【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を解決するために、本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1) 骨折治療法又は骨接合術であるテンションバンドワイヤリング法に使用する器具であって、
ワイヤと、固定用ピンと、前記ワイヤと固定用ピンの基端部を固定し保持する結合具と、を備えている、テンションバンドワイヤリング法に使用する器具である。
【0014】
(2) 結合具は、所要長さの主体を有し、該主体は、主体の長手方向において、平面を異にし且つ主体の軸に対して直交又は略直交する第1の挿通要素と第2の挿通要素を有し、
ワイヤ又は固定用ピンの何れか一方は前記第1の挿通要素又は第2の挿通要素の何れか一方の挿通要素に挿通され、他方は残りの挿通要素に挿通されるものであり、
前記挿通要素をそれぞれ貫通する前記ワイヤ及び固定用ピンは、主体の長手方向両側からそれぞれワイヤ及び固定用ピンに向かう押さえ込み具で押さえ込まれて前記主体に結合されるものである、前記(1)記載のテンションバンドワイヤリング法に使用する器具である。
【0015】
(3) 挿通要素が、主体を貫通する挿通孔、又は主体の両端からワイヤ及び固定用ピンの押さえ込み位置まで形成された、主体を貫通する溝状孔である、前記(2)のテンションバンドワイヤリング法に使用する器具である。
【0016】
(4) ワイヤと固定用ピンの少なくとも二つの構成材からなるテンションバンドワイヤリング法において、前記ワイヤと固定用ピンとの結合に使用する結合具であって、
外周面に雄ネジを有する棒状の主体と、
該主体の軸を中心に外方に突出し表裏両側に座面を有する鍔状の座体と、
前記主体の雄ネジと螺合する雌ネジを有する少なくとも二つのナット要素と、
を有し、
前記主体は、外周面に主体を貫通する第1の挿通要素と第2の挿通要素を有し、該第1の挿通要素と第2の挿通要素は、前記座体を間にし座体の両側の座面に沿って設けられており、
前記ワイヤ又は固定用ピンの何れか一方は前記第1の挿通要素又は第2の挿通要素の何れか一方の挿通要素に挿通され、他方は残りの挿通要素に挿通されるものであり、
前記挿通要素をそれぞれ貫通する前記ワイヤ及び固定用ピンは、前記主体の両端側から前記ナット要素で前記座体に押さえ込まれて前記主体と結合される、結合具である。
【0017】
(5) 座体及び/またはナット要素が円板状、楕円板状または多角板形状である前記(4)記載の結合具である。
【0018】
(6) 座体の表裏両側の座面には、第1の挿通要素及び第2の挿通要素に沿って固定用溝が設けられている、前記(4)又は(5)記載の結合具である。
【0019】
(7) ワイヤと固定用ピンの少なくとも二つの構成材からなるテンションバンドワイヤリング法において、前記ワイヤと固定用ピンとの結合に使用する結合具であって、
長手方向の両端面に開口部を有し、該開口部に連なり内周面に雌ネジを有する中空部を有する管状の主体と、
外周面に前記中空部の雌ネジと螺合する雄ネジを有するボルト要素と、
を有し、
前記中空部は非貫通部分である隔壁を有し、
前記主体は、外周面に主体の中空部を貫通する第1の挿通要素と第2の挿通要素を有し、該第1の挿通要素と第2の挿通要素は、前記隔壁を間にし隔壁の両壁面に沿って設けられており、
前記ワイヤ又は固定用ピンの何れか一方は前記第1の挿通要素又は第2の挿通要素の何れか一方の挿通要素に挿通され、他方は残りの挿通要素に挿通されるものであり、
前記挿通要素をそれぞれ貫通する前記ワイヤ及び固定用ピンは、前記主体の両端側から前記ボルト要素で前記隔壁に押さえ込まれて前記主体と結合される、結合具である。
【0020】
(8) ワイヤと固定用ピンの少なくとも二つの構成材からなるテンションバンドワイヤリング法において、前記ワイヤと固定用ピンとの結合に使用する結合具であって、
長手方向の両端面に開口部を有し、該開口部に連なり内周面に雌ネジを有する中空部を有する管状の主体と、
外周面に前記中空部の雌ネジと螺合する雄ネジを有するボルト要素と、
を有し、
