(54)【発明の名称】外殻構造を有するフェライト粒子を用いた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とフェライトキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
【0003】
こうした現像剤のうち、トナー粒子とフェライトキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
【0004】
二成分系現像剤において、フェライトキャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったフェライトキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
【0005】
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、フェライトキャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
【0006】
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるフェライトキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
【0007】
特許文献1(特開2012-230373号公報)には、少なくとも強磁性酸化鉄微粒子と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体粒子を磁性キャリア芯材として用い、その粒子表面に樹脂被覆してなる樹脂キャリアが記載されている。
【0008】
特許文献2(特開2012-58344号公報)には、多孔質フェライト粒子からなり、その組成が(MnO)
x(MgO)
y(Fe
2O
3)
zで示され、その(MnO)(MgO)及び/又は(Fe
2O
3)の一部をSrOで0.3〜4.0重量%置換したフェライトキャリア芯材、並びにその細孔に樹脂を充填した電子写真現像剤用樹脂充填型フェライトキャリアが記載されている。
【0009】
特許文献3(特開2007−34249号公報)には、原料材料粉に樹脂粒子、バインダー、分散剤、湿潤剤さらに水を加えて湿式粉砕し乾燥して造粒品を得、該造粒品を仮焼した後、焼成することで、内部に中空構造を有するキャリア芯材を製造し、該キャリア芯材へ樹脂コーティングを行って電子写真現像剤キャリアを得ることが記載されている。
【0010】
近年、トリクル現像方式を採用することでキャリア使用量は増加しているが、その一方で、現像剤のランニングコストを抑制するために現像剤やキャリアの使用量を減らす試みもなされている。
【0011】
キャリアの使用量を減らすための方法として、低い見掛け密度のキャリアを使用する方法が提案されている。同じ容積の現像機を用いる場合、見掛け密度が低ければ、キャリアの使用重量は減らすことが可能となる。
【0012】
一方、より長期間にわたり樹脂を被覆したキャリアを使用しようとすると、被覆した樹脂が現像機内部のストレスにより剥離し、画像を形成するための帯電特性や抵抗が変化してしまい、安定した画像が長期間に渡って得られなくなることが多い。
【0013】
また、省エネルギーの観点から、トナーの低温定着化が進んでいるが、低温定着化が進むことで現像機内部のストレスによりトナーがキャリアの表面に付着しやすくなり、キャリアの帯電特性が変動し、画像に悪影響を与えることが懸念される。
【0014】
これらの課題を解決するために樹脂充填系キャリアや樹脂キャリアも検討されているが、樹脂を大量に使用するため高抵抗になりやすく、キャリアの抵抗制御が難しいという問題がある。また、帯電特性も樹脂の影響を大きく受けるのでキャリアとしての使用条件は限定されやすい。
【0015】
すなわち、これらの課題を解決するため、低比重であるだけでなく、容易に帯電特性や抵抗を制御できるキャリアが求められている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、内部が多孔質構造でその外周に外殻構造(コアシェル形状)を有する。このことで低い見掛け密度を有し、さまざまな特性を制御可能な状態に維持できる。また、本発明に
用いられるフェライト粒子は、一定容積に少ない重量でフェライト粒子を満たすことができる。なお、本発明でいうフェライト粒子とは、特記しない限り個々のフェライト粒子の集合体を意味し、また単に粒子とは、個々のフェライト粒子をいう。
【0028】
ここでいう外殻構造とは、フェライト粒子を樹脂に包埋させたのち、SEMを用いて断面観察をした際に、断面SEM画像において、目視でわかる程度に外殻構造が形成されていることが必要である。より具体的には、一定範囲の厚みを持った外周部分が粒子の周囲長の80%以上を持っているものをいう。より好ましくは、外周部分の周囲長に占める割合は90%以上である。
【0029】
この外殻構造の厚さは、0.5〜10μmであることが望ましく、この範囲で所期の目的が達成できる。外殻構造の厚みが0.5μm未満では、フェライト粒子の機械的強度が弱く、キャリアとして使用する際に割れてしまい感光体ドラム傷の原因となる可能性がある。外殻構造の厚みが10μmを超えると、従来のフェライト芯材粒子と変わらないため、外殻構造を有していても所望の効果を発揮することができない。外殻構造の厚さは0.5〜8μmであることがさらに好ましく、0.5〜6.5μmであることが最も好ましい。
【0030】
この外殻構造の厚さの測定は、下記に詳述される通り、フェライト粒子を樹脂に包埋させたのち、
図2及び
図3に示されるように、SEMを用いて断面観察、及び得られた画像を画像処理することで測定することができる。
【0031】
〔外殻構造の厚さの測定〕
ここで、粒子の外殻構造の厚さの測定は下記の手順にて行う。
