(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692950
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】Zr金属粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/20 20060101AFI20150312BHJP
C22B 5/04 20060101ALI20150312BHJP
C22B 34/14 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
B22F9/20 Z
C22B5/04
C22B34/14
【請求項の数】16
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2006-519794(P2006-519794)
(86)(22)【出願日】2004年6月29日
(65)【公表番号】特表2009-513819(P2009-513819A)
(43)【公表日】2009年4月2日
(86)【国際出願番号】EP2004007032
(87)【国際公開番号】WO2005007906
(87)【国際公開日】20050127
【審査請求日】2007年6月25日
【審判番号】不服2011-27852(P2011-27852/J1)
【審判請求日】2011年12月26日
(31)【優先権主張番号】10332033.4
(32)【優先日】2003年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500399116
【氏名又は名称】ヒェメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Chemetall GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【復代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート ビック
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ゼルモント
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ヴィルフィング
【合議体】
【審判長】
山田 靖
【審判官】
大橋 賢一
【審判官】
木村 孔一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6136062(US,A)
【文献】
H.Baumgart,Dgussa,Special Metals,Characteristics and handling of pyrotechnical zirconium,published at the 15th ITC−congress Karlsruhe, June 26−29 1984
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F9/00-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
50cm当たり4〜3000sの燃焼時間、1〜8μmの平均粒度、0.2〜5m2/gのBET比表面積及び160℃〜400℃の発火点を有するZr金属粉末の製造方法であって、Zr酸化物を、アルカリ土類金属及び/又はアルカリ金属を使用する還元剤と混合し、これらの混合物を炉中で、還元反応が開始するまで800〜1400℃に加熱し、反応生成物を浸出させ、引き続いて洗浄し、乾燥させることによる製造方法であり、
使用されるZr酸化物は、0.5〜20μmの平均粒度および0.5〜20m2/gのBETによる比表面積を有し、酸化物出発化合物中に占める含量が少なくとも94質量%であり、かつ、
酸化物出発化合物中のFe−不純物の割合が0.2質量%未満(酸化物として計算)であり、酸化物出発化合物中のSi−不純物の割合が1.5質量%未満(SiO2として計算)であり、1000℃での酸化物出発化合物の強熱減量が1質量%未満であることを特徴とする、Zr金属粉末の製造方法。
【請求項2】
使用されるZr酸化物が1〜6μmの平均粒度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
使用されるZr酸化物が1〜12m2/gのBETによる比表面積を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
使用されるZr酸化物が1〜8m2/gのBETによる比表面積を有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
