(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上かごと下かごから成る2つのかご室が上下方向に配置されたかご枠を有し、前記かご枠の各かご室間の距離を調整可能な階間調整機能を備え、複数台設置されているダブルデッキエレベータにおいて、
各階床の乗場に設けられ、行先階を登録する乗場行先階登録装置から取得した行先階の階床情報と、登録済み行先階の階床情報と、前記かご枠が各階を移動するかご枠移動時間と、各階床の階間長に合わせて階間調整を行う階間調整時間とに基づき、乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と前記乗込階から前記行先階へ到達するまでの階間調整時間とを求めて両者を比較し、前記階間調整時間が前記かご枠移動時間以下となる号機の上かごまたは下かごを割当て可能なかご室候補とするかご割当評価手段と、
前記割当評価手段が割当て可能とした前記かご室候補の中から、かご室候補の現在位置情報と、かご室候補が現在位置から前記乗込階へ到着するまでの時間とを考慮し、最適の号機を割当て号機として決定する割当制御手段と、
を備えたことを特徴とするダブルデッキエレベータ制御装置。
基準階から出発したかご枠が他階の呼びに応答するまでの間は、上かごは偶数階の呼びのみに応答し、下かごは奇数階の呼びにのみに応答する一方、他階の呼び応答後には、上かご、下かご共に全階床の呼びに応答する運転モードにおいて、前記かご割当評価手段は、
前記乗場行先階登録装置により行先階登録操作が行われた時に、行先階が偶数階である場合は、上かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と上かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間とを比較し、上かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間が上かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間以下となる号機を割当て可能とし、
前記行先階が奇数階である場合は、下かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と下かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間とを比較し、下かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間が下かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間以下となる号機を割当て可能とし、
基準階から出発したかご枠が他階への呼びに応答した場合は、かご枠が上昇運転している場合、上かごが行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と上かごが行先階へ到達するまでの階間調整時間とを比較し、上かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間が上かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間以下となる号機を割当て可能とし、
割当て可能号機が見つからない時は、次に下かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と下かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間とを比較することで、下かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間が下かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間以下となる号機を割当て可能とし、
かご枠が下降運転している場合、下かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と下かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間とを比較し、下かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間が下かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間以下となる号機を割当て可能とし、
割当て可能号機が見つからない時は、上かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間と上かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間とを比較し、上かごが乗込階から行先階へ到達するまでの階間調整時間が上かごが乗込階から行先階へ到達するまでのかご枠移動時間以下となる号機を割当て可能とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダブルデッキエレベータ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
<第1実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成>
第1実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成について、
図1を参照して説明する。
【0009】
第1実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置において、ダブルデッキエレベータは、複数の号機2−1〜2−Nを備え、各号機2−1〜2−Nは、上かご3と下かご4から構成される2つのかご室が上下方向に連結されたかご枠5を有し、かご枠5の各かご室間の距離を調整可能な階間調整機能を備えている。各階の乗場には、行先階を登録する乗場行先階登録装置6−1〜6−Nが設置されている。
【0010】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、通信ライン7Aを介して割当評価部11に接続され、割当評価部11はダブルデッキエレベータ制御装置10内の割当制御部12と接続されており、割当制御部12は、号機制御部13−1〜13−Nと接続されている。
【0011】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、行先階登録操作を検知すると行先階の階床情報を通信ライン7Aを介して割当評価部11に送信する。
【0012】
また、割当制御部12は、各号機2−1〜2−Nの位置情報、運転方向、
登録済み行先階の階床情報などを号機制御部13−1〜13−Nから受信して保持しており、割当評価部11へ号機制御部13−1〜13−Nより受信した位置情報、運転方向、登録済み行先階の階床情報を割当評価部11へ送信する。
【0013】
一方、割当評価部11は、
図2で示したデータテーブルを保持
している。このデータテーブルは、行側が出発階、列側が行先階を示し、下かご4を基準としたときの各階の階間調整時間が、かご枠移動時間以下となるとき、“1”がセットされ、階間調整時間が、かご枠移動時間以上となる時は、“0”がセットされる。例えば、出発階が1階、行先階が4階の箇所は、値が“0”となっているが、これは1階から4階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以上となることを示している。一方で出発階が1階、行先階が3階の箇所は、値が“1”となっているが、これは、1階から3階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となることを示している。
【0014】
図2のデータテーブルにより、割当評価部11は、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nより通信ライン7Aを介して受信した行先階の階床情報と割当制御部12から受信した登録済み行先階の情報を用いて、各号機2−1〜2−Nが登録済み行先階から行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるか以上となるかを調べ、何号機のかご室が割当可能かどうかを判断する。そして、割当制御部12に何号機のかご室が割当て可能であるかの割当可否信号を送信する。
【0015】
割当制御部12は、
図3で示したデータテーブルを保持している。
図3のデータテーブルは、各行が乗場行先階登録装置のある階を示しており、各列が号機情報を示している。例えば、
図3のデータテーブルの行側が“2”、列側が2号機の箇所は、上かごが“0”、下かごが“1”となっているが、これは、2階の乗場行先階登録装置により行先階登録された行先階に対して、下かごが割当て可能ということを意味している。そして割当制御部12は、割当評価部11から、何号機のかご室が割当て可能であるかの割当可否信号を受信すると、
図3の対応するデータ領域に、割当て可能であれば“1”を、割当て不可能であれば“0”をセットする。割当制御部12は、
図3のデータテーブルにより何号機の上かご3、下かご4または双方のかご室が割当て可能かどうかを記憶する。
【0016】
そして、割当制御部12は、号機制御部13−1〜13−Nから受信した各号機2−1〜2−Nの位置情報と、
図3のデータテーブルに保持している号機の割当て情報を用いて、割当て可能号機の到着時刻を算出し、各号機2−1〜2−Nの待ち時間を平均化するように群管理システムの割当制御を実行して割当てかご室を決定し、割当号機の号機制御部13−1〜13−Nに対して、割当てかご室の情報を該当する号機制御部13−1〜13−Nに送信する。
【0017】
<第1実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置10の動作>
第1実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の動作について
図1、
図4〜
図11を用いて説明する。
【0018】
図1は、第1実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置10のブロック図を示しており、
図4、
図5、
図6、
図7は第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。また