フェライト粒子を樹脂に包埋・成形したのち、研磨機にて断面を研磨し、金蒸着を行い断面観察用(外殻部の厚さ測定用)サンプルとした。得られたサンプルは日本電子社製JSM−6060Aを用い、加速電圧は5kVとし、SEMを200倍視野にて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介してメディアサイバネティクス社製画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)に導入して解析を行った。具体的には得られた画像のコントラストを調整後、本解析ソフトウエアのラインプロファイル機能により、画像の輝度を1粒子ごとに抽出する。この時ラインプロファイルは粒子のほぼ中心を水平方向に通過するよう直線を設定し、得られたプロファイルに存在するピークのうち、外殻部に対応するピークを2つのマーカーで挟み、このときの幅を外殻部の厚さとした。なお、上記ピークはラインプロファイルの極大値を挟む極小値と極小値として定義される。また、コントラストは包埋樹脂の部分(バックグラウンドに相当)の輝度は最大輝度の50%以下になるように調整することが好ましい。同様の操作を30粒子について同様に行い、平均値を外殻構造の厚さとした。
【0032】
また、外殻構造の外周部分の周囲長にしめる割合は、下記に詳述される通り、フェライト粒子を樹脂に包埋させたのち、
図4及び
図5に示されるように、SEMを用いて断面観察、及び得られた画像を画像処理することで測定することができる。
【0033】
〔外殻構造の外周方向の割合の測定〕
上記と同様の画像処理を行い、ラインプロファイルを円環または自由曲線(閉曲線)を1粒子ごとに粒子の外殻構造に対して設定する。このときプロファイルの最大輝度をI
最大、最小輝度をI
最小とし、最大輝度と最小輝度の差をI
Δとしたとき、I
最小以上、I
最小+I
Δ×0.2未満の範囲は外殻構造がない部分、I
最小+I
Δ×0.2以上I
最大が外殻部と判別する。したがってラインプロファイル機能で得られたラインプロファイル長(周囲長)の輝度データうち、のうち、I
最小+I
Δ×0.2以上I
最大以下となっている輝度のラインプロファイル長を積算し、ラインプロファイル長(周囲長)で割ることで、一定範囲の厚みを持った外周部分の比率を算出することで求めた。同様の操作を30粒子について同様に行い、平均値を外周部分の周囲長にしめる割合とした。
【0034】
従来のフェライト粒子の低見掛け密度化は、主として芯材粒子の多孔質化のみによって達成されるものである。この多孔質化は本焼成時の焼成条件を変更することで簡便に実施できる点を特徴としている反面、多孔質独特の細孔が表面から内部に至るまで均一に生成する。したがって、フェライトキャリアとして使用するための様々な特性制御として樹脂被覆や樹脂含浸を行った際に、表面被覆した粒子の表面に樹脂が露出するため、被覆や含浸した樹脂の影響が大きく、特性の制御が極めて難しくなる。
【0035】
一方、本発明によるフェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子の形状は一見すると従来から存在する粒状粒子であるが、外殻構造を有する部分(外殻部)と多孔質構造を有する粒子内部で粒子の密度が異なっている。より具体的な特徴として、粒子内部の密度が低いため粒子の細孔容積は大きく、かつ、外殻部の密度が高いため細孔径が大きくなっている。また、外殻構造を有しているため、従来の多孔質コアと比較して、低い見掛け密度を有している。そのため、低見掛け密度でありながらフェライト粒子の表面が露出した状態を維持したまま、粒子内部に樹脂を含浸させることができるため、従来のキャリア用コア材粒子と同様のフェライト表面を持った低比重の芯材粒子が得られる。したがって、芯材粒子内部の樹脂の影響を最小限に抑えた状態のまま、表面に対しては従来の特性制御で用いる樹脂を使用でき、キャリアの特性を容易に制御できるようになる。
【0036】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、Mgを0.5〜4重量%及びFeを63〜70重量%を含有することが望ましい。
【0037】
本発明に係るフェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子がMgを含有することによって、フェライトキャリアとフルカラー用のトナーで構成される帯電の立ち上がりが良い現像剤を得ることができる。また抵抗を高くすることができる。Mgの含有量が0.5重量%未満では、十分な含有効果が得られず、抵抗が低くなり、カブリの発生や階調性の悪化等、画質が悪化する。また、磁化が高くなりすぎるため、磁気ブラシの穂が硬くなり、はけ筋等の画像欠陥の発生原因となる。一方、Mgの含有量が4重量%を超えると、磁化が低下するためにフェライトキャリア飛散が発生するだけでなく、焼成温度が低い場合にはMgに起因する水酸基の影響で水分吸着量が大きくなり帯電量や抵抗といった電気的特性の環境依存性を悪化させる原因となる。
【0038】
本発明に係るフェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子中のFeの含有量が63重量%未満では、Mg及び/又は後述のTiの含有量が相対的に増えた場合は、非磁性成分及び/又は低磁化成分が増加することを意味しており、所望の磁気特性が得られないのみならず、表面の抵抗とフェライト粒子内部の抵抗の差が広がりすぎることで高電界側において抵抗のブレークダウンが発生し、フェライトキャリアとして使用した際に白斑やフェライトキャリア飛散の原因となる。一方、Feの含有量が70重量%を超えると、Mg含有効果は得られず実質的にマグネタイトと同等のフェライト粒子になってしまう。
【0039】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子はTiを0.5〜4.5重量%含有することが望ましい。Tiは焼成温度を下げる効果を有し、凝集粒子を減らすことができるだけでなく、均一でシワ状の表面性を得ることができる。一方、フェライト粒子中のTiの含有量が0.5重量%未満では、Tiの含有効果が得られず、BET比表面積が高くなりやすく、十分な帯電性が得られない。また、Tiの含有量が4.5重量%を超えると、磁化の立ち上がりが悪くなり、フェライトキャリア飛散の原因となる。
【0040】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子のTi含有量と外殻構造を有しないフェライト粒子のTi含有量の差、すなわち粒子表面近傍が粒子内部とのTi含有量の差は0.5〜4.5重量%であることが好ましい。
