
【文献】 実開昭49−060311(JP,U)
【文献】 実開平01−156377(JP,U)
【文献】 特開平11−006578(JP,A)
【文献】 実開昭54−113723(JP,U)
【文献】 実開昭53−091031(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディと
選択的に励磁可能なコイルと
前記コイルに隣接して配置され、アーマチュアから延在するバルブステムを有するアーマチュアと、を備え、
前記コイルは、前記アーマチュアと前記バルブステムを第1位置から第2位置へ移動させるように励磁可能である流体制御バルブであって、
前記バルブボディ、前記アーマチュア及び前記バルブステムは、前記アーマチュアと前記バルブステムが、加圧流体によって前記第1位置に付勢されるように構成されており、
前記アーマチュア及び前記バルブステムには、第1ポペットと第2ポペットが含まれており、
前記バルブボディには、第1シート、第2シート及び第1シートと第2シートとの間の制御チャンバを備えた供給チャンバが形成されており、
前記第1位置において、前記第1ポペットは前記第1シートに着座されるように構成され、かつ、前記第2ポペットは、前記第2シートから離されて、前記第1シートを通過する加圧流体の流れを阻止すると共に前記第2シートを通過する前記制御チャンバからの流体を排出するように構成されており、
前記第2位置において、前記第1ポペットは前記第1シートから離されるように構成され、かつ、前記第2ポペットは、前記第2シートに着座して、前記供給チャンバから前記制御チャンバへの加圧流体の流れを許容すると共に、前記制御チャンバから排出ポートへの流れを阻止するように構成されており、
前記バルブボディ及び前記第1ポペットの一方は、前記第1シートでバイパスチャネルを形成して、前記バルブが前記第1位置にある場合に、前記バイパスチャネルを介して、前記供給チャンバから前記制御チャンバに空気を流出させ、
さらに、磁極片と前記アーマチュアとの間にギャップを定めるように配置された磁極片を含んでおり、前記アーマチュアは、前記ギャップと、前記磁極片及び前記ギャップと反対側の前記アーマチュアの側部との間で加圧流体のルートを定めるように構成されており、前記ギャップで加圧流体にさらされる前記アーマチュアの第1の領域は、前記ギャップと反対側の前記アーマチュアの側部で加圧流体にさらされる前記アーマチュアの第2の領域よりも大きくされており、それによって、前記アーマチュアは流体によって前記磁極片から離れるように付勢され、
前記バルブを第1位置に付勢する流体の力にさらされる前記第2ポペットの領域は、前記バルブが前記第2位置から前記第1位置に移行するにつれて増大し、かつ、前記アーマチュアと前記磁極片との間の前記ギャップも増大することを特徴とする流体制御バルブ。
【請求項2】
前記流体制御バルブは、前記アーマチュアと前記バルブステムを前記第1位置に付勢するスプリングを具備しないことを特徴とする請求項1に記載の流体制御バルブ。
【請求項3】
前記流体制御バルブは、エンジンと組み合わせて使用され、前記エンジンが停止されると共に、前記コイルが励磁されていない場合に、前記アーマチュアが前記第2位置に落下するように、前記エンジンに装着されており、それによって、前記第1ポペットを前記第1シートから離れるように移動させて、前記供給チャンバを前記制御チャンバに開口させて、前記エンジンが停止されると共に前記コイルが励磁されていない場合に、空気を、前記供給チャンバから前記制御チャンバに排出し、かつ、前記エンジンが再始動され、前記アーマチュアと前記バルブステムが前記第1位置に移動された場合に、さらに、空気を前記排出ポートに排出することを特徴とする請求項に記載の流体制御バルブ。
【請求項4】
さらに、前記コイル及び前記バルブボディに隣接するフラックスコレクタ挿入体を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体制御バルブ。
【請求項5】
