(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上死点側の磁極の極性が等しくなり、かつ該上死点側の上極面が同じ方向を向くように配置した第1のピストン磁石部材および第2のピストン磁石部材と、該第1、第2のピストン磁石部材それぞれの下死点側に接続された第1のコンロッドおよび第2のコンロッドと、該第1、第2のコンロッドが接続されたクランクシャフトとを有し、
前記第1、第2のピストン磁石部材をそれぞれ外側から保持し、かつそのそれぞれを往復移動の全行程に渡って案内する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、
前記第1、第2のピストン磁石部材それぞれの前記上極面から一定間隔を置いた位置に固定され、かつ前記上極面の磁極と等しい極性を備えた固定極面が、前記第1、第2のピストン磁石部材それぞれの前記上極面に対向するように配置されている第1の固定磁石部材および第2の固定磁石部材と、
前記第1、第2のピストン磁石部材の前記上極面と前記第1、第2の固定磁石部材の前記固定極面との間に配置され、前記第1、第2のピストン磁石部材双方の前記上極面と対峙する減磁回転板を備えた減磁部材とを有し、
前記減磁回転板は、前記上極面と対峙する下表面および前記固定極面と対峙する上表面の双方に、前記第1、第2のピストン磁石部材の磁極よりも弱く、前記上極面と極性の異なる磁力を備えた減磁磁石部と、該減磁磁石部に隣接して形成された磁力の存在しない無磁力部とを有し、かつ該無磁力部が前記第1、第2のピストン磁石部材のいずれか一方だけに対峙するように形成され、
前記第1、第2のピストン磁石部材それぞれの前記上極面と、前記第1、第2の固定磁石部材それぞれの前記固定極面とにおいて、前記クランクシャフトの回転する回転方向に沿った最も後側の最後部間隔を他の部分の間隔よりも広くして、該最後部における前記上極面と前記固定極面との反発しあう反発力が前記他の部分における反発力よりも小さくなるようにした反発力不均一構造を有し、
前記第1、第2のピストン磁石部材の往復運動が継続的になるように前記クランクシャフトに動力を供給する補助電動機を更に有する回転動力生成装置。
前記減磁磁石部は、磁力の最も強い強減磁部と、磁力の最も弱い弱減磁部と、該強減磁部と弱減磁部の中間の磁力を備えた中減磁部とを有し、かつ前記減磁回転板の回転方向に沿って、該強減磁部、中減磁部および弱減磁部が順に配置されることによって、前記磁力が周方向に沿って漸次強くなるように変化する磁力変化構造を有し、
前記強減磁部と、前記無磁力部とがそれぞれ前記第1、第2のピストン磁石部材のいずれか一方に対峙するように、前記減磁回転板が形成されている請求項1記載の回転動力生成装置。
前記第1、第2のガイド部材は、内側と外側をつなぐ間隙部が前記第1、第2のピストン磁石部材が往復移動する全範囲に渡って形成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の回転動力生成装置。
前記第1、第2のピストン磁石部材は、それぞれ前記第1、第2のガイド部材の内側に納まる大きさの保持ケースと、該保持ケースの内側に隙間なく嵌合する永久磁石とを有し、前記第1、第2の固定磁石部材は、それぞれ前記保持ケースと同等の大きさを備えた固定用保持ケースと、該固定用保持ケースの内側に隙間なく嵌合する永久磁石とを有し、前記第1、第2の固定磁石部材は、前記固定用保持ケースの取付け状態を調整する調整部材を用いて固定されている請求項1〜5のいずれか一項記載の回転動力生成装置。
前記第1、第2のガイド部材と、前記第1、第2のピストン磁石部材と、前記第1、第2の固定磁石部材と、前記第1、第2のコンロッドと、前記減磁部材と、前記クランクシャフトとをそれぞれ有する第1のエンジン部および第2のエンジン部を有し、
該第1のエンジン部における前記クランクシャフトと、該第2のエンジン部における前記クランクシャフトとが、該第1、第2のエンジン部に共通する一本の共通クランクシャフトによって構成されている請求項1〜6のいずれか一項記載の回転動力生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、従来、磁石の反発力または吸引力を利用してシリンダの中でピストン磁石を往復させ、その往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するようにした動力装置が知られていた。
【0008】
ところで、この種の動力装置から有効な回転運動を得るためには、クランクシャフトの回転運動が継続的な運動でなければならない。そのためには、ピストン磁石をシリンダの中で繰り返し往復させなければならない。
【0009】
しかし、前述した各特許文献に開示されている動力装置には次のような課題があった。
【0010】
まず、特許文献1に開示されている動力装置の場合、シリンダ300の中にピストン磁石301、コンロッド303、クランクシャフト304がすべて納められていたため、ピストン磁石301と固定磁石302との反発力を上死点側、下死点側の双方から同じように作用させることが不可能であった。そのため、ピストン磁石301が上死点側の固定磁石302による反発力を受けて下死点側に移動しても、ピストン磁石301がそれと同じような反発力を受けて上死点側に戻ることはなかった。したがって、ピストン磁石301が往復しないため、連続的な回転動力を得ることが不可能であった。
【0011】
また、特許文献2に開示されている動力装置の場合、
図25(b)に示すように2つの半円板状磁石403a,403bを組み合わることによって円板状磁石403が形成されていたが、各半円板状磁石403a,403bは、円板状磁石403の同じ側の面に異なる極性が配置されていた。そして、その円板状磁石403を回転させることによって、反発力と吸引力を交互に作用させ、ピストン磁石401を遠ざけることと接近させることとを繰りかえそうとしていた。
【0012】
しかし、例えば一方の半円板状磁石403aからピストン磁石401に反発力が作用しているときでも、ピストン磁石401にはもう一方の半円板状磁石403bから吸引力が作用するため、ピストン磁石401には反発力と吸引力の双方が同時に作用する。そして、ピストン磁石401が反発力によって円板状磁石403から遠ざかると、ピストン磁石401と円板状磁石403との間隔が広がるため、ピストン磁石401を元の位置に戻すには、吸引力を反発力よりも強くしなければならない。
【0013】
しかし、そうすると、今度はピストン磁石401を遠ざけるのにその吸引力に打ち勝てるだけの反発力が必要とされてしまう。結局、円板状磁石403の回転によってピストン磁石401を往復させることはできないから、連続的な回転動力を得ることが不可能である。
【0014】
また、特許文献3に開示されている動力伝達機構は、回転板504に固定した磁石503,503をピストン磁石501,501に交代で近づけて、ピストン磁石501,501に作用する磁石の極性を変えることにより、ピストン磁石501,501に反発力と吸引力を交互に作用させようとしていた。
【0015】
しかし、この動力伝達機構でも、いったん遠ざけたピストン磁石501,501を元の位置に戻すには、反発力よりも強い吸引力を作用させねばならない。しかも、一方の磁石503によって一方のピストン磁石501が吸引されているときに、極性の異なるもう一方の磁石503がそのピストン磁石501を遠ざけようとするため、磁石503,503による反発力と吸引力が拮抗するおそれがある。そのため、ピストン磁石501,501の往復運動を継続させることが困難である。
【0016】
一方、特許文献4には、同極同士を対向させているピストン磁石と固定磁石との間への鉄板の挟み込みと引き抜きとを繰り返すことによって、ピストン磁石を遠ざけたり近づけたりしようとする装置が開示されていた。
