(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両上に搭載され少なくとも前記車両の現在位置を検出する機能と現在位置を含む地図の情報を出力する機能とを含むナビゲーションユニットと、タクシーメータとを制御し、前記ナビゲーションユニットが生成する情報と前記タクシーメータが生成する情報とを共通の表示ユニットの画面上に表示するタクシーメータ表示切替装置であって、
前記車両が移動中か否かを表す第1の信号および乗客の有無と関連のある第2の信号の少なくとも一方を入力する車両状態信号入力部と、
前記タクシーメータに対する所定のボタン操作に従って変化するタクシーメータ状態と、前記車両状態信号入力部に入力された前記第1の信号又は第2の信号とに基づいて、予め用意した複数種類の表示モードのいずれかを自動的に選択し、前記表示ユニットの画面上に表示する内容のうち前記ナビゲーションユニットが生成した情報と、前記タクシーメータが生成した情報との表示割合を選択された表示モードに従って調整する表示モード自動選択部と
を備えることを特徴とするタクシーメータ表示切替装置。
前記車両状態信号入力部は、前記第2の信号として、後部座席側方のドアの開閉状態に応じて変化する信号と、後部座席近傍で人物の有無を検出するセンサが出力する信号と、後部座席における人物の着座有無を検出するスイッチが出力する信号との少なくとも1つを入力する
ことを特徴とする請求項1に記載のタクシーメータ表示切替装置。
前記表示モード自動選択部は、前記タクシーメータ状態が実車状態である時には、前記第1の信号に基づいて検出された前記車両の状態が走行状態か停車状態かに応じて第1の表示モード又は第2の表示モードを選択し、停車状態の時に選択される前記第2の表示モードでは、タクシーメータが生成した情報に割り当てる画面上の表示領域の面積を前記第1の表示モードよりも大きくする
ことを特徴とする請求項1に記載のタクシーメータ表示切替装置。
前記表示モード自動選択部は、前記タクシーメータ状態が空車状態である時には、前記車両が走行状態か停車状態かの区別とは無関係に、前記タクシーメータが生成した情報の表示を抑制する表示モードを選択する
ことを特徴とする請求項3に記載のタクシーメータ表示切替装置。
前記表示モード自動選択部は、前記第2の信号により乗客の乗降を検出した時に、前記タクシーメータ状態が空車状態か実車状態かに応じて、第1の表示モード又は第2の表示モードを選択し、実車状態の時に選択される前記第2の表示モードでは、タクシーメータが生成した情報に割り当てる画面上の表示領域の面積を前記第1の表示モードよりも大きくする
ことを特徴とする請求項1に記載のタクシーメータ表示切替装置。
車両上に搭載され少なくとも前記車両の現在位置を検出する機能と現在位置を含む地図の情報を出力する機能とを含むナビゲーションユニットと、タクシーメータとを制御し、前記ナビゲーションユニットが生成する情報と前記タクシーメータが生成する情報とを共通の表示ユニットの画面上に表示するためのタクシーメータ表示切替方法であって、
前記車両が移動中か否かを表す第1の信号および乗客の有無と関連のある第2の信号の少なくとも一方を入力し、
前記タクシーメータに対する所定のボタン操作に従って変化するタクシーメータ状態を把握し、
前記タクシーメータ状態と、入力された前記第1の信号又は第2の信号とに基づいて、予め用意した複数種類の表示モードのいずれかを自動的に選択し、
前記表示ユニットの画面上に表示する内容のうち前記ナビゲーションユニットが生成した情報と、前記タクシーメータが生成した情報との表示割合を選択された表示モードに従って調整する
ことを特徴とするタクシーメータ表示切替方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のようにカーナビゲーション装置の情報とタクシーメータの情報とを共通の表示画面上に表示する場合には、乗務員や乗客から見た場合の情報の視認性が悪化する場合がある。例えば、走行中のタクシー車両に乗っている乗客が、現在の運賃を知りたいような場合であっても、画面上にカーナビゲーション装置の地図が表示されていると、画面上の運賃を表示する領域の面積が小さくなるため運賃の数値を読み取りにくくなる。逆に、タクシーメータの情報を表示するために予め画面上に面積の大きな領域を確保しておく場合には、地図を表示する領域の面積が小さくなるので、地図の内容を読み取りにくくなる。
【0009】
