(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。なお、図中の矢印Xで示す前後方向Xと、図中の矢印Yで示す左右方向Yと、図中の矢印Zで示す上下方向Zとは、互いに直交する方向である。
【0016】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト1(以下、「フォークリフト1」)は、車両本体10、車両本体10に設けられた走行装置20、前方に向けて延びるフォーク31、フォーク31を昇降させる昇降装置40、およびカメラ51等を備える自動走行車両である。
【0017】
車両本体10には、フォークリフト1を運転するオペレータ(図示略)が搭乗する搭乗部11、前方に向けて張り出したストラドルレッグ12、およびオペレータによって操作されるステアリングハンドル13等が設けられている。車両本体10は、走行装置20が動作することによって、昇降装置40等とともに路面上を走行する。
【0018】
走行装置20は、ストラドルレッグ12に設けられた従動輪である前輪21、駆動輪かつ操舵輪である後輪22、後輪22を駆動させる駆動機構(図示略)、および後輪22の舵角を変える操舵機構(図示略)等によって構成されている。走行装置20が操舵機構で後輪22の舵角を変えることによって、車両本体10が走行する方向は変化する。
【0019】
昇降装置40は、車両本体10の前方に設けられており、マスト41およびリフトブラケット42等により構成されている。マスト41は、上下方向Zに伸縮可能に構成されている。フォーク31が取り付けられるリフトブラケット42は、マスト41に沿って上下方向Zに移動可能に構成されている。
【0020】
フォークリフト1は、ステアリングハンドル13の操作に応じて車両本体10が走行する手動走行モードと、ステアリングハンドル13が操作されることなく車両本体10が走行する画像誘導方式の自動走行モードとを有する。自動走行モードでは、路面に設けられた誘導ラインL(
図3参照)に沿って車両本体10が自動走行を行うために、カメラ51が誘導ラインLを撮像する。
【0021】
カメラ51は、マスト41の下端部に設けられており、カラー撮影可能な二次元イメージセンサによって構成されている。カメラ51は、図中の一点鎖線Rで示す所定の撮像範囲Rをカラーで撮像することによって、車両本体10の前方において前後方向Xに並んで位置する2つの所定の領域S1,S2を撮像する。すなわち、カメラ51によって撮像される画像には、第1領域S1の画像および第2領域S2の画像が含まれる。2つの領域S1,S2のうち、第1領域S1は車両本体10の遠くに位置し、第2領域S2は車両本体10の近くに位置する。第2領域S2の幅W2は、第1領域S1の幅W1に比べて小さい。第1領域S1と第2領域S2は、所定の間隔をあけて隣り合っている。
【0022】
また、
図2に示すように、フォークリフト1は、車両本体10が自動走行を行うために、所定領域抽出部52、ライン抽出部53、制御部54、および記憶部55を備えている。これらの各部52〜55は集積回路によって構成されている。
【0023】
所定領域抽出部52は、カメラ51で撮像された画像に対して所定領域抽出処理を行う画像処理回路によって構成されている。所定領域抽出部52は、所定領域抽出処理を行うことによって、カメラ51によって撮像された画像から、領域S1,S2(
図1参照)の画像を抽出する。
【0024】
ライン抽出部53は、所定領域抽出部52で抽出された領域S1,S2の画像の各々に対してライン抽出処理を行う画像処理回路によって構成されている。ライン抽出部53は、ライン抽出処理を行うことによって、所定領域抽出部52によって抽出された領域S1,S2の画像の各々から、誘導ラインL(
図3参照)を抽出する。
【0025】
制御部54は、ライン抽出部53によって抽出された誘導ラインLに基づいて、車両本体10の走行態様を制御する。制御部54が走行装置20を制御することによって、車両本体10の走行態様が制御される。制御部54は、偏差量算出部54Aと偏差角度算出部54Bと目標舵角算出部54Cとを備えており、これらの各部54A〜54Cは演算回路によって構成されている。
【0026】
記憶部55は、演算回路が実行する処理に必要な情報を記憶する不揮発性のメモリによって構成されている。記憶部55には、第1領域S1から第2領域S2までの距離に係る情報等が記憶されている。
【0027】
図3を参照して、制御部54の各部54A〜54Cの動作について説明する。