【0017】
しかし、ピストン磁石と固定磁石との間に鉄板を挟み込むと、その鉄板がピストン磁石、固定磁石双方に吸引されるため、鉄板を引き抜くことが困難になる。その上、鉄板は強磁性体であるから、ピストン磁石と固定磁石との間に鉄板を挟み込んでも、磁力を遮断することはできない。これでは、ピストン磁石を往復させることはできない
【0018】
しかも、ピストン磁石と、固定磁石の互いに向かい合う面(対向面)が平行に設定されていたため、次のような課題が解決されていなかった。
【0019】
一般に、永久磁石から出る磁力線は
図27に示すようなループ状を描いている。そのため、
図28に示すように、固定磁石601と、ピストン磁石602の同極(
図28では、N極)の対向面601a,602aが平行に対向していると、図に示したX方向とY方向とに大きさの同じ反発力が作用する。そして、ピストン磁石602は回転するクランクシャフトに接続されているため、固定磁石601に最も接近した位置から離れるとき、その対向面602aが対向面601aに沿ってごく僅か平行に移動するように動く。
【0020】
そして、対向面601a、対向面602aが平行のまま接近すると、反発力は、固定磁石601とピストン磁石602の両者を中心軸方向に沿って遠ざけようとする方向には作用するものの、対向面602aが対向面601aに沿って平行に移動するような方向には作用しにくい。したがって、ピストン磁石602が固定磁石601から遠ざかろうとする運動に対して、反発力が有効に作用し難いため、往復運動を継続することが困難である。
【0021】
以上のように、前述した従来の動力装置では、ピストン磁石の往復運動を得ることができなかったため、連続的な回転動力を得ることができないという課題があった。
【0022】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ピストン磁石の往復運動が確実に得られるようにするとともにその継続性を高め、それにより、連続的な回転動力が得られるようにした回転動力生成装置およびその回転動力によって発電する発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するため、本発明は、上死点側の磁極の極性が等しくなり、かつその上死点側の上極面が同じ方向を向くように配置した第1のピストン磁石部材および第2のピストン磁石部材と、その第1、第2のピストン磁石部材それぞれの下死点側に接続された第1のコンロッドおよび第2のコンロッドと、その第1、第2のコンロッドが接続されたクランクシャフトとを有し、第1、第2のピストン磁石部材をそれぞれ外側から保持し、かつそのそれぞれを往復移動の全行程に渡って案内する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、第1、第2のピストン磁石部材それぞれの上極面から一定間隔を置いた位置に固定され、かつ上極面の磁極と等しい極性を備えた固定極面が、第1、第2のピストン磁石部材それぞれの上極面に対向するように配置されている第1の固定磁石部材および第2の固定磁石部材と、第1、第2のピストン磁石部材の上極面と第1、第2の固定磁石部材の固定極面との間に配置され、第1、第2のピストン磁石部材双方の上極面と対峙する減磁回転板を備えた減磁部材とを有し、減磁回転板は、上極面と対峙する下表面および固定極面と対峙する上表面の双方に、第1、第2のピストン磁石部材の磁極よりも弱く、上極面と極性の異なる磁力を備えた減磁磁石部と、その減磁磁石部に隣接して形成された磁力の存在しない無磁力部とを有し、かつその無磁力部が第1、第2のピストン磁石部材のいずれか一方だけに対峙するように形成され、第1、第2のピストン磁石部材それぞれの上極面と、第1、第2の固定磁石部材それぞれの固定極面とにおいて、クランクシャフトの回転する回転方向に沿った最も後側の最後部間隔を他の部分の間隔よりも広くして、その最後部における上極面と固定極面との反発しあう反発力が他の部分における反発力よりも小さくなるようにした反発力不均一構造を有し、
第1、第2のピストン磁石部材の往復運動が継続的になるようにクランクシャフトに動力を供給する補助電動機を更に有する回転動力生成装置を特徴とする。
【0024】
上記回転動力生成装置では、第1、第2のピストン磁石部材と、第1、第2の固定磁石部材との間に反発力が作用し、その反発力を減磁回転板によって軽減することができる。
【0025】
また、上記回転動力生成装置の場合、減磁磁石部は、磁力の最も強い強減磁部と、磁力の最も弱い弱減磁部と、その強減磁部と弱減磁部の中間の磁力を備えた中減磁部とを有し、かつ減磁回転板の回転方向に沿って、その強減磁部、中減磁部および弱減磁部が順に配置されることによって、磁力が周方向に沿って漸次強くなるように変化する磁力変化構造を有し、強減磁部と、無磁力部とがそれぞれ第1、第2のピストン磁石部材のいずれか一方に対峙するように、減磁回転板が形成されているようにすることができる。
【0026】
さらに、上記回転動力生成装置の場合、減磁部材は、減磁回転板をその中心の回りに回転させる回転軸を有し、その回転軸の先端部とクランクシャフトとに、互いにかみ合うべベルギアが形成され、減磁回転板が回転軸を軸にして一回転するときに第1、第2のピストン磁石部材が第1、第2のガイド部材の内側をそれぞれ一往復するようにべベルギアが形成され、第1のピストン磁石部材が上死点に達した時点で第2のピストン磁石部材が下死点に達し、その直後、減磁回転板において、第1のピストン磁石部材と第1の固定磁石部材との間の部分が減磁磁石部から無磁力部に切り替わり、かつ第2のピストン磁石部材と第2の固定磁石部材との間に減磁磁石部が配置されているように、減磁部材のべベルギアがクランクシャフトのべベルギアにかみ合わされているようにすることができる。
【0027】
そして、さらに、上記回転動力生成装置の場合、第1、第2のガイド部材は、内側と外側をつなぐ間隙部が第1、第2のピストン磁石部材が往復移動する全範囲に渡って形成されていることが好ましい。
【0028】
また、減磁回転板は、減磁磁石部と無磁力部とが円形帯状に形成された円形帯状構造を有することが好ましい。
【0029】
さらに、第1、第2のピストン磁石部材は、それぞれ第1、第2のガイド部材の内側に納まる大きさの保持ケースと、その保持ケースの内側に隙間なく嵌合する永久磁石とを有し、第1、第2の固定磁石部材は、それぞれ保持ケースと同等の大きさを備えた固定用保持ケースと、その固定用保持ケースの内側に隙間なく嵌合する永久磁石とを有し、第1、第2の固定磁石部材は、固定用保持ケースの取付け状態を調整する調整部材を用いて固定されているようにすることができる。
【0030】
また、上記回転動力生成装置の場合、第1、第2のガイド部材と、第1、第2のピストン磁石部材と、第1、第2の固定磁石部材と、第1、第2のコンロッドと、減磁部材と、クランクシャフトとをそれぞれ有する第1のエンジン部および第2のエンジン部を有し、その第1のエンジン部におけるクランクシャフトと、その第2のエンジン部におけるクランクシャフトとが、その第1、第2のエンジン部に共通する一本の共通クランクシャフトによって構成されていることが好ましい。
【0031】
