特許第5692920号(P5692920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692920
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電気機械のための液体冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/20 20060101AFI20150312BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H02K1/20 A
   H02K9/19 A
【請求項の数】28
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-544757(P2011-544757)
(86)(22)【出願日】2010年1月11日
(65)【公表番号】特表2012-515518(P2012-515518A)
(43)【公表日】2012年7月5日
(86)【国際出願番号】CA2010000026
(87)【国際公開番号】WO2010081216
(87)【国際公開日】20100722
【審査請求日】2013年1月4日
(31)【優先権主張番号】61/193,957
(32)【優先日】2009年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505020293
【氏名又は名称】ティーエム4・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・ウール
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ・ブルスク
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ビグラ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ・カルペンティエ
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−513596(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/031200(WO,A1)
【文献】 特表2006−502685(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/055396(WO,A1)
【文献】 実開昭60−096979(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00
H02K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械の内部ステーターに挿入される液体冷却装置であって、前記内部ステーターは、内面設けられており前記液体冷却装置は、
長手方向の第1及び第2端部と前記内部ステーターの前記内面に当てられるように構成且つ形成される外面とが設けられた管状本体であって、長手方向の前記第1及び前記第2端部は、当該管状本体の変形を可能にする拡張スロットを含有し、当該管状本体は、液体注入口及び液体排出口が設けられた冷却経路をも含有する、管状本体と、
前記内部ステーターの前記内面に接触する前記管状本体の前記外面を付勢するように構成且つ形成される付勢組立体と、を含むことを特徴とする液体冷却装置。
【請求項2】
前記管状本体は、C字状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の液体冷却装置。
【請求項3】
C字状の前記管状本体は、長手方向の前記第1端部から長手方向の前記第2端部へ延びるスロットを含有し、
前記付勢組立体は、前記スロットに取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の液体冷却装置。
【請求項4】
前記冷却経路は、前記管状本体に組み込まれる冷却管によって画定されることを特徴とする請求項1に記載の液体冷却装置。
【請求項5】
組み込まれる前記冷却管は、連続的に蛇行する冷却管であることを特徴とする請求項4に記載の液体冷却装置。
【請求項6】
前記管状本体の前記外面は、蛇行する溝を含有し、
前記冷却経路は、蛇行する前記溝に挿入される冷却管によって画定されることを特徴とする請求項1に記載の液体冷却装置。
