(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5692733
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤
(51)【国際特許分類】
A47J 47/16 20060101AFI20150312BHJP
A47G 23/06 20060101ALI20150312BHJP
B44C 5/04 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
A47J47/16 D
A47G23/06 A
B44C5/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-232696(P2013-232696)
(22)【出願日】2013年11月11日
【審査請求日】2014年10月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592087429
【氏名又は名称】明光陶器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】大津 芳二
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
実公平07−044286(JP,Y2)
【文献】
特開平08−275858(JP,A)
【文献】
実開平06−021484(JP,U)
【文献】
特開2002−144796(JP,A)
【文献】
実開平02−085134(JP,U)
【文献】
実開昭52−139058(JP,U)
【文献】
実開昭52−095664(JP,U)
【文献】
実公昭40−033814(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 47/16
A47G 21/00 − 23/16
B44C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾用の陶板の裏側に発泡樹脂からなる樹脂板を接着剤層を介して接着一体化した装飾盤本体を形成し、この装飾盤本体の周縁に装飾紐体を巻装した台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤であって、前記樹脂板の外径を陶板の外径よりも大きく形成するとともに、樹脂板の外周縁部が陶板の外周より均等に突出した状態で一体化し、この突出した外周縁部に前記装飾紐体を接着固定してあることを特徴とする台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤。
【請求項2】
陶板の表面には絵付けが施されており、一方、樹脂板は任意の色に着色されている請求項1に記載の台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤。
【請求項3】
装飾紐体は任意の色の耐熱性繊維よりなり、またこの装飾紐体の一端には吊掛部が形成されている請求項1または2に記載の台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤。
【請求項4】
接着剤層は、陶板の裏側全体に形成されているか、あるいは陶板を接着固定するための接着剤層と装飾紐体を接着固定するためのリング状の接着剤層とが独立して形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛のような装飾品として使用できるほか、鍋敷などの台所用具としても使用することが可能な台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、陶磁器製の鍋敷として、2枚の陶板を接着一体化し周縁に装飾紐体を接着固定した状態で巻装したものが公知である(例えば、特許文献1を参照)。また、特許文献1には、鍋敷の裏面側にコルク板を貼り合せることも記載されている。
【0003】
このような陶磁器製の鍋敷は、デザイン的には優れたものであるが、使用していないときに食卓テーブル上に置かれていると邪魔になる。そのため、例えば壁掛のような装飾品として使用できればテーブル上から片付けることができ便利である。しかしながら、特許文献1に記載の鍋敷は、2枚の陶板を接着一体化した構造であり、かなりの重量があるため壁掛として使用するのは安全面から不向きであった。
【0004】
