(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船舶の運航スケジュールは、港の状況によって左右される場合がある。例えば、ある国の港に寄港する場合、入港日がその国の祝日と重なってしまうと荷役作業を行うことができなくなる。よって、出発港から到着港までの船舶の運航スケジュールを作成する場合、船舶の入出港に影響する祝日などのイベントに重ならないようにスケジュールを作成するのが好ましい。
【0005】
特許文献1の段落0021に記載されているように、特許文献1のシステムにおいては、入港時間や接岸時間、荷役見込み時間を用いて出港時間を算出することが行われている。しかしながら、このシステムにおいては、ある港における荷役見込み時間を用いて出港時間を予測するに止まり、出発港から到着港までの間で、船舶のスケジュールが運航中に発生するイベントによりどのような影響を受けるかを把握することができていない。
【0006】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、計画した船舶のスケジュールがスケジュールに係る日に発生するイベントにより受ける影響を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、
ユーザにより計画された船舶のスケジュールにおける、船舶が停泊する港を示す第1情報と、当該船舶の当該港での停泊期間を示す第2情報とを取得する第1取得手段と、前記第1情報が示す港において発生するイベントの期間を示す第3情報を取得する第2取得手段と、前記第2情報が示す停泊期間と前記第3情報が示す期間とが重なる場合、前記第3情報が示す期間のイベントに応じた当該停泊期間の変更量を演算する演算手段と、前記演算手段の演算結果を示す情報を
表示部へ出力する出力手段とを有する解析装置を提供する。
【0008】
本発明に係る解析装置においては、前記第1取得手段は、予め定められた航路において船舶が停泊する複数の港のそれぞれについて、当該港を示す前記第1情報を取得し、前記航路に投入される複数の船舶毎に、前記複数の港毎の前記第2情報を取得し、前記演算手段は、前記複数の船舶毎に、前記第1情報が示す港で前記第2情報が示す停泊期間と前記第3情報が示す期間とが重なる場合、前記第3情報が示す期間のイベントに応じた当該停泊期間の変更量を演算する構成としてもよい。
【0009】
また、本発明に係る解析装置においては、前記演算手段は、前記変更量で前記停泊期間を変更して前記船舶を出発港から到着港まで運航したときの燃料消費量を演算し、前記出力手段は、演算した燃料消費量を示す情報を
前記表示部へ出力する構成としてもよい。
【0010】
また、本発明においては、前記演算手段は、前記船舶の停泊期間とイベントが発生する期間とが重なった第1の港から、当該船舶が次に停泊する第2の港までの移動時間を演算し、前記第1の港における停泊期間を前記変更量で変更した場合に、前記船舶が前記移動時間で移動した場合、前記第2の港において前記第2情報が示す停泊期間に停泊できない場合、前記第2の港への到着の遅れを報知する遅延情報を生成し、前記出力手段は、前記遅延情報を
前記表示部へ出力する構成としてもよい。
【0011】
また、本発明は、
ユーザにより計画された船舶のスケジュールにおける、船舶が停泊する港を示す第1情報と、当該船舶の当該港での停泊期間を示す第2情報とを取得する第1取得ステップと、前記第1情報が示す港において発生するイベントの期間を示す第3情報を取得する第2取得ステップと、前記第2情報が示す停泊期間と前記第3情報が示す期間とが重なる場合、前記第3情報が示す期間のイベントに応じた当該停泊期間の変更量を演算する演算ステップと、前記演算ステップの演算結果を示す情報を
表示部へ出力する出力ステップとを有する解析方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、
ユーザにより計画された船舶のスケジュールにおける、船舶が停泊する港を示す第1情報と、当該船舶の当該港での停泊期間を示す第2情報とを取得する第1取得手段と、前記第1情報が示す港において発生するイベントの期間を示す第3情報を取得する第2取得手段と、前記第2情報が示す停泊期間と前記第3情報が示す期間とが重なる場合、前記第3情報が示す期間のイベントに応じた当該停泊期間の変更量を演算する演算手段と、前記演算手段の演算結果を示す情報を
表示部へ出力する出力手段として機能させるためのプログラムを提供する
。
【0013】