【請求項7】
蛇行する前記溝は、概ね、C字状の横断面を有することを特徴とする請求項6に記載の液体冷却装置。
【請求項8】
前記冷却経路は、前記冷却経路の前記液体注入口及び前記液体排出口を設ける連結管によって相互に連結される少なくとも2つの概ねU字状の冷却管によって画定されることを特徴とする請求項1に記載の液体冷却装置。
【請求項9】
少なくとも2つの概ねU字状の前記冷却管は、一体化した屈曲部によって相互に連結される2つの長手方向の脚部によって画定され、
前記管状本体における長手方向の前記第1端部の前記拡張スロットは、前記長手脚部間に設けられる一方で、前記管状本体における長手方向の前記第2端部の前記拡張スロットは、隣接する概ねU字状の前記冷却管の間に設けられることを特徴とする請求項8に記載の液体冷却装置。
【請求項10】
前記冷却経路は、前記管状本体における複数の傾斜した穴によって画定され、
傾斜した前記穴は、前記管状本体における長手方向の前記第1及び前記第2端部双方に対して開口しており、
隣接する前記穴は、前記液体注入口から前記液体排出口へ冷却経路を形成するために変形可能プラグによって閉じられることを特徴とする請求項1に記載の液体冷却装置。
【請求項11】
前記管状本体は、内面を含有し、
前記付勢組立体は、前記管状本体の内面に取り付けられ且つ前記ステーターの前記内面に対して前記管状本体の前記外面を当てるため、外側に向けられる付勢力をもたらすために構成且つ形成される内部の前記付勢組立体であることを特徴とする請求項1に記載の液体冷却装置。
【請求項12】
前記内面には、第1及び第2傾斜壁部によって画定される狭窄が設けられ、
内部の前記付勢組立体は、第1及び第2リングを含有し、前記第1及び前記第2リングそれぞれには、前記管状本体における前記第1及び第2傾斜壁部それぞれを接触させるために構成且つ形成される傾斜した周壁と、前記第1及び前記第2リングを相互に連結させる少なくとも2つの留め具と、が設けられ、
少なくとも2つの前記留め具は、前記第1及び前記第2リングに取り付けられており、前記留め具の回転は、前記第2リングを前記第1リングに向かって押し込み、それにより外側を向く付勢力をかけて前記管状本体を前記ステーターの前記内面に対して当てることを特徴とする請求項11に記載の液体冷却装置。
【請求項13】
前記第1及び前記第2リングは、前記ステーターとして同一の材料で作られ、それによって、大体同一の速度で熱膨張及び収縮することを特徴とする請求項12に記載の液体冷却装置。
【請求項14】
前記第1リングは、前記留め具を通させるように構成される開口部を含有し、
前記第2リングは、前記留め具のねじ部を受けるように構成且つ形成されるねじ付開口部を含有することを特徴とする請求項12に記載の液体冷却装置。
【請求項15】
電気機械は、
内面が設けられた内部ステーターと、
前記内部ステーターの周囲に同軸上に取り付けられる外部のローターと、
前記内部ステーターに挿入される液体冷却装置と、を含み、
前記液体冷却装置は、
長手方向の第1及び第2端部と前記内部ステーターの前記内面に当てられるように構成且つ形成される外面とが設けられた管状本体であって、長手方向の前記第1及び前記第2端部は、当該管状本体の変形を可能にする拡張スロットを含有し、当該管状本体は、液体注入口及び液体排出口が設けられた冷却経路をも含有する管状本体と、
前記内部ステーターの前記内面に接触する前記管状本体の前記外面を付勢するように構成且つ形成される付勢組立体と、を含むことを特徴とする電気機械。
【請求項16】
前記管状本体は、C字状をなしていることを特徴とする請求項15に記載の電気機械。
【請求項17】
C字状の前記管状本体は、長手方向の前記第1端部から長手方向の前記第2端部へ延びるスロットを含有し、
前記付勢組立体は、前記スロットに取り付けられることを特徴とする請求項16に記載の電気機械。
【請求項18】
前記冷却経路は、前記管状本体に組み込まれる冷却管によって画定されることを特徴とする請求項15に記載の電気機械。
【請求項19】
組み込まれる前記冷却管は、連続的に蛇行する冷却管であることを特徴とする請求項18に記載の電気機械。
【請求項20】
前記管状本体の前記外面は、蛇行する溝を含有し、
前記冷却経路は、蛇行する前記溝に挿入される前記冷却管によって画定されることを特徴とする請求項15に記載の電気機械。
【請求項21】
蛇行する前記溝は、概ねC字状の横断面を有することを特徴とする請求項20に記載の電気機械。
