(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タッチ・パネルにもいくつかの課題がある。タッチ・ペンを用いてタッチ・パネル上のボタンを操作することがよくあるが、タッチ・ペンを用いずにダイアル等を操作した後、続けてタッチ・パネルを操作する場合、タッチ・ペンに持ち替えることは快適な操作性を低下させてしまう。このため、快適な操作感を実現するために、タッチ・パネルへの操作、特にタッチ・パネル上のボタンへの入力を指で直接行うことが要求される場合がある。しかしながら、例えば、タッチ・パネル上のボタンに指で直接入力する場合、タッチ・ペンと比較して指先の接触面積は非常に広い上、物理的なボタンと異なりタッチ・パネル上では触覚でボタンの境界を判別し難いため、指のどの部分がボタンに接触して入力を行う位置になるかもわかりづらい。このことから、タッチ・パネル上のボタンに指で直接入力を行う場合、ボタンの面積を広くしないと誤操作が発生しやすくなる。
【0004】
また、これに逆行して、装置の小型化に伴い、入力部分をコンパクトに作ることが要望され、必然的にタッチ・パネル自体も小さくなる傾向がある。このため、有限のスペースに複数のボタンが必要な場合、タッチ・ペンを使わせるか、複数レベル(階層)のメニューを設けて、一度に操作するボタンの数を減らす必要があった。しかしながら、複数レベル(階層)のメニューを設けて、一度に操作するボタンの数を減らしても、その複数レベル(階層)を行き来するため、操作手順は煩雑になり、いずれのケースでも操作性の低下は回避できなかった。
【0005】
タッチ・パネル上のボタンの操作性を向上するため、例えば、国際出願WO2004/070604には、ボタンの機能に応じて形状を円形や楕円形、正方形の形状にしたボタンが開示されている。また、特願2004−189397には、機能や重要度に応じて面積を変えたボタンが開示されている。しかしながら、これらのボタンを用いて有限のスペースに複数のGUI部品を配置した場合であっても、物理的なボタンとは異なり、触覚で境界を判別し難いボタンを、タッチ・ペンと比較して接触面積が非常に広い指を用いて誤作動なく操作することは依然として困難である。したがって、本発明は、上述の課題を鑑み、有限のスペースに複数のGUI部品を配置する場合であっても、物理的なボタンと異なり触覚では境界を判別し難いGUI部品を、タッチ・ペンと比較して接触面積が非常に広い指を用いて、誤作動なく操作することを可能とするタッチ・パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、接触を検知する検知領域を有する矩形の画面と、前記検知領域で検知された接触に応答して制御信号を生成する制御部と、を含み、前記検知領域が、前記矩形の画面の側縁に対して傾斜した形状を有する、タッチ・パネル装置を提供する。
【0007】
利用者が身体の部位、例えば、手の指などでタッチ・パネルに接触する場合、タッチ・パネルと接触する接触面積がタッチ・ペンよりも大きいとしても、タッチ・パネルと接触する面には何らかの特徴がある。本発明によれば、タッチ・パネル装置は、検知領域が、矩形の画面の側縁に対して傾斜した形状を有するので、この特徴を十分に生かしてGUI部品の検知領域を配置することができるため、有限のスペースに複数のGUI部品を配置する場合であっても、検知領域を有効に利用することができるので、タッチ・ペンと比較して接触面積が非常に広い指等を用いて、物理的なボタンと異なり触覚では境界を判別し難いGUI部品を誤作動なく操作することができる。
【0008】
また、本発明によれば、前記接触に用いる部位が使用者の指であり、使用者が右手を使用する場合、前記検知領域は前記矩形の画面の側縁に対して左側(すなわち、左上から右下)に傾斜した形状を有し、
使用者が左手を使用する場合、前記検知領域は前記矩形の画面の側縁に対して右側(すなわち、右上から左下)に傾斜した形状を有してもよい。
【0009】
利用者が、例えば、手の指でタッチ・パネルに接触する場合、タッチ・パネルと接触する接触面積は手の指の方がタッチ・ペンよりも大きいが、タッチ・パネルと接触する面には、右手の指の場合は左側に傾斜し、左手の場合は右側に傾斜するなどの特徴がある。例えば、発明者による実験では、右手を自然に伸ばした場合には、画面の垂直の辺に対して約左45度傾斜しており(左上から右下へ)、画面の垂直の辺に対して左手を自然に伸ばした場合には、約右45度程度傾斜していた。本発明によれば、使用者が右手を使用する場合、検知領域は矩形の画面の側縁に対して左側に傾斜した形状を有し、使用者が左手を使用する場合、検知領域は矩形の画面の側縁に対して右側に傾斜した形状を有するので、この特徴を十分に生かしてGUI部品の検知領域を配置することができるため、表示画面という有限のスペースに複数のGUI部品を配置する場合であっても、検知領域を有効に利用することができ、物理的なボタンと異なり触覚では境界を判別し難いGUI部品を、指を用いて、誤作動なく操作することができる。また、本願発明を適用したタッチ・パネルを使用することにより、使用者が指で入力する場合に、従来のように腕をひねるという動作を行う必要がなくなるので、ユーザ・フレンドリである。
