(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
間隔拡張機構の分離操作体は上部爪と一体に構成してあり、上部爪による育苗箱群を支持した作用位置での回動に伴って下段側の育苗箱を押し下げ操作するように構成されている請求項1記載の育苗箱供給装置。
最下段の育苗箱を押し下げ操作する分離操作体は、その分離操作体の回転軸芯に交差する水平方向で最下段の育苗箱の中央位置を挟んで両側に振り分けて配設してあり、互いに相反する回転方向の動きによって最下段の育苗箱を押し下げるように構成してある請求項1又は2記載の育苗箱供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多段に積み重ねられた育苗箱群においては、上段側の育苗箱の下部が下段側の育苗箱の上部開口に入り込んだ状態で支持される。このため、前記[1]に記載の構造のものでは、寸法誤差等によっては上下の育苗箱同士が圧入気味で重ねられた状態になっていたり、入り込んで重なり合った部分に付着した粘着質の泥やゴミ等によって上下の育苗箱が貼着された状態になっていることがある。
従って、そのような状態であるときには、単に下部爪による支持を解除するだけでは最下段の育苗箱が落下せず、次の供給作動のときに、落下しなかった最下段の育苗箱とその上側の育苗箱とが2段まとめて落下するという、不適切な分離作業が行われるおそれがあった。
【0006】
上記[2]に記載の構造のものでは、上部爪に、上段側の育苗箱と下段側の育苗箱との間隔を広くする分離姿勢と、その分離姿勢を解除する分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能に構成された間隔拡張機構を備えさせたので、上記[1]に記載の構造のもののような不適切な分離作業が行われる可能性を低減することができる。
しかしながら、この構造のものでは、間隔拡張機構(上記特許文献2の阻止爪29参照)が、上段側の育苗箱を支持する上部爪によって分離姿勢側へ操作されるものであり、その上部爪は育苗箱群に対して遠近方向に作動して作用姿勢と非作用姿勢に切り換え操作されるように構成されている。このため、前記上段側の育苗箱と下段側の育苗箱との噛み込み状態が極端に強いと、間隔拡張機構による分離姿勢への操作力の反力が上部爪を育苗箱群から遠ざける方向に作用し、上部爪による上段側の育苗箱の支持が解除されて、最下段の育苗箱の分離ができないまま育苗箱群の全体が落下してしまう虞がある。
【0007】
本発明の目的は、最下段の育苗箱の分離を確実に行えるように間隔拡張機構を備えるとともに、その間隔拡張機構による分離作用の反力が上部爪を非作用側へ移動させる方向に作用することを回避して、育苗箱の分離作業を良好、かつ確実に行えるようにした育苗箱供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による育苗箱供給装置では、下記の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
請求項1に記載のように、段積み状態の育苗箱群の最下段の育苗箱を左右両側で載置支持する下部爪と、下から2段目に位置する育苗箱を左右両側で支持する上部爪とを備えるとともに、
これらの下部爪と上部爪のうちの一方が育苗箱を支持する作用姿勢のときには他方が育苗箱の支持を解除する非作用姿勢となるように連係移動させる連係駆動機構を備えて、前記上部爪が非作用姿勢であるときに作用姿勢となる前記下部爪で最下段の育苗箱を載置支持する待機状態と、作用姿勢にある前記上部爪で上段側の育苗箱を載置支持して前記下部爪による最下段の育苗箱の載置支持を解除した供給状態とを交互に繰り返すことによって最下段に位置する育苗箱を順に落下供給可能な育苗箱供給装置であって、
前記下部爪と前記上部爪とは、それぞれが前記育苗箱群の横側面に沿う水平方向の揺動軸心まわりで揺動可能に構成されているとともに、前記下部爪の揺動軸心が前記上部爪の揺動軸心よりも下方に位置するように設けてあり、
前記上部爪に、上段側の育苗箱と下段側の育苗箱との間隔を広げる分離姿勢と、その分離姿勢を解除する分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能に構成された間隔拡張機構を備え、