図3(A)〜(C)は、カメラ51によって撮像される誘導ラインLを示しており、図中の一点鎖線Aは、車両本体10の前後方向Xに平行な所定の基準線Aである。
図3(A)は、誘導ラインLが前方に向かうにつれて左方に曲がっている状態を示しており、
図3(B)は、基準線Aの右方から左方に向けて誘導ラインLが直線状に延びている状態を示している。
図3(C)は、
図3(A)の誘導ラインLの一部が汚損されている状態を示しており、図中の領域Bは、汚損によって誘導ラインLが抽出困難な領域を示している。
【0028】
偏差量算出部54Aは、基準線Aから誘導ラインLが偏った度合いを示す偏差量X1,X2を算出する。本実施形態の偏差量算出部54Aは、第1偏差量算出処理を行うことによって、第1領域S1に含まれる誘導ラインLの偏差量を第1偏差量X1として算出し、第2偏差量算出処理を行うことによって、第2領域S2に含まれる誘導ラインLの偏差量を第2偏差量X2として算出する。偏差量X1,X2は、誘導ラインLが基準線Aに対して右方へ偏っている場合には正の数によって表され、誘導ラインLが基準線Aに対して左方へ偏っている場合には負の数によって表される。基準線Aから誘導ラインLが離れるほど偏差量X1,X2の絶対値は大きい。
【0029】
偏差角度算出部54Bは、偏差角度算出処理を行うことによって、第1領域S1から第2領域S2までの距離に係る情報と第1偏差量X1と第2偏差量X2とに基づいて、誘導ラインLの傾き度合いを示す偏差角度θを算出する。真っ直ぐ延びる基準線Aに誘導ラインLが重なるとき偏差角度θは90°であり、基準線Aに対して誘導ラインLが大きく傾くにつれて偏差角度θは0°に近づく。
【0030】
目標舵角算出部54Cは、目標舵角算出処理を行うことによって、第1偏差量X1と第2偏差量X2と偏差角度θとに基づいて、後輪22の目標舵角を算出する。
図3(A)および(C)に示すように、第1偏差量X1が負の数かつ第2偏差量X2が負の数であるときは、車両本体10が左方に曲がるための目標舵角が算出されるとともに、偏差角度θが0°に近いほど車両本体10が左方に大きく曲がるように目標舵角が算出される。また、第1偏差量X1が正の数かつ第2偏差量X2が正の数であるときは、車両本体10が右方に曲がるための目標舵角が算出されるとともに、偏差角度θが0°に近いほど車両本体10が右方に大きく曲がるように目標舵角が算出される。また、
図3(B)に示すように、第1偏差量X1が負の数かつ第2偏差量X2が正の数であるときは、車両本体10が右方に曲がるための目標舵角が算出される。第1偏差量X1が正の数かつ第2偏差量X2が負の数であるときは、車両本体10が左方に曲がるための目標舵角が算出される。
【0031】
以上のように制御部54は、誘導ラインLを含む2つの領域S1,S2をカメラ51で撮像して、偏差量X1,X2および偏差角度θを算出する。そして、制御部54は、偏差量X1,X2および偏差角度θに基づいて、後輪22の目標舵角を算出し、算出された目標舵角に基づいて、走行装置20の操舵機構を制御する。すなわち、制御部54は、偏差量X1,X2および偏差角度θに基づいて車両本体10の走行態様を制御する。
【0032】
図4を参照して、所定領域抽出処理、ライン抽出処理、第1偏差量算出処理、第2偏差量算出処理、および偏差角度算出処理について詳しく説明する。
図4は、カメラ51で撮像された画像の一例を示す模式図である。
図4に示す画像は、カメラ51で撮像された画像に対して射影変換が施された後の画像であって、前方に向かうにつれて左方に曲がる誘導ラインLの平行投影図である。
【0033】
所定領域抽出処理では、カメラ51で撮像された画像から、誘導ラインLを含む第1領域S1と第2領域S2とが抽出される。すなわち、所定領域抽出部52は、カメラ51で撮像された画像の全体のうち、第1領域S1が映った一部分を第1領域画像として抽出するとともに、第2領域S2が映った一部分を第2領域画像として抽出する。本実施形態では、第2領域画像の幅方向Wにおけるピクセル数は、第1領域画像の幅方向Wにおけるピクセル数よりも小さい。
【0034】
ライン抽出処理では、第1領域画像および第2領域画像の各々から、路面と誘導ラインLとの境界が明瞭となる二値化された画像が生成されることによって、誘導ラインLが抽出される。すなわち、ライン抽出部53は、二値化後の第1領域画像および第2領域画像に含まれる誘導ラインLの形状に基づいて、第1領域画像および第2領域画像から誘導ラインLを抽出する。
【0035】
