【実施例】
【0036】
以下、本発明によるSnめっき材およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0037】
[実施例1]
まず、素材(被めっき材)として、(ミツトヨ株式会社製のビッカース硬度計により荷重0.5kgfで測定した)ビッカース硬さが105で長さ100mm×幅60mm×厚さ0.4mmの純銅板(無酸素銅C1020)を用意し、前処理として、電解脱脂を行った後に水洗し、その後、酸洗した後に水洗した。
【0038】
また、硫酸Sn(SnSO
4)60g/Lと硫酸(H
2SO
4)75g/Lとクレゾールスルホン酸30g/Lとβナフトール1g/Lを含有する1Lの水溶液に空気を1L/分の流量で150分間吹き込んで酸化Sn1g/Lを生成させてめっき浴を作製した。なお、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって、生成した物質がSnと酸素(O)で構成される物質であることを確認した。また、めっき浴中の酸化Snの生成量は、空気の吹き込み量(L/分)と吹き込み時間(分)を調整して酸化Snを生成させた後に、ろ紙(ADVANTEC社製のGA−100(保留粒子径1.0mm))によりろ過して液中の固体分を採取し、扇風機で24時間乾燥させて重量を測定することによって定量した。
【0039】
次に、前処理済の素材とSn板を40mm離間させて1Lビーカーに配置し、作製しためっき浴1Lをビーカーに入れ、ビーカー中のスターラーを300rpmで回転させてめっき浴を攪拌し、液温20℃に制御し、素材およびSn板をそれぞれ陰極および陽極として、電流密度7A/dm
2で43秒間通電して、素材の両面のそれぞれ長さ50mm×幅60mmの領域にSnめっき層を形成した。
【0040】
このように素材上にSnめっき層を形成したSnめっき材を水洗し、Snめっき材の表面をドライヤーで50℃に加熱して1分間乾燥させた後、1分以内にSnめっき材のリフロー処理を行った。このリフロー処理(Sn溶融処理)は、近赤外線ヒーター(ハイベック社製)によって大気雰囲気においてSnめっき材を加熱して、Snめっき層の表面が溶融した後、10秒以内に温度20℃の水槽内に浸漬して冷却した。
【0041】
このようにリフロー処理を行ったSnめっき材の表面に、プレスや切断加工などの塑性加工に使用する潤滑油(JX日鉱日石エネルギー株式会社製のユニプレスPA5)50mg/dm
2を塗布した。なお、潤滑油の塗布量は、電子天秤を用いて測定した。
【0042】
このようにリフロー処理を行った後に潤滑油を塗布したSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
リフロー処理前のSnめっき材について、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。
【0045】
Snめっき層の厚さ(電析厚さ)は、蛍光X線膜厚計(セイコーインスツル株式会社製)を用いて測定し、電析Snの結晶粒度は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)により得られる二次電子像(SEI)を用いてSnめっき層の表面を倍率5000倍に拡大して切断法(JIS H0501)によって求めた。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.9μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.9であった。これらの結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。
【0048】
微小凹部の面積については、電子線マイクロアナライザ(EPMA)により得られる二次電子像(SEI)を用いて表面を倍率3000倍に拡大して、表面に形成された凹部の面積が10μm
2以下であるか否かを判定した。また、微小凹部の深さは、原子間力顕微鏡(AFM)(日本電子株式会社製のJSPM5400)を用いて計測し、微小凹部の数は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)により得られる二次電子像(SEI)を用いて表面を倍率3000倍に拡大して35μm×45μm(=1575μm
2)の領域で計測した。その結果、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数は200個であった。
【0049】
表面の光学濃度は、反射濃度計(マクベス社製のRD918)を用いて測定した。この光学濃度の数値が低い程、表面の光沢度が低いことを意味している。その結果、表面の光学濃度は0.5であった。
【0050】
純Sn層の厚さは、電解式膜厚計(中央製作所製のTH11)を用いて測定した。また、Cu−Sn化合物層の厚さは、純Sn層と同様に電解式膜厚計を用いて測定し、純Sn層の厚さの測定後に再測定を行って計測表示される値をCu−Sn化合物層の厚さとした。その結果、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。なお、集束イオンビーム(FIB)を用いてめっき断面を露出させ、走査イオン顕微鏡(SIM)で断面観察を行ったところ、純Sn層およびCu−Sn化合物層の厚さはいずれも電解式膜厚計で測定した厚さと同じであった。
【0051】
これらの結果を表3に示す。なお、表3において、リフロー処理後のSnめっき材の表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数が0〜9個の場合を×、10〜49個の場合を△、50〜99個の場合を○、100個以上の場合を◎で示している。
【0052】
【表3】
【0053】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。
【0054】
雄端子と雌端子の嵌合時の挿入力は、端子接圧が一定の場合に表面の摩擦係数と相関があることから、摩擦係数を測定して挿入力を評価した。摩擦係数(μ)は、リフロー処理後のSnめっき材から切り出した平板状の試験片に潤滑油を塗布して雄端子とし、Cu−1.0質量%Ni−0.9質量%Sn−0.05質量%Pのからなるビッカース硬さ180の銅合金板に厚さ1.0μmのSnめっき層を形成た後にリフロー処理して厚さ0.6μmの純Sn層の下層に厚さ0.8μmのCu−Sn層が形成されたリフローSnめっき材(微小凹部数0個)を卓上プレス機によりインデント加工(R=1.5mm)して(潤滑油を塗布しない)雌端子とし、電気接点シミュレータとステージコントローラとロードセルとロードセルアンプを組み合わせた装置(株式会社山崎精機研究所製)を使用して、ステージに固定した平板状の雄端子にインデント加工した雌端子を負荷荷重300gf、摺動速度60mm/分で7mm滑らせ、摺動距離1mmから5mmまでの4mmの区間でロードセルアンプによって検出された摺動時の力の平均値(F)を負荷荷重(N)で除して、μ=F/Nから算出した。その結果、摩擦係数は0.15であった。
【0055】
はんだ濡れ性の評価は、潤滑油塗布後のSnめっき材から幅10mm、長さ60mmの試験片をプレスで打ち抜いて、ソルダーチェッカ(株式会社レスカ製のSAT−5200)を用いて、85℃で相対湿度85%の環境下に24時間放置した後に、非活性フラックスを塗布し、260℃に保持したPbフリーはんだ(Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cu)槽に浸漬速度4mm/sで長さ4mmの部分を10秒間浸漬して、めっき面を外観観察することにより、試験片のはんだに浸漬した表面積に対するはんだで濡れた部分の面積(はんだ濡れ率)を求めることによって行った。その結果、はんだ濡れ率は95%であり、はんだ濡れ性は良好であった。
【0056】
接触信頼性の評価は、潤滑油塗布後のSnめっき材から切り出した試験片を大気雰囲気下において120℃の恒温槽内に120時間保持した後に恒温槽から取り出し、20℃の測定室において試験片の表面の接触抵抗値を(高温放置後の接触抵抗値)測定することによって行った。接触抵抗値の測定は、マイクロオームメータ(株式会社山崎精機研究所製)を使用して、開放電圧20mV、電流10mA、直径0.5mmのU型金線プローブ、最大荷重100gf、摺動有り(1mm/100gf)の条件で5回測定して、(最大荷重100gfが加えられたときの)平均値を求めた。その結果、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。
【0057】