前記間隔拡張機構は、前記上部爪を、育苗箱群の上下移動軌跡内に侵入させた作用位置で、かつ前記育苗箱群に対する遠近方向での水平方向軸芯周りの回転で、前記下段側の育苗箱を押し下げる前記分離姿勢と、その押し下げを解除する前記分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能な分離操作体を備えて構成され、
前記連係駆動機構は、前記下部爪が前記育苗箱群から遠ざかる非作用姿勢側への揺動移動に伴って前記上部爪を前記分離姿勢に切り換えるように前記間隔拡張機構と連係さ
れ、
前記下部爪の非作用姿勢への移行にともなって前記分離操作体が分離姿勢となるように、前記下部爪の非作用姿勢側への移行動作を前記分離操作体の回転動作に機械的に変換する連係機構を備えたことを特徴とする。
【0009】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕 上記のように、上部爪に、上段側の育苗箱と下段側の育苗箱との間隔を広げる分離姿勢と、その分離姿勢を解除する分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能に構成された間隔拡張機構を備えることによって、上下の育苗箱同士が圧入気味で重ねられた状態になっていたり、入り込んで重なり合った部分が付着した泥土等で貼着された状態になっていても、間隔
拡張機構の作用で最下段の育苗箱の分離を良好に行うことができる。
【0010】
そして、間隔拡張機構は、上部爪を育苗箱群の上下移動軌跡内に侵入させた作用位置で、育苗箱群に対する遠近方向での水平方向軸芯周りの回転で分離姿勢と分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能に構成されているので、その水平方向軸芯周りの回転では、分離姿勢への姿勢変更に際しての回転操作力の反力が、上部爪を育苗箱群から遠ざける方向の操作力とはならない。
【0011】
したがって、最下段の育苗箱の分離を行うための間隔拡張機構を備えて、圧入気味で重ねられた状態や、重なり合った部分が泥土等で貼着された状態であっても、最下段の育苗箱を上段側の育苗箱から分離させて確実に落下供給し易くしたものであるとともに、その間隔拡張機構を備えたことによって、間隔拡張機構による分離作用の反力が上部爪を育苗箱群から離れる方向へ移動させてしまうような不具合を回避し得る利点がある。
また、下部爪の非作用姿勢側への移行動作を、上部爪の間隔拡張機構における分離操作体の回転動作に変換して伝える連係機構を備えたので、下部爪の非作用姿勢側への動作を利用して、上部爪の間隔拡張機構を作動させることができるので、適切な動作タイミングで、かつ、間隔拡張機構を駆動するための専用の駆動装置を必要とせず、全体として構造簡単に構成し得る利点がある。
【0012】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項2に記載のように、
間隔拡張機構の分離操作体は上部爪と一体に構成してあり、上部爪による育苗箱群を支持した作用位置での回動に伴って下段側の育苗箱を押し下げ操作するように構成されている点に特徴がある。
【0013】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、間隔拡張機構の分離操作体を上部爪と一体に構成したことにより、部材の兼用化による部品点数の削減と製作加工の簡素化を図り得る利点がある。
【0016】
〔解決手
段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求
項3に記載のように、最下段の育苗箱を押し下げ操作する分離操作体は、その分離操作体の回転軸芯に交差する水平方向で最下段の育苗箱の中央位置を挟んで両側に振り分けて配設してあり、互いに相反する回転方向の動きによって最下段の育苗箱を押し下げるように構成してある点に特徴がある。
【0017】
〔解決手