前記中空部は一端から他端まで貫通しており、
前記主体は、外周面に主体の中空部を貫通し平面を異にする第1の挿通要素と第2の挿通要素を有し、
前記ワイヤ又は固定用ピンの何れか一方は前記第1の挿通要素又は第2の挿通要素の何れか一方の挿通要素に挿通され、他方は残りの挿通要素に挿通されるものであり、
前記挿通要素をそれぞれ貫通する前記ワイヤ及び固定用ピンは、前記主体の両端側から前記ボルト要素で押さえ込まれて前記主体と結合される、結合具である。
【0021】
(9) 主体の外周面に手指の掛かり要素及び/又は工具との嵌合要素を有し、ボルト要素の雄ネジ部分を除く外面又は外端面に工具との嵌合要素を有する、前記(7)又は(8)記載の結合具である。
【0022】
(10) 主体の手指の掛かり要素又は嵌合要素が、主体の外周面の一部に形成されている平面又は主体の外周面の全面に亘って形成されている多角面である、前記(9)記載の結合具である。
【0023】
(11) ボルト要素の外端面に、ドライバの嵌合溝又は嵌合穴を有する、前記(7)乃至(10)のいずれかの一つに記載の結合具である。
【0024】
(12) 第1の挿通要素と第2の挿通要素が交差状に配置されている前記(4)乃至(11)のいずれかの一つに記載の結合具である。
【0025】
(13) 交差状に配置された第1の挿通要素と第2の挿通要素は直交している前記(12)記載の結合具である。
【0026】
(14) 挿通要素が、主体を貫通する挿通孔、又は主体の両端部からワイヤ及び固定用ピンの押さえ込み位置まで形成された、主体を貫通する溝状孔である、前記(4)乃至(13)の何れかの一つに記載の結合具である。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲において、「主体」は所要長さを有するものであり、その基本的な形状の例として、棒状又は管状をあげることができる。棒状の主体は外周面に雄ネジを有し、管状の主体は長手方向の両端面に開口部を有し、該開口部に連なる中空部の内周面に雌ネジを有する。
【0028】
また、「ナット要素」の用語は、ナットを含み、棒状の主体にねじ込んでワイヤ又は前記固定用ピンを締め付けできるものを総称する意味で使用している。
同様に、「ボルト要素」の用語はボルトを含み、管状の主体にねじ込んでワイヤ又は前記固定用ピンを締め付けできるものを総称する意味で使用している。
【0029】
同様に「座体」の用語は、棒状の主体の、好ましくは長手方向の中央部に固定的に取り付けられ、又は主体と一体化して設置されている部分を指称して使用している。座体は、主体の軸から外方に向けて突出し、主体の断面積より大きな断面積を有し、挿通要素に挿入され貫通している固定用ピン及びワイヤをナット要素で押さえこんだ場合の受け面である座面を有している。
【0030】
なお、ナット要素を二つの挿通要素の間に設置することでも座体となり得るが、座体が動くと、施術の際に各結合要素を固着するための操作に支障をきたし、施術を効率的に行う阻害要因になる恐れが生じる場合もあり得る。したがって、ナット要素は前記した主体の位置から動かないように固定されるか、固定されているのと同様な状態であるのが好ましい。
【0031】
同様に「隔壁」の用語は、管状の主体の、好ましくは長手方向の中央部に位置し、中空部が連なるのを隔てる部分を指称して使用している。隔壁の両面は、挿通要素に挿入され貫通している固定用ピン及びワイヤをボルト要素で押さえこんだ場合の受け部となれば、中空部が完全に隔てられても、部分的(例えば内周面から中心に向けて円環状のものが突出する場合を含む。)に隔てられてもよい。
【0032】
挿通要素の貫通する軸線は、通常直線的に形成されるが、構成材の使用状況に合わせて曲線的に形成しても良い。
【0033】
第1の挿通要素及び第2の挿通要素の軸線は、必ずしも交差していなくても差し支えないが、交差、好ましくは直交していた方が、施術時における操作はよりし易くなる。
【0034】
テンションバンドワイヤリング法に使用する器具は、体内に残ることから、チタニウムやステンレス鋼など、インプラント材料と同等の材質であることが推奨される。
【0035】
本発明に係る結合具は、前記し及び後記する
図1に示す第1の実施の形態のように、外周面に雄ネジを有する棒状の主体と、該主体の軸を中心に外方に突出し表裏両側に座面を有する鍔状の座体と、前記主体の雄ネジと螺合する雌ネジを有する少なくとも二つのナット要素と、を有し、前記主体は、外周面に主体を貫通する第1の挿通要素と第2の挿通要素を有し、該第1の挿通要素と第2の挿通要素は、前記座体を間にし座体の両側の座面に沿って設けられており、前記ワイヤ又は固定用ピンの何れか一方は前記第1の挿通要素又は第2の挿通要素の何れか一方の挿通要素に挿通され、他方は残りの挿通要素に挿通されるものであり、前記挿通要素をそれぞれ貫通する前記ワイヤ及び固定用ピンは、前記主体の両端側から前記ナット要素で前記座体に押さえ込まれて前記主体と結合される構成を有する。
【0036】
前記のように主体は、軸の中央部から外方に向けて突出した座体を有する。該座体は鍔状に形成されていることが好ましい。主体は全長又は座体部分を除いた略全長に亘って、出来るだけ座体面に近接する位置まで、雄ネジを有するボルト構造を有していることが好ましい。雄ネジは挿通孔の上部まで、もしくは、挿通孔の途中まで形成されているものでも、前記ナット要素でワイヤ又は固定用ピンが前記座体に押さえ込まれて前記主体と結合される機能を果たせば充分である。
【0037】
長手方向を上下方向とした場合において、主体の座体部分の直上及び直下には、それぞれ、ワイヤ及び固定用ピンを通すための挿通要素が、主体の軸方向に対して直角に貫通して設けられている。本発明に係る結合具では、二つの挿通要素の一つにワイヤを通し、他の一つに固定用ピンを通して使用する。
【0038】
二つの挿通要素にそれぞれ挿通されたワイヤ及び固定用ピンは、前記座体の座面と、前記ナット要素の座面により挟み込まれ、かつナット要素により押さえこまれることにより、座体に固定され結合具と一体となり、該結合具を介してワイヤ及び固定用ピンを一体的に結合する。その際に、ナット要素と座体との間にワッシャーや座金を装着すると、ナット要素が外れにくくなることから、ワッシャーや座金等の使用も推奨される。
【0039】
ナット要素の形態は、中心部分に形成された嵌合孔の内面に、前記主体の雄ネジに対応する雌ネジを有する板状体である。ナット要素の外形の形態は特に限定されることはないが、手又は工具による回転により締め易い形状が推奨される。
【0040】
その形状として具体的には、円板状、楕円板状、多角形板状等が例示され、形状が円板状や楕円板状である場合には、該円板の側面に細かい凹凸を設け、手又は工具の引っかかりを良くした側面形状や、円板の側面に少なくとも一つの孔を設け、該孔が回転用工具引っ掛かり部分となる構造等が推奨される。
【0041】
円板の側面の一部を削り取り、少なくとも二つの平行側面を形成し、該平面が手や回転工具の引っかかり部分を形成する形状も推奨される。また、多角形板状も同様に、手や工具が引っ掛かり易いことから推奨される。より好ましい若しくは入手し易いものとして6角板状のナットが例示される。
【0042】
主体の中央部に設置される鍔状の座体の形状は、ナット要素との相互作用により、前記挿通要素に挿通された固定用ピン及びワイヤを挟み込むことにより固定できる形状であれば特に限定はされない。
【0043】
具体的には、座体の外形は、円板状、楕円板状、多角形板状のものが推奨され、形状が円板状や楕円板状である場合には、該円板の側面に細かい凹凸を設け、手や、工具の引っかかりを良くした側面形状や、円板の側面に少なくとも一つの孔を設け、該孔が回転用工具引っ掛かり部分となる構造等が推奨される。また、円板の側面の一部を削り取り、少なくとも二つの平行側面を形成し、該平面が手や回転工具の引っかかり部分を形成する形状が推奨される。更に、多角形板状も同様に、手や工具が引っ掛かり易いことから推奨される。
【0044】
座体の表裏両側の座面に挿通要素と同一の向きに沿って、溝を設けることも推奨される。溝を設けることによって、座体とナット要素によって挟み込まれたワイヤ及び/または固定用ピンは、外側面の一部が溝内に沈み込むために、ワイヤ及び/または固定用ピンが、より確実に結合具によって固定され結合されることとなる。