特許文献1の技術では、表示する画面の内容を切り替えることができる。しかし、画面の切替を行うためには乗務員がボタンを手動で操作しなければならない。また、乗客はボタンを操作できないので、乗客が運賃や地図の表示状態の切替を望む時には、いちいち乗客が乗務員に切替操作を依頼しなければならず非常に煩わしい。また、例えば空車状態の時には、乗客がいないのでタクシーメータの情報を画面に表示する必要はないので、タクシーメータの表示を消して地図を大きく表示することが可能であるが、この場合にもボタンを操作して切り替えなければならない。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ナビゲーションユニットの情報およびタクシーメータの情報を共通の表示ユニットの画面上に表示する場合に、所望の情報を画面上に表示するための切替に要する乗務員のボタン操作の回数を減らすことが可能なタクシーメータ表示切替装置および表示切替方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーメータ表示切替装置は、下記(1)〜(6)を特徴としている。
(1) 車両上に搭載され少なくとも前記車両の現在位置を検出する機能と現在位置を含む地図の情報を出力する機能とを含むナビゲーションユニットと、タクシーメータとを制御し、前記ナビゲーションユニットが生成する情報と前記タクシーメータが生成する情報とを共通の表示ユニットの画面上に表示するタクシーメータ表示切替装置であって、
前記車両が移動中か否かを表す第1の信号および乗客の有無と関連のある第2の信号の少なくとも一方を入力する車両状態信号入力部と、
前記タクシーメータに対する所定のボタン操作に従って変化するタクシーメータ状態と、前記車両状態信号入力部に入力された前記第1の信号又は第2の信号とに基づいて、予め用意した複数種類の表示モードのいずれかを自動的に選択し、前記表示ユニットの画面上に表示する内容のうち前記ナビゲーションユニットが生成した情報と、前記タクシーメータが生成した情報との表示割合を選択された表示モードに従って調整する表示モード自動選択部と
を備えること。
(2) 上記(1)に記載のタクシーメータ表示切替装置であって、
前記車両状態信号入力部は、前記第2の信号として、後部座席側方のドアの開閉状態に応じて変化する信号と、後部座席近傍で人物の有無を検出するセンサが出力する信号と、後部座席における人物の着座有無を検出するスイッチが出力する信号との少なくとも1つを入力すること。
(3) 上記(1)に記載のタクシーメータ表示切替装置であって、
前記表示モード自動選択部は、前記タクシーメータ状態が実車状態である時には、前記第1の信号に基づいて検出された前記車両の状態が走行状態か停車状態かに応じて第1の表示モード又は第2の表示モードを選択し、停車状態の時に選択される前記第2の表示モードでは、タクシーメータが生成した情報に割り当てる画面上の表示領域の面積を前記第1の表示モードよりも大きくすること。
(4) 上記(3)に記載のタクシーメータ表示切替装置であって、
前記表示モード自動選択部は、前記タクシーメータ状態が空車状態である時には、前記車両が走行状態か停車状態かの区別とは無関係に、前記タクシーメータが生成した情報の表示を抑制する表示モードを選択すること。
(5) 上記(1)に記載のタクシーメータ表示切替装置であって、
前記表示モード自動選択部は、前記第2の信号により乗客の乗降を検出した時に、前記タクシーメータ状態が空車状態か実車状態かに応じて、第1の表示モード又は第2の表示モードを選択し、実車状態の時に選択される前記第2の表示モードでは、タクシーメータが生成した情報に割り当てる画面上の表示領域の面積を前記第1の表示モードよりも大きくすること。
(6) 上記(5)に記載のタクシーメータ表示切替装置であって、
前記表示モード自動選択部は、前記第2の信号により乗客の乗降を検出した時に、前記タクシーメータ状態が合計状態である場合には、前記タクシーメータ状態を合計状態から空車状態に自動的に切り替えること。
【0012】
上記(1)の構成のタクシーメータ表示切替装置によれば、所望の画面表示に切り替えるために必要な乗務員のボタン操作回数を減らすことが可能になる。すなわち、ナビゲーションユニットが生成した第1の情報とタクシーメータが生成した第2の情報との表示上の重要度に関しては、タクシー車両の実際の運行状態に応じて変化する。従って、実際の運行状態、例えば空車/実車(乗客の有無)の状態や、走行中/停車中の状態に応じて前記第1の情報と第2の情報との画面上の表示割合を自動的に切り替えれば、乗務員がボタンを操作する回数を減らすことができる。
上記(2)の構成のタクシーメータ表示切替装置によれば、前記第2の信号を監視することにより、乗客の有無の状態や、乗客の乗降の可能性について自動的に把握することが可能になる。
上記(3)の構成のタクシーメータ表示切替装置によれば、タクシー車両が乗客を乗せて運行している状態(タクシーメータが実車状態)で、走行中と停車中とでそれぞれに適した画面に自動的に切り替えることができる。
