特許第5692610号(P5692610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692610
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】固体ヨウ素フィルタを再生させる方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/02 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   G21F9/02 511S
   G21F9/02 551Z
   G21F9/02 511C
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-521005(P2012-521005)
(86)(22)【出願日】2010年7月16日
(65)【公表番号】特表2012-533742(P2012-533742A)
(43)【公表日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2010060301
(87)【国際公開番号】WO2011009816
(87)【国際公開日】20110127
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】0955029
(32)【優先日】2009年7月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511063332
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オー エネルジーズ アルテルナティーヴェス
(73)【特許権者】
【識別番号】508313895
【氏名又は名称】アレヴァ・エヌセー
【氏名又は名称原語表記】AREVA NC
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーダノ,エメ
(72)【発明者】
【氏名】ペィヨ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ドナレル,ジャン−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ドゥヴィズム,フレデリック
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−528548(JP,A)
【文献】 特開昭53−030993(JP,A)
【文献】 特開平02−147898(JP,A)
【文献】 特開昭51−014600(JP,A)
【文献】 特開昭63−162040(JP,A)
【文献】 特開平08−084926(JP,A)
【文献】 特開平06−254396(JP,A)
【文献】 特開2008−093489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/02
G21F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀を硝酸塩の形で含む固体フィルタ中に、ヨウ化銀及び/又はヨウ素酸銀の形でヨウ素を含む、固体フィルタを再生させる方法であって、
a)このフィルタを還元剤を含有する塩基性水溶液と接触させ、次いで前記フィルタをこの塩基性水溶液から分離することによって、前記フィルタが含む前記ヨウ素を前記フィルタから抽出することであって、この抽出が室温で実施されること、
b)このフィルタを酸水溶液と接触させ、次いで前記フィルタをこの酸水溶液から分離することによって、ステップa)で得られたフィルタから前記フィルタが含む前記銀を抽出すること、及び
c)このフィルタを硝酸銀溶液と接触させ、次いで前記フィルタを乾燥させることによって、ステップb)で得られたフィルタに銀を含浸させること
を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)で使用される還元剤がアスコルビン酸又はその塩の一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)で使用される基本水溶液が0.5から2mol/Lのアスコルビン酸又はその塩の一つを含み、10から14のpHを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)で使用される酸水溶液が硝酸濃度0.2から6mol/Lの硝酸溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップb)が、さらに、前記フィルタを前記酸水溶液から分離した後に、このフィルタを乾燥機中の空気中で又は大気圧より低い減圧下で120℃未満の温度で、5から24時間乾燥することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ステップb)が、さらに、前記フィルタを前記酸水溶液から分離した後に、このフィルタを乾燥機中の空気中で又は大気圧より低い減圧下で120℃未満の温度で、次いで不活性ガス下で温度120から500℃で、5から24時間乾燥することを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップc)が、ステップb)において前記フィルタから前記銀を抽出するのに使用された前記酸水溶液を、硝酸銀溶液として使用することによって実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ステップc)が、ステップb)において前記フィルタから前記銀を抽出するのに使用された前記酸水溶液を、銀含有量及び/又は前記酸水溶液の酸性度を調節した後に、硝酸銀溶液として使用することによって実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)で使用される前記硝酸銀溶液の銀濃度が20から200g/Lである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ステップc)における前記フィルタの乾燥が120℃未満の温度で大気圧で又は大気圧より低い減圧下で実施される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記フィルタが、ステップc)の最後において12質量%の銀元素を硝酸塩の形で含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記フィルタが、多孔質シリカ又はアルミナビーズに存する多孔質無機固体支持体を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再処理中に生成する廃ガス中に存在する残留ヨウ素を捕捉するために、照射を受けた核燃料を再処理する工場で使用されるタイプの固体ヨウ素フィルタを再生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照射を受けた核燃料を再処理する工場では、分子ヨウ素I2及び/又はヨードアルカン、ヨウ化アルキルなどのヨウ素の有機化合物の形で廃ガスに含まれる残留ヨウ素の回収は、これらの廃ガスを環境中に放出する前に、一般に「ヨウ素フィルタ」と称する無機固体トラップによって確保される。
【0003】
これらは、硝酸塩の形の銀を含浸させた多孔質シリカ又はアルミナビーズで満たされたカートリッジである。これらのヨウ素フィルタにおいては、ヨウ素は、恐らくは少量の物理吸着分子ヨウ素I2と一緒にヨウ化銀、ヨウ素酸銀などのヨウ素化合物を形成するために、硝酸銀と反応する。
【0004】
これらのヨウ素フィルタは、(長寿命放射性元素である)129Iが混入した固体廃棄物を形成する。129Iは、地上に直接貯蔵することができず、深さ方向の貯蔵用マトリックスも現在は利用できない。
【0005】
その結果、PCT国際公開第02/073629号においては、使用済みヨウ素フィルタからヨウ素又はヨウ素と銀を除くことができ、それによって、セメントマトリックス中に詰めた後、地上の貯蔵施設に受け入れるための指定解除がなされる方法が提案された。
【0006】
この方法によれば、フィルタは、ヨウ素化合物を可溶性ヨウ化物陰イオン(I−)に転換することができる例えばアスコルビン酸などの還元剤を含む60℃に加熱された塩基性水溶液に浸漬することによって、ヨウ素が除かれる。さらに、ヨウ素の除去に使用される塩基性水溶液にシアン化物を添加することによって同時に、又はフィルタが含む銀を溶解することができる酸溶液、典型的には硝酸溶液でフィルタを洗浄することによって連続的に、フィルタから銀を除くことができる。
【0007】
この方法が疑いなく技術的進歩を示す場合、しかしながら以下の欠点を有する。
*銀をフィルタから除去する場合、かなりの量の回収不可能な廃液を既に生成している、照射を受けた核燃料の再処理に、処理しなければならない銀を含む追加の廃液が追加される。
*銀がフィルタから除去されない場合、このフィルタ中に残る銀が失われる。
【0008】
今回、ヨウ素フィルタについての本発明者らの研究の範囲内で、本発明者らは以下のことに気づいた。すなわち、
− 一方では、すべての予想に反して、これらのフィルタの構造及び物理的特性(多孔度、比表面積など)は、工場での数年の使用によって、特にアルミナ支持体を含むときには、ほとんど変化しない。
− 他方で、WO−A−02/073629で推奨された還元処理を室温で実施すると、フィルタ中に存在する銀を抽出しないが、これらのフィルタの構造及び物理化学的性質を大幅に変えずに、これらのフィルタからヨウ素を極めて効率的に除去することができる。
− 最後に、使用済みヨウ素フィルタからヨウ素と銀の両方を抽出した後、フィルタから銀を除去するのに使用された酸水溶液、又はそれから調製される溶液を含浸溶液として特に使用することによって、フィルタに銀とこれを極めて効率的に再含浸させることができる。
【0009】
これらの観察に基づいて、本発明者らは本発明を完成した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、銀を硝酸塩の形で含む固体フィルタ中にヨウ素をヨウ化銀及び/又はヨウ素酸銀の形で含む固体フィルタを再生させる方法であり、以下のステップを含む。
a)このフィルタを還元剤を含有する塩基性水溶液と接触させ、次いでフィルタをこの塩基性水溶液から分離することによって、フィルタが含むヨウ素をフィルタから抽出することであって、この抽出が室温で実施されること、
