【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、衝撃付与を利用した破砕処理、混合処理あるいは破砕混合同時処理を行う際、破砕効率や混合効率を向上させることが可能な土砂の破砕混合装置及びそれを用いた方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る土砂の破砕混合装置は請求項1に記載したように、上方に土砂投入口が設けられ下方に土砂排出口が設けられた処理容器と、材軸がほぼ鉛直になるようにかつ該材軸廻りに回転自在となるように前記処理容器に保持されたシャフト及び該シャフトの周面に基端側が取り付けられた衝撃付与部材とからなり前記土砂投入口から投入された土砂が前記シャフトの回転に伴う前記衝撃付与部材の旋回範囲に自然落下するように構成された衝撃付与機構と、前記衝撃付与部材の下方位置に拡がる前記処理容器の内部空間に連通するように該処理容器に形成された空気流入口から流入した空気を前記衝撃付与部材の上方位置に拡がる前記処理容器の内部空間に連通するように該処理容器に形成された排気口を介して前記処理容器から排出する排気手段とを備えるとともに、前記排気手段を前記衝撃付与機構とともに同時作動させるように構成したものである。
【0010】
また、本発明に係る土砂の破砕混合装置は、前記処理容器の内部空間に空気を供給する送気手段を前記空気流入口に接続したものである。
【0011】
また、本発明に係る土砂の破砕混合装置は、前記排気手段及び前記送気手段を、排気流量が送気流量よりも大きくなるように構成したものである。
【0012】
また、本発明に係る土砂の破砕混合装置は、前記排気口を、前記衝撃付与部材の上方位置で互いに対向するようにかつ前記土砂投入口に対して直角方向の角度位置となるように前記処理容器に形成された一対の排気口で構成するとともに、該一対の排気口に前記排気手段を構成する吸気ブロワをそれぞれ連通接続したものである。
【0013】
また、本発明に係る土砂の破砕混合装置は、一対の仕切板を、それぞれが前記一対の排気口に対向するようにかつ互いに前記シャフトの反対側に位置するように前記衝撃付与部材の上方に配置したものである。
【0014】
また、本発明に係る土砂の破砕混合装置は、前記衝撃付与部材の配置空間を通過した空気の流れが2方向に分岐しそれぞれが前記一対の排気口に向けて案内されるように前記衝撃付与部材の上方にガイド部材を配置したものである。
【0015】
また、本発明に係る土砂の破砕混合方法は請求項7に記載したように、処理容器の上方に形成された土砂投入口から土砂を投入するとともに、前記処理容器内に配置された衝撃付与機構を作動させてそれを構成するシャフトをほぼ鉛直となる軸線廻りに回転させることにより、該シャフトの周面に基端側が取り付けられた衝撃付与部材を水平面内で旋回させ、前記土砂投入口を介して投入された土砂を前記衝撃付与部材の旋回範囲に自然落下させることにより、該土砂を破砕して前記処理容器の下方に形成された土砂排出口を介して搬出する土砂の破砕混合方法であって、
前記衝撃付与部材を旋回させながら、前記衝撃付与部材の上方位置に拡がる前記処理容器の内部空間からの空気排出を行うものである。
【0016】
また、本発明に係る土砂の破砕混合方法は、前記衝撃付与部材の下方位置に拡がる前記処理容器の内部空間への空気供給を同時に行うものである。
【0017】
また、本発明に係る土砂の破砕混合方法は、排気流量を送気流量よりも大きくするものである。
【0018】
本発明に係る土砂の破砕混合装置を用いて土砂の破砕処理、混合処理又は破砕混合同時処理を行うには、シャフトを回転させることによって該シャフトの材軸廻りに衝撃付与部材を旋回させるとともに、土砂投入口を介して対象土砂を処理容器内に投入する一方、排気手段を作動させる。
【0019】
このようにすると、土砂投入口から投入された土砂は、衝撃付与部材の旋回範囲に自然落下して該衝撃付与部材と接触し、そのときの衝撃による破砕作用や飛散作用で土砂の破砕や混合が行われ、あるいは破砕処理と混合処理が同時に行われるが、本発明においては、衝撃付与部材の下方位置に拡がる処理容器の内部空間に連通するように該処理容器に形成された空気流入口から流入した空気が、衝撃付与部材の上方位置に拡がる処理容器の内部空間に連通するように該処理容器に形成された排気口を介して処理容器から排出されるので、処理容器の内部空間においては、下方から上方へと向かう空気の流れが形成され、かかる空気の流れは、土砂や土塊が落下する際の抵抗となって、それらの落下速度を低下させる。
【0020】
そのため、衝撃付与部材が土砂や土塊に衝突する回数が増加し、かくして、より均一で細かい破砕処理が可能になるとともに、均質性が向上した混合処理が可能になる。
【0021】