【0010】
また、本発明によれば、さらに、前記矩形の画面は前記検知領域の位置を示す可視の表示領域を含み、前記表示領域が、前記検知領域と同一ではないようにしてもよい。
【0011】
本発明によれば、矩形の画面は検知領域の位置を示す可視の表示領域を含み、表示領域が、検知領域と同一ではないようにしてもよいので、接触を検知する検知領域と可視の表示領域を異なる形状とすることによって、検知領域に使用する部材を節約する、または、表示領域のデザインを利用者にとって使い勝手のよいものにすることができるなど、様々な効果が期待できる。
【0012】
また、本発明によれば、さらに、前記矩形の画面は前記検知領域の位置を示す可視の表示領域を含み、前記表示領域が、前記検知領域と同一となるようにしてもよい。
【0013】
本発明によれば、矩形の画面は検知領域の位置を示す可視の表示領域を含み、表示領域が、検知領域と同一となるようにしてもよいので、使用者が所望の検知領域に接触することを確実にすることができる。
【0014】
また、本発明によれば、さらに、利用者の情報を入力する情報入力部を含み、前記情報入力部によって入力された利用者の情報に基づいて、前記制御部が前記検知領域の形状を設定するようにしてもよい。
【0015】
本発明によれば、利用者の情報を入力する情報入力部を含み、情報入力部によって入力された利用者の情報に基づいて、制御部が検知領域の形状を設定することができるので、利用者が右手の指でタッチ・パネルに触れるのか、左手の指でタッチ・パネルに触れるのか、に応じてタッチ・パネルの仕様を変更することができる。
【0016】
本発明の第2の態様によると、各々が接触を検知する複数の検知領域を有する矩形の画面と、前記複数の検知領域の何れかで検知された接触に応答して制御信号を生成する制御部と、を含み、前記複数の検知領域の各々が、前記矩形の画面の側縁に対して傾斜した形状を有する、タッチ・パネル装置を提供する。
【0017】
本発明によれば、各々が接触を検知する複数の検知領域を有する矩形の画面と、前記複数の検知領域の何れかで検知された接触に応答して制御信号を生成する制御部と、を含み、前記複数の検知領域の各々が、前記矩形の画面の側縁に対して傾斜した形状を有するので、利用者が身体の部位でタッチ・パネルに接触する場合の特徴を十分に生かしてGUI部品の検知領域を配置することができるため、有限のスペースに複数のGUI部品を配置する場合であっても、検知領域を有効に利用することができるので、タッチ・ペンと比較して接触面積が非常に広い指等を用いて、物理的なボタンと異なり触覚では境界を判別し難いGUI部品を誤作動なく操作することができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記複数の検知領域が、前記矩形の画面の側縁に対して垂直な直線上に、相互に隣接して配置され、相互に隣接する検知領域を隔てる境界の一部が、使用者が接触に用いる部位に対応して、前記矩形の画面の側縁に対して傾斜した形状を有するので、利用者が身体の部位でタッチ・パネルに接触する場合の特徴を十分に生かしてGUI部品の検知領域を配置することができるため、タッチ・ペンと比較して接触面積が非常に広い指等を用いて、物理的なボタンと異なり触覚では境界を判別し難いGUI部品を誤作動なく操作することが可能となる。
【0019】
本発明によれば、前記相互に隣接する検知領域を隔てる境界が、前記矩形の画面の側縁に対して略平行に延在する第1の境界部と、使用者が接触に用いる部位に対応して、前記矩形の画面の側縁に対して傾斜して、前記第1の境界部から連続して延在する第2の境界部と、前記第1の境界部に対して略平行に、前記第2の境界部から連続して延在する第3の境界部と、を含むようにしてもよい。
【0020】
また、本発明によれば、相互に隣接する検知領域を隔てる境界が、矩形の画面の側縁に対して略平行に延在する第1の境界部と、使用者が接触に用いる部位に対応して、矩形の画面の側縁に対して傾斜して、第1の境界部から連続して延在する第2の境界部と、第1の境界部に対して略平行に、第2の境界部から連続して延在する第3の境界部と、を含むので、利用者が身体の部位でタッチ・パネルに接触する場合の特徴を一層有効に生かしてGUI部品の検知領域を配置することができる。