一方、特許文献1に記載の陶板を単純に1枚にして軽量化を行い、陶磁器製装飾盤としての利用の可能性を図ってみたが、装飾紐体をしっかりと接着固定するのが難しくて陶板と装飾紐体が分離したり陶板が落下してしまうおそれがあり、壁掛等に利用することは不安定で危ないという問題があった。そこで、陶板と装飾紐体とが強固に接着していて落下の危険性がなく安全で、しかも軽量化が図られている台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤の開発が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7−44286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決して、陶板と装飾紐体とが強固に接着していて落下の危険性がなく安全であるとともに、軽量化が図られているため、壁掛のような装飾品として使用できるほか、鍋敷などの台所用具としても使用することができる台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤は、装飾用の陶板の裏側に発泡樹脂からなる樹脂板を接着剤層を介して接着一体化した装飾盤本体を形成し、この装飾盤本体の周縁に装飾紐体を巻装した台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤であって、前記樹脂板の外径を陶板の外径よりも大きく形成するとともに、樹脂板の外周縁部が陶板の外周より均等に突出した状態で一体化し、この突出した外周縁部に前記装飾紐体を接着固定してあることを特徴とするものである。
【0008】
前記陶板の表面には絵付けが施されており、一方、樹脂板は任意の色に着色されているものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0009】
また、前記装飾紐体は任意の色の耐熱性繊維よりなり、またこの装飾紐体の一端には吊掛部が形成されていることが好ましく、これを請求項3に係る発明とする。
【0010】
更に、前記接着剤層は、陶板の裏側全体に形成されているか、あるいは陶板を接着固定するための接着剤層と装飾紐体を接着固定するためのリング状の接着剤層とが独立して形成されていることが好ましく、これを請求項4に係る発明とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、装飾用の陶板の裏側に発泡樹脂からなる樹脂板を接着剤層を介して接着一体化した装飾盤本体を形成し、この装飾盤本体の周縁に装飾紐体を巻装した台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤であって、前記樹脂板の外径を陶板の外径よりも大きく形成するとともに、樹脂板の外周縁部が陶板の外周より均等に突出した状態で一体化し、この突出した外周縁部に前記装飾紐体を接着固定してあるので、陶板が1枚だけとなって軽量化を図ることができ、また装飾紐体は樹脂板の外周縁部に強固に接着固定されるため陶板と装飾紐体が分離したり陶板が落下するのを確実に防止することができる。
【0012】
また、請求項2に係る発明では、陶板の表面には絵付けが施されており、一方、樹脂板は任意の色に着色されているので、壁掛としても鍋敷としても優れた意匠的効果を発揮することができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明では、装飾紐体は任意の色の耐熱性繊維よりなり、またこの装飾紐体の一端には吊掛部が形成されているので、鍋敷として十分な耐熱性を発揮し、また、そのまま壁掛として使用に供することもできる。
【0014】
また、請求項4に係る発明では、接着剤層は、陶板の裏側全体に形成されているか、あるいは陶板を接着固定するための接着剤層と装飾紐体を接着固定するためのリング状の接着剤層とが独立して形成されているので、陶板と樹脂板を接着一体化できるのは勿論のこと、装飾紐体を樹脂板の外周縁部に簡単かつ強固に接着固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態を示す全体斜視図である。
【
図3】装飾紐体の接着状態を示す要部の拡大断面図である。
【
図4】その他の装飾紐体の接着状態を示す要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、本発明の実施の形態を示す斜視図、
図2は断面図である。図において、1は装飾盤本体である。この装飾盤本体1は、装飾用の陶板2の裏側に発泡樹脂からなる樹脂板3を、耐熱性の合成樹脂からなる接着剤層4を介して接着一体化したものである。また、装飾盤本体1の周縁には綿糸などの耐熱性繊維の撚り紐よりなる装飾紐体5が巻装された構造となっている。
【0017】
前記樹脂板3の外径は陶板2の外径よりも大きく形成されており、また樹脂板3の外周縁部3aが陶板2の外周より均等に突出した状態で一体化されている。そして、この突出した外周縁部3aに前記装飾紐体5が接着固定した構造となっている。これにより、装飾紐体5が樹脂板3の外周縁部に強固に接着固定されることとなって、装飾盤本体1から装飾紐体5が分離するのを防止できることとなる。
【0018】
図3は、装飾紐体5の接着状態を示す要部の拡大断面図である。
図3に示されるように、前記外周縁部3aの突出長さ(h)は、装飾紐体5の直径(d)よりも短くなるように設計されているので、本発明の陶磁器製装飾盤を正面から見た場合、裏面側の樹脂板3は装飾紐体5に隠れた状態となり優れた意匠的効果を奏することとなる。ただし、前記の突出長さ(h)は、装飾紐体5を強固に接着固定するために装飾紐体5の直径(d)の半径(d/2)よりは長くする必要がある。