b)このフィルタを酸水溶液と接触させ、次いでフィルタをこの酸水溶液から分離することによって、ステップa)で得られたフィルタからフィルタが含む銀を抽出すること、及び
c)このフィルタを硝酸銀溶液と接触させ、次いでフィルタを乾燥させることによって、ステップb)で得られたフィルタに銀を含浸させること。
【0011】
本発明によれば、ステップa)で使用される塩基性水溶液中に存在する還元剤は、WO−A−02/073629においてその使用が推奨された還元剤のいずれか、すなわちヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ホルムアルデヒド、尿素、ギ酸、又はさらにその混合物とすることができる。
【0012】
しかし、適用の平易性と既存再処理装置との適合性の両方の理由によって、還元剤は、アスコルビン酸又はその塩の一つ、特にアスコルビン酸ナトリウムであることが好ましく、その場合、好ましくは、塩基性水溶液中に濃度0.5から2mol/L、より好ましくは約1mol/Lで存在する。
【0013】
この塩基性水溶液は、好ましくはpH10から14であり、このpHは、ソーダなどの無機塩基、又は水酸化テトラメチルアンモニウム、アンモニアなどの水溶性有機塩基によって同様に得ることができる。
【0014】
塩基性水溶液によるフィルタからのヨウ素の抽出は、有利には、閉路又は開路において、フィルタをこの溶液で洗浄することによって、例えば、フィルタを通してこの溶液を徐々に循環させることによって、実施される。
【0015】
しかし、それは、フィルタを前記溶液に単に浸漬することによって実施することもできる。
【0016】
どの場合でも、フィルタ1g当たり塩基性水溶液4から10mLが好ましくは使用され、処理時間(洗浄又は浸漬)は有利には、2から10時間、より好ましくは2から4時間である。
【0017】
その後、フィルタは、塩基性水溶液から分離され、フィルタから微量の還元剤を除去するために、水、有利には脱塩水で好ましくは1回、より好ましくは数回リンスされる。
【0018】
これらの条件下では、ステップa)の最後に、残留ヨウ素含有量がフィルタ1g当たり最高3mgであり、銀含有量がフィルタの初期銀含有量にほぼ等しい、フィルタが得られる。これは、フィルタ1g当たりのヨウ素の初期含有量約100mgに対して30以上の除染計数に相当する。
【0019】
ステップb)では、硝酸溶液は、好ましくは、酸水溶液として使用され、フィルタ中に存在する銀を溶解することによって、徐々に硝酸銀溶液となる。次いで、フィルタに銀を含浸させるために、ステップc)において、硝酸銀溶液をそのまま、又はその銀含有量及び/又はその酸性度を調節後に、使用することができる。この硝酸溶液は、好ましくは硝酸濃度0.2から6mol/L、より好ましくは約1mol/Lである。
【0020】
酸水溶液によるフィルタからの銀の抽出は、有利には、閉路又は開路において、フィルタをこの溶液で洗浄することによって、例えば、フィルタを通してこの溶液を徐々に循環させることによって、実施される。
【0021】
しかし、ここでも、フィルタを前記溶液に単に浸漬することによってこの抽出を実施することができる。
【0022】
どの場合でも、この抽出は、好ましくは、温度20から60℃でフィルタ1g当たり酸水溶液1から30mLを使用して実施され、処理時間(洗浄又は浸漬)は、有利には15分間から24時間である。
【0023】
フィルタをこの溶液から分離後、フィルタは、好ましくは、5から24時間乾燥される。乾燥は、有利には、乾燥機中の空気中で又はある程度の減圧(例えば、約100Pa)で120℃未満の温度で実施される。この乾燥は、不活性雰囲気下で、例えばアルゴン流中で、温度120から500℃で乾燥させることによって完了することができる。この種の乾燥は、実際に、フィルタの銀含浸性能を改善することができる。
【0024】
本発明によれば、この含浸(方法のステップc))を実施するのに使用される硝酸銀溶液は、この目的のために特に調製された溶液とすることができる。その場合、これは、酸又は酸でない水溶液と、例えばアセトニトリル溶媒の有機溶液の両方とすることができる。
【0025】
しかし、ステップb)でフィルタから銀を抽出するのに使用された酸水溶液は、好ましくは、プロセス中に使用される試薬量及び溶媒量並びに生成する廃棄物量を減少させ、かつフィルタから抽出される銀の回収を可能にする範囲では、必要に応じてその銀濃度及び/又はその酸性度を調節した後に、含浸溶液として使用される。
【0026】
どの場合でも、この含浸溶液の銀濃度は20から200g/L、より好ましくは約100g/Lであることが望ましい。
【0027】
フィルタとのその接触は、有利には浸漬によって実施されるが、閉路又は開路においてこのフィルタを通して含浸溶液を循環させることによるフィルタの含浸も企図することができる。
【0028】
ステップc)におけるフィルタの乾燥に関しては、好ましくは、120℃未満の温度で、大気圧で又はある程度の減圧下で、実施される。
【0029】
これらの条件下では、ステップc)の最後において、一方では、硝酸塩の形で約12質量%の銀元素、すなわち、ヨウ素フィルタが使用前に従来含む量と等しい銀元素含有量を含むフィルタが得られ、他方では硝酸銀が欠乏した溶液が得られる。この溶液は、送られて廃棄されるか、又は酸水溶液の場合、別のフィルタからそれが含む銀を抽出するのに再使用することができる。