図8は第1実施形態の動作を説明するための例を示す図であり、
図9〜
図11は、第1実施形態の動作を説明するためのデータテーブルである。
【0019】
第1実施形態の動作を説明する例として、
図8で示した状況を用いる。
図8において、ダブルデッキエレベータの1号機が下かご4が1階、上かご3が2階におり、6階と8階は登録済み行先階である。このとき、4階の乗場客先階登録装置にて“10階”の行先階登録操作が行われている。
【0020】
10階の行先階登録操作が行われると、
図4のステップS1にて
図1の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作があったと判断され、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nから通信ライン7Aを介して行先階の階床情報が割当評価部11に送信され、割当評価手段刻は、行先階の階床情報を取得する(S2)。
【0021】
ステップS3では、割当評価部11が内部に保持している変数である号機インデックスKを1に初期化する。Kは“1”から号機の台数分の値を取り、Kが“1”の値の時は1号機、Kが2の時は2号機を示すものとする。
【0022】
次にステップS4へ進み、割当評価部11は、割当制御部12からK号機の現在位置を取得する。
図8の例では、ダブルデッキエレベータの下かご4が1階、上かご3が2階にいるという情報を取得する。
【0023】
そしてステップS5では、割当評価部11がステップS4にて受信したK号機の位置情報と乗込階の情報から、ダブルデッキエレベータのかご枠5が上昇運転している場合は、上かご3を基準とした時の減速必要距離と乗込階までの距離を比較し、下降運転している場合は、下かご4を基準として、減速必要距離と乗込階までの距離を比較することで、減速必要距離が乗込階までの距離以下となるかどうかを調べ、乗込階に着床できるかを判断する。もし着床できる位置にあれば、ステップS7へ進み、着床できない位置にあれば、ステップS13へ進む。ここでは着床できるものとしてステップS7へ進む。
【0024】
ステップS7では、割当評価部11が、割当制御部12からK号機の登録済み行先階の情報を受信する。
図8の例では、割当評価部11が6階と8階の情報を取得する。
【0025】
続いてステップS8にて、割当評価部11が、割当制御部12から登録済み行先階の割当てかご室情報を取得する。登録済み行先階の割当かご室情報とは、登録済み行先階に対して、上下かご室のどちらを割当て済みであるかの情報である。
図8の例では、登録済み行先階は、6階と8階であるので、6階と8階に対して、上下かご室のどちらが割当て済であるのかが登録済み行先階の割当てかご室情報となる。
【0026】
この登録済み行先階の割当かご室情報は、割当制御部12が
図10で示したデータテーブルにて保持している。このデータテーブルは、各行先階に対して、上下かご室どちらが割当て済みであるかを記憶したデータテーブルであり、値が“1”のときは割当が有ることを意味し、値が“0”のときは、割当てが無いことを意味する。
図8の例において、割当制御部12は、
図10のデータテーブルの列が1号機の各行先階(1階〜14階)に対して上かご3か下かご4の箇所に“1”がセットされているかを見ていく、1階から5階には上かご3、下かご4とも“0”がセットされているため、かご室の割当が無いものと判断し、6階の箇所にて上かご3の箇所の値が“1”、下かご4の箇所の値“0”がセットされているため、割当制御部12は6階には上かご3の割当が有るものと判断する。同様に割当制御部12は、順にデータを見ていき、
図10のデータテーブルの8階にて、上かご3の箇所の値が“0”、下かご4の箇所の値が“1”とセットされているのを見て、割当制御部12は8階には下かご4の割当てが有るものと判断する。
【0027】
よって
図8の例では、ステップS8にて1号機の登録済み行先階である6階と8階へ、それぞれ上かご3と下かご4を割当てているとの情報を割当制御部12が割当評価部11に送信し、割当評価部11は、登録済み行先階への割当てかご室情報を取得する(S8)。
【0028】
次にステップS9において、割当評価部11は、ステップS2にて取得した行先階の階床情報とステップS7にて取得した登録済み行先階の階床情報を用いて、行先階へ最も近い登録済み行先階の検索をする。
【0029】
行先階へ最も近い登録済み行先階の階床情報の検索動作について、
図7を用いて説明する。まずステップS61で、割当評価部11は、変数Xに行先階を代入し、ステップS62へ進む。
【0030】
ステップS62では、変数Yに“1”を代入し、ステップS63へ進む。そしてステップS63にて割当評価部11はK号機の運転方向の情報を割当制御部12から取得する。そしてステップS64にて割当評価部11は、K号機の運転方向が上昇運転かどうかを判断する。
図8の例では、割当評価部11は、ステップS63にてK号機のかご枠5が上昇運転しているとの情報を取得しているため、ステップS64にてYESと判断し、ステップS65へ進む。
【0031】
ステップS65で、割当評価部11は、(X−Y)階に登録済み行先階があるかどうかを判断する。
図8の例では、割当評価部11は、ステップS2にて行先階が10階であるとの情報を取得しているため、“X−Y=10−1=9”の計算をし、9階に登録済み行先階があるかどうかを判断する。割当評価部11は、ステップS7にて登録済み行先階が6階と8階であるとの情報を取得しているため、9階は登録済み行先階ではないと判断し、ステップS66へ進む。
【0032】
ステップS66では、割当評価部11は、変数Yをインクリメントし、Y=2とする。そしてステップS65にて割当評価部11は、“(X−Y)=10−2=8”の計算をし、8階に行先階登録があるのかを調べる。
【0033】
割当評価部11がステップS7にて登録済み行先階が6階と8階であるとの情報を取得しているため、8階は登録済み行先階であると判断しステップS69へ進み、割当評価部11は、8階を行先階へ最も近い登録済み行先階として取得する。
【0034】
次に
図4のフローチャートのステップS10へ進み、割当評価部11が行先階へ最も近い登録済み行先階の割当かご室が下かご4であるかどうかの判断をする。
図8の例では、割当評価部11がステップS8にて6階は上かご3を割当て済、8階には下かご4が割当て済であるとの情報を取得している。加えてステップS9にて行先階に最も近い登録済み行先階の情報として8階を取得しているので、割当評価部11は行先階へ最も近い登録済み行先階である8階には下かご4が割当て済であると判断する。よってステップS10はYESとし、ステップS11の割当評価WAのサブルーチンへ進む。
【0035】
ステップS11へ進む前に、ステップS11とステップS12の処理の概要について説明する。ステップS11とステップS12は、ダブルデッキエレベータのかご枠5が登録済み行先階から行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間となるかを判断する処理になり、登録済み行先階に対して上下のかご室どちらが割当て済であるかで場合分けをしている。
【0036】
ステップS11の割当評価WAは、登録済み行先階に対して下かご4が割当て済みであるとき、登録済み行先階から行先階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理であり、割当評価WBは登録済み行先階に対して上かご3が割当て済であるときに、登録済み行先階から行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理である。
【0037】
第1実施形態においては、割当評価WAの説明をするが、割当評価WAと割当評価WBの違いに関しては、上述したように、登録済み行先階に割当て済であるかご室が下かご4であるが、上かご3であるかの違いしかなく、両者の動作に本質的な違いはないため、
図6に示す割当評価WBの動作の詳細な説明については省略する。
【0038】
〈割当評価WAの処理手順〉
ステップS11の割当評価WAの動作を
図5を用いて説明する。まずステップS21において、割当評価部11は、変数Aに行先階に最も近い登録済み行先階の階床情報を代入する。
図8の例では、割当評価部11が行先階に最も近い登録済み行先階は8階であるとの情報をステップS9にて取得しているため、変数Aに8を代入しステップS22へ進む。ステップS22では、割当評価部11が、変数Bに行先階の階床情報を代入する。
図8の例では、ステップS2にて取得した行先階の情報“10階”を変数Bに代入する。
【0039】
次にステップS23へ進み、割当評価部11は、K号機がA階からB階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを割当評価部11が保持している
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルについては、上述した
図2のデータテーブルと構成が同じであり、下かご4基準で作られているものとする。
【0040】
図8の例では、ステップS21,ステップS22にて、“A=8”、“B=10”と代入しているため、割当評価部11は、8階から10階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて調べる。この時、
図9のデータテーブルの列が8階、行が10階の箇所が“0”となっているため、割当評価部11は、階間調整時間がかご枠移動時間以上となると判断し、ステップS23の処理においてNOと判断し、ステップS25へと進む。ステップS25において、割当評価部11は、変数Bをデクリメントする。この処理により、変数Bの値が1小さくなりB=9となる。そしてステップS27へ進み、A階からB階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかどうかを判断する。
図8の例では、ステップS25にてBの値を1つ小さくしたため、A=8、B=9となっている。よってステップS27において、割当評価部11は、8階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルの行が8階、列が9階の箇所は、値が“1”となっているため、割当評価部11は、8階から9階への移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断し、ステップS30へ進む。
