特許第5692578号(P5692578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5692578-車両情報取得装置及び車両情報取得方法 図000002
  • 特許5692578-車両情報取得装置及び車両情報取得方法 図000003
  • 特許5692578-車両情報取得装置及び車両情報取得方法 図000004
  • 特許5692578-車両情報取得装置及び車両情報取得方法 図000005
  • 特許5692578-車両情報取得装置及び車両情報取得方法 図000006
  • 特許5692578-車両情報取得装置及び車両情報取得方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692578
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】車両情報取得装置及び車両情報取得方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20150312BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   B60K35/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-12474(P2011-12474)
(22)【出願日】2011年1月25日
(65)【公開番号】特開2012-153205(P2012-153205A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丸山 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 宣章
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−359127(JP,A)
【文献】 特開2000−054437(JP,A)
【文献】 特開2008−049731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得装置であって、
全ての車両情報の取得が完了するまでの間を1周期とした場合に、前記1周期中において、前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを連続して送信する間に更新優先順位が低い複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で入れ子となるように差し込んで送信することによって、更新優先順位の高い車両情報を要求する前記リクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求する前記各リクエストデータよりも高い頻度で送信することを特徴とする車両情報取得装置。
【請求項2】
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得装置であって、
前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求するリクエストデータよりも高い頻度で送信し、また、前記レスポンスデータを受信した場合、あるいは、前記リクエストデータの送信から前記レスポンスデータを受信せずに所定時間が経過した場合のいずれの場合にも、次の前記リクエストデータを送信することを特徴とする車両情報取得装置。
【請求項3】
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得装置であって、
前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求するリクエストデータよりも高い頻度で送信し、また、前記更新優先順位を切り換え可能な更新優先順位設定機能を備えてなることを特徴とする車両情報取得装置。
【請求項4】
取得した前記車両情報を外部機器に送信することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車両情報取得装置。
【請求項5】
前記車両情報を表示可能な表示手段と一体的に設けられ、取得した前記車両情報を前記表示手段に送信することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車両情報取得装置。
【請求項6】
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得方法であって、
全ての車両情報の取得が完了するまでの間を1周期とした場合に、前記1周期中において、前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを連続して送信する間に更新優先順位が低い複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で入れ子となるように差し込んで送信することによって、更新優先順位の高い車両情報を要求する前記リクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求する前記各リクエストデータよりも高い頻度で送信することを特徴とする車両情報取得方法。
【請求項7】
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得方法であって、
