(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記複数の検知センサの検知結果に基づいて、前記消色部にて前記記録媒体のジャムの発生を検知した場合、前記消色部に存在する前記記録媒体の状況に応じて、前記記録媒体を前記消色部外へ搬送するよう前記搬送部を制御することを特徴とする請求項1記載の消色装置。
前記制御部は、前記複数の検知センサによってジャムを検知した場合、前記消色部に存在する前記記録媒体が搬送方向へ搬送可能であった場合に、前記搬送方向に搬送するよう前記搬送部を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の消色装置。
排出される前記記録媒体を受ける排紙部を更に有し、前記制御部は、前記記録媒体の前記搬送方向への搬送が継続可能である場合に、前記排紙部へ排出することを特徴とする請求項3記載の消色装置。
前記ジャムの発生を表示する表示部を有し、前記記録媒体を前記消色部から前記消色部外へ搬送完了後、前記表示部にジャム発生通知を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の消色装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、消色装置の実施の形態を説明する。
【0008】
(第一の実施形態)
第一の実施形態の消色装置は、用紙が消色部内にある状態で装置を停止しなければならない場合は、消色部内の用紙を消色部から移動させる。
【0009】
図1は、消色装置100の構成図である。消色装置100は、消色可能な色材により画像形成装置で画像形成された用紙(記録媒体)の画像を消色し、用紙の再利用を可能とする。消色装置100は、給紙部110、ピックアップローラ111、分離ローラ112、重送検知センサ113、レジストローラ114、搬送ローラ115、123、消色部116、搬送路117、排出ローラ118、排紙部119、コントロールパネル120、用紙検知センサ124を有する。ピックアップローラ111、分離ローラ112、レジストローラ114、搬送ローラ115、123、排出ローラ118は、搬送部とする。
【0010】
給紙部110は、消色装置100の上部に設けられ、再利用するための用紙Pを積載する。給紙部110は、用紙Pの画像を消色するために消色装置100の内部へ給紙する。ピックアップローラ111は、給紙部110から用紙Pを1枚ずつ取り出し、搬送路117へ送り出す。
【0011】
分離ローラ112は、対のローラで形成され、一方のローラを回転させ、もう一方のローラの回転を停止させておく。分離ローラ112は、一枚ずつ搬送させるよう一方のローラを回転させ、用紙Pの重送を防止する。
【0012】
重送検知センサ113は、給紙部110から搬送されてきた用紙の重送を検知する。重送検知センサ113は、例えば、超音波センサや光学センサである。重送検知センサ113は、用紙検知センサの役割も担い、用紙を検知する。
【0013】
レジストローラ114は、対のローラで形成され、用紙Pの傾きを補正する。用紙Pの傾き補正は、停止中のレジストローラ114同士が接触している部分に用紙Pの先端を突き当てることで行う。搬送ローラ115は、対のローラで形成され、レジストローラ114の回転により搬送路に送り出された用紙Pを消色部116へ搬送する。
【0014】
消色部116は、搬送路117を介して対向する対のヒータ205(加熱源)を有する。ヒータ205の間の搬送路117に用紙Pを通すことにより、用紙Pに一定以上の熱を加え、消色可能な色材を用いて形成された用紙Pの画像を加熱し、色材を無色化する。色材は例えば、メタモインクである。消色部15は対のヒータ205で画像消色をすることにより、同時に、用紙Pの両面に形成された画像の消色を可能とする。排紙部119は、消色装置100の下部に配置され、消色処理を施した用紙Pが排紙される。用紙検知センサ124は、用紙を検知する。
【0015】
コントロールパネル120は、
図3に示す操作部210、表示部211を有する。操作部210は、各種キーを有する。表示部211は、タッチパネル式の操作部をかねても良い。
