(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電源側端子及び負荷側端子間を接続する主回路導電部が貫装された変流器(CT)が器体内部に配設されるとともに、該CTの出力信号を器体外部に引き出すCT出力信号引き出し線が器体の負荷側端子側から器体外部に引き出されるよう設けられた分電盤の内部機器としての分岐開閉器を取り付けてボックスに固定される中底を備えて構成される分電盤であって、
前記中底における、前記分岐開閉器を取り付ける側を前面側としボックスに対向する側を背面側としたとき、
前記中底は、
前記ボックスに取り付けられる下板部と、
該下板部に載置され内部機器を取り付ける上板部とから構成され、
前記下板部と上板部との間に部品を配置する部品配置スペースを設けた階層構造として構成されるとともに、
該部品配置スペースには、CT出力信号引き出し線の端部に設けられた接続コネクタと接続される接続部を備え、
上板部における個々の分岐開閉器取付部毎に、前記前面側に、部品配置スペースに通ずる前記接続コネクタの挿通部としての開口部を設け、
前記接続部を、前記開口部から前面側に突出せぬよう露出させて構成されたことを特徴とする分電盤。
前記上板部の前面側には、前記分岐開閉器からのCT出力信号引き出し線を前記開口部に導くための配線溝部が形成されて構成されたことを特徴とする請求項1乃至3記載の内何れか一項に記載の分電盤。
【背景技術】
【0002】
一般的に、分電盤は、主開閉器、分岐開閉器、漏電遮断器などの内部機器を、中底に取り付けたうえで一体のものとして、分電盤の外郭となるキャビネットを構成するボックスに取付固定され、構成される。
図12(特許文献1における
図3)に示す如く、中底に相当する基板21に分岐開閉器が複数取り付けられ、一体のものとしてボックス(図示しない)に取付固定されるようになっている。
【0003】
分岐ブレーカの負荷側端子には、分岐回路に向けてそれぞれ負荷側電線が接続される。前記ボックスの背面側等には負荷側電線をボックスの外部に引き出すための開口部が設けられており、該開口部と、壁面等に施工される電線引き込み口の位置を合わせて壁面等に取り付けることにより、負荷側電線がボックスから壁面等の内部に引き込まれて配線され、分岐回路に電源が供給される。
【0004】
前記ボックス内における負荷側電線の配線態様は、第一の配線態様として、分電バー4を境に対向して配設されるそれぞれの前記分岐開閉器の負荷側端子部に対応する位置に壁面の開口部が設けられている場合など、前記負荷側端子部から壁面の開口部に向けて電線を湾曲させて該壁面に略鉛直に配線される場合がある。第二の配線態様として、壁面等における電線引き込み口が小さく開けられている場合や、分岐開閉器の負荷側端子部の背面からずれた場所に開けられている場合など、施工状態によっては、負荷側電線を前記開口部からボックス内に導入し、それぞれの分岐開閉器における負荷側端子部まで、前記中底の背面側を通して引き回したうえ、配線する場合がある。
【0005】
昨今、分電盤の高機能化が進み、分岐開閉器に接続されている家電機器等で消費される電力や、太陽光発電等補助電源からの発電電力などを計測し、家全体の電気エネルギーの使用状況を確実に把握することが出来る計測機能付分電盤が特許文献2に開示されている。
【0006】
本計測機能付分電盤は、主幹開閉器の負荷側回路を流れる電流を検出する主幹変流器と、分岐開閉器の負荷側回路を流れる電流を検出する分岐変流器と、補助ブレーカの負荷側回路を流れる電流を検出する補助変流器と、これら主幹変流器、分岐変流器および補助変流器で検出される各電流、並びに主幹回路の電圧に基づき、主幹回路を介して売買される双方向電力、各分岐回路で消費される各消費電力および補助電源供給回路を介して供給される補助電源の発電電力を計測する計測手段とを備えて構成され、前記主開閉器や分岐開閉器等が中底に取り付けられて前記ボックスに固定されているものである。
【0007】
本計測機能付分電盤においては、個々の分岐ブレーカに分岐変流器が内蔵されていることにより、分岐回路を流れる電流を分岐変流器で検出することができ、計測手段は、各分岐回路の消費電力を計測することができる。