【0041】
Ti含有量の差が0.5重量%より小さい場合は、複合酸化物粒子の被覆量が少ないため被覆後フェライト芯材用粒子として十分な抵抗が得られず効果が得られない。6重量%より多い場合は磁化が低くなりやすく、フェライトキャリア飛散の原因となる可能性がある。
【0042】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子はSrを0〜1.5重量%含有することが望ましい。Srは抵抗や表面性の調整に寄与し、高磁化を保つ効果を有するだけでなく、含有することでフェライト粒子の帯電能力を高める効果も得られ、特にTi存在下ではその効果は大きい。Srの含有量が1.5重量%を超えると、残留磁化や保磁力が高くなり、現像剤として用いたとき、はけ筋等の画像欠陥が発生し、画質が低下する。
【0043】
(Fe、Mg、Ti及びSrの含有量)
これらFe、Mg、Ti及びSrの含有量は、下記によって測定される。
フェライト粒子(フェライトキャリア芯材)0.2gを秤量し、純水60mlに1Nの塩酸20ml及び1Nの硝酸20mlを加えたものを加熱し、フェライト粒子を完全溶解させた水溶液を準備し、ICP分析装置(島津製作所製ICPS−1000IV)を用いてFe、Mg、Ti及びSrの含有量を測定した。
【0044】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、5K・1000/4π・A/mの磁場をかけたときのVSM測定による磁化が55〜85Am
2/kgであることが望ましい。フェライト粒子の5K・1000/4π・A/mにおける磁化が55Am
2/g未満であると、飛散物磁化が悪化しフェライトキャリア付着による画像欠陥の原因となる。一方、フェライト粒子の5K・1000/4π・A/mにおける磁化が85Am
2/gを超えることは本発明に係るフェライトキャリア芯材の組成の範囲ではない。
【0045】
(磁気特性)
磁気特性は、振動試料型磁気測定装置(型式:VSM−C7−10A(東英工業社製))を用いて測定した。測定試料(フェライト粒子)は、内径5mm、高さ2mmのセルに詰めて上記装置にセットした。測定は、印加磁場を加え、5K・1000/4π・A/mまで掃引した。次いで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作成した。このカーブのデータより印加磁場が5K・1000/4π・A/mにおける磁化を読み取った。また、残留磁化及び保磁力も同様に算出した。
【0046】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積平均粒径が好ましくは15〜60μm、より好ましくは15〜50μm、最も好ましくは20〜50μmである。フェライト粒子の体積平均粒径が15μm未満であると、フェライトキャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。フェライト粒子の体積平均粒径が60μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。
【0047】
(体積平均粒径)
この体積平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定した。装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。屈折率は2.42とし、25±5℃、湿度55±15%の環境下で測定を行った。ここで言う体積平均粒径(メジアン径)とは、体積分布モード、ふるい下表示での累積50%粒子径である。分散媒には水を用いた。
【0048】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、BET比表面積が0.2〜1m
2/gが望ましく、0.2〜0.85m
2/gであることがさらに望ましい。
【0049】
BET比表面積が上記範囲よりも小さい場合には、樹脂被覆を行なっても十分に樹脂のアンカー効果が得られないだけでなく、被覆されなかった樹脂によってフェライト粒子同士が凝集してしまうことがある。そのため実質的な被覆樹脂量が減少し、フェライトキャリアとしての寿命が短くなったり、凝集したフェライト粒子が現像器中で解されることでフェライト粒子表面が大きく露出し、低抵抗化することでフェライトキャリア飛散が発生する原因となる。BET比表面積が上記範囲よりも大きい場合は、被覆樹脂がフェライト粒子表面にとどまらず染み込みすぎることでフェライトキャリアとして所望の抵抗と帯電量が得られないことがある。なお、BET比表面積測定を行う際、測定結果は測定サンプルであるフェライト粒子表面の水分の影響を受ける可能性があるので、可能な限りサンプル表面に付着している水分を除去するような前処理を行うことが好ましい。
【0050】
(BET比表面積)
このBET比表面積の測定は、比表面積測定装置(型式:Macsorb HM model−1208(マウンテック社製))を用いた。測定試料を比表面積測定装置専用の標準サンプルセルに約5〜7g入れ、精密天秤で正確に秤量し、測定ポートに試料(フェライト粒子)をセットし、測定を開始した。測定は1点法で行い、測定終了時に試料の重量を入力すると、BET比表面積が自動的に算出される。なお、測定前に前処理として、測定試料を薬包紙に20g程度を取り分けた後、真空乾燥機で−0.1MPaまで脱気し−0.1MPa以下に真空度が到達していることを確認した後、200℃で2時間加熱した。
環境:温度;10〜30℃、湿度;相対湿度で20〜80% 結露なし
【0051】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子は、6.5mmGap印加電圧50Vにおける電気抵抗が5×10
7〜1×10
11Ωであることが望ましい。
【0052】
6.5mmGap印加電圧50Vにおけるフェライト粒子の電気抵抗が5×10
7よりも小さい場合は抵抗が低すぎてフェライトキャリアとして使用した際に白斑が発生したりフェライトキャリア飛散する可能性がある。フェライト粒子の電気抵抗が1×10
11Ωよりも高い場合はフェライトキャリアとして使用した際にエッジが効きすぎた画像になることがある。
【0053】
(電気抵抗)