また、本発明は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計画した船舶のスケジュールがスケジュールに係る日に発生するイベントにより受ける影響を出力することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る解析システム1の全体構成を示した図である。解析システム1は、ユーザが計画した船舶のスケジュールを取得し、取得したスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を解析するシステムである。ユーザは、解析システム1が出力した解析結果を参照し、船舶のスケジュールを検討する。
【0018】
ネットワーク200は、機器間の通信を実現するための通信網である。ネットワーク200は、有線による通信網で構成されているが、無線による通信網を含む構成であってもよい。
【0019】
第1データベース300は、船舶が寄港する港において発生するイベントのデータを格納したデータベースである。第1データベース300においては、
図2に示したように、複数の港毎に、港の名称、日付及び当該日付の日に発生するイベントの名称を対応付けて格納したテーブルが記憶されている。例えば、本実施形態においては、イベントのデータとして、港での作業を行うことができない祝祭日の日付や期間と、当該祝祭日の名称がテーブルに格納されている。つまり、本実施形態に係る第1データベース300には、祝祭日により港での作業を行うことができない期間の日付が格納されている。
【0020】
第2データベース400は、船舶の運航スケジュールを格納したデータベースである。第2データベース400においては、
図3に示したように、船名に対応付けて、当該船名の船舶が寄港する港の名称や、当該港への入港予定日、当該港からの出港予定日などが船舶毎に格納されている。
【0021】
解析装置100は、ユーザが計画した船舶のスケジュールを取得し、取得したスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を解析し、解析結果を出力する装置である。解析装置100において出力される情報は、例えば、船舶の船名や、計画したスケジュールで運航した場合に、スケジュールに係る日において発生するイベントによりスケジュールが影響を受ける日数などを含む。
【0022】
図4は、解析装置100のハードウェア構成を示したブロック図である。解析装置100は、プログラムを実行するコンピュータ装置であり、制御部110、記憶部120、通信部130、操作部140及び表示部150を備える。解析装置100は、プログラムを実行可能なコンピュータ装置であればよく、例えば、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0023】
記憶部120は、プログラムやデータを記憶する記憶手段である。記憶部120は、例えばハードディスクドライブを備え、制御部110により実行されるプログラムや、制御部110が使用するデータなどを記憶する。記憶部120には、取得した船舶のスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を解析し、解析結果を出力する機能を実現するプログラムが記憶されている。
【0024】
通信部130は、ネットワーク200に接続されており、制御部110により制御される。制御部110により制御される通信部130は、ネットワーク200に接続された他の装置と通信を行い、データの送信や受信を行う。通信部130は、第1データベース300にアクセスし、第1データベース300から送信される情報を受信する。また、通信部130は、第2データベース400にアクセスし、第2データベース400に対するデータの送信や、第2データベース400から送信された情報の受信などを行う。
【0025】
操作部140は、ユーザにより操作されるマウスやキーボードを備えている。ユーザがマウスやキーボードを操作することにより、ユーザが計画した船舶のスケジュールが解析装置100に入力される。なお、操作部140は、マウスやキーボードに替えて、タッチスクリーンを備える構成であってもよい。
【0026】
表示部150は、情報を表示する表示手段である。表示部150は、表示デバイスの一例である液晶ディスプレイを備え、制御部110から供給される情報を表示する。なお、表示部150は、表示デバイスを備えずに、表示する情報を解析装置100に接続された表示装置(液晶ディスプレイやプロジェクターなど)に出力する手段として構成されてもよい。