第1偏差量算出処理では、まず、第1領域画像に含まれる誘導ラインLの中心線L1が算出される。第1領域画像において誘導ラインLの全部が抽出できなかった場合には、誘導ラインLの抽出された一部分の中心線L1が算出される。次いで、x1軸およびy1軸の座標軸を有する直交座標系(以下、「座標系C1」)において、中心線L1上の複数の点p1〜pn(nは2以上の整数)の座標が算出される。y1軸は、基準線Aと一致している。そして、第1偏差量X1として、点p1〜pnのx1座標の平均が算出される。図中の点Pは、点p1〜pnに基づいて算出される平均座標を示しており、点Pのx1座標は点p1〜pnのx1座標の相加平均であって、点Pのy1座標は点p1〜pnのy1座標の相加平均である。
【0036】
第2偏差量算出処理では、まず、第2領域画像に含まれる誘導ラインLの中心線L2が算出される。第2領域画像において誘導ラインLの全部が抽出できなかった場合には、誘導ラインLの抽出された一部分の中心線L2が算出される。次いで、x2軸およびy2軸の座標軸を有する直交座標系(以下、「座標系C2」)において、中心線L2上の複数の点q1〜qn(nは2以上の整数)の座標が算出される。y2軸は、基準線Aと一致している。そして、第2偏差量X2として、点q1〜qnのx2座標の平均が算出される。図中の点Qは、点q1〜qnに基づいて算出される平均座標を示しており、点Qのx2座標は点q1〜qnのx2座標の相加平均であって、点Qのy2座標は点q1〜qnのy2座標の相加平均である。
【0037】
偏差角度算出処理では、領域S1,S2間の距離Dと、点Pの座標と、点Qの座標とに基づいて、偏差角度θが算出される。距離Dは、第1領域S1から第2領域S2までの距離であって、座標系C1の原点O1と座標系C2の原点O2との間隔を表す。点Pのx1座標を「Px」とし、点Pのy1座標を「Py」とし、点Qのx2座標を「Qx」とし、点Qのy2座標を「Qy」としたとき、偏差角度θは、下記数式(1)から算出される。
【数1】
すなわち、偏差角度θは、点Pおよび点Qを通る近似直線LAと、幅方向W(車両本体1の左右方向Y)に延びる直線とのなす角度である。点Pがx1軸上に位置し、かつ、点Qがx2軸上に位置するときは、偏差角度θは、「tan
−1(D/|X1−X2|)」である。
【0038】
図3および
図5を参照して、本実施形態に係る車両本体10の自動走行を説明する。
図5(A)のカメラ51は、
図3(A)に示す誘導ラインLを撮像し、
図5(B)のカメラ51は、
図3(B)に示す誘導ラインLを撮像し、
図5(C)のカメラ51は、
図3(C)に示す誘導ラインLを撮像する。
【0039】
図3(A)では、第1領域S1の画像から抽出される誘導ラインLが基準線Aに対して左方へ偏っており、かつ、第2領域S2の画像から抽出される誘導ラインLが基準線Aに対して左方へ偏っている。この場合、誘導ラインLが左方へ曲がっていくことが推測されるため、車両本体10が左方に曲がるための目標舵角が算出される。したがって、
図5(A)の車両本体10は、図中の矢印E1で示すように、左方に曲がることによって誘導ラインLに沿って走行する。
【0040】
図3(B)では、第1領域S1の画像から抽出される誘導ラインLが基準線Aに対して左方へ偏っており、かつ、第2領域S2の画像から抽出される誘導ラインLが基準線Aに対して右方へ偏っている。この場合、誘導ラインLが車両本体10よりも右方の位置に存在することが推測されるため、誘導ラインL上にカメラ51を移動させることを目的として、車両本体10が右方に曲がるための目標舵角が算出される。したがって、
図5(B)の車両本体10は、図中の矢印E2で示すように、右方に曲がった後に左方に曲がることによって誘導ラインLに沿って走行する。
【0041】
図3(C)では、第1領域S1の画像から抽出される誘導ラインLが基準線Aに対して左方へ偏っており、かつ、第2領域S2の画像から抽出される誘導ラインLが基準線Aに対して左方へ偏っている。この場合、誘導ラインLが左方へ曲がっていくことが推測されるため、車両本体10が左方に曲がるための目標舵角が算出される。したがって、
図5(C)の車両本体10は、誘導ラインLに汚損が生じている場合であっても、図中の矢印E3で示すように、左方に曲がることによって誘導ラインLに沿って走行する。すなわち、下記比較例に比べて、フォークリフト1は誘導ラインLに対して滑らかに走行する。
【0042】
図6および
図7を参照して、比較例に係る自動走行車両101(
図7参照)を説明する。自動走行車両101は、車両本体110(
