特許第5692937号(P5692937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692937
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】カーナビゲーション用拡大鏡装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-162013(P2013-162013)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-30396(P2015-30396A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2014年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】513197563
【氏名又は名称】浦島 正
(74)【代理人】
【識別番号】100101568
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 真一
(72)【発明者】
【氏名】浦島 正
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−127832(JP,A)
【文献】 特開2009−184406(JP,A)
【文献】 米国特許第07661648(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0290654(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席と助手席との間に位置し且つ前記運転席から斜め前方に位置する自動車のダッシュボードの部分に直接に配設されたカーナビゲーションに用いられるカーナビゲーション用拡大鏡装置であって、
前記ダッシュボードの任意位置の部分に配設された固定部と、
前記固定部により支持された一端部と、他端部とを有する第1アーム部と、
前記カーナビゲーションの画面の全体の前方位置に配設されて、前記画面の画像を拡大化する拡大鏡と、
前記拡大鏡の上端部に接続された一端部と、他端部とを有する第2アーム部と、
前記第1アーム部の前記他端部を支持する第1支持部と、前記第2アーム部の前記他端部を支持する第2支持部とを有するフレキシブル端子部とを備え、
前記第1アーム部は、前記第1アーム部の前記一端部及び前記他端部の支持状態に於いて、前記第1アーム部の長手方向の前後方向、左右方向及び上下方向に自在に移動可能であり、
前記フレキシブル端子部の前記第2支持部は、前記拡大鏡をその鏡面に平行な面内の上下方向及び左右方向並びに前記鏡面に平行な面の略直交方向に自在に移動させると共に、前記拡大鏡をその任意方向に自在に回動させる様に、前記第2アーム部を支持する
ことを特徴とする、カーナビゲーション用拡大鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカーナビゲーション用拡大鏡装置であって、
前記拡大鏡の前記上端部を自在に挟み込み及び当該挟み込み状態を開放するクリップ部を更に備えており、
前記第2アーム部の前記一端部は前記クリップ部との接続を介して前記拡大鏡の前記上端部に接続されている
ことを特徴とする、カーナビゲーション用拡大鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーナビゲーション用拡大鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のダッシュボード上に、そのディスプレイ面を運転席の方向に向けて搭載された携帯電話機又はスマートフォン(多機能携帯電話機)が、そのナビゲーション機能を利用して、カーナビゲーションに代替する機器として利用することが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
この場合、携帯電話機等のディスプレイの画面サイズはカーナビゲーションの画面サイズと比較して格段に小さいので、携帯電話機等の画面を拡大化するための拡大鏡が、ダッシュボード上に折り畳み可能で搭載される技術も、提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−225933号公報