【請求項22】
前記冷却経路は、前記冷却経路の前記液体注入口及び前記液体排出口を設ける連結管によって相互に連結される少なくとも2つの概ねU字状の冷却管によって画定されることを特徴とする請求項15に記載の電気機械。
【請求項23】
少なくとも2つの概ねU字状の前記冷却管は、一体化した屈曲部によって相互に連結される2つの長手方向の脚部によって画定され、
前記管状本体における長手方向の前記第1端部の前記拡張スロットは、長手方向の前記脚部間に設けられる一方で、前記管状本体における長手方向の前記第2端部の前記拡張スロットは、隣接する概ねU字状の前記冷却管の間に設けられることを特徴とする請求項22に記載の電気機械。
【請求項24】
前記冷却経路は、前記管状本体において複数の傾斜した穴によって画定され、
傾斜した前記穴は、前記管状本体の長手方向の前記第1及び前記第2端部双方に対して開口しており、
隣接する穴は、前記液体注入口から前記液体排出口へ前記冷却経路を形成するために、変形可能プラグによって閉じられることを特徴とする請求項15に記載の電気機械。
【請求項25】
前記管状本体は、内面を含有し、
前記付勢組立体は、前記管状本体の内面に取り付けられ且つ前記ステーターの前記内面に対して前記管状本体の前記外面を当てるため、外側に向けられる付勢力をもたらすために構成且つ形成される内部の前記付勢組立体であることを特徴とする請求項15に記載の電気機械。
【請求項26】
前記内面には、第1及び第2傾斜壁部によって画定される狭窄が設けられ、
内部の前記付勢組立体は、第1及び第2リングを含有し、前記第1及び前記第2リングそれぞれには、前記管状本体における前記第1及び第2傾斜壁部それぞれを接触させるために構成且つ形成される傾斜した周壁と、前記第1及び前記第2リングを相互に連結させる少なくとも2つの留め具と、が設けられ、
少なくとも2つの前記留め具は、前記第1及び前記第2リングに取り付けられており、前記留め具の回転は、前記第2リングを前記第1リングに向かって押し込み、それにより外側を向く付勢力をかけて前記管状本体を前記ステーターの前記内面に対して当てることを特徴とする請求項25に記載の電気機械。
【請求項27】
前記第1及び前記第2リングは、前記ステーターとして同一の材料で作られ、それによって、大体同一の速度で熱膨張及び収縮することを特徴とする請求項26に記載の電気機械。
【請求項28】
前記第1リングは、前記留め具を通させるように構成される開口部を含有し、
前記第2リングは、前記留め具のねじ部を受けるように構成且つ形成されるねじ付開口部を含有することを特徴とする請求項26に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械に関する。より明確に、本発明は、電気機械のための液体冷却装置及び前記液体冷却装置が設けられた電気機械に関係している。
【背景技術】
【0002】
電気機械、モーターまたは発電機、は、当技術分野で周知である。電気機械は、副産物として熱を発生させることと、機械の性能を改善し且つ/または早い劣化もしくはそれを原因としての故障を防ぐために、この熱を機械から何らかの形で抜き出さなければならないことと、で同様に幅広く知られている。
【0003】
電気機械は、多くの場合、空冷式である。これは、空気を通させるために機械の本体に開口部を設けることによって容易になされる。空気は、通常、低効率冷却流体であるので、前記冷却装置における効率は、乏しい。さらに、ある電気機械は、その場所に空気をもたらすために開口部を有して電気機械を設けることが不可能であるような環境で稼動する。それゆえに、電気機械のための液体冷却装置は、同様に考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6960851号明細書
【特許文献2】米国特許第7474021号明細書
【特許文献3】米国特許第6992411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある永久磁石電気機械は、内部ステーター及び通常、ステーターを取り囲む外部のローターを設ける。この例の場合、ステーターは、通常、円筒状の本体と、外部に設けられるローターと相互に作用する磁界を外に向かって生じさせるように円筒状の本体に取り付けられるコイルと、を有している。熱が通常、ローターによって若干取り囲まれるステーターにおいて発生させられているので、外部の前記ローター電気機械における取り囲まれたステーターの内部に液体冷却装置を設置することが困難である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実例となる実施形態による液体冷却装置の斜視図である。