段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、最下段の育苗箱を押し下げ操作する分離操作体は、育苗箱の中央位置を挟んで両側に振り分け配置され、互いに相反する回転方向の動きによって最下段の育苗箱を押し下げるように構成されたものであるから、上下の育苗箱同士の嵌り合った部分の片側だけが先に外れて傾いた姿勢で育苗箱が落下したり、分離操作体との摩擦で育苗箱が何れか一方側へ寄せられるような不具合が発生する虞も少ない。したがって、育苗箱が水平姿勢を保ったままで落下供給され易く、育苗箱が傾いた姿勢で落下したり、落下時に位置ずれして、次行程における育苗箱の搬送姿勢が乱れるような不具合を招く虞が少ないという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔物品搬送装置の全体構成〕
物品搬送装置の一例として、物品の一例である育苗箱20を段積みした育苗箱群2Aを降下搬送する育苗箱搬送装置1を示す。
この育苗箱搬送装置1は、
図1及び
図2に示すように、建物の1階に設けられた播種プラント1Aと、2階に設けた播種プラント用の育苗箱供給部2とを備える播種センターに適用されたものであり、育苗箱搬送用のエレベータとしての役割を備えている。つまり、2階の育苗箱供給部2と1階の播種プラント1Aとの間で、搬送対象物品としての育苗箱20を上階の育苗箱供給部2から階下の播種プラント1A側に降下搬送するように構成されている。
【0020】
播種プラント1Aは、育苗箱20を搬送する播種コンベア1Bの上方に、床土供給装置(図外)、灌水装置(図外)、播種装置(図外)及び覆土装置(図外)などを設けて構成されている。
育苗箱供給部2は、搬送コンベア21を備え、この搬送コンベア21に、多段に積層(例えば30箱)した育苗箱20から成る育苗箱群2Aを、多数箇所に載置して育苗箱群2Aの列を形成し、育苗箱搬送装置1に向けて搬送するように構成してある。
【0021】
育苗箱搬送装置1は、1階の播種プラント1Aから2階の育苗箱供給部2に亘って立設された構造枠体10の内部で、エレベータ3として、育苗箱群2Aを搭載可能な昇降枠30を昇降移動させるように構成してある。
そして、この育苗箱搬送装置1では、前記エレベータ3に育苗箱群2Aを送り込む育苗箱供給部2側から、エレベータ3内部の収容空間Sを、育苗箱20の搬送方向上流側の外部空間と区画するための扉装置4が設けてある。
また、この育苗箱搬送装置1は、構造枠体10の下部側に、下降させた昇降枠30内の育苗箱群2Aを受け取って、段積み状態にある育苗箱群2Aから、最下段の育苗箱20を一箱ずつ取り出して播種コンベア1B側へ受け渡すための落下供給装置5を備えている。
【0022】
〔エレベータ〕
エレベータ3は、1階の播種プラント1Aから2階の育苗箱供給部2に亘って立設された構造枠体10の内部で、昇降作動する昇降枠30を備え、この昇降枠30をチェーン駆動機構31によって昇降作動させるように構成してある。
【0023】
チェーン駆動機機構31は、構造枠体10の上部に固定された電動モータ32と、その電動モータ32の出力スプロケット32aに係合し、かつ一端側が昇降枠30に、他端側がバランスウェイト34に連結されている駆動チェーン33、及び前記バランスウェイト34を備え、電動モータ32の正逆転駆動により、昇降枠30とバランスウェイト34とを背反的に昇降作動させるように構成してある。
前記バランスウェイト34は、昇降枠30とその収容空間S内に搭載された物品の重量との総和にバランスする程度の所定重量、この場合は30段の育苗箱20を積み込んだ昇降枠30の重量とバランスする程度の重量に設定されている。
【0024】
昇降枠30は、前記収容空間Sの前記扉装置4に面する側とは反対側箇所で、構造枠体10に設けられた上下に長いガイドレール12に対して、ガイドローラ36a,36bを介して前後左右の水平方向移動を規制された状態で昇降移動するように構成されている。
【0025】
すなわち、
図3乃至
図8に示すように、構造枠体10の上下方向で前記駆動チェーン30に吊設されたバランスウェイト34を内嵌して摺動案内する角筒状の案内枠11が設けてあり、この案内枠11に平板状部材11Aを溶接して、その平板状部材11Aの前記案内枠11から左右両側に突出する部分をガイドレール12として利用するように構成してある。
【0026】