【特許文献2】特開2002−205603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の様に、携帯電話機等の画面を拡大化するための拡大鏡を用いるとしても、拡大鏡に求められる拡大倍率は比較的に大きくなり、その様な拡大鏡を現実に実現することは容易ではない点が指摘されている。その点を考慮するならば、画面が比較的に大きなカーナビゲーションは今後も利用されていくものと、考えられる。
【0006】
他方で、先行技術文献では認識ないしは把握されていない問題点がある。この点は、「老眼の進行」という問題点に拘わる。即ち、両眼の視力が近視である人が、齢を重ねることで、老眼にもなることが多い。この場合、近視且つ老眼の人は、近視及び老眼の両方に関して視力を矯正可能なメガネを着用することで、自動車の運転に対して対処可能ではある。
【0007】
しかし、ダッシュボード内又はダッシュボード上に取り付けられたカーナビゲーションを有する自動車の運転車が、上記の近視及び老眼の矯正用のメガネを着用して運転していている場合に、当該運転者が上記のカーナビゲーションを眺める際に、問題点が生じてくる。当該運転者が、遠方を眺めて当該自動車を運転している際に、道先案内を確認すべく、直近のカーナビゲーションの画面を直ちに見ようと思っても、両眼の視力が遠方視認状態から近場の上記画面を視認可能な状態に直ちに矯正されないために、上記のメガネを着用しているよりも、寧ろ当該メガネを外して頭上に当該メガネをずらした上で、裸眼でカーナビゲーションの画面を直接に眺める方がより見易いということになる。
【0008】
しかし、その場合でも、カーナビゲーションは、自動車のダッシュボード内又はダッシュボード上に取り付けられていて、その画面が個々の運転者の両眼の位置に対応して運転者席側に向いていない。そのため、当該運転車の両眼と当該画面との間の焦点が当該画面全体に亘って一様ではなく、当該画面の場所毎に画像の見え方が変わってしまい、画面全体内での不均一な焦点ズレによる視力のピンボケ状態に当該運転者は悩まされることになる。従って、当該運転者は、上記の遠近対応のメガネの着用を一時的に止めて裸眼にて当該画面を眺めても、当該画面のピントずれの著しい画像より、進行すべき道先案内の表示を直ぐに知ることが出来ないという問題点が生じる。
【0009】
この様な問題点は、助手席側に座っている人が、運転者に代わってカーナビゲーション画面を見つつ道先案内の補助動作を行う場合に、当該人の両眼が近視且つ老眼である場合に於いても、起こり得る問題点である。
【0010】
この発明は、上記の問題点の認識を踏まえて成されたものであり、その目的とする点は、近視且つ老眼の人がダッシュボード内又はダッシュボード上に取り付けられたカーナビゲーションをその画面前方に位置する拡大鏡と共に利用しながら自動車の運転を又は助手席側から道先案内を行う際に、拡大鏡により当該カーナビゲーションの拡大化された画面をより見やすい状態で直ちに認識し得ることを可能にする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題の第1局面に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置は、運転席と助手席との間に位置し且つ前記運転席から斜め前方に位置する自動車のダッシュボードの部分に直接に配設されたカーナビゲーションに用いられるカーナビゲーション用拡大鏡装置であって、前記ダッシュボードの任意位置の部分に配設された固定部と、前記固定部により支持された一端部と、他端部とを有する第1アーム部と、前記カーナビゲーションの画面の全体の前方位置に配設されて、前記画面の画像を拡大化する拡大鏡と、前記拡大鏡の上端部に接続された一端部と、他端部とを有する第2アーム部と、前記第1アーム部の前記他端部を支持する第1支持部と、前記第2アーム部の前記他端部を支持する第2支持部とを有するフレキシブル端子部とを備え、前記第1アーム部は、前記第1アーム部の前記一端部及び前記他端部の支持状態に於いて、前記第1アーム部の長手方向の前後方向、左右方向及び上下方向に自在に移動可能であり、前記フレキシブル端子部の前記第2支持部は、前記拡大鏡をその鏡面に平行な面内の上下方向及び左右方向並びに前記鏡面に平行な面の略直交方向に自在に移動させると共に、前記拡大鏡をその任意方向に自在に回動させる様に、前記第2アーム部を支持することを特徴とする。