図2図1における線2−2に沿って取り出される側断面図である。
図3図1における液体冷却装置の底面図である。
図4図1における液体冷却装置の上面図である。
図5図4における線5−5に沿って取り出される側断面図である。
図6図1における液体冷却装置が設けられた電気機械の断面図である。
図7】第2の実例となる実施形態による液体冷却装置の斜視図である。
図8】第3の実例となる実施形態による液体冷却装置が設けられたステーターを説明する斜視図である。
図9図8における線9−9に沿って取り出される断面図である。
図10】第4の実施形態による液体冷却装置の斜視図である。
図11】第5の実施形態による液体冷却装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実例となる実施形態において、電気機械の内部ステーターに挿入される液体冷却装置であって、内部ステーターは、内面を設けている、液体冷却装置が提供され、この液体冷却装置は、
長手方向の第1及び第2端部と内部ステーターの内面に当てられるように構成且つ形成される外面とが設けられた管状本体であって、長手方向の第1及び第2端部は、管状本体の変形を可能にする拡張スロットを含有し、管状本体は、液体注入口及び液体排出口が設けられた冷却経路をも含有する管状本体と、
内部ステーターの内面に接触する管状本体の外面を付勢するように構成且つ形成される付勢組立体と、を含む液体冷却装置。
【0008】
別の態様によると、
内面が設けられた内部ステーターと、
内部ステーターの周囲に同軸上に取り付けられる外部のローターと、内部ステーターに挿入される液体冷却装置と、を含む電気機械が提供され、
液体冷却装置は、
長手方向の第1及び第2端部と内部ステーターの内面に当てられるように構成且つ形成される外面とが設けられた管状本体であって、長手方向の第1及び第2端部は、管状本体の変形を可能にする拡張スロットを含有し、管状本体は、液体注入口及び液体排出口が設けられた冷却経路をも含有する管状本体と、
内部ステーターの内面に接触する管状本体の外面を付勢するように構成且つ形成される付勢組立体と、を含む液体冷却装置。
【0009】
この説明は、この明細書にわたり記載されている他の文献を参照する。これらの文献は、ここでそれらの全体について参照として組み込まれる。
【0010】
特許請求の範囲及び/または明細書において用語“comprising(含む)”とともに使用されるときの単語“a(ある)”または“an(ある)”の使用は、“one(1つ)”を意味するが、それは、“one or more(1または1を超える)”、“at least one(少なくとも1つ)”及び“one or more than one(1または1を超える)”の意味とも矛盾がない。同様に、単語“another(別の)”は、少なくとも2つ以上を意味する。
【0011】
この明細書及び特許請求の範囲において使用されるように、単語“comprising(含む)”(及びcomprisingの任意の形態、例えば“comprise”と“comprises”となど)、“having(有する)”(及びhavingの任意の形態、例えば“have”と“has”となど)、“including(含有する)”(及びincludingの任意の形態、例えば“include”と“includes”となど)または“containing(包含する)”(及びcontainingの任意の形態、例えば“contain”と“contains”となど)は、包括的であり、または制約がなく、且つ追加的な、列挙しない要素または処理工程を排除しない。
【0012】
用語“about(大体)”は、数値を決定するために用いられる装置または方法に関する誤差の固有の変化量を含有する数値を示すために使用される。
【0013】
したがって目的は、電気機械のための液体冷却装置を提供することである。
【0014】
語句“電気機械”は、本明細書において、これらの機械において使用される専門語を無視することで、包括的な電気モーター及び発電機双方と解釈されることに注意が必要である。
【0015】
その他の目的、利点及び特徴は、実例となる実施形態における以下の非制限的な説明を読むことでより明らかになり、それに関して、添付する図面を参照してほんの一例として与えられる。