上記(4)の構成のタクシーメータ表示切替装置によれば、タクシー車両が乗客を乗せないで運行している状態(タクシーメータが空車状態)では、不要なタクシーメータの情報の表示を自動的に抑制するので、地図等の表示面積を拡大することができる。
上記(5)の構成のタクシーメータ表示切替装置によれば、タクシー車両の現在の状態に適した表示画面に自動的に切り替えることができる。例えば、タクシーメータ状態が空車状態の時に後部座席側方のドアの開閉が検出された場合には、新たな乗客が乗り込もうとしている状態であると判断できるし、タクシーメータ状態が実車状態の時に後部座席側方のドアの開閉が検出された場合には、現在の乗客がタクシー車両から降りようとしている状態であると判断できる。
上記(6)の構成のタクシーメータ表示切替装置によれば、乗客が支払いを済ませてタクシー車両から降りようとする時に、前記タクシーメータ状態を空車状態に自動的に切り替えるので、この時に乗務員が「空車」ボタンを操作する必要がなくなる。
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーメータ表示切替方法は、下記(7)を特徴としている。
(7) 車両上に搭載され少なくとも前記車両の現在位置を検出する機能と現在位置を含む地図の情報を出力する機能とを含むナビゲーションユニットと、タクシーメータとを制御し、前記ナビゲーションユニットが生成する情報と前記タクシーメータが生成する情報とを共通の表示ユニットの画面上に表示するためのタクシーメータ表示切替方法であって、
前記車両が移動中か否かを表す第1の信号および乗客の有無と関連のある第2の信号の少なくとも一方を入力し、
前記タクシーメータに対する所定のボタン操作に従って変化するタクシーメータ状態を把握し、
前記タクシーメータ状態と、入力された前記第1の信号又は第2の信号とに基づいて、予め用意した複数種類の表示モードのいずれかを自動的に選択し、
前記表示ユニットの画面上に表示する内容のうち前記ナビゲーションユニットが生成した情報と、前記タクシーメータが生成した情報との表示割合を選択された表示モードに従って調整する。
【0014】
上記(7)の構成のタクシーメータ表示切替方法によれば、所望の画面表示に切り替えるために必要な乗務員のボタン操作回数を減らすことが可能になる。すなわち、ナビゲーションユニットが生成した第1の情報とタクシーメータが生成した第2の情報との表示上の重要度に関しては、タクシー車両の実際の運行状態に応じて変化する。従って、実際の運行状態、例えば空車/実車(乗客の有無)の状態や、走行中/停車中の状態に応じて前記第1の情報と第2の情報との画面上の表示割合を自動的に切り替えれば、乗務員がボタンを操作する回数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタクシーメータ表示切替装置および表示切替方法によれば、ナビゲーションユニットの情報およびタクシーメータの情報を共通の表示ユニットの画面上に表示する場合に、所望の情報を画面上に表示するための切替に要する乗務員のボタン操作の回数を減らすことができる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のタクシーメータ表示切替装置および表示切替方法に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0019】
本実施形態におけるタクシーメータ表示切替装置の機能上の構成例が
図1に示されている。また、ナビ一体型タクシーメータの本体とそれに接続される機器のハードウェア構成例が
図2に示されている。すなわち、
図1に示すタクシーメータ表示切替装置10の機能は、
図2に示したナビ一体型タクシーメータ本体50に組み込まれている。
【0020】
図2に示したナビ一体型タクシーメータ本体50は、タクシー車両上に搭載され、カーナビゲーションユニットの機能と、タクシーメータの機能とを備えている。カーナビゲーションユニットの機能については、一般的なカーナビゲーション装置の場合と同様に、車両の現在位置を検出する機能や、現在位置を含む地図の情報を出力する機能などが含まれている。
【0021】
また、ナビ一体型タクシーメータ本体50に含まれるタクシーメータの一般的な機能は次の通りである。すなわち、乗務員の各種ボタン操作に従ってタクシーメータの現在の状態やその変化を把握し、予め定められた料金体系と、計測された乗車時間の長さや走行距離の長さに従って乗客毎の現在の運賃を算出し表示する。タクシーメータの状態については、「空車」、「実車」、「合計」などがある。例えば乗客がいない時には「空車」状態であり、このタクシー車両に乗客を乗せて営業走行を開始する時に、乗務員がタクシーメータに備わっている「実車」ボタンを押下すると、タクシーメータ状態が「実車」に切り替わり、タクシーメータは時間や走行距離の測定を開始すると共に運賃の算出および表示を開始する。