【0012】
本発明の主題の第2局面に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置は、第1局面に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置に於いて、前記拡大鏡の前記上端部を自在に挟み込み及び当該挟み込み状態を開放するクリップ部を更に備えており、前記第2アーム部の前記一端部は前記クリップ部との接続を介して前記拡大鏡の前記上端部に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の主題の第1局面によれば、1)第1アーム部を、その長手方向の前後方向、左右方向及び上下方向に自在に移動可能とし、2)フレキシブル端子部の第2支持部による第2アーム部の支持機能を介して、第2アーム部をその上下方向及び左右方向に自在に移動させると共に、その任意方向に自在に回動させて、拡大鏡を第2アーム部の当該動きに追従させることが出来る。
【0014】
そのため、本発明の主題の第1局面の適用により、拡大鏡の画面全体と運転席又は助手席に座っている補助者の両眼との間の垂直距離を上記画面全体に亘って均一化して、上記の運転者又は助手席側の補助者の裸眼による焦点の不均一の発生を抑止して、裸眼による拡大鏡の面全体の画像の視認をよりクリアに改善することが出来る。
【0015】
本発明の主題の第2局面によれば、拡大鏡を自在に第2アーム部から離脱させることが出来、拡大鏡を単独で別途、他の場所に保管することが出来るので、夏のシーズン等に於ける太陽光の照り付けによる自動車の車内の高温化による拡大鏡の品質の劣化を回避することが出来る。
以下、本発明の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置の構成を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置に於けるフレキシブル端子部の構成を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置に於ける第2アーム部及び拡大鏡の一方の局面での動作を模式的に示す上面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置に於ける第2アーム部及び拡大鏡の他方の局面での動作を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
【0018】
本実施の形態に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置の中核部は、「第1アーム部の端部を支持する第1支持部と、第2アーム部の端部を支持する第2支持部とを有し、拡大鏡をその上下方向及び左右方向に自在に移動させると共に、拡大鏡をその任意方向に自在に回動させる様に、上記第2アームを支持するフレキシブル端子部」を備える点にある。
【0019】
このフレキシブル端子部の構造・機能を利用して第2アームを自在に上下左右に移動させ或いは任意方向へと回転させることで、拡大鏡の平らな鏡面3Sを、面全体に亘り、自動車席又は助手席に座ってカーナビゲーションの画面を眺めている近視且つ老眼が進んでいる視力を有する者の裸眼での視線方向に直交する様に、その者は拡大鏡の配設位置を調整することが可能となる。以って、その者は、拡大鏡の平鏡面3S上のピンボケ状態の画像がより改善されて、よりクリアな拡大化された画面を視認することが出来る。
【0020】
尚、本実施の形態に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置は、運転席と助手席との位置が互いに逆関係にある国産自動車及び輸入自動車の何れにも適用可能である。
【0021】
<カーナビゲーション用拡大鏡装置の構造>
図1は、本実施の形態に係るカーナビゲーション用拡大鏡装置100の構成を模式的に示す正面図である。尚、図1に於いては、図示の都合上、カーナビゲーション5の拡大鏡3により拡大された端部の画像は描かれてはいない。
【0022】