【0027】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)を備え、記憶部120に記憶されているプログラムを実行して解析装置100の各部を制御する。制御部110が、記憶部120に記憶されているプログラムを実行すると、ユーザが計画した船舶のスケジュールを取得し、取得したスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を解析し、解析結果を出力する機能が実現する。
【0028】
図5は、プログラムを実行した制御部110において実現する機能の構成を示したブロック図である。制御部110が記憶部120に記憶されているプログラムを実行すると、第1取得手段111、第2取得手段112、演算手段114及び出力手段116が実現する。
【0029】
第1取得手段111は、ユーザが操作部140を操作して入力した情報を取得する手段である。ユーザは、計画した船舶のスケジュールを示す情報を、操作部140を操作して入力する。第1取得手段111は、操作部140を用いて入力された情報を取得する。第1取得手段111は、取得した情報を演算手段114へ出力する。なお、本実施形態においては、船舶のスケジュールに係る情報として、船舶の名称、出発港の名称、到着港の名称、出発港と到着港との間で寄港する港の名称、各港の入港予定日と出港予定日など、予め定められた航路に関係する情報が入力される。
【0030】
第2取得手段112は、第1データベース300に格納されている情報を取得する手段である。第2取得手段112は、
図2に示したテーブルを第1データベース300から取得する。
演算手段114は、第1取得手段111と、第2取得手段112とが取得した情報に基いて、ユーザが計画した船舶のスケジュールが、船舶が停泊する港で発生するイベントによって受ける日数を演算する手段である。
出力手段116は、演算手段114の演算結果を出力する手段である。出力手段116は、演算手段が求めた日数を示す情報を表示部150へ出力する。
【0031】
次に、解析システム1の動作例について説明する。
図6は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行した制御部110が行う処理の流れを示したフローチャートである。
解析システム1のユーザは、計画した船舶のスケジュールについて、スケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を知りたい場合、操作部140のキーボードやマウスを操作し、計画した船舶のスケジュールに係る情報を入力する。ユーザが入力する情報としては、例えば、船舶の名称、出発港の名称、到着港の名称、出発港と到着港との間で寄港する港の名称、各港の入港予定日と出港予定日などの各種情報がある。制御部110は、操作部140を操作してユーザが入力したこれらの情報を取得する(ステップSA1)。
【0032】
例えば、船名が「BBB」である船舶が、C港を出発港とし、D港に寄港した後、E港を到着港とする場合、ユーザは、船舶の名称である「BBB」と、C港、D港及びE港の名称と、各港における入港予定日と出港予定日とを入力する。
【0033】
次に制御部110は、ステップSA1で取得したスケジュールで船舶を運航したときにスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を解析する。具体的には、まず制御部110は、ステップSA1で取得した港の名称が格納されたテーブルを第1データベース300から取得する(ステップSA2)。例えば、上述したように、船名が「BBB」である船舶が、C港を出発港とし、D港に寄港した後、E港を到着港とする場合、制御部110は、C港の名称が格納されたテーブルと、D港の名称が格納されたテーブルと、E港の名称が格納されたテーブルとを第1データベース300から取得する。
【0034】
次に制御部110は、ステップSA1で取得した情報とステップSA2で取得したテーブルとを突き合わせ、船舶が入港する港毎に、当該港で発生するイベントにより船舶のスケジュールが影響を受ける日数を数える(ステップSA3)。
【0035】