前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求するリクエストデータよりも高い頻度で送信し、また、前記レスポンスデータを受信した場合、あるいは、前記リクエストデータの送信から前記レスポンスデータを受信せずに所定時間が経過した場合のいずれの場合にも、次の前記リクエストデータを送信することを特徴とする車両情報取得方法。
【請求項8】
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得方法であって、
前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求するリクエストデータよりも高い頻度で送信し、また、前記更新優先順位を切り換え可能であることを特徴とする車両情報取得方法。
【請求項9】
取得した前記車両情報を外部機器に送信することを特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載の車両情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる車両診断コネクタを介して、例えば車速、エンジン回転数、アクセル開度、吸気圧、水温及び外気温等の車両情報を周期的に取得する車両情報取得装置及び車両情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられるOBD2(On-board diagnostics 2)などの車両診断コネクタを介して車両側ECU(Electronic Control Unit)から車両情報を取得し、これを表示する車両情報表示装置として、例えば特許文献1に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−49731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両診断コネクタを介した車両情報の取得方法については、複数種類の車両情報を取得しようとした場合、車両情報データの更新に時間が掛かるという問題点があった。すなわち、車両診断コネクタを介して車両側ECUから車両情報を取得する場合には、車両情報を取得する側から車両側ECUに車両情報のうち1つを要求するデータフレーム(以下、リクエストデータとも言う)を例えばCAN(Controller Area Network)通信で送信し、車両側ECUから要求された車両情報を示すデータフレーム(以下、レスポンスデータとも言う)を受信する処理を行う必要がある。そのため、複数種類の車両情報データを同時に更新することはできず、複数種類の車両情報を得るためにはそれぞれの車両情報を要求する各リクエストデータを順番に送信し、各レスポンスデータを受信しなければならない。したがって、複数種類の車両情報を同時に表示させる場合などには車両情報のデータ更新に時間が掛かり、数値の変化が早く、早い更新時間が求められるエンジン回転数や吸気圧、スロットル開度などの表示を円滑に行うことができなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報を取得する車両情報取得装置及び車両情報取得方法において、短時間に更新される必要がある車両情報の更新時間を早め、利便性を高めることが可能な車両情報取得装置及び車両情報取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するために、
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得装置であって、
全ての車両情報の取得が完了するまでの間を1周期とした場合に、前記1周期中において、前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを連続して送信する間に更新優先順位が低い複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で入れ子となるように差し込んで送信することによって、更新優先順位の高い車両情報を要求する前記リクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求する前記各リクエストデータよりも高い頻度で送信することを特徴とする。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために、
車両に設けられる車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で送信し、前記各車両情報を示す各レスポンスデータを前記車両側から受信して前記各車両情報を周期的に取得する車両情報取得方法であって、
全ての車両情報の取得が完了するまでの間を1周期とした場合に、前記1周期中において、前記各リクエストデータのうち、更新優先順位の高い車両情報を要求するリクエストデータを連続して送信する間に更新優先順位が低い複数種類の車両情報のいずれか1つを要求する各リクエストデータを所定の順序で入れ子となるように差し込んで送信することによって、更新優先順位の高い車両情報を要求する前記リクエストデータを、更新優先順位の低い車両情報を要求する前記各リクエストデータよりも高い頻度で送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、車両診断コネクタを介して複数種類の車両情報を取得する車両情報取得装置において、短時間に更新される必要がある車両情報の更新時間を早め、利便性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態である車両情報表示システムの構成を示すブロック図。
