(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、
前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、
中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、
排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、
前記補正係数には、排気経路における断熱環境に応じた断熱補正係数が備えられており、当該断熱補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱エネルギーを効率的に回収可能な潜熱回収型の熱源機が普及している。
この潜熱回収型の熱源機は、燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼装置と、主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器とを有しており、燃焼装置で生成された燃焼ガスが上流側から順番に、一次熱交換器、二次熱交換器を通過して外部に排気される構成とされている。
【0003】
即ち、二次熱交換器においては、既に一次熱交換器で熱エネルギーが消費された低温(一次熱交換器に導入される燃焼ガスの温度より低温)の燃焼ガスが導入されるため、二次熱交換器で熱交換された燃焼ガスは、水蒸気が飽和する温度以下になる場合がある。これにより、二次熱交換器では、水蒸気が液化した所謂ドレンが発生する。
また、燃焼によって、空気中の窒素と酸素とが反応し、窒素酸化物が生成されるため、燃焼ガスには窒素酸化物が含まれている。
【0004】
従って、二次熱交換器の表面側に発生したドレンが燃焼ガスにさらされると、ドレンに窒素酸化物が溶け込み、そのドレンは酸性(主に硝酸)を呈する。
そのため、この種の潜熱回収型の熱源機は、酸性のドレンを中和する中和器が内蔵されており、発生したドレンは中和器で中和されてから外部に排水する構成とされている。
【0005】
ところで、中和器には、弱アルカリ性の中和剤たる炭酸カルシウム等が充填されているが、この中和剤は中和反応が長期的に継続されると、次第に中和作用が期待できなくなる(以下、中和剤の寿命と言う)。即ち、熱源機においては、中和剤が寿命を迎えると、中和剤を補充又は交換したり、あるいはその中和器自体を交換する必要があった。
【0006】
そのため、従来より、中和剤の寿命の到来を判定し、外部に報知する技術がある。例えば、特許文献1には、燃焼装置の運転時間に応じて、二次熱交換器におけるドレン発生量を積算し、その積算値が予め設定された中和剤の寿命を示す規定値(ドレンを中和可能な総量値)に到達すると、中和剤の寿命が到来したと判定し、外部に報知する潜熱回収型熱源機が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、中和剤の寿命の到来が報知される以前に、実際の寿命が到来してしまう不具合があった。これは、二次熱交換器の下流側に配され燃焼ガスを外部に導く排気経路に発生するドレンが起因している。即ち、排気経路では、外気温等によって燃焼ガスがさらに冷やされることで、酸性のドレンが発生し、そのドレンは、二次熱交換器で発生したドレンと同様、中和器に導入されて中和されてから外部に排水されるからである。
このように、中和器に導入される実質的なドレンの総量は、二次熱交換器で発生したドレンの量と、排気経路で発生したドレンの量の合計となるため、演算によるドレンの積算値(二次熱交換器で発生し得るドレン)との間に大きなずれが生じ、実際には報知される前に寿命が到来してしまっている場合があった。
【0009】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、排気経路で発生するドレンを加味した中和器の寿命判定を行うことができる潜熱回収型熱源機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで、熱源機における排気部やその排気部より下流に位置する排気流路(以下、総称して単に排気経路とも言う)は、施工状態が多様であることが知られている。即ち、排気経路の長さを過度に長くしたり、排気経路の外周に保温材を設けたり、排気経路が給気部を備えた二重管式であったり、排気経路を屋外に配置したりと様々である。このように、排気経路の施工状態が異なると、排気経路内を通過する燃焼ガスの放熱量に影響を及ぼす場合がある。
一方、熱源機内部においては、一般的に、燃焼ガスの温度が低温に向かうほど、燃焼ガスに含まれた水蒸気の液化割合が増加する。