さらに、前記アーマチュアを軸方向に横断して加圧下のオイルを流すことが容易となるように、前記アーマチュアにリリーフ溝を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体制御バルブ。
【請求項6】
フラックス通路を形成するように選択的に動作可能な電磁アクチュエータを含む流体制御回路であって、
前記電磁アクチュエータは、加圧下の流体が選択的に流れることが許容される第1シートを有するバルブボディと、前記電磁フラックスによって第1の方向に選択的に移動されるアーマチュアと、を含んでおり、
前記アーマチュアには、前記第1シートを通過する流体の流れが実質的に阻止される閉位置から、前記第1シートを通過する流体の流れが許容される開位置まで、前記第1シートに対して第1の方向に移動されるポペットが形成され、また、前記アーマチュアは、加圧下の流体の動作によって閉位置に付勢されており、
さらに、磁極片と前記アーマチュアとの間にギャップを定めるように配置された磁極片を含んでおり、前記アーマチュアは、前記ギャップと、前記磁極片及び前記ギャップと反対側の前記アーマチュアの側部との間で加圧流体のルートを定めるように構成されており、前記ギャップで加圧流体にさらされる前記アーマチュアの第1の領域は、前記ギャップと反対側の前記アーマチュアの側部で加圧流体にさらされる前記アーマチュアの第2の領域よりも大きくされており、それによって、前記アーマチュアは加圧流体によって前記磁極片から離れて閉位置へ付勢されていることを特徴とする流体制御回路。
【請求項7】
前記ポペットは第1ポペットであり、前記バルブボディには第2シートが形成されており、前記アーマチュアには、前記第2シートを通過する流体の流れが許容される第1位置から、前記第2シートを通過する流体の流れが阻止される第2位置まで、前記第2シートに対して第1の方向に前記アーマチュアと共に移動される第2ポペットを形成するバルブステムが連結されており、また、前記第2ポペットは、前記アーマチュアが加圧下の流体によって閉位置に向けて付勢されている場合に、第1位置に向けて付勢されていることを特徴とする請求項に記載の流体制御回路。
【請求項8】
前記第1ポペット及び前記第2ポペットは、バルブステムによって一定の間隔の関係に保持されていることを特徴とする請求項に記載の流体制御回路。
【請求項9】
前記電磁アクチュエータは、フラックスを形成するように励磁可能なコイルを含むソレノイドバルブであることを特徴とする請求項に記載の流体制御回路。
【請求項10】
前記バルブボディには、供給ポートを介して加圧流体が供給される第1チャンバが形成され、さらに、前記バルブボディには、排出ポートに流体を排出する第2チャンバが形成されており、また、第2チャンバは、前記第1シートを通過する流体の流れが許容される場合に、第1チャンバと流体連通されることを特徴とする請求項に記載の流体制御回路。
【請求項11】
前記ポペットは第1ポペットであり、前記アーマチュアは、第2ポペットを形成するバルブステムに連結されており、前記第2ポペットは、前記第1ポペットが開位置にある場合に前記排出ポートを閉鎖し、かつ、前記第1ポペットが閉位置にある場合に前記排出ポートを開放するように、前記アーマチュアと共に前記排出ポートに対して移動されることを特徴とする請求項10に記載の流体制御回路。
【請求項12】
エンジンと組み合わせて使用され、前記電磁アクチュエータが、選択的に励磁可能なコイルを備えており、
前記エンジンが停止されると共に、前記コイルが励磁されていない場合に、前記アーマチュアが前記開位置に落下するように、前記エンジンに装着されており、それによって、前記ポペットを前記第1シートから離れるように移動させて、前記第1チャンバを前記第2チャンバに開口させて、前記エンジンが停止されると共に前記コイルが励磁されていない場合に、空気を、前記第1チャンバから前記第2チャンバに排出し、かつ、前記エンジンが再始動され、前記アーマチュアが前記閉位置に移動された場合に、さらに、空気を前記排出ポートに排出することを特徴とする請求項10に記載の流体制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドバルブのような電気作動式流体制御機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体制御システム用のソレノイド制御バルブは、エンジンバルブシステムのリフターやラッシュアジャスターの切換操作をするラッチピンを切り換えるために使用することができる加圧下のオイルを制御するために使用される。