特許第5692775号(P5692775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5692775有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた照明器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692775
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20150312BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150312BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150312BHJP
   F21Y 105/00 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   F21S2/00 480
   F21Y105:00 100
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-115345(P2010-115345)
(22)【出願日】2010年5月19日
(65)【公開番号】特開2011-243448(P2011-243448A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2012年12月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300022353
【氏名又は名称】NECライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】金 周作
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−158665(JP,A)
【文献】 特開昭61−195588(JP,A)
【文献】 特開2005−332616(JP,A)
【文献】 特開2009−163272(JP,A)
【文献】 特開平08−138870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を挟持する透光性電極層と遮光性電極層とを有する発光部と、透光性電極層上に設けられる透光性基板とを有し、発光部から透光性基板に入射した光を、発光部が設置される面に対向する光放射面から放射する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透光性基板は、発光部の発光面積より大きい面積の光放射面を有し、発光部が設置される面及び光放射面を除いた部分に、鏡面金属膜からなる光反射層を前記発光層の端部の位置まで設け、該光反射層及び透光性基板の発光部が設置される面上であって、透光性基板の光放射面と対向する面の全面に樹脂製の絶縁層を設け、該絶縁層を介して透光性電極層を設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう。)や、これを用いた照明器具に関し、より詳しくは、発光の有効利用を図り、全面に亘って光束量の均一な光を放射可能な有機EL素子や、これを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、透明基板上に透明電極層と有機発光層と金属電極層を順次積層した構成を有し、発光層を挟持する1対の電極から発光層にそれぞれ注入される正孔と電子が結合して放出されるエネルギーを受けて励起された有機エレクトロルミネッセンス(有機ELともいう。)が、低エネルギー準位又は基底状態に戻る際に発生する光を利用した素子である。発光層の発光を透光電極を透過させその表面の発光面から外部へ放出させる構成により、薄膜であって、低電圧で発光し、高速応答性に優れることから、面状光源としての照明装置が開発されている。
【0003】
このような有機EL素子においては、酸化インジウムスズ(ITO)等の透光電極層は、金属薄膜の金属電極層と比較して抵抗値が高いため、照明装置として充分な輝度を得るためには、発光層からの光を効率よく活用する必要がある。更に、発光層からの光は種々の方向に放射されることから、透明基板に入射した後、透明基板の光放射面から放出されず、光放射面で反射したり、側面や裏面から外部に放出され喪失し、面状光源として利用できる光放射面から放射される光量は発光層における発光の一部になってしまう。
【0004】
