【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、
キャリア
液体の送達のためのキャリア
液体導管と、
キャリア
液体と混合しない機能性
液体の送達のための機能性
液体導管であって、合流領域においてキャリア
液体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア
液体の中に機能性
液体の小滴の流れが形成される機能性
液体導管と、
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管と、
冷却導管中の
液体を冷却するために操作可能な冷却器と、
冷却導管からの
液体を受容するために配置された脱溶媒和導管とを含む微小
液体デバイスであって、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口が設けられているデバイスが提供される。
【0006】
本発明のデバイスは、有益な寸法分布特性を有し、固体ビーズ中に残留する溶媒を少量しか有しない固体ビーズの製造を容易にするものである。
【0007】
機能性
液体は典型的には溶媒および溶質を含む溶液を含み、溶質は典型的にはポリマーを含む。機能性
液体の成分は、好ましくは機能性
液体の小滴が冷却導管中で冷却されると固化して固体小滴を形成するように選択される。小滴は、たとえば凍結され、またはゲルの形態であってよい。ゲルは本明細書において本発明のデバイスの中で固体として作用する(即ち、弾性変形し、回復し、
液体が流れるようには流れない)物質として定義される。ある状況においては、機能性
液体の小滴は冷却導管中で冷却されると固体を形成せず、むしろ典型的には高粘度の
液体であってもよい。
【0008】
機能性
液体の成分は前混合してもよいが、その代わりにたとえば2つの合流する導管を
用いて基板の中で混合してもよい。ポリマーは典型的には非溶媒中の溶解度が低く、一方溶媒は非溶媒と混合可能である。非溶媒の添加により典型的には溶媒が小滴から排出され、したがって固体ビーズが生成する。
【0009】
デバイスはキャリア
液体の送達のための複数のキャリア
液体導管を含んでよく、機能性
液体導管は合流領域においてキャリア
液体導管と合流し、それにより使用時に合流領域またはその下流においてキャリア
液体中で機能性
液体の小滴の流れが形成される。
【0010】
上述の導管は、個別に特定できる導管である必要はない。たとえば、冷却導管とキャリア
液体導管とは互いに合体していてもよい。
【0011】
冷却器は、伝熱材料(金属、たとえば316ステンレス鋼またはアルミニウムなど)を含む冷却体を含んでもよい。冷却体は典型的には冷却器を運転した際に冷却される。冷却体の冷却を用いて、熱伝導によって冷却導管を冷却することができる。冷却
液体の輸送のために、冷却体に冷却チャネルを設けてもよい。冷却チャネルを通る冷却
液体(典型的には冷えた
液体)の通過により、冷却体が冷却される。冷却
液体は好ましくは−50℃より低い融点を有する。冷却
液体は典型的にはデバイスの外部から冷却される。冷却
液体は任意の適切な冷却デバイス、たとえばJulabo冷却循環器によって冷却することができる。
【0012】
冷却器の冷却体に加熱器をさらに設けてもよい。そのような加熱器を用いて本体を加熱することができる。これは、デバイスのいずれの導管をも閉塞する可能性のあるいずれの凍結
液体をも解凍する際に、また非溶媒および脱溶媒和プロセスの温度を制御するために有用であろう。
【0013】
冷却体は設けなくてもよい。たとえば、冷却導管が微小
液体デバイスの基板に設けられ、その基板には冷却
液体を輸送するための冷却チャネルが設けられ、冷却導管が冷却チャネルと熱的に導通していてもよく、それにより冷却導管中の
液体が冷却チャネル中の冷却
液体によって冷却されてもよい。
【0014】
デバイスに第2の伝熱体を設け、第2の伝熱体はキャリア
液体導管および機能性
液体導管と関連していてもよい。第2の伝熱体には、キャリア
液体導管および機能性
液体導管中の
液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器を設けてもよい。
【0015】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップを設けてもよい。断熱ギャップは空気などの断熱材料を含んでもよい。ギャップは、冷却導管を冷却するために冷却器を用いた際にキャリア
液体導管および機能性
液体導管の冷却を阻止することを補助する。
【0016】
第2の伝熱体には、キャリア
液体導管に
液体を供給するためのキャリア
液体入口を設けてもよい。第2の伝熱体には、機能性
液体導管に
液体を供給するための機能性
液体入口を設けてもよい。
【0017】
デバイスは、非溶媒入口を経由して脱溶媒和導管に非溶媒を送達するための1つまたは複数の非溶媒送達導管を含むことが好ましい。
【0018】