バルブリフターはエンジンの構成部材であり、エンジンの排気バルブ及び吸気バルブの開閉を制御する。また、ラッシュアジャスターは、エンジンの排気バルブ及び吸気バルブの動作を停止させるために使用することができる。エンジンバルブは、エンジンに要求される動力が低下した場合に、エンジンにおけるいくつかのシリンダーの動作を停止させるために、選択的に動作停止またはロックアウトさせることができる。シリンダーの動作を停止させることによって、エンジンの燃料効率を改善することができる。
【0003】
ソレノイド制御バルブの動作を停止させるエンジンは、エンジンの効率を最大限とするために最小限の応答時間で作動させなければならない。バルブ応答時間には、バルブ動作応答時間とバルブ動作停止応答時間が含まれる。ソレノイド制御バルブは、コイルを作動させることによって制御バルブステムを移動させる磁力をアーマチュアに作用させて、一般的にスプリングによって提供される付勢力に対抗してアーマチュアを移動させる。アーマチュア及び続いて制御バルブステムに作用させるソレノイドの磁力は、応答時間を減少させるために最大限にすべきである。コイルによって作用される磁力は、コイルのサイズを大きくすることにより増加させることができる。しかしながら、コストと重量軽減を考慮すると、コイルのサイズは制限される傾向にある。動作停止応答時間は、逆に、バルブを閉鎖するスプリングの付勢力によって影響を受け、スプリングの力はバルブが開放される前に克服する必要がある。殆どの適用例では応答時間の遅れは、可変バルブ作動システムにおいて最小限であるが、バルブの動作及び動作停止のための限定された時間ウインドウはクリティカルであり(臨界または境界がある)、最小限にしなければならない。
【発明の概要】
【0004】
ソレノイドボディ、励磁可能なコイル及びコイルに隣接して配置されたアーマチュアを有する流体制御バルブが提供される。バルブステムはアーマチュアから延びている。コイルは、アーマチュアとバルブステムを第1位置から第2位置へ移動させるように励磁可能である。第1位置は励磁されていない閉位置であり、また、第2位置は励磁されている開位置である。バルブボディ、アーマチュア及びバルブステムは、アーマチュアとバルブステムが、付勢するスプリングを具備することなく、加圧流体によって第1位置に付勢されてアーマチュアを作動させるように構成されている。このように、アーマチュアは、正味の流体の力がバルブを閉鎖するために貢献して、比較的迅速なバルブ動作応答時間を提供するように構成されている。付勢するスプリングを使用しない場合、コスト及び組立時間と同様に応答時間も最小化される。さらに、スプリングの付勢力を克服する必要がないので、ソレノイドはより弱くすることができ、その結果、より安価にすることができる。
【0005】
一つの実施の態様では、アーマチュア及びバルブステムには、第1ポペットと第2ポペットが含まれており、また、バルブボディには、第1シート、第2シート及び第1シートと第2シートとの間の制御チャンバを備えた供給チャンバが形成されている。第1位置では、第1ポペットは第1シートに着座されるように構成され、かつ、第2ポペットは第2シートから離されて、第1シートを通過する加圧流体の流れを阻止すると共に第2シートを通過する制御チャンバからの流体を排出するように構成されている。第2位置では、第1ポペットは第1シートから離されるように構成され、かつ、第2ポペットは第2シートに着座して、供給チャンバから制御チャンバへの加圧流体の流れを許容すると共に、制御チャンバから排出チャンバへの流れを阻止するように構成されている。
【0006】