また、発光層は、1対の電極の積層部分において光を発生させる。発光層からの光を効率よく利用するため、発光層の光放出面から放出される光を、これより大きい面積の光放射面を有する透光基板に入射させる有機EL素子が開発されている。しかしながら、透明基板内に入射した光は充分に拡散されず、発光層が設置された光放射面の中央部分から放出される光束と比較して、発光層が設置されていない光放射面の周辺部から放出される光束は減少してしまう。中央部分と周辺部間で生じる光束量の不均一を是正するため、透明基板の光取り出し面に拡散シートやプリズムシートを接着した面発光体(特許文献1、2)が報告されている。また、光束量が低下する透明基板の周辺部において、屈折率が異なる光散乱部を設け、これにより、透明基板に入射された光が光放射面から均一に出射するようにした照明装置(特許文献3)も知られている。
【0005】
しかしながら、これらの照明装置においては、発光層からの光が裏面や側面から放出される場合もあり、光放射面以外の部分から放出され、発光層で発光される光の利用効率を必ずしも上昇させ得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−80770
【特許文献2】特開2007−150162
【特許文献3】特開2005−158665
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、発光層において発光される光の有効利用を図り、光放射面から放出される光束の減少を抑制することができる有機EL素子や、これを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、発光部の発光面積より大きい面積の光放射面を有する透光基板を設置し、透光基板の発光部が設置されていない裏面や側面の部分に、鏡面金属膜からなる光反射層を設けることにより、透光基板の光放射面から放出される光束の減少を抑制することができることの知見を得、かかる知見に基き、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、発光層を挟持する透光性電極層と遮光性電極層とを有する発光部と、透光性電極層上に設けられる透光性基板とを有し、発光部から透光性基板に入射した光を、発光部が設置される面に対向する光放射面から放射する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透光性基板は、発光部の発光面積より大きい面積の光放射面を有し、発光部が設置される面及び光放射面を除いた部分に、鏡面金属膜からなる光反射層を前記発光層の端部の位置まで設け、該光反射層及び透光性基板の発光部が設置される面上であって、透光性基板の光放射面と対向する面の全面に樹脂製の絶縁層を設け、該絶縁層を介して透光性電極層を設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスに関する。
【0010】
また、本発明は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明器具に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有機EL素子やこれを用いた照明器具は、発光層からの光を透光基板の裏面や側面から漏洩させず、その有効利用を図り、光放射面から放出される光束の減少を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の有機EL素子の参考例を示す断面図である。
図2】本発明の有機EL素子に設けられる発光部の一例を示す上面図である。
図3】本発明の有機EL素子の他の例を示す側面図である。
図4】本発明の照明器具の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、発光層を挟持する透光性電極層と遮光性電極層とを有する発光部と、透光性電極層上に設けられる透光性基板とを有し、発光部から透光性基板に入射した光を、発光部が設置される面に対向する光放射面から放射する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透光性基板は、発光部の発光面積より大きい面積の光放射面を有し、発光部が設置される面及び光放射面を除いた部分に、鏡面金属膜からなる光反射層を前記発光層の端部の位置まで設け、該光反射層及び透光性基板の発光部が設置される面上であって、透光性基板の光放射面と対向する面の全面に樹脂製の絶縁層を設け、該絶縁層を介して透光性電極層を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の有機EL素子における発光部は発光層と、これを挟持する透光性電極層及び遮光性電極層とを有する。
【0015】