従って、排気経路内において、燃焼ガスの温度が異なれば、発生するドレン量も変化する。
【0011】
そのため、異なる施工状態ごとに正確なドレン量を把握する必要があった。
そこで、本発明者らは、排気経路に温度センサを設け、その温度センサの検知温度に基づいて、排気経路のドレンの量を把握することを勘案した。これにより、排気部材の施工状態に関わらず、排気経路内の温度環境に応じたドレン量を演算することができるため、中和剤の寿命をより正確に判定することができる。
しかしながら、排気部材に設けた温度センサが破損したり、誤検知を行った場合、排気部材において発生するドレンの量を正確に把握することが不可能となり、結果的に演算によるドレンの量と、実際のドレンの発生量との間にずれが生じてしまうことが懸念される。
【0012】
そこで、上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき
、排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、前記補正係数には、排気経路における断熱環境に応じた断熱補正係数が備えられており、当該断熱補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機である。
【0013】
本発明の潜熱回収型熱源機は、温度センサを用いることなく、排気部や排気流路に発生するドレンを加味した中和剤の寿命に補正できる構成とされている。
ここで、上記したように、排気部や排気流路でドレンが発生した場合、熱交換器で発生したドレンが中和器に導入されて中和されるため、中和器においては中和すべき実質的なドレンの量が増加する。そこで、本発明では、補正係数で中和剤の寿命を補正している。これにより、本発明では、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来を判定する際に、補正された寿命を基準として判定される。従って、本発明によれば、排気部や排気流路に発生するドレンを加味した実際の寿命に近いタイミングで外部に報知することができるため、中和剤の補充や交換、あるいは中和器自体の取り替え時期を最適なタイミングで行うことができる。
【0014】
また、本発明では、中和剤の寿命を補正する補正係数が、排気部や排気流路の構造や設置環境に応じて割り当てられているため、補正された寿命の信頼性が高い。即ち、この構成により、寿命の到来判定の正確性が向上するため、中和剤の補充や交換、あるいは中和器自体の取り替え時期をより最適なタイミングで行うことができる。
以上により、本発明によれば、予め算出された補正係数に基づいて中和剤の寿命の補正ができるため、排気部や排気流路で発生するドレンの量を、その都度温度センサの検知温度に基づいて演算する必要がない。即ち、排気部や排気経路に温度センサを設けることなく、排気部や排気流路で発生するドレンを加味した中和剤の寿命判定を行うことができる。これにより、温度センサの誤検知等による寿命判定の不具合の懸念がない上、寿命到来により中和されないドレンがそのまま外部に排水されるという不具合を回避することができる。
【0015】
また、本発明にかかる構成によれば、施工状態、特に断熱材等の有無による断熱環境で異なるドレンの発生量を加味して、中和剤の寿命を補正することができる。即ち、例えば、断熱材が取り付けられていない場合においては、排気経路を通過する燃焼ガスの温度が下がり易くドレンの発生量が高くなる(断熱剤が取り付けられた場合よりも高い)ため、中和剤の寿命の下げ率を大きくし、断熱材が取り付けられ排気経路の断熱効果が期待できる場合においては、排気経路を通過する燃焼ガスの温度は下がりにくくドレンの発生量が低くなるため、中和剤の寿命の下げ率を小さくあるいはゼロにする。このように、断熱材の有無でドレンの発生量が変化するため、本発明では、施工後の断熱環境に応じて選択的に断熱補正係数を設定できる構成としている。これにより、中和剤の寿命の到来判定の正確性をより向上させることができる。
【0016】
請求項
2に記載の発明は、
燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、
前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、空気を燃焼部に導く給気経路を有し、排気部と排気流路は一連の排気経路を形成し、排気経路の先端部には排気トップが装着されるもので、前記補正係数には、排気経路が給気経路の一部を備えた二重管式であるか否かで割り当てられた第1冷却補正係数、及び/又は、排気トップが給気経路の一部を備えた二重管式であるか否かで割り当てられた第2冷却補正係数が備えられており、当該第1、第2冷却補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機である。