【0016】
概説するならば、実例となる実施形態による冷却装置は、熱貯蔵要素と関連する冷却管を使用する。冷却管は、蛇行する形状を有しており、円筒状の熱貯蔵要素は、通常、熱貯蔵要素の長手方向の端部双方から始まる長手方向のスロットを含有する。それゆえに、熱貯蔵要素を電気機械の内部ステーター内に適切に位置決めするために、熱貯蔵要素を若干変形させることが可能である。さらに、長手方向のスロットは、ステーターの過度の変形なく且つこれらの要素間で生じる接触損失なく、電気機械のステーターを形成する材料と比べて、熱貯蔵要素の材料が異なる速度で収縮及び膨張することを可能にする。したがって、熱貯蔵要素及びステーター間における適切な熱移動は、これらの要素を形成する異なる材料の使用を許可しつつ、可能である。付勢組立体は、ステーターの内面に接触する熱貯蔵要素の外面を押し込むために使用される。
【0017】
これから図1から図6を参照することで、第1の実例となる実施形態による液体冷却装置10を説明する。
【0018】
液体冷却装置10は、管状本体12の形態での熱貯蔵要素と、管状本体12に組み込まれた連続的に蛇行する冷却管14の形態での冷却経路と、を含有する。
【0019】
管状本体12は、通常、C字状をなしており、外面16と長手方向の第1及び第2端部18及び20とを含有する。3つの拡張スロット22は、長手方向の第1端部18から設けられ、2つの拡張スロット24は、長手方向の第2端部20から設けられる(図2参照)。拡張スロット22は、長手方向の第1端部18に対して開口しているが、長手方向の第2端部20には達していない。反対に、図3における底面図からいっそう良好に示されるように、拡張スロット24は、長手方向の第2端部20に対して開口しているが、長手方向の第1端部18には達していない。
【0020】
管状本体12におけるC字形状は、長手方向の端部18及び20双方に対して開口している大きなスロット25によって画定される。
【0021】
図1において破線で示される蛇行する冷却管14は、液体注入口26及び液体排出口28を含有する。
【0022】
図2は、本体12に組み込まれる冷却管14を説明する。図2は、同様に、冷却管14のそれぞれの直線部が、少なくとも1つの拡張スロット22または24に隣接することを説明する。
【0023】
図3及び図4は、内部ステーター(図示せず)への本体12の挿入に関する可能性のある変形を、破線で本体12におけるそれぞれ底面図及び上面図である。
【0024】
図5は、本体12に組み込まれる冷却管14を破線で説明する。この図から示されるように、拡張スロット22及び24は、蛇行する冷却管14におけるU字状部分に設けられ、連続的な冷却管14を許容する一方で、本体12の長手方向の端部のどちらかに対して開口する拡張スロットを設ける。
【0025】
図6は、液体冷却装置10が設けられた電気機械50の一部分を概略的に説明する。電気機械50は、コイル54が設けられたステーター52と、永久磁石58が設けられたローター56と、を含有する。
【0026】
ステーター52は、通常、使用される冷却装置10の外側表面16の一部分が当てられる円筒状の内側表面60を含有する。ステーター52の底部肩62及び本体12の頂部肩64は、ステーター52に冷却装置10の適切な挿入を保証する。当然ながら、肩62及び64は、本明細書で説明されるそれらと異なる。
【0027】
断面的な図6に示されるように、本体12の内面66は、2つの傾斜壁部70及び72によって画定される中央の狭窄68を含有する。
【0028】
図6は、ステーター52の内面60に接触する管状本体12の外面16を付勢するために使用される内部の付勢組立体74を説明する。付勢組立体74には、第1及び第2リング76、78と第1リング76を第2リング78に相互に連結させる複数の留め具80(図6において示される2つ)とが設けられる。リング76及び78における外周壁82は、通常、傾斜壁部70及び72に対応するように曲げられる。
【0029】
それゆえに、ステーター12内に挿入されるために冷却装置10が若干変形させられると、拡張スロット22及び24とスロット25とのために、留め具80は、リング76及び78を互いに向かって押させる(矢印86参照)ように締め付けられる(矢印84参照)。傾斜壁82、70及び72における相互作用は、ステーター52の内側表面60上へ本体12の外側壁16を押す(矢印88参照)ように本体12を変形させる。それゆえに、適切な熱移動が、ステーター52及び冷却装置10間で実現される。