これらの結果を表4に示す。なお、表4において、はんだ濡れ率が90%以上ではんだ濡れ性が良好な場合を○、はんだ濡れ率が90%未満ではんだ濡れ性が良好でない場合を×で示し、高温放置後の接触抵抗値が2mΩ以下で接触信頼性が良好な場合を○、高温放置後の接触抵抗値が2mΩより高く接触信頼性が良好でない場合を×で示している。
【0058】
【表4】
【0059】
[実施例2]
Snめっき層を形成する際の通電時間を34秒間としてSnめっき層を薄くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0060】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは0.8μm、電析結晶粒度は0.8μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.0であった。これらの結果を表2に示す。
【0061】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は220個、表面の光学濃度は0.5、純Sn層の厚さは0.4μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.6μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0062】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.14、はんだ濡れ率は90%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.2mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0063】
[実施例3]
Snめっき層を形成する際の通電時間を64秒間としてSnめっき層を厚くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0064】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.5μm、電析結晶粒度は1.5μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.0であった。これらの結果を表2に示す。
【0065】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は120個、表面の光学濃度は0.7、純Sn層の厚さは1.0μm、Cu−Sn化合物層の厚さは1.0μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0066】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.19、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は0.9mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0067】
[実施例4]
潤滑油の塗布量を20mg/dm
2と少なくした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0068】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.9μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.9であった。これらの結果を表2に示す。
【0069】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は200個、表面の光学濃度は0.5、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0070】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.19、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0071】
[実施例5]
潤滑油の塗布量を300mg/dm
2と多くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0072】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.9μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.9であった。これらの結果を表2に示す。
【0073】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は200個、表面の光学濃度は0.5、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0074】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.14、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0075】
[実施例6]
空気の吹き込み時間を30分間としてめっき浴中の酸化Snの生成量を0.2g/Lと少なくした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0076】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は1.1μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.1であった。これらの結果を表2に示す。
【0077】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は80個、表面の光学濃度は0.8、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0078】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.24、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0079】
[実施例7]
空気の吹き込み時間を600分間としてめっき浴中の酸化Snの生成量を4g/Lと多くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0080】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.9μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.9であった。これらの結果を表2に示す。
【0081】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は240個、表面の光学濃度は0.4、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0082】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.15、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0083】
[実施例8]
Snめっき層を形成する際の電流密度を3A/dm
2と低くし且つ通電時間を100秒間と長くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0084】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は1.3μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.3であった。これらの結果を表2に示す。
【0085】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は60個、表面の光学濃度は0.8、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0086】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.24、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0087】
[実施例9]