図2】同上における携帯電話の表示部の表示例を示す図。
図3】同上における車両情報取得方法を示すフローチャート図。
図4】同上における車両情報取得方法で参照されるデータテーブルを示す図。
図5】同上における車両情報取得方法における経過時間と要求される車両情報との関係と従来の車両情報取得方法における経過時間と要求される車両情報との関係を示す図。
図6】同上における携帯電話の表示部の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態(図面の内容も含む。)によって限定されるものではない。下記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る車両情報表示システムの構成を示す図である。
車両情報表示システムは、携帯電話(外部機器の一例)100と、車両情報取得装置200と、から構成されている。携帯電話100と車両情報取得装置200とは相互通信が可能なように無線接続される。なお、携帯電話100と車両情報取得装置200とは有線接続されてもよい。また、車両情報取得装置200は、車両300に設けられる車両診断コネクタ302を介して車両側ECU301から車両情報を取得するものである。取得する車両情報としては、車速、エンジン回転数、スロットル開度、水温、吸気圧、外気温、電圧値などが上げられるがこれらに限定されるものではない。車両側ECU301は、エンジン制御などのパワー・トレイン系ECUやエアコン制御などのボディ系ECUを含む。本実施形態においては、車両診断コネクタ302はOBD2メスコネクタからなり、車両側ECU301と車両情報取得装置200との間でCAN通信を行うものとする。なお、車両側ECU301と車両情報取得装置200との間はK−LINEで通信するものであってもよい。
【0012】
携帯電話100は、マイクロコンピュータからなる制御部101、無線通信インターフェース102、メモリ103、表示部104、通信部105、アンテナ部106、を有する。無線通信インターフェース102は、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどの近距離無線通信が用いられる。表示部104は、タッチパネルを備えたディスプレイであり、画像表示を行うとともにアプリケーションの実行等を行うための操作部としての機能を備える。本実施形態における携帯電話100は、いわゆるスマートフォンと称される高機能携帯電話であり、制御部101内に複数種類のアプリケーションを格納しており、制御部101が各アプリケーションを実行することによって起動する通話機能、メール機能、ナビゲーション機能、音楽データ再生機能、写真データ再生機能、動画データ再生機能、地図表示機能あるいはウェブブラウジング機能などの多様な機能を備える。さらに、本実施形態においては後述する車両情報を表示する車両情報表示機能を実行するためのアプリケーションを備える。そして、携帯電話100は、実行中のアプリケーションに対応した画像が表示部104に表示されるものである。
【0013】
車両情報取得装置200は、マイクロコンピュータからなる制御部201、コネクタ202、CAN通信インターフェース203、無線通信インターフェース204、メモリ205を有する。コネクタ202は、車両300に設けられる車両診断コネクタ302に接続可能なコネクタであり、本実施形態においては、+12Vの常時電源ライン、CAN_H信号ライン、CAN_L信号ライン、アースラインの各配線を有するOBD2オスコネクタからなる。CAN通信インターフェース203は、車両診断コネクタ302を介して車両側ECU301とCAN通信を行うためのインターフェースである。無線通信インターフェース204は、携帯電話100と無線接続するためのインターフェースであり、無線通信インターフェース102と同様の規格からなる。メモリ205は、車両側ECU301から得られた車両情報や後述するデータテーブル等を記憶するものである。
【0014】
本車両情報表示システムにおいて、携帯電話100と車両情報取得装置200とが接続されると、それぞれの制御部101、201は互いに無線通信インターフェース102、204を介して接続されたことを相互に認識する。携帯電話100の制御部101は、車両情報取得装置200と接続されたことを認識すると車両情報取得装置200からの車両情報を受信可能とする。なお、このとき自動的に車両情報表示機能を実行するためのアプリケーションを起動してもよく、また、手動でアプリケーションの起動を行ってもよい。車両情報取得装置200の制御部201は、後述する方法で取得した車両情報を無線通信インターフェース204を介して携帯電話100に送信する。図2は車両情報表示機能における表示部104の表示例を示すものである。図2においては、車両情報として、エンジン回転数と吸気圧とをそれぞれ指針と指標部からなるアナログメータ画像で表示し、車速、水温、外気温及び電圧値をデジタル表示している。また、他の情報として時刻をデジタル表示している。
【0015】