【0041】
ステップS30では、割当制御部12が、割当評価部11からK号機の上かご3、または下かご4、または双方のかご室が割当て可能であるとの情報を受信し、割当制御部12が保持している
図11のデータテーブルに値をセットする。
図8の例では、4階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nより行われた行先階登録に対して、割当評価部11は、1号機の上かご3を割当て可能であるとの情報を、割当制御部12へ送信する。割当制御部12は、受信した情報を基に
図11のデータテーブルの行が“4”、列が1号機の箇所の上かご3に“1”をセットする。
【0042】
次に、
図4のフローチャートのステップS13へ進み、割当評価部11は、号機インデックスKが全号機数より大きいかの判断をする。もしNOの場合はステップS6へ進み、号機インデックスKをインクリメントし、ステップS4へ進み。そしてステップS4〜S12の処理を再度繰り返す。YESの場合は、ステップS14へ進む。ここでは、YESとして、ステップS14へ進むものとする。
【0043】
ステップS14では、割当制御部12が割当かご室候補が1つ以上見つかったかの判断をする。
図8の例では、
図11のデータテーブルを用いて、4階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nの行先階登録操作に応答する号機2−1〜2−Nを調べるために、行が“4”のところに、“1”がセットされている号機2−1〜2−Nがあるのかを調べる。もし“1”が1つもセットされていなければ、割当かご室候補が1つも見つかっていないと判断し、ステップS3へ進み、“1”が1つでもセットされていれば、割当かご室候補があると判断するステップS15へ進む。
【0044】
ここでは、YESとしてステップS15へ進む。ステップS15では、割当制御部12が号機制御部13−1〜13−Nから割当かご室候補の位置情報を受信し、割当かご室候補が利用者の乗込階へ到着する時間を計算する。そして各号機2−1〜2−Nの待ち時間が極力平均化するように群管理システムにて割当かご室候補の中から最適号機を決定する。
【0045】
以上の流れによるかごの応答方法をダブルデッキエレベータ制御装置に適用することによって、ダブルデッキエレベータのかご枠5が、既に登録された
行先階から乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより登録された行先階に移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかご室を割当てることを可能とし、これからダブルデッキエレベータに乗込む利用者が目的階に移動する際に、目的階に着床したにもかかわらず階間調整によって待たされるといった階間調整時間に伴う運行のロスとストレスを極力減らすことが可能となる。
【0046】
《第2実施形態》
<第2実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成>
第2実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成は、第1実施形態において説明した構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0047】
<第2実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の動作>
第2実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の動作について
図1、
図4、
図9、
図11〜
図18を用いて説明する。
【0048】
第2実施形態の動作を説明する例として、
図12で示した状態を用いる。
図12において、ダブルデッキエレベータの1号機の下かご4が1階、上かご3が2階におり、6階と8階と12階に既に登録された行先階がある。この時、4階の乗場行先階登録装置にて10階の行先階登録操作が行われている。また6階には上かご3が割当て済みであり、8階と12階は下かご4が割当て済みであるものとする。
【0049】
第2実施形態の特徴的な動作として、登録済み行先階から出発し、行先階へ到達する走行において、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断するだけでなく、行先階から出発し登録済み行先階へ到達する走行においても、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかについても判断をする。
図12の例では、8階から10階への走行と10階から12階への走行において、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断し、8階から10階と10階から12階の両方の区間にて階間調整時間がかご枠移動時間以下となったとき、その号機2−1〜2−Nを割当て可能であるとする。
【0050】
前述した
図12の例を用いて、第2実施形態を説明する。
図1の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより、行先階登録操作が行われたとき、
図13のステップS81の処理に入るが、ステップS81の処理は、第1実施形態で説明した
図4のステップS1と同様であるため説明を省略する。同様にステップS82〜S88の処理についても、第1実施形態で説明した
図4のステップS2〜S8と同様の処理であるため、説明を省略し、ステップS89から説明を始める。ステップS89にて、
図1の割当評価部11は、行先階に最も近い登録済み行先階を検索する。行先階に最も近い登録済み行先階の動作については、
図18を用いて説明する。
【0051】
〈行先階に最も近い登録済み行先階の動作(
図18)〉
まずステップS231で、割当評価部11は、変数Xに行先階を代入する。
図12の例において、割当評価部11はステップS82にて、行先階が10階であるとの情報を取得しているため、Xに“10”を代入しステップS232へ進む。ステップS232では、割当評価部11は、変数Yに“1”を代入し、ステップS233へ進む。
【0052】
そしてステップS233で、割当評価部11は、K号機において(X−Y)階に、登録済み行先階があるかを判断する。
図12の例では、割当評価部11はステップS231に“X=10”との値を得ており、またステップS232にて“Y=1”との値を得ているため、“(X−Y)=10−1=9”の計算をして、9階に登録済み行先階があるかどうかを判断する。割当評価部11は、ステップS87にて取得した登録済み行先階の情報より9階は登録済み行先階ではないと判断し.ステップS234へ進む。
【0053】
ステップS234では、割当評価部11は、変数Yをインクリメントし、“Y=2”とする。そしてステップS233にて割当評価部11は、“(X−Y)=10−2=8”の計算をし、8階に行先階登録があるのかを調べる。割当評価部11は、ステップS87にて取得した登録済み行先階の階床情報より8階は登録済み行先階であると判断し、ステップS235へ進み、割当評価部11は(X−Y)階を行先階より下にある最も近い登録済み行先階として取得する。
図12の例では、割当評価部11が現在、保持している変数X,Yは、それぞれ“10”と“2”の値をとっているため、“(X−Y)=10−2=8”を計算し、“8階”を行先階より下にある最も近い登録済み行先階として取得する。
【0054】
そしてステップS236にて再び変数Yに“1”を代入し、ステップS237へ進む。ステップS237では、割当評価部11がK号機に対して、(X+Y)階に登録済み行先階が有るかを判断する。
図12の例では、割当評価部11は、ステップS231にてXに“10”を代入し,ステップS236にてYに“1”を代入しているため、“(X+Y)=10+1=11”を計算し、11階に登録済み行先階が有るのかを判断する。そして、割当評価部11はステップS87にて取得した登録済み行先階の情報から、「11階は登録済み行先階ではない」と判断し、ステップS238へ進む。ステップS238において、割当評価部11は、変数Yをインクリメントし、“Y=2”とする。そしてステップS237にて、割当評価部11は、“(X+Y)=10+2=12”の計算をし、ステップS87にて取得した登録済み行先階の情報を用いて、「12階は登録済み行先階である」との判断をする。そして、ステップS239にて、割当評価部11は、(X+Y)階を行先階より上にある最も近い登録済み行先階として取得する。
図12の例では、割当評価手段が保持している変数XとYの値は、それぞれ“10”と“2”の値をとっているため、“(X+Y)=10+2=12”を計算し“12階”を行先階より上にある最も近い登録済み行先階として取得する。
【0055】
図13のフローチャートへ戻り、ステップS90へ進み、行先階より下にある行先階に最も近い登録済み行先階は、下かご4が割当て済みであるかの判断をする。
図12の例では、ステップS89にて割当評価部11は、行先階より下にある行先階に最も近い登録済み行先階は8階であるとの情報を取得している。またステップS88にて、8階には下かご4が割当て済みであるとの情報を取得している。よって、ステップS90にて割当評価部11は、行先階より下にある行先階に最も近い登録済み行先階(8階)には、下かご4が割当て済みであると判断し、ステップS91へ進む。ステップS91にて、ステップS89で取得した行先階より上にある行先階へ最も近い登録済み行先階(12階)の情報とステップS88にて取得した、登録済み行先階である12階に下かご4が割当て済みであるとの情報を用いて、割当評価部11は、行先階より上にある行先階に最も近い登録済み行先階である12階には、下かご4が割当て済みであると判断をしてステップS93へ進み、割当評価WCのサブルーチンへ進む。
【0056】
ステップS93へ進む前に、ステップS93〜S96の処理の概要について説明する。ステップS93〜S96は、ダブルデッキエレベータのかご枠5が行先階より下にある最も近い登録済み行先階から行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断し、かつ行先階から行先階より上にある最も近い登録済み行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理であり、行先階より下にある最も近い登録済み行先階に対して、上かご3が割当て済みである場合と下かご4が割当て済みである場合の2パターンと、行先階より上にある行先階に最も近い登録済み行先階に対して上かご3が割当て済みである場合と下かご4が割当て済みである場合の2パターンで、計2×2の4パターンについて場合分けをしている。