【0016】
図2は、消色部116の拡大図である。消色部116から用紙Pの搬送方向上流に向かって、第1の用紙検知センサ121、搬送ローラ115が搬送路117に沿って位置する。消色部116から搬送方向下流に向かって、第2の用紙検知センサ122、搬送ローラ123が搬送路117に沿って位置する。第1、第2の用紙検知センサ121、122は、消色部116の入口と出口でそれぞれ用紙を検知する。第1の用紙検知センサ121で用紙Pを検知後、所定のパルス数、あるいは所定の時間内に第2の用紙検知センサ122で用紙Pを検知しなければ、消色部116内で用紙ジャムが発生したと判断する。パルス数でジャムの発生を判断する場合、例えば第1の用紙検知センサ121が用紙Pを検知してから、115パルスを経過しても第2の用紙検知センサ122が用紙Pを検知しない場合に、ジャムが発生したと判断する。
【0017】
用紙検知センサ124、重送検知センサ113でのジャムの発生の判断も、第1の用紙検知センサ121、及び第2の用紙検知センサ122と同様に行う。所定のパルス数、あるいは所定の時間内に検知しない、あるいは、検知し続けている場合は、用紙ジャムが発生したと判断する。
【0018】
図3は、消色装置100のブロック図である。消色装置100の制御部であるCPU(Central Processing Unit)200は、システムバス201を介してROM202、RAM203、消色部116の対のヒータ205、外部からのデータの入力、外部へのデータの出力をする通信インターフェース(I/F)206が接続される。CPU200は、システムバス201を介して接続された通信I/F206によってクライアントPCやサーバと通信する。
【0019】
また、CPU200は、重送検知センサ113、及び用紙検出センサ121、122、124が接続される。更に、CPU200は、搬送ローラ115を駆動する用紙搬送モータ209を制御する用紙搬送モータ制御駆動部208、及び電磁クラッチ216を駆動する電磁クラッチ制御駆動部215、及び操作部210、表示部211が接続される。重送検知センサ113、及び用紙検知センサ121、122、124が検知した検知結果は、検知信号としてCPU200に送信される。
【0020】
ROM202には、CPU200を動作させるためのプログラムが格納される。ヒータ205は、IHヒータなどを用い、消色部116を用紙Pが通過する間に、用紙Pの両面に熱を加えて色材を無色化する。
【0021】
CPU200は、各種センサから検知された検知結果に基づいて、消色装置100内のどの位置で用紙ジャムが発生したかを判断し、用紙ジャムの発生箇所に応じて、用紙Pの搬送を制御する。CPU200は、用紙ジャム発生時の用紙の状況に応じて、消色部116外へ用紙を搬送する搬送方向を制御する。用紙のジャムが発生した時に、第1の用紙検知センサ121あるいは第2の用紙検知センサ122が用紙Pの検知をしていれば、用紙が消色部116にあると判断できる。また、用紙のジャムが発生した時に、重送検知センサ113が用紙を検知していれば、用紙が給紙部110付近にあると判断できる。用紙のジャムが発生した時に、用紙検知センサ124が用紙Pを検知していれば、用紙が排紙部119付近にあると判断できる。
【0022】
用紙ジャムの発生時、消色部116に存在する用紙Pが搬送方向へ搬送不可であった場合に、用紙Pを搬送方向と逆方向に搬送する。用紙ジャムの発生時、消色部116に存在する用紙が搬送方向へ搬送可能であった場合は、用紙Pを搬送方向に搬送する。消色部116に用紙が存在する状態で、ジャムが発生した場合は、まず消色部116にある用紙を搬送方向へ搬送させる。一定のパルス数が経過しても、第1の用紙検知センサ121あるいは第2の用紙検知センサ122が用紙を検知していれば、搬送が不可能であると判断する。搬送が不可能であると判断された場合は、搬送方向と逆方向へ用紙を搬送させ、消色部116外へ搬送する。
【0023】