使用されるZr酸化物の酸化物出発化合物中に占める含量が少なくとも96質量%である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
使用されるZr酸化物の酸化物出発化合物中に占める含量が少なくとも99質量%である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
酸化物出発化合物中のAl−不純物の割合が0.2質量%未満である(酸化物として計算)、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
酸化物出発化合物中のFe−及びAl−不純物の割合がそれぞれ0.1質量%未満である(酸化物として計算)、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
酸化物出発化合物中のSi−不純物の割合が0.3質量%未満である(SiO2として計算)、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
酸化物出発化合物中のNa−不純物の割合が0.05質量%未満である(Na2Oとして計算)、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
酸化物出発化合物中のP−不純物の割合が0.2質量%未満である(P2O5として計算)、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
酸化物出発化合物のEN ISO 787-11(先のDIN 53194)によるタップ密度が800〜1600kg/m3である、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
還元剤としてMg、Ca、又はBaを使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
還元剤が少なくとも99質量%の含量を有する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
反応を保護ガス下に実施する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
塩酸で反応生成物の浸出を実施する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
Zr金属粉末
の製造方法に関する。
【0002】
元素Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta及びCrの金属粉末及びこれらの金属の粉末状水素化物は例えば次の使用分野において使用される:航空機産業及び自動車産業用のチタン構造部材の製造の際の、チタン合金の製造の際の、及び焼結されたAlNiCo−磁石の製造の際の、チタン;高温産業(Pyroindustrie)において、電気雷管(例えばエアバッグにおける)及び発火遅れ要素の製造の際の、真空管、ランプ、真空装置及びガス精製設備におけるゲッター材料における、チタン、ジルコニウム及びハフニウム;ニオブ合金、タンタル合金、チタン合金、モリブデン合金及びタングステン合金における合金元素としてのハフニウム;金属水素化物/水素化ニッケル−バッテリーにおける代替電極材料として、及びTiAl
6V
4−合金における、バナジウム;化学工業用の装置の製造において、及びZrNb合金(核産業;Nuklearindustrie)及びNbHfTi−合金(ジェットエンジン又は爆発室用の超耐熱材料)用の合金元素としての、ニオブ;キャパシタにおけるタンタル。
【0003】
前記製品(例えばエアバッグ雷管)の信頼性への一部に極めて高い要求のために、バッチごとに再現性のある同じである性質(特に燃焼時間、発火点、平均粒度、粒度分布及び酸化値に関して)を有する金属粉末もしくは金属水素化物粉末を製造することが望ましい。
【0004】
金属粉末の製造は還元法により行われることができる。そのためには、金属(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta及びCr)の酸化物が例えばカルシウム又は水素化カルシウムで還元される。還元は、密封され、不活性化可能かつ真空排気可能な容器中で実施される。一つ又は複数の還元剤はたいてい過剰量で添加される。還元後に、生じた還元剤酸化物は酸での浸出及びその後の水での洗浄により除去される。得られた金属粉末の酸素含量はこの方法の場合に1〜5%である。
【0005】
選択的に、金属粉末はそれぞれの金属から水素化及び脱水素により取得されることができる(HDH法)。それぞれの金属は水素化され
、この
水素化された脆い
金属は所望の粉末度の粉末に機械的に粉砕されることができる。酸素及び窒素の取込