【0057】
図12の例では、8階から10階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断し、かつ10階から12階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断することになり、8階に上下かご室どちらか割当て済みであるか、12階に上下かご室どちらが割当て済みであるかで割当評価WC〜WFで場合分けしている。
【0058】
第2実施形態においては、割当評価WCの説明をするが、割当評価WC、割当評価WD、割当評価WE、割当評価WFの違いに関しては、上述した登録済み行先階に割当て済であるかご室が下かご4であるか、上かご3であるかの違いしかなく、割当評価WC〜WFの動作に本質的な違いはないため、
図15に示す割当評価WD、
図16に示す割当評価WE、
図17に示す割当評価WFの動作の詳細な説明については省略する。
【0059】
割当評価WCを
図14を用いて説明する。まずステップS111にて割当評価部11は、割当制御部12からK号機の位置情報を取得する。
図12の例では、ダブルデッキエレベータのかご枠5は、上昇運転をしているため、割当評価部11はK号機が上昇運転しているとの情報を取得する。
【0060】
次にステップS112にて割当評価部11は、K号機の運転方向が上方向であるかの判断をする。
図12の例では、割当評価部11はステップS111にてK号機が上昇運転しているとの情報を取得しているため、ステップS112にて、割当評価手段はYESとの判断をして、ステップS113へ進む。
【0061】
ステップS113にて割当評価部11は、変数Aに行先階より下にある行先階に最も近い登録済み行先階を代入する。
図12の例では、割当評価部11は、ステップS89にて行先階より下にある行先階に最も近い登録済み行先階が8階であるとの情報を取得しているため、Aに“8”を代入する。続いてステップS115にて、変数Cに行先階より上にある行先階に最も近い登録済み行先階を代入する。
図12の例では、ステップS89にて、行先階より上にある行先階に最も近い登録済み行先階として12階を取得しているため、変数Cに“12”を代入してステップS117へ進む。
【0062】
ステップS117では、割当評価部11が変数Bに行先階の階床情報を代入する。
図12の例では、割当評価部11が、ステップS82にて行先階の階床情報として10階の情報を取得しているため、変数Bに“10”を代入しステップS118へ進む。
【0063】
ステップS118では割当評価部11が、K号機がA階からB階へ移動する際に.階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する。
図12の例では、割当評価部11がステップS113、ステップS117にて、変数Aに“8”を代入し、変数Bに“10”を代入しているため、ステップS118にて8階から10階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルにおいて、出発階が“8”、行先階が“10”の箇所は、“0”となっているため、割当評価部11は、下かご4が8階から10階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以上となると判断する。次にステップS119へ進み、割当評価部11は、K号機がB階からC階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるか判断をする。
図12の例では、割当評価部11はステップS113、ステップS117にて、変数Bに“10”を代入し、変数Cに“12”を代入しているため、ステップS119にて、10階から12階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルにおいて、出発階が“10”、行先階が“12”の箇所は“1”となっているため、割当評価部11は、下かご4が10階から12階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断をする。
【0064】
次にステップS120において、変数Bをデクリメントする。
図12の例では、ステップS117にて、割当評価部11が変数Bに“10”を代入しているため、変数BをデクリメントしB=9とし、ステップS122へ進む。ステップS122では、割当評価部11が、K号機がA階からB階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかの判断をする。
図12の例では、割当評価部11がステップS113にて、変数Aに“8”を代入し、ステップS120にて変数Bの値をデクリメントし変数B=9としたため、ステップS122にて割当評価部11は下かご4が8階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルにおいて、出発階が“8”、行先階が“9”の箇所は、“1”となっているため、割当評価部11は、下かご4が8階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断し、ステップS124へ進む。
【0065】
ステップS124では、割当評価部11は、K号機がB階からC階へ移動する際、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかの判断をする。
図12の例では、ステップS120にて、変数Bをデクリメントして“B=9”とし、ステップS115にて変数Cに“12”を代入し“C=12”としているため、割当評価部11は、下かご4が10階から12階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルの出発階が9階、行先階が12階の箇所は“1”となっているため、割当評価部11は、9階から12階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下であると判断しステップS126へ進む。
【0066】
ステップS126では、割当評価部11が、K号機の上かご3と下かご4の両方のかご室が割当て可能であるとの情報を、割当制御部12へ送信し、割当制御部12は、第1実施形態にて説明した
図11のデータテーブルに、受信した情報をセットする。
図12の例では、割当制御部12は、行側が4階、列側が1号機の上かごの箇所に“1”をセットし、下かごの箇所に“1”をセットする。
【0067】
次に、
図13のフローチャートのステップS97へ進むが、ステップS97〜S99の処理は、第1実施形態で説明した
図4のステップS13〜S15と同様であるため説明を省略する。
【0068】
以上の流れによるかごの応答方法をダブルデッキエレベータ制御装置に適用することによって、ダブルデッキエレベータのかご枠5が、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより登録された行先階から登録済み行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかご室を割当てることを可能とし、これからダブルデッキエレベー夕に乗込む利用者と既にダブルデッキエレベータに乗っている利用者が目的階に移動する際に、着床したにもかかわらず階間調整によって待たされるといった階間調整時間に伴う運行のロスやストレスを極力減らすことが可能となる。
【0069】
《第3実施形態》
<第3実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成>
第3実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の構成を
図19を用いて説明する。第3実施形態の特徴的な構成として乗込階階床情報取得部24がある。乗込階階床情報取得部24は、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nと通信ライン7Bを介して接続され、また、ダブルデッキエレベータ制御装置20内の割当評価部21と接続されている。
【0070】
また、各階のダブルデッキエレベータの乗場に設置されている乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nが設置されている階の階床情報と1対1対応した個別の識別IDを持っている。
【0071】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nに行先階登録操作が行われると、通信ライン7Aを介して割当評価部21に行先階の階床情報を送信するとともに、乗込階階床情報取得部24に通信ライン7Bを介して、識別IDを送信する。乗込階階床情報取得部24は、識別IDが何階に対応しているかの関連づけを記載したデータテーブルを保持しており、識別ID情報を受信すると、そのデータテーブルを用いて、識別ID情報を該当する階床情報に変換し、割当評価部21へ送信する。
【0072】
<第3実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の動作>
第3実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の動作について
図4、
図9、
図11、
図19〜
図24を用いて説明する。
【0073】
第3実施形態を説明する例として
図20を用いる。
図20は、ダブルデッキエレベータの1号機の下かご4が1階、上かご3が2階におり、6階と10階は登録済み行先階である。このとき、8階の乗場行先階登録装置にて“12階”の行先階登録操作が行われた状態を示している。また6階と10階には下かご4が割当て済みであるものとする。
【0074】
図20において、8階の乗場行先階登録にて“12階”の行先階登録操作が行われると、