透光性電極層と遮光性電極層は一対の電極を構成し、その間に挟持する発光層にそれぞれ外部電源から供給される電子及び正孔を注入する。一方の電極である透光性電極層は、発光層と後述する透光性基板間に設けられ、発光層で発光される光を透過させ、更に、その上に設けられる透光性基板に入射させるために、透光性を有すればよいが、発光層からの光の透過率が高いもの程好ましい。透光性電極層は陽極であっても陰極であってもよいが、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等で形成された陽極とすることができる。透光性電極層は、一端が延長して設けられ、延設された部分を、配線部材との接続部とすることが好ましい。透光性電極層の厚さとしては、例えば、100〜300nm等を挙げることができる。
【0016】
発光層を挟持するもう一方の電極の遮光性電極層は、発光層で発光される光を遮光性電極層から外部へ漏洩させず、透光性電極層側へ反射させるような遮光性を有するものであることが好ましい。透光性電極層がITO等の場合は、例えば、マグネシウム、銀マグネシウム合金、カルシウム等で形成された陰極とすることができる。また、遮光性電極層は、配線部材との接続のためにその端部が延長されて設けられることが好ましく、透光性電極層との短絡を抑制するため、発光層を介して直交方向にその端部が延長されて設けられることが好ましい。遮光性電極層の厚さは、例えば、50〜100nm等とすることができる。
【0017】
上記発光層は、有機ELを含む有機EL層を有するものであればよいが、これを挟持するように正孔輸送層、電子輸送層等の複数の層から形成されていてもよい。正孔輸送層や電子輸送層は更に複数の層から形成されてもよく、また、他の機能の層を有していてもよい。電子輸送層は遮光性電極層から注入される電子を有機EL層へ注入し、正孔輸送層は透光性電極から注入される正孔を有機EL層へ注入させるものとすることができ、有機EL層において、電子と正孔が結合して放出される結合エネルギーによって有機ELが励起され、励起された有機ELが低レベル準位、或いは基底状態に戻る際に、発光が放射される。有機EL層に含有させ得る有機ELとしては、上記電子と正孔が結合して放出される結合エネルギーを受けて発光する有機物質であれば、いずれも用いることができる。かかる有機ELとしては、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq3)、ビスジフェニルビニルビフェニル(BDPVBi)、1,3−ビス(p−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾールイル)フェニル(OXD−7)、N,N' −ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(BPPC)、1,4ビス(N−p−トリル−N−4−(4−メチルスチリル)フェニルアミノ)ナフタレン等の低分子化合物、ポリフェニレンビニレン系ポリマー等の高分子化合物を挙げることができる。
【0018】
また、有機ELは、電荷輸送材料や正孔輸送材料にドープして用いることもできる。例えば、Alq3等のキノリノール金属錯体に4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、2,3−キナクリドン等のキナクリドン誘導体や、3−(2' −ベンゾチアゾール)−7−ジエチルアミノクマリン等のクマリン誘導体をドープしたもの、電子輸送材料ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−4−フェニルフェノール−アルミニウム錯体にペリレン等の縮合多環芳香族をドープしたもの、あるいは正孔輸送材料4,4' −ビス(m−トリルフェニルアミノ)ビフェニル(TPD)にルブレン等をドープしたもの、カルバゾール化合物に白金錯体やイリジウム錯体をドープしたもの等として用いることができる。
【0019】
上記正孔輸送層は、例えば、ビス(ジ(p−トリル)アミノフェニル)−1,1−シクロヘキサン、TPD、N,N'−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1'−ビフェニル)−4,4'−ジアミン(α−NPD)等のトリフェニルジアミン類や、スターバースト型芳香族アミン分子等の正孔輸送材料を用いて形成することができる。また、上記電子輸送層は、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(Bu−PBD)、OXD−7等のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キノリノール系の金属錯体等の有機物質や、フッ化リチウム等の無機物質等の電子輸送材料を用いて形成することができる。
【0020】