溝の形状は、三角状、四角状等の多角形の形状、半円状等の形状が推奨される。これらの形状の溝に、ワイヤ及び/または固定用ピンが部分的に埋設されるようにする。
【0045】
溝の深さとしては、ワイヤ及び/または固定用ピンのそれぞれに対応する直径(太さ)以下であることが推奨される。更に好ましくは、これらのそれぞれに対応する直径の1/2以下であることが推奨される。従って、溝の幅についても同様に、ワイヤ及び/または固定用ピンの直径以下、さらに好ましくは直径の1/2以下であることが推奨される。
【0046】
溝の深さが、ワイヤ及び/または固定用ピンの直径を超えてしまうと、実質的に、溝内にこれら、ワイヤ及び/または固定用ピンが完全に埋設されてしまう場合があり、ナット要素による押さえつけが出来なくなり、この結果固定が出来なくなる場合が生じる。また、溝の幅がこれらのそれぞれに対応する直径よりも狭ければ、完全にワイヤ及び/または固定用ピンは埋設されることはなく固定は可能であるが、溝が深ければ、その分座体の厚みを増すこととなり、その結果、結合具自体が、必要以上に大きくなり、好ましくない結果をもたらす恐れがある。
【0047】
溝の幅についても、ワイヤ及び/または固定用ピンのそれぞれに対応する直径よりも大きい場合は、実質的に溝を設けた効果が発揮できない恐れがある。そのため好ましくは、ワイヤ及び/または固定用ピンのそれぞれに対応する直径以下、さらに好ましくは直径の1/2以下が推奨される。この幅を設定することで、座体とナット要素による締め付け・挟み込みにより、ワイヤ及び/または固定用ピンと座面との接触による引っかかりがよくなり、締め付け時にワイヤ及び/または固定用ピンが座面上でずれることを防止することが出来る。
【0048】
次に、挿通要素の一つである主体を貫通する挿通孔について説明する。挿通孔の形状としては、円形、楕円形、多角形のいずれの形状でも差し支えない。ワイヤ及び固定用ピンのぞれぞれが、それぞれに対応する穴に挿通できればよいが、ワイヤ及び固定用ピンの形状(断面形状)が円形であること、また、最小の孔径で所望の機能を発揮すること等の観点から、円形であることが好ましい。
【0049】
挿通孔は、ワイヤ及び固定用ピンが、ナット要素の抑え込みにより、それぞれが、効率よく座体の座面と充分な接触が行える位置に設ければ、設置位置は、特に限定はしない。ワイヤ及び固定用ピンが、ナット要素の抑え込みにより、それぞれが、効率よく座体の座面と充分な接触が行える位置に設ければよく、座体が水平状態にあれば座面の直上及び直下に設けることが好ましい。
【0050】
具体的には、ワイヤ用挿通孔、固定用ピン用の挿通孔のそれぞれの、座体との近接に関して、該孔の縁部分と座面がほぼ接する位置であることが好ましい。具体的には、座面と該孔縁との最小距離が0(接する状態)から孔に挿通する、対応するワイヤの直径及びの固定用ピン直径のそれぞれ3倍以下の距離であることが好ましい。さらに好ましくは、接しているか、1倍以下であることが推奨される。
【0051】
座面と孔縁との距離が余りに離れていると、ナット要素で抑え込む際に、ワイヤや固定用ピンの撓みに対する抵抗力等によって座面との接触が不十分或いは接触しないこととなり、ワイヤや固定用ピンの結合具による固定が不十分となる恐れがある。
【0052】
挿通孔の位置が座面よりも深くなった場合には、孔径の大きさによっては、ワイヤや固定用ピンの挿通が出来なくなったりする恐れがある。
ただし、座面に前記した溝が設けられている場合は、溝の形態(例えば、挿通孔と同一の形態)によっては、溝の深さまで孔の位置を下げることも可能である。
【0053】
また、これら挿通のための挿通孔の大きさは、操作的にワイヤ及び固定用ピンがそれぞれの孔に挿通し易い大きさである必要があり、挿通できる大きさであれば特にその大きさは限定されないが、ワイヤ及び固定用ピンの断面径と同一の大きさであれば、操作上、実質的に挿通することが不可能であり、幾分断面径よりも大きくする必要がある。