消色部116にある用紙を搬送方向へ搬送させ、一定のパルス数が経過したとき、第1の用紙検知センサ121あるいは第2の用紙検知センサ122が用紙を検知していなければ、用紙は消色部116外へ搬送されたと判断される。その後、用紙の搬送を継続し、排紙部119へ排出する。また、第2の用紙検センサ122で用紙を検知してから、一定のパルス数が経過しても、用紙検知センサ124で用紙Pを検知していれば、用紙が排紙部119付近にあると判断する。
【0024】
ジャムが発生した際、ピックアップローラ111、分離ローラ112、レジストローラ114、搬送ローラ115、123、排出ローラ118の回転を停止させる。
【0025】
ここで、用紙Pの消色処理の一連の流れを説明する。給紙部110に積載された用紙Pは、ピックアップローラ111によって、1枚ずつ搬送路117内に搬送される。ピックアップローラ111より給紙部110からピックアップされた用紙Pは、分離ローラ112、レジストローラ114、搬送ローラ115により順次搬送され、消色部116にて、画像を消色され、搬送ローラ123により搬送される。画像を消色された用紙Pは、更に排出ローラ118により、排紙部119へ排出される。
【0026】
図4、及び
図5は、用紙ジャム時の用紙Pの搬送制御のフローチャートである。600において、用紙Pを搬送し、601において、用紙ジャムが発生したか否かを判断する。用紙ジャムが発生しなければ(601のNo)、処理を終了する。用紙ジャムが発生すれば(601のYes)、602において、消色部116内に用紙Pがあるか否かを判断する。消色部116内に用紙Pが無ければ(602のNo)、603において、用紙Pの搬送を停止し、終了する。
【0027】
消色部116内に用紙Pがある場合(602のYes)、
図5の604において、消色処理中の用紙Pがジャムを起こしたか否かを判断する。消色処理中の用紙Pがジャムを起こしていれば(604のYes)、605において、用紙Pを搬送方向の逆方向へ搬送する。搬送ローラ115、123を逆回転させ、用紙Pの搬送方向の逆方向へ搬送する。その後、606において、消色部116外へ移送が完了したか否かを判断する。消色部116外へ移送を完了していなければ、606の判断を繰り返す。消色部116外へ移送を完了したら(606のYes)、
図4に戻り、603において、搬送を停止し、終了する。
【0028】
消色処理中の用紙Pがジャムを起こしていない場合(
図5の604のNo)、607において、搬送処理を継続し、608において、排出が完了したか否かを判断する。排出完了しなければ(608のNo)、608の判断を繰り返す。排出が完了したら(608のYes)、
図4に戻り、603において、搬送を停止し、終了する。消色処理中の用紙Pがジャムを起こしていない場合は、消色処理を継続し、排紙部119へ排出させるようにしても良い。
【0029】
まず、消色処理を施している用紙P1が消色部116内でジャムを起こした場合について説明する。
図6は、消色部116内での用紙P1のジャムを示す図である。
図6に示すように消色処理を施している用紙P1が消色部116内の入口側でジャムを起こした場合(604のYes)、用紙P1を搬送方向と逆方向へ搬送して、消色部116外へ用紙P1を搬送する。
【0030】
次に、消色処理を施している用紙以外で用紙ジャムが発生し、消色処理中の用紙が消色部116内に残っている場合について説明する。
図7は、消色装置の給紙部で用紙P2がジャムを起こし、かつ消色部116の出口側に先に供給された用紙P3が残っている状態を示す図である。複数の用紙P2、P3の消色処理を施している場合で、消色処理を施している用紙以外、すなわち用紙P2のジャムが発生し、消色処理中の用紙P3が搬送処理を継続可能であったら(604のNo)、搬送処理を継続し、消色部116外へ移送する。そのまま排紙部119まで搬送可能であった場合には、排紙部119への排出処理まで行っても良い。用紙P3の排出処理後、用紙の搬送を停止する。
【0031】
消色処理を施している用紙P1が消色部116内でジャムを起こし、用紙P1が消色部116内で留まる場合、ヒータ205により用紙P1が焦げる虞があるが、上述のような搬送制御をすることによって、用紙を消色部外に搬送し、安全に消色装置100を停止することができる。