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管が、基板中に設けられることが好ましい(たとえば、磨砕でまたはレーザーの作用で基板から材料を除去することによって)。
【0019】
キャリア
液体導管、機能性
液体導管、脱溶媒和導管および非溶媒送達導管(1つまたは複数)の1つまたは複数が基板中に設けられていることが好ましい。
【0020】
基板は冷却器の冷却部と熱的に接触していることがさらに好ましい。冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、基板は伝熱材料の本体と密接に接触していることが好ましい。
【0021】
冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、本体に
液体を非溶媒送達導管(存在する場合には)に送達するための1つまたは複数の
液体入口を設けてもよい。
【0022】
「微小
液体」という用語は当業者には一般によく理解されている。そのような微小
液体デバイスにおける導管は典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1〜0.5mmの幅を有している。導管の深さは典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0023】
種々の導管を通る
液体の流量は、とりわけ導管の断面積に依存することになる。たとえば機能性
液体導管を通る機能性
液体の流量は、典型的には約0.01〜0.2ml/hr、特に0.05〜0.2ml/hrであってよい(導管が約0.05mm×0.15mmの断面を有している場合)。たとえば機能性
液体導管を通る機能性
液体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。キャリア
液体の流量は、典型的には約1〜4ml/hr、特に2〜3ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有している場合)。キャリア
液体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。非溶媒の流量は、典型的には約0.25〜3ml/hr、特に0.5〜2ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有している場合)。非溶媒の流量は、脱溶媒和導管中において、非溶媒の体積がキャリア
液体の体積より小さく、かつ機能性
液体の冷却された小滴とキャリア
液体/非溶媒界面の間の接触の可能性が高くなることを確実にするために十分であるように選択されるのが好ましい。説明のため、いくつかの実施形態においては、流量はキャリア
液体の体積が非溶媒の体積の1〜4倍であるようにしてよい。非溶媒の流量は典型的には約10〜20ml/hrであってよい(導管が1mm×1mm〜2mm×2mmの間の断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。
【0024】
脱溶媒和導管は、冷却導管よりも大きな断面を有することが好ましい。これは脱溶媒和導管に拡大、たとえば段階的拡大を設けることによって達成することができる。比較的大きな断面の脱溶媒和導管によって、脱溶媒和導管を通る冷却小滴/形成ビーズの流速は、冷却導管を通る小滴の流れよりも遅くなる。これは選択された非溶媒が比較的ゆっくりと働く場合に有益であり、このことはより均一な寸法のビーズを保つために望ましいと考えられる。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、固体ビーズを作製する方法であって、
(i)合流領域において合流するキャリア
液体導管と機能性
液体導管とを含む微小
液体デバイスを提供するステップと、
(ii)溶媒および溶質を含む機能性
液体の層流を機能性
液体導管に沿って供給し、かつキャリア
液体の層流をキャリア
液体導管に沿って供給することによって、キャリア
液体の流れの中に機能性
液体の小滴を形成するステップと、
(iii)微小
液体デバイスの導管中の機能性
液体の小滴を冷却して冷却小滴を形成するステップと、
(iv)
液体を冷却小滴と緊密に混合して、前記溶媒を前記冷却小滴から排出し、それにより固体ビーズを形成するステップと
を含む方法が提供される。
【0026】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は典型的には十分な構造的一体性を有しているので、ステップ(iv)における
液体の添加は小滴の形状を顕著には崩壊させない。
【0027】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は、たとえば凍結し、またはゲルの形態であってよい。ゲルは本明細書において本方法の条件下で固体として作用する(即ち、弾性変形し、回復し、液体が流れるようには流れない)物質として定義される。ステップ(iii)において形成される冷却小滴は凍結していることが好ましい。
