特許第5692973号(P5692973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692973
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
   D05B 39/00 20060101AFI20150312BHJP
   D05C 9/06 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   D05B39/00
   D05C9/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-157810(P2009-157810)
(22)【出願日】2009年7月2日
(65)【公開番号】特開2011-10878(P2011-10878A)
(43)【公開日】2011年1月20日
【審査請求日】2012年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135690
【氏名又は名称】株式会社バルダン
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】愛敬 欽也
【審査官】 西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−047792(JP,A)
【文献】 特開2007−244774(JP,A)
【文献】 特開2003−020557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 39/00
D05C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被縫製物(W)を展張する縫製枠(20)の上方であり、かつ、前後方向に水平に延びるミシンアーム(11)の下方又は内部に、前記縫製枠(20)を前後方向に駆動するための前後方向に延びる前後駆動機構(50)を、該前後駆動機構の前記ミシンアーム(11)の後端(11e)よりも前方に位置する部分が、該ミシンアーム(11)の左右幅の平面投影範囲内に収まるように設け、
前記縫製枠(20)の上方であり、かつ、前記前後駆動機構(50)の左右両側に、前記縫製枠(20)を前後方向にガイドするための一対のガイド軸(60)の1本ずつを、前記一対のガイド軸(60)の中心間ピッチ(P)が100〜300mmになるように設け、
前記一対のガイド軸(60)の下方に、左右方向の長さが前記中心間ピッチ(P)よりも長い、前記縫製枠(20)を左右方向に駆動するための左右駆動機構(30)を、その上方に設けた一対の係合部材(65)を介して該一対のガイド軸(60)に相対変位可能に係合するように設け、
いずれのガイド軸(60)も、前記縫製枠(20)を左右方向に駆動する駆動力を伝達しないミシン。
【請求項2】
前記前後駆動機構(50)は、前後方向に間隔をおいて並設された前後一対のプーリ(51,52)と、該前後一対のプーリに架けられたベルト(53)とを含み構成され、
前記前後駆動機構(50)の後側のプーリ(52)と、該後側のプーリを回転駆動するモータ(55)とが、前記ミシンアーム(11)の後端を支持するアーム支持部(12)の内部に設けられた請求項1記載のミシン。
【請求項3】
前記左右駆動機構(30)は、左右方向に前記一対のガイド軸(60)の中心間ピッチ(P)よりも広い中心間ピッチで並設された左右一対のプーリ(31,32)と、該左右一対のプーリに架けられたベルト(33)とを含み構成され、
前記左右駆動機構(30)の左右のいずれのプーリ(31,32)も、前記ガイド軸(60)に外嵌されていない請求項1又は2記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製枠を前後方向に駆動する前後駆動機構を備えたミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
単頭ミシンは、一般的に、図4に示す従来例のミシン90のように、縫製枠92の下方に、前後方向に延びる一対の前後駆動機構95,95を、左右方向に間隔をおいて備え、各前後駆動機構95,95のすぐ隣に、前後方向に延びるガイド軸96,96を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−320578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このように縫製枠92の下方に、前後駆動機構95,95とガイド軸96,96とが設けられている場合、カバン等のように、左右方向に大きく、かつ、展張時に下方に大きく垂れ下がる被縫製物は、その垂れ下がった部分が、前後駆動機構95,95又はガイド軸96,96に接触するため縫製することができない。また、そのような接触を避けるために、一対の前後駆動機構95,95間のピッチQを大きくした場合には、特許文献1の場合ように、ミシン90全体が左右方向に大きくなり過ぎてしまう。
【0005】