【0008】
これら分岐変流器と計測手段との配線は、特許文献2における
図3の分電盤内部の結線図に示されたように、分岐変流器75の検出信号線であるリード線77と各ハーネス線79とをハーネス78を用いてそれぞれ接続することにより行い、配線が整然と簡易に行える。通常このようなリード線77と各ハーネス線79とをハーネス78を用いて接続する場合には、分岐ブレーカを載置する前記中底の背面側(特許文献1の
図3における基板21の背面側)にて前記ボックスと該中底との間の空間を用いて行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、個々の分岐ブレーカに分岐変流器が内蔵された分電盤においては、分岐回路を流れる電流を夫々の分岐変流器で検出することができ、なおかつ、前記分岐変流器75の検出信号線であるリード線77と各ハーネス線79とをハーネス78を用いて接続することにより、リード線・ハーネス線と計測手段との配線が整然と簡易に行えるものである。
【0011】
一方、これらリード線・ハーネス線・ハーネスは前記中底の背面側でボックスと該中底との間の空間に配置されるから、前記ボックス内における負荷側電線の配線態様が前記第一の配線態様、特に、前記第二の配線態様に示したような態様となる場合には、ボックス内のガタースペースが減少することとなり、負荷側電線を配線する際に、リード線・ハーネス線・ハーネスが配線の妨げになることがある。分岐回路数が多い場合はリード線・ハーネス線・ハーネスの本数も増え、配線の妨げがさらに顕著になる。
【0012】
一般的に、リード線・ハーネス線・ハーネスの太さに比べて負荷側電線のほうが太く、また、電線の曲げ加工もしにくいことから、中底の背面において、リード線・ハーネス線・ハーネスを避けながら負荷側電線の配線作業を行うことは困難となり、配線作業工数が増加し作業効率が低下するとともに、負荷側電線によりリード線・ハーネス線・ハーネスを傷つけるおそれや、切断してしまうおそれがある。
【0013】
また、一度配線を完了した分電盤において、分岐ブレーカを取替える必要が生じた場合には、多数並設している負荷側電線並びにリード線やハーネスを選り分けて、取替え対象となる分岐ブレーカの負荷側電線とリード線を選別したうえで、該当する分岐ブレーカを分電盤から取外す必要がある。また、新たな分岐ブレーカを分電盤に取付けた後、取外した負荷側電線及びリード線やハーネスを元通りに接続する必要があるが、このときに、他の配線に不用意に接触したり力が加わり応力がかかることにより、配線接続に不具合が生じるおそれがあった。
【0014】
このように、分電盤の高機能化が進むことに伴い、内部機器同士を接続するための配線スペースや、機能追加に伴い新たな機器を配置するための追加機器配置スペースが必要となってくるが、これら配線スペースや追加機器配置スペースを確保するために前記ボックス内におけるガタースペースが圧迫され、本来の負荷側電線の配線の支障となったり、CT出力信号引き出し線が負荷側接続電線や他の回路の電線に混触するおそれがあるという問題が生じる。
【0015】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、
CT出力信号引き出し線を備えた分岐開閉器を分電盤の中底に取付け、配線施工を行うにあたり、前記CT出力信号引き出し線が、負荷側接続電線や他の回路の電線に混触することを防止でき、なおかつ、ボックス内のガタースペースを圧迫することなく、前記CT出力信号引き出し線と接続されてCT出力信号を計測手段に導く接続部材を配置するためのスペースを備え得る分電盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る分電盤は、上述の課題を解決すべく構成されたもので、電源側端子及び負荷側端子間を接続する主回路導電部が貫装された変流器(CT)が器体内部に配設されるとともに、該CTの出力信号を器体外部に引き出すCT出力信号引き出し線が器体の負荷側端子側から器体外部に引き出されるよう設けられた分電盤の内部機器としての回路遮断器である分岐開閉器を取り付けてボックスに固定される中底を備えて構成される分電盤であって、前記中底における、前記分岐開閉器を取り付ける側を前面側としボックスに対向する側を背面側としたとき、前記中底は、前記ボックスに取り付けられる下板部と、該下板部に載置され内部機器を取り付ける上板部とから構成され、前記下板部と上板部との間に部品を配置する部品配置スペースを設けた階層構造として構成されるとともに、該部品配置スペースには、CT出力信号引き出し線の端部に設けられた接続コネクタと接続される接続部を備え、上板部における個々の分岐開閉器取付部毎に、前記前面側に、部品配置スペースに通ずる前記接続コネクタ