【0022】
図2に示す例では、車載器であるナビ一体型タクシーメータ本体50の内部に、マイクロコンピュータ(CPU)51、一時情報記憶部(RAM)52、固定情報記憶部(ROM)53、カードインタフェース54、表示器(LCD)55、インタフェース56、57、59、および時計回路(RTC)58が備わっている。
【0023】
マイクロコンピュータ51は、予め用意されたプログラムを実行することにより、前述のナビゲーションユニットの機能と、タクシーメータの機能と、
図1に示したタクシーメータ表示切替装置10の機能とをそれぞれ実現する。
【0024】
一時情報記憶部52は、データの読み出し及び書き込みが自在なメモリ(RAM)で構成されている。一時情報記憶部52はマイクロコンピュータ51がデータを一時的に保持するために利用する。
【0025】
固定情報記憶部53は、読み出し専用メモリ(ROM)で構成されている。固定情報記憶部53上には、マイクロコンピュータ51の動作に必要な様々なプログラムや、予め決定した定数データなどが事前に書き込まれている。定数データの中には、運賃の算出に必要な料金体系に関するデータや、地図データも含まれている。
【0026】
カードインタフェース54は、メモリカード64を装着するための所定のカードスロットを備えている。マイクロコンピュータ51は、カードインタフェース54を介してメモリカード64にアクセスし、データを書き込んだ読み出したりすることができる。
【0027】
メモリカード64は、不揮発性のメモリで構成されている。タクシーメータに装着されるメモリカード64は、乗務員の認証に必要なデータを保持したり、タクシー車両の営業中にタクシーメータによって収集された営業データや時系列データを保存するために利用される。
【0028】
表示器55は、液晶表示器(LCD)で構成されており、地図、図形、文字列などを十分な解像度で表示することが可能な2次元表示画面を有している。すなわち、前述のカーナビゲーションユニットから出力される地図などの情報や、タクシーメータから出力される運賃などの情報が表示器55の画面上に表示される。
【0029】
時計回路58は、リアルタイムクロック(RTC)の機能を有する集積回路で構成されている。時計回路58が周期が一定のクロックパルスを常時計数することにより、現在の時刻や日付などを把握したり、時間の測定を行うことができる。
【0030】
インタフェース56にはプリンタなどの外部機器65が接続される。このプリンタは、タクシーメータが発行する領収書を印刷するために利用される。
【0031】
インタフェース57にはGPS受信器61が接続されている。GPS受信器61は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からそれぞれ受信した電波の時間に基づいて車両の現在位置を表す緯度/経度の情報を算出することができる。なお、GPS測位以外の方法を用いて現在位置の情報を取得することも可能なので、GPS受信器61は必ずしも不可欠ではない。
【0032】
インタフェース59にはETC(電子料金収受:Electronic Toll Collection)車載器63が接続されている。このETC車載器63は、高速道路を走行する際に、入口又は出口で道路側の通信装置との間で通信を行い、情報を交換したり、通行料金の決済を行うために利用される。
【0033】
操作部62は、乗務員がタクシーメータに指示を与えるための複数のボタンや、カーナビゲーションユニットに指示を与えるための複数のボタンを備えている。タクシーメータに指示を与えるためのボタンの中には、「空車」ボタン、「実車」ボタン、「合計」ボタン、「高速」ボタン等が含まれている。タクシーメータが把握している状態(タクシーメータ状態)は、乗務員が「実車」ボタンを押下すると「実車」状態に、「合計」ボタンを押下すると「合計」状態に、「空車」ボタンを押下すると「空車」状態にそれぞれ切り替わる。この状態の変化に基づいてタクシーメータは運賃を算出することができる。
【0034】
また、車両側の図示しないセンサやスイッチから出力される2つの電気信号SG1及びSG2がマイクロコンピュータ51に入力される。一方の電気信号SG1は、パルス状の車速信号である。すなわち、車両のトランスミッションの出力軸、あるいは車輪が所定量回転する毎に1つのパルスが現れる。従って、この車速信号SG1のパルスを監視することにより、車速を把握したり、車両が移動しているか否かを把握することが可能である。
【0035】
もう一方の電気信号SG2は、車両の後部座席側方ドアの開閉状態を表す2値信号である。タクシー車両においては、通常は乗客が後部座席側方ドアが開いた状態で乗車又は降車することになる。従って、後部座席側方ドアの開閉状態を表す電気信号SG2を監視することにより、乗客の乗車又は降車の可能性がある状態か否かを識別可能である。