図1に例示される様に、本装置100に於けるカーナビゲーション5は、自動車部品等の販売店等の市場で購入可能で且つ自分で又は店員により車内に取り付けられる通常のタイプの装置、又は、4輪自動車等の自動車の購入時に最初よりメーカー又はディーラーにより車内に取り付けられている通常のタイプの装置である。
【0023】
本装置100に於いては、カーナビゲーション5は、運転席と助手席との間に位置し且つ運転席又は助手席から見て斜め前方に位置する自動車のダッシュボードVSの所定の部分内に嵌め込まれた状態で、又は、ダッシュボードVSの所定の部分(例えば、フロントガラスに面したダッシュボードVSの平らな上面)上に固設された状態にて、ダッシュボードVSに配設されている。
【0024】
そして、固定部SPは、ダッシュボードVSの任意位置の部分に固設ないしは配設されている。この固定部SPの材質は、如何なる物でも良い。その任意の配設位置に関しては、例えば図1に示される様に、フロントガラスに面したダッシュボードVSの平らな上面内の部分であっても良い。或いは、ダッシュボードVSの運転者等に向いた正面側に予め配設されている空気の吹き出し口AEに、例えば飲料水等の容器を保持するための自動車用備品を係止状態にて設けており、その自動車用備品を固定部SPとして利用することとしても良い。
【0025】
図1に例示される通り、拡大化機能を呈する複数の筋が入ったガラス板である透明な拡大鏡3は、カーナビゲーション5の画面5DSの全体の前方位置に画面5DSを全面的に覆う様に配設されており、画面5DSに写し出される全画像を所定の倍率にて拡大化する機能を呈する。尚、図1中の破線の引き出し線で示される参照符号5Eは、カーナビゲーション5の画面5DSの枠を示す。又、図1に於いては、拡大鏡3は、その鏡面3Sの正面方向から眺めた際の構成として模式的に描かれている。
【0026】
そして、クリップ部4は、所謂「クリップ」としての機能を呈する構造を備えており、運転者等の人の手の動作に応じたクリップ機能の作用により、拡大鏡3の上端部3UEを自在に挟み込み及び当該挟み込み状態を開放する。このクリップ部4を介在させる利点は、夏場等の季節の太陽光の自動車内への照射による車内の温度が比較的に高温となった場合において、拡大鏡3を保護することにある。即ち、夏場等の車内温度が比較的に高温となる季節等の場合であって、暫くは自動車の運転を行わない場合(例えば週末・休日のみ運転予定の場合。)には、高温状態の車中に拡大鏡3を放置しておくと、高熱により拡大鏡3の性能・品質が劣化する蓋然性が生じる。そこで、上記の自動車を運転しない場合、換言すれば拡大鏡3を使用しない場合には、運転者等の人は、その手作業でクリップ部4が開く様に同部4を操作することで、クリップ部4の開放状態に応じて拡大鏡3を本装置100から離脱させて抜き取り、抜き取られた拡大鏡3を車内温度と比較してより低温な場所、例えば室内の西日が入らない様な比較的冷温な場所等に保管しておく。この拡大鏡3の離脱・抜き取り及び保管の作業により、不必要な場合での拡大鏡3の配置・使用を回避して、拡大鏡3の拡大機能(品質)の劣化を抑止して、拡大鏡3の寿命を延ばすことが出来る。勿論、その様な拡大鏡3の保管が不要な場合に於いては、クリップ部4は不必要な構成要素となり、後述する第2アーム部2の一端部が拡大鏡3の上端部3UEに直接に結合・配設されることとなっても良い。その意味で、クリップ部4の配設は任意の事項である。
【0027】
又、第1アーム部は、その長手方向の前後方向LA、左右方向LB及び上下方向LCに沿って自在に移動可能(上記長手方向に関して恰も伸縮自在)な構造・材質より成る。例えば、第1アーム部1は、比較的に軟らかい金属であるアルミニウムの板材と、当該アルミニウムの板材を全体的に被覆する合成樹脂とより成る。そして、第1アーム部1の一端部は固定部SPにより支持されており、同部2の他端部は、後述するフレキシブル端子部10の第1支持部10TS(図2参照。)により支持されている。この様な両端部の支持状態の範囲内に於いて、第1アーム部1は、その構造・材質上、自動車の運転者又は助手席の者の手動の操作に応じて、上記長手方向の前後方向LA、左右方向LB及び上下方向LCに沿って自在に移動し得る。尚、仮に固定部SPにおいて、第1アーム部1の一端部が回動可能に支持されているならば、後述するフレキシブル端子部10の支持構造上、第1アーム部1は上記長手方向の周りにも任意方向に回動し得る。
【0028】