の挿通部としての開口部を設け、前記接続部を、前記開口部から前面側に突出せぬよう露出させて構成されたことを特徴として構成するとよい。
【0017】
かかる構成によれば、分岐開閉器におけるCT出力信号引き出し線を、負荷側電線が引き回されるガタースペースを避けて配線することができる。特に、中底の背面を通す負荷側電線の妨げにならずにCT出力信号引き出し線を配線することができ、配線作業効率の向上が期待できる。
【0018】
削除
【0019】
また、かかる構成によれば、ボックス周縁部並びに中底背面部のガタースペースを減少させることなく前記配線スペースや追加機器配置スペースを確保することができるとともに、分岐開閉器を取付するときの邪魔にならずに前記配線スペースや追加機器配置スペースを確保することができる。また、階層構造として、前記下板部と上板部とで二重化構造とすることにより、中底の構造体としての強度を向上させることができる。即ち、中底に開閉器等を載置した場合に中底が撓むなどの変形を防止することができ、ひいては母線と開閉器等の電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0020】
また、前記部品配置スペースは、前記分岐開閉器を並設する方向において両端部に開口部が設けられ、外部から前記部品配置スペースに部品を配置し得る構成を採用することができる。
【0021】
かかる構成によれば、分岐開閉器の並設方向に亘って追加機器や部品、内部機器同士を接続する電源線や信号線を配置させる場合に利便性がよい。また、主開閉器から離れたボックス端部に配設された内部機器に向けて一次送り配線を行う場合には、前記部品配置スペースの一方の開口部から他方の開口部に向けて電線を貫通させることにより、分岐開閉器の負荷側端子に接続する負荷側電線との干渉を防止することができる。
【0022】
また、前記部品配置スペースは、前記上板部における内部機器取付部の一部が開閉手段により開閉自在に設けられることにより、前記前面側に露出される状態と前記前面側から隠蔽される状態とを、選択的に取り得る構成を採用することができる。
【0023】
かかる構成によれば、中底を外す必要なく、部品配置スペースに前記前面側からアクセスすることができ、追加機器の配置や収納する部品の配置、取外し、メンテナンス、また、内部機器同士を接続するための配線の施工、取外し、メンテナンスを効率よく行うことができる。
【0024】
また、前記上板部の前面側には、前記分岐開閉器からのCT出力信号引き出し線を前記開口部に導くための配線溝部が形成される構成を採用することができる。
【0025】
かかる構成によれば、分岐開閉器を中底に取り付ける際に、CT出力信号引き出し線を開口部に導きやすくなり、また、該分岐開閉器の器体背面側で、CT出力信号引き出し線を圧接することがない。また、CT出力信号引き出し線が分岐開閉器の背面側で配線されるから、分岐開閉器の並設時において、CT出力信号引き出し線が器体並設方向に突出せず、また、他の分岐開閉器における前記負荷側電線及び他の分岐開閉器における前記CT出力信号引き出し線に混触することがない。このように、分電盤の施工時など配線の接続/離反を行う際に作業の妨げになりにくく、配線作業性を向上することができる分電盤を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の如く、本発明によれば、CT出力信号引き出し線を備えた分岐開閉器を分電盤の中底に取付け、配線施工を行うにあたり、前記CT出力信号引き出し線が、負荷側接続電線や他の回路の電線に混触することを防止でき、なおかつ、ボックス内のガタースペースを圧迫することなく、前記CT出力信号引き出し線と接続されてCT出力信号を計測手段に導く接続部材を配置するためのスペースを備え得る分電盤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る分電盤の外観構成について、