【0032】
また、消色部116の用紙搬送方向下流側で、用紙ジャムが発生した場合、ジャムを発生させた用紙Pを強制的に排出させるようにしても良い。例えば、消色部116の下流で用紙ジャムが発生したと判断した後に、熱源であるヒータ205の作動を停止させ、その後、強制的にジャムを発生させた用紙Pを排出させる。また、上述では、第1の用紙検知センサ121で用紙P1を検知してから、第2の用紙検知センサ122まで、115パルスを経過しても第2の用紙検知センサ122が用紙Pを検知しなかったら、用紙ジャムが発生したと判断しているが、115パルスよりも少し多いパルス数、例えば150パルスまで、経過してから用紙ジャムが発生したと判断させるようにしても良い。さらに、強制搬送が無理な場合は、用紙を搬送方向と逆方向に搬送させるようにしても良い。
【0033】
上述では、消色部116内に用紙Pが存在している状態で用紙ジャムが発生した場合には、消色部116内の用紙Pを消色部116外へ移送した後に搬送を停止している。これに限らず、一度搬送を停止後、消色部116からの用紙Pの移送処理を施すようにしても良い。
【0034】
また、用紙ジャムが発生したことをユーザに報知する表示を表示部211により行う。この表示のタイミングは、消色部116からの用紙Pの移送後の搬送停止(
図4の603)後に行うと良い。ユーザが消色装置100のカバーを開けると用紙の搬送処理が強制的に停止してしまうので、用紙の搬送処理後に表示部211に用紙ジャム発生を表示することで用紙の搬送処理が強制的に停止されることを防止する。例えば、消色処理中の用紙Pがジャムを発生し、このジャムの発生を表示部211に表示すると、ジャムした用紙の逆方向への搬送処理中に、ユーザが用紙ジャムを解除させるために、消色装置100のカバーを開けてしまうことがある。しかしながら、搬送終了後に表示部211に用紙ジャム発生を表示することで、ユーザが不用意に消色装置100のカバーを開けてしまうことを防止する。さらに、用紙Pが消色部116内にある状態で、消色部116内の用紙P以外の用紙がジャムを起こしている場合、表示部211に用紙ジャムを表示すると、用紙の搬送処理継続中、ユーザが用紙ジャムを解除させるために、消色装置100のカバーを開けてしまうことがある。しかしながら、搬送終了後に表示部211に用紙ジャム発生を表示することで、ユーザが消色装置100のカバーを開けてしまうことを防止する。
【0035】
次に、消色装置100の消色部116に設けられたヒータの開閉機構について説明する。消色装置100は、
図9に示す開閉機構520を備えていても良い。開閉機構520は、消色部116の上流の搬送ローラ115(
図8に示す)が搬送方向に駆動すると、消色部116の搬送路面を覆う開閉部500が開く。
【0036】
開閉部500は、ラックギア503を備える第1の開閉部501(
図8に示す)、及びラックギア504を備える第2の開閉部502(
図8に示す)を有する。開閉部500は、消色動作中に開き、消色動作終了時や、用紙ジャム発生時に閉じる。
図8は、消色動作中で、開閉部500の開いた状態(ヒータ205が用紙の搬送路に開放した状態)を示す消色部116を示す。消色動作終了中は、開閉部500を閉じた状態である。すなわち、ヒータ205が搬送路から開閉部により閉鎖された状態である。
【0037】
図9は、開閉部500の閉じた状態の開閉部駆動部520を示す図であり、開閉部駆動部520のホームポディションを示す。開閉部駆動部520は、第1の開閉部501、第2の開閉部502、保持部505、第1のスプリング507、第2のスプリング508、搬送ローラ123を有する。
【0038】
第1の開閉部501は、第1のギア509の回転により、用紙の搬送路に沿って開く。第2の開閉部502は、第2のギア512の回転により、用紙の搬送路に沿って開く。第1の開閉部501とスプリング保持部505を第1のスプリング507が接続する。第2の開閉部502とスプリング保持部505を第2のスプリング508が接続する。第1の開閉部501及び第2の開閉部502は、スプリング507、508によって、スプリング保持部505方向へ付勢される。