【0021】
本発明によれば、前記制御部が、前記複数の検知領域のうち二以上の検知領域から略同時に接触が検知された場合、前記二以上の検知領域の各々において接触を検知した接触強度を算出し、接触を検知した接触強度の最も大きい検知領域から検知された接触に基づいて制御信号を生成するようにしてもよい。ここで、前記二以上の検知領域の各々において接触を検知した接触強度とは、接触を検知した検知領域の面積、接触の圧力の強さ、の何れかを含んでもよい。
【0022】
また、本発明によれば、記複数の検知領域のうち二以上の検知領域から略同時に接触が検知された場合、二以上の検知領域の各々において接触を検知した接触強度を算出し、接触を検知した接触強度の最も大きい検知領域から検知された接触に基づいて制御信号を生成するようにしてもよいので、検知領域の感度が高い、検知領域の間隔が狭いなどの理由で、接触が略同時に二以上の検知領域をまたいで検出される可能性のある場合、接触を検知した検知領域を正確に決定することができる
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明の一実施の形態のタッチ・パネル装置の概要について
図1A、
図1Bを参照して説明する。
【0026】
図1Aに、タッチ・パネル装置の矩形の画面10に設けられたGUI部品の検知領域1の概要を示す。接触を検知する検知領域1は、矩形の画面の側縁10a、10bに対して傾斜した形状を有する。本実施の形態では説明を容易にするため、使用者が右手を使用するものとする。検知領域の側縁1a、1bは、画面の側縁10a、10bに対して左側に傾斜している(すなわち、左上から右下に傾斜している)。通常、タッチ・パネル画面10に右手の指3(例えば、人差し指)を触れる場合、
図1Aに示すように、指3とタッチ・パネル画面10との接触面は通常、参照番号3´で示す左上がりの略楕円形となる(すなわち、楕円の長辺が左上から右下に傾く)。発明者は、この点に着目して、接触を検知する検知領域1を、使用者の指に対応して部分的に傾斜させた略平行四辺形の形状にしている。本実施の形態では使用者が右手を使用するものとして、検知領域1を左側に傾斜した平行四辺形の形状としているが、使用者が左手の指を使用する場合、検知領域1は右側に傾斜した平行四辺形の形状としてもよい。このタッチ・パネル画面10の検知領域1は接触を検知すると検知信号S1を制御部5に出力する。制御部5はこの検知信号S1に応答して制御信号S2を対応する構成部品(図示していない)に出力するようになっている。
図1Aに示した実施の形態では、検知領域1と表示領域は一致している。すなわち、検知領域1の境界線1a、1b、1c、1dが、表示領域の境界線でもある。
【0027】
図1Bに、矩形の画面10、平行四辺形の検知領域1に加えて、実際に利用者に見える可視の表示領域2を示す。本実施の形態では、
図1Aに示した実施の形態とは異なり、検知領域1は可視の表示領域2と同一ではなく、略長方形である。
図1Bに示すように、GUI部品の可視の表示領域2を長方形とすると、このGUI部品は利用者にタッチ・パネル画面10の長方形のボタンとして見える。また、検知領域はGUI部品の可視の表示領域と同一でなくてもよいが、誤操作を避けるため、可視の表示領域は検知領域より大きいことが好ましい。
【0028】
図1Aを参照して説明したように、指とタッチ・パネル画面10との接触面は通常、ほぼ傾斜した楕円形となることから、
図1Bに示す、表示領域2の内側にある領域1E、1Fは、触れられない可能性が高い。このような領域を接触が検知されない領域として表示領域2の中に設けることによって、隣接する検知領域によって接触が検知されてしまうことによる誤作動を防止することができる。さらに、接触を検知する検知領域と可視の表示領域を異なる形状とすることによって、検知領域に必要な部材を節約する、または、表示領域のデザインを利用者にとって使い勝手のよいものにすることができるなど、様々な効果が期待できる。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係るタッチ・パネル画面10を含む情報処理システム100の概略図である。この情報システム100は、例えば、動画編集記憶システムに相当する。