そして、本発明は、回転動力生成装置と、その回転動力生成装置によって生成される回転動力によって発電する発電機とを備えた発電装置であって、回転動力生成装置は、上死点側の磁極の極性が等しくなり、かつその上死点側の上極面が同じ方向を向くように配置した第1のピストン磁石部材および第2のピストン磁石部材と、その第1、第2のピストン磁石部材それぞれの下死点側に接続された第1のコンロッドおよび第2のコンロッドと、その第1、第2のコンロッドが接続されたクランクシャフトとを有し、第1、第2のピストン磁石部材をそれぞれ外側から保持し、かつそのそれぞれを往復移動の全行程に渡って案内する第1のガイド部材および第2のガイド部材と、第1、第2のピストン磁石部材それぞれの上極面から一定間隔を置いた位置に固定され、かつ上極面の磁極と等しい極性を備えた固定極面が、第1、第2のピストン磁石部材それぞれの上極面に対向するように配置されている第1の固定磁石部材および第2の固定磁石部材と、第1、第2のピストン磁石部材の上極面と第1、第2の固定磁石部材の固定極面との間に配置され、第1、第2のピストン磁石部材双方の上極面と対峙する減磁回転板を備えた減磁部材とを有し、減磁回転板は、上極面と対峙する下表面および固定極面と対峙する上表面の双方に、第1、第2のピストン磁石部材の磁極よりも弱く、上極面と極性の異なる磁力を備えた減磁磁石部と、その減磁磁石部に隣接して形成された磁力の存在しない無磁力部とを有し、かつその無磁力部が第1、第2のピストン磁石部材のいずれか一方だけに対峙するように形成され、第1、第2のピストン磁石部材それぞれの上極面と、第1、第2の固定磁石部材それぞれの固定極面とにおいて、クランクシャフトの回転する回転方向に沿った最も後側の最後部間隔を他の部分の間隔よりも広くして、その最後部における上極面と固定極面との反発しあう反発力が他の部分における反発力よりも小さくなるようにした反発力不均一構造を有し、
第1、第2のピストン磁石部材の往復運動が継続的になるようにクランクシャフトに動力を供給する補助電動機を更に有する発電装置を提供する。
【発明の効果】
【0032】
以上詳述したように、本発明によれば、ピストン磁石の往復運動が確実に得られるようにするとともにその継続性を高め、それにより、連続的な回転動力が得られるようにした回転動力生成装置およびその回転動力によって発電する発電装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0035】
(回転動力生成装置の構造)
まず、
図1から
図9を参照して、本発明の実施の形態に係る回転動力生成装置の構造について説明する。
【0036】
ここで、
図1は本発明の実施の形態に係る回転動力生成装置100を示す斜視図、
図2は
図1の2−2線で切断した回転動力生成装置100の断面図、
図3は回転動力生成装置100の蓋部6を外して示した平面図である。また、
図4は減磁部材30およびクランクシャフト11の要部を示す斜視図、
図5(a)は減磁部材30の平面図、(b)は減磁部材30における減磁磁石部38、無磁力部39の変化パターンを示した図である。
図6は、
図5の6−6線で切断した減磁部材30の一部省略した断面図である。
図7は回転動力生成装置100の蓋部6および減磁部材30を外して示した平面図である。
図8は、第1のガイド部材50、第1のピストン磁石部材60および第1の固定磁石部材70を示す一部省略した斜視図である。
図9はクランクシャフト11に交差する方向から見たエンジン部10の第1のピストン磁石部材60側の側面図である。
【0037】
回転動力生成装置100は、第1、第2のピストン磁石部材60,61と、第1、第2の固定磁石部材70,71とを、極性の等しい磁極を備えた上極面60a、61a、固定極面70a、71aを向かい合わせに配置し、その間に、第1、第2のピストン磁石部材60,61の磁極と極性の異なる磁力を備えた減磁回転板32を配置している。
【0038】
そして、回転動力生成装置100では、第1のピストン磁石部材60と第1の固定磁石部材70の反発力(以下「第1の反発力」ともいう)および第2のピストン磁石部材61と第2の固定磁石部材71の反発力(以下「第2の反発力」ともいう)を、異なる大きさになるように減磁回転板32によって軽減しながら、第1、第2のピストン磁石部材60,61を第1、第2の固定磁石部材70、71に対して交互に接近させる。
【0039】
なお、本実施の形態では、第1、第2のピストン磁石部材60,61の第1、第2の固定磁石部材70、71への接近を「前進」ともいい、第1、第2のピストン磁石部材60,61が第1、第2の固定磁石部材70、71から離れることを「後退する」ともいう。
【0040】
すると、第1のピストン磁石部材60が第1の反発力によって後退するときに第2の反発力を軽減しながら第2のピストン磁石部材61を前進させ、その後、第2のピストン磁石部材61が第2の反発力によって後退するときに第1の反発力を軽減しながら第1のピストン磁石部材60を前進させることができる。
【0041】
回転動力生成装置100では、第1、第2のピストン磁石部材60、61が上記のような後退および前進を交互に繰り返せるため、第1、第2のピストン磁石部材60,61の往復運動を実現でき、さらに後述するスターターモータ14aの動力を用いることによって、その継続性を高めることができる。
【0042】
そして、回転動力生成装置100の構造について詳しく述べれば次のとおりである。
【0043】
回転動力生成装置100は、
図1、
図2に示すように、底部1、左側壁部2、右側壁部3、正面壁部4、背面壁部5および蓋部6を備えた筐体7を有している。筐体7内のほぼ中央にエンジン部10が設けられている。エンジン部10のクランクシャフト11が左側壁部2、右側壁部3および中間壁部8aを貫通していて、そのクランクシャフト11の左側壁部2の外側部分にフライホイール12が固定されている。さらに、左側壁部2の外側に制御盤13が固定されている。制御盤13は、筐体7内に備えられた図示しない電圧計等の各種計測機器の動作状況を表示するモニタ13aと、バッテリー13bと、図示しない放熱口を有している。
【0044】
また、回転センサ11Sが左側壁部2のクランクシャフト11の近傍に設けられている。回転センサ11Sは、後述するタイマーリレー13cに接続されている。回転センサ11Sは、クランクシャフト11の回転数を検出し、検出した回転数をタイマーリレー13cに入力する。
【0045】
そして、制御盤13は、上記計測機器として、少なくともタイマーリレー13cを有している。タイマーリレー13cは、バッテリー13b、回転センサ11Sおよび後述するスターターモータ14aに接続されている。タイマーリレー13cは、定期的(例えば、数秒単位)に内部のリレーが作動する。また、回転センサ11Sから入力されるクランクシャフト11の回転数が設定されている回転数(設定回転数)より小さくなったときにも内部のリレーが作動する。タイマーリレー13cが作動すると、バッテリー13bから後述するスターターモータ14aに電力が供給される。
【0046】
また、筐体7内の底部1上にスターターモータ14a、直流発電機(ダイナモ:dynamo)14bおよび電動発電機15a、15bが固定されている。スターターモータ14a、直流発電機(ダイナモ:dynamo)14bは、ベルト16aによってクランクシャフト11に接続され、電動発電機15a、15bは、ベルト16bによってクランクシャフト11に接続されている。スターターモータ14aはバッテリー13bに接続されている。直流発電機(ダイナモ:dynamo)14bも図示はしないが、バッテリー13bに接続されている。電動発電機15a、15bには、図示はしないが、出力コードが接続されている。
【0047】
スターターモータ14aはベルト16aを介してクランクシャフト11に回転動力を供給する。スターターモータ14aは本発明における補助電動機に相当する。
【0048】
エンジン部10は、クランクシャフト11と、第1、第2のガイド部材50,51と、第1,第2のピストン磁石部材60,61と、第1、第2の固定磁石部材70,71と、第1,第2のコンロッド80,81と、減磁部材30とを有している。
【0049】
クランクシャフト11は、第1、第2のクランク部11a,11cと、その両者をつなぐつなぎ部11bと、つなぎ部11bに固定されたべベルギア(傘歯車)11dとを有している。第1、第2のクランク部11a,11cに第1、第2のコンロッド80,81が接続されている。また、第1、第2のクランク部11a,11cのクランク角が180度に設定されている。