【0030】
拡張スロット22及び24は、異なる材料で作られるステーター52及び冷却装置10が、これらの要素における非弾性変形を引き起こすことなく、異なる速度で熱膨張及び/または収縮することを可能にする一方で、適切な熱移動を可能にするために、それらの間に適切な接触を保つ。
【0031】
リング76及び78は、ステーター52と同一の材料、一般的に鋼で作られており、それと同一の速度で熱膨張且つ収縮させる。
【0032】
当然ながら、その他の固定装置が使用されてもよい。例えば、図6における留め具80は、圧縮手段(図示せず)がリベットを取り付ける間にリング76及び78を互いに向かって一時的に保持するために使われるならば、リベット(図示せず)と置換されてもよい。
【0033】
当業者によって容易に理解されるように、管状本体の内部に取り付けられ、外に向けられる半径方向力をもたらすように設計されるその他の装置は、ステーターの内面に接触する管状本体の外面を付勢するために使用される。
【0034】
冷却管14及び本体12双方が多数の適切な熱移動材料で作られてもよいことは、当業者によって容易に理解される。例えば、冷却管14は、ステンレス鋼で作られる一方で、本体12は、アルミニウムで作られてもよい。当然ながら、本体に対してその他の材料、例えば管及び鋳鉄のための銅、プラスチック、亜鉛またはマグネシウムなどが使用されてもよい。当業者は、管及び本体に対して適合する材料を選択する立場にある。
【0035】
これから図7を参照することで、第2の実例となる実施形態による液体冷却装置100を説明する。液体冷却装置10及び100は、非常に似ているので、簡潔にする目的で、これらの液体冷却装置間での相違点についてのみ、以下で説明されることに注意すべきである。
【0036】
冷却装置100及び10間の主な相違点は、冷却装置における規模に属する。実際には、冷却装置10は、小さい直径の電気機械のために設計される一方で、冷却装置100は、より大きい直径の電気機械のために設計される。それゆえに、管状本体102は、より大きい直径を有し且つ本体102の長手方向の端部108及び110双方からより多くの拡張スロット104及び106を設ける。
【0037】
別の興味深い相違点は、液体冷却装置100の本体102がC字状をなしていないことである。増加したスロットの数は、本体102のより相当な変形を可能にし、このスロットは、本体102がステーターに挿入され、その後本体102がC字状である必要なくステーターの内面に接触して押し込まれることを可能にする。
【0038】
これから添付の図面における図8及び図9を参照することで、第3の実例となる実施形態による液体冷却装置200を説明する。液体冷却装置200は、図1から図7において説明される液体冷却装置10及び100に非常に似ている。それゆえに、それらの間の相違点のみが以下で説明される。
【0039】
図8から明らかなように、冷却装置200の外面をステーター202の内面上に当てるために使用される付勢組立体204は、以上で説明された付勢組立体と異なる。図8において説明される付勢組立体は、“付勢要素を含有する冷却装置”と題され且つPoulinらを発明者として挙げる特許文献1において説明されている。この文献は、その全体について参照として本明細書に組み込まれる。
【0040】
液体冷却装置200は、組み込みの管を設けない。図9から示されるように、液体冷却装置200は、複数の穴を含有しており、この穴は、「V」の形をした溝を画定するためにある角度をなして開けられ、且つ隣接するV字状の溝が交わる場所で間隔を空けられる。
【0041】
より明確に、それぞれの傾斜した穴205は、液体冷却装置200の長手方向の端部206及び208双方に対して開口している。隣接する穴は、注入口212から排出口214へ冷却経路を形成するために変形可能プラグ210によって閉じられる。拡張スロット216は、装置200の長手方向の端部206、208双方上のプラグ210の間に設けられる。それゆえに、冷却経路は、拡張スロットによって阻害されない。
【0042】
穴及びプラグにおける上記の配置は、“電気機械のための冷却組立体”と題され且つDidier Perrinを発明者として挙げる特許文献2において説明されている。この文献は、その全体について参照として本明細書に組み込まれる。
【0043】