図1を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る分電盤1は、分電用の内部機器を収容すべく、前面側が開放されたボックス2と、該開放部を開閉自在且つ着脱自在に覆う前面カバー(
図1においては、該前面カバーが外されていて図示されていない)とを備え、ボックス2内に、主開閉器4あるいは該主開閉器4と接続導体9及び母線10を介して接続される複数の分岐開閉器7、などが配置され、ボックス2の背面側における適宜箇所に形成された開口部8を通って壁面内からボックス2内に引き込まれる負荷側電線が夫々の分岐開閉器7に接続される。ボックス2の内側周縁部、中底11の背面側は、分電盤に引き込まれる電線のガタースペースが設けられている。
【0030】
前記分岐開閉器7などの内部機器は、中底11に取り付けられた状態で前記ボックス2に取付固定される。本実施形態では、前記中底11の、内部機器を取り付ける側を前面側とし、ボックスに取り付ける側(ボックスに対向する側)を背面側としている。
【0031】
次に、中底11の外観構成について、
図2、
図3、
図4を参酌しつつ説明する。該中底11は、前記ボックス2に取り付けられる下板部111と、該下板部111に載置され内部機器を取り付ける上板部112とを備えて構成される。前記下板部111は金属板により構成され、前記上板部112は樹脂成型により構成されている。下板部111と上板部112との取り付けは、下板部111に設けた取付孔部1111に、上板部に該孔部と対応した位置に設けられた取付爪片1123が嵌合することにより行われる構造となっている。
【0032】
下板部111に上板部112を取り付けることにより、中底11を階層構造として構成することができる。前記下板部111は金属板を折り曲げて形成されており、所定の強度は保たれているが、前記下板部111と上板部112とで二重化構造とすることにより、中底の構造体としての強度を更に向上させることができ、中底に開閉器等を載置した場合に中底が撓むなどの変形を防止することができる。中底の撓みが防止できることにより、母線や開閉器など内部機器自体や、母線と開閉器等との電気的な接続部分に不用な応力が印加されることが低減し、機械的な変形や破損、また、電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0033】
図中には、上板部112の例として、前記母線10から電力を供給される分岐開閉器を該母線10を境に片側に8回路、全体で16回路の載置可能な上板部を示している。前記上板部112には、略中央部を横断するように各極の母線10を取り付ける母線取付部1121が設けられ、前記横断の方向と直交する方向に分岐開閉器を取り付ける分岐開閉器取付部1122が夫々設けられている。
【0034】
分岐開閉器7は、前記母線の幹となる部分を境として両側に設けられ、片側毎に前記母線10の延出する方向に複数の分岐開閉器が並設配置される構成となっている。
図2において,前記幹となる部分が延出する方向に対して手前側がL1の電圧極であり,奥側がL2の電圧極である。各々の母線には分岐開閉器7に電力を供給するための分岐線が分岐回路毎に一体に設けられている。
【0035】
前記母線取付部1121は、前記前面側−背面側の方向において分岐開閉器取付部1122の高さを基準とし、中性極の母線101が最も前面側に位置するように突出部1121aが設けられる一方、2つの電圧極の母線(L1,L2の母線)103,102が分岐開閉器取付部1121の高さよりも背面側に位置するように凹み部1121bが設けられている。
【0036】
中性極の母線101の幹部が最も前面側に位置することにより、分電盤の点検時などに不用意に母線に接触することによる感電事故を極力防止することができる。