【0017】
かかる構成によれば、施工状態、特に排気経路が給気経路を備えた二重管式であるか否かで異なるドレンの発生量を加味して、中和剤の寿命を補正することができる。即ち、例えば、排気経路が二重管式の場合においては、排気経路を通過する燃焼ガスは給気される空気と熱交換して温度が下がり易くドレンの発生量が高くなる(断熱剤が取り付けられた場合よりも高い)ため、中和剤の寿命の下げ率を大きくし、排気経路が二重管式ではなく排気と給気が独立した単管式等の場合においては、燃焼ガスは給気に供される空気と熱交換することがなく排気経路を通過する燃焼ガスの温度は下がりにくくドレンの発生量が低くなるため、中和剤の寿命の下げ率を小さくあるいはゼロにする。このように、二重管式か否かで、ドレンの発生量が大きく変化するため、本発明では、施工後の排気経路の環境に応じて選択的に冷却補正係数を設定できる構成としている。これにより、中和剤の寿命の到来判定の正確性をより向上させることができる。
【0018】
請求項
3に記載の発明は、
燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、前記補正係数には、排気経路の一部あるいは全部が屋外か否かで割り当てられた設置補正係数が備えられており、当該設置補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機である。
【0019】
かかる構成によれば、施工状態、特に排気経路が屋外にあるか否かで異なるドレンの発生量を加味して、中和剤の寿命を補正することができる。即ち、例えば、排気経路が屋外にある場合においては、排気経路を通過する燃焼ガスは外気に熱エネルギーが奪われて温度が下がり易くドレンの発生量が高くなる(断熱剤が取り付けられた場合よりも高い)ため、中和剤の寿命の下げ率を大きくし、排気経路が屋外にない場合、つまり排気経路が屋内にある場合においては、燃焼ガスの温度は比較的下がりにくくドレンの発生量が低くなるため、中和剤の寿命の下げ率を小さくあるいはゼロにする。このように、排気経路の設置が屋外か否かで、ドレンの発生量が変化するため、本発明では、施工後の排気経路の設置環境に応じて選択的に設置補正係数を設定できる構成としている。これにより、中和剤の寿命の到来判定の正確性をより向上させることができる。
【0020】
請求項
4に記載の発明は、排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、前記補正係数には、排気経路の長さに応じた延長補正係数が備えられており、当該延長補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の潜熱回収型熱源機である。
【0021】
かかる構成によれば、施工状態、特に排気経路の長さで異なるドレンの発生量を加味して、中和剤の寿命を補正することができる。即ち、例えば、排気経路の長さが一定の長さより長ければ、燃焼ガスが排気経路内に存在する時間が長期化し温度が下がり易くドレンの発生量が高くなる(断熱剤が取り付けられた場合よりも高い)ため、中和剤の寿命の下げ率を大きくし、排気経路の長さが一定の長さより短ければ、燃焼ガスは排気経路内で液化する前に排気されドレンの発生量が低くなるため、中和剤の寿命の下げ率を小さくあるいはゼロにする。このように、排気経路の長さによってドレンの発生量が変化するため、本発明では、施工後の排気経路の長さに応じて選択的に延長補正係数を設定できる構成としている。これにより、中和剤の寿命の到来判定の正確性をより向上させることができる。
【0022】
本発明の潜熱回収型熱源機は、割り当てられた補正係数を複数用いる場合、各補正係数を乗じて算出された値を複合補正係数として用いることが望ましい。(請求項
5)
【0023】
請求項
6に記載の発明は、割り当てられた補正係数を入力可能な入力手段を有し、入力手段は、ディップスイッチであることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の潜熱回収型熱源機である。
【0024】
かかる構成によれば、スイッチにより、補正係数を適応させることができるため、寿命の補正設定が容易である。また、本発明によれば、スイッチによって、補正係数の有効状態や無効状態を視覚的に把握させることができるため、中和剤の寿命の管理が容易である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の潜熱回収型熱源機では、中和剤の寿命を、排気部や排気流路における構造や設置環境に応じた補正係数を用いて補正できるため、排気部や排気流路に発生するドレンを加味した中和剤の寿命に設定することがでる。これにより、演算による中和剤の寿命と、実際の中和剤の寿命との間に差異が生じることがなくなるため、寿命の到来判定の正確性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態に係る潜熱回収型熱源機1について説明する。