これから添付の図面における図10を参照することで、第4の実例となる実施形態による冷却装置300を説明する。液体冷却装置300は、図7において説明される液体冷却装置100に似ていることに注意すべきである。それゆえに、それらの間の相違点のみが以下で説明される。
【0044】
液体冷却装置300の冷却経路は、冷却管302によって画定され、この冷却管302は、管状本体304に組み込まれないが、管状本体304の外面308上に設けられる蛇行する溝306に挿入され且つ変形させられる。蛇行する溝306は、概ねC字状の横断面を有する。
【0045】
したがって液体冷却装置300がステーターに挿入される場合、連続的な冷却管302は、本体304及びステーター(図示せず)双方と物理的に接触する。
【0046】
この場合も同様に、拡張スロット310は、冷却管302の間での干渉を防ぐために冷却管302の長手方向の一部分の間に設けられる。
【0047】
上記の冷却管の配置は、“電気機械のための液体冷却装置”と題され且つHouleらを発明者として挙げる特許文献3において説明されている。この文献は、その全体について参照として本明細書に組み込まれる。
【0048】
最後に、添付の図面における図11を参照することで、第5の実例となる実施形態による液体冷却装置400を説明する。この場合も同様に、液体冷却装置400は、図7において説明される液体冷却装置100と似ているので、それらの間の相違点のみが以下で説明される。
【0049】
液体冷却装置400の冷却経路は、それぞれが液体注入口404及び液体排出口406を含有する8つのU字状の冷却管402を含有する。拡張スロット408は、U字状の冷却管402間かその長手方向の脚部間に、それらに関して冷却管402の働きを妨げないように設けられる。
【0050】
冷却経路は、液体冷却装置400に対して1つだけからなる注入口及び排出口を設けるために、液体注入口412及び液体排出口414を設け且つ冷却管402の注入口及び排出口に取り付けられる連結管410も含有する。連結管410は、図10において図式的に説明されることに注意すべきである。
【0051】
当然ながら、当業者は、U字状の冷却管402の数が変更されてもよいことを理解する。
【0052】
冷却装置本体の外面は、異なる本体の直径を画定する肩部を有するとしてここに示される一方で、まっすぐな円筒状の外面が使用されてもよいことに注意すべきである。当業者には容易に理解できるように、冷却装置の本体の外面は、通常、本体とステーターとの間に適切な接触をもたらすために電気機械のステーターの内面に対応している。
【0053】
円筒状に成形した冷却装置は上述したが、その他の形状、例えば多角形などは、冷却装置の外側表面に対して且つステーターの内側表面に対して使用されてもよい。当然ながら、これらの表面の形状は、適切な接触及びゆえに熱移動をもたらすために対応する。
【0054】
熱移動材料、例えば接着剤、熱グリースまたは熱パッドなどは、ステーターから液体冷却装置への熱移動を改善するために、本体の外面及びステーターの内面間に設けられることにも注意すべきである。
【0055】
発明は、構造の細部と添付する図面において説明され且つ上述される部材とについて、その利用において制限されないことが理解される。発明は、その他の実施形態及びさまざまな状況において実施することが可能である。ここに使用される表現または専門用語は、説明のためであり且つ制限ないことが同様に理解される。ゆえに、この発明は、実例となる実施形態を経由して上述されるが、それに関して、添付される特許請求の範囲において定義される精神、請求範囲及び対象発明の性質から逸脱することなく、実施形態は改変されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10,100,200,300,400 液体冷却装置、12,102,304 本体,管状本体、14,302,402 冷却管、16,308 外面、18 第1端部、20 第2端部、22,24,104,106,216,310,408 スロット,拡張スロット、26,404,412 液体注入口、28,406,414 液体排出口、52,202 ステーター、60,66 内面、68 狭窄、70,72,80 壁部、74,204 付勢組立体、76 第1リング、78 第2リング、80 留め具、205 穴、210 変形可能プラグ、306 溝
図1
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図11