この電気抵抗は、下記によって測定される。
電極間間隔6.5mmで非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)を対向させ、その間に、試料(フェライト粒子)200mgを秤量して充填する。磁石(表面磁束密度:1500Gauss、電極に接する磁石の面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、50V、100V、250V、500V及び1000Vの電圧を印加し、それらの印加電圧における抵抗を絶縁抵抗計(SM−8210、東亜ディケーケー(株)製)にて測定した。
【0054】
このフェライト粒子の細孔容積は0.006〜0.02ml/g、ピーク細孔径は0.7〜2μmであることが望ましい。
【0055】
フェライト粒子の細孔容積が0.006ml/g未満であると、粒子内部の細孔が小さく低い見掛け密度の粒子となっていないことを意味しており、キャリアとして使用しても高寿命化は達成できない可能性がある。また、フェライト粒子の細孔容積が0.02ml/gを超えると、見掛け密度が低くなりすぎていることを意味しており、1粒子の磁性粉としての磁力が下がってしまいキャリア飛散の原因となる可能性がある。
【0056】
フェライト粒子のピーク細孔径が2μmを超えると、低い見掛け密度の粒子となっていないことを意味しており、キャリアとして使用しても高寿命化は達成できない可能性があるか、樹脂を含浸させたとしても粒子内部に浸透せず表面付近に樹脂が被覆してしまい、キャリアとして電気抵抗の調整が難しくなる可能性がある。また、フェライト粒子のピーク細孔径が0.7μm未満であると、樹脂が含浸しやすくキャリアとしての抵抗が上がりやすくなり画像濃度が確保できない可能性がある。
【0057】
このように、細孔容積とピーク細孔径が上記範囲にあることで、上記した各不具合がなく、適度に軽量化されたフェライト粒子を得ることができる。
【0058】
〔フェライト粒子の細孔径及び細孔容積〕
このフェライト粒子の細孔径及び細孔容積の測定は、次のようにして行われる。すなわち、水銀ポロシメーターPascal140とPascal240(ThermoFisher Scientific社製)を用いて測定した。ディラトメータはCD3P(粉体用)を使用し、サンプルは複数の穴を開けた市販のゼラチン製カプセルに入れて、ディラトメータ内に入れた。Pascal140で脱気後、水銀を充填し低圧領域(0〜400Kpa)を測定し、1st Runとした。次に再び脱気と低圧領域(0〜400Kpa)の測定を行い、2nd Runとした。2nd Runの後、ディラトメーターと水銀とカプセルとサンプルを合わせた重量を測定した。次にPascal240で高圧領域(0.1Mpa〜200Mpa)を測定した。この高圧部の測定で得られた水銀圧入量をもって、フェライト粒子の細孔容積、細孔径分布及びピーク細孔径を求めた。また、細孔径を求める際には水銀の表面張力を480dyn/cm、接触角を141.3°として計算した。
【0059】
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂含浸フェライトキャリア芯材は、上記フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の内部の多孔質部分に樹脂が含浸されている。樹脂含浸回数は1回のみでも良いし、2回以上の複数回樹脂含浸を行なっても良く、所望の特性に応じて樹脂含浸回数を決めることができる。また、含浸樹脂の組成、樹脂含浸量や樹脂含浸に使用する装置は樹脂含浸回数が2回以上の複数回の場合は、変化させても良いし、変えなくても良い。また、電子写真現像剤用(含浸済み)フェライトキャリア芯材はトナーとの組み合わせによっては樹脂被覆を行わずにそのままフェライトキャリアとして使用することも当然可能である。
【0060】
本発明に係る電子写真現像剤用樹脂含浸フェライトキャリア芯材の樹脂含浸量はフェライトキャリア芯材に対して4〜20重量%が望ましい。樹脂含浸量が4重量%未満では、粒子内部に十分樹脂を含浸させることができず、高電界を印加した場合絶縁破壊を起こし、白斑等の画像欠陥の原因となる可能性がある。また樹脂含浸量が20重量%を超えると、過剰な樹脂が表面にあふれてしまうため、抵抗が高くなりすぎ、画像濃度が低くなってしまう可能性がある。
【0061】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、樹脂被覆量が樹脂含浸フェライトキャリア芯材に対して0.5〜4重量%が望ましい。樹脂被覆量が0.5重量%未満ではフェライトキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また樹脂被覆量が4重量%を超えるとフェライトキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
【0062】
ここに用いられる含浸及び/又は被覆樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。本発明では、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂が最も好ましく用いられる。
【0063】
またフェライトキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、含浸及び/又は被覆樹脂中に導電剤を含有することができる。導電剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、含有量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、導電剤の含有量は、含浸及び/又は被覆樹脂の固形分に対し、0〜15重量%であり、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0〜8重量%である。導電剤としては、導電性カーボン、酸化チタンや酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
【0064】