流体制御バルブは、エンジンが停止されると共にコイルが励磁されていない場合に、アーマチュアが第2位置に落下するように、エンジンに装着することができ、それによって、第1ポペットをシートから離れるように移動させて、供給チャンバを制御チャンバに開口させることができる。このように、アーマチュアは、エンジンが停止されると共にコイルが励磁されていない場合には、重力により、エンジンが作動されると共にコイルが励磁されている位置と同じ位置にある。その後、コイルが励磁されないままで、エンジンが再始動された場合には、空気は、供給チャンバから制御チャンバに排出され、さらに、第2ポペットに作用する加圧されたオイルによってアーマチュアとバルブステムが移動された場合に、排出される。システムにおいて空気を排出することにより、さらに制御されたバルブの応答をより迅速にすることができる。
【0007】
フラックス通路を形成するように選択的に動作可能な電磁アクチュエータ、加圧下の流体が選択的に流れることが許容されるシートを有するバルブボディ及び電磁フラックスによって第1の方向に選択的に移動されるアーマチュアを備えた流体制御回路が提供される。アーマチュアには、シートを通過する流体の流れが実質的に阻止される閉位置から、シートを通過する流体の流れが許容される開位置まで、シートに対して第1の方向に移動されるポペットが形成されており、アーマチュアは、加圧下の流体の動作によって閉位置に付勢される。
【0008】
本発明の上述した特徴と利点並びに他の特徴と利点は、添付した図面と関連させた、以下の本発明を実施するためのベストモードの詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ソレノイドバルブの斜視図である。
【0010】
図2図2は、図1に示されたソレノイドバルブの分解斜視図である。
【0011】
図3図3は、第1の閉位置で非励磁位置のバルブを示す図1の切断線3−3の平面に沿う部分的な断面図である。
【0012】
図4図3は、第2の開位置で励磁位置のバルブを示す図3と同様の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、例えば、内燃機関エンジンまたはディーゼルエンジンのリフターの動作を停止させるために、または、デュアルリフトシステムを作動させるために使用されるソレノイドバルブ10が示されている。また、ソレノイドバルブ10は、電磁アクチュエータとしても参照される。ソレノイドバルブ10はエンジン12に装着される。ソレノイドバルブ10には、ソレノイド部16とバルブボディ18が含まれる。
【0014】
図2及び図3を参照すると、ソレノイドバルブ10は、ソレノイドバルブ10を駆動するコイル22を収容するソレノイド缶20を含むように図示されている。磁極片24はソレノイド缶20の中に組み付けられる。磁極片24はコイル22のフラックス(磁束)の通路(磁路)の一部を形成する。フラックスコレクタ挿入体26はソレノイド缶20内に配置され、コイル20の磁路の一部を形成する。
【0015】
アーマチュア28は励磁されたコイル22によって形成されたフラックスで作動され、ソレノイドバルブ10を図3に示す常閉位置から図4に示す開位置に変位させる。磁極片24の径方向に延在する面31とアーマチュア28の径方向に延在する面33との間にエアーギャップ30が提供される。このエアーギャップ30は、アーマチュア28に対して磁極片24を調整することにより調整することができる。図2に示すように、アーマチュア28を軸方向に横断して加圧下のオイルを流すことが容易となるように、アーマチュア28にリリーフ溝34が形成されている。また、リリーフ溝34は導管としても参照される。代わりに、アーマチュア28を横断して加圧オイルを流すように、アーマチュア28に隣接するバルブボディ18に導管を形成することができる。フラックスコレクタ挿入体26は、コイル22及びバルブボディ18に隣接させて、一部品で成形されたボディまたは複数部品で成形されたボディ40に挿入することができる。
【0016】