【0054】
また、これらの断面径に対してあまりに大きくすれば、座体とナット要素による挟みつけをすることはできるが、棒状体のボルト部の大きさが過大となり、それに付随してナット要素の外径も過大となり、結合具が大きくなって患者への違和感等の問題から、使用に適さない恐れがある。
【0055】
具体的には、ワイヤ挿通用及び固定用ピン挿通用の挿通孔の孔径は、それぞれ、使用するワイヤ及び固定用ピンのそれぞれ対応する断面直径の長さの、少なくとも101%以上、300%以下、さらに好ましくは105%以上250%以下の範囲でそれぞれの孔径であることが推奨される。ワイヤと固定用ピンの断面径は後記するように通常異なるが、この範囲であれば、双方の孔大きさを同一として使用することもできる。
【0056】
次に挿通要素の一つである溝状孔について説明する。
溝状孔は、主体の両端からワイヤ及び固定用ピンの押さえ込み位置まで形成されており、主体を側面方向から貫通する。前記押さえ込み位置は、主体が棒状体で座体を有するものは、溝状孔の内端が、座面と面一になるように設けることが好ましい。具体的には、座面と溝状孔の内端縁との最小距離が0(接する状態)となる位置である。
【0057】
次に棒状の主体について更に説明する。主体は外周面に雄ネジを有し、長手方向の中央部に鍔状に突出した座体を有する。主体の直径は特に限定されないが、構造上、必然的に挿通要素の直径又は溝幅よりも大きくなる。また、余りに大きくすれば、結合具自体の大きさが過大となり好ましくない。
従って、主体の直径は、挿通要素の直径又は溝幅に比較して120%以上が推奨され、好ましくは150%以上が推奨される。主体の直径が挿通要素の直径又は溝幅の500%を超えることは結合具が過大となり、患者への違和感等の問題から、使用に適さない恐れがある。
【0058】
また、座体の両側に位置する雄ネジ部分の長さは特に限定されず、それぞれのナット要素と座体により挟み・押さえつけた状態で、ナット要素が外れないで十分にその機能を発揮できる長さである必要がある。余りに長くすれば前記した、結合具が過大となり、患者への違和感等の問題から、使用に適さない恐れがある。
具体的には、座体を間にして両側に位置する雄ネジ部分の長さは、前記の挿通要素の直径又は溝幅の2倍以上の長さであることが好ましく、更に好ましくは3倍以上の長さであることが推奨される。然しながら10倍以上の長さでは、結合具が過大となる恐れがある。
【0059】
座体については、その厚さは、挿通要素に挿通した、ワイヤ及び固定用ピンを、ナット要素で締め付けて押さえこんだ際、座体とナット要素が抑え込みの力によって変形しない厚さとなることが好ましい。ただし、変形したとしても、挟み込み、固定は可能であるが、操作的な問題や、時間の経過とともに挟み込みによる固定化が不完全となる恐れがある。
【0060】
具体的には、材質の強度や硬さにもよるが、操作上の観点等も考慮し、たとえば材質としてステンレスを用いた場合には、挿通要素の直径の長さの1/10以上の厚さであることが好ましい。更に好ましくは1/5以上であることが推奨される。また、挿通要素の直径の長さの2倍を超えない厚みであることも推奨される。
【0061】
座体は、円形、楕円形、多角形等の形状で主体の中央部に鍔状に突出して設けられているが、その大きさは、主体の直径よりも当然大きくする必要がある。少なくとも、挿通されたワイヤ及び固定用ピンがナット要素によって押さえつけられ、座体と接触する部分については、主体よりはみ出た座面を構成させる必要がある。
具体的には、挟み込み・抑えつけによって、固定が有効に行えるように、少なくとも、該座体における最大径が、主体径の1.2倍以上3倍以下であることが好ましい。
【0062】
また、主体は、座体の座面から主体の両端部に至る全てにおいて雄ネジを設けた構造とすることが好ましい。加工上の問題等により、前記構造とすることが困難な場合は、少なくともワイヤ及び固定用ピンをナットにより十分に抑えることが出来る位置までは雄ネジ構造を必要とする。
【0063】