図2を参照すると、情報処理システム100は、画像サーバ101と、タッチ・パネル装置を備えたコントローラ111と、キーボード112と、マウス113と、カメラ121〜123と、カメラ・モニタ131〜133と、デコーダ・モニタ134と、システム・モニタ135等からなる。情報処理システム100の各構成要素は、例えば、画像サーバ101とコントローラ111とを接続するLAN(Local Area Network)141、画像サーバ101とカメラ121〜123とを接続する同軸ケーブル124、画像サーバ101とカメラ・モニタ131〜133とを接続する同軸ケーブル136、画像サーバ101とデコーダ・モニタ134とを接続するケーブル138、コントローラ111とシステム・モニタ135とを接続するケーブル137等を用いて接続されている。ただし、これらの接続形式に限定されるものではなく、他の有線または無線の接続方式であってもよい。
【0030】
画像サーバ101は、カメラ121〜123より受信した動画信号を符号化して、動画データとして記憶する。また、画像サーバ101は、この動画データを動画信号に復号して、動画信号をデコーダ・モニタ134に送信する。デコーダ・モニタ134は画像サーバ101から送信された動画信号に基づいて動画を表示する。カメラ・モニタ131〜133は、カメラ121〜123が撮影した動画を表示する。なお、本明細書においては、「動画」という言葉は、「静止画」も含むものとする。
【0031】
コントローラ111は、画像サーバ101とLAN141を介して送受信し、画像サーバ101から送られる信号および利用者の入力に応じてタッチ・パネル画面10(
図3に詳細に示す)にGUIボタン群10−1〜10−nを含むユーザ・インターフェースを表示する。さらに、コントローラ111はコントローラ111のタッチ・パネル装置やキーボード112、マウス113によって入力される利用者の要求を信号に変換し、画像サーバ101に送信する。また、コントローラ111はシステム・モニタ135にケーブル137を介してユーザ・インターフェースを表示するための信号を送信する。
【0032】
図3は、コントローラ111の斜視図である。
図3を
図2と合わせて参照すると、コントローラ111は、上部に液晶等のタッチ・パネル画面10と、タッチ・パネル画面10の下側の中央に配列されたボタン群220と、左下部に利用者が前後方向に傾けて操作するTバー230と、右下部に利用者が水平に回転させて操作するジョグ・ダイヤル240とが設けられている。
【0033】
タッチ・パネル画面10は、画像サーバ101から送られる信号および利用者の入力に応じてGUIボタン群10−1〜10−nを含むユーザ・インターフェースを表示する。
【0034】
Tバー230は、利用者のTバー230を前後方向に傾ける操作によって傾いたTバー230の傾き角度に応じた信号を画像サーバ101に送信し、Tバー230の傾き角度に応じて、再生される動画、すなわち、デコーダ・モニタ134に表示される動画の再生速度等を調整できる。
【0035】
ジョグ・ダイヤル240は、利用者による水平に回転させる操作によって回転したジョグ・ダイヤル240の回転の速さや角度等に応じて信号を画像サーバ101に送信する。
【0036】
なお、コントローラ111があれば、キーボード112、マウス113、システム・モニタ135は、情報処理システム100に必須ではなく、省略してもよい。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係るタッチ・パネル装置を含む情報処理システムのブロック図である。
図3を
図1および
図2と合わせて参照すると、情報処理システム100は、画像サーバ101と、コントローラ111と、キーボード112と、マウス113と、カメラ121〜123と、分配器321〜323と、カメラ・モニタ131〜133と、デコーダ・モニタ134と、システム・モニタ135等からなる。なお、画像サーバ101とコントローラ111は分離して構成されているが、一体として構成してもよい。
【0038】
画像サーバ101は、エンコーダ311〜313と、デコーダ341と、ディスプレイ・コントローラ351と、ハードディスク・コントローラ361と、ハードディスク・ドライブ362と、CPU371と、メモリ381等から構成され、これらはそれぞれ何れかのバスを介して通信可能に接続される。
【0039】
エンコーダ311〜313は、分配器321〜323より送られた動画信号を符号化して、符号化された動画データとする。また、エンコーダ311〜313は、ハードディスク・ドライブ362に記憶された動画信号を読み出して符号化してもよい。
【0040】