また、上記含浸及び/又は被覆樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤、各種シランカップリング剤及び無機微粒子等が挙げられる。これは被覆層の形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。帯電制御に使用できる無機微粒子としては電気陰性度が偏った物質を用いれば良く、シリカ等を用いることが好ましい。
【0065】
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法について説明する。
【0066】
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子の製造方法は、例えば次のように行われる。
【0067】
(フェライト芯材用粒子の調製)
Fe及びMgの各化合物、さらに必要に応じてTi等の化合物を粉砕、混合、仮焼した後、ロッドミルで粉砕し、フェライト芯材用仮焼粉(粒子)とする。
【0068】
フェライト芯材用仮焼粉の好ましい組成の一例は、Fe63〜70重量%、Mg0.5〜4重量%、Ti1〜4.5重量%、Sr0〜1.5重量%である。
【0069】
上記のフェライト芯材用仮焼粉の組成範囲を満たすことでTi化合物を被覆後、電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として必要十分な各種特性を得ることが出来る。
【0070】
上記したフェライト芯材用仮焼粉を水及び必要に応じ分散剤、バインダー等を添加し、スラリーとし、粘度調整後、スプレードライヤーにて粒状化し、造粒を行い、さらに脱バインダー処理してフェライト芯材用粒子を得る。脱バインダー処理は600〜1000℃で行われる。
【0071】
上記スラリーのスラリー粒径D
50が0.5〜4.5μmであることが望ましい。スラリー粒径を上記範囲とすることによって、所望のBET比表面積を有したフェライト粒子を得ることができる。スラリー粒径D
50が0.5μm未満では、粉砕後の仮焼粉の比表面積が大きくなりすぎフェライト粒子の焼成が進みすぎることによって所望のBET比表面積を持ったフェライト粒子が得られない。4.5μmを超えると樹脂含浸及び/又は被覆した際に所望のフェライトキャリア特性が得られないだけでなく得られたフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)及び/又はフェライトキャリアの強度が悪化し、破砕されたフェライト粒子の破片が画像欠陥の原因となる可能性がある。
【0072】
スラリー粒径を上記範囲とするには、本造粒用のスラリーを調製する際に粉砕時間を制御するか、粉砕メディアを目標のスラリー粒径及び粒度分布になるように選択するか、湿式サイクロンを用いてスラリー中に存在する原料粒子を分級すればよい。湿式サイクロンを用いた場合には分級後のスラリーの固形分が異なるので再度固形分の調整が必要になるものの、短時間で目標のスラリー粒径とすることができるため、粉砕時間の制御と組み合わせて用いてもよい。
【0073】
被覆用TiO
2粒子は体積平均粒径が0.05〜3μmであることが望ましい。0.05μmよりも小さい場合にはフェライト芯材用粒子の表面に微粒子を付着させる際に被覆粒子が凝集体となりやすく、所望の被覆量でフェライト芯材粒子表面に被覆しても被覆層にムラができやすく、フェライトキャリア芯材として十分な抵抗が得られない可能性がある。3μmを超えると均一にフェライト芯材粒子に付着しにくく、本焼成後に1つのフェライトキャリア芯材粒子表面に部分的に磁化の低い領域が生成することで飛散物磁化が低下し、フェライトキャリアとして使用する際のフェライトキャリア飛散の原因となる。
【0074】
被覆用TiO
2粒子は、その体積平均粒径にもよるが、フェライト芯材用粒子に対して0.8〜7重量%であることが好ましい。0.8重量%よりも少ない場合は、本焼成後に十分な抵抗が得られない。7重量%よりも多い場合にはフェライト芯材用粒子に付着しなかったフェライト被覆用粒子同士が凝集し、低磁化粒子を形成することがあり、フェライトキャリアとして使用する際のフェライトキャリア飛散の原因となる。
【0075】
(フェライト粒子の調製)
上記のようにして得られたフェライト芯材用粒子に被覆用TiO
2粒子を添加し、混合ミルで混合し、フェライト粒子用原料とした。このフェライト粒子用原料を不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気、例えば窒素雰囲気下や酸素濃度が3体積%以下の窒素と酸素の混合ガス雰囲気下、950〜1230℃で行う。
【0076】
その後、焼成物を解砕、分級を行ってフェライト粒子を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
【0077】
このようにして、上記各特性を有する本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材として用いられるフェライト粒子が得られる。
【0078】
本焼成前のフェライト芯材用粒子の表面に微粒子を付着させた後に本焼成を行う方法については前述の通り提案されているが、乾式で帯電付与の前処理を行わない微粒子を用いて本焼成前のフェライト芯材用粒子の表面に付着させる場合、付着させる微粒子の凝集が激しくフェライト芯材用粒子に付着しにくいか、大きな凝集体として付着するため組成の偏りが大きく、本焼成後に得られたフェライト粒子の特性は決して良くない。
【0079】
本発明に係るフェライト粒子においては付着させる被覆用TiO
2粒子の表面に対して易分散性を得られるようにするため、帯電付与の表面処理を行ってもよい。帯電付与の表面処理を行うことで粒子同士の凝集が減少し、本焼成前の被覆用TiO
2粒子に付着しやすくなる。また、フェライト芯材用粒子の帯電極性と逆極性の表面処理剤を用いることで本焼成前のフェライト芯材用粒子に付着した被覆用TiO
2粒子の脱離を防止する効果が得られる。
【0080】
湿式による本焼成前のフェライト芯材用粒子に対する微粒子の表面被覆は、表面被覆を行なったフェライト粒子用原料ごと溶媒となる液体の除去が必要となるため、工程として大掛かりになるためコストがかさむ。乾式による微粒子のフェライト芯材用粒子への被覆は微粒子の表面処理のみを行えば良く、容易に行え、コストの上昇も少ないのが特徴である。