【0037】
また、前記凹み部1121bの凹み量は、該凹み部に前記母線102、103が取り付けられた場合に、該母線102、103の前面側の高さが前記分岐開閉器取付部1121の高さよりも数mm背面側となる程度に設けられている。これにより、分岐開閉器7を分岐開閉器取付部1122に取り付けた場合に、該分岐開閉器7の電源側部分の背面側が前記母線102、103の前面側に位置するが、該分岐開閉器と母線との絶縁距離を確保した状態で上板部112に取り付け固定することができる。
【0038】
さて、前記分岐開閉器取付部1122においては、各回路毎に仕切り部1122aが設けられている。該仕切り部1122aの内寸は、分岐開閉器7の並設方向の幅寸法と同等程度に設けられており、該仕切り部同士の内側に分岐開閉器を収めることができる。また、該仕切り部1122aは、分岐開閉器7を母線10の分岐線に接続する場合に、該分岐線の方向にスライドさせるガイドとして利用されるとともに、取付後の分岐開閉器の並設方向へのガタ防止部として利用される。
【0039】
前記内部機器としての分岐開閉器7は、電源側端子及び負荷側端子間を接続する主回路導電部が貫装された変流器(CT)が器体内部に配設されるとともに、該CTの出力信号を器体外部に引き出すCT出力信号引き出し線が器体の負荷側端子側から器体外部に引き出されるよう設けられた分岐開閉器である。分岐開閉器7は、器体が長手方向に分割構成される筐体701、702により形成される。該器体の長手方向のそれぞれの端部には、電源と接続される電源側端子並びに負荷側回路に電源を供給する負荷側端子が設けられる。
【0040】
前記分岐開閉器7の器体の内部には、電源側端子並びに負荷側端子と接続される主回路導電部、該主回路導電部に介在し主回路導電部に設けられた接点を接触/離反させる接点開閉機構、主回路導電部に異常電流が流れたときには前記接点開閉機構に作用して回路を切動作させる自動遮断機構、前記主回路導体部が貫装される変流器(CT)等が設けられる。該CTには、CTに貫装される主回路導体部に流れる電流の大きさに応じて誘導電流が発生するが、この誘導電流をCTの出力信号として外部に伝達するために、CTの出力端に接続されたCT出力信号引き出し線710が接続される。該CT出力信号引き出し線710は、器体の外部に延出されている。また、該CT出力信号引き出し線710の端部には、外部電線と接続するための接続コネクタ711が設けられている。また、前記接点開閉機構を筐体の外部から入切操作する操作ハンドル703が筐体の前面側に設けられている。
【0041】
705、706は前記負荷側端子に負荷側回路に至る負荷側電線を挿入接続するための電線挿入孔である。電源側端子はプラグインタイプの端子を用い、負荷側端子は鎖錠接続端子を用いて構成している。
【0042】
なお、前記分岐開閉器の器体を並設する方向を側面側とし、前記分岐開閉器の器体のうち、分岐開閉器を操作する操作ハンドル703が設けられた側を前面側、分岐開閉器を取付け固定する取付け板に取り付けられる側を背面側とする。該前面側/背面側の方向は、前記中底の前面側/背面側方向と一致する。
【0043】
また、前記分岐開閉器取付部1122における母線側と反対側の端部には、各回路毎に分岐開閉器7を取り付け固定するための分岐開閉器引掛部1122bが設けられている。該分岐開閉器引掛部1122bは、分岐開閉器7の背面側に設けられた凹部707に設けられた被引掛部708に引掛けられ、取付後に、前記前面方向の動きを規制する。
【0044】
具体的には、分岐開閉器引掛部1122bには、母線から遠ざかる方向に伸びた引掛片が形成されており、分岐開閉器7の背面側の凹部707には、分岐開閉器の負荷側から電源側に延出し、前記引掛片と引掛かるように前面側−背面側の高さをあわせて形成された被引掛部708が形成されている。
【0045】