デコーダ341は、符号化された動画データをハードディスク・ドライブ362から読み出し、復号して動画信号をディスプレイ・コントローラ351等に送出する。
【0041】
ハードディスク・ドライブ362は、CPU371上で実行されるプログラムと、エンコーダ311〜313より送られた符号化された動画データを記憶する。また、ハードディスク・ドライブ362は、画像サーバ101の内部あるいは外部の何れか、または両方に設けられてもよい。
【0042】
CPU371は、メモリ381に記憶されたプログラムを読み込み、各種処理を行う。CPU371が実行するプログラムには、例えば、動画データの編集や再生を行うアプリケーションや、バスに接続される機器をコントロールするためのOS(Operating System)等が含まれる。
【0043】
メモリ381は、ハードディスク・ドライブ362から読み出したプログラムを記憶する。プログラムには、例えば、コントローラ111の入出力に応答して、動画データの編集や再生を行うアプリケーションや、バスに接続される機器をコントロールするためのOS等が含まれる。また、メモリ381がバスに接続された機器からの動画信号および動画データを記憶してもよい。
【0044】
デコーダ・モニタ134はディスプレイ・コントローラ351に接続され、ディスプレイ・コントローラ351から送られた動画信号、例えばVGA信号により動画を表示する。デコーダ・モニタ134は、動画信号の内容をモニタする際に使用されるが、必ずしも情報処理システム100の構成としては必須ではない。
【0045】
また、コントローラ111は、コントローラ制御部391と、GUIボタン群10−1〜10−nを含むタッチ・パネル画面10と、ボタン群220と、Tバー230と、ジョグ・ダイヤル240とから構成される。コントローラ制御部391は、
図1Aを参照して説明した制御部5を構成する。
【0046】
コントローラ制御部391は、CPUとメモリを有する。コントローラ制御部391は、画像サーバ101と信号を送受信し、タッチ・パネル画面10およびシステム・モニタ135にユーザ・インターフェースを表示するための信号を送信し、タッチ・パネル画面10、ボタン群220、Tバー230、ジョグ・ダイヤル240、キーボード112およびマウス113を介して入力された入力データや要求コマンドを画像サーバ101に送信する。また、コントローラ制御部391は、コントローラ111を制御して、キーボード112またはマウス113を介して入力された利用者情報に基づいてタッチ・パネル画面10にGUIボタン群10−1〜10−nを表示する。
【0047】
このようにしてタッチ・パネル画面10に表示されるGUIボタン群10−1〜10−nの一例を
図5及び
図6を参照して説明する。
【0048】
GUIボタン群10−1〜10−nに対応する複数の検知領域の一例として、
図5Aに、利用者が右手の指を使用するという利用者情報に基づいてコントローラ制御部391がGUIボタン群10−1〜10−n用に生成する、矩形の画面の側縁10a、10bに対して各々が左上がり(左上から右下)に傾斜した右手の指用の検知領域11−1〜11−nを示す。検知領域11−1〜11−nは、矩形のタッチ・パネル画面10の側縁10a、10bに対して垂直な直線上に、相互に隣接して配置されている。これと反対に、利用者が左手の指を使用するという利用者情報に基づいてコントローラ制御部391がGUIボタン群10−1〜10−n用に生成する、矩形の画面の側縁10a、10bに対して各々が右上がりに傾斜した左手の指用の検知領域11´−1〜11´−nを
図5Bに示す。検知領域11´−1〜11´−nも同様に、矩形のタッチ・パネル画面10の側縁10a、10bに対して垂直な直線上に、相互に隣接して配置されている。
【0049】
図6に示すように、GUIボタン群10−1〜10−nは各々、検知領域11−1〜11−nと同一ではない可視の表示領域12−1〜12―nを有してもよい。
図6の実施の形態の場合には、表示領域は12−1〜12−nであるが、検知領域は、
図5Aや
図5Bの11−1〜11−nや11´−1〜11´−nであっても良い。すなわち、検知領域が表示領域と異なることが本実施の形態の特徴である。
【0050】
また、本発明によると検知領域の形状は
図1または
図5に示した略平行四辺形の形状に限定されず、
図1Aを参照して説明したように、使用者が使用する手の指に対応して傾斜した楕円形の面3´を確保できるのであれば、いかなる形状でもよい。例えば、GUIボタン群10−1〜10−nの検知領域は、
図1Aを参照して説明した楕円形の面3´を確保できるのであれば、検知領域を隔てる境界の一部のみが、使用者が接触に用いる部位に対応して傾斜した形状を有するだけでもよい。このように、検知領域をより