【0050】
第1のガイド部材50は、
図3、
図8等に示すように、4つの保持部材50aを有している。保持部材50aは、断面L字状の部材であって、第1のピストン磁石部材60を往復移動の全行程に渡って案内し得る長さを有している。各保持部材50aは、第1のピストン磁石部材60のそれぞれの角部外側に第1のピストン磁石部材60を囲むように配置されて、底部1に固定されている。各保持部材50aが離れていることで、第1のガイド部材50に間隙部53が形成されている。間隙部53は、4つの保持部材50aによって囲まれる直方体状空間の内側と外側とをつなぐ部分である。間隙部53は、第1、第2のピストン磁石部材60、61が往復移動する全範囲に渡って形成されている。
【0051】
第2のガイド部材51は、保持部材50aと同様の保持部材51aを4つ有している。各保持部材51aは、第2のピストン磁石部材61のそれぞれの角部外側に第2のピストン磁石部材61を囲むように配置されて、底部1に固定されている。第2のガイド部材51でも、間隙部53と同様の間隙部が形成されている。
【0052】
第1、第2のピストン磁石部材60,61は、それぞれ第1,第2のガイド部材50,51の内側に納まる大きさに形成され、第1、第2のガイド部材50,51の内側を往復移動するように形成されている。また、第1、第2のピストン磁石部材60,61は、それぞれの上極面60a、61aが同じ方向(本実施の形態では、蓋部6に向かう方向)を向くようにして、第1,第2のガイド部材50,51の内側に納められている。
【0053】
第1のピストン磁石部材60(第2のピストン磁石部材61も
図8,9に図示はしないが同様)は、
図8、
図9に詳しく示すように、保持ケース63と永久磁石64とを有している。保持ケース63は、アルミ板を断面が概ねC字状になるように折り曲げてなる部材であって、第1のガイド部材50の内側(4つの保持部材50aによって囲まれた空間)に納まる大きさを有している。永久磁石64は、保持ケース63に隙間なく嵌合する大きさを備えた概ね直方体状の磁石であって、磁力が極めて大きい例えばネオジム磁石である。本実施の形態では、永久磁石64は、上死点側の表面(上極面60a)の極性がN極になるように保持ケース63に納められている。第2のピストン磁石部材61の永久磁石64も、上死点側の表面(上極面61a)の極性がN極になるように保持ケース63に納められている。
【0054】
第1、第2のピストン磁石部材60、61の双方とも、保持ケース63のクランクシャフト11側に接続部65が形成されている。それぞれの接続部65に第1,第2のコンロッド80,81が回動自在に接続されている。
【0055】
第1の固定磁石部材70(第2の固定磁石部材71も、
図8,9に図示はしないが同様)は、
図8、
図9に詳しく示すように、固定用保持ケース73と永久磁石74とを有している。固定用保持ケース73は、保持ケース63と同様の大きさおよび形状を備えた部材である。永久磁石74は、固定用保持ケース73に隙間なく嵌合する大きさを備えた概ね直方体状の磁石であって、永久磁石64と同様の例えばネオジム磁石である。この永久磁石74は、上極面60aの極性と等しい極性(本実施の形態では、N極)を備えた表面(固定極面70a)が上極面60aと対向するように固定用保持ケース73に納められている。第2の固定磁石部材71の永久磁石74も、固定極面71aがN極になるように固定保用持ケース73に納められている。
【0056】
この永久磁石74と、前述の永久磁石64とはともに磁力の強大な磁石であり、極性の等しい上極面60a、61a、固定極面70a、71aを向かい合わせにしているため、第1の反発力、第2の反発力はともに強大なものとなっている。
【0057】
そして、第1の固定磁石部材70(第2の固定磁石部材71も、
図9に図示はしないが同様)は、4つの調整部材75を用いて蓋部6に固定されている。すなわち、調整部材75の螺子部75aが蓋部6に外側から挿通され、固定用保持ケース73に螺子込まれている。この螺子部75aの螺子込み具合を変えることで、第1の固定磁石部材70の蓋部6に対する傾斜が変わり、固定極面70aの傾斜が変わる。
【0058】
また、この固定極面70aと上極面60aとにおいて、クランクシャフト11の回転方向faに沿った最も後側(本実施の形態では、「最後部」ともいい、
図9では、符号79で示される部分)の間隔D2(最後部79の間隔を最後部間隔ともいう)を他の部分の間隔D1よりも広くしている(固定極面71aと上極面61aとについても同様)。
【0059】
こうして、回転動力生成装置100は、最後部79における上極面60aと固定極面70aとの反発力が、他の部分の反発力よりも小さくなるようにした反発力不均一構造を有している。なお、固定極面70aと上極面60aとのなす角度は所定の傾斜角αに設定されている。
【0060】
以上のような第1、第2のピストン磁石部材60,61の下死点側(接続部65に)に第1、第2のコンロッド80,81が接続されている。第1、第2のコンロッド80,81はともにクランクシャフト11に接続されている。クランクシャフト11の第1、第2のクランク部11a,11cにそれぞれ第1、第2のコンロッド80,81が接続されている。
【0061】
次に、減磁部材30について説明する。減磁部材30は、アルミニウム等の非磁性材を用いて形成されている。減磁部材30は、
図4、
図5(a)、
図6に示すように、回転軸31と、減磁回転板32と、べベルギア33とを有している。回転軸31の上端部に減磁回転板32が固定され、下端部にべベルギア33が固定されている。回転軸31は、中間壁部8aに固定された支持部8bにベアリングを介して挿通されている。なお、
図5の6−6線は、減磁回転板32の中心を通る中心線を想定している。
【0062】
減磁回転板32は、上極面60a、61aと、固定極面70a、71aとの間に納まる厚さを有し、かつ上極面60a、61aをともに覆うことのできる大きさの直径を備えることで、上極面60a、61aの全体に対峙する大きさの円板である。減磁回転板32は、上極面60a、61aと対峙する下表面32aおよび固定極面70a、71aと対峙する上表面32bの双方に減磁磁石部38と、無磁力部39とを有している。
【0063】
減磁磁石部38と無磁力部39とは、回転軸31を中心とする円形帯状(ドーナツ状ともいう)に形成されている。その円形帯状部分のうちの半円相当部分よりも幾分大きな領域に減磁磁石部38が割り当てられ、残りの半円相当部分よりも幾分小さな領域に無磁力部39が割り当てられている。こうして、無磁力部39が第1、第2のピストン磁石部材60,61のいずれか一方だけに対峙し、第1、第2のピストン磁石部材60,61の双方同時には対峙しないように、減磁回転板32が形成されている。
【0064】
また、減磁磁石部38および無磁力部39が減磁回転板32のうちの上極面60a,61aに対応した位置に配置され、しかも半径方向の幅w38が、上極面60a,61aの横幅とほぼ同じまたは横幅よりも幾分大きい大きさになるようにしている。
【0065】
さらに、減磁磁石部38は、第1、第2のピストン磁石部材60,61の上極面60a、61a側の磁極よりも弱く、上極面60a、61aと極性の異なる磁力を備えている。本実施の形態では、減磁磁石部38の極性がS極に設定されている。減磁磁石部38の磁力は永久磁石64,74よりも弱められている。
【0066】
そして、減磁磁石部38は磁力の最も強い強減磁部35と、磁力の最も弱い弱減磁部36と、強減磁部35と弱減磁部36の中間の磁力を備えた中減磁部37とを有している。減磁磁石部38では、強減磁部35、中減磁部37、弱減磁部36がこの順に周方向に沿って時計回りに配置されている。
【0067】
そのため、減磁回転板32が時計回りに回転すると、上極面60a、61a上に、