そこで、本出願人は、図5に示すように、一対の前後駆動機構95,95と一対のガイド軸96,96とを、縫製枠92よりも上方に設けた従来例2のミシン99を開発した。このミシン99によれば、一対の前後駆動機構95,95間のピッチQを大きくすることなく、下方に垂れ下がる被縫製物Wと、前後駆動機構95,95又はガイド軸96,96との接触を回避することができたが、該上方に設けた前後駆動機構95,95及びガイド軸96,96によって、縫製枠92上に死角が増えて目視可能範囲が減り、被縫製物Wの出来上がり等の確認や、縫製枠20のセット等をし難くなってしまった。より詳しくは、ガイド軸96,96の方は小さいため、さほど大きく死角を増やさないが、特に前後駆動機構95,95の方が大きいため、より大きく死角を増やしてしまう。
【0006】
そこで、ミシンの寸法を左右方向に大きくすることも、縫製枠上に死角を大きく増やすこともなく、被縫製物が展張時に下方に垂れ下がる場合にも、その被縫製物が、前後駆動機構やガイド軸に接触しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のミシンは、被縫製物を展張する縫製枠の上方であり、かつ、前後方向に水平に延びるミシンアームの下方又は内部に、前記縫製枠を前後方向に駆動するための前後方向に延びる前後駆動機構を、該前後駆動機構の前記ミシンアームの後端よりも前方に位置する部分が、該ミシンアームの左右幅の平面投影範囲内に収まるように設け、前記縫製枠の上方であり、かつ、前記前後駆動機構の左右両側に、前記縫製枠を前後方向にガイドするための一対のガイド軸の1本ずつを、前記一対のガイド軸の中心間ピッチが100〜300mmになるように設け、前記一対のガイド軸の下方に、左右方向の長さが前記中心間ピッチよりも長い、前記縫製枠を左右方向に駆動するための左右駆動機構を、その上方に設けた一対の係合部材を介して該一対のガイド軸に相対変位可能に係合するように設け、いずれのガイド軸も、前記縫製枠を左右方向に駆動する駆動力を伝達しない。
【0008】
ここで、前記前後駆動機構は、特に限定されないが、前後方向に間隔をおいて並設された前後一対のプーリと、該前後一対のプーリに架けられたベルトとを含み構成され、前記前後駆動機構の後側のプーリと、該後側のプーリを回転駆動するモータとが、前記ミシンアームの後端を支持するアーム支持部の内部に設けられていることが好ましい。スペースをより有効的に使うことができるからである。
また、前記左右駆動機構は、特に限定されないが、左右方向に前記一対のガイド軸の中心間ピッチよりも広い中心間ピッチで並設された左右一対のプーリと、該左右一対のプーリに架けられたベルトとを含み構成され、前記左右駆動機構の左右のいずれのプーリも、前記ガイド軸に外嵌されていないことが好ましい。
【0009】
また、前記一対のガイド軸の中心間ピッチは、前記100〜300mmであること以上は特に限定されないが、150〜250mmであることがより好ましい。該中心間ピッチは、短い程、ガイド軸がミシンアームから左右方向に大きく張り出さず邪魔になり難い一方、短すぎても、支持する縫製枠の安定性が悪くなるからである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前後駆動機構とガイド軸とが縫製枠よりも上方にあるため、被縫製物が展張時に下方に垂れ下がる場合にも、その被縫製物が前後駆動機構やガイド軸に接触することはない。また、前後駆動機構のミシンアームの後端よりも前方に位置する部分は、ミシンアームの左右幅の平面投影範囲内に収まるので、該部分は、ミシンアームの下方又は内部に隠れてしまう。そのため、該前後駆動機構によって、縫製枠上に新たに死角が増えることはない。なお、ガイド軸は、小さいため、ミシンアーム又はその他の部材の下方又は内部に隠れていなくても、さほど死角は増えない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例のミシンを示す平面図である。
図2】同実施例のミシンを示す正面断面図である。
図3】同実施例のミシンを示す側面断面図である。
図4】従来例1のミシンを示す平面図である。
図5】従来例2のミシンを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
本実施例の図1図3に示す単頭ミシン9は、次に示すミシンヘッド10と、ベッド15と、縫製枠20と、支持枠25と、駆動枠29と、左右駆動機構30と、左右駆動用モータ35と、ガイドレール40と、前後駆動機構50と、前後駆動用モータ55と、一対のガイド軸60,60とを含み構成されている。
【0013】
ミシンヘッド10は上糸を縫い付けるための部位であって、前後方向に水平に延びるミシンアーム11の前端に支持されている。そのミシンアーム11の後端11eは、縫製枠20の後方に設けられたアーム支持部12の上部前面に支持されている。
【0014】
ベッド15は下糸を縫い付けるための部位であって、縫製枠20の下方後方から該縫製枠20の直下方にまで延びる突出部16の前端部に設けられている。
【0015】
縫製枠20は、被縫製物Wを展張するための環状の枠であって、外枠21と内枠22とからなる。
【0016】
支持枠25は、縫製枠20を支持するための左右方向に延びる枠であって、左右方向両端部に前方に突出する支持部26,26を備えている。その支持部26,26に縫製枠20が支持される。
【0017】
駆動枠29は、支持枠25を左右方向に変位可能に支持するための左右方向に延びる枠であって、支持枠25の後方に設けられている。
【0018】