図1Aを参照して説明した楕円形の面3´に近づけることによって、タッチ・パネル画面10における検知領域の面積を一層有効利用することができる。
【0051】
具体的には、
図7Aに示すように、使用者の指に対応して、左側の境界の一部の部分13hのみが矩形の画面の側縁10a、10bに対して傾斜するようにして、他の境界部分13g、13i、13jは、矩形の画面の側縁10a、10bに対して略平行に延在するようにしてもよい。あるいは、
図7Bに示すように、使用者の指に対応して、右側の境界の一部の部分14mのみが矩形の画面の側縁10a、10bに対して傾斜するようにして、他の境界部分14k、14l、14mは、矩形の画面の側縁10a、10bに対して略平行に延在するようにしてもよい。
図7A及び
図7Bに示した実施の形態では、使用者が右手の指を使うことを前提としているが、使用者が左手の指を使用する場合は、
図7Aの検知領域13や
図7Bの検知領域14の左右を反転させれば良い。
【0052】
このような検知領域を複数含んでなるGUIボタン群10−1〜10−nの検知領域の例を
図8に示す。
図8に示すように、検知領域15−1〜15−nの各々は、相互に隣接する検知領域を隔てる境界が、矩形の画面の側縁10a、10bに対して略平行に延在する第1の境界部15oと、使用者が接触に用いる部位に対応して、矩形の画面の側縁10a、10bに対して傾斜して、第1の境界部15oから連続して延在する第2の境界部15pと、第1の境界部15oに対して略平行に、第2の境界部15pから連続して延在する第3の境界部15qと、を含む。
図8に示す検知領域15−1〜15−nでは、S字型を形成する境界15o、15p、15qの反対側の境界15rは、矩形の画面の側縁10a、10bに対して略平行に延在しているが、反対側の境界15rも境界15o、15p、15qと同様にS字型を形成する形状であってもよいし、第1の境界部15o、第3の境界部15qは矩形の画面の側縁10a、10bに対して略平行に延在しているが、本発明はこれに限定されず、
図1Aを参照して説明した使用者が使用する手の指に対応して傾斜した楕円形の面3´を確保できる程度であれば、矩形の画面の側縁10a、10bに対して傾斜してもよく、あるいは、曲線で形成されてもよい。同様に、これらの第1の境界部15o、第2の境界部15p、第3の境界部15qも直線ではなく、曲線で形成されてもよい。本実施の形態の場合には、単に正方形を並べた場合と同じ面積でありながら、操作性が改善されたGUIを実現することができる。
【0053】
続いてこのようにして形成されたコントローラ111の動作について
図9を参照して説明する。
【0054】
図9は、コントローラ制御部391によって制御されて実行されるタッチ・パネル画面を有するコントローラ111の動作の一例を説明するフロー図である。
【0055】
図9を参照すると、最初に、ステップS101において、コントローラ制御部391は、利用者がキーボード112またはマウス113を操作して入力した利用者情報を入力する。ただし、日本人の場合には圧倒的に右利きの人が多いので、ステップS101を省略して、右利きを仮定しても良い。次いで、ステップS102において、コントローラ制御部391は、利用者情報に基づいて検知領域の形状を設定する(S101を省略した場合は、デフォルトを右手に設定する)。具体的には、利用者が右手の指を使用するという利用者情報が入力された場合には、左側に傾斜した形状の検知領域、例えば、
図5Aに示す11−1〜11―nの形状を設定する。これと反対に、利用者が左手の指を使用するという利用者情報が入力された場合には、右側に傾斜した形状の検知領域の形状、例えば、
図5Bに示す11´−1〜11´―nを設定する。
【0056】
ステップS103において、コントローラ制御部391は、検知信号S1の検出の有無に基づいて、検知領域11−1〜11―nの何れかで接触が検知されたか否かを判定する。ステップS103において接触が検知されたと判定されると、ステップS104において、コントローラ制御部391は、接触が検知された検知領域に対応する制御信号S2を生成して、コントローラ111本体に送信する。
【0057】
タッチ・パネル画面10として、抵抗膜方式や静電容量方式など様々な方式のものを用いてもよい。一般的にタッチ・パネル画面10は、指を検知領域に近づけると最も早く接触又は所定の距離より近接した検知領域が「接触」を検知するようになっている。しかしながら、検知領域の感度が高い、検知領域の間隔が狭いなどの理由で、接触が略同時に二以上の検知領域をまたいで検出される可能性がある場合について説明する。