【0081】
本発明の電子写真現像剤用樹脂含浸フェライトキャリア芯材は、上記フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の細孔に上記の樹脂を含浸することで得られる。
【0082】
本発明の電子写真現像剤用フェライトキャリアは、さらにその表面に上記した樹脂を被覆するか、含浸する樹脂量を増加させることでフェライト粒子に樹脂含浸及び被覆を併せて行うことで得られる。樹脂含浸及び/又は被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により行うことができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
【0083】
樹脂をフェライトキャリア芯材に含浸及び/又は被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
【0084】
<本発明に係る電子写真用現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上述した電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなるものである。
【0085】
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
【0086】
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
【0087】
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
【0088】
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
【0089】
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
【0090】
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
【0091】
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
【0092】
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
【0093】
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
【0094】
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
【0095】
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
【0096】
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
【0097】
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
【0098】
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
【0099】
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
【0100】
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
【0101】
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0102】
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
【0103】
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しかぶりやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
【0104】
上記のように製造されたフェライトキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。フェライトキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
【0105】
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のフェライトキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
【0106】
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びフェライトキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
【0107】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0108】
[実施例1]
[フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の調製]
Fe
2O
3を86モル、MgOを12モル、TiO
20.5モル、及びSrCO
3を0.5モルとなるように秤量し、さらに、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して1.03重量%添加したものを混合、粉砕後、ローラーコンパクターでペレット化した。得られたペレットを1000℃にて酸素濃度0体積%下の窒素雰囲気下、ロータリー式の焼成炉で仮焼成を行った。これをロッドミルにて粉砕したものをフェライトキャリア芯材用仮焼粉とした。
【0109】
このフェライトキャリア芯材用仮焼粉を湿式ビーズミルで1時間粉砕し、バインダー成分としてPVAをスラリー固形分に対して1重量%となるように添加し、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2〜3ポイズになるように添加した。この際のスラリー粒径のD
50は3.259μmであった。
【0110】