図19の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、行先階登録有りと判断し(S251)、通信ライン7Aを介して、割当評価部21へ行先階の階床情報を送信する。割当評価部21は、受信した行先階の階床情報を取得する(S252)。また乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、識別ID情報を通信ライン7Bを介して、乗込階階床情報取得部24へ送信する。乗込階階床情報取得部24は、識別IDが何階に対応しているかの関連づけを記載したデータテーブルを用いて、識別ID情報を対応する階床情報へ変換し、割当評価部21へ送信し、割当評価部21は、受信した乗込階の階床情報を取得する(S253)。
【0075】
以降のステップS254〜S260の処理は、第1実施形態で説明した
図4のステップS3〜S9と同様の処理であるため説明を省略し、ステップS261へ進む。ステップS261にて割当評価部21は、乗込階へ最も近い登録済み行先階の検索をする。
【0076】
図24を用いて、“乗込階へ最も近い登録済み行先階の検索処理”について説明する。まずステップS391にて、割当評価部21は、ステップS253にて取得した乗込階の階床情報を用いて、変数Xに“8”を代入する。次にステップS392にて、割当評価部21は、変数Yを“1”に初期化する。続いてステップS393にて割当評価部21は、K号機の運転方向を、割当制御部22から受信する。
図20の例では、ダブルデッキエレベータのかご枠5は、上昇運転しているため、割当評価部21は、割当制御部22から、かご枠5が上昇運転しているとの情報を受信し、ステップS394へ進む。ステップS394では、割当評価部21が、ダブルデッキエレベータのかご枠5の運転方向が上昇運転かどうかを判断する。
図20の例では、割当評価部21は、ステップS393にて1号機が上昇運転しているとの情報を取得しているので、ステップS394ではYESと判断し、ステップS395へ進む。ステップS395では、割当評価部21がK号機には(X−Y)階に、登録済み行先階があるのかを調べる。
図20の例では、割当評価部21は、ステップS391にてXに“8”を代入し、X=8とし、またステップS392にてYに“1”を代入し、Y=1としているため、ステップS395において、“(X−Y)=(8−1)=7”の計算をし、7階に登録済み行先階があるのかを調べる。割当評価部21はステップS258にて、K号機には登録済み行先階が“6階”と“10階”であるとの情報を取得しているため、7階には、登録済み行先階がないと判断し、ステップS396へ進む。ステップS396では.割当評価部21が変数Yを、“Y+1=1+1=2”としてインクリメントし、ステップS395へ進み、K号機は、(X−Y)階に登録済み行先階があるのかを調べる。割当評価部21は、変数XとYが“X=8”と“Y=2”の値をとっているため、“(X−Y)=8−2=6”の計算をし、「6階は登録済み行先階である」と判断をする。
【0077】
そしてステップS399にて、割当評価部21は(X−Y)階を、乗込階に最も近い登録済み行先階として取得する。
図20の例では、割当評価部21が乗込階に最も近い登録済み行先階として“6階”という情報を取得する。
【0078】
図21のフローチャートへ戻り、ステップS262の処理に入るがステップS262〜S264までの処理は、第1実施形態の
図4のステップS10〜S12で説明した処理と同様であるため説明を省略し、ステップS266へ進む。
【0079】
ステップS266では、乗込階に最も近い登録済み行先階は下かご4が割当て済みであるかの判断をする。
図20の例では、ステップS266において、乗込階に最も近い登録済み行先階が“6階”であるとの情報を取得している。またステップS259にて、K号機の登録済み行先階である6階と10階の双方に下かご4が割当て済みであるとの情報を得ている。よって割当評価部21は、ステップS266にて乗込階に最も近い登録済み行先階である6階には、下かご4が割当て済みであるとの判断をして、ステップS267の割当評価WGのサブルーチンの処理へ進む。
【0080】
ステップS267へ進む前に、ステップS267とステップS268の処理の概要について説明する。ステップS267とステップS268は、ダブルデッキエレベータのかご枠5が登録済み行先階から乗込階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間となるかを判断する処理になり、登録済み行先階に対して上下のかご室どちらが割当て済であるかで場合分けをしている。
【0081】
ステップS267の割当評価WGは、登録済み行先階に対して下かご4が割当て済みであるとき、登録済み行先階から乗込階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理であり、ステップS268の割当評価WHは、登録済み行先階に対して上かご3が割当て済であるときに、既に登録された
行先階から乗込階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理である。
【0082】
第3実施形態においては、割当評価WGの説明をするが、割当評価WGと割当評価WHの違いに関しては、上述したように、登録済み行先階に割当て済であるかご室が下かご4であるか、上かご3であるかの違いしかなく、両者の動作に本質的な違いはないため,
図23に示す割当評価WHの動作の詳細な説明については省略する。
【0083】
ステップS267の割当評価WGのサブルーチンの動作について
図22を用いて説明する。まずステップS281にて割当評価部21は、変数Aに乗込階に最も近い登録済み行先階を代入する。
【0084】
図20の例では、割当評価部21は、
図21のステップS261にて、乗込階に最も近い登録済み行先階が6階であるとの情報を取得しているため、変数Aに“6”を代入する。続いてステップS282にて、変数Bに乗込階を代入する。
図20の例では、ステップS253にて、乗込階が8階であるとの情報を取得しているため、変数Bに“8”を代入し、ステップS283へ進む。
【0085】
ステップS283にて割当評価部21が、K号機が
A階からB階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する。
図20の例では、割当評価
部21がステップS281、ステップS282にて、変数Aに6を代入し、変数Bに8を代入しているため、ステップS283にて6階から8階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルにおいて、出発階が“6”、行先階が“8”の箇所は、“1”となっているため、割当評価部21は、
6階から8階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断する。次にステップS284へ進み、割当評価部21が、変数Bをデクリメントする。
図20の例では、ステップS282にてBに“8”を代入しているため、Bをデクリメントし、“B=7”とする。
【0086】
次にステップS286にて、割当評価部21は、K号機がA階からB階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるか判断をする。
図20の例では、割当評価部21はステップS281にて変数Aに“6”を代入し、ステップS284にて、変数Bをデクリメントし、“B=7”としているため、ステップS285にて、6階から7階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルにおいて、出発階が“6”、行先階が“7”の箇所は“1”となっているため、割当評価部21は、6階から7階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断をし、ステップS288へ進む。
【0087】
ステップS288では、割当評価部21が、乗込階に対してK号機の上かご3と下かご4の両方のかご室が割当て可能であるとの情報を、割当制御部22へ送信する。割当制御部22は、
図11のデータテーブルに、受信した情報をセットする。
図20の例では、割当制御部22は、行側が8階、列側が1号機の上かご3の箇所に“1”をセットし、且つ下かご4の箇所に“1”をセットする。
【0088】
図21のフローチャートへ戻り、ステップS269にて割当評価部21は号機インデックスKが号機数より大きい値をとっているかを判断する。ここではYESとして、S270へ進む。
【0089】
ステップS270では、割当制御部22が乗込階への割当かご室候補が1つ以上あるか図の判断をする。
図20の例では、
図11のデータテーブルを用いて、6階の乗込階に対して応答する号機を調べるために、行が“6”のところに、“1”がセットされている号機があるのかを判断する。もし“1”が一つもセットされていなければ、乗込に対して割当かご室候補が一つも見つかっていないと判断し、ステップS254へ進み、“1”が一つでもセットされていれば、乗込階に対して割当かご室候補があると判断するステップS271へ進む。ステップS271の処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0090】
以上の流れによるかごの応答方法をダブルデッキエレベータ制御装置に適用することによって、ダブルデッキエレベータのかご枠5が、既に登録された
行先階(登録済み行先階)から乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作が行われた階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかご室を割当てることを可能とし、既にダブルデッキエレベータに乗っている利用者が乗場行先階登録装置6−1〜6−Nによる乗場呼びに応じた時に、着床したにもかかわらず、階間調整により待たされるといった階間調整時間に伴う遅行のロスやストレスを極力減らすことが可能となる。
【0091】
《第4実施形態》
<第4実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成>
第4実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の構成は、第1実施形態で示した
図1と同様であるが、本実施形態における乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nが設置されている階の階床情報を保持しているものとする。例えば4階に設置されている乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、設置されている階床の情報として4階という情報を保持している。
【0092】