【0036】
なお、電気信号SG2の代わりにこれと同等の機能を有する他の信号を監視しても良い。例えば、乗客が着座する後部座席のシートクッションの内部に感圧スイッチ等のセンサを埋め込んである場合には、このセンサが出力する電気信号を監視することにより、乗客が着座している状態か否かや、乗客の乗降の可能性を識別することができる。また、後部座席の近傍に人体の有無に感応するセンサ(例えば静電センサ)を設置してある場合にも、乗客が着座している状態か否かや、乗客の乗降の可能性を識別することが可能である。
【0037】
図1に示すタクシーメータ表示切替装置10は、前述のタクシーメータが生成した情報と、カーナビゲーションユニットが生成した情報とを共通の表示ユニットである表示器55の表示画面24上に表示するために設けてある。
【0038】
図1に示すように、タクシーメータ表示切替装置10の機能には、車両状態信号入力部11、タクシーメータ状態保持部12、表示モード自動選択部13および表示制御部14が含まれている。なお、これらの機能は
図2に示したマイクロコンピュータ51の処理によって実現される。
【0039】
車両状態信号入力部11は、前述の電気信号SG1及びSG2の状態を監視するためにこれらの信号を例えば定期的に入力する。なお、後述するように2つの電気信号SG1及びSG2のいずれか一方を入力するだけでもタクシーメータ表示切替装置10に必要とされる機能を実現できる。
【0040】
タクシーメータ状態保持部12は、操作部62の一部分であるタクシーメータの操作部21からの入力を監視してタクシーメータ状態を把握すると共にこのタクシーメータ状態の情報を保持する。すなわち、前述の「空車」ボタン、「実車」ボタン、「合計」ボタン等の入力操作に応答して「空車」状態、「実車」状態、「合計」状態等の現在のタクシーメータ状態を把握し、この情報を保持する。
【0041】
表示モード自動選択部13は、車両状態信号入力部11によって入力される2つの電気信号SG1およびSG2の少なくとも一方の状態と、タクシーメータ状態保持部12から入力されるタクシーメータ状態とに基づいて、複数の表示モードの中から1つの表示モードを自動的に選択する。
【0042】
すなわち、タクシーメータの生成した表示情報22とナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24に同時に表示する場合に、この表示を参照する乗務員や乗客にとってより望ましい表示状態を選択できるように予め複数の表示モードが用意してある。表示モードを切り替えることにより、画面上のタクシーメータの生成した表示情報22に割り当てる表示面積とナビゲーションユニットの生成した表示情報23に割り当てる表示面積との割合などを調整することができる。表示モード自動選択部13の具体的な動作については後で説明する。
【0043】
表示制御部14は、表示モード自動選択部13が選択した表示モードに従って、タクシーメータの生成した表示情報22とナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24上に地図、図形、数値、文字列等の情報として表示する。
【0044】
図1に示した表示モード自動選択部13の主要な動作が
図3に示されている。また、
図3に示した処理によって切り替わる複数種類の画面表示の具体例が
図4に示されている。なお、
図3に示す動作においては信号SG2は利用していない。
図3に示す動作の内容について以下に説明する。
【0045】
ステップS11では、表示モード自動選択部13、すなわちマイクロコンピュータ51は、入力された信号SG1の状態に基づいて算出される最新の車速に変化が生じたか否かを識別する。車速の変化を検出した場合はステップS12に進み、変化がない場合はステップS20に進む。
【0046】
ステップS12では、表示モード自動選択部13はタクシーメータ状態保持部12の把握している最新のタクシーメータ状態を参照し、タクシーメータ状態が「空車」状態か否かを識別する。タクシーメータ状態が「空車」状態であればステップS13に進み、それ以外の状態であればステップS14に進む。
【0047】
ステップS13では、表示モード自動選択部13は、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23だけを表示画面24に表示する表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22は利用せず、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23だけを表示画面24の画面全域を利用して大きく表示する。