バルブボディ18には、供給チャンバとしても参照されるオイル吸入チャンバ41が形成されており、このチャンバ内にアーマチュア28が配置され、最初に、加圧下のオイルを受け入れる。バルブボディには、また、制御チャンバとしても参照される中間チャンバ42が形成されている。複数のO‐リング溝43がバルブボディ18の外面に形成されており、それぞれのO−リング溝に複数のシール44が収容される。シール44は、バルブ部分18とエンジン12との間のシールを確立する。成形されたボディ40には、ソレノイド部16内に延在する内側のコイル収容部46すなわちボビンが形成されている。コイル22は部分的にしか示されていないが、当然に、コイル22はコイル収容部46に充満されている。ボディ40は、図示されているように、一体の樹脂成形部品として形成するか、または、部品として一体に組み付けることができるように形成することができる。
【0017】
バルブステム48は、アーマチュア28の開口52内に収容される部分50を有している。制御バルブステム48の位置は、ステム48とアーマチュア28との間で螺合または圧入することによって、アーマチュア28に対して調整することができる。以下にさらに詳細に説明されるように、アーマチュア28には、バルブシート56に対して移動されるポペット54が含まれる。制御バルブステム48の一端に排出ポペット60が形成され、バルブシート62に対して移動して、排出ポート70を開閉する。
【0018】
バルブボディ18に形成されたオイル吸入チャンバ41に圧力Pを供給するために、エンジン12に供給通路64が形成されている。通常、制御圧力Pに維持される制御通路68がエンジン12に形成されている。また、エンジン12に形成された排出通路71は排出ポート70と連通され、「P」として参照することができる大気圧に接続されている。中間チャンバ42は、排出ポート70が開放された場合に圧力Pになる。
【0019】
図4を参照すると、ソレノイドバルブ10は開位置で示されている。コイル22は、アーマチュア28をコイル22に向けて反応させるように励磁されている。ポペット54は、バルブシート56を開放して、オイル吸入チャンバ41から中間チャンバ42に圧力Pを供給し、また、排出ポペット60はシート62に着座して排出ポート70を閉鎖する。
【0020】
図2〜4を参照すると、バルブボディ18には、オイル吸入チャンバ41とバルブシート56に連通する供給通路64からの圧力下のオイルを受け入れる供給開口63が含まれる。バルブシート56が開放されると、吸入チャンバ41は中間チャンバ42に連通される。圧力下のオイルは、制御ポートとしても参照される出口開口66を介して制御通路68に供給される。排出ポート70はバルブボディ40の内側端部に用意されている。排出ポート70は排出通路71に連通している。
【0021】
作動中、バルブ10は、通常、図3に示されるように閉鎖されており、コイル22を励磁することによって、図4に示されるように開位置に変位される。コイル22は励磁されている場合に、磁極片24とアーマチュア28との間に形成されたエアーギャップ30を減少させる。アーマチュア28は、コイル22により形成された電磁フラックスによって、磁極片24に向かうように変位される。チャンバ41内のオイルは、リリーフ溝34を介してギャップ30に連通される。
【0022】
図3に示される常閉位置では、ポペット54はバルブシート56を閉鎖して、圧力Pのオイル吸入チャンバ41を圧力Pの中間チャンバ42から分離している。オイル吸入チャンバ41内の加圧下のオイルは、ポペット54をバルブシート56に対して付勢している。ギャップ30において、アーマチュア28の面33のより大きい表面の領域に圧力Pが作用して、一方向(すなわち、ポペット54をシート56に着座させる方向)に付勢力を供給すると同時に、圧力Pの加圧流体は、チャンバ41内のアーマチュアのより小さい表面の領域73に反対方向に作用するため、圧力Pによって影響を受けるアーマチュア28の領域によりアーマチュアを閉位置に付勢する。ポペット54に作用する付勢力は、スプリングの必要性を除外することを目的とするものである。或いは、ポペット54に作用する付勢力を増加させるためにスプリング(図示省略)を組み込むこともできる。