そして、昇降枠30側には、前記ガイドレール12を左右両側から挟む位置に、上下に長い断面L字状のガイドブラケット35が溶接固定されている。このガイドブラケット35には、
図3乃至
図7に示すように、ガイドレール12を前後両側から挟み込むように、左右向きの横軸芯P1周りで回動する前後一対のガイドローラ36a,36aが、ガイドレール12の左右両側で、かつ、上下2箇所にも距離を隔てて設けてある。
また、前記ガイドブラケット35には、前記左右向きの横軸芯P1周りで回動するガイドローラ36a,36aが配設された箇所とは上下方向で異なる位置に、
図3乃至
図5、及び
図8に示すように、前後向きの横軸芯P2周りで回動するガイドローラ36b,36bが、前記ガイドレール12の左右両側辺に対向して、左右両側から挟み込む状態で上下2箇所に設けてある。
【0027】
このように、左右向きの横軸芯P1周りで回動する前後一対のガイドローラ36a,36aでガイドレール12を前後両側から挟み込むことによって昇降枠30の前後移動を規制し、前後向きの横軸芯P2周りで回動するガイドローラ36b,36bで前記ガイドレール12を左右両側から挟み込むことによって昇降枠30の左右方向の移動を規制するように構成されている。
そして、これらの各ガイドローラ36a,36bが、上下に位置を隔てて2箇所に設けてあることにより、昇降枠30の鉛直線に対する傾きをも規制しながら昇降移動させることができるものである。
【0028】
〔収容空間〕
昇降枠30内の収容空間Sは、次のように構成されている。
図3乃至
図10に示すように、収容空間Sのうち、扉装置4の存在箇所に近い入り口側では、育苗箱群2Aの左右方向幅よりもやや広めに間隔設定された横規制板30aが昇降枠30に取り付けてあり、この横規制板30aによって育苗箱群2Aの左右方向位置が、左右から挟み込まれた状態で規制されている。
【0029】
収容空間Sの内奥側では、育苗箱群2Aの左右両側と、内奥端側との両側位置を規制するように、断面L字状に形成された奥側規制板13が、昇降枠30と接触する位置を避けて構造枠体10に固定されている。つまり、この奥側規制板13は、収容空間S内に収容された育苗箱群2Aの位置規制を行うものではあるが、昇降枠30には固定されていず、昇降枠30、及びその昇降枠30内の育苗箱群2Aの相対移動を許すように構成されている。
【0030】
上記収容空間Sの入り口側である前端縁S1側は、
図5乃至
図7に示すように、昇降枠30の前端縁30bと面一、もしくはやや前方側へ突出して設けられている。これは、収容空間Sの前端縁S1に位置する育苗箱群2Aの入り口側の端縁に対して、後述する扉装置4での育苗箱群2Aの押し込み作用を有効に働かせるためと、
図3乃至
図5に示す前規制板14による育苗箱群2Aの前方側位置を規制する作用が有効に働くようにするためである。
つまり、前規制板14は、平板状の板材からなり、
図3乃至
図5に示すように、昇降枠30が2階の育苗箱供給部2に対応して位置している状態では何の機能も有していないが、昇降枠30が下降してくると、収容空間Sの前端縁S1に対向して、下降移動中の育苗箱群2Aの前方側への位置移動を規制するように作用する。
【0031】
〔載置支持装置〕
昇降枠30内における収容空間Sの下面側は次のように構成されている。
昇降枠30は、その下方側が開放されていて、下方から育苗箱群2Aを取り出し可能に構成されているものであるが、
図3乃至
図6、及び
図10乃至
図12に示すように、昇降枠30の下部で収容空間S内の育苗箱群2Aを下側から支持するように、載置支持装置37が設けられている。
この載置支持装置37は、収容空間S内に収容された育苗箱群2Aの底面側を、左右両側部で受け止め支持する係止体38と、その係止体38を、育苗箱群2Aを載置支持する載置姿勢と、載置支持を解除した退避姿勢とのそれぞれの姿勢に弾性付勢する付勢バネ39とを備えて構成されている。
【0032】
前記係止体38は、前後向きの水平方向軸芯P3周りで昇降枠30の左右両側下部に回動自在に枢支された横軸38bと一体に形成されていて、水平方向軸芯P3周りで上下揺動自在に構成されている。この水平方向軸芯P3周りの上下揺動による姿勢切り換えで、収容空間Sの育苗箱群2Aを載置支持するように載置面38aを水平にした載置姿勢と、載置面38aが収容空間Sの下部から外れて載置支持を解除された退避姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0033】