左右駆動機構30は、支持枠25及びそれに支持された縫製枠20を駆動枠29に対して左右方向に駆動するための機構である。この左右駆動機構30は、駆動枠29の内部にて左右方向に間隔をおいて並設された一対のプーリ31,32と、該一対のプーリ31,32に架けられたベルト33とを含み構成されている。そして、ベルト33に支持枠25の後端部が連結されている。
【0019】
左右駆動用モータ35は、左右駆動機構30の一方のプーリ31を回転駆動するためのモータであって、駆動枠29の上面に設置されている。この左右駆動用モータは、一方のプーリ31に動力伝達機構36を介して接続されている。
【0020】
ガイドレール40は、支持枠25を左右方向にガイドするための左右方向に延びるレールであって、駆動枠29の内部に設けられている。このガイドレール40に、支持枠25の後端部が係合部材45を介して左右方向に変位可能に係合している。
【0021】
前後駆動機構50は、駆動枠29並びにそれに支持された支持枠25及び縫製枠20を前後方向に駆動するための前後方向に延びる機構である。この前後駆動機構50は、縫製枠20よりも上方におけるミシンアーム11の直下方からアーム支持部12の内部に架けて設けられており、該前後駆動機構50のミシンアーム11の後端11eよりも前方に位置する部分は、該ミシンアーム11の平面投影範囲内に収まっている。この前後駆動機構50は、ミシンアーム11の前部の下面に支持部材51aを介して支持された前側プーリ51と、その後方のアーム支持部12の内部に設けられた後側プーリ52と、両プーリ51,52に架けられたベルト53とを含み構成されている。そして、ベルト53に駆動枠29が連結部材54を介して連結されている。
【0022】
前後駆動用モータ55は、後側プーリ52を回転駆動するためのモータであって、アーム支持部12の内部に設けられている。この前後駆動用モータ55は、後側プーリ52に動力伝達機構56を介して接続されている。
【0023】
一対のガイド軸60,60は、駆動枠29を前後方向にガイドするための前後方向に延びる一対の軸であって、縫製枠20の上方における前後駆動機構50の左右両側に1本ずつ設けられている。この2本のガイド軸60,60の前端部は、ミシンアーム11の前部の下面に設けられて左右方向に延び、該ミシンアーム11の直下方から左方及び右方に突出した前端支持部61の左端部及び右端部にそれぞれ支持されている。また、該2本のガイド軸60,60の後端部は、アーム支持部12の左右の側面から左方及び右方にそれぞれ突出する一対の後端支持部62,62にそれぞれ支持されている。この一対のガイド軸60,60の中心間ピッチPは、150〜250mm程度となっている。この一対のガイド軸60,60に、駆動枠29が、係合部材65,65を介して前後方向に相対変位可能に係合している。
【0024】
本実施例によれば、次の[A]〜[G]の効果を得ることができる。
[A]前後駆動機構50とガイド軸60,60とが縫製枠20よりも上方にあるため、被縫製物Wが展張時に下方に垂れ下がる場合にも、その被縫製物Wが前後駆動機構50やガイド軸60,60に接触することはない。
[B]前後駆動機構50のミシンアーム11の後端11eよりも前方に位置する部分は、ミシンアーム11の平面投影範囲内に収まるので、該部分は、ミシンアーム11の下方に隠れてしまう。そのため、該前後駆動機構50によって縫製枠20上に新たに死角が増えることはない。そのため、目視可能範囲を広く確保することができ、被縫製物Wの出来上がり等の確認、縫製枠20のセット等をし易くすることができる。
[C]一対のガイド軸60,60は、250mm以下の中心間ピッチPで設けられているので、ミシンアーム11から左右方向に大きく張り出すことはなく、邪魔になり難い。
[D]一対のガイド軸60,60は、150mm以上の中心間ピッチPで設けられているので、支持する駆動枠29の安定性が悪くなる心配もない。
[E]後側プーリ52と前後駆動用モータ55とは、アーム支持部12の内部に設けられているので、スペースをより有効的に使うことができ、単頭ミシン9がコンパクトになる。
[F]前後駆動機構50は、ミシンアーム11及びアーム支持部12に設けられているので、前後駆動機構50を支持する専用の支持フレームを設ける必要がない。そのため、部品点数が抑えられ、組立性が向上している。
[G]前後駆動機構50及び一対のガイド軸60,60を単頭ミシン9の中央に配置できるため、単頭ミシン9のバランスが向上する。
【0025】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成や形状を任意に変更して実施することもでき、例えば、次の変更例1,2のようにしてもよい。
[変更例1]
一対のガイド軸60,60の中心間ピッチPを図1に示す場合よりも狭くして、一対のガイド軸60,60がミシンアーム11の左右幅の平面投影範囲内に納まるようにしてもよい。この場合には、目視可能範囲をより広く確保することができる。
[変更例2]
前後駆動機構50を、図3に示す場合よりも上方に設け、前側プーリ51をミシンアーム11の内部に配してもよい。
【符号の説明】
【0026】
11 ミシンアーム
11e ミシンアームの後端
12 アーム支持部
20 縫製枠
50 前後駆動機構
51 前側プーリ
52 後側プーリ
53 ベルト
55 前後駆動用モータ
60 ガイド軸
図1
図2
図3
図4
図5