上記構成の発光部においては、発光層が透光性電極層と遮光性電極層に挟持される部分、即ち、これらの電極に表裏共に接触する部分の発光層において発光を生じさせる。発光部の発光面積は、発光層を介して透光性電極と遮光性電極とが積層される積層部分に相当する面積となる。発光面積は、製造上の制約等から、例えば、透光性基板面積の8割以上等とすることができる。
【0021】
上記透光性電極層に外部電源を供給するための配線部材は、どのようなものであってもよいが、接続部の抵抗の上昇を抑制するために、電極の一端の幅、全体に亘る幅を有するものを用いることができる。配線部材として、銅ポリイミド等のフィルムを適用することができる。銅ポリイミドは導電性を有し低抵抗であり、可撓性を有することから、精密な位置決めせずに接続することができるため好ましい。
【0022】
上記発光部からの光を入射する透光性基板は、発光部を支持する強度を有し、発光部からの発光を放射する光放射面を有する。光放射面は発光部の発光面積より大きい面積を有する。光放射面の面積としては、発光部の発光面積に対し、1〜1.25倍であることが好ましい。透光性基板としては、例えば、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、その他、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラスのガラスや樹脂フィルム等を用いることができる。透光性基板の厚さは、例えば、0.1〜2mmとすることができる。
【0023】
このような透光性基板は発光部が設置される面及び光放射面を除いた部分に、鏡面金属膜からなる光反射層を有する。発光部が設置される面及び光放射面を除いた部分とは、光放射面と対向する面の発光部が設置される面を除いた部分と、側面部分が相当する。
【0024】
光反射層は、発光部から透光性基板内に入射した光を、透光性基板側へ反射させ、外部へ漏洩させない遮光性を有するものであればよい。光反射層を有することにより、発光部から透光性基板に入射した光を光放射面から放射させることができ、光放射面からの光束の放出量の減少を抑制することができる。光反射層は、アルミニウム、銀等の金属を鏡面状にした鏡面金属膜からなるものである。鏡面状とは、入射角と反射角が反射面に対して同じ角度で反射し、一方向からの光が別の一方向に反射される状態を形成する面をいう。光反射層の厚さは、例えば、50〜1000nmとすることができる。これらの鏡面金属膜には、樹脂製の絶縁被膜を設けることが、透光性電極層との導通を抑制するため、また、鏡面金属膜の酸化を抑制するため、好ましい。
【0025】
光反射層は上記金属を蒸着、スパッタ等の方法により形成することができる。
【0026】
このような有機EL素子の参考例として、図1の断面図に示すものを挙げることができ、その発光部を図2の上面図に示す。尚、図1、2は有機EL素子の層構成を説明するための図であり、層の形状や膜厚、大小関係を示すものではない。図1に示す有機EL素子10は、ガラス製等の透光性基板1の発光部が設置される面である発光部設置面L1に、ITO等の透光性電極層2、発光層3、遮光性電極層4を有する発光部5が取り付けられている。発光層3は、透光電極層上に順次正孔輸送層、有機EL層、電子輸送層(図示せず)が積層された構造を有し、透光性電極層2と遮光性電極層4に挟持されて設けられる。発光部5は、透光性基板に接着されるガラス等の保護部材6で被覆されている。透光性基板の発光部設置面L1に対向する面は光放射面L2とされ、光放射面L2は発光部設置面L1の面積より大きい面積を有する。透光性基板の光放射面L2と発光部設置面L1とを除く部分に光反射層7が設けられる。
【0027】
有機EL素子10において、透光性電極層及び遮光性電極層に外部電源から電源が供給されると、発光層において正孔及び電子が結合して結合エネルギーが発生され、これを受けて有機ELが発光する。遮光性電極層に向かう光はここで反射され、透明性電極層を透過して、発光面L1から透光性基板1に入射される。透光性基板内で、光反射層に向かう光は光反射層において反射され、光放射面L2から放射される。
【0028】
上記有機EL素子の一例として、図3の断面図に示すものを挙げることができる。図3に示す有機EL素子11は、透光性基板の光放射面に対向する面の発光部設置面を除く部分と側面上に、光反射層7を有し、更に、光放射面に対向する面全面(光反射層及び発光部設置面)上に樹脂製の絶縁層8を有する。図3においてはその他、図2と同符号で示すものは、図2に示す有機EL素子を構成するものと同じものを示す。有機EL素子11においては、光反射層と透光性電極層との導通を回避することができることから、光反射層を設ける領域は発光部設置面L1から後退させる必要がなく、断面において透光性電極層の端部の位置までとすることができる。このため、透光性基板からの光の漏洩の抑制効果が高く、例えば、光放射面からの放射される光量は、発光層で発生される光量の97%以上とすることができる。また、酸化されやすい鏡面金属膜であっても、長期に亘って酸化が抑制され、発光部設置面L1から透光性基板に入射した光の光束を光放射面からその減少を抑制して放出させ得る。