上記の係止体38の姿勢変更は、
図10乃至
図12に示すようにして行われる。
係止体38と一体の横軸38bは、その一端側にクランク状のアーム部38cを備え、他端側に付勢バネ39の一端側が連結されるバネ受け片38dを一体に装備している。
昇降枠30が最上昇位置にあって、育苗箱供給部2に対応して位置している状態では、前記アーム部38cが構造枠体10側に固定された接当ピン15に接当して、
図10、及び
図12(b)に示すように、係止体38の載置面38aは水平姿勢になり、育苗箱群2Aを載置支持可能な載置姿勢となる。
この載置姿勢で収容空間Sに育苗箱群2Aが搬入されると、
図5に示すように育苗箱群2Aが昇降枠30内の収容空間Sに収容された状態となる。
【0034】
載置姿勢から昇降枠30を下降させると、係止体38の傾斜下縁38eが、階下に位置する育苗箱20に接当するまでは、
図11(a)に示すように下降中にも載置面38aが水平な載置姿勢を維持している。
図11(b)に示すように、係止体38の傾斜下縁38eが、階下に位置する育苗箱20に接当すると、その育苗箱20に押し上げられて係止体38が水平方向軸芯P3周りで上方側へ揺動し、
図11(c)及び
図12(a)に示すように、収容空間Sの下部から外れた退避姿勢に姿勢変更される。
この退避姿勢では、横軸38bに固定のバネ受け片38dに連結された付勢バネ39の連結点39aが、
図12(a)中で、デッドポイントとなる水平方向軸芯P3の左側に位置している。したがって係止体38は、付勢バネ39の引っ張り側への弾性付勢作用により水平方向軸芯P3周りで時計回りに回動付勢され、昇降枠30の一部に接当して退避姿勢に維持される。これによって、昇降枠30の上昇の際に、その退避姿勢を維持した状態で係止体38が、降下させた育苗箱群2Aに引っ掛かることなく上昇作動する。
【0035】
そして、昇降枠30が上限位置まで上昇して、上階の育苗箱供給部2に対応して位置する状態になると、
図12(b)に示すように、係止体38の横軸38bのアーム部38cが構造枠体10に固定されている接当ピン15に接当して水平方向軸芯P3周りで反時計回りに押し戻し、係止体38を載置面38aが水平となる載置姿勢となるように姿勢変更する。
この状態では、
図12(b)に示すように、横軸38bに固定のバネ受け片38dに連結された付勢バネ39の連結点39aが、デッドポイントとなる水平方向軸芯P3の右側に移行する。この状態では、付勢バネ39の付勢力は係止体38を反時計回りに回動させるように付勢する方向に作用し、係止体38の載置面38a側の一部が昇降枠30の下部接当部30cに接当して姿勢規制される。
【0036】
この育苗箱搬送装置1では、
図3〜
図5、及び
図9に示すように、構造枠体10側にストッパーピン16を取り付け、昇降枠30側に係止孔30d設けて、昇降枠30が上限位置まで上昇して、上階の育苗箱供給部2に対応して位置する状態になると、前記ストッパーピン16を係止孔30dに対して係脱操作するための伸縮駆動装置17を備えている。
このストッパーピン16と係止孔30dとの係入は、誤操作による昇降枠30の昇降作動を抑止する状態と、その抑止操作を解除するためのものであり、伸縮駆動装置17としては、油圧シリンダや空気圧シリンダ、あるいは電磁ソレノイドで移動させるものなど、適宜構造のものを採用すればよい。
【0037】
〔扉装置〕
上記のエレベータ3内部の収容空間Sの入り口側に相当する構造枠体10には、前記収容空間Sを育苗箱群2Aの搬送方向での上流側の外部空間と区画するための扉装置4を設けてある。
この扉装置4は、
図3乃至
図10、及び
図13に示すように、上下軸芯y周りで回動可能な左右一対の開閉扉40と、その開閉扉40を前記上下軸芯y周りで開閉操作する開閉駆動装置41とで構成されている。
【0038】
開閉駆動装置41は、構造枠体10の天井部近くに筒部42aを固定され、ロッド部42bを収容空間Sの入り口側に向けて伸縮自在に延出した油圧シリンダ42と、その油圧シリンダ42の前記ロッド部42bの前端部に固定されたアーム部材43と、そのアーム部材43の左右各端部と左右の各開閉扉40の内面側とのそれぞれを連結したリンク部材44とで構成されている。