【0048】
すなわち、タクシーメータ状態が「空車」状態の時には、このタクシー車両に乗客が乗っていないことが明らかであるので、この状態で利用価値の低いタクシーメータの情報については表示を抑制し、ナビゲーションユニットから出力される地図等の役に立つ情報だけを優先的に表示する。
【0049】
ステップS14では、表示モード自動選択部13はタクシーメータ状態保持部12の把握している最新のタクシーメータ状態を参照し、タクシーメータ状態が「実車」状態か否かを識別する。タクシーメータ状態が「実車」状態であればステップS15に進み、それ以外の状態であればステップS18に進む。
【0050】
ステップS15では、表示モード自動選択部13は、所定時間(例えば3秒間)に渡って入力された信号SG1の状態を監視し、新たなパルスが現れたか否かを識別する。新たなパルスを検出した場合はこのタクシー車両が走行中であるのでステップS16に進み、新たなパルスが検出されなかった場合は停車中なのでステップS17に進む。
【0051】
ステップS16では、表示モード自動選択部13は予め定めた第1の表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された第1の表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22と、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24上に同時に表示する。
【0052】
図4に示す表示画面V1の表示例が、上記第1の表示モードに相当する。この表示画面V1においては、ナビゲーションユニットの出力する地図等の情報が画面のほとんどの領域を使って表示されているが、画面の下端や右端の狭い表示領域には、タクシーメータの生成した表示情報22の一部である「運賃710円」の情報やタクシーメータ状態を表す「実車」の文字列が同時に表示されている。
【0053】
すなわち、タクシー車両が乗客を乗せている「実車」状態であっても、タクシー車両が走行中であれば乗客が最新の運賃等の情報を必要とする可能性は小さいので、タクシーメータの情報としては運賃など最小限の情報だけを最小限の表示領域を使って表示する。その代わり、ナビゲーションユニットの出力する地図等の情報は大きな面積を利用して見やすく表示する。走行中は、乗務員だけでなく乗客にとっても地図の情報は利用価値が高いので、乗客の望む情報を表示画面V1で表示できる。
【0054】
ステップS17では、表示モード自動選択部13は予め定めた第2の表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された第2の表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22と、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24上に同時に表示する。
【0055】
図4に示す表示画面V2の表示例が、上記第2の表示モードに相当する。この表示画面V2においては、地図を表示する領域が表示画面V1よりも小さくなっており、その分だけタクシーメータの情報を表示する領域が大きくなっている。
図4の表示画面V2では、タクシーメータの情報として、「運賃710円」の他に、「予約400円」、走行距離、走行時間などの情報も表示されている。
【0056】
すなわち、タクシー車両が乗客を乗せている「実車」状態であり、且つタクシー車両が停車した状態であれば、交差点の信号待ちで停車した状態や、目的地に到着して乗客が運賃の支払いを行おうとする状態が想定される。従って、この場合は乗客から見た地図の情報の重要度は下がり、タクシーメータの情報の重要度が上がる。表示画面V2の表示例のように、地図の表示面積を小さくすることにより、乗客や乗務員は運賃、走行距離、走行時間等を容易に確認することができる。
【0057】
ステップS18では、表示モード自動選択部13はタクシーメータ状態保持部12の把握している最新のタクシーメータ状態を参照し、タクシーメータ状態が「合計」状態か否かを識別する。タクシーメータ状態が「合計」状態であればステップS19に進み、それ以外の状態であればステップS20に進む。
【0058】
ステップS19では、表示モード自動選択部13は予め定めた第3の表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された第3の表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22と、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24上に同時に表示する。
【0059】