<第4実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の動作>
第4実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の動作について
図4、
図8、
図9、
図11、
図25〜
図27を用いて説明する。
【0093】
第4実施形態の動作を説明する例として、
図8で示した状況を用いる。
図8において、ダブルデッキエレベータのかご枠5の下かご4が1階、上かご3が2階におり、6階と8階へ登録済み行先階があり、6階と8階の双方に上かご3が割当て済みである。このとき、4階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにて“10階”の行先階登録操作が行われたとする。
【0094】
また第4実施形態においては、ダブルデッキエレベータのかご枠5は、偶数階の呼びには、上かご3が応答し、奇数階の呼びには下かご4が応答する運転モードをとっている。
【0095】
10階の行先階登録操作が行われると、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nが行先階登録有りと判断し(S411)、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nが、保持している設置階の情報と行先階の階床情報を比較し、両者が偶数階で一致するかの判断をする(S412)。
図8の例では、4階の乗場登録装置に10階の行先階登録操作が行われたため、4階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、設置階である4階という情報と、行先階の10階という情報を比較し、両者が共に偶数であるとの判断をし、ステップS414へ進む。
【0096】
図25のステップS414〜S422までは、第1実施形態で説明した
図4のステップS2〜S10と同様の処理のため説明を省略し、ステップS422にてNOと判断されたとし、ステップS424の割当評価WJのサブルーチンへ進む。なお、
図26に示す割当評価WIの動作については、
図27とほぼ同様であるため、その説明は省略する。
【0097】
割当評価WJの動作を
図27を用いて説明する。まずステップS471にて、割当評価部11が変数Aに行先階に最も近い登録済み行先階から“1”を引いた値を代入する。
図8の例では、割当評価部11は、ステップS421にて行先階に最も近い登録済み行先階として8階との情報を取得しているため、変数“A=8”から“1”を引いた値である7を代入する。次にステップS472へ進み、割当評価部11が変数“B”に行先階の階床情報を代入する。
図8の例では、割当評価部11がステップS414にて、行先階の階床情報として10階を取得しているため、変数Bに“10”を代入し、ステップS473へ進む。ステップS473にて、割当評価部11は、変数Bが偶数であるかの判断をする。
図8の例では、割当評価部11は、ステップS472にてBに“10”を代入しているため、Bの値は偶数だと判断しステップS474へ進む。
【0098】
ステップS474において、割当評価部11は、変数Bをデクリメントする。
図8の例では、割当評価部11は、ステップS472にてBに“10”の値を代入しているため、Bから“1”を引いて値を“B=9”としてステップS476進む。ステップS476では、割当評価部11は、K号機がA階からB階へ移動するとき、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかの判断をする。
図8の例では、割当評価部11がステップS471にてAに“7”の値を代入し、ステップS474にてBの値をデクリメントし“B=9”としているため、7階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて調べる。
図9のデータテーブルの出発階が7階、行先階が9階の箇所を見ると“1”がセットされているため、割当評価部11は、7階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断し、ステップS477へ進む。
【0099】
ステップS477では、割当制御部12が割当評価部11からK号機の上かご3、または下かご4が割当て可能であるとの情報を受信し、割当制御部12が保持している
図11のデータテーブルの上かごまたは下かごの箇所に割当て可能であれば“1”をセットする。
図8の例では、4階で発生した行先階登録操作に対して、割当評価部11は、K号機の上かご3を割当て可能であるとの情報を、割当制御部12へ送信する。割当制御部12は、受信した情報を元に
図11のデータテーブルの行が“4”、列がK号機の箇所の上かご3に“1”をセットし、割当評価WAのサブルーチンを抜け、
図25のステップS425へ進む。
【0100】
図25のステップS425〜S427については、第1実施形態で説明した
図4のステップS13〜S15と同様であるため説明を省略する。
【0101】
以上の流れによるかごの応答方法をダブルデッキエレベータ制御装置に適用することによって、ダブルデッキエレベータが偶数階の呼びには上かご3が応答し、奇数階の呼びには下かご4が応答する運転モードにおいて、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより登録操作された行先階が偶数階の場合は、上かご3が行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを調べ、奇数階の場合は、下かご4が行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを調べる。
【0102】
偶数階と奇数階により、本発明のオペレーションを上かご3と下かご4とで切り換えることによって、無駄な処理を減らし、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかご室を探す時間を極力減らすことが可能となる。
【0103】
《第5実施形態》
<第5実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成>
第5実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の構成は、実施形態3で示した
図19と同様である。第5実施形態における乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nが設置されている階の階床情報を保持しているものとする。例えば4階に設置されている乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、設置されている階床の情報として4階という情報を保持している。また割当評価部21と割当制御部22は、ダブルデッキエレベータの基準階の情報を保持しているものとし、割当制御部22は、基準階から出発したダブルデッキエレベータのかご枠5が他階からの呼びに応答したときに、当該号機のかご枠5が他階からの呼びに応答したとの情報を割当評価部21へ送信する。割当評価部21は、基準階から出発した号機を
図32のデータテーブルで保持し、割当制御部22から基準階から出発した後、他階からの呼びに応答した号機の情報を受信した場合、該当号機のデータに1をセットする。
【0104】
<第5実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の動作>
第5実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の動作について、
図8、
図9、
図11、
図19、
図25、
図27〜
図32を用いて説明する。
【0105】
第5実施形態において、ダブルデッキエレベータのかご枠5が基準階にいる状態とは、下かご4が1階、上かご3が2階にいる状態を意味するものとする。またダブルデッキエレベータのかご枠5は、基準階から出発した後、いずれかの階に応答するまでの間、偶数階の呼びは上かご3が応答し、奇数階の呼びには下かご4が応答する。一方で基準階から出発し、他階の呼びに応答した後は、偶数階、奇数階に関係なく上下かご室のどちらかが応答する。
【0106】
第5実施形態の動作を説明する例として
図8と
図31を用いる。まず
図8を用いてダブルデッキエレベータのかご枠5が基準階から出発し、他階からの呼びに応答するまでの、第5実施形態における動作を説明する。
【0107】
図8では、ダブルデッキエレベータの1号機の下かご4が1階、上かご3が2階におり、6階と8階は登録済み行先階である。この時、4階の乗場行先階登録装置にて“0階”の行先階登録操作が行われた状態を示している。
【0108】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作が行われると、
図28のステップS501の処理に入るが、ステップS501〜S504まで、前述した第4実施形態の
図25のステップS411〜S414と同様であるため、説明を省略し、ステップS505へ進む。
【0109】
ステップS505において、乗込階階床情報取得部24は、通信ライン7Bを介して乗場行先階登録装置6−1〜6−Nから受信した識別IDを階床情報へ変換して、割当評価部21へ送信する。そして割当評価部21は、乗込階階床情報取得部24から乗込階の階床情報を受信し記憶する(S506)。
【0110】
次にステップS506へ進むが、ステップS506〜S512までは、第1実施形態で説明した
図4のステップS3〜S9と同様の処理であるため説明を省略しステップS513へ進む。
【0111】
ステップS513において、割当評価部21は、行先階登録操作が行われた階が基準階であるかの判断をする。
図8の例においては、割当評価部21は、ステップS505にて取得した乗込階の階床情報である4階と割当評価部21が保持している基準階の情報である1階と2階を比較し、両者が一致していないとの判断をして、ステップS514へ進む。
【0112】
ステップS514において、割当評価部21は、K号機が基準階から出発した後、いずれかの階床で応答しているかの判断をする。
図8の例では、割当評価部21が、号機インデックスKは“1”の値をとっているため、
図32のデータテーブルの1号機の箇所を参照し、“0”がセットされていることを見て、「1号機は基準階から出発した後、他階からの呼びに末応答である」との判断をする。
【0113】
