【実施例】
【0028】
[比較例1]
再利用対象の熱可塑性樹脂組成物成形体製品廃棄品として、自動車内装部材回収品(熱可塑性樹脂としてポリプロピレンが使われ、含有されている無機材料フィラーが実質的にタルクのみである廃棄品試料)を選び、この廃棄品試料を粉砕した粉砕物について、その無機材料フィラー(タルク)含有量を測定した。また、この廃棄品試料粉砕物の射出成形により成形体試料を製造し、その成形体試料の各種物性値をJISに規定された方法により測定した。また、廃棄品試料粉砕物のメルトフローレート(MFR)も測定した。
【0029】
なお、廃棄品試料粉砕物中の無機材料フィラー量の測定は以下に記載の方法により行った。
るつぼを予め秤量し、ついで試料粉砕物約10gを収容し、試料粉砕物が収容されたるつぼを秤量して、その差から、るつぼに収容した試料粉砕物の質量を決定する。その後、このるつぼを電熱ヒータにて加熱して、試料粉砕物を予備燃焼させ、次いで、るつぼを電気炉に入れ、600℃にて90分間加熱して、内容物を灰化する。次に、るつぼを電気炉から取り出し、デシケータに入れて室温で1時間保存したのち、るつぼを秤量し、灰化物の質量を算出する。これらの作業により得られた灰化対象とした試料粉砕物の質量と灰化物の質量とから試料粉砕物中の無機材料フィラー(タルク)の含有量を決定する。
【0030】
廃棄品試料粉砕物中の無機材料フィラーの量、そして廃棄品試料粉砕物のメルトフローレート(MFR)、そして廃棄品試料粉砕物の射出成形により得られた成形体試料の各種物性値を第1表に示す。
【0031】
[実施例1]
予め同種の再生ポリプロピレン樹脂にタルクを添加量を変えて製造して成形体の各種物性とタルクの含有量との関係から作製した相関データ、そして本実施例で製造する成形体の各種物性の目標値を参照して、比較例1で調製した廃棄品試料粉砕物にタルク(平均粒子径:5.5μm)を16質量%添加して、タルク含有量が30質量%の混合物を得た。
この混合物について、比較例1と同様にして、メルトフローレート(MFR)を測定し、次いで、この混合物を射出成形して成形体試料を得た。このメルトフローレート、そして成形体試料の各種物性値を第1表に示す。また、この実施例1で製造された混合物の射出成形により得られる成形体試料の目標物性値も併せて記載した。
【0032】
第1表
────────────────────────────────────
目標値 比較例1 実施例1
────────────────────────────────────
無機材料フィラー量
(タルク量、質量%) − 17 30
────────────────────────────────────
MFR(g/10分、K7210) >15 20 18
引張降伏強さ(MPa、K7161) >20 24 24
引張破壊呼び歪み(%、K7161) − 15 4
曲げ強さ(MPa、K7171) >35 39 39
曲げ弾性率(MPa、K7171) >3500 2490 3580
シャルピー衝撃強さ(kJ/m
2)
(23℃、ノッチ付き、K7111) − 6 3
荷重たわみ温度(℃、K7191)
(0.45MPa) >120 118 124
───────────────────────────────────
【0033】
第1表に記載したデータから、実施例1で得た成形体の各種物性値が目標値に到達していることが確認された。
【0034】
[比較例2]
再利用対象の熱可塑性樹脂組成物成形体製品廃棄品として、自動車バンパー回収品(熱可塑性樹脂としてポリプロピレンが使われ、含有されている無機材料フィラーが実質的にタルクのみである廃棄品試料)を選び、この廃棄品試料を粉砕した粉砕物について、その無機材料フィラー含有量を測定した。また、この廃棄品試料粉砕物の射出成形により成形体試料を製造し、その成形体試料の各種物性値を測定した。また、廃棄品試料粉砕物のメルトフローレートも測定した。
【0035】
なお、廃棄品試料粉砕物中の無機材料フィラー量(タルク量)の測定は比較例1に記載の方法により行った。
【0036】
廃棄品試料粉砕物中の無機材料フィラーの量、そして廃棄品試料粉砕物のメルトフローレート(MFR)、そして廃棄品試料粉砕物の射出成形により得られた成形体試料の各種物性値を第2表に示す。
【0037】
[実施例2]
実施例1で利用した相関データ、そして本実施例で製造する成形体の各種物性の目標値を参照して、比較例2で調製した廃棄品試料粉砕物にタルク(平均粒子径:5.5μm)を4.5質量%添加して、タルク含有量が14質量%の混合物を得た。
この混合物について、比較例1と同様にして、メルトフローレートを測定し、次いで、この混合物を射出成形して成形体試料を得た。このメルトフローレート、そして成形体試料の各種物性値を第2表に示す。また、この実施例2で製造された混合物の射出成形により得られる成形体試料の目標物性値も併せて記載した。
【0038】
第2表
────────────────────────────────────
目標値 比較例2 実施例2
────────────────────────────────────
無機材料フィラー量
(タルク量、質量%) − 10 14
────────────────────────────────────
MFR(g/10分、K7210) >10 16 16
引張降伏強さ(MPa、K7161) >15 18 19
引張破壊呼び歪み(%、K7161) − 52 58
曲げ強さ(MPa、K7171) >25 26 27
曲げ弾性率(MPa、K7171) >1600 1420 1620
シャルピー衝撃強さ(kJ/m
2)
23℃、ノッチ付き、K7111) >25 29 29
荷重たわみ温度(℃、K7191)
(0.45MPa) >95 89 96
───────────────────────────────────
【0039】
第2表に記載したデータから、実施例2で得た成形体の各種物性値が目標値に到達していることが確認された。