図5(b)に示すように、弱減磁部36、中減磁部37、強減磁部35が順次出現するから、減磁磁石部38の磁力が周方向に沿って漸次強くなるように変化する。減磁磁石部38は、このようにして磁力が変化する磁力変化構造を有している。また、減磁磁石部38に続いて無磁力部39が出現し、その後、弱減磁部36が出現する。
【0068】
また、無磁力部39は、減磁回転板32の周方向に沿った円形帯状部分の一部で、強減磁部35と弱減磁部36との間の部分に相当している。無磁力部39は磁力を有していない部分である。
【0069】
べベルギア33にはべベルギア11dがかみ合わされている。そのため、クランクシャフト11の回転に応じて回転軸31が回転し、減磁回転板32が回転する。べベルギア33とべベルギア11dは、詳しくは後述するが、減磁回転板32が回転軸31を軸にして一回転するときにクランクシャフト11が一回転し、それによって、第1、第2のピストン磁石部材60、61が第1、第2のガイド部材50、51の内側を一往復するように形成されている。
【0070】
しかも、回転動力生成装置100が以下の構造を有するように、べベルギア33がべベルギア11dにかみ合わされている。そのため、回転動力生成装置100では、べベルギア33をべベルギア11dにかみ合わせるにあたり、それぞれの位置が調整されている。その構造とは、第1のピストン磁石部材60が上死点に達した時点で第2のピストン磁石部材61が下死点に達し、その直後、第1の間隙において、減磁回転板32の減磁磁石部38が無磁力部39に切り替わり、かつ第2の間隙に弱減磁部36が配置されている構造(以下この構造を「基本構造」ともいう)である。
【0071】
なお、第1の間隙とは、第1のピストン磁石部材60と第1の固定磁石部材70との間の部分であり、第2の間隙とは、第2のピストン磁石部材61と第2の固定磁石部材71との間の部分である。
【0072】
(回転動力生成装置の動作内容)
次に、
図10から
図20を参照して、回転動力生成装置100の動作内容について説明する。
【0073】
ここで、
図10(a)は、下死点に達した直後の第1のピストン磁石部材60、第1の固定磁石部材70および減磁回転板32を模式的に示した図、
図10(b)はそのときの減磁回転板32の要部を模式的に示した図である。
図11(a)〜
図13(a)は、それぞれ
図10(a)〜
図12(a)に続く第1のピストン磁石部材60、第1の固定磁石部材70および減磁回転板32を模式的に示した図、
図11(b)〜
図13(b)はそれぞれ
図10(b)〜
図12(b)に続く減磁回転板32の要部を模式的に示した図である。
【0074】
図14(a)は、
図13(a)に続く第1のピストン磁石部材60、第1の固定磁石部材70および減磁回転板32を模式的に示した図、
図14(b)はそのときの減磁回転板32の要部を模式的に示した図である。
図15(a)は
図13(a)における点線で囲まれた部分25aの拡大図、
図15(b)は
図13(a)における点線で囲まれた部分25bの拡大図である。
【0075】
回転動力生成装置100は、上記のような構成を有しているから、次のような動作を行う。回転動力生成装置100を作動させるには、まず、図示しない電源スイッチを投入してスターターモータ14aを作動させる。スターターモータ14aがバッテリー13bに蓄積されている電力により作動すると、その動力がベルト16aを介してクランクシャフト11に伝わりクランクシャフト11が
図2に示す矢印e11の方向に回転する。それに伴い第1、第2のコンロッド80,81を介して第1、第2のピストン磁石部材60,61が第1,第2のガイド部材50,51の内側を移動する。これにより、初期動作が完了する。
【0076】
なお、スターターモータ14aには図示しないオーバーランニングクラッチが備えられているため、スターターモータ14aにはクランクシャフト11の動力は伝達されない。回転動力生成装置100は、スターターモータ14aの動力を前述した初期動作で用いるが、初期動作が完了した後も、スターターモータ14aの動力を定期的(例えば、数秒単位)に用いる。また、クランクシャフト11の回転数が設定回転数より小さくなったときにもスターターモータ14aの動力を用いる。これらの場合において、タイマーリレー13cが作動することによって、スターターモータ14aがバッテリー13bから電力の供給を受けて作動し、その動力がクランクシャフト11に伝達される。初期動作が完了した後の動作は次のとおりである。
【0077】
ここで、
図10(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が下死点に達した直後を考える。このとき、クランクシャフト11が慣性によってそれまでの回転を続けようとするため、第1のピストン磁石部材60が第1の固定磁石部材70に接近しようとする。
【0078】
このとき、第1のピストン磁石部材60が下死点に達した時点で、第1の間隙に減磁回転板32の減磁磁石部38が出現する。また、
図10(b)に示すように、第1のピストン磁石部材60が下死点に達した直後も、第1の間隙に弱減磁部36が配置されている。弱減磁部36の極性が上極面60a、固定極面70aの磁極とは異なるため、弱減磁部36が上極面60a、固定極面70aから出力される磁力を弱める減磁作用を発揮する。この減磁作用により、第1のピストン磁石部材60と第1の固定磁石部材70との間で常時作用している第1の反発力が吸引力f10の分だけ軽減される。すると、第1のピストン磁石部材60が前進しやすくなる。
【0079】
次に、
図11(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が前進するのに併せて、
図11(b)に示すように、減磁回転板32の弱減磁部36が中減磁部37に切り替わり、第1の間隙に中減磁部37が出現する。第1のピストン磁石部材60が前進するにしたがい第1の反発力が強くなるが、弱減磁部36が中減磁部37に切り替わったことで、第1の反発力が吸引力f10よりも大きい吸引力f11の分だけ軽減される。そのため、第1のピストン磁石部材60は引き続き前進する。
【0080】
続いて、
図12(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が前進するのに併せて、
図12(b)に示すように、減磁回転板32の中減磁部37が強減磁部35に切り替わり、第1の間隙に強減磁部35が出現する。そのため、第1の反発力が吸引力f11よりも大きい吸引力f12の分だけ軽減されるから、第1のピストン磁石部材60は引き続き前進する。
【0081】
さらに続いて、第1のピストン磁石部材60が前進する。このとき、第1の間隙に強減磁部35が配置されているため、第1の反発力が吸引力f12の分だけ軽減される。第1のピストン磁石部材60が引き続き前進すると、その後、
図13(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が上死点に達する。このときも、
図13(b)に示すように、第1の間隙には強減磁部35が配置されている。
【0082】
そして、
図14(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が上死点に達した直後に、
図14(b)に示すように、第1の間隙において、減磁回転板32の強減磁部35が無磁力部39に切り替わり、第1の間隙に強減磁部35に代わって無磁力部39が配置される。
【0083】
すると、それまで強減磁部35の減磁作用によって第1の反発力が軽減されていたところ、強減磁部35が無磁力部39に切り替わったことにより、第1の反発力に対する軽減作用が突如消滅する。そのため、
図14(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60と第1の固定磁石部材70とに、強大な第1の反発力f14が突如復活する。その第1の反発力f14によって、第1のピストン磁石部材60は、上死点に達した直後に強く押し下げられ、f60で示す方向に勢いよく後退する。