このようにして得られた粉砕スラリーをスプレードライヤーにて造粒、乾燥し、酸素濃度0体積%下の窒素雰囲気下、ロータリーキルンを用いて850℃で脱バインダー処理し、フェライト芯材用粒子を得た。
【0111】
被覆用TiO
2粒子を、上記フェライト芯材用粒子に対して4重量%添加し、混合ミルで10分間混合撹拌した。得られた混合物を80メッシュの振動ふるいで凝集体をほぐし、フェライト粒子用原料とした。
【0112】
上記で得られたフェライト粒子用原料を、電気炉を用いて、酸素濃度0体積%下の窒素雰囲気下、1035℃で4時間保持し、本焼成を行なった。その後、解砕し、さらに分級してフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0113】
[実施例2]
本焼成温度を1085℃とした以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0114】
[実施例3]
本焼成温度を1000℃とした以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0115】
[実施例4]
フェライト被覆用TiO
2粒子を、フェライト芯材用粒子に対して3.5重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0116】
[実施例5]
被覆用TiO
2粒子を、フェライト芯材用粒子に対して6重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0117】
[実施例6]
Fe
2O
3を94モル、MgOを5モル、TiO
2を0.5モル及びSrCO
3を0.5モルとなるようにし、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して1.16重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0118】
[実施例7]
Fe
2O
3を79モル、MgOを20モル、TiO
2を0.5モル及びSrCO
3を0.5モルとなるようにし、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して0.87重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0119】
[実施例8]
Fe
2O
3を86モル、MgOを12モル及びSrCO
3を0.5モルとなるようにし、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して1.04重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0120】
[実施例9]
Fe
2O
3を86モル、MgOを12モル、TiO
2を2モル及びSrCO
3を0.5モルとなるようにし、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して1重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0121】
[実施例10]
Fe
2O
3を86モル、MgOを12モル及びTiO
2を0.5モルとなるようにし、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して1.03重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0122】
[実施例11]
Fe
2O
3を86モル、MgOを12モル、TiO
2を0.5モル及びSrCO
3を1.25モルとなるようにし、還元剤としてカーボンブラックを原料重量に対して1.02重量%添加した以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0123】
[実施例12]
分級する条件を変えて平均粒径を20.94μmとした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0124】
[実施例13]
分級する条件を変えて平均粒径を48.34μmとした以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0125】
[比較例1]
本焼成温度を950℃とした以外は、実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0126】
[比較例2]
本焼成温度を1150℃とした以外は、実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0127】
[比較例3]
被覆用TiO
2粒子を、フェライト芯材用粒子に対して添加しなかった以外は実施例1と同様の方法でフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を得た。
【0128】
実施例1〜13及び比較例1〜3で用いられたフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の配合割合(原料仕込量モル比)、炭素量、仮焼条件(仮焼温度及び仮焼雰囲気)、本造粒条件(スラリー粒径及びPVA添加量)、脱バインダー処理条件(処理温度及び処理雰囲気)、TiO
2混合条件(添加量及び混合条件)及び本焼成条件(本焼成温度及び本焼成雰囲気)を表1に示し、得られたフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の組成、磁気特性(磁化、残留磁化及び保磁力)及びフェライト粒子の形状(断面形状、外殻構造を有する部分が周囲長に占める割合及び外殻構造を有する部分の厚さ)を表2に示す。また、実施例1〜13及び比較例1〜4のフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の粉体特性(BET比表面積、平均粒径、見掛け密度、真比重、細孔容積及びピーク細孔径)及び6.5mmGapのブリッジ式抵抗(50V、100V、250V、500V及び1000V)を表3に示す。各測定方法は上述の通りである。また、実施例1のフェライト粒子を意図的に部分的に破壊し、外殻構造を有する部分と多孔質部分が混在した状態の電子顕微鏡(×450)を