図4に示す表示画面V3の表示例が、上記第3の表示モードに相当する。この表示画面V3においては、地図を表示する領域が表示画面V1よりも小さくなっており、その分だけタクシーメータの情報を表示する領域が大きくなっている。
図4の表示画面V3では、タクシーメータの情報として、合計運賃とその内訳である「運賃」、「予約料金」、「消費税」が表示されている。
【0060】
すなわち、タクシー車両が乗客を乗せて営業走行し目的地に到着した時に、乗務員が「合計」ボタンを押下すると、乗客の料金支払いに便利な表示画面V3が表示される。この状態では、乗客や乗務員から見た地図の情報の重要度は下がり、タクシーメータの情報の重要度が上がる。表示画面V3の表示例のように、地図の表示面積を小さくすることにより、乗客や乗務員は運賃の合計金額やその内訳を容易に確認することができる。
【0061】
ステップS20では、表示モード自動選択部13は現在の表示状態を継続するために、それまで選択していた表示モードの状態を維持する。
【0062】
従って、表示モード自動選択部13が表示モードを切り替えるのは、車速の変化がステップS11で検出され、且つタクシーメータ状態が変化したことを検出した場合である。また、「実車」状態では、タクシー車両が走行中か停車中かに応じて異なる表示モードに自動的に切り替わる。
【0063】
次に変形例について説明する。表示モード自動選択部13の主要な動作に関する変形例が
図5に示されている。なお、
図5に示す動作においては、車速に関係する信号SG1を利用しない場合を想定している。また、
図5の処理によって切り替わる複数種類の画面表示の具体例が
図6に示されている。
【0064】
ステップS31では、表示モード自動選択部13は、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23だけを表示画面24に表示する表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22は利用せず、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23だけを表示画面24の画面全域を利用して大きく表示する。
【0065】
ステップS32では、表示モード自動選択部13は、車両状態信号入力部11から入力される信号SG2の状態を監視し、タクシー車両の後部座席側方ドアの開閉状態に変化があったか否かを識別する。この変化を検出した場合はステップS33に進み、変化がない場合はステップS40に進む。
【0066】
すなわち、新たな乗客がタクシー車両の後部座席に乗車しようとする時や、乗客がタクシー車両から降車しようとする時に、後部座席側方ドアの開閉状態に変化があるとステップS33以降の処理が実行される。
【0067】
なお、ステップS32で監視する信号については、後部座席側方ドアの開閉状態を表す信号以外であっても良い。例えば、乗客が着座する後部座席のシートクッションの内部に感圧スイッチ等のセンサを埋め込んである場合や、後部座席の近傍に人体の有無に感応するセンサ(例えば静電センサ)を設置してある場合には、これらのいずれかのセンサが出力する電気信号を監視しても良い。これにより、乗客が着座している状態か否かや、乗客の乗降の可能性を識別することが可能である。
【0068】
ステップS33では、表示モード自動選択部13はタクシーメータ状態保持部12の把握している最新のタクシーメータ状態を参照し、タクシーメータ状態が「空車」状態か否かを識別する。タクシーメータ状態が「空車」状態であればステップS34に進み、それ以外の状態であればステップS35に進む。
【0069】
ステップS34では、表示モード自動選択部13は予め定めた第1の表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された第1の表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22と、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24上に同時に表示する。
【0070】
図6に示す表示画面V21の表示例が、上記第1の表示モードに相当する。この表示画面V21においては、ナビゲーションユニットの出力する地図等の情報が画面のほとんどの領域を使って表示されているが、画面の下端や右端の狭い表示領域には、タクシーメータの生成した表示情報22の一部である乗務員の拘束時間や当日の合計走行距離の情報やタクシーメータ状態を表す「空車」の文字列が同時に表示されている。
【0071】