例えば、上述したスケジュールの場合、船名が「BBB」である船舶は、まず、C港で荷役作業を行う。制御部110は、ステップSA1で取得した情報に基いて、C港について船舶が入港から出港に係る日を特定する。ここで、入港予定日と出港予定日とが同じ日である場合、C港において入港から出港に係る日は1日となり、入港予定日と出港予定日とが異なる場合、入港予定日から出港予定日までの日が、入港から出港に係る日となる。次に制御部110は、第1データベース300から取得したC港の名称が格納されたテーブルを参照し、この特定した日がテーブルに格納されているか判断する。ここで、C港の名称が格納されたテーブルにおいて、特定した日が格納されていない場合、制御部110は、船名が「BBB」である船舶のスケジュールは、C港で発生するイベントの影響を受けないものと判断し、C港については、スケジュールが影響を受ける日数を0とする。
【0036】
次に、上述したスケジュールの場合、船名が「BBB」である船舶は、D港で荷役作業を行う。このため、制御部110は、ステップSA1で取得した情報に基いて、D港について船舶が入港から出港に係る日を特定する。そして、制御部110は、第1データベース300から取得したD港の名称が格納されたテーブルを参照し、この特定した日がテーブルに格納されているか判断する。ここで、例えばD港への入港予定日と出港予定日とが同じ日であり、この日がD港の名称が格納されたテーブルに格納されている場合、船名が「BBB」である船舶は、この日においてはD港での荷役作業を行うことができない。この場合、制御部110は、船名が「BBB」である船舶のスケジュールは、D港で発生するイベントの影響を受けるものと判断する。そして、制御部110は、D港の名称が格納されたテーブルを参照し、D港においてイベントが無い日まで、入港予定日と出港予定日とをずらし、ずらした日数をスケジュールが影響を受ける日数として数える。
次に、制御部110は、船名が「BBB」である船舶が到着するE港についても、C港の場合やD港の場合と同様に、E港で発生するイベントにより船舶のスケジュールが影響を受ける日数を数える。
【0037】
制御部110は、船舶が入港する港毎に、発生するイベントにより船舶のスケジュールが影響を受ける日数を数え終えると、港毎に数えたした日数を合計し、スケジュール全体において、イベントにより船舶のスケジュールが影響を受ける日数を求める(ステップSA4)。
【0038】
制御部110は、ステップSA4の処理が終了すると、ステップSA1で取得した船名と、ステップSA4で得られた日数とを表示する画像を生成し、生成した画像を示す情報を表示部150へ出力する(ステップSA5)。この情報を表示部150が取得すると、表示部150は、取得した情報が表す画像を表示する。
図7は、表示部150に表示される画面の一例を示した図である。
図7に示したように、表示部150においては、取得したスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける日数が表示される。
【0039】
解析装置100においては、計画した船舶のスケジュールが係る日に発生するイベントによってスケジュールが影響を受ける日数が表示されるため、解析装置100のユーザは、計画したスケジュールのとおりに船舶を運航できるか知ることができる。解析装置100のユーザは、計画したスケジュールがイベントにより影響を受ける場合、表示された画面を参考にし、イベントにより影響を受ける日数が少なくなるように、船舶のスケジュールを変更する。
【0040】
なお、本実施形態においては、ユーザが入力した船舶のスケジュールについては、ユーザが操作部140において、第2データベース400へ記憶させる操作を行うことにより、第2データベース400に記憶される。
【0041】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0042】
上述した実施形態においては、
図7に示したように、船舶の名称と、計画したスケジュールがイベントにより影響を受ける日数が表示される画面となっているが、この構成に限定されるものではない。
例えば、制御部110は、ステップSA4の処理を実行せず、
図8に示したように、計画したスケジュールについて、イベントにより影響を受ける日数を港毎に表示するようにしてもよい。
【0043】