下板部111における、前記母線10の幹が延出される方向と平行な辺の端部は、略L字状に折り曲げ加工して形成されている。これは、下板部111の強度を保つとともに、前記分岐開閉器7を母線の分岐線と接続した場合に、分岐開閉器における電源側から負荷側方向への動きを規制するためのものである。即ち、分岐開閉器7の負荷側端子部には、該分岐開閉器7の背面側から突出する、しないを外部つまみにより択一的に選択するロックレバー7041が設けられており、分岐開閉器の背面側から突出したロック片7042が前記折曲部の母線側に対向する面と係合することにより、分岐開閉器における電源側から負荷側方向への動きを規制する。このため、振動などにより、分岐開閉器7が分岐線から外れてしまうことを防止でき、分岐開閉器の上板部112への取付固定を確実なものとできる。
【0046】
分岐開閉器7の取付時には、該分岐開閉器7を分岐開閉器取付部1122に載置し、該分岐開閉器7を分岐線の方向にスライドさせていくと、分岐開閉器の背面に形成された凹部707に分岐開閉器引掛部1122bが嵌り込み、さらにスライドさせることにより、分岐開閉器側の被引掛部708と分岐開閉器引掛部1122bが嵌合し、前面側−背面側の動きが規制される。このとき、前記母線10における分岐線と分岐開閉器7における電源側の電源端子とが接続されて、電気的な接続も行われる。
【0047】
そして、前記ロックレバー7041の外部つまみを下板部111の方向に押下げることにより、分岐開閉器7の背面からロック片7042が突出して下板部111の折曲部1112と嵌合し、取り付けが完了する。
【0048】
また、上板部112から分岐開閉器7を取り外すときには、前記ロックレバー7041の外部つまみを下板部111と反対の方向(前記分岐開閉器の前面側)に引き上げて、ロック片7042を背面から突出しない状態にし、分岐開閉器7を母線から遠ざかる方向に引き抜くように移動させることにより、前記分岐開閉器引掛部1122bと前記被引掛部708との係合が外れると同時に母線10と分岐開閉器7の電源側端子との接続が解かれ、取り外しが完了する。
【0049】
また、中底11は、分岐回路数の変化に対し、下板部111、上板部112及び母線10の長さを変えて対応できるよう構成されている。
図5に示したように、前記上板部112は、端部の部品112a、112d、該端部の間に挟まれる分岐開閉器を載置する部品112b、112c、L1、L2、中性極の母線同士を絶縁するための絶縁壁としての部品112e、112fに分割され、母線の幹が延出する方向に4回路ずつ、合計8回路毎の分岐開閉器を載置する部品を連結して増やしたり、又は減らしたりして分岐回路数の変化に対応する。
【0050】
また、下板部111は分割を行わず、上板部の増減単位と同様に、母線の幹が延出する方向に4回路ずつ、合計8回路毎に、下板部111の長さを変えて形成する構成となっている。
【0051】
さて、
図6(a)A−A断面図、B−B断面図に示したように、上板部112の分岐開閉器取付部1122の背面側であって、下板部111の前面側には、部品配置スペース5としての空洞部が形成されている。該空洞部の、前面側−背面側の高さは、前記上板部112における凹み部1121bの凹み量と略等しい大きさとなっている。
【0052】
また、B−B断面図において示しているように、一つの部品配置スペース5の大きさは、母線の幹が延出する方向に4回路毎の大きさとなっている。これは、上板部112を形成する部品、即ち分岐開閉器を載置する部品112b、112cが前記4回路ずつに分割されていることに依存している。また、これら部品112b、112cの背面側には、仕切り壁1124が形成されており、この仕切り壁1124によって部品配置スペース5が分岐開閉器取付部1122の背面側において区分けされている。
【0053】
分電盤内に配置する部品の大きさによっては、前記仕切り壁1124が配置の妨げになることが想定される。このため、仕切り壁1124の一部には切欠き部1124aを形成し、上板部112の母線の幹が延出する方向全体に亘る部品においても、該切欠き部1124aを通して配置することができるように構成されている。これにより、部品配置スペース5は、両端部に開口部1128を有することとなり、外部からは該開口部1128を通して、前記部品配置スペースに部品を配置し得る構成とでき、長い部品を配置する場合に利便性が増す。
【0054】