【0039】
搬送ローラ123は、電磁クラッチ216付きの第1のギア509、及び第1のローラ510、第2のギア512、及び第2のローラ513を有する。電磁クラッチ216がONのとき、第1のギア509の回転に伴い、第1のローラ510、第2のギア512、及び第2のローラ513が
図9の矢印方向に回転する。電磁クラッチ216がOFFのとき、第1のギア509は空回転する。
【0040】
開閉部500の開閉には消色部116の上流の搬送ローラ115(
図8に示す)の駆動を電磁クラッチ216にて伝達し、開閉部500を開ける。一方、開閉部500を開けた状態から、ホームポディションへ戻る際は、電磁クラッチ216がOFFとなると、第1の開閉部501、第2の開閉部502はスプリング保持部505側へ付勢されているため、自動的に、第1の開閉部501、及び第2の開閉部502は元の位置へと戻る。電磁クラッチ216は、消色部116の上流の搬送ローラ115にて用紙Pの搬送が終了した後に、所定のパルス数を経過してから、OFFとなるようにする。
【0041】
開閉部500の開閉は、用紙1枚の搬送毎に行うようにしても良いし、1つのジョブ毎に行うようにしても良い。また、開閉部500を開けた状態から、元の位置(ホームポディション)に戻すのは、スプリングにより自動に戻るようにする構成に限らず、電磁クラッチ216をONして、第1のギア509を逆回転させるようにしても良い。このとき、第1のローラ510、第2のギア512、及び第2のローラ513は第1のギア509の回転に伴って、回転する。
【0042】
通常は、消色部116は高温になるため、用紙ジャム解除等でカバーを開けるには、消色部116に触れることができる温度に冷めるまでカバーを開けることは適切ではない。しかしながら、上述のような構成をとることで、用紙Pのジャムが発生した際、消色部116の熱が高い状態でも容易に開閉部500で、熱源を覆うことができるようになり、用紙Pを除去する際も熱が冷めるまで待つことがなくなる。
【0043】
上述のような消色装置100は、用紙ジャム発生時、消色部116に用紙Pが存在する場合でも、安全に停止することができる。また、開閉部500を備えることにより、用紙Pのジャムが発生した際、消色部116の熱が高い状態でも容易に開閉部500で、熱源を覆うことができるようになり、用紙Pを除去する際も熱が冷めるまで待つことがなくなる。
【0044】
(第二の実施形態)
図10乃至
図12に示す第二の実施形態の消色装置は、画像消色の前後で同一の読取部により画像を読み取る消色装置において、用紙が消色部内にある状態で装置を停止しなければならない場合は、消色部内の用紙を消色部から移動させる。図中、第一の実施形態と同一構成部分には同一符号を付す。
【0045】
図10は、第二の実施形態のシステム構成図である。画像記憶システムは、システム構成として例えば、複数の消色装置100、複数のクライアントPC(Personal Computer)101、サーバ102を有する。また、システムの各コンポーネントは例えばLAN(Local Area Network)等のネットワーク103を介して接続されている。
【0046】
図11は、消色装置の構成図である。消色装置100は、画像形成装置で画像形成された用紙(記録媒体)の画像を消色し、用紙の再利用を可能とする。消色装置100は、給紙部10、第1の搬送路11、第2の搬送路12、第1の読取部13、第2の読取部14、消色部15、搬送ローラ16、経路変更部17、第1の排紙部19、第2の排紙部20を有する。
【0047】
給紙部10は、再利用しようとする用紙Pを収容しており、用紙Pに消色可能な色材により形成された画像を消色するために消色装置100の内部へ給紙する。給紙部10は、給紙トレイ22及びピックアップローラ18、分離ローラ112、重送検知センサ113、レジストローラ114を有する。給紙トレイ22は、用紙Pを積載する。ピックアップローラ18は、給紙トレイ22 から用紙Pを1枚ずつ取り出し、第1の搬送路11へ送り出す。