【0030】
本発明による方法によって再生させることができる固体フィルタは、銀を硝酸塩の形で含浸させることができる無機又は有機内部多孔質支持体を含んだ時点で、種々のタイプとすることができる。
【0031】
これらは、特に、使用済み燃料再処理工場で使用されるタイプのシリカ又はアルミナの多孔質ビーズを含むフィルタとすることができる。
【0032】
本発明による方法は多数の利点を有する。
【0033】
実際、使用済みヨウ素フィルタ及び/又はこれらのフィルタから抽出された銀の再使用を可能にし、したがって新しいフィルタ及び/又は硝酸銀の購入における蓄えを生ずるだけでなく、使用済み核燃料の再処理によって生成する最終廃棄物量及び廃液量をかなり削減することもできる。
【0034】
なお、本発明によって使用済みヨウ素フィルタから抽出された銀は、フィルタの新しい支持体の含浸にも使用できることに留意されたい。
【0035】
さらに、本発明による方法は、適用が平易であり、化学工業、特に原子力産業に現在使用されている試薬及び溶媒のみを使用する利点がある。
【0036】
しかしながら、使用済み核燃料再処理工場の場合に全く特別な利点を有することが本当であれば、別のタイプの核施設に使用されるヨウ素フィルタの再生に利用することができる。別のタイプの核施設は、その働きのために、ヨウ素で汚染された廃ガスを生成したり、例えば放射性同位体を生成するユニットの場合、例えば原子力発電所の場合、ヨウ素の偶発的な放出の場合にのみ作動するように設置されたいわゆる「安全」ヨウ素トラップを備えたりする。
【0037】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の実施例を読むことによってより明白になるであろう。実施例は、本発明による方法の妥当性が認められた実験的試験に関係する。
【0038】
言うまでもなく、これらの実施例は、本発明の目的を単に説明するものにすぎず、この目的を限定するものでは決してない。
【実施例1】
【0039】
使用済みヨウ素フィルタからのヨウ素の抽出
本発明による方法のステップa)の妥当性が認められた試験を、照射を受けた核燃料を再処理する工場で6年間運転されたヨウ素フィルタ試料について実施した。
【0040】
このフィルタは、初めは、12質量%の銀を含む硝酸銀を含浸させた多孔質アルミナビーズ(直径1から2mm、比表面積約100m2/g、総細孔容積約0.25mL/g)からなった。
【0041】
工場での6年間の使用後、その平均ヨウ素負荷は、ヨウ素約60mg/gアルミナビーズであった。
【0042】
フィルタの走査型電子顕微鏡観察並びに比表面積及び総細孔容積の測定では、使用前後でこのフィルタの構造的物理的特性に注目すべき差が見られなかった。
【0043】
ビーズ中に存在するヨウ素の抽出は、試料の各々を管内のビーズよりも小さい直径の2個のフィルタ間に配置し、ソーダ1mol/L及びアスコルビン酸ナトリウム2mol/Lを含有する水溶液を室温で速度10mm/sで管内を循環させて、この溶液がビーズで形成された層を横切ることによって、実施された。塩基性水溶液の循環は、3時間継続された。
【0044】
その後、試料を管から取り出し、常に室温で水で洗浄し、100℃で12時間乾燥させた。この乾燥は、基本的に、その分析を可能にするためのものであった。
【0045】
これらの分析結果によれば、処理された試料にもかかわらず、
− ビーズの残留ヨウ素含有量はヨウ素3mg/ビーズ未満であり、これは少なくとも30の除染計数に相当する。
− ビーズの残留銀含有量は、その初期銀含有量(すなわち12質量%)に近い。
− ビーズは、その初期特性を、特に直径及び硬度の点で保持し、ビーズからヨウ素を除去するために使用された塩基性水溶液は、ビーズの考えられる浸食を起こし得る元素(溶解アルミナ、懸濁材料など)をほとんど含まない。
【実施例2】
【0046】
フィルタからの銀の抽出
本発明による方法のステップb)の妥当性が認められた試験は、実験室試料を使用して実施された。実験室試料は、実施例1で使用されたヨウ素フィルタの固体支持体を形成するビーズと同様に製造された多孔質アルミナビーズからなり、前もってヨウ素、さらに(12質量%の量の)硝酸銀が添加され、次いでヨウ素が除去された。
【0047】
ビーズ中に存在する銀の抽出は、試料を管内のビーズよりも小さい直径の2個のフィルタ間に配置し、この管に酸性度3Nの窒素溶液を温度20℃で6時間循環させることによって、実施された。
【0048】
試料を管から取り出し、その残留銀含有量を測定した。
【0049】
これらの測定結果によれば、ビーズの銀除去は定量的である。
【実施例3】
【0050】
フィルタの銀含浸
本発明による方法のステップc)の妥当性が認められた試験は、実験室試料を使用して実施された。実験室試料は、実施例1で使用されたヨウ素フィルタの固体支持体を形成するビーズと同様に製造された多孔質アルミナビーズ、(すなわち、銀が含浸されていない)バージンビーズからなり、又は前もって銀が除去された。
【0051】
ビーズの銀含浸は、ビーズをバスケットに入れた後、銀1mol/Lを含有する含浸溶液に室温で1時間試料を浸漬することによって実施された。
【0052】
試料を含浸溶液から取り出し、乾燥後に、その銀含有量を測定した。
【0053】
これらの測定結果によれば、この含有量は約12質量%である。