上記の実施形態の説明においては、出発港から到着港までの運航回数が1回の場合のスケジュールを例にして動作の説明を行ったが、解析装置100に入力されるスケジュールの情報は、この構成に限定されるものではない。例えば、A港とB港との間を2週間で1往復し、この往復する運航を半年間続けるという定期航路のスケジュールの情報を入力してもよい。この場合、制御部110は、A港に係る入港予定日と出港予定日とを特定し、B港に係る入港予定日と出港予定日とを特定する。また、制御部110は、A港の名称が格納されたテーブルと、B港の名称が格納されたテーブルとを第1データベース300から取得する。そして、制御部110は、取得したテーブルと、各港における入港予定日から出港予定日に係る日とに基いて、各港で発生するイベントにより船舶のスケジュールが影響を受ける日数を数え、数えた日数が表示部150に表示されるように画面の情報を表示部150へ出力する。この構成によれば、予め定められた港を決められた日程で運航する定期航路のスケジュールについても、計画したスケジュールのとおりに船舶を運航できるか知ることができる。
【0044】
また、船舶のスケジュールとしては、予め定められた航路の一例として、出発港から複数の港へ順番に寄港し、出発港へ戻るという定期航路について、複数の船舶を投入するというスケジュールも存在する。
この場合、ユーザは、投入する複数の船舶毎に港における入港予定日と出港予定日とを入力し、解析装置100は、複数の船舶毎に、イベントにより影響を受ける日数を数えし、
図9に示したように、イベントによりスケジュールが影響を受ける日数を船舶毎に表示するようにしてもよい。また、解析装置100は、複数の船舶のそれぞれがイベントにより影響を受ける日数を合計し、合計結果を表示するようにしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、第1データベース300のテーブルにおいては、祝日の情報が格納されているが、港での作業を行うことができない日の情報として格納する情報は、祝日の情報に限定されるものではない。
例えば、港が工事により使用できないときや、気象現象により港が使用できないときも、荷役作業を行うことができず、船舶のスケジュールは影響を受けることとなる。このため、第1データベース300に格納されるテーブルにおいては、港が工事により使用できない日や、気象現象により港が使用できない日の情報が追加されて格納されるようにしてもよい。なお、毎年決まった日に発生するイベントではなく、上述したような港の工事や気象現象の場合、これらのイベントが終了した後には、当該イベントに係る情報がテーブルから削除される。
【0046】
また、第1データベース300に格納する情報は、港が使用できない日の情報に限定されるものではない。例えば、船舶のスケジュールは、所謂「船混み」によっても影響を受ける。船混みが発生した場合、船舶は、碇泊して入港機会を待つこととなる。第1データベース300においては、船混みが発生する期間と、船混みによって待たされる平均の日数とを対応付けて格納してもよい。
例えば、ラマダーンの期間中は、輸入貨物が急激に増えるため船混みが発生し、スケジュールが影響を受ける。
A港がラマダーンの影響を受ける場合、
図2に示したA港のテーブルには、ラマダーンの期間と、ラマダーンの期間中に船混みによって待たされる平均の日数とを格納してもよい。そして、解析装置100は、第1データベース300に格納された、ラマダーンの期間と、船混みによって待たされる平均の日数とを用いて、スケジュールが影響を受ける日数を求めるようにしてもよい。具体的には、解析装置100は、船舶のA港への入港予定日が、テーブルに格納されているラマダーンの期間に重なる場合、船舶のスケジュールが、A港で発生するイベントの影響を受けるものと判断する。そして、解析装置100は、A港の名称が格納されたテーブルを参照し、船混みによって待たされる平均の日数を、スケジュールが影響を受ける日数として数える。
【0047】
また、第1データベース300に格納する情報は、他の情報であってもよい。例えば、船舶のスケジュールは、濃霧の発生によっても影響を受ける。濃霧が発生した場合、船舶は、碇泊して入港機会を待つこととなる。第1データベース300においては、濃霧の発生が予測される期間と、濃霧の発生によって入港までに待たされる日数とを対応付けて格納してもよい。
例えば、A港が濃霧の影響を受ける場合、
図2に示したA港のテーブルには、濃霧の発生が予測される期間と、濃霧の発生によって待たされる日数とを格納する。解析装置100は、船舶のA港への入港予定日が、テーブルに格納されている濃霧の発生が予測される期間に重なる場合、船舶のスケジュールが、A港で発生するイベントの影響を受けるものと判断する。そして、解析装置100は、A港の名称が格納されたテーブルを参照し、濃霧の発生によって入港までに待たされる日数を、スケジュールが影響を受ける日数として数える。