【0023】
図4に示されるように、コイル22が励磁されると、磁極片24とフラックスコレクタ挿入体26を通過するフラックスにより、アーマチュア28は磁極片24に向けて引き寄せられる。磁極片24に対してアーマチュア28の向きを対面させることにより、アーマチュア28をより大きな磁力に急激に追従させる。アーマチュア28を変位させることにより、ポペット54をバルブシート56に対して開放して、それによって、オイル吸入チャンバ41からの圧力Pを中間チャンバ42に供給する。中間チャンバ42は、通常、圧力Pに維持されているが、ポペット54がバルブシート56を開放し、かつ、ポペット60が排出ポート70を閉鎖するようにバルブシート62を閉鎖した場合に、圧力Pに増大される。このように、圧力Pは、アーマチュア28の面33の表面の領域とポペット60の表面の領域(追加領域)72に一方向に作用すると共に、環状の表面の領域73とポペット54の表面の領域74に反対方向に作用する。表面の領域33に影響を及ぼす圧力は、表面の領域73と表面の領域74を組み合わせた圧力と等しいので、正味圧力は表面の領域72に及ぼされる。この圧力の変化により、エンジンバルブシステムに供給される流体圧力はPに増大される。エンジンバルブシステムに供給される圧力がPに変化すると、選択されたエンジンバルブが、ラッチピン、ラッシュアジャスターまたは他の制御された装置(図示省略)によって動作を停止され、それによって、エンジンの選択されたシリンダーの動作を停止することができる。
【0024】
フラックスによる力(すなわち、アーマチュア28を磁極片24に向けて引き寄せる正味の力)が除去され、コイル22が実質的に励磁されていない場合、表面の領域33上の正味の流体圧力により、アーマチュア28は、図3の常閉の非励磁位置に駆動される。このように、アーマチュア28は、排出ポート70に排出するチャンバ42を備えて、正味の流体圧力(すなわち、面72に作用する正味の下向きの力)がバルブ10の閉鎖に貢献して、それによって、励磁位置から非励磁位置まで比較的迅速なバルブ動作応答時間を提供するように構成されている。
【0025】
バルブ10は、エアーパージ機能とセルフクリーニング機能を備えている。特に、アーマチュア28は、バイパスチャネルとしても参照されるバイパススロット53を備えており、バルブ10が閉鎖された場合に、限定された量のオイルをシート56をバイパスさせて、チャンバ41からチャンバ42に移動させる。或いは、バイパススロットは、シート56に隣接するボディ18に備えることもできる。また、スロット53は、ごみ(汚れ)の粒子をオイルと一緒にチャンバ41から排出させて、バルブの「セルフクリーニング」機能として機能する。さらに、空気をスロット53を介してチャンバ41からパージ(排出)して、コイル22が励磁されている場合に、図4の励磁位置へのバルブ10の移動に対抗するように作用するエアークッションを防止する。これにより、非励磁位置から励磁位置への移行を迅速にさせる。
【0026】
バルブ10に供給される流体圧力がなく、かつ、コイル22が励磁されていないようなエンジン12が停止している場合、エンジン12に装着されているバルブ10が磁極片24の上方にアーマチュア28を備えている(すなわち、図3及び図4に示された図面とは上下逆に)と仮定すると、アーマチュア28は、重力により、(コイルが励磁されていないにもかかわらず)図4の励磁位置に落下する。エンジンが始動された場合、加圧されたオイルが供給通路に到達して、オイルよりも前に空気を、供給チャンバ41から制御チャンバ42に押し出して、オイルはチャンバ41とギャップ30内に進入するように開放されているシートを通過して、アーマチュア28を図3の閉鎖された非励磁位置に付勢する。空気は、ポペット62が着座されないので、チャンバ42から排出ポート70に追い出される。
【0027】
本発明を実施するための最適な実施の形態が詳細に説明されているが、本発明に関連する当業者であれば、添付した請求の範囲内にある発明を実施するための種々の他のデザインや実施の形態を認識するであろう。
図1
図2
図3
図4