【0084】
なお、第1のピストン磁石部材60が上死点に達した時点では、第1のコンロッド80が垂直方向に延びているため、第1の反発力が作用していても第1のピストン磁石部材60が後退しにくい。第1のピストン磁石部材60が後退しやすくするには、第1のピストン磁石部材60が上死点に達した直後に強減磁部35が無磁力部39に切り替わるようにするのが望ましい。
【0085】
以上の説明は、第1のピストン磁石部材60が下死点に達した直後から上死点に達した直後までの動作(半工程の動作ともいう)に関するものである。第1のピストン磁石部材60に関する半工程の動作は、第2のピストン磁石部材61が後退する動作と並行している。
【0086】
回転動力生成装置100は、半工程の動作を第1のピストン磁石部材60および第1の固定磁石部材70と、第2のピストン磁石部材61および第2の固定磁石部材71とが交互に実行する。続いて、この点について、
図16から
図20を参照して説明する。
【0087】
ここで、
図16(a)は、それぞれ上死点、下死点に達した直後の第1、第2のピストン磁石部材60、61およびクランクシャフト11を模式的に示した図、
図16(b)はそのときの減磁回転板32を模式的に示した図である。
図17(a)〜
図20(a)は、それぞれ
図16(a)〜
図19(a)に続く第1、第2のピストン磁石部材60、61およびクランクシャフト11を模式的に示した図、
図17(b)〜
図20(b)はそれぞれ
図16(b)〜
図19(b)に続く減磁回転板32を模式的に示した図である。
【0088】
図16(a)に示すように、第1、第2のピストン磁石部材60、61がそれぞれ上死点、下死点に達した直後を考える。この場合、回転動力生成装置100が前述した基本構造を有するように、べベルギア33がべベルギア11dにかみ合わされている。そのため、第1の間隙において、減磁回転板32の減磁磁石部38(強減磁部35)が無磁力部39に切り替わり、第2の間隙には弱減磁部36が配置されている。したがって、第1のピストン磁石部材60がf60で示す方向に勢いよく後退し、第2のピストン磁石部材61が第2の反発力の軽減によって前進する。
【0089】
続いて、
図17(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が勢いよく後退するのと同時に、第2のピストン磁石部材61は第2の反発力の軽減によって前進する。これが継続すると、
図18(a)に示すように、クランクシャフト11の第1、第2のクランク部11a,11cが平行になる。
【0090】
このとき、
図18(b)に示すように、第1の間隙に無磁力部39が配置されるのと同時に、第2の間隙に強減磁部35が配置される。そのため、第1のピストン磁石部材60が後退しながら、第2のピストン磁石部材61が前進する格好でクランクシャフト11が回転を続ける。そして、減磁回転板32が同じ状態を維持するため、この状態は、
図19(a)に示すようにその後も継続する。
【0091】
すると、今度は、
図20(a)に示すように、第1のピストン磁石部材60が下死点に達し、第2のピストン磁石部材61が上死点に達する。そのため、第1、第2のピストン磁石部材60、61がそれぞれ実行してきた半工程の動作を入れ替えた上で動作を継続する。
【0092】
このように、第1、第2のピストン磁石部材60、61が半工程の動作を交互に繰り返し継続する。そのため、回転動力生成装置100では、第1、第2のピストン磁石部材60、61の往復運動を実現でき、スターターモータ14aの動力を用いることによって、その往復運動を継続的なものとし、かつその継続性を高めることができる。クランクシャフト11や、第1、第2のピストン磁石部材60、61などの各部材が動くときの摩擦力等の影響によって、クランクシャフト11の回転数が低下する。すると、第1、第2のピストン磁石部材60、61の往復運動が続かなくなる。そのため、回転動力生成装置100では、前述のようにスターターモータ14aの動力を用いる。
【0093】
第1、第2のピストン磁石部材60、61が往復運動を継続すると、第1、第2のコンロッド80,81を介してクランクシャフト11の回転運動が継続する。すると、クランクシャフト11の回転動力がベルト16bを介して電動発電機15a、15bに伝達され、電動発電機15a、15bのコイルが回転する。電動発電機15a、15bのコイルが回転することによって、電力が得られる。この電力は、図示しない出力コードを用いて外部に取り出すことができる。
【0094】
(回転動力生成装置の作用効果)
以上のとおり、第1、第2のピストン磁石部材60,61と、第1の固定磁石部材70、71とは、上極面60a、61a、固定極面70a、71aにおける磁極の極性が等しい。そのため、第1、第2のピストン磁石部材60,61と、第1、第2の固定磁石部材70、71とには、それぞれ第1、第2のピストン磁石部材60,61を後退させようとする第1、第2の反発力が常に作用している。
【0095】
ところが、第1の間隙、第2の間隙のいずれにも減磁回転板32が配置されている。減磁回転板32には減磁磁石部38が形成されていて、その減磁磁石部38における磁力の極性が上極面60a、61a、固定極面70a、71aにおける磁極の極性と異なっている。
【0096】
そのため、第1、第2のピストン磁石部材60,61、第1、第2の固定磁石部材70、71から出力した磁力線の一部が減磁磁石部38に吸収される。すると、上極面60a,61aと、固定極面70a、71aの反発に寄与する磁力線が減少するため、第1、第2の反発力をもたらす磁力が減少する。こうした磁力を減らす減磁作用を減磁磁石部38が発揮するため、減磁磁石部38が第1、第2の間隙に出現することによって第1、第2の反発力が軽減される。
【0097】
そして、回転動力生成装置100では、減磁磁石部38と無磁力部39を隣接させ、無磁力部39が第1、第2の間隙のいずれか一方だけに配置されるように、減磁回転板32が形成されている。減磁回転板32を回転させると、無磁力部39が第1、第2の間隙のいずれか一方だけに配置され、第1、第2の間隙双方同時に配置されることはない。
【0098】
そのため、第1、第2の反発力が軽減されないまま同じタイミングで第1、第2のピストン磁石部材60,61に作用することがない。仮に、第1、第2の反発力が軽減されないまま同じタイミングで第1、第2のピストン磁石部材60,61に作用したとすると、第1、第2のピストン磁石部材60,61が双方とも後退しようとするため、往復運動が得られなくなるおそれがある。しかし、回転動力生成装置100では、そのおそれがない。
【0099】
第1、第2の反発力の少なくとも一方には、減磁磁石部38による減磁作用が働くから、第1のピストン磁石部材60を後退させるときに第2のピストン磁石部材61が前進しやすくなり、逆に第2のピストン磁石部材61を後退させるときに第1のピストン磁石部材60が前進しやすくなる。第1、第2のピストン磁石部材60、61にはそれぞれ常時第1、第2の反発力が作用しているが、第1、第2の反発力が同じタイミングで同じ大きさのまま作用することはない。そのため、第1、第2のピストン磁石部材60、61を交互に後退させることができる。また、クランクシャフト11の慣性があるため、第1、第2のピストン磁石部材60、61の一方が後退したあと、他方の後退にスムーズに移行する。そのため、第1、第2のピストン磁石部材60、61の後退が継続する。
【0100】
ところで、従来技術では、例えば、特許文献3に開示されている動力伝達機構のように、2つの磁石の異なった極性を2つのピストン磁石に交互に接近させ、反発力と吸引力を交互に作用させようとしていた。
【0101】