【0019】
また、装飾紐体5は樹脂板3に塗布されている接着剤層4に接着固定する構造となっているので、装飾紐体5の取り付けを容易かつ確実に行うことができる。装飾紐体5を陶板2の周縁に巻装しようとすると、従来は陶板2の周縁に装着用の凹溝などを形成しておく必要があり、成形コストが高くなるうえに、破損が発生しやすい等の問題があったが、本発明ではそれらの問題が生じることがない。
【0020】
この接着剤層4は、
図3に示されるように、陶板2の裏側全体に形成したものとすることができる。あるいは、
図4に示されるように、陶板2を接着固定するための接着剤層4と装飾紐体5を接着固定するためのリング状の接着剤層3aとが独立して形成されているものとすることができる。ただし、
図4の場合は、接着剤層3aを装飾紐体5の直径部に対応する箇所に形成する必要がある。なお、
図4の場合は、接着剤の使用量を減らして、よりコストダウンを図ることができる。
【0021】
前記装飾紐体5は、綿糸などの耐熱性繊維の撚り紐よりなり、上部に位置する箇所にはループ状の吊掛部5aが形成されている。図示のものでは、装飾紐体5の一端に形成したループ状の吊掛部5aの下端末と、他端に形成した屈曲端末とをループ状の吊掛部5aの基端部に添わせて、これらを金属帯体よりなる止輪6により締め付け一体化したものとしてある。
この装飾紐体5の組み合わせにより、陶板2の外周縁を衝撃から保護して破損等の発生を防止することができるとともに、優れたデザイン性を発揮して装飾盤としての価値も高めることができる。
【0022】
前記樹脂板3は、低密度ポリエチレン(LDPE)やエチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリエチレン樹脂を基材として発泡させた化学架橋型の独立気泡ポリエチレンフォームからなるものである。独立気泡ポリエチレンフォームは、気泡のきめが細かくて柔軟性、復元性、緩衝性、断熱性、耐候性、耐薬品性、耐滑り性などに優れており、台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤の裏面板として使用するには最適な材質である。
このような樹脂板3を用いることにより、陶板2を衝撃から保護して破損等の発生を防止することができるとともに、鍋敷として用いた場合にも従来のコルク板に比べると装飾盤本体1が台上を滑ることがなく安定した状態で鍋を保持できて安全である。
【0023】
前記陶板2の表面には任意の絵付けを施すことが可能であり、鍋敷としても、また壁掛としてもデザイン性を向上させることができる。また、前記樹脂板3も任意の色に着色されたものを使用することができ、更には、装飾紐体5も前記陶板2や樹脂板3のデザインに合わせて任意の色に着色したものを使用することができる。
この結果、陶板2の絵付け、樹脂板3の着色、装飾紐体5の着色を自由に組み合わせることで、鍋敷としても、また壁掛としても様々な意匠的効果を発揮させることが可能となる。
【0024】
以上のように構成された本発明の台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤は、壁掛のような装飾品として使用できるほか鍋敷などの台所用具としても使用することができるものであるが、特に、樹脂板の外径を陶板の外径よりも大きく形成するとともに、樹脂板の外周縁部が陶板の外周より均等に突出した状態で一体化し、この突出した外周縁部に前記装飾紐体を接着固定してあるので、大幅な軽量化が図れて優れた取扱い性を発揮することができ、また、装飾紐体の接着固定が簡単で製造コストを安価にすることができることとなる。更には、陶板の絵付け、樹脂板の着色、装飾紐体の着色を自由に組み合わせることで、デザインのバリエーションを増やすことができ、また、化学架橋型の独立気泡ポリエチレンフォームからなる樹脂板を用いることで優れた緩衝性、断熱性、耐候性、耐薬品性、耐滑り性、軽量性などを発揮することができる等の種々の効果を奏することになる。
【符号の説明】
【0025】
1 装飾盤本体
2 陶板
3 樹脂板
3a 外周縁部
4 接着剤層
4a リング状の接着剤層
5 装飾紐体
5a 吊掛部
6 止輪
【要約】
【課題】壁掛のような装飾品として使用できるほか、鍋敷などの台所用具としても使用することが可能な台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤を提供する。
【解決手段】装飾用の陶板2の裏側に発泡樹脂からなる樹脂板3を接着剤層4を介して接着一体化した装飾盤本体1を形成し、この装飾盤本体1の周縁に装飾紐体5を巻装した台所用具を兼ねる陶磁器製装飾盤であって、前記樹脂板3の外径を陶板2の外径よりも大きく形成するとともに、樹脂板3の外周縁部が陶板2の外周より均等に突出した状態で一体化し、この突出した外周縁部3aに前記装飾紐体5を接着固定してあるものとした。
【選択図】
図1