更に、第2アーム部2は、1)拡大鏡3の上端部に、直接に(図示せず。)或いは、クリップ部4を介して間接的に、接続された一端部と、2)後述するフレキシブル端子部10により支持された他端部とを有する。この第2アーム部2は、第1アーム部1と同様の構成・材質より成り、例えばアルミニウム板材とそれを被覆する合成樹脂とより成る。図1に例示する様に、第2アーム部2は、その他端部とフレキシブル端子部10との支持構造を起因として、人の手動に応じて、角度θでの同一平面内での斜め方向への傾き動作を、又は、その任意方向に傾いた状態若しくは真っ直ぐに下方へ延びた状態での長手方向の周りに回動(角度αでの左周り回転又は角度βでの右回り回転より成る。)の動作を行う。
【0029】
上記のフレキシブル端子部10は、本装置100の中核部を成す構成要素であり、第1アーム部1の上記他端部を支持する第1支持部10SAと、第2アーム部2の上記他端部を支持する第2支持部10SBとを有する。尚、フレキシブル端子部10の材質は任意であり、例えば、同部10は合成樹脂より成るものでも良いし、金属体であっても良い。
【0030】
ここで、図2は、図1のフレキシブル端子部10の第1支持部10SA及び第2支持部10SBの構成を具体的且つ模式的に例示する、フレキシブル端子部10の拡大化された構成図である。
【0031】
この要部たるフレキシブル端子部10の内の第2支持部10SBは、第2アーム部2の動きを介して、拡大鏡3を、その鏡面3Sに平行な面内の上下方向及び左右方向並びにその鏡面3Sに略直交する方向に自在に移動させると共に、拡大鏡3をその任意方向に自在に回動(時計方向の回転又は反時計方向の回転に該当。)させる様に、第2アーム部2の他端部を支持する構造を備える。その構造は、以下の記載の通りである。
【0032】
図2に拡大化して示されている通り、フレキシブル端子部10の第1支持部10SA(図1)は、所定の曲率半径の半球面を成す凹状の第1窪み部10TSを有する。そして、ほぼ同一の曲率半径の半球面を成す凸状の、第1アーム部1の他端部1TSが、僅かに遊びを有する状態にて、フレキシブル端子部10の第1支持部の第1窪み部10TS内に嵌め込まれている(遊嵌状態にある。)。この第1アーム部1の他端部1TSの遊嵌状態により、第1アーム部1は、コマの動きの如く、その長手方向の周りの任意の方向に自在に回動し得る。換言すれば、固定部SPと、フレキシブル端子部10の第1支持部とは、共に、第1アーム部1の2つの関節部としての動作・機能を呈する。
【0033】
同様に、フレキシブル端子部10の第2支持部10SB(図1)は、所定の曲率半径の半球面を成す凹状の第2窪み部10BSを有する。そして、ほぼ同一の曲率半径の半球面を成す凸状の、第2アーム部2の他端部2TSが、僅かに遊びを有する状態にて、フレキシブル端子部10の第2支持部の第2窪み部10BS内に嵌め込まれている(遊嵌状態にある。)。この第2アーム部2の他端部2TSの遊嵌状態に基づき、第2アーム部2は、第2窪み部10BSの上記半球面に沿って滑りつつコマの如き動作を行う。その結果、第2アーム部2は、第2アーム部2の中心軸方向ないしは長手方向の周りに360°以内の範囲内の角度を成す各平面内で、角度θ(<90°)の斜め方向に自在に傾くことが出来る共に、その傾き状態に於いて更に角度βで時計周りに又は角度αで反時計周りに回転(回動)することが出来る。このフレキシブル端子部10の第2支持部の第2窪み部10BSを支点ないしは関節部とした第2アーム部2の上記の傾き動作及び回動に応じて、第2アーム部2の一端部と直接又は間接に結合した拡大鏡3もまた、第2アーム部2の動きに追随して、傾き移動及び回動の動作を行う。
【0034】
この第2アーム部2の動作を利用して、拡大鏡3の鏡面3Sの位置調整をフレキシブル化させる点が、本装置100の特徴的ポイントである。その点を、次に記載する。
【0035】
<カーナビゲーション用拡大鏡装置の動作>
図3は、自動車の運転席に座った状態の運転者DMの視力が近視且つ老眼の状態である場合の、当該運転者DMの裸眼による、より一層にクリア・明瞭な拡大鏡3の鏡面画面を確保するための本装置100の動作を模式的に示す図である。以下、既述した図1及び図2を参照しつつ、動作を記載する。
【0036】