次に、車両情報取得装置200による車両情報取得方法について図3を用いて説明する。なお、以下の説明においては、エンジン回転数、車速、水温、外気温の4種類の車両情報を取得する場合を例に上げて述べる。
【0016】
車両情報取得装置200の制御部201は、電源が投入されると、リクエスト番号Nを初期化(N=1)する(ステップS1)。
【0017】
そして、制御部201は、車両側ECU301に車両情報のうち1つを要求するデータフレーム(リクエストデータ)を生成する(ステップS2)。ここで、前記リクエストデータで要求する車両情報は、メモリ205に記憶されるデータテーブルを参照して決定される。前記データテーブルは、図4に示すように、リクエスト番号Nと車両情報の更新優先順位とからなるデータテーブル(図4(a))と、車両情報の種類と更新優先順位とからなるデータテーブル(図4(b))と、によって構成される。すなわち、リクエスト番号Nと更新優先順位とに応じた車両情報を要求する前記リクエストデータが生成される。例えば、図4において、初回(N=1)の前記リクエストデータは、車両側ECU301にエンジン回転数を要求するリクエストデータとなる。また、図4(a)に示すデータテーブルにおいて、更新優先順位が高い車両情報は更新優先順位が低い車両情報よりも要求される回数が多くなるように設定される(「更新優先順位「高」は「中」、「低1」、「低2」に対して多く、更新優先順位「中」は「低1」、「低2」に対して多く、更新優先順位「低1」と「低2」は同じ」)。具体的には、前記データテーブルは、連続する更新優先順位「高」の間に更新優先順位「中」、「低1」、「低2」が入れ子となるように差し込まれてなる。
【0018】
次に、制御部201は、ステップS1で生成された前記リクエストデータをCAN通信インターフェース203から車両診断コネクタ302を介して車両側ECU301に送信する(ステップS3)。前記リクエストデータは車両内のバスライン(図示しない)上に送信され車両側ECU301に受信される。前記リクエストデータを受信した車両側ECU301は、前記リクエストデータで要求された車両情報を示すデータフレーム(レスポンスデータ)を前記バスライン上に送信する。前記バスライン上に送信された前記レスポンスデータは車両診断コネクタ302、CAN通信インターフェース203を介して制御部201に受信され、制御部201は車両情報を取得する。
【0019】
次に、制御部201は、前記レスポンスデータを受信したか否かを判定する(ステップS4)。制御部201は、前記レスポンスデータを受信しない場合(ステップS4;No)、さらに前記リクエストデータの送信後、所定のリクエスト時間T(例えば50msec)が経過したか否かを判定する(ステップS5)。そして、リクエスト時間Tが経過した場合(ステップS5;Yes)、リクエスト番号Nを増加する(N=N+1、ステップS6)。また、制御部201は、リクエスト時間Tが経過しない場合(ステップS4;No)、ステップS4に移行し、再度前記レスポンスデータを受信したか否かを判定する。
【0020】
また、制御部201は、ステップS4において前記レスポンスデータを受信した場合(ステップS4;Yes)、リクエスト番号Nを増加する(N=N+1、ステップS6)。
【0021】
次に、制御部201は、リクエスト番号Nが最大値Nmax(本例においてはNmax=8)を超えたか否かを判定する(ステップS7)。制御部201はリクエスト番号Nが最大値Nmax以下である場合は(N≦Nmax、ステップS7;No)、ステップS2に戻る。また、制御部201は、リクエスト番号Nが最大値Nmaxを超えた場合は(N>Nmax、ステップS7;Yes)、ステップS1に戻り、リクエスト番号Nを初期化(N=1)し、その後ステップS2以降の処理を実行する。
【0022】
制御部201は、電源がオフになるまで前述の処理を反復実行することで、エンジン回転数、車速、水温、外気温の4種類の車両情報を周期的に取得する。ここで、上記の車両情報取得方法によれば、4種類の車両情報の取得が完了するまでの間を1周期とすると、1周期中において更新優先順位の高い車両情報を要求する前記リクエストデータは、更新優先順位の低い車両情報を要求する前記リクエストデータよりも高い頻度で送信されることとなる。具体的には、更新優先順位が「高」である車両情報を要求する前記リクエストデータを連続して送信する間に更新優先順位が「中」、「低1」、「低2」である車両情報を要求する前記リクエストデータが所定の順序で入れ子となるように差し込まれて送信される。
【0023】
図5は、従来の車両情報取得方法による場合の経過時間と前記リクエストデータが送信される(要求される)車両情報との関係(図5(a))と本実施形態における車両情報取得方法による場合の経過時間と前記リクエストデータが送信される車両情報との関係(図5(b))とを示すものである。なお、図5においては、リクエスト時間T(T=50msec)経過毎に前記リクエストデータが送信される場合について示している。
【0024】