図7参照)およびカメラ151等を備えている。カメラ151は、撮像範囲Rを撮像することによって、車両本体110の前方に位置する所定の領域S101を撮像する。自動走行車両101は、領域S101の画像から抽出される誘導ラインLに基づいて、誘導ラインLに近似する近似直線LAを算出し、次いで、近似直線LAと所定の横基準線A2との交点Tを算出する。領域S101に含まれる誘導ラインLが湾曲していない場合は、近似直線LAは誘導ラインLに一致する。横基準線A2は、車両本体110の左右方向Yに平行な仮想線である。そして、自動走行車両101は、車両本体110の前後方向Xに平行な所定の縦基準線A1から誘導ラインLが偏った度合いを示す偏差量X101を算出する。偏差量X101は、縦基準線A1から交点Tまでの距離である。交点Tが縦基準線A1よりも右方に位置する場合は、車両本体110は右方に曲がり、交点Tが縦基準線A1よりも左方に位置する場合は、車両本体110は左方に曲がる。
【0043】
図7(A)のカメラ151は、
図6(A)に示す誘導ラインLを撮像し、
図7(B)のカメラ151は、
図6(B)に示す誘導ラインLを撮像し、
図7(C)のカメラ151は、
図6(C)に示す誘導ラインLを撮像する。
図6(C)は、
図6(A)の誘導ラインLの一部が汚損されている状態を示している。
図6(A)では、交点Tが縦基準線A1よりも左方に位置するため、
図7(A)の車両本体110は、図中の矢印F1で示すように、左方に曲がることによって誘導ラインLに沿って走行する。
図6(B)では、交点Tが縦基準線A1よりも右方に位置するため、
図7(B)の車両本体110は、図中の矢印F2で示すように、誘導ラインL上にカメラ151を移動させることを目的として右方に曲がった後、左方に曲がることによって誘導ラインLに沿って走行する。
図6(C)では、交点Tが縦基準線A1よりも左方に位置するため、
図7(C)の車両本体110は、図中の矢印F3で示すように、
図7(B)と同様に右方に曲がり、汚損が少ない誘導ラインLが抽出されたときに左方に曲がる。したがって、誘導ラインLの汚損に起因して、自動走行時に車両本体110がふらつく。
【0044】
本実施形態の自動走行車両においては以下の効果が得られる。
(1)自動走行車両(フォークリフト1)は、誘導ラインLを含む所定の撮像範囲Rを撮像するカメラ51と、カメラ51によって撮像された画像から誘導ラインLを含む領域S1,S2の画像を抽出する所定領域抽出部52と、所定領域抽出部52によって抽出された領域S1,S2の画像の各々から誘導ラインLを抽出するライン抽出部53と、領域S1,S2の画像の各々から抽出された誘導ラインLに基づいて車両本体10の走行態様を制御する制御部54とを備える。この構成によれば、例えば、カメラ51によって撮像される1つの領域S1において誘導ラインLを精度良く抽出することができない場合であっても、他の領域S2において誘導ラインLを適切に抽出することによって、誘導ラインLの検出精度を高めることができる。このため、誘導ラインLに汚損が生じている場合であっても、2つの領域S1,S2に含まれる誘導ラインLに基づいて車両本体10の走行態様を制御することによって、自動走行に対する誘導ラインLの汚損の影響を小さくすることが可能である。また、前後方向Xにおいて並んで位置する2つの領域S1,S2は、1つのカメラ51によって撮像された画像から抽出することが可能であるため、複数のカメラ(不図示)を用いて2つの領域S1,S2を抽出する構成に比べて、自動走行車両の構成を簡素化することが可能である。さらに、所定領域抽出部52によって抽出された領域S1,S2の画像の各々から誘導ラインLが抽出されるため、カメラ51によって撮像された画像の全体から誘導ラインLが抽出される構成に比べて、画像から誘導ラインLを抽出するための負荷を低減することができる。
【0045】
(2)制御部54は、基準線Aからの誘導ラインLの偏差量X1,X2を算出する偏差量算出部54Aを備え、算出された偏差量X1,X2に基づいて車両本体10の走行態様を制御する。この構成によれば、誘導ラインLの偏差量X1,X2を算出することによって、車両本体10が前方に直進した場合において誘導ラインLから基準線Aがずれる度合いを予測することができ、偏差量X1,X2が小さくなるように車両本体10の走行態様を制御することによって、誘導ラインLに対する基準線Aのずれを小さくすることが可能である。
【0046】