みを回避するために、水素化のために高純度水素が使用されなければならない。所望の粒度への水素化された金属の粉砕は、同様に純粋な保護ガス雰囲気(例えばヘリウム又はアルゴン)中で行われなければならない。水素のその後の除去のためには、金属水素化物は真空中で高められた温度で分解される。同じように金属水素化物粉末は製造される。その場合に単に脱水素が放棄されるだけである。
【0006】
こうして製造された金属粉末及び水素化物に不利なのはとりわけ、これらが再現性のある燃焼時間、再現性のある比表面積、再現性のある粒度分布及び再現性のある発火点を有しないことである。
【0007】
本発明の課題は、技術水準の欠点を克服し、かつ、50cm当たり4
〜3000sの燃焼時間及び160℃〜400℃の発火点及び個々の場合にこれを上回り有する、
Zr金属粉末
を提供することである。
【0008】
s/50cmで表現される燃焼時間はその場合に次のように決定される:試験すべき物質はまず最初に、妨げとなるアグロメレートの排除のために、メッシュサイズ250μm及び45μmを有する2つのふるいを通してふるい分けされる。場合により、試料はその場合にブラシで慎重に動かされることができる。燃焼時間の決定のためには、45μmふるいを通過した微細物が使用される。試料15gは、以下に記載される金属溝(Metallrinne)上にばらばらに置かれ、厚紙で滑らかにされ、かつ過剰量はこすり落とすことにより除去される。金属溝には、互いに500mmの間隔で配置されている2つのマークが設けられている。出発マークから、付加的にほぼエンドウ豆大の物質量が施与され、かつバーナーを用いて発火される。長時間露出撮影を用いて、燃焼過程が出発マーク及び終了マークの間の距離を突破するために必要とされる時間が目下算出される。燃焼時間の分析結果は次元[s/50cm]で示される。
【0009】
その場合に発火点は次のように決定される:試験すべき物質10gは、予熱された、いわゆる"発火ブロック"中へ導入され、かつ自己発火が起こる温度が測定される。材料穴及び熱電対穴(20mm及び8mm直径、各穴35mm深さ、穴中心点の間隔18mm)を有するエッジ長さ70mmの鉄製立方体からなる発火ブロックは、温度計又は熱電対をこのために設けられた穴中へはめ込んだ後に、ブローパイプを用いて発火温度を僅かに下回る温度に予熱される。この温度は予備試料により算出される。予熱された発火ブロックの材料穴中へ、調べるべき金属粉末又は水素化物のスパチュラ山盛り(10g)が目下搬入され、かつブロックは完全なブロー炎を用いて、粉末がひとりでに発火されるまで、加熱される。その際に到達する温度が発火点である。
【0010】
さらに、金属粉末もしくは金属水素化物粉末が、少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも88質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%の金属もしくは金属水素化物含量、1〜15μmの平均粒度、1〜20μmの好ましい粒度分布d
50(レーザー回折を用いて測定)及び0.2〜5m
2/gのBETによる比表面積を有することが望ましい。
【0011】
平均粒度は"Fisherサブシーブサイズ粒度測定器"(以下にFSSSと呼ぶ)を用いて決定される。この測定法の記載は、Fisher Scientific、"Instructions, Fisher Model 95 Sub-Sieve Sizer, Catalog No. 14-311, Part No. 14579 (Rev. C), published 01-94"に見出される。この測定の記載が本明細書に明らかに関連付けられている。
【0012】
前記課題は、
Zr金属粉末
の製造方法により解決され、前記方法の場合に、これらの元素の酸化物が還元剤と混合され、かつこの混合物が炉中で、還元反応が開始するまで、場合により水素雰囲気下に(ついで金属水素化物が形成される)加熱され、反応生成物が浸出され、かつ引き続いて洗浄され、かつ乾燥され、その場合に使用された酸化物は、0.5〜20μm、好ましくは1〜6μmの平均粒度、0.5〜20m
2/g、好ましくは1〜12m
2/g及び特に好ましくは1〜8m
2/gのBETによる比表面積及び94質量%、好ましくは96質量%及び特に好ましくは99質量%の最小含量を有する。
【0013】
酸化物中のFe−及びAl−不純物の割合は好ましくはそれぞ
れ0.2質量%
未満、特に好ましく
は0.1質量%
未満である(それぞれ酸化物として計算)。酸化物中のSi−不純物の割合は好ましく
は1.5質量%
未満、特に好ましく
は0.3質量%
未満である(SiO
2として計算)。酸化物中のNa−不純物の割合は好ましく
は0.05質量%
未満である(Na