【0028】
ステップ(iii)において形成される冷却小滴は、たとえば液体の形態であってよい。そのような液体は、典型的には十分に高い粘度を有していると思われるので、ステップ(iv)において加えられる
液体は粒子の形状に実質的な変化をもたらさない。即ち固体ビーズの形状は冷却小滴の形状と実質的に同じである。
【0029】
ステップ(iv)において形成される固体ビーズは、典型的にはそれから固体ビーズが誘導される冷却小滴とほぼ同じ形状を有している。たとえば、冷却小滴は実質的に球状の形状であってよく、その場合、固体ビーズは典型的には実質的に球状の形状である。
【0030】
ステップ(iv)は微小
液体デバイスの導管の中で行ってよい。機能性
液体は、固体ビーズ中に取り込みたいターゲット材料を含んでよい。ターゲット材料はステップ(ii)において溶媒中に溶解または懸濁される材料であってよい。
【0031】
ステップ(iv)において加えられる
液体は、ターゲット材料(典型的にはポリマー)および機能性
液体の溶媒が何であるかを考慮して、非溶媒であるように選択される。典型的には
液体は、溶媒が溶解し、溶質(典型的にはポリマー)が低い溶解度を有する(たとえば実質的に不溶性である)
液体である。理論に縛られることを望むものではないが、前記
液体の添加は冷却小滴中の溶媒を
液体に溶解させ、ポリマーの「マトリックス」を含む固体セグメントを残すことが理解される。ポリマーが前記
液体に溶解するならば、成長中のビーズは崩壊するであろう。
【0032】
したがって実際上、小滴の実質的に完全な脱溶媒和により、ポリマーは典型的には沈殿し、ターゲット材料、即ち特に1つまたは複数の薬剤が組み込まれた固体ポリマーの実質的に球状のマトリックスを形成すると考えられる。適当な溶媒の選択によって、ゲル形態の固体ビーズを得ることも可能である。
【0033】
固体ビーズの形状および寸法は、前記ビーズを作製するために用いる方法に依存することになる(また、導管の寸法、種々の
液体の流量および合流の構造に大きく依存することになる)。本発明の方法によって作製されたビーズは、典型的には実質的に球状で、約0.01mm〜約2mmの平均直径を有してよい。ビーズの寸法はビーズの意図された用途に依存するであろう。たとえば固体ビーズは約0.01〜0.5mmの平均直径を有してよい。この寸法のビーズは典型的には薬学的用途のためであってよい。ビーズは0.5mm〜2mmの平均直径を有してよい。この寸法のビーズは典型的には分析に用いられてよい。
【0034】
当業者は、固体ビーズは完全に溶媒を含んでいない必要はないことを認識するであろう。
【0035】
溶質は典型的には生体適合性ポリマーなどのポリマーを含む。生体適合性ポリマーによって、薬学的活性剤(存在するならば)を患者に送達するために固体ビーズを患者に投与することが可能になる。本発明において用いることができるポリマーの例は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物および乳酸とグリコール酸とのコポリマーである。適切なポリマーのさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0013]参照)にある。ビーズが薬学的用途のためのものである場合には、ポリマーは好ましくはインビボで分解可能となるものであることが理解されよう。ビーズが分析の一部において用いられることが意図される場合には、ポリマーは水に可溶、好ましくはビーズのいかなる内容物(たとえば抗体)にも有害でない温度において水に可溶であることが好ましいと考えられ、そのような温度は典型的には25〜37℃である。
【0036】
溶媒は水混和性有機溶媒であってよく、典型的には極性非プロトン性溶媒であってよい。本発明による方法における使用のために用いられるポリマーを考慮すれば、適切な溶媒の選択は当業者にとってはありふれた事柄であろう。用いることができる溶媒の例示は、たとえばDMSO、トリアセチン、グリコフロール、PEG2000、N−メチルピロリドン、およびヘキサフルオロ−イソプロパノールである。
【0037】
ステップ(iv)において加えられる
液体中で、またはその
液体として、ポリマーに対する非溶媒である任意の
液体を用いることができる。適切な非溶媒には、たとえば水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールおよび高級アルコール;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよび高級炭化水素を含む単純炭化水素が含まれ得る。所望であれば、溶媒の混合物を用いることができる。水と混合しない適切な溶媒を含む他の溶媒も用いることができる。
【0038】
機能性