なお、船混みや濃霧の発生によって入港を待たされる日数を正確に予測するのは難しい場合がある。この場合、待たされる日数に幅を設けるようにしてもよい。例えば、A港に入港するのに待たされる日数が1日〜3日の場合、この「1日〜3日」という情報を、船混みや濃霧の発生する期間に対応付けて
図2に示したA港のテーブルに格納する。そして、解析装置100は、船舶のA港への入港予定日が、テーブルに格納されている濃霧の発生が予測される期間に重なる場合、スケジュールが影響を受ける日数を「1日〜3日」とする。
【0048】
本発明においては、船舶の運航を開始した後、上述した変形例のように、第1データベース300に記憶されているテーブルに対して、データの追加や削除が行われる場合がある。船舶の運航が開始された後、第1データベース300に記憶されているテーブルに対して、データの追加や削除が行われた場合、当該船舶のスケジュールの情報を第2データベース400から取得し、取得したスケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが影響を受ける日数を数えるようにしてもよい。この構成によれば、スケジュールの計画時には無かったイベントによってスケジュールが影響を受ける日数や、スケジュールの計画時には存在したものの、運航を開始した後で存在しなくなったイベントによってスケジュールが影響を受ける日数を知ることができる。
【0049】
また、本発明においては、第2データベース400に記憶されているスケジュールについて、ユーザが指定した日、週又は月において、スケジュールがイベントによって影響を受ける日数を表示するようにしてもよい。
図10は、本変形例に係る表示の一例を示した図である。例えば、ユーザが、ある一定期間の日付(例えば、1週間)を入力し、記憶されているスケジュールについて、当該一定期間においてイベントによって影響を受ける日数を表示させる操作を行った場合、解析装置100は、
図10に示したように、船舶毎に、当該一定期間においてイベントにより影響を受ける日数を表示する。
【0050】
上述した実施形態においては、解析装置100が、ユーザが計画した船舶のスケジュールを取得し、当該スケジュールに係る日において発生するイベントによって当該スケジュールが受ける影響を解析し、解析結果を表示しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、本発明においては、解析装置100をサーバ装置とし、クライアントとなる端末装置においてユーザが入力した船舶のスケジュールの情報を解析装置100へ送信する構成としてもよい。また、解析装置100におけるスケジュールの情報の処理結果を、スケジュールの情報を送信した端末装置へ送信し、端末装置において、解析装置100の処理結果を表示するようにしてもよい。
【0051】
上述した実施形態においては、解析装置100は、一隻の船舶の一つのスケジュールについて、イベントにより当該スケジュールが影響を受ける日数を表示しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、上述したように、一隻の船舶がC港、D港、E港に寄港する場合、ユーザは、入港予定日や出港予定日が異なる複数のスケジュールの情報を入力し、制御部110は、スケジュール毎にイベントにより影響を受ける日数を表示するようにしてもよい。この構成によれば、異なる複数のスケジュールについて、イベントによって影響を受ける日数を比較できるため、船舶の運航に適したスケジュールを作成することができる。
【0052】
上述した実施形態においては、ユーザは、船舶の入港予定や出港予定について、日付を入力しているが、日付に限定されるものではなく、時間を含めて入力するようにしてもよい。つまり、解析装置100が使用するスケジュールに係る情報は、日に限定されるものではなく、時刻の情報を含んでいてもよい。
【0053】
上述した実施形態においては、解析装置100とは別に第1データベース300と第2データベース400とが設けられ、第1データベース300と第2データベース400とがネットワーク200に接続されているが、この構成に限定されるものではない。本発明においては、第1データベース300と第2データベース400とを、記憶部120に設ける構成とし、制御部110は、記憶部120に設けられた各データベースにアクセスする構成としてもよい。
【0054】