当該運転手DMは、自動車の運転開始時又は開始前の任意時に、運転席に座った状態に於いて、視力矯正メガネを用いずに裸眼で拡大鏡3の鏡面3Sの画面を見ながら、拡大鏡3の鏡面3Sが当該運転手DMの視線方向と略直交する面に略平行となる様に、手動作にて第1及び第2アーム部1,2を動かしながら拡大鏡3の鏡面3Sの位置調整を行う。即ち、図3に例示される距離D1,D2が互いに略等しくなる様に、拡大鏡3の鏡面3Sの位置が調整される。そのために、当該運転手DMは、第1アーム部1を手で掴んで同部1をその移動可能な方向へ臨機応変に動かして、拡大鏡3の鏡面3Sの前方近傍位置へセッティングする。その上で、当該運転手DMは、更に、第2アーム部2を手で掴んで同部2をその移動可能又は回動可能な方向へ臨機応変に動かして、裸眼で見た状態において、左右の眼の各々と鏡面3Sとの距離D1,D2が略同等となる様に、拡大鏡3の鏡面3Sの位置をセッティングする。そのときの状態を示すのが図3である。図3では、拡大鏡3の鏡面3Sは、カーナビゲーション5の画面に対して傾いた方向の位置にセッティグされている。この結果、当該運転手DMは、フレキシブル端子部10の支持構造及びその作用・機能を利用した第1アーム部1及び第2アーム部2の動作を通じて、裸眼状態に於いてもピントずれがより少なくて、よりクリアな画面を視認することになる。そのため、当該運転者は、自動車の運転・走行中に、視力矯正用のメガネを利用して遠方の場所を注視していた状態から、即座に当該メガネをずらして裸眼に切り替えることで、ピントずれがより少なく、より明瞭に見えるカーナビゲーション5の拡大化された画面5DSを即座に視認して道先等を理解し、その上で再びメガネを着用して遠方の場所を注視して運転を続行出来る。
【0037】
他方、図4は、自動車の助手席に座った状態の、運転者に代わって道先案内を行う補助者SMの視力が近視且つ老眼の状態である場合の、当該補助者SMの裸眼による、ピントずれのより少ない、より一層にクリアな拡大鏡3の鏡面画面を確保するための本装置100の動作を模式的に示す図である。以下、既述した図1及び図2を参照しつつ、動作を記載する。
【0038】
当該補助者SMは、自動車の運転開始時又は開始前の任意時に、助手席に座った状態に於いて、視力矯正メガネを用いずに裸眼で拡大鏡3の鏡面3Sの画面を見ながら、拡大鏡3の鏡面3Sが当該補助者SMの視線方向と略直交する面に略平行となる様に、手動作にて第1及び第2アーム部1,2を動かしながら拡大鏡3の鏡面3Sの位置調整を行う。即ち、図4に例示される距離D3,D4が互いに略等しくなる様に、拡大鏡3の鏡面3Sの補助者SMに対する位置が調整される。そのために、当該補助者SMは、第1アーム部1を手で掴んで同部1をその移動可能な方向へ臨機応変に動かして、拡大鏡3の鏡面3Sの前方近傍位置へセッティングする。その上で、当該補助者SMは、更に、第2アーム部2を手で掴んで同部2をその移動可能又は回動可能な方向へ臨機応変に動かして、裸眼で見た状態において、左右の眼の各々と鏡面3Sとの距離D3,D4が略同等となる様に、拡大鏡3の鏡面3Sの位置をセッティングする。そのときの状態を示すのが図4である。図4では、拡大鏡3の鏡面3Sは、カーナビゲーション5の画面に対して傾いた方向の位置にセッティグされている。この結果、当該補助者SMは、フレキシブル端子部10の支持構造及びその作用・機能を利用した第1アーム部1及び第2アーム部2の同様な動作を通じて、裸眼状態に於いてもピントずれがより少なくて、より明瞭な画面を視認することになる。そのため、当該補助者SMは、運転者による当該自動車の走行中に、視力矯正用のメガネを利用して遠方の場所を注視していた状態から、即座に当該メガネを頭上にずらして裸眼に切り替えることで、ピントずれがより少なく、より明瞭に見えるカーナビゲーション5の拡大化された画面5DSを即座に視認して、運転者に教示すべき道先等を理解・教示し、その上で再びメガネを着用して遠方の場所を注視して自動車の走行を案内し続けることが出来る。
【0039】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、一般的なカーナビゲーションに用いられる拡大鏡への適用に関して好適なものである。
【符号の説明】
【0041】
1 第1アーム部
2 第2アーム部
3 拡大鏡
3S 鏡面
4 クリップ部
5 カーナビゲーション
5DS 拡大化されたカーナビゲーション画面
5E 拡大化されたカーナビゲーション画面の枠
10 フレキシブル端子部
VS ダッシュボード
SP 固定部
図1
図2
図3
図4