液体の溶媒および非溶媒の選択には、特に本発明の方法の間に曝されることになる温度などの条件を考慮に入れる必要があることが理解されるであろう。
【0039】
ある状況においては、溶媒は水であることが好ましいと思われる。この場合には、非溶媒は水混和性有機溶媒を含んでよい。
【0040】
機能性
液体は固体ビーズ中にカプセル化されるターゲット材料をさらに含んでもよい。ターゲット材料は機能性
液体中に粒子として組み込まれていてもよく、または溶解していてもよい。粒子の例にはコロイド(金コロイドなど)が含まれる。ターゲット材料は分析における使用のための1つまたは複数の成分を含んでもよい。ターゲット材料は薬学的活性剤を含んでもよく、または薬学的活性剤の前駆体であってもよい。薬学的活性剤は、たとえば、これだけに限らないが、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤を含む、非経口送達に適した任意の薬剤であってよい。特に制御放出非経口送達によるポリマービーズ中の薬物の送達は、たとえば水難溶性、高毒性、低吸収性特徴を有する薬物の場合に特別の利点を有するが、本発明はそのような薬剤とともに用いることに限定されるものではない。活性剤は、たとえば小分子の薬物またはポリマー性分子などのより複雑な分子であってよい。1つの有利な実施形態においては、薬学的活性剤はペプチド剤を含んでよい。「ペプチド剤」という用語には、しばしば一般に「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」と称されるポリ(アミノ酸)が含まれる。この用語にはまた、ペプチド剤アナログ、誘導体、アシル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグ化誘導体、融合タンパク質などが含まれる。本発明の方法において用いることができるペプチド剤には(これだけに限らないが)、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン、成長ホルモンおよび成長因子が含まれる。適切なペプチド剤のさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0034]〜[0040]を参照)にある。好ましい実施形態においては、薬学的活性剤はゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnHR)である。たとえば、GnRHアゴニストはリュープロライドまたはその前駆体であってよい。有利には、GnRHアゴニスト含有ビーズは、たとえばインプラント中の局所的標的送達のための投与形態で提供される。
【0041】
機能性
液体は、1つまたは複数の糖部分を含む溶質を含んでもよい。溶質は単糖、二糖、オリゴ糖または多糖を含んでもよい。溶質は糖脂質、糖タンパク質、グルコシド、アミンまたは酸などの糖誘導体を含んでもよい。溶質は糖アナログまたは模倣体(「Oligosaccharide Mimetics」、Glycoscience、H.P.WesselおよびS.D.Lucas、2079〜2112頁、2008に記載されたものなど)を含んでもよい。たとえば、グリコシド間のO原子はスペーサー基などの別の基で置換されていてもよい。機能性
液体は、ステップ(iv)において溶質の固体粒子が形成されるように十分な糖溶質を含んでもよい。
【0042】
機能性
液体は、ポリオール(2個以上のヒドロキシル基を含む化合物)を含む溶質を含んでもよい。そのようなポリオールの例は、グリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどの糖アルコールである。当業者は、糖化合物はポリオール(それらが2個以上のヒドロキシル基を含む限り)であってよいが、全てのポリオールが糖部分を含むわけではないことを理解するであろう。
【0043】
機能性
液体は、ポリオールを含む溶質と、糖部分(上述の化合物など)を含む溶質とを含んでよい。
【0044】
水溶性の糖および/またはポリオール化合物を用いることにより、酵素などの試薬のカプセル化および放出が、その三次構造への顕著な影響なく促進されることが予想される。
【0045】
機能性
液体は水溶液を含んでもよい。
【0046】
ターゲット材料は、1つまたは複数の非標識オリゴヌクレオチド、標識オリゴヌクレオチド、標識デオキシヌクレオシド三リン酸、非標識デオキシヌクレオシド三リン酸、標識オキシヌクレオシド三リン酸、非標識オキシヌクレオシド三リン酸、ポリヌクレオチドの増幅および/または合成のための酵素、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、ポリヌクレオチド、染色剤または染料および使用時に緩衝効果をもたらす化合物を含んでもよい。そのような試薬は増幅反応(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]など)において有用である。
【0047】