ステップS515において、割当評価部21は、行先階に最も近い登録済み行先階は下かご4が割当て済みであるかの判断をする。
図8の例では、割当評価部21がステップS512にて、行先階に最も近い登録済み行先階が8階であるとの情報を取得している。またステップS511にて、登録済み行先階である8階には、上かご3が割当て済みであるかの情報を取得している。よって割当評価部21は、行先階に最も近い登録済み行先階には、上かご3が割当て済みであるとの判断をし、ステップS518の割当評価WJへ進む。
【0114】
ステップS518へ進む前に、ステップS517〜S518の処理の概要について説明する。ステップS517〜S518は、ダブルデッキエレベータのかご枠5が登録済み行先階から行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠5の移動時間以下となるかを判断する処理になる。ステップS517の割当評価WIとステップS518の割当評価WJは、ダブルデッキエレベータのかご枠5が、基準階から出発し他階の呼びに応答するまでの間において、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録された行先階が偶数階の場合は、上かご3が行先階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断し、行先階が奇数の場合は下かご4が行先階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理である。
【0115】
第5実施形態においては、割当評価WJの説明をするが、割当評価WIと割当評価WJの違いに関しては、登録済み行先階に対して下かご4が割当て済みであるか、上かご3が割当て済みであるかの違いしかなく、両者の動作に本質的な違いはないため割当評価WIの動作の詳細な説明については省略する。
【0116】
ステップS518の割当評価WJの動作の説明に入る。割当評価WJの動作を
図27を用いて説明する。まずステップS471にて、割当評価部21が変数Aに行先階に最も近い登録済み行先階から“1”を引いた値を代入する。
図8の例では、割当評価部21は、ステップS512にて行先階に最も近い登録済み行先階が8階であるとの情報を取得しているため、変数“A=8”から“1”を引いた値である“7”を代入する。次にステップS472へ進み、割当評価部21が変数Bに行先階の階床情報を代入する。
図8の例では、割当評価部21がステップS510にて、行先階の階床情報として10階を取得しているため、変数Bに“10”を代入し、ステップS473へ進む。ステップS473にて、割当評価部21は、変数Bが偶数であるかの判断をする。
図8の例では、割当評価部21は、ステップS472にて変数Bに“10”を代入しているため、変数Bの値は偶数だと判断しステップS474へ進む。
【0117】
ステップS474において、割当評価部21は、変数Bをデクリメントする。
図8の例では、割当評価部21は、ステップS472にて変数Bに“10”の値を代入しているため、変数Bから“1”を引いて値を変数“B=9”としてステップS476へ進む。ステップS476では、割当評価部21は、K号機がA階からB階へ移動するとき、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかの判断をする。
図8の例では、割当評価部21がステップS471にて変数Aに“7”の値を代入し、ステップS474にて変数Bに“9”の値を代入しているため、7階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて調べる。
図9のデータテーブルの出発階が7階、行先階が9階の箇所を見ると“1”がセットされているため、割当評価部21は、7階から9階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断し、ステップS477へ進む
ステップS477では、割当制御部22が割当評価部21からK号機の上かご3、または下かご4が割当て可能であるとの情報を受信し、割当制御部22が保持している
図11のデータテーブルの上かご3または下かご4の箇所に割当て可能であれば“1”をセットする。
図8の例では、4階で発生した行先階登録操作に対して、割当評価部21は、1号機の上かご3を割当て可能であるとの情報を、割当制御部22へ送信する。割当制御部22は、受信した情報を元に
図11のデータテーブルの行が“4”、列が7号機の箇所の上かごの箇所に“7”をセットし、割当評価WJのサブルーチンを抜け、
図28のステップS521へ進む。
【0118】
図28のステップS521〜S523は、第1実施形態で説明した
図4のステップS13〜S15と同様であるため説明を省略する。次に
図31を用いて、ダブルデッキエレベータのかご枠5が基準階から出発し、応答した後の動作について説明する。
【0119】
図31において、ダブルデッキエレベータのかご枠5には、10階が登録済み行先階となっており、上かご3が割当て済みである。現在、4階の登録済み行先階に応答し、登録済み行先階である10階に移動中である。この時、8階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにて“12階”の行先階登録操作が行われたものとする。また既に登録した行先階である4階に応答した時に、割当制御部22が、割当制御手段に1号機が基準階から出発後、他階からの呼びに応答したとの情報を割当評価部21へ送信し、割当評価部11は、受信した情報に基づき、
図32のデータテーブルの1号機の箇所に“1”をセットする。
【0120】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにて、行先階登録が行われると
図28のステップS501の処理に入るが、ステップS501〜S512までは、前述した本実施形態の説明と重複するため説明を省略し、ステップS513へ進む。
【0121】
ステップS513において、割当評価部21は、行先階登録操作が行われた階が基準階であるかの判断をする。
図31の例においては、割当評価部21は、ステップS505にて取得した乗込階の階床情報である9階と割当評価部21が保持している基準階の情報である1階と2階を比較し、両者が一致していないとの判断をして、ステップS514へ進む。ステップS514において、割当評価部21は、K号機が基準階から出発した後、いずれかの階床で応答しているかの判断をする。
図31の例では、割当評価部21は、現在Kは“1”の値をとっているため、
図32のデータテーブルの1号機の箇所を参照し、“1”がセットされていることを見て、1号機は基準階から出発した後、他階からの呼びに応答済みであるとの判断し、ステップS516へ進む。
【0122】
ステップS516にて、割当評価部21は行先階に最も近い登録済み行先階には、下かご4が割当て済みであるかの判断をする。
図31の例において、割当評価部21は、ステップS511にて登録済み行先階である10階には、上かご3が割当て済みであるとの情報を取得し、ステップS512にて、行先階に最も近い登録済み行先階が10階であるとの情報を得ている。よって行先階に最も近い登録済み行先階である10階には、上かご3が割当て済みであると判断し、ステップS520の割当評価WLへ進む。
【0123】
ステップS520へ進む前に、ステップS519〜S520の処理の概要について説明する。
【0124】
ステップS519〜S520は、ダブルデッキエレベータのかご枠5が登録済み行先階から行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理になる。割当評価WKと割当評価WLは、ダブルデッキエレベータのかご枠5が、基準階から出発し他階の呼びに応答した後において、上昇運転時は、上かご3が行先階へ移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断し、下降運転時は、下かご4が行先階へ応答する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する処理をする。
【0125】
本実施形態においては、割当評価WLの説明をするが、
図29に示す割当評価WKと
図30に示す割当評価WLの違いに関しては、登録済み行先階に割当て済であるかご室が下かご4であるか、上かご3であるかの違いしかなく、両者の動作に本質的な違いはないため割当評価WKの動作の詳細な説明については省略する。
【0126】
割当評価WLの動作について
図30を用いて説明する。まずステップS561にて、割当評価部21は、変数Aに行先階に最も近い登録済み行先階から“1”を引いた値を代入する。
図31の例では、割当評価部21は、ステップS512にて行先階に最も近い登録済み行先階が10階であるとの情報を取得しているため、“A=10−1”の計算をし、“A=9”の値を取得する。次にステップS562にて、割当評価部21は、変数Bに行先階を代入する。
図31の例では、割当評価部21が、ステップS504にて行先階が12階であるとの情報を取得しているため、変数Bに“12”を代入し、ステップS563へ進む。
【0127】
ステップS563にて、割当評価部21は、割当制御部22からK号機の運転方向を受信する。
図31の例では、1号機は、現在中階へ向け上昇運転しているため、割当評価部21は、割当制御部22が上昇運転しているとの情報を取得する。
【0128】
次にステップS564にて割当評価部21は、K号機の運転方向が上昇運転かどうかを判断する。
【0129】
図31の例では、割当評価部21が、ステップS564にてかご枠5が上昇運転しているとの情報を取得しているため、ステップS565へ進む。
【0130】
ステップS565では、割当評価部21は、変数Bをデクリメントする。
図31の例では、割当評価部21は、ステップS562にて変数Bに“12”を代入し、“B=12”の値を取得しているため、ステップS565にてB−1=12−1=11の計算をし、B=11の値を取得し、ステップS567へ進む。
【0131】
ステップS567にて、割当評価部21はK号機がA階からB階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを判断する。
図31の例では、割当評価部21は、“A=9”,“B=11”の値を保持しているため、9階から11階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを
図9のデータテーブルを用いて判断する。