Snめっき層を形成する際の電流密度を12A/dm
2と高くし且つ通電時間を25秒間と短くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0088】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.8μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.8であった。これらの結果を表2に示す。
【0089】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は260個、表面の光学濃度は0.4、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0090】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.14、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0091】
[比較例1]
めっき浴中に酸化Snを生成させず、Snめっき層を形成する際の電流密度を2A/dm
2と低くし且つ通電時間を150秒間と長くし、リフロー処理前にSnめっき材の表面を乾燥しないで表面が濡れたまま1分以内にリフロー処理を行い、潤滑油を塗布しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0092】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は1.8μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.8であった。これらの結果を表2に示す。
【0093】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は0個、表面の光学濃度は1.4、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0094】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.36、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0095】
[比較例2]
めっき浴中に酸化Snを生成させず、Snめっき層を形成する際の電流密度を2A/dm
2と低くし且つ通電時間を150秒間と長くし、リフロー処理前にSnめっき材の表面を乾燥しないで表面が濡れたまま1分以内にリフロー処理を行った以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0096】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は1.8μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.8であった。これらの結果を表2に示す。
【0097】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は0個、表面の光学濃度は1.4、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0098】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.28、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0099】
[比較例3]
潤滑油を塗布しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0100】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.9μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.9であった。これらの結果を表2に示す。
【0101】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は200個、表面の光学濃度は0.5、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0102】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.36、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0103】
[比較例4]
Snめっき層を形成する際の通電時間を17秒間としてSnめっき層を非常に薄くした以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0104】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは0.4μm、電析結晶粒度は0.4μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.0であった。これらの結果を表2に示す。
【0105】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は0個、表面の光学濃度は1.2、純Sn層の厚さは0.1μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.5μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0106】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.22、はんだ濡れ率は70%ではんだ濡れ性が悪く、高温放置後の接触抵抗値は5.5mΩで接触信頼性が良好でなかった。これらの結果を表4に示す。
【0107】
[比較例5]
リフロー処理前にSnめっき材の表面を乾燥しないで表面が濡れたまま1分以内にリフロー処理を行った以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0108】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は0.9μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは0.9であった。これらの結果を表2に示す。
【0109】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は10個、表面の光学濃度は1.2、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0110】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.27、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。
【0111】
[比較例6]
空気を吹き込まないでめっき浴中に酸化Snを生成させなかった以外は、実施例1と同様の方法により、Snめっき材を作製した。このSnめっき材の製造条件を表1に示す。
【0112】
また、リフロー処理前のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、Snめっき層の厚さ(電析厚さ)を測定し、電析Snの結晶粒度を求め、電析結晶粒度/電析厚さを算出した。その結果、電析厚さは1.0μm、電析結晶粒度は1.4μmであり、電析結晶粒度/電析厚さは1.4であった。これらの結果を表2に示す。
【0113】
また、リフロー処理後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面に形成された面積10μm
2以下で深さ0.1μm以上の微小凹部の数を計測し、光学濃度を測定し、純Sn層の厚さおよびCu−Sn化合物層の厚さを測定した。その結果、微小凹部の数は30個、表面の光学濃度は1.1、純Sn層の厚さは0.6μm、Cu−Sn化合物層の厚さは0.8μmであった。これらの結果を表3に示す。
【0114】
また、潤滑油塗布後のSnめっき材について、実施例1と同様の方法により、表面の摩擦係数を算出し、はんだ濡れ性を評価し、接触信頼性を評価した。その結果、摩擦係数は0.27、はんだ濡れ率は95%ではんだ濡れ性が良好であり、高温放置後の接触抵抗値は1.0mΩで接触信頼性が良好であった。これらの結果を表4に示す。