前記油圧シリンダ42の作動は、人為的に操作可能な操作スイッチ(図外)の操作によって伸縮作動させるように構成してある。
【0039】
開閉扉40は、収容空間Sの入り口側において、収容空間Sの左右端部近くにおける構造枠体10に対して、左右両側の上下方向軸芯y周りで、左右の開閉扉40がそれぞれ揺動自在に枢着されて観音開き式に構成されている。
この左右の開閉扉40のそれぞれの内面側(収容空間S側)には、収容空間Sに収容される物品であるところの段積みの育苗箱群2Aを押し込むための押圧部45を設けてある。
【0040】
この押圧部45は、
図5、
図6、及び
図10に示すように、上下方向では収容空間Sのほぼ全域に亘る上下長さを有し、平面視では、上下軸芯yが存在する側よりも上下軸芯yから離れた反対側の端部側に寄せて扉内面側に膨出形成されている。
また、
図4及び
図6に示すように、押圧部45の一部には、育苗箱供給部2における搬送コンベア21が育苗箱群2Aを収容空間S側へ搬送する際に、その搬送コンベア21側の側部ガイド23が横移動を規制するように案内する範囲から収容空間S側寄りに外れた領域で、育苗箱群2Aの搬送方向に直交する左右方向での移動を規制するガイド面45aを形成してある。
【0041】
前記押圧部45は、
図5、
図6、及び
図10に示すように、搬送コンベア21の押し込みローラ22による押し出し作用が及ばなくなって、育苗箱群2Aに対する搬送力が消失する位置aから、収容空間Sの入り口側端位置bに至る範囲L1で、育苗箱群2Aに対して収容空間S側への押し込み作用力を付与するように構成されている。
つまり、開閉扉40は、
図6に示す育苗箱群2Aの横ズレを規制する状態から、
図7に示す閉塞姿勢にまで作動するように、前記開閉駆動装置41による作動範囲を定めてあるが、前記押圧部45が存在しなけば、
図10に示すように、育苗箱群2Aに対する搬送力が消失する位置aから、開閉扉40が閉塞する位置cまでの範囲L2でしか、開閉扉40による閉じ方向の動きを育苗箱群2Aの搬送のために用いることができない。
これに比べて、本発明のものでは、
図10に示す押圧部45の膨出量L3を開閉扉40に備えさせたので、育苗箱群2Aに対して、前記搬送コンベア21による搬送力が消失する位置aから、収容空間Sの入り口側端位置bに至る全範囲L1で、開閉扉40による閉じ方向の動きを、収容空間S側への押し込み作用力として付与することが可能となる。
【0042】
前記育苗箱供給部2における搬送コンベア21から収容空間Sに育苗箱群2Aを受け渡す箇所での、育苗箱群2Aの姿勢と関連装置との動作について説明する。
図10及び
図14(a)に示すように、構造枠体10の最前部に位置する前端側枠部材10aを挟んで、その前方側に搬送コンベア21の終端に位置する終端ローラ24が備えられ、前端側枠部材10aの後方側に収容空間Sの入り口側に位置する導入案内ローラ18が設けられている。
ここで、各箇所の相対的な高さ関係を
図14に示すと、前記導入案内ローラ18の高さh1が最も高く、次いで搬送コンベア21の搬送面の高さh2が高く、その次に前記終端ローラ24の高さh3が高く、載置支持装置37の係止体38の載置面38aの高さh4が最も低くなるように位置設定されている。尚、構造枠体10の前端側枠部材10aの上面は、前記導入案内ローラ18と終端ローラ24との間に位置して、その何れよりも低いので、育苗箱群2Aの底面と接する可能性はほとんど無い。
【0043】
図14(a)に示す状態から、搬送コンベア21が育苗箱群2Aを収容空間S側(図中右側)へ搬送していくと、
図14(b)に示すように、搬送コンベア21による搬送力が消失する直前には、育苗箱群2Aの底面が前記導入案内ローラ18と終端ローラ24とに乗り上げた状態となる。
この状態では、育苗箱群2Aの底面は搬送方向の前方側が高い導入案内ローラ18に乗り上げ、後方側が低い終端ローラ24上に位置し、育苗箱群2Aの重心が導入案内ローラ18の軸芯を通る鉛直線y1を越えていないので、前方側が高く後方側が低い後傾姿勢の状態で押し込みローラ22による搬送作用を受ける状態となっている。