本実施形態の潜熱回収型熱源機(以下、単に熱源機とも言う)1は、配管系統等の構成については公知のそれと同様であるため、簡単に説明する。
【0028】
本実施形態の熱源機1は、燃焼装置2が内蔵され、その燃焼装置2に接続された給湯回路20及び燃料供給流路30と、制御手段40とを有した構成である。
燃焼装置2は、1つの筐体(缶体)5内に熱交換器22が内蔵され、さらに後述する熱交換器22を加熱する燃焼部3と、送風機6が設けられたものである。さらに、本実施形態では、燃焼装置2内部で発生するドレンを外部に排水するドレン排水系統7が設けられている。
【0029】
燃焼部3は、複数のバーナ4を有し、図示しない燃料供給源から燃料供給流路30を介して供給される燃料ガスを燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する部分である。
燃料供給流路30は、バーナ4に接続された燃料用の流路であって、燃料供給流路30の中途には、燃料ガスの供給を断続することができる2つの電磁弁36、37が設けられ、さらに電磁弁36、37よりも上流側の位置には、ガス比例弁35や元ガス電磁弁34が設けられている。即ち、各弁34〜37の開閉を制御することで、各バーナ4に供給する燃料ガスの量を制御することを可能としている。
送風機6は、缶体5の下部に設けられており、各バーナ4に対して空気が供給可能な配置とされている。
【0030】
熱交換器22は、一次熱交換器11と、二次熱交換器12とが直列に連結されたものであり、燃焼ガスの顕熱と潜熱を回収することができるものである。
より具体的には、一次熱交換器11は、燃焼部3で燃料ガスが燃焼されて発生した燃焼ガスの主に顕熱を回収して湯水を加熱する熱交換器であり、二次熱交換器12は、一次熱交換器11より燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し、主に燃焼ガスに含まれる水蒸気の潜熱を回収して湯水を加熱する熱交換器である。また、熱交換器22に流れる湯水は、二次熱交換器12側から一次熱交換器11側に流れる。
従って、図示しない給水源から供給された水は、まず比較的温度の低い燃焼ガスが流れる二次熱交換器12で加熱され、その後、高温の燃焼ガスが流れる一次熱交換器11で加熱される。
【0031】
ドレン排水系統7は、ドレン専用の流路で、中和剤(炭酸カルシウム等)が充填された公知の中和器29と、二次熱交換器12の下方に配した受け部49に滴下したドレンを中和器29に導くドレン導入流路43と、中和器29から外部に導くドレン排水流路44とにより構成されている。即ち、ドレン排出系統7によって、燃焼装置2において形成されたドレンは、ドレン導入流路43を介して中和器29に導入されて、中和されたドレンがドレン排水流路44を介して外部に排出される。
【0032】
また、本実施形態では、燃焼装置2の上部であって、二次熱交換器12の燃焼ガスの流れ方向下流側に燃焼ガスを外部に導く排気経路8が設けられている。具体的には、排気経路8は、筐体5と一体的に接合された排気部9と、その排気部9の突端側に一体的に接合された排気流路形成部材10とで構成されている。より具体的には、排気部9は筐体5の上部から鉛直上方に立ち上がっており、排気流路形成部材10は排気部9との接合部と反対側端部(突端部)に向かって上り勾配となるように設計されている。即ち、排気経路8を通過する燃焼ガスは、排気部9では鉛直上方に流れ、排気流路形成部材10では傾斜面を上るように流れる。
また、排気流路形成部材10の突端部には、公知の排気トップ15が装着されている。
【0033】
給湯回路20は、外部から供給された水が通過し二次熱交換器12と連通した給水流路25と、給水流路25よりも下流側であって一次熱交換器11と連通した高温湯流路26と、熱交換器22をバイパスするバイパス流路27とによって構成されている。
【0034】
給水流路25には、中途に流量センサ31と入水温度センサ32が設けられている。具体的には、流量センサ31は、バイパス流路27の接続部より下流側に配置され、入水温度センサ32は、その流量センサ31より下流側に配置されている。即ち、流量センサ31及び入水温度センサ32は、熱交換器22に導入される湯水の流量及び入水温度の情報を検知することができる。
【0035】