図6に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
表2及び
図6に示されるように、実施例1〜13のフェライト粒子は、いずれも外殻構造を持ったフェライトキャリア芯材が得られた。
【0133】
これに対し、比較例1のフェライト粒子では焼成温度が低く、多孔質構造を生成したものの、外殻構造を持ったフェライト粒子は得られなかった。
【0134】
比較例2のフェライト粒子は、焼成温度が高く。外殻構造を持ったフェライト粒子とならなかった。
【0135】
比較例3のフェライト粒子は、TiO
2を添加しなかったため、外殻構造を持たないフェライト粒子となった。
【0136】
[実施例14]
実施例1で得られたフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)に100重量部に対して、アクリル樹脂(三菱レイヨン製BR−80)粉末をトルエンに溶解し、樹脂固形分を10重量%とした樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液に、帯電制御剤としてアミノシランカップリング剤(SZ−6011)を樹脂固形分100重量部に対して5重量部を添加したものを樹脂含浸溶液とした。得られた樹脂含浸溶液とフェライトキャリア芯材を万能混合攪拌機で撹拌混合し、得られた混合物を145℃設定の熱風乾燥機に2時間焼き付けを行いフェライトキャリア芯材に樹脂含浸処理を行った。その後、凝集粒子を解砕し樹脂含浸フェライトキャリアを得た。
【0137】
[実施例15]
実施例14の樹脂溶液に導電剤としてカーボンブラック(EC600JD)を樹脂固形分100重量部に対して5重量部を添加し、分散したものを樹脂含浸溶液とした以外は、実施例14と同様にして樹脂含浸フェライトキャリアを得た。
【0138】
[実施例16]
フェライトキャリア芯材100重量部に対して、アクリル樹脂を樹脂固形分として5重量部としたものを樹脂含浸溶液とした以外は、実施例15と同様にして樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0139】
[実施例17]
フェライトキャリア芯材100重量部に対して、アクリル樹脂を樹脂固形分として15重量部としたものを樹脂溶液とした以外は、実施例15と同様にして樹脂含浸フェライトキャリアを得た。
【0140】
[実施例18]
実施例16で得られた樹脂含浸フェライトキャリア(フェライト粒子)を樹脂含浸フェライトキャリア芯材とし、この樹脂含浸フェライトキャリア芯材100重量部に対して、アクリル樹脂(三菱レイヨン製BR−80)粉末をトルエンに溶解し、樹脂固形分を1重量%とした樹脂溶液を調製した。この樹脂被覆溶液とフェライトキャリア芯材を流動床コーティング装置で樹脂被覆を行い、得られた混合物を145℃設定の熱風乾燥機に2時間焼き付けを行いフェライトキャリア芯材に樹脂被覆を行った。その後、凝集粒子を解砕し樹脂被覆フェライトキャリアを得た。
【0141】
実施例14〜18のフェライトキャリアに使用したフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)、コーティング装置、樹脂条件(樹脂の種類、被覆量)、添加剤(帯電制御剤及び導電剤)及びキュア条件(温度、時間)を表4に示すと共に、粉体特性(見掛け密度、真比重、細孔容積及びピーク細孔径)、帯電量及び6.5mmGapのブリッジ式抵抗(50V、100V、250V、500V及び1000V)を表5に示す。ここにおいて、表5に示す帯電量の測定方法は下記の通りである。また、その他の各測定方法は上述の通りである。
【0142】
(フェライトキャリアの帯電量)
試料(フェライトキャリア)と、フルカラープリンターに使用されている市販の負極性トナーで平均粒径が約5.5μmのものを、トナー濃度を6.5重量%(トナー重量=3.25g、フェライトキャリア重量=46.75g)に秤量した。秤量したフェライトキャリ及びトナーを、後述の各環境下に12時間以上暴露した。その後、フェライトキャリアとトナーを50ccのガラス瓶に入れ、100rpmの回転数にて、30分間撹拌を行った。
帯電量測定装置として、直径31mm、長さ76mmの円筒形のアルミ素管(以下、スリーブ)の内側に、N極とS極を交互に合計8極の磁石(磁束密度0.1T)を配置したマグネットロールと、該スリーブと5.0mmのGapをもった円筒状の電極を、該スリーブの外周に配置した。
このスリーブ上に、現像剤0.5gを均一に付着させた後、外側のアルミ素管は固定したまま、内側のマグネットロールを100rpmで回転させながら、外側の電極とスリーブ間に、直流電圧2000Vを60秒間印加し、トナーを外側の電極に移行させた。このとき、円筒状の電極にはエレクトロメーター(KEITHLEY社製 絶縁抵抗計model6517A)をつなぎ、移行したトナーの電荷量を測定した。
60秒経過後、印加していた電圧を切り、マグネットロールの回転を止めた後、外側の電極を取り外し、電極に移行したトナーの重量を測定した。
測定された電荷量と移行したトナー重量から、帯電量を計算した。
【0143】
ここで各環境下の条件は次の通りである。
常温常湿(N/N)環境=温度20〜25℃、相対湿度50〜60%
低温低湿(L/L)環境=温度10〜15℃、相対湿度10〜15%
高温高湿(H/H)環境=温度30〜35℃、相対湿度80〜85%
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】
表5の結果から明らかなように、実施例14〜18のフェライトキャリアは、各環境下での帯電性が良好であり、また抵抗も良好であった。
【課題】低い見掛け密度を有し、さまざまな特性を制御可能な状態に維持し、一定容積に少ない重量で満たすことが可能なフェライト粒子、該フェライト粒子を用いた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供する。
【解決手段】内部が多孔質構造であり、その外周に外殻構造を有することを特徴とするフェライト粒子、該フェライト粒子を用いた電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を採用する。