上述した実施形態においては、イベントによりスケジュールが影響を受ける日数を表示しているが、表示する情報は、スケジュールが影響を受ける日数に限定されるものではない。例えば、解析装置100は、入港する港間の距離を取得し、取得した距離と、港における入港予定日時及び出港予定日時とに基いて、港間を移動するときの船舶の船速を計算する。解析装置100は、船速と一時間あたりの燃料消費量との対応関係と、港間の移動時間とに基いて、入力されたスケジュールで消費する燃料の消費量を計算し、計算した燃料の消費量を表示する。この構成において、上述した変形例のように、複数のスケジュールの解析結果を並べて表示するようにすれば、スケジュールの違いによる燃料消費量の違いをユーザは知ることができる。ユーザは、表示された計算結果を参照し、燃料消費量が少なくなるように、スケジュールを計画してもよい。なお、航路の特定の区間若しくは航路の全区間の燃料消費量、または航路に投入される複数の船舶(船団)の全燃料消費量を、複数のスケジュールの解析結果に対して算出し、当該燃料消費量または全燃料消費量が最小となるスケジュールを選択し、あるいは選択的に表示するようにしてもよい。
【0055】
また、本発明においては、解析装置100は、イベントによりスケジュールが影響を受ける日数や、計画したスケジュールで運航したときの燃料消費量だけでなく、スケジュールの遅延に係る情報を表示するようにしてもよい。例えば、解析装置100は、ある港で発生するイベントの影響を船舶が受ける場合、当該港への船舶の入港予定日時を、入港予定日時より後であって入港が可能となる日時までずらし、ずらした後の入港予定日時に基いて当該港からの出港予定日時を求める。また、解析装置100は、港間の距離と、船舶の速度(例えば、最大速度)を取得する。次に解析装置100は、求めた出港予定日時と、次の港までの移動距離と、取得した船舶の速度とに基いて、次の港へ移動するのに要する時間を求める。解析装置100は、求めた時間に基いて、船舶が次の港へ入港する予定日時を計算し、ユーザが設定した入港予定日時と、計算した予定日時との差を示す遅延情報を生成して表示するようにしてもよい。なお、この変形例においては、取得する速度は最大速度ではなく他の速度であってもよい。
【0056】
上述した実施形態においては、船舶がある港で発生するイベントの影響を受ける場合、スケジュールを変更し、スケジュールの変更により影響を受ける日数を算出しているが、この構成に限定されるものではない。
例えば、計画した船舶のスケジュールを入力する際に船舶が寄港する港のうち抜港が可能な港については、抜港が可能であることを示す抜港情報を入力するようにしてもよい。抜港情報が入力された場合、解析装置100は、船舶が港に寄港するときに当該港で発生するイベントの影響を受ける場合、当該港を抜港することを報知する。具体的には、上述した実施形態においては、船名が「BBB」である船がD港でイベントの影響を受ける場合、イベントにより船舶のスケジュールが影響を受ける日数を表示している。一方、本変形例においては、解析装置100は、D港について抜港情報が入力され、船舶がD港でイベントの影響を受ける場合、D港を抜港することを報知する。
また、例えば、計画した船舶のスケジュールを入力する際に、船舶が寄港する港のうちイベントの発生により寄港先を変更可能な港については、変更先の港への入港予定日と出港予定日とを共に入力するようにしてもよい。例えば、本変形例においては、上述した実施形態で船名が「BBB」である船舶のスケジュールにおいて、D港についてはF港へ寄港先を変更できる場合、D港からの変更先としてF港への入港予定日と出港予定日とを入力する。解析装置100は、船名が「BBB」である船がD港でイベントの影響を受ける場合、寄港先をF港へ変更することを報知する。
【0057】
本発明に係る機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、解析装置100にインストールしてもよい。また、本発明に係る機能を実現するプログラムは、ネットワーク200を介して配信して解析装置100にインストールしてもよい。
解析装置は、船舶のスケジュールに係る情報として、船舶の名称、出発港の名称、到着港の名称、出発港と到着港との間で寄港する港の名称、各港の入港予定日と出港予定日などの情報を取得する。解析装置は、取得した情報に含まれている港でイベントが発生する日の日付を格納したテーブルを第1データベースから取得する。解析装置は、取得したスケジュールの情報と、取得したテーブルとを用い、スケジュールがイベントにより影響を受ける日数を数え、数えた日数を表示する。