すなわち、後部座席側方ドアの開閉があった時にタクシーメータ状態が「空車」である状態は、それまで乗っていた乗客が降車して「空車」に変化した可能性が高いと考えられるので、空車状態に適した表示モードを自動的に選択する。つまり、この状態で利用価値の低いタクシーメータの情報については表示を抑制し、ナビゲーションユニットから出力される地図等の乗務員にとって役に立つ情報を優先的に表示する。
【0072】
ステップS35では、表示モード自動選択部13はタクシーメータ状態保持部12の把握している最新のタクシーメータ状態を参照し、タクシーメータ状態が「実車」状態か否かを識別する。タクシーメータ状態が「実車」状態であればステップS36に進み、それ以外の状態であればステップS37に進む。
【0073】
ステップS36では、表示モード自動選択部13は予め定めた第2の表示モードを自動的に選択する。この場合、選択された第2の表示モードに従い、表示制御部14はタクシーメータの生成した表示情報22と、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23とを共通の表示画面24上に同時に表示する。
【0074】
図6に示す表示画面V22の表示例が、上記第2の表示モードに相当する。この表示画面V22においては、地図を表示する領域が表示画面V21よりも小さくなっており、その分だけタクシーメータの情報を表示する領域が大きくなっている。
図6の表示画面V22では、タクシーメータの情報として、「運賃710円」、「予約400円」、走行距離、走行時間などの情報が表示されている。
【0075】
すなわち、後部座席側方ドアの開閉があった時にタクシーメータ状態が「実車」である状態は、タクシー車両に新たな乗客が乗車して「実車」状態に変化した可能性が高いと考えられる。従って、乗務員だけでなく乗客にとっても利便性の高い情報を表示するように表示モードを自動的に切り替える。つまり、この場合は乗客から見た地図の情報の重要度は下がり、タクシーメータの情報の重要度が上がるので、地図の表示面積を小さくして、代わりにタクシーメータの情報の表示に割り当てる面積を拡大する。これにより、乗客は運賃、走行距離、走行時間等を容易に確認することができる。
【0076】
ステップS37では、表示モード自動選択部13はタクシーメータ状態保持部12の把握している最新のタクシーメータ状態を参照し、タクシーメータ状態が「合計」状態か否かを識別する。タクシーメータ状態が「合計」状態であればステップS38に進み、それ以外の状態であればステップS40に進む。
【0077】
ステップS38では、表示モード自動選択部13は、タクシーメータ状態保持部12の保持しているタクシーメータ状態を「空車」状態に自動的に切り替える。すなわち、後部座席側方ドアの開閉があった時にタクシーメータ状態が「合計」である状態は、それまで乗車していた乗客が支払いを済ませて降車しようとしている状態である可能性が高い。従って、「空車」状態に切り替えて次の乗客に備える。これにより、「空車」状態に切り替えるための乗務員の「空車」ボタン操作を不要にすることができる。
【0078】
ステップS39では、表示モード自動選択部13は、ナビゲーションユニットの生成した表示情報23だけを表示する表示モードを自動的に選択する。すなわち、「空車」状態では乗務員にとってタクシーメータの情報は重要性が低いので、それの表示を抑制して利用価値の高い地図等の情報を大きな領域を使って表示する。
【0079】
ステップS40では、表示モード自動選択部13は現在の表示状態を継続するために、それまで選択していた表示モードの状態を維持する。
【0080】
なお、
図3に示した動作と
図5に示した動作との両方を組み合わせた制御を表示モード自動選択部13が行うように変更しても良い。すなわち、車速の変化を検出した時には、
図3のようにその時のタクシーメータ状態と走行中/停車中の区分とに応じて最適な表示モードを自動的に選択し、後部座席側方ドアの開閉変化を検出した時には、
図5のようにその時のタクシーメータ状態に応じて最適な表示モードを自動的に選択する。
【0081】
いずれにしても、カーナビゲーションユニットが生成する情報とタクシーメータが生成する情報とを共通の表示ユニットの画面上に表示する場合に、前述のタクシーメータ表示切替装置10を用いることにより、表示モードが自動的に切り替わるので、乗務員の操作を増やすことなく、乗客及び乗務員が希望する情報を適切に表示することが可能になる。
【0082】
以上のように、本発明のタクシーメータ表示切替装置および表示切替方法は、ナビゲーションユニットの機能と、タクシーメータの機能とを搭載したタクシー車両において、ナビゲーションユニットが生成する情報とタクシーメータが生成する情報とを共通の表示ユニットの画面上に表示する場合に適用することが想定される。本発明を採用することにより、表示モードが自動的に切り替わるので、乗務員の操作を増やすことなく、乗客及び乗務員が希望する情報を適切に表示することが可能になる。