【0048】
第1の搬送路11、第2の搬送路12は、搬送ローラ16を有する。搬送ローラ16は、複数の搬送ローラ16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16h、16i、16j、16kを有し、駆動ローラと従動ローラの対で構成される。第1の搬送路11に沿って、第1の読取部13、及び第2の読取部14が配置されている。第1の読取部13及び第2の読取部14は二次元CCDスキャナを有する。第1の読取部13は、給紙部10から搬送されてくる用紙の片面をスキャンする。第2の読取部14は第1の読取部13の読み取る面の反対側の面をスキャンする。第1の読取部13及び第2の読取部14でのスキャンにより読み取った画像は、
図12に示す記憶部であるRAM(Random Access Memory)203に保存される。第1の読取部13及び第2の読取部14で読み取った画像の保存先は、RAM203に限らず、HDD(Hard Disk Drive)、光学的磁気メモリ等であっても良い。また、RAM203に一時保存された画像は、例えば、消色処理が終了した時点で、HDDに送り、HDDに保存しても良い。
【0049】
第1の読取部13及び第2の読取部14で読み取った画像は、消色装置100のRAM203への保存に限らず、
図12に示すクライアントPC101のRAM302やサーバ102のRAM402に保存するようにしても良い。また、使用者を個人認証するため、ログイン、ログアウト機能を備える消色装置100であるとき、消色装置100のログアウト時に、消色装置100のRAM203に保存された画像のデータをクライアントPC101のRAM302あるいはサーバ102のRAM402に送信し、保存するようにしても良い。
【0050】
また、第1の読取部13及び第2の読取部14は、用紙Pが使用可能か否か、用紙の印字が消色されたか否かを判断するために、表面を読み取る。
【0051】
第1の読取部13及び第2の読取部14による読み取りは2回行う。第1の読取部13及び第2の読取部14は、1回目の読み取りで、読み取った画像を電子化して、記憶部に保存する。第1の読取部13及び第2の読取部14は、消色後の2回目の読み取りで、用紙Pが再利用可能か否かを判定する。
【0052】
1回目の読み取りで、画像を保存し、しわやステイプル、消色不可能なメモ書き等により使用不可能であるか否かを判定するようにしても良い。この場合、1回目の読み取りで、再利用可能な状態であると判断されれば、消色処理を施し、2回目の読み取りで、用紙Pの画像が消色されているか否かを判断し、例えば、第1の排紙部19に排紙する。1回目の読み取りで、再利用不可能な状態であると判断されれば、消色処理を施し、2回目の読み取りを行わずに、例えば、第1の排紙部19に排紙する。また、1回目の読み取りで、再利用不可能な状態であると判断されれば、消色処理、及び2回目の読み取りを行わずに、例えば、第1の排紙部19に排紙しても良い。これらの設定は事前に選択し、設定できる。第1の読取部13及び第2の読取部14は、対の二次元CCDスキャナに限定されず、CMOSセンサであっても良い。
【0053】
図11に示すように、第1の搬送路11は、給紙部10から、第1の排紙部19または第2の排紙部20へ接続される。第2の搬送路12は、第1の搬送路11の第1の読取部13及び第2の読取部14の下流の分岐点から分岐し、第1の搬送路11の第1の読取部13及び第2の読取部14の上流の合流点で合流する。分岐点には第1の経路変更部17が配置される。
【0054】
第2の搬送路12は、搬送路中に消色部15を有する。消色部15は、ローラ対21、及びヒータ205、及び用紙検知センサ212を有する。ローラ対21はヒータ205により加熱される。ヒータ205により加熱されたローラ対21を介して、用紙Pに一定以上の熱を加えることにより、消色可能な画像形成材料を用いて形成された用紙Pの画像を加熱し、色材を無色化する。消色部15はローラ対21で画像消色をすることにより、用紙Pの両面の画像消色を可能とする。
【0055】