高温湯流路26には、中途に湯量調整弁33と出湯温度センサ34が設けられている。具体的には、湯量調整弁33は、バイパス流路27の接続部よりも下流側に配置され、出湯温度センサ34は、湯量調整弁33よりも下流側に配置されている。即ち、出湯温度センサ34で検知される温度は、高温の湯と低温の水(熱交換器22で加熱される前の水)が混合された後の温度である。
【0036】
また、制御手段40は、燃焼装置2や給湯回路20に設けられた各機器から得た情報等に基づいて、熱源機1の動作を制御するものであり、本体制御部42と図示しないリモコンによって構成されている。
【0037】
次に、本実施形態の熱源機1における、所望の温度の湯を出湯する際の動作(給湯動作)について説明する。
図示しないリモコンの運転スイッチがオンの状態で、給湯栓45が操作されると、図示しない給水源から水が供給され、給水流路25を介して熱交換器22に導入される。このとき、入水温度センサ32や流量センサ31によって、熱交換器22に導入される湯水の入水温度Tiが検知されると共に、単位時間当たりの流量が検知される。そして、流量センサ31による検知流量がMOQ(燃焼装置を作動することができる最低限の単位時間当たりの流量)以上であることが確認されると、燃焼量が演算されて燃焼動作が開始される(フィードフォワード制御)。
【0038】
その後、熱交換器22で昇温した湯は、バイパス流路27を通過した水と混合されて給湯栓45に向けて流れる。このとき、出湯温度センサ34によって、混合された湯の温度(以下、出湯温度To)が検知される。そして、燃焼装置2は、この検知された出湯温度Toに基づいて、フィードフォワード制御で演算されて決定された燃焼量を補正する。
即ち、出湯温度Toの検知後においては、出湯温度Toを加味した燃焼量に補正されて燃焼が行われる(フィードバック制御)。以後、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の組み合わせ制御によって、燃焼量が制御され、設定温度Tsに調整された湯が安定的に出湯される。
【0039】
続いて、上記した給湯動作と並行して実行される中和器29における中和剤の寿命判定について説明する。
本実施形態では、二次熱交換器12に発生するドレンに加えて、排気経路8に発生するドレンを加味して、予め中和剤の寿命を補正でき、その補正された寿命を基準に中和剤の寿命到来の判定を可能としている。具体的には、燃焼装置2における実際の稼働時間及び燃焼量に基づいて、二次熱交換器12で発生するドレンの量が演算され、その演算されたドレン量と、補正された寿命とを比較している。
【0040】
より具体的に説明すると、本実施形態では、中和剤の寿命を補正するにあたっては、予め実験等によって算出された所定の補正係数Kが採用されている。即ち、実験などによって決定された中和器29で処理可能なドレンの限界量(限界値)Bに対して、予め用意された補正係数Kを乗じ、この補正された値を限界値R(限界値B×補正係数K)とし、この限界値Rを中和剤の寿命判定の基準に設定する。即ち、本実施形態では、予め設定された中和剤の寿命たる限界値Bに対して補正係数Kを適用させることで、中和剤の寿命判定における基準が変更される。
【0041】
そして、補正係数Kによって補正された限界値Rと、燃焼装置2における実際の稼働時間及び燃焼量に基づいて演算された主に二次熱交換器12で発生するドレンの量(積算値)Eとが比較され、積算値Eが限界値Rに合致あるいは積算値Eが限界値Rを含んだ一定の範囲内の値に至ることを条件として、中和剤の寿命の到来が判定される。そして、中和剤の寿命の到来が認識されると、制御手段40において外部に知らせる報知信号が発信されると共に、熱源機1の運転が停止される。
なお、この報知信号は、視覚に訴えるものや、聴覚に訴えるものが挙げられる。
【0042】
ここで、先にも説明したように、排気経路の構造や設置環境(以下、施工状態とも言う)の違いは、排気経路内部で発生するドレンの量に影響を与える。例えば、排気経路が冷やされやすい環境であれば、ドレンの量は増大するし、逆に、排気経路から熱が逃げにくい(断熱)環境であれば、ドレンが発生しないあるいは発生し難い。
そのため、本実施形態では、排気経路8の施工状態をいくつかに分類し、分類した項目ごとに特定の補正係数kとして割り当て、施工状態に応じて選択的にいずれかの補正係数kを採用できる構成とされている。
以下に、本実施形態に採用された補正係数ki、kc、ks、klについて説明する。
【0043】
(断熱補正係数ki)