(3)制御部54は、誘導ラインLの偏差角度θを算出する偏差角度算出部54Bをさらに備え、算出された偏差角度θと第1偏差量X1と第2偏差量X2とに基づいて車両本体10の走行態様を制御する。この構成によれば、誘導ラインLの偏差角度θを算出することによって、車両本体10の前方における誘導ラインLの傾き度合いを予測することができ、誘導ラインLの偏差角度θと第1偏差量X1と第2偏差量X2とに応じて車両本体10の走行態様が制御されることによって、自動走行時の車両本体10のふらつきを小さくすることが可能である。
【0047】
(4)第1偏差量X1は、第1領域S1に含まれる誘導ラインL上の複数の点p1〜pnと基準線Aとの距離に基づいて算出される。この構成によれば、誘導ラインL上の任意の一点と基準線Aとの距離が第1偏差量X1として算出される構成に比べて、第1領域S1における誘導ラインLの態様を第1偏差量X1により反映させることが可能である。
【0048】
(5)第2偏差量X2は、第2領域S2に含まれる誘導ラインL上の複数の点q1〜qnと基準線Aとの距離に基づいて算出される。この構成によれば、誘導ラインL上の任意の一点と基準線Aとの距離が第2偏差量X2として算出される構成に比べて、第2領域S2における誘導ラインLの態様を第2偏差量X2により反映させることが可能である。
【0049】
(6)所定領域抽出部52によって画像が抽出される2つの領域S1,S2の画像のうち、車両本体10の近くに位置する第2領域S2の幅W2は、車両本体10の遠くに位置する第1領域S1の幅W1に比べて小さい。この構成によれば、車両本体10の近くに位置する第2領域S2の幅W2が車両本体10の遠くに位置する領域S1の幅W1と同じである構成に比べて、誘導ラインLが抽出される対象領域を小さくすることができ、誘導ラインLを抽出するための負荷を低減することができる。また、第1領域S1の幅W1が第2領域S2の幅W2に比べて小さい構成と比べて、前方に向かうにつれて誘導ラインLが基準線Aから大きく離れている場合においても第1領域S1に誘導ラインLが含まれ易くなる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0051】
・第2領域S2の幅W2および第1領域S1の幅W1を適宜変更してもよく、例えば、第2領域S2の幅W2が第1領域S1の幅W1と同じであってもよい。また、第1領域S1と第2領域S2とが部分的に重複していてもよい。すなわち、第1領域S1の一部と第2領域S2の一部が重複していてもよい。また、第1領域S1と第2領域S2が間隔をあけずに隣り合っていてもよい。
【0052】
・第1偏差量X1の算出方法、第2偏差量X2の算出方法、および偏差角度θの算出方法を適宜変更してもよい。また、ライン抽出部53によって抽出された誘導ラインLに基づいて車両本体10の走行態様を制御することができるのであれば、偏差量X1,X2および偏差角度θを算出することなく車両本体10の走行態様が制御されてもよい。
【0053】
・車両本体10の走行態様の制御方法を適宜変更してもよい。例えば、後輪22の舵角を変えることなく、右側の前輪21または左側の前輪21を制動することによって、車両本体10が走行する方向を変化させてもよい。
【0054】
・カメラ51で撮像された画像から3つ以上の所定の領域の画像を抽出する構成であってもよい。すなわち、カメラ51によって画像として撮像される領域の数は、2つに限られず、少なくとも2つであればよい。また、カメラ51の配置を適宜変更してもよい。
【0055】
・フォークリフト1は、カメラ51だけでなく、車両本体10の後方において前後方向Xに並んで位置する2つの所定の領域を撮像するカメラ(図示略)を備えていてもよい。この構成によれば、車両本体10の後進時においても、車両本体10の前進時と同様の自動走行を行うことができる。
【0056】
・本発明は、リーチ式のフォークリフト1に限られず、他の自動走行車両(カウンタバランス式のフォークリフトまたは無人搬送車等)に適用してもよい。
【課題】簡素な構成で自動走行に対する誘導ラインの汚損の影響を小さくすることが可能であって、画像から誘導ラインを抽出するための負荷が小さい自動走行車両を提供する。
【解決手段】路面に設けられた誘導ラインに沿って自動走行が可能な車両本体を備えるフォークリフト1は、誘導ラインを含む所定の撮像範囲を撮像するカメラ51と、カメラ51によって撮像された画像から、誘導ラインを含むとともに車両本体の前方において前後方向に並んで位置する2つの領域の画像を抽出する所定領域抽出部52と、所定領域抽出部52によって抽出された領域の画像の各々から誘導ラインを抽出するライン抽出部53と、前記領域の画像の各々から抽出された誘導ラインに基づいて、車両本体の走行態様を制御する制御部54とを備える。