ターゲット材料は、抗体、抗原、標識、洗浄剤および固相の1つまたは複数を含んでもよい。そのような試薬および成分は、分析を行う際に有用である。
【0048】
ターゲット材料は、陽性内部対照を含んでもよい。陽性内部対照は、典型的には分析が適正に機能した場合に陽性の結果をもたらすものを含む。たとえば、内部陽性対照は、分析が増幅分析(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]分析など)であれば、外因性DNAの形態であってよい。
【0049】
ターゲット材料は、酵素、機能性タンパク質、粒子、RNAおよびナノ粒子(1000nm未満の最大寸法を有する粒子)を含んでよい。
【0050】
キャリア
液体は、典型的にはプロセスの間に遭遇する温度において液体のままであり、かつ機能性
液体溶媒と混合しない不活性液体ということになる。キャリア
液体は、ステップ(iv)において加えられる
液体と混合しないものでよい。用いることができると思われるキャリア
液体の例示的な例には、種々の粘度のシリコーンオイル、ミネラルオイル、トリグリセリド、およびスクアレンが含まれる。
【0051】
デバイスは、合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管を含むことが好ましい。デバイスには、冷却導管中の
液体を冷却するために操作可能な冷却器が設けられていることがさらに好ましい。
【0052】
デバイスは、冷却導管からの
液体を受容するために配置された脱溶媒和導管を含んでもよい。
【0053】
デバイスは、非溶媒を脱溶媒和導管に導入するための非溶媒入口を含んでもよい。
【0054】
上述の導管は、個別に特定できる導管である必要はない。たとえば、冷却導管とキャリア
液体導管とは互いに合体していてもよい。
【0055】
冷却器は、伝熱材料(金属、たとえば316ステンレス鋼またはアルミニウムなど)を含む本体を含んでもよい。本体は典型的には冷却器を運転した際に冷却される。本体の冷却を用いて、冷却導管を冷却することができる。冷却
液体の輸送のために、本体に冷却チャネルを設けてもよい。冷却チャネルを通る冷却
液体(典型的には冷えた液体)の通過により、本体が冷却される。冷却
液体は好ましくは−50℃より低い融点を有する。冷却
液体は典型的には、たとえば冷却デバイスによって、デバイスの外部から冷却される。
【0056】
冷却器の本体に加熱器をさらに設けてもよい。そのような加熱器を用いて本体を加熱することができる。これは、デバイスのいずれの導管をも閉塞する可能性のあるいずれの凍結液体をも解凍する際に有用であろう。
【0057】
デバイスに第2の伝熱体を設け、第2の伝熱体はキャリア
液体導管および機能性
液体導管と関連していてもよい。第2の伝熱体には、キャリア
液体導管および機能性
液体導管中の
液体の温度を調節するために操作可能な加熱器および/または冷却器を設けてもよい。
【0058】
冷却器の本体と第2の伝熱体との間に断熱ギャップを設けてもよい。断熱ギャップは空気などの断熱材料を含んでもよい。ギャップは、冷却導管を冷却するために冷却器を用いた際にキャリア
液体導管および機能性
液体導管の冷却を阻止することを補助する。
【0059】
第2の伝熱体には、キャリア
液体導管に
液体を供給するためのキャリア
液体入口を設けてもよい。第2の伝熱体には、機能性
液体導管に
液体を供給するための機能性
液体入口を設けてもよい。
【0060】
デバイスは、非溶媒入口を経由して脱溶媒和導管に非溶媒を送達するための1つまたは複数の非溶媒送達導管を含むことが好ましい。
【0061】
合流領域からの分割された流れを受容するために配置された冷却導管が、基板中に設けられることが好ましい(たとえば、磨砕でまたはレーザーの作用で基板から材料を除去することによって)。
【0062】
キャリア
液体導管、機能性
液体導管、脱溶媒和導管および非溶媒導管(1つまたは複数)の1つまたは複数が基板中に設けられていることが好ましい。
【0063】
基板は冷却器と熱的に接触していることがさらに好ましい。冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、基板は伝熱材料の本体と密接に接触していることが好ましい。
【0064】
冷却器が伝熱材料の本体を含む場合には、本体に
液体を非溶媒送達導管(存在する場合には)に送達するための1つまたは複数の
液体入口を設けてもよい。
【0065】
「微小
液体」という用語は当業者には一般によく理解されている。そのような微小
液体デバイスにおける導管は典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1〜0.5mmの幅を有している。導管の深さは典型的には2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0066】
種々の導管を通る
液体の流量は、とりわけ導管の断面積に依存することになる。たとえば機能性