【0029】
上記有機EL素子の製造方法の一例を以下に説明する。
【0030】
透光性基板の発光部を設置する面及び光放射面を除き、光反射層となる鏡面金属膜を積層する。鏡面金属膜上に、絶縁層である樹脂層を積層する。その後、透光性基板の発光部設置面上に透光性電極層を作製する。透光性電極層は、真空スパッタ法、真空蒸着法等により、透光性電極層用材料を薄膜状に積層し、フォトリソグラフィーを用いて所望の形状に作製する。フォトリソグラフィーによる透光性電極層の形成は、透光性電極層用材料の薄膜上に、例えば、フェノールノボラック樹脂等のレジストを塗布し、パターンを形成したマスクを介して露光後、レジストを現像し、その後、エッチングにより透光性電極層用材料の薄膜をパターン形状に形成することにより行うことができる。エッチングはウェットエッチング又はドライエッチングいずれでもよいが、塩酸及び硝酸の混合溶液等によるウェットエッチングによることができる。また、パターンに形成した透光性電極上に残留するレジストはモノエタノールアミン等により溶解除去することができる。透光性電極層は一端を延長して設け、外部電源を接続する配線部材との接続部を形成するようにしてもよい。
【0031】
続いて発光層を作製する。発光層は、α−NPD等の正孔輸送層用材料、Alq等の有機EL層用材料、電子輸送層用材料を用いてインクジェット印刷法、真空スパッタ法、真空蒸着法等により順次薄膜を形成し、正孔輸送層、有機EL層、電子輸送層等を積層して作製することができる。
【0032】
発光層上に遮光性電極層を作製する。遮光性電極層は、マグネシウム銀等の遮光性電極層用材料を用いて、真空蒸着法で薄膜を積層して形成する。遮光性電極層も、透光性電極層の延設方向と直交する方向に延設し、端部を透光性基板上に積層し、配線部材との端子を形成してもよい。
【0033】
その後、銅箔を積層したポリイミドフィルムを、透光性電極層の接続部に熱圧着して接続し、また、遮光性電極層の一部に同様の接続部材を接続し、有機EL素子を得る。
【0034】
上記蒸着法においては、蒸着マスクを介することにより、所望の形状の薄膜を積層することができる。
【0035】
本発明の照明器具は、上記有機EL素子を有するものであれば、いずれのものであってもよい。図4に示すように、有機EL素子11の複数を平面状に配列し、面状光源としたものである。有機EL素子を形成する透光性基板の光放射面L2の周囲には、必要に応じて、樹脂や金属等の反射膜を設けることができる。反射膜は蒸着等により形成することができる。更に、図示はしないが、点灯回路、点灯回路の制御回路等を設けた基板を備え、この基板の接続端子に、有機EL素子10の透光性電極や遮光性電極に接続される配線部材を接続し、外部電源を有機EL素子に供給するようにしてもよい。
【実施例】
【0036】
以下に、本発明の有機EL素子を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されない。
参考例1]
100mm×100mm、厚さ0.7mmの透光性基板の発光部を設置する発光部設置面を除いた部分と、側面に、スパッタにより光反射層を形成した。光反射層を設けなかった発光部設置面に、真空スパッタ法によりITOの薄膜を100nmの厚みに形成した。次に、フォトリソグラフィー法により、パターニングして透光性陽極層を形成した。続いて透光性陽極層上に、真空蒸着法にて蒸着速度を毎秒0.15nmとし、正孔輸送層としてα−NPDを50nm、発光層としてAlqを70nm、そして、陰極電極としてマグネシウムと銀を蒸着速度比10:1で共蒸着により150nmの薄膜を順次形成した。続いて、櫛歯状にパターニングした接続部と陰極電極それぞれに、幅2mmのポリイミドフィルムの端部に85mmの銅箔を添着したポリイミドフィルムを320℃にて熱圧着し、有機EL素子を調製した。
【0037】
[比較例]
光反射層を設けなかった以外は実施例1と同様にして有機EL素子を調製した。
【0038】
得られた有機EL素子の光放射面からの光束を測定したところ、実施例の有機EL素子の光放射面から放出される光束量は、比較例の有機EL素子の光放射面から放出される光束量と比較して、1.054倍であり、光反射層を設けることにより、光放射面から放出される光束量は5%の増加が確認された。
【符号の説明】
【0039】
1 透光性基板
2 透光性電極層
3 発光層
4 遮光性電極層
5 発光部
7 光反射層
10、11 有機EL素子
L1 発光部設置面
L2 光放射面
図1
図2
図3
図4