本発明における破砕混合とは、典型的には、衝撃力で破砕されつつ破砕時の飛散作用が発揮されて混合が行われる破砕混合同時処理を意味するが、十分に破砕された土砂が処理対象である場合には、衝撃力が付与されたときの飛散作用による混合処理が主体となり、均質な土砂が処理対象である場合には、衝撃力による破砕処理が主体となる。そのため、本発明で破砕混合というときは、破砕混合同時処理のほか、破砕処理のみの場合と混合処理のみの場合を含むものとする。
【0022】
また、本発明における土砂の混合とは、土砂同士の混合のみならず、固化材、添加剤、活性炭その他の土砂に添加される物質と土砂との混合も包摂される。
【0023】
衝撃付与部材は、その基端側が取り付けられたシャフトを回転させることによって、該シャフトの回転軸線廻りに旋回し、該旋回動作によって処理容器内に投入された土砂に衝撃を付与し得るものであれば、その構造や形状は任意であって、例えば、全体を剛体又は可撓性材料で形成する構成や、複数の鋼製ピースを長さ方向に次々に連結することにより、全体としては可撓性材料として挙動するが、個々のピースについては剛体として挙動する構成が可能である。
【0024】
さらに具体的に説明すると、全体を剛体で構成する例としては、衝撃付与部材を鋼製のロッド材とし、複数の鋼製ピースを鎖状に次々に連結する例としては、衝撃付与部材を鋼製のチェーンとする構成を挙げることが可能である。
【0025】
ちなみに、全体を可撓性材料で構成する場合や、複数の鋼製ピースを長さ方向に次々に連結する場合、衝撃付与部材は、シャフト静止時には該シャフトから垂れ下がった状態であるが、シャフト回転時には該シャフトの材軸廻りに旋回し、その旋回力によって、土砂を破砕する。
【0026】
衝撃付与部材は、旋回の際、所定角度ごとに放射方向に延びるよう、複数設置することができるとともに、自然落下する土砂が次々に衝撃力を受けることができるよう、鉛直方向に沿って複数段に配置することが可能である。
【0027】
排気手段は、排気口を介して処理容器から空気を引き抜くことで、下方から上方へと向かう空気の流れを処理容器内に形成することができる限り、どのような構成とするかは任意であり、例えばブロワと該ブロワに一端が接続され他端が処理容器の排気口に接続されたダクトとで構成することが可能である。なお、処理容器内において下方から上方へと向かう空気の流れは、例えば1分間に数百回転する衝撃付与部材によって遮断されることがないよう、十分な流量を確保する。
【0028】
ここで、排気手段によって処理容器内から空気を引き抜く際、空気流入口を介して処理容器内に空気が自然導入されるようにしてもかまわないが、処理容器内に空気を供給する送気手段を空気流入口に接続したならば、衝撃付与部材の下方位置に拡がる処理容器の内部空間に空気を強制的に送り込むことができるため、上述した空気流量を確保しやすくなり、空気流を確実に形成することが可能となる。
【0029】
送気手段は排気手段と同様、例えばブロワと該ブロワに一端が接続され他端が処理容器の空気流入口に接続されたダクトとで構成することが可能である。
【0030】
なお、処理容器の内部空間において、下方から上方へと向かう空気の流れをさらに確実に形成するためには、排気手段及び送気手段を、排気流量が送気流量よりも大きくなるように構成するのが望ましい。
【0031】
排気口は、衝撃付与部材の上方に設ける必要があるため、土砂投入口と同程度の高さにならざるを得ないが、土砂投入口から投入された土砂が自然落下せずに排気口に直接吸引されると、対象となる土砂に対して破砕混合が行われないばかりか、土塊が排気口廻りに付着し、空気の流れを阻害する事態となることが懸念される。
【0032】
特に、上方に向かう空気の流れを確実に形成すべく、排気側の流量を大きくする場合には、投入された土砂が自然落下せずに排気口に吸引される懸念が大きい。
【0033】
かかる場合には、排気口を、衝撃付与部材の上方位置で互いに対向するようにかつ土砂投入口に対して直角方向の角度位置となるように処理容器に形成された一対の排気口で構成すればよい。
【0034】
このようにすれば、排気口が複数であるため、十分な排気流量を確保することができるとともに、水平面で見た場合の土砂の投入方向と排気方向が直線上とはならず、直角に交差することとなるので、投入された土砂が排気口に直接吸引される懸念は格段に小さくなる。
【0035】
ここで、一対の仕切板を、それぞれが一対の排気口に対向するようにかつ互いにシャフトの反対側に位置するように衝撃付与部材の上方に配置し、又は、衝撃付与部材の配置空間を通過した空気の流れが2方向に分岐しそれぞれが一対の排気口に向けて案内されるように衝撃付与部材の上方にガイド部材を配置したならば、排気口が対向配置されることによる吸引力の相殺を未然に防止することが可能となる。