しかし、反発力によっていったんピストン磁石を遠ざけてしまうと、これを吸引力によって元に位置に戻すことは、たとえ極めて強力な磁石を用いたとしてもほぼ不可能である。つまり、ピストン磁石に反発力と吸引力を交互に作用させることでは、ピストン磁石の往復運動を得ることはできない。
【0102】
この点、回転動力生成装置100では、第1、第2のピストン磁石部材60,61に対して、反発力だけを作用させることを基本としつつ、これらに同じように反発力を作用させると往復運動が得られないことを考慮して、上記のような構造にしている。
【0103】
すなわち、回転動力生成装置100では、第1、第2のピストン磁石部材60,61の一方を後退させながら、反発力の軽減により他方の前進を支援することによって往復運動を実現し、さらに、その反発力の軽減を交互に行い、その上、スターターモータ14aの動力を用いることで、その往復運動が持続的なものとなるようにしている。なお、減磁磁石部38の形状によっては、第1、第2の反発力双方に軽減作用が及ぶおそれがある。その場合、第1、第2の間隙のそれぞれに配置される減磁磁石部38の磁力が異なるようにしておけばよい(例えば、一方を強減磁部、他方を弱減磁部にするなど)。
【0104】
その反発力軽減を交互に行う上で有効なのが減磁回転板32である。減磁回転板32は、第1、第2のピストン磁石部材60,61双方の上極面60a,61aをともに覆う大きさを備えているし、減磁磁石部38と無磁力部39を有している。
【0105】
そのため、これを回転させることによって、第1、第2のピストン磁石部材60,61に対する反発力軽減を交互に行うことができる。したがって、回転動力生成装置100は、第1、第2のピストン磁石部材60、61の往復運動が得られ、スターターモータ14aの動力を用いることによって、その往復運動を継続的なものとし、かつその継続性を高めることができる。これにより、クランクシャフト11が連続的に回転する連続的な回転動力を得ることができる。
【0106】
また、第1、第2のピストン磁石部材60,61の磁極の磁力よりも減磁磁石部38の磁力が弱いので、減磁磁石部38によって磁力線が吸収されても、第1、第2の反発力を温存することができる。
【0107】
さらに、減磁磁石部38と無磁力部39とが円形帯状に形成されているから、減磁回転板32を回転させても、減磁磁石部38と無磁力部39とを第1、第2の間隙に対して同じ大きさで配置することができる。
【0108】
一方、回転動力生成装置100は、第1のピストン磁石部材60および第1の固定磁石部材70と、第2のピストン磁石部材61および第2の固定磁石部材71とが反発力不均一構造を有している。
【0109】
クランクシャフト11が回転する場合、例えば、第1のピストン磁石部材60が上死点に達した直後、第1のクランク部11aは、
図14(a)に示したように、クランクシャフト11の回転方向faに沿った前側に傾く。第1のピストン磁石部材60に対し、常に第1の反発力が作用している。そのため、第1の反発力は、第1のピストン磁石部材60が上死点に達し、第1のクランク部11aが垂直に切り立った時点でも、第1のピストン磁石部材60を後退させようとする。しかし、第1のクランク部11aが垂直に切り立っているときに反発力を作用させても、モーメントが得られないが故にクランクシャフト11が回りづらく、したがって、第1のピストン磁石部材60が後退しにくい。
【0110】
ところが、反発力不均一構造にすると、最後部79よりも他の部分の反発力が大きくなるため、第1のピストン磁石部材60は、上死点に達した時点でも、クランクシャフト11の回転方向に沿った前側の方が後退しやすい。そのため、クランクシャフト11が慣性で回転を続けて第1のクランク部11aが前側に傾けば、第1のピストン磁石部材60が後退しやすくなり、この時点で反発力の軽減作用が消滅することと相まって第1のピストン磁石部材60をより後退させやすくなる。したがって、回転動力生成装置100は、往復運動の継続性をより一層高めることができる。
【0111】
さらに、減磁磁石部38が磁力変化構造を有しているから、減磁回転板32が時計回りに回転すると、反発力軽減作用が段階的に向上する。すると、第1、第2のピストン磁石部材60、61の前進に伴い向上する第1、第2の反発力を段階的に軽減することができる。そのため、第1、第2のピストン磁石部材60,61による一方の後退と、他方の前進とが確実になり、往復運動をより確実なものとすることができる。
【0112】
そして、減磁回転板32が一回転するときに第1、第2のピストン磁石部材60,61が第1、第2のガイド部材50,51の内側をそれぞれ一往復するようにべベルギア33,11dが形成されている。そのため、減磁回転板32の一回転が第1のピストン磁石部材60の半工程および、これに続く第2のピストン磁石部材61の半工程に関連付けられる。減磁回転板32を一回転させることで、第1、第2のピストン磁石部材60,61を交互に後退させることができる。
【0113】
一方、回転動力生成装置100では、第1、第2のガイド部材50,51に間隙部53が形成されている。第1、第2のピストン磁石部材60,61の往復運動に伴い、これらと第1、第2のガイド部材50,51との摩擦によって摩擦熱が発生するが、この摩擦熱を間隙部53から第1、第2のガイド部材50,51の外部に放出することができる。
【0114】
一般に、温度上昇に伴い、強磁性体の自発磁化(spontaneous magnetization)が指数関数的に低減し、強磁性体の磁性がキュリー温度を越えると消失することが知られている。そのため、摩擦熱が発生し、これが第1、第2のピストン磁石部材60,61に蓄積されると、永久磁石64,74の磁力が低下してしまうおそれがある。すると、第1、第2の反発力が弱まってしまい、第1、第2のピストン磁石部材60,61が往復運動を繰り返せなくなるおそれがある。
【0115】
特に、従来技術のように、ピストン磁石をシリンダの中に密封状に納めている場合は、ピストン磁石とシリンダとの摩擦に伴う摩擦熱がシリンダの中にこもりやすく、それだけピストン磁石の温度が上昇しやすい。
【0116】
しかし、回転動力生成装置100では、第1、第2のガイド部材50,51に間隙部53が形成されているから、摩擦熱等の熱がこもり難い。したがって、永久磁石64,74の磁力の低下を防止することができ、第1、第2のピストン磁石部材60,61の往復運動を継続することができる。
【0117】
そして、回転動力生成装置100では、調整部材75によって、第1、第2の固定磁石部材70,71における固定極面70a、71aの傾斜角度を調整することができる。そのため、運転時の振動等により、固定極面70a、71aの傾斜角度が変化しても、その傾斜角度を調整することができる。
【0118】
なお、回転動力生成装置100は、前述したクランクシャフト11の連続的な回転動力を内部の電動発電機15a、15に伝達することによって電力を生成することができるから、発電装置として用いることができる。もちろん、回転動力を他の用途に用いることもできる。
【0119】
(変形例1)
図21(a)は、変形例1にかかるガイド部材54を示す一部省略した斜視図である。ガイド部材54は、断面が概ねC字状の2つの保持部材55を有している。各保持部材55は、間隙部55aが形成されるように離して配置されている。このガイド部材54でも、第1、第2のガイド部材50、51のように、第1、第2のピストン磁石部材60,61を案内できるし、摩擦熱をガイド部材54の外部に放出することができる。
【0120】
また、