2Oとして計算)。酸化物中のP−不純物の割合は好ましく
は0.2質量%
未満である(P
2O
5として計算)。1000℃での酸化物の強熱減量(恒量)は好ましく
は1質量%
未満、特に好ましく
は0.5質量%
未満である。酸化物のEN ISO 787-11(先のDIN 53194)によるタップ密度(Stampfdichte)は好ましくは800〜1600kg/m
3である。前記酸化物は15質量%の割合までがMgO、CaO、Y
2O
3又はCeO
2の添加剤により置換されていてよい。
【0014】
前記の性質を有する酸化物原料の意図的な選択及び引き続き前記方法の実施の場合に、50cm当たり4
〜3000sの燃焼時間、1μJ〜1mJの点火エネルギー、1〜8μmの平均粒度、0.2〜5m
2/gのBETによる比表面積、160℃〜400℃の発火点及び個々の場合にこれを上回り有する生成物が得られ、その際にそれぞれ再現性のある粒度分布が得られることが見出された。酸化物出発化合物のそれぞれ前記の範囲内での平均粒度及び比表面積の組合せは、前記の最小含量と共に所望の生成物をもたらす。
【0015】
還元剤として好ましくは使用されることができる:アルカリ土類金属及びアルカリ金属及びそれらのそれぞれの水素化物。特に好ましいのはマグネシウム、カルシウム、水素化カルシウム及びバリウム又はそれらの定義された混合物である。好ましくは還元剤は99質量%、特に好ましくは99.5質量%の最小含量を有する。
【0016】
炉中での還元過程の間の水素添加量に応じて、粉末状の純金属、部分的に水素化された金属又は金属水素化物が得られる。処理生成物の水素含量が高ければ高いほど、燃焼時間はより大きくなり(すなわち金属はよりゆっくりと燃焼する)、かつ発火点はますます高くなり、かつそれぞれ逆も同じである。
【0017】
反応生成物の浸出は好ましくは濃塩酸を用いて実施され、前記濃塩酸は特に好ましくはわずかに過剰量で使用される。
【0018】
実施例
本発明は以下に例に基づいてより詳細に説明される。
【0019】
例1:ジルコニウム粉末の製造
ZrO
2 43kg(次の性質:ZrO
2+HfO
2 最小99.0%;HfO
2 1.0〜2.0%;SiO
2 最大0.5%;TiO
2 最大0.3%;Fe
2O
3 最大0.1%;強熱減量 最大0.5%、平均粒度(FSSSによる)4〜6μm、単斜結晶構造割合 最小96%、比表面積(BETによる)0.5〜1.5m
2/g)を有する粉末状酸化ジルコニウム(天然のバッデリ石))及び
Ca 31.5kg(次の性質:Ca 最小99.3%;Mg 最大0.7%を有する粒質物の形のカルシウム)を、
アルゴン雰囲気下に20分間混合した。ついで混合物を容器中へ搬入した。容器を炉中に装填し、次にこれを密閉し、アルゴンで100hPaの正圧まで充填した。反応炉を約1250℃の温度に1時間加熱した。反応材料が炉の温度に達したと同時に、還元反応が開始した:
ZrO
2 + 2Ca → Zr + 2CaO。
【0020】
炉加熱のスイッチを入れて60分後に、再びこのスイッチを切った。温度が<50℃に低下した後に、反応材料をるつぼから取り出し、濃塩酸で浸出した。次の分析特性を有するジルコニウム粉末が得られた:Zr+Hf 96.1%;Hf 2.2%;O 0.7%;Si 0.21%;H 0.16%;Mg 0.11%;Ca 0.13%;Fe 0.07%;Al 0.1%;Cl 0.02%;平均粒度4.9μm;粒度分布d
50 9.9μm;比表面積 0.5m
2/g;発火点 220℃;燃焼時間 80sec/50cm。
【0021】
例2:ジルコニウム粉末の製造
ZrO
2 36kg(次の性質:ZrO
2+HfO
2 最小99.0%;HfO
2 1.0〜2.0%;SiO
2 最大0.2%;TiO
2 最大0.25%;Fe
2O
3 最大0.02%;強熱減量 最大0.4%、平均粒度(FSSSによる)3〜5μm、単斜結晶構造割合 最小96%、比表面積(BETによる) 3.0〜4.0m
2/gを有する粉末状酸化ジルコニウム)及び
Mg 17kg(次の性質:Mg 最小99.8%;かさ密度 最大0.4〜0.5g/cm
3を有する粒質物の形のマグネシウム)を、
例1に類似して容器中で炉中に装填した。炉を1050℃に加熱した。反応材料が炉温度に達したと同時に、還元反応が開始した:
ZrO
2 + 2Mg → Zr + 2MgO。
【0022】
炉加熱のスイッチを還元開始20分後に切った。温度が<50゜に低下した後に、反応材料をるつぼから取り出し、濃塩酸で浸出した。次の分析特性を有するジルコニウム粉末が得られた:Zr+Hf 91.7%;O 1.6%; Si 0.14%;H 0.13%;Mg 0.59%;Ca <0.001%;Fe 0.045%;平均粒度 2.5μm;粒度分布d
50 4.3μm;発火点 175℃;燃焼時間 24sec/50cm。