断熱補正係数kiは、排気経路8の断熱環境の違いに応じて用意された補正係数Kである。即ち、断熱補正係数kiは、排気経路8の外周に断熱材が取り付けられているか否かの条件で選択可能なもので、断熱材が取り付けられていない場合は、補正係数として0.96〜0.98、好ましくは0.97を適応させることができ、断熱材が取り付けられている場合は、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、断熱補正係数kiを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8に断熱材が取り付けられていない場合の中和剤の寿命たる限界値R1は、排気経路8に断熱剤が取り付けられている場合の限界値R2よりも値が小さくなる。
【0044】
(冷却補正係数kc)
冷却補正係数kcは、排気経路8や排気トップ15の内部構造の違いに応じて用意された補正係数Kである。即ち、冷却補正係数kcには、排気経路8が給気経路を備えた二重管式か否かの条件で選択可能な第1冷却補正係数kc1と、排気トップ15が給気経路を備えた二重管式か否かの条件で選択可能な第2冷却補正係数kc2がある。
具体的には、第1冷却補正係数kc1は、排気経路8が給気経路の一部を備えた二重管式の場合に、補正係数として0.93〜0.95、好ましくは0.94を適応させることができ、排気経路8に給気経路がなく、当該排気経路8が通常の単管式の場合に、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。さらに、第2冷却補正係数kc2は、排気トップ15が給気経路の一部を備えた二重管式の場合に、補正係数として0.96〜0.98、好ましくは0.98を適応させることができ、排気トップ15に給気経路がなく、当該排気トップ15が通常の単管式の場合に、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、冷却補正係数kcを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8や排気トップ15の構造に二重管式が採用された場合の中和剤の寿命たる限界値R3は、排気経路8や排気トップ15の構造が単管式が採用された場合の限界値R4よりも値が小さくなる。
【0045】
(設置補正係数ks)
設置補正係数ksは、排気経路8の設置環境の違いに応じて用意された補正係数Kである。即ち、設置補正係数ksは、排気経路8の一部あるいは全部が屋外に位置するか否かの条件で選択可能なもので、排気経路8の一部あるいは全部が屋外に位置する場合は、補正係数として0.93〜0.95、好ましくは0.94を適応させることができ、排気経路8の一部あるいは全部が屋内に位置する場合は、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、設置補正係数ksを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8が屋外に位置する場合の中和剤の寿命たる限界値R5は、排気経路8が屋内に位置する場合の限界値R6よりも値が小さくなる。
【0046】
(延長補正係数kl)
延長補正係数klは、排気経路8の長さの違いに応じて用意された補正係数Kである。具体的には、延長補正係数klは、排気経路8の長さは一定値(本実施形態では6m)を超えるか否かの条件で選択可能なもので、排気経路8の長さが一定値以上の場合は、補正係数として0.95〜0.97、好ましくは0.96を適応させることができ、排気経路8の長さが一定値より短い場合は、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、延長補正係数klを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8の長さが一定値以上の場合の中和剤の寿命たる限界値R7は、排気経路8の長さが一定値より短い場合の限界値R8よりも値が小さくなる。
【0047】
また、本実施形態では、排気経路の施工状態が上記した項目を複数備える場合であっても、経験則的に、その項目ごとに与えられた補正係数k同士を乗じることで、その施工状態に適した補正係数(複合補正係数)Kを算出することができる。例えば、施工後の熱源機において、排気経路の長さが6m以上で、排気経路の外周に断熱材が取り付けられていない条件であれば、延長補正係数kl=0.96と、断熱補正係数ki=0.97を適応させることができる。即ち、この場合の補正係数Kは、0.96(延長補正係数kl)と0.97(断熱補正係数ki)の積で表すことができる。また、この条件に、排気トップが二重管式であるという条件が加わった場合、前記した積に対して、冷却補正係数kc2=0.98をさらに乗じることで、排気経路の施工状態に合った適正な補正係数Kを算出することができる。
【0048】