したがって、雄ネジは座体の座面から、少なくとも、ワイヤ及び固定用ピンの直径を超えないことが、ナット要素として一般的な市販の構造のナットを使用する場合には推奨される。無論、ナット要素の構造によってはこれを超えても、抑えつけによる固定が可能となる場合もある。
【0064】
ナット要素は、雄ネジに螺着し回転させて締め込み、ワイヤ及び固定用ピンをそれぞれ抑え込み固定することから、中央に主体との嵌合孔を有し、かつ嵌合孔の内面に主体の雄ネジに対応した雌ネジが形成される。また、ナット要素の大きさ(外径)は、座体の最大径と同一であることが好ましいが、幾分大きいか、幾分小さくなっても差し支えない。
【0065】
また、本発明に係る結合具の他の実施の形態として、前記し及び後記する
図5乃至7に示す実施の形態も推奨される。
他の実施の形態としては、長手方向の両端面に開口部を有し、該開口部に連なり内面に雌ネジを有する中空部を有する管状の主体と、外周面に前記中空部の雌ネジと螺合する雄ネジを有するボルト要素と、を有し、前記中空部は非貫通部分である隔壁を有し、前記主体には、外周面に主体の中空部を貫通する第1の挿通要素と第2の挿通要素を有し、該第1の挿通要素と第2の挿通要素は、前記隔壁を間にし隔壁の両壁面に沿って設けられており、前記ワイヤ又は固定用ピンの何れか一方は前記第1の挿通要素又は第2の挿通要素の何れか一方の挿通要素に挿通され、他方は残りの挿通要素に挿通されるものであり、前記挿通要素をそれぞれ貫通する前記ワイヤ及び固定用ピンは、前記主体の両端側から前記ボルト要素で前記座体に押さえ込まれて前記主体と結合される構成を有する。
【0066】
また、前記の管状の主体と異なり、中空部は一端から他端まで貫通しており、前記管状の主体は、外周面に主体の中空部を貫通し平面を異にする第1の挿通要素と第2の挿通要素を有する構成とすることもできる。
【0067】
次に、ワイヤ及び固定用ピンについて説明する。
ワイヤは、通常のテンションバンドワイヤリング法に使用するワイヤが使用出来る。市販のテンションバンドワイヤリング法で使用するワイヤを用い施療し、縛り付けた後、余分な部分を切除する。その径は、通常0.9mmである。無論、これより、小さくても、また大きくても、本発明に使用することが出来る。
【0068】
固定用ピンは、通常、キルシュナーワイヤと呼ばれるピンが使用される。キルシュナーワイヤは、通常、円柱状の鋼線(ステンレス等)で、その先端が、面取りにより、鋭利な形状となっている。先端形状は2面構成で先端が直線状にとがった形としたものや、多面形状(通常の釘状)にとがっており、先端側から骨髄内に打ち込み、基端の不要部分は切除して使用する。
具体的には、本発明では、骨髄に打ち込み、他端を曲げ結合具の挿通孔に通した後、不要部を切除して用いる。一般的に市販品のキルシュナーワイヤは、その断面直径が0.9〜2.5mmであり、通常、1.5〜2.0mmが用いられる。
【0069】
(作用)
本発明に係る結合具の作用を第1の実施の形態に対応する
図2、3を用いて具体的に説明する。
なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、あくまで内容の理解を容易にするためであって、代表的な一例を示したに過ぎず、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。また、形状等についても、これら図示した形状のみに限定されるものではない。
【0070】
骨折した骨片を元のように合わせた後、二本の固定用ピン43を骨内に並列に差して骨片を固定し、固定用ピン43の先部側にあたる骨片に穿孔した横孔45にワイヤ44を通し、これを中間部で一度交差させ、両端部440を捻り締めて固定する。
【0071】
その際に、外周面に雄ネジを有する棒状の主体10に装着されている座体20の両側に設けられている第1の挿通要素14又は第2の挿通要素16のいずれか一方の挿通要素に、ワイヤ44又は固定用ピン43の基端部430の何れか一方を挿通し、他方の挿通要素に他方の構成材を挿通する。その後、主体10の両端側からそれぞれナット要素40、50を螺合して座体20に向けて締め付けてワイヤ44と二本の固定用ピン43とを結合する。