【0058】
複数の検知領域のうち二以上の検知領域から略同時に接触を検知した場合、コントローラ制御部391は、二以上の検知領域の各々において接触を検知した接触強度を算出し、接触を検知した接触強度の最も大きい検知領域で検知された接触に基づいて制御信号を生成するようにしてもよい。二以上の検知領域の各々において接触を検知した接触強度とは、接触を検知した検知領域の面積、接触の圧力の強さ、の何れかを含んでもよい。
【0059】
二以上の検知領域から略同時に接触を検知する可能性のある場合のコントローラ111の動作の一例について
図10を参照して説明する。
【0060】
図10は、コントローラ制御部391によって制御されて実行される二以上の検知領域から略同時に接触を検知した場合のコントローラ111の動作の一例を説明するフロー図である。
【0061】
図10を参照すると、最初に、ステップS201において、コントローラ制御部391は、検知領域11−1〜11―nから出力される検知信号S1の検出の有無に基づいて、検知領域11−1〜11―nの何れかで接触が検知されたか否かを判定する。ステップS201において接触が検知されたと判定されると、ステップS202において、コントローラ制御部391は、二以上の検知領域で接触が検知されたか否かを判定する。ステップS202において、二以上の検知領域で接触が検知されたと判定した場合はステップS203に進み、そうでない場合はステップS204に進む。
【0062】
ステップS203において、コントローラ制御部391は、接触強度が最大の検知領域を接触が検知された検知領域として決定する。具体的には、二以上の検知領域から入力される検知信号S1に基づいて、例えば、接触を検知した検知領域の面積、接触の圧力の強さの何れかを含む、接触強度が最大の検知領域を、接触が検知された検知領域として決定する。ステップS204において、コントローラ制御部391は、接触が検知された検知領域に対応する制御信号S2を生成する。
【0063】
以上説明したように、本発明のタッチ・パネル装置は、接触を検知する検知領域を有する矩形の画面と、検知領域で検知された接触に応答して制御信号を生成する制御部と、を含み、検知領域が、矩形の画面の側縁に対して傾斜した形状を有するので、有限のスペースに複数のGUI部品を配置する場合であっても、検知領域を有効に活用することができるので、物理的なボタンと異なり触覚では境界を判別し難いGUI部品を、タッチ・ペンと比較して接触面積が非常に広い指を用いて、誤作動なく操作することを可能とする。また、上述の実施の形態では、利用者情報に基づいてタッチ・パネル画面のGUIボタン群の仕様を右手の指用又は左手の指用に変更できるものとして説明したが、タッチ・パネル画面のGUIボタン群の仕様は右手の指用又は左手の指用と出荷時に固定されていてもよい。また、検知領域の傾斜を矩形のタッチ・パネル画面の側縁を基準として説明したが、タッチ・パネル画面が矩形でない場合は、検知領域の傾斜はタッチ・パネル画面を操作する際に想定される利用者の正中面を基準としてもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【0065】
例えば、本発明のタッチ・パネル装置は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを用いるコンピュータ用アプリケーション・ソフトウエアのほか、ゲーム機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、メモリ・オーディオ、ゲーム機、情報家電、テレビ、カー・ナビゲーション・システム、セキュリティ・システム、銀行ATM、自動販売機、コピー機、ファックス、タッチ・パネル式入力装置等、グラフィカル・ユーザ・インターフェースおよびグラフィカル・ユーザ・インターフェース機能を有する機器であればいかなる機器にでも応用可能であり、GUI部品も、GUIボタンだけでなく、ボックス、アイコン、ツールバーなど、あらゆるGUI部品に応用可能である。また、タッチ・パネルと接触する部位も、手の指だけでなく、利用者の必要に応じて、身体のあらゆる部位、または補助器などを用いることができることは明らかである。
【0066】
また、タッチ・パネル装置には、様々な動作原理を採用したものが存在するが、本願発明は、それらのいずれの動作原理にも適用可能である。例えば、タッチ・パネルの動作原理又は方式としては、マトリックス・スイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などがある。