また、本実施形態では、各項目ごとに割り当てられた補正係数kの入力手段として、
図2に示す公知のディップスイッチ装置16が採用されている。即ち、前記した例であれば、ディップスイッチ装置16の左に位置する断熱補正係数kiの入力スイッチ16a及び右に位置する延長補正係数klの入力スイッチ16eを、それぞれ上方に移動してon状態にすることで、適正な補正係数Kが算出され中和剤の当初の限界値Bが補正される。逆に言えば、この状態においては、他の入力スイッチ16b〜16dはoff状態であるため、冷却補正係数kcや設置補正係数ksが適応されることはない。
【0049】
以上に示すように、本実施形態では、予め用意した補正係数Kをディップスイッチ装置16等の入力手段を用いることで反映させることができ、その反映された補正係数Kによって、中和剤の寿命を排気経路8に発生するドレンを加味した適正な寿命に補正できる。そして、その補正した寿命を用いて、寿命到来の判定を実行することができる。即ち、本実施形態によれば、中和剤の寿命を予め補正しておくことができるため、わざわざ排気経路8に温度検知手段を設けることなく適正な寿命判定を行うことができる。これにより、温度検知手段等の制御装置40以外の機器が故障等を引き起こすことによる中和剤の寿命判定の不具合は起き得ない。
【0050】
また、本実施形態では、排気経路8の施工状態をいくつかの項目に分類して、その項目ごとに特定の補正係数kを用意した。これにより、施工状態の異なる熱源機1ごとに、それぞれ異なる補正係数kを適応させることができる。さらに、排気経路8が複数の項目が組み合わされた施工状態であっても、対応する項目の補正係数k同士を乗じて算出された補正係数(複合補正係数)Kを適応させることができる。このように、本実施形態によれば、熱源機1の設置場所によって異なり得る排気経路8の施工状態を細分して、中和剤の寿命を補正することができるため、より正確に寿命到来の判定を行うことができる。
【0051】
上記実施形態では、排気経路8の一部又は全部に関わらず屋外に位置すれば設置補正係数ksをon状態(補正係数=0.94)にする構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、排気経路8の一部が屋外に位置する場合と、排気経路8の全てが屋外に位置する場合にさらに細分して、異なる設置補正係数ksを設ける構成としても構わない。その場合、排気経路8の全てが屋外に位置する条件の設置補正係数ks1が、排気経路8の一部が屋外に位置する条件の設置補正係数ks2より小さい値に設定することが好ましい。
【0052】
上記実施形態では、延長補正係数klを1つの値の長さを基準に、on状態(補正係数=0.96)にする構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、2つ以上の値の長さを用意し、それぞれの値に対する延長補正係数klを割り当てた構成であっても構わない。具体的には、例えば、排気経路の長さが3m以上か否かの条件で選択可能な延長方正係数kl1と、排気経路の長さが6m以上か否かの条件で選択可能な延長補正係数kl2を用意した場合、実際の排気経路が2mであれば、いずれの延長補正係数klもoff状態に維持し、実際の排気経路が4mであれば、延長補正係数kl1をon状態、延長補正係数kl2をoff状態に維持し、実際の排気経路が6m以上であれば、延長補正係数kl1をoffに維持し、延長補正係数kl2をon状態にする。このように、延長補正係数klにおける基準値に複数の値を設ければ、より正確な中和剤の寿命判定を行うことができる。
【0053】
上記実施形態では、補正係数kの入力手段として、ディップスイッチ装置16を採用した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、例えば、
図3に示すように、7セグメントディスプレイを利用した入力手段56であっても構わない。即ち、入力手段56は、7セグメントを表示可能なディスプレイ部57と、実際に補正係数kを入力する2つの入力スイッチ58、59によって構成されている。この構成によれば、2つの入力スイッチ58、59の入力回数や入力の組み合わせによって、ディスプレイ部57の表示が変更でき、そのディスプレイ部57の表示内容に対応した補正係数Kを中和剤の寿命に適応させることができる。
なお、入力手段56において、一旦、入力情報をリセットするような場合には、2つの入力スイッチ58、59を長押しする。
【0054】
上記実施形態では、給湯動作のみを実行できる回路を備えた熱源機1の構成を示したが、本発明はこれに限定されず、追い焚き回路を備え風呂落とし込み動作や追い焚き動作等を実行できる回路を備えた熱源機であっても構わない。