その後、搬送コンベア21の押し込みローラ22による押し込み作用が消失した時点では、
図14(c)に示すように、育苗箱群2Aの底面は搬送方向の前方側が低い係止体38の載置面38aに乗り、後方側が高い導入案内ローラ18上に位置して、前方側が低く後方側が高い前傾姿勢となって、育苗箱群2Aの重心が導入案内ローラ18の軸芯を通る鉛直線y1を越えている。
【0044】
つまり、搬送コンベア21の押し込みローラ22による押し込み作用が及ぶ範囲の最終段階では、育苗箱群2Aの重心が導入案内ローラ18の前側にある状態から後側にある状態に移行する過程で押し込み作用力が働いている。
したがって、押し込み作用を受ける育苗箱群2Aの底面が、摩擦抵抗の大きい係止体38の載置面38aに接触している状態で押し込み作用力が消失すると、その押し込み作用力が消失した時点の位置で育苗箱群2Aの移動は停止するが、育苗箱群2Aの底面が、摩擦抵抗の大きい係止体38の載置面38aに接触する前であれば、押し込み作用力が消失しても、育苗箱群2Aの移動慣性が働く距離だけ、押し込み作用が及ぶ範囲よりも遠くまで移動させることができる。
このように、搬送コンベア21の押し込み作用力が及ぶ範囲をできるだけ収容空間Sに近付けながらも、なお押し込み作用力が及ばない箇所で、育苗箱群2A自体の移動慣性を有効利用して、より収容空間Sに近付けるように工夫してある。
【0045】
このあと、扉装置4の開閉駆動装置41が作動して開閉扉40が閉じ側へ操作されると、
図14(d)に示すように、押圧部45に押された育苗箱群2Aの全体が導入案内ローラ18を越えて収容空間Sへ押し込まれ、係止体38の載置面38a上に位置する状態となる。
【0046】
〔落下供給装置〕
育苗箱搬送装置1は、下降させた昇降枠30内の段積み状態にある育苗箱群2Aを受け取ったのち、段積み状態にある育苗箱群2Aから最下段の育苗箱20を一箱ずつ取り出すための落下供給装置5を備えている。
この落下供給装置5は、
図15乃至
図20に示すように、構造枠体10の下部側で下部取り付け枠19に装備され、段積み状態の育苗箱群2Aの最下段の育苗箱20を左右両側で載置支持する下部爪50と、下から2段目に位置する育苗箱20を左右両側で支持する上部爪51とを備えるとともに、これらの下部爪50と上部爪51とを連係移動させる連係駆動機構6と、上段側の育苗箱20と下段側の育苗箱20との間隔を広げる分離姿勢、及び分離姿勢を解除する分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能に構成された間隔拡張機構7を備えて構成されている。
【0047】
下部爪50は、
図15乃至
図18A、
図18Bに示すように、下部取り付け枠19に対して、前後向きの下部軸52を介して枢着してあり、下部軸52の軸芯である下部軸芯x1
(下部爪の揺動軸心に相当する)周りで揺動自在に構成されている。
この下部爪50は、
図15乃至
図18Aに示すように、最下段の育苗箱20の底面を載置させて支持する板状係止部50aと、その板状係止部50aの両端側を下部軸52に連結する腕杆部50bと、前記板状係止部50aの後方側で、後述する間隔拡張機構7を操作するように後方側へ延出された操作片50cとを備えている。
【0048】
上記の下部爪50は、
図17及び
図18A、
図18Bに示すように、育苗箱群2Aを収容する収容空間Sの左右両側にそれぞれ位置させた一対のもので構成してあり、右側の下部爪50を取り付けた右側の下部軸52と、左側の下部爪50を取り付けた左側の下部軸52とのそれぞれには、下部連動リンク54a,54bが一体に取り付けてある。
図17及び
図18A、
図18Bに示すように、各下部連動リンク54a,54bは上面側が開放された断面U字状に形成されていて、右側の下部軸52に取り付けられた下部連動リンク54aには、連結用の長孔54cが、左側の下部軸52に取り付けられた下部連動リンク54bには、連結用のピン54dが装備されていて、ピン54dと長孔54cとによる融通のある連結構造によって、左右の下部爪50の揺動を許すように構成されている。
また、前記ピン54dの外周には第1ローラ54eが設けられていて、この第1ローラ54eが後述する連係駆動機構6の大径カム61と接触するカムフォロワーとしての役割を果たすように構成してある。