図21(b)は、変形例1にかかる減磁部材40の平面図である。減磁部材40は、減磁部材30と比較して、減磁回転板32の代わりに減磁回転板42を有する点で相違している。減磁回転板42は、減磁回転板32と比較して、減磁磁石部38の代わりに減磁磁石部48を有する点で相違している。減磁磁石部48は、減磁磁石部38と比較して、強減磁部45と弱減磁部46を有し、中減磁部を有していない点で相違している。強減磁部45は、強減磁部35と同様の磁力を有するが、強減磁部35よりも大きい。弱減磁部46は弱減磁部36と同様である。このような減磁磁石部48も、減磁磁石部38と同様に、磁力が周方向に沿って漸次強くなるように変化する磁力変化構造を有している。
【0121】
その他、減磁回転板32では、回転軸31を中心とする円形帯状部分のうちの磁力の存在しない部分を無磁力部39としている。この場合、非磁性材で構成されている部分が無磁力部39となるが、減磁回転板32の円形帯状部分を切り欠いて円形帯状の孔部を形成し、その孔部を無磁力部39としてもよい。
【0122】
さらに、減磁回転板32を
図21(c)に示す減磁回転板72とすることもできる。減磁回転板32を
図21(d)に示す減磁回転板82とすることもできる。減磁回転板72は、無磁力部39を含む扇状の部分が切り欠かれた概ね半円状の板材である。
【0123】
減磁回転板82は、回転軸31が固定されている中央部分から放射状に延びる複数の骨部82aを有し、その複数の骨部82aに減磁磁石部38と、無磁力部39とが形成されている。また、隣接する骨部82aの間が空隙部82bとなっている。
【0124】
なお、減磁回転板82は、複数の骨部82aだけの板状に形成されていない部分を含むが、減磁磁石部38の形成されている部分は板状に形成されている。本実施の形態では、減磁回転板32のように、その全体が板状に形成されている部材だけでなく、減磁回転板82のように、板状に形成されている部分が一部だけの部材も減磁回転板としている。
【0125】
減磁回転板72、82は、減磁磁石部38の形成されている部分が上極面60a、61aの少なくとも一方に対峙する形状を有している。しかも、減磁回転板72、82は、減磁回転板32よりも軽量なので、減磁回転板32よりも少ないエネルギーで回転させることができる。
【0126】
(変形例2)
続いて、
図22を参照して、変形例2に係る回転動力生成装置200について説明する。回転動力生成装置200は、前述した回転動力生成装置100と比較して、エンジン部110と、電動発電機15c、15dと、ベルト16cとを有する点で相違している。
【0127】
エンジン部110は、前述したエンジン部10と同様に、クランクシャフト11と、第1、第2のガイド部材50,51と、第1,第2のピストン磁石部材60,61と、第1、第2の固定磁石部材70,71と、第1,第2のコンロッド80,81と、減磁部材30とを有している。また、電動発電機15c、15dは、それぞれ前述した電動発電機15a、15bと共通する構成を有している。ベルト16cはベルト16bと共通する構成を有している。
【0128】
回転動力生成装置200は、エンジン部10も、エンジン部110もそれぞれがクランクシャフト11を有しているが、そのエンジン部10におけるクランクシャフト11と、エンジン部110におけるクランクシャフト11とが、双方に共通する一本の共通クランクシャフト11Aになっている。また、双方のエンジン部10,110において、第1,第2のピストン磁石部材60,61の位相が共通している。
【0129】
前述した回転動力生成装置100では、エンジン部10における第1,第2のピストン磁石部材60,61の往復運動によって、クランクシャフト11の回転動力を得ていた。
【0130】
これに対し、回転動力生成装置200では、エンジン部10における第1,第2のピストン磁石部材60,61の往復運動と、エンジン部110における第1,第2のピストン磁石部材60,61の往復運動とが重畳的に実行され、その重畳的な往復運動によって、クランクシャフト11(共通クランクシャフト11A)が回転する。そのため、回転動力生成装置100よりも、クランクシャフト11(共通クランクシャフト11A)の回転動力を強くすることができる。
【0131】
(変形例3)
続いて、
図23を参照して、変形例3に係る回転動力生成装置201について説明する。回転動力生成装置201は、前述した回転動力生成装置100と比較して、エンジン部120と、電動発電機15c、15dと、ベルト16cとを有する点で相違している。
【0132】
エンジン部120は、前述したエンジン部10と比較して、第2のガイド部材51と、第2のピストン磁石部材61と、第2の固定磁石部材71と、第2のコンロッド81とを有していない点で相違している。また、電動発電機15c、15dは、それぞれ前述した電動発電機15a、15bと共通する構成を有している。ベルト16cはベルト16bと共通する構成を有している。
【0133】
回転動力生成装置201も、回転動力生成装置200と同様に、2つのエンジン部10、120におけるクランクシャフト11が、双方に共通する一本の共通クランクシャフト11Aになっている。また、双方のエンジン部10,110において、第1のピストン磁石部材60の位相が共通している。
【0134】
回転動力生成装置201では、エンジン部10における第1のピストン磁石部材60の往復運動と、エンジン部120における第1のピストン磁石部材60の往復運動とが重畳的に実行され、その重畳的な往復運動によって、クランクシャフト11(共通クランクシャフト11A)が回転する。そのため、回転動力生成装置100よりも、クランクシャフト11(共通クランクシャフト11A)の回転動力を強くすることができる。
【0135】
(変形例4)
続いて、
図29を参照して、変形例4に係る回転動力生成装置202について説明する。
図29は変形例に係る回転動力生成装置202のクランクシャフト11に沿った方向からみた側面図である。前述した回転動力生成装置100では、第1、第2のガイド部材50,51がクランクシャフト11に沿って直列に配置されていたが、回転動力生成装置202では、第1、第2のガイド部材50,51が、クランクシャフト11に沿って所定のガイド角βを形成するV字状に配置されている。
【0136】
そして、回転動力生成装置202は、側面から中央に向かって登るように傾斜した傾斜蓋部76を有し、その傾斜蓋部76に回転動力生成装置100と同様の第1、第2の固定磁石部材70、71が固定されている。また、第1、第2の固定磁石部材70、71に向かうように、第1、第2のガイド部材50,51と、第1、第2のピストン磁石部材60、61とが配置されている。
【0137】
回転動力生成装置202はこのような第1、第2のガイド部材50,51、第1、第2のピストン磁石部材60、61、第1、第2の固定磁石部材70、71とともに、減磁部材30を有している。そのため、方向が異なるものの、第1、第2のピストン磁石部材60、61が回転動力生成装置100と同様の半工程の動作を実行し、回転動力生成装置100と同様の作用効果を奏する。
【0138】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【0139】
例えば、ピストン磁石部材、固定磁石部材、ガイド部材およびコンロッドを含む動作ユニットが、回転動力生成装置100のように2つの場合、回転動力生成装置200、201のように4つの場合、3つの場合だけでなく、5つの場合や6つの場合、それ以上の場合も本発明に含まれる。
【解決手段】回転動力生成装置100は、第1、第2のピストン磁石部材60,61と、第1、第2のコンロッド80,81と、クランクシャフト11とを有し、第1、第2のガイド部材50,51と、第1、第2の固定磁石部材70,71と、減磁回転板32を備えた減磁部材30とを有する。第1、第2のピストン磁石部材60,61と、第1、第2の固定磁石部材70,71とは、等しい極性を備えた上極面60a,61aと、固定極面70a,71aとを対向するように配置する。減磁回転板32は、上極面60a,61aの磁極よりも弱く、上極面60a,61aと極性の異なる磁力を備えた減磁磁石部38と、無磁力部39とを有する。