排紙部23は第1の排紙部19及び第2の排紙部20を有する。各種処理を施した用紙Pは、第1の排紙部19または第2の排紙部20へ排紙される。ユーザは、第1の排紙部19または第2の排紙部20のいずれかに用紙Pを排紙できるよう選択可能としても良い。また、消色処理がされて再使用可能となった用紙を例えば第1の排紙部19へ、他方、再使用が不可能と判定された用紙を第2の排紙部20へ区別して排紙しても良い。
【0056】
図12は、消色装置100、及びクライアントPC101、及びサーバ102のブロック図である。消色装置100の制御部であるCPU(Central Processing Unit)200は、システムバス201を介してROM202、RAM203、第1の読取部13、第2の読取部14のCCDスキャナ204、消色部15のヒータ205、用紙検知センサ212、外部からのデータの入力、外部へのデータの出力をする通信インターフェース(I/F)206が接続される。CPU200は、システムバス201を介して接続された通信I/F206によってクライアントPC101やサーバ102と通信する。
【0057】
また、CPU200は、経路変更部17を制御する経路変更制御駆動部207、用紙搬送モータ209を制御する用紙搬送モータ制御駆動部208、及び操作部210、及び表示部211、及び用紙検知センサ212が接続される。用紙搬送モータ209は、
図11に示す複数の搬送ローラ16を駆動する。
【0058】
ROM202には、CPU200を動作させるためのプログラム、再利用可否の指針とするため用紙の印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値が格納される。また、1回目の画像読取でしわの深さなどを判定する場合は、しわの深さなどを判定するために利用する濃度閾値が格納される。RAM203には、用紙Pの画像読取時に得られる画像を格納する。CCDスキャナ204は、一列のラインセンサとして配置されており、用紙Pの濃淡を検出する。ヒータ205は、IHヒータなどを用い、消色部15を用紙Pが通過する間にローラ対21を介して、用紙Pに熱を加えて色材を無色化する。CPU200は、画像消色後に消色が正常に施されたか否か、すなわち用紙Pが再利用可能であるか否かを読み取られた画像を基に判別する。
【0059】
操作部210は各種キーを有し、表示部211は、消色装置100の各種の処理モードを表示する。操作部210は、処理モードを選択可能である。処理モードは、画像を読み取る画像読取モード、画像を消色する消色モード、画像を読み取り、用紙の再利用の可否を判断する分別モード、及びこれらのモードを組み合わせたモードを有する。表示部211はタッチパネル式でもよく、操作部をかねても良い。
【0060】
用紙検知センサ212は、用紙を検知する。用紙検知センサ212は複数の用紙検知センサ22、23、24、25、26、27を有し、搬送路内に複数配置される。第1の用紙検知センサ22で用紙Pを検知後、所定のパルス数、あるいは所定の時間内に第2の用紙検知センサ23で用紙Pを検知しなければ、ジャムが発生したと判断する。パルス数で用紙のジャムの発生を判断する場合、例えば第1の用紙検知センサ22が用紙Pを検知してから、115パルス数を経過しても第2の用紙検知センサ23が用紙Pを検知しない場合に、用紙のジャムが発生したと判断する。用紙のジャムの発生は、用紙検知センサ212の検知結果をCPU200に送信し、CPU200が検知結果に基づき、用紙のジャムが発生したか否かを判断する。
【0061】
用紙のジャムが発生した時に、用紙検知センサ22あるいは用紙検知センサ23が用紙の検知をしていれば、用紙が読取部13、14にあると判断できる。用紙のジャムが発生した時に、用紙検知センサ25あるいは用紙検知センサ26が用紙Pの検知をしていれば、用紙が消色部15にあると判断できる。用紙のジャムが発生した時に、用紙検知センサ24が用紙の検知をしていれば、用紙が第2の搬送路12の消色部15の上流側にあると判断できる。用紙のジャムが発生した時に、用紙検知センサ27が用紙の検知をしていれば、用紙が第2の搬送路12の消色部15の下流側にあると判断できる。