また、上板部112における前記分岐開閉器取付部1122における前面側には、前記分岐開閉器の個々の取付部毎に、前記部品配置スペースに通ずる接続コネクタ711の挿通部としての開口部1125を設けている。また、前記分岐開閉器取付部1122には、前記CT出力信号引き出し線の接続コネクタ711を接続するための接続部2022を配置すべく、片側の前記分岐開閉器取付部1122に亘って共通する基板2021に、前記接続部2022が分岐開閉器の個々の取付部毎に並べて載置されている。
【0055】
各々の接続部からは、信号線が、基板の端部に設けられた集約コネクタ部2024、2014に配線されている。該集約コネクタには、前記CTで検出される各電流や主幹回路の電圧に基づき、各分岐回路で消費される消費電力等を計測する計測手段からのハーネス線が接続される。
【0056】
また、前記接続部2022、2012は、開口部112
5から前面側に突出しない高さに露出させて設けている。これは、分岐開閉器取付部1122には、分岐開閉器7が載置されるからである。
【0057】
前記基板201、202は、上板部の背面側において、基板に設けられたねじ穴にねじを通すことにより、前記上板部112にねじ止めにて固定されている。
【0058】
また、上板部112の前面側には、前記CT出力信号引き出し線710を前記開口部1125に導くために、分岐開閉器取付部の一部を凹ませて形成した配線溝部1126が設けられている。分岐開閉器7を分岐開閉器取付部1122に取り付ける場合には、該配線溝部1126にCT出力信号引き出し線が配設されることにより、分岐開閉器7の取り付けの妨げにならない。
【0059】
分岐開閉器7を取り付けるときには、先に接続コネクタ711を開口部112
5から部品配置スペースに通し、前面側から露出した接続部2022に接続した後、CT出力信号引き出し線710が前記配線溝部1126に位置するよう配置した後、分岐開閉器7を分岐開閉器取付部1122に載置し、分岐線の側にスライドさせていくようにして取り付ける。このとき、分岐開閉器7の筐体部における段差部分7021にCT出力信号引き出し線710を沿わせて配線することにより、分岐開閉器を並設させた場合に隣の分岐開閉器にCT出力信号引き出し線が挟まらず都合がよい。
【0060】
分岐開閉器7を取り外すときには、分岐開閉器を分岐線から遠ざかる方向にスライドさせ、一旦分岐線から接続を解き、続いて、接続コネクタ711を接続部2022から取り外す。
【0061】
CT出力信号引き出し線710は、分岐開閉器7を分岐開閉器取付部1124に取り付けた場合には、前記配線溝部1126に配設されるとともに、接続コネクタ711は分岐開閉器の背面側の部品配置スペース5に設けられた接続部2022と接続されるから、CT出力信号引き出し線が、負荷側接続電線や他の回路の電線に混触することを防止できる。また、CT出力信号引き出し線の配線にあたり、中底の背面側のガタースペースには何ら影響を与えないから、ボックス内のガタースペースを圧迫することなく負荷側電線の配線施工を行うことができる。
【0062】
このように、分岐開閉器の並設方向に亘って計測手段への接続部材である基板を配置するためのスペースが中底内部に確保できる。部品配置スペース5の両端部には開口部1128が設けられているから、前記基板や一次送り配線の配線場所として使用でき、追加部品、内部機器同士を接続する電源線や信号線を配置させる場合に利便性がよくなる。
【0063】
主開閉器から離れたボックス端部に配設される内部機器に向けて一次送り配線を行う場合には、前記部品配置スペース5の一方の開口部1128から仕切り壁1124における切欠き部1124aを通して他方の開口部1128に向けて電線を貫通させることにより、中底11の背面側に施工される分岐開閉器7の負荷側端子に接続する負荷側電線とは何ら干渉することなく一次送りの配線を施工することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について、
図7を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る分電盤1は、第1の実施形態に係る中底11における部品配置スペース5が、前記前面側に露出される状態と前記前面側から隠蔽される状態とを、選択的に取り得る構成としたものである。