図5(a)に示すように、従来の車両情報取得方法によれば、4種類の車両情報の前記リクエストデータを順番に送信しているため、各車両情報の更新時間(前記リクエストデータが送信される間隔)は全て200msecとなっている。これに対し、図5(b)に示すように、本実施形態における車両情報取得方法は、4種類の車両情報を3つの更新優先順位(高、中、低)に振り分け、エンジン回転数を「高」、車速を「中」、水温及び外気温を「低」として車両情報によって全ての車両情報の取得が完了するまでの間に前記リクエストデータが送信される頻度を異ならせている。これにより、各車両情報の更新時間が一定ではなくなり、更新優先順位が「高」であるエンジン回転数は更新時間が100msecとなり、更新優先順位が「中」である車速は更新時間が200msecとなり、更新優先順位が「低」である水温及び外気温は更新時間が400msecとなる。したがって、数値の変化が早いエンジン回転数は従来の車両情報取得方法による場合よりも更新時間を半分に早めることが可能となっている。一方、更新優先順位が「低」である水温及び外気温は従来の車両情報取得方法による場合よりも更新時間が2倍に遅くなっているが、これらの車両情報はエンジン回転数や車速ほど早く変化しない特性を持つため、更新時間が遅くとも問題がない。すなわち、本発明は車両情報の特性によって短時間での更新が必要な車両情報と短時間での更新を必要としない車両情報とがある点に着目して、これらの特性に応じて更新優先順位を設けて異なる頻度で前記レスポンスデータを送信することで最適なデータ更新を実現している。
【0025】
また、車両診断コネクタ302を介した車両情報取得方法においては、前記リクエストデータを送信してから前記レスポンスデータを受信するまでには所定の時間が掛かるが、この時間は車種によってバラツキがある。したがって、前記レスポンスデータを受信した後にのみ次の前記リクエストデータを送信する場合には、実際の車両情報の更新時間が所望の更新時間よりも遅くなる場合があるという問題点があった。これに対し、本実施形態のように、前記レスポンスデータを受信した場合(ステップS4;Yes)、あるいは前記リクエストデータの送信から所定のリクエスト時間Tが経過した場合(ステップS5;Yes)のいずれかにステップS2に戻り、次の前記リクエストデータを送信する(ステップS3)ことによって、前記レスポンスデータがリクエスト時間Tよりも早く受信される場合には、さらに車両情報の更新時間を早めることができ、また、前記レスポンスデータがリクエスト時間Tよりも遅く受信される場合であっても所望の更新時間を維持することができ、利便性を向上させることが可能となる。
【0026】
また、車両情報取得装置200は、車両情報毎に設定される更新優先順位を切り替え可能な更新優先順位設定機能を備えても良い。本実施形態においては、例えば携帯電話100の表示部104に車両情報の種類と更新優先順位とを表示させ、タッチパネルの操作によって更新優先順位の切換操作を行い、無線通信インターフェース102を介して車両情報取得装置200に切換データを送信し、メモリ205に記憶されるデータテーブル(図4(b))を書き換えることで前記更新優先順位設定機能を実行することができる。図6は前記更新優先順位設定機能における表示部104の表示例を示すものである。本実施形態においては、更新優先順位は「高」が1つ、「中」が1つ、「低」が2つとの割り当てが固定されるため、更新優先順位の切り換えは4種類の車両情報間で更新優先順位を入れ替えることとなる。図6は、車速の更新優先順位を「中」(図6(a))から「高」(図6(b))に変更する場合を示している。このとき、初期には「高」であったエンジン回転数の更新優先順位が、変更後は「中」に入れ替えられている。かかる機能によれば、利用者は自身の好みや車両管理上の必要性に応じて車両情報の更新時間を自由に変更することができ、商品性あるいは機能性を更に向上させることができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、エンジン回転数、車速、水温、外気温の4種類の車両情報を取得する場合について説明したが、5種類以上の車両情報を取得する場合にも本発明が適用可能であることは言うまでもない。エンジン回転数の他に短時間に更新する必要性が高い車両情報としては例えばスロットル開度や吸気圧が上げられる。この場合、更新優先順位が「高」となる車両情報が複数あってもよい。
【0028】
また、車両情報取得装置200は、取得した車両情報を携帯電話100に送信するものであったが、外部機器として、専用のディスプレイ装置やナビゲーション装置、携帯電話に近似のタブレット型デバイスやポータブルインターネットデバイス、PDA(Personal Digital Assistant)などに車両情報を送信するものであってもよい。また、1つのケースに車両情報を表示可能な表示手段と一体的に設けられて車両情報表示装置を構成し、この表示手段に車両情報を送信するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、本発明は、車両に設けられる車両診断コネクタを介して、例えば車速、エンジン回転数、アクセル開度、吸気圧、水温及び外気温等の車両情報を周期的に取得する車両情報取得装置及び車両情報取得方法に好適である。
【符号の説明】
【0030】
100 携帯電話
101 制御部
102 無線通信インターフェース
103 メモリ
104 表示部
105 通信部
106 アンテナ部
200 車両情報装置
201 制御部
202 コネクタ
203 CAN通信インターフェース
204 無線通信インターフェース
205 メモリ
300 車両
301 車両側ECU
302 車両診断コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6