【0062】
CPU200は、経路変更制御駆動部207を制御することにより、経路変更部17を駆動して、第1の搬送路11から第2の搬送路12へ用紙Pを搬送するよう振り分けたり、第1の搬送路11から排紙部23へ用紙Pを搬送するよう振り分けたりする。
【0063】
クライアントPC101は、CPU300、ROM301、RAM302、操作部303、表示部304、及び通信I/F305を有する。クライアントPC101の制御部であるCPU300はシステムバス306を介して、ROM301、RAM302、操作部303、表示部304、及び通信I/F305と接続する。
【0064】
サーバ102は、CPU400、ROM401、RAM402、通信I/F403を有する。サーバ102の制御部であるCPU400は、システムバス4040を介して、ROM401、RAM402、通信I/F403と接続する。
【0065】
CPU200は、ジャム発生時の用紙Pの状況に応じて、消色部116外へ搬送する搬送方向を制御する。ジャムの発生時、消色部116に存在する用紙Pが搬送方向へ搬送不可であった場合に、搬送方向と逆方向に搬送し、ジャムの発生時、消色部116に存在する用紙Pが搬送方向へ搬送可能であった場合に、搬送方向に搬送する。また、可能であれば、用紙Pの搬送を継続し、排紙部23へ排出する。
【0066】
第二の実施形態においても、第一の実施形態で説明した
図4、及び
図5と、同様のジャム時の用紙Pの搬送制御を行う。
図4および5を参照して説明する。600において、用紙Pを搬送し、601において、ジャムが発生したか否かを判断する。ジャムが発生しなければ(601のNo)、処理を終了する。ジャムが発生すれば(601のYes)、602において、消色部116内に用紙Pがあるか否かを判断する。消色部116内に用紙Pが無ければ(602のNo)、603において、搬送ローラ16の駆動を停止することで、用紙Pの搬送を停止し、終了する。
【0067】
消色部116内に用紙Pがある場合(602のYes)、
図5の604において、消色処理中の用紙Pがジャムを起こしたか否かを判断する。消色処理中の用紙Pがジャムを起こしていれば(604のYes)、605において、用紙Pを搬送方向の逆方向へ搬送する。搬送ローラ16d、16e、16f、16gを逆回転させて、用紙Pを搬送方向の逆方向へ搬送する。その後、606において、消色部116外へ移送が完了したか否かを判断する。消色部116外へ移送を完了していなければ、606の判断を繰り返す。消色部116外へ移送を完了したら(606のYes)、
図4に戻り、603において、搬送を停止し、終了する。
【0068】
消色処理中の用紙Pがジャムを起こしていない場合(
図5の604のNo)、607において、搬送処理を継続し、608において、排出が完了したか否かを判断する。排出完了しなければ(608のNo)、608の判断を繰り返す。排出が完了したら(608のYes)、
図4に戻り、603において、搬送を停止し、終了する。
【0069】
消色処理中の用紙Pがジャムを起こしていない場合は、消色処理を継続し、排紙部23へ排出させるようにしても良い。さらに、消色処理後、第1の読取部13及び第2の読取部14で読み取りを行い、分別処理をするようにしても良い。ただし、ループ状の搬送経路を有する消色装置100で、この処理を行う場合は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12の合流地点より上流で用紙Pのジャムが発生したときに限る。例えば、給紙部10でジャムが発生した場合である。第1の搬送路11及び第2の搬送路12の合流地点より下流のループ経路内で用紙Pのジャムが発生した場合は、ジャムを起こしていない用紙Pの処理が不可能となる。
【0070】
上述のような読取処理、消色処理、分別処理を行う消色装置100においても、ジャム発生時、消色部116に用紙Pが存在する場合でも、安全に停止することができる。
【0071】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。