【0065】
即ち、第1の実施形態における上板部112の分岐開閉器取付部1122を、前記凹み部1121b近傍に設けた開閉手段により開閉自在に形成し、部品配置スペース5を露出自在に設けたものである。
【0066】
前記開閉手段は、前記凹み部1121bと分岐開閉器取付部1122とに互いに嵌合させる嵌合部1127を設けることにより構成し、前記分岐開閉器取付部1122が、前記母線10の幹となる部分が延出する方向を軸として、回動するように設けている。上板部112は、前述したように、母線の幹が延出する方向に4回路ずつ、合計8回路毎の分岐開閉器を載置する部品112e、112fにより形成されており、これら部品毎に開閉することが可能である。
【0067】
開閉にあたっては、前記分岐開閉器引掛部1122bを指等で跳ね上げるようにすることにより部品配置スペースを露出させることができ、そして、前記分岐開閉器引掛部1122bを指等で押し下げるようにすることにより部品配置スペースを隠蔽することができる。
図7(a)は、部品配置スペースを少し開けた状態、
図7(b)は、部品配置スペースを大きく開けた状態である。
【0068】
また、端部の部品112aにおける分岐開閉器を載置する部分においても同様に開閉自在に構成することにより、中底11における部品配置スペース5全体が外部に露出可能に設けられるから、部品配置スペースに対して前記前面側からアクセスすることができ、追加機器の配置や収納する部品の配置、取外し、メンテナンス、また、内部機器同士を接続するための配線の施工、取外し、メンテナンスを外部から部品を配置する際に、前記開口部1128を覗き込んだり、上板部112を下板部111から外すことなく、作業性良く部品を配置することができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、部品配置スペース5の開操作に伴い、分岐開閉器取付部1122が上板部112から外れてしまわない例を示したものであるが、他の形態として、上板部112における母線取付部1121と、分岐開閉器取付部1122とを別々の部品で形成し、前記嵌合部を設けずに、分岐開閉器取付部1122を完全に取り外してしまうように構成してもよい。この場合においては、分岐開閉器取付部1122を取り外してしまえる分、部品配置のための作業スペースが拡大し、さらに作業性が向上できることが期待できる。
【0070】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、なお、下板部の部品配置スペース5に相当する部分を金属加工により凹ませて形成し、該部品配置スペース5の大きさを拡大して構成してもよい。この場合には、下板部111の背面側に施工する電線の配線の邪魔になりにくいように、凹み部の端部の形状を、段差状ではなく傾斜面(C面)形状とし、凹み部につっかえるなどの干渉が起こりにくいように形成するとよい。
【0072】
また、上板部の分割単位を、母線の幹が延出する方向に4回路ずつ分割する他、2回路毎や8回路、あるいは、1回路ずつに設けて、分電盤の設計上要求される分岐回路数の追加に細かに追随できるよう構成してもよい。
【0073】
また、下板部111について、上板部112と同様に分割する構成とし、両端部の部品と、該両端部の部品の間に挟まれるように母線の幹が延出する方向に4回路ずつ、又は他の回路数ずつの長さに分割してそれぞれを螺子で締結してつなぎ合わせたり、互いに嵌合する嵌合部を形成して接続することにより形成してもよい。これにより、下板部111の共用化を図ることができる。
【0074】
また、前記開閉手段における嵌合部1127に代えて、母線取付部と分岐開閉器取付部とに軸受部を形成し、該軸受部に軸を通すことにより、分岐開閉器取付部を回動自在に形成してもよい。
【0075】
また、前記開閉手段における回動方向について、前記嵌合部1127における軸部を、分岐開閉器取付部における分岐開閉器を並設する方向の端部並びに下板部111に軸受部を設けることにより、分岐開閉器の電源側−負荷側の方向に回動軸が形成されるように構成し、回動方向を違えて構成してもよい。