図9のデータテーブルを見ると、出発階が“9”、行先階が“11”の箇所は値が“1”となっているため、割当評価部21は、K号機が9階から11階へ移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となると判断し、ステップS572へ進む。
【0132】
ステップS572では、割当制御部22が割当評価部21からK号機の上かご3、または下かご4、または双方のかご室が割当て可能であるとの情報を受信し、割当制御部22が保持している
図11のデータテーブルの上かごまたは下かご4または双方のかご室に対応する箇所に割当て可能であれば“1”をセットする。
図31の例では、8階で発生した行先階登録操作に対して、割当評価部21は、1号機の上かご3を割当て可能であるとの情報を、割当制御部22へ送信する。割当制御部22は、受信した情報を基に
図11のデータテーブルの行が“8”、列が“1号機”の箇所の上かご3に“1”をセットし、割当評価WAのサブルーチンを抜け、
図28のステップS521へ進む。
【0133】
図28のステップS521〜S523については、第1実施形態で説明した
図4のステップS13〜S15と同様であるため説明を省略する。
【0134】
以上の流れによるかごの応答方法をダブルデッキエレベータ制御装置に適用することによって、ダブルデッキエレベータが基準階から出発し、他階の呼び応答するまでの間は、偶数階の呼びには上かご3が応答し、奇数階の呼びには下かご4が応答する運転モードにおいて、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより登録操作された行先階が偶数階の場合は、各号機の上かご3が行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを調べ、奇数階の場合は、各号機の下かご4が行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを調べる。
【0135】
上述した処理を入れることにより、奇数階の呼びに対して、上かごが既に登録された
行先階から
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作があった行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを調べるといった無駄な処理を減らし、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかご室を探す時間を極力減らすことが可能となる。
【0136】
また基準階から出発したダブルデッキエレベータが他階からの呼びに応答した後は、偶数階、奇数階に関係なく、上下かご室のどちらかが応答する運転モードにおいて、上昇運転時は、上かご3が行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを先に調べ、下降運転時は、下かご4が行先階まで移動する際に、階間調整時間がかご枠移動時間以下となるかを先に調べる。
【0137】
上昇運転時と下降運転時で上述したようにオペレーションを切り換えることによって、階間調整時間がかご枠移動時間以下となる号機を極力早く応答させることを可能とする。
【0138】
《第6実施形態》
<第6実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の構成>
第6実施形態におけるダブルデッキエレベータの構成について、
図33を用いて説明する。第6実施形態の特徴的な構成として、割当待ち時間測定部34がある。割当待ち時間測定部34は、通信ライン7Cを介して乗場行先階登録装置6−1〜6−Nと接続されていると共に、ダブルデッキエレベータ制御装置30内では割当制御部32と接続されている。
【0139】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nは、行先階登録操作を検知すると、行先階の階床情報を通信ライン7Aを介して割当評価部31に送信し、また行先階の階床情報を通信ライン7Cを介して割当待ち時間測定部34に送信する。割当待ち時間測定部34は、各階と1対1対応したタイマーを保持しており、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nから通信ライン7Cを介して送信された行先階の階床情報を受信すると、受信した行先階に対応するタイマーを作動させ、割当待ち時間の測定を開始する。割当待ち時間のカウントが閾値を超えたことを検知すると、タイマーと1対1に対応している階床の情報を、割当制御部32に送信する。
【0140】
割当制御部32は、第1実施形態で説明したように、
図3で示したデータテーブルを保持している。
図3のデータテーブルは、各乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録された行先階に対して何号機のかご室が割当て可能かを示しており、各行は、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nのある階を示し、各列は号機の情報を示している。例えば、
図3のデータテーブルの行側が“2”、列側が2号機の箇所において、上かごが“0”、下かごが“1”となっているが、これは、2階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録された行先階に対して、“下かごが割当て可能”を意味している。割当制御部32は、
図3のデータテーブルに何号機の上下どちらのかご室が割当て可能かどうかを記憶する。
【0141】
そして、割当待ち時間測定部34から割当待ち時間が閾値を超えた階床の情報を受信すると、割当制御部32は、
図3のデータテーブルの該当する階床の行のデータを全て“1”にセットする。例えば、2階の割当待ち時間が閾値を超えたとの情報を割当待ち時間測定部34から受信すると、
図3の行が“2”の箇所の全てに“1”をセットする。
【0142】
そして、割当制御部32は号機制御部33−1〜33−Nから受信した各号機の位置情報と、
図3のデータテーブルに保持している号機の割当て情報を用いて、割当て可能号機の到着時刻を算出し、各号機の待ち時間を平均化するように群管理システムの割当制御をして割当てかご室を決定し、割当てかご室の情報を該当する号機制御部33−1〜33−Nに送信する。
【0143】
<第6実施形態によるダブルデッキエレベータ制御装置の動作>
第6実施形態におけるダブルデッキエレベータ制御装置の動作について、
図4、
図11、
図33〜
図34を用いて説明する。
【0144】
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nに、行先階登録操作が行われると、
図34のステップS601にて
図33の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作があったと判断され、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nから通信ライン7Aを介して行先階の階床情報が割当評価部31に向け送信され、割当評価部31は、行先階の階床情報を取得する(S602)。
【0145】
ステップS603では、割当待ち時間測定部34が通信ライン7Cを介して、乗場行先階登録装置6−1〜6−Nから行先階の階床情報を受信し、割当て待ち時間の測定を開始する。
【0146】
次にステップS604へ進むが、ステップS604〜S615までは、第1実施形態で説明した
図4のステップS3〜S14と同様の処理であるため説明を省略し、第6実施形態の特徴であるステップS615にて“NO”と判断されたときのステップS616の処理について説明する。
【0147】
ステップS616は、ステップS615にて“NO”と判断されたときに進むステップであるため、既に登録された
行先階(登録済み行先階)から
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作があった行先階まで移動する際に階間調整時間がかご枠移動時間以下となる号機が1台も見つかっていない状態にある。この時、割当制御部32は、割当待ち時間測定部34からK階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nに対応するタイマーがカウントしている割当待ち時間を受信し、受信した割当待ち時間が規定時間を越えているかの判断をする。もし割当待ち時間が規定時間を越えていない場合は、ステップS604へ戻り、再度1号機が既に登録された
行先階から
乗場行先階登録装置6−1〜6−Nにより行先階登録操作があった行先階まで移動する際、階間調整時間がかご枠移動時間以下なるがどうかを判断する処理に入る。
【0148】
一方で割当待ち時間が規定時間以上となっていた場合は、ステップS618へ進む、ステップS618にて割当制御部32は、
図11のデータテーブルの、割当待ち時間が規定時間を越えた乗場行先階登録装置6−1〜6−Nのある階に対応する行のデータの上下かご室に“1”をセットする。例えば、4階の乗場行先階登録装置6−1〜6−Nの割当待ち時間が規定時間を越えた場合、
図11のデータテーブルの行の値が“4”の箇所の列の値が“1号機”において、上かご、下かご双方に“1”をセットし、“2号機”、“3号機”に対しても同様の処理をすることで、行の値が“4”の箇所全てに“1”をセットし、全号機を割当て可能状態にする。
【0149】
ステップS617では、割当制御部32が号機制御部33−1〜33−Nから割当かご室候補の位置情報を受信し、割当かご室候補が利用者の乗込階へ到着する時間を計算する。そして各号機の待ち時間が極力平均化するように群管理システムにて割当かご室候補の中から最適号機を決定する。
【0150】
以上の流れによるかごの応答方法をダブルデッキエレベータ制御装置に適用することによって、ダブルデッキエレベータのかご枠5が、行先階へ到達する走行において、階間調整時間がかご枠移動時間以下となる号機を探すのに伴った時間のロスと利用者のストレスを極力減らすことを可能とする。
【0151】
以上説明したように、ダブルデッキエレベータと乗場行先階登録装置とを運動させ、階間調整時間を考慮したかごの応答をさせることにより、階間調整時間に伴う運行のロスと乗客のストレスを減らすことができる。
【0152】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。