液体導管を通る機能性
液体の流量は、典型的には約0.05〜0.2ml/hrであってよい(導管が約0.05mm×0.15mmの断面を有している場合)。たとえば機能性
液体導管を通る機能性
液体の流量は、典型的には約1〜20ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有している場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。キャリア
液体の流量は、典型的には約2〜3ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有する場合)。キャリア
液体の流量は、典型的には約5〜30ml/hrであってよい(導管が約2mm×2mmの断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。非溶媒の流量は、典型的には約0.5〜2ml/hrであってよい(導管が約0.3mm×0.3mmの断面を有する場合)。非溶媒の流量は典型的には約10〜20ml/hrであってよい(導管が1mm×1mm〜2mm×2mmの間の断面を有する場合)。そのような流量は、分析に用いられ得るものなどのより大きな粒子を作りたい場合に用いることができる。
【0067】
脱溶媒和導管は、冷却導管よりも大きな断面を有することが好ましい。これは脱溶媒和導管に拡大を設けることによって達成することができる。比較的大きな体積の脱溶媒和導管によって、脱溶媒和導管を通る粒子の流速は、冷却導管を通る流れよりも遅くなる。これは選択された非溶媒が比較的ゆっくりと働く場合に有益であり、このことはより均一な寸法のビーズを保つために望ましいと考えられる。
【0068】
微小
液体デバイスは、好ましくは本発明の第1の態様によるデバイスであってよい。
【0069】
合流部の構造は、当業者には既知の多くの異なった構造の1つであってよい。たとえば、EP1358931はY形状の合流部を開示し、WO0164332はT形状の合流部を開示している。
【0070】
ある状況においては、非溶媒はあまり迅速に作用すべきでないことが見出された。非溶媒が強力な非溶媒である場合には、ビーズの粒子形態が悪い方に影響され、および/または多孔性が望ましくないほどに高くなることがある。
【0071】
ある非溶媒は固体セグメント中へのターゲット材料のより良い取り込みをもたらすことが見出された。これを達成するために、非溶媒はターゲット材料の良溶媒でない方がよい。このようにすれば、非溶媒の添加はセグメントからのターゲット材料の顕著な除去を起こさない。たとえば、活性剤として酢酸リュープロライド、ビーズポリマーとしてラクチド/グリコリドポリマー、非溶媒として種々のC3〜C8アルコールを用いて、活性の約60〜95%の保持が達成された。
【0072】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様の方法によって作製された複数のビーズが提供される。
【0073】
本発明の第4の態様によれば、平均最大寸法が約0.01mm〜0.5mm(好ましくは約0.01mm〜0.2mm)であり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満(好ましくは3%未満)である複数のビーズであって、生体適合性ポリマーおよび薬学的活性剤(またはその前駆体)を含むビーズが提供される。
【0074】
本発明の第5の態様によれば、平均最大寸法が約0.5mm〜2mm(好ましくは約0.8mm〜1.5mm)であり、最大寸法の標準偏差が平均最大寸法の5%未満(好ましくは3%未満)である複数のビーズであって、分析で用いるための1つまたは複数の成分を含むビーズが提供される。ビーズは25〜37℃において水に容易に溶解することが好ましい。ビーズは水溶性糖および/またはポリオール化合物を含むことがさらに好ましい。ビーズは水溶性糖および/またはポリオール化合物のマトリックスまたは支持構造を含むことがさらに好ましい。ビーズは1つまたは複数の抗体、抗原、1つまたは複数の粒子、標識、洗浄剤および固相を含むことがさらに好ましい。そのようなビーズは分析において用いることができる。
【0075】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第3または第5の態様による複数のビーズを提供するステップを含む、分析を実施する方法が提供される。この方法は、複数のビーズをビーズ中に組み込まれる放出材料に適した液体と緊密に混合させるステップなどの他のステップを含んでもよい。そのような材料は本発明の第1から第5の態様において言及したターゲット材料であってよい。ビーズからの材料の放出は、たとえばビーズを溶解することまたは部分的に溶解することによって起こり得る。あるいは、液体をビーズに膨潤させてもよい。
【0076】
ここで本発明を、以下の図を参照して例示のためのみに説明する。