【0049】
上部爪51は、
図15乃至
図18A、
図18Bに示すように、下部取り付け枠19に対して、前後向きの上部軸53を介して枢着してあり、上部軸53の軸芯である上部軸芯x2
(上部爪の揺動軸心に相当する)周りで揺動自在に構成されている。
この上部爪51には、
図15乃至
図18A、
図18Bに示すように、下から2段目に位置する育苗箱20を左右両側で支持する板状係止部51aと、その板状係止部51aを上部軸53に連結する連結体51bと、後述する間隔拡張機構7とを備えている。
【0050】
上記の上部爪51は、
図17及び
図18A、
図18Bに示すように、育苗箱群2Aを収容する収容空間Sの左右両側にそれぞれ位置させた一対のもので構成してあり、右側の上部爪51を取り付けた右側の上部軸53と、左側の上部爪51を取り付けた左側の上部軸53とのそれぞれには、上部連動リンク55a,55bが一体に取り付けてある。
図17及び
図18A、
図18Bに示すように、各上部連動リンク55a,55bは上面側が開放された断面U字状に形成されていて、右側の上部軸53に取り付けられた上部連動リンク55aには、連結用の長孔55cが、左側の上部軸53に取り付けられた上部連動リンク55bには、連結用のピン55dが装備されていて、ピン55dと長孔55cとによる融通のある連結構造によって、左右の上部爪51の揺動を許すように構成されている。
また、前記ピン55dの外周には第2ローラ55eが設けられていて、この第2ローラ55eが後述する連係駆動機構6の小径カム62と接触するカムフォロワーとしての役割を果たすように構成してある。
【0051】
下部爪50と上部爪51とを連係作動させる連係駆動機構6は次のように構成されている。
図15乃至
図18A、
図18Bに示すように、連係駆動機構6は、下部取り付け枠19に装備させた電動モータ60を動力源として備え、その電動モータ60からの出力軸60aに一体に装備させた大径カム61及び小径カム62とを備えている。
これらの大径カム61と小径カム62とのそれぞれに対応するカムフォロワーとして、前記下部連動リンク54a,54b側の第1ローラ54eと、上部連動リンク55a,55b側の第2ローラ55eを備え、さらに、前記下部連動リンク54a,54b側の第1ローラ54eを大径カム61側へ押し付け付勢するように、下部連動リンク54a,54bを上昇側へ引き上げ付勢する引っ張りバネ63と、前記上部連動リンク55a,55b側の第2ローラ55eを大径カム61側へ押し付け付勢するように、上部連動リンク55a,55bを上昇側へ引き上げ付勢する引っ張りバネ64とを備えている。
【0052】
前記出力軸60aに設けられる大径カム61及び小径カム62は、出力軸60aの軸芯x3を挟んで相反する方向に、それぞれのカムの長径方向を向けるように装着してあり、一方のカム(大径カム61又は小径カム62)の長径部が下向きであるときに、他方のカム(小径カム62又は大径カム61)は上向きであるように、180度位相をずらして取り付けてある。
したがって、
図18Aに示すように、小径カム62の長径部が下向きとなり、大径カム61の長径部が上向きとなる状態では、上部連動リンク55a,55b側の第2ローラ55eが下方に押し下げられて、上部爪51が非作用姿勢に位置し、下部連動リンク54a,54b側の第1ローラ54eは、大径カム61の短径部に接当するように引っ張りバネ63で引き上げられて、下部爪50が作用姿勢となる。この状態が、上部爪51が非作用姿勢で、下部爪50で最下段の育苗箱20を載置支持する待機状態である。
【0053】
図18Bに示すように、大径カム61の長径部が下向きとなり、小径カム62の長径部が上向きとなる状態では、下部連動リンク54a,54b側の第1ローラ54eが下方に押し下げられて、下部爪50が非作用姿勢に位置し、上部連動リンク55a,55b側の第2ローラ55eは、小径カム62の短径部に接当するように引っ張りバネ64で引き上げられて、上部爪51が作用姿勢となる。この状態が、上部爪51で上段側の育苗箱20を載置支持して前記下部爪50による最下段の育苗箱20の載置支持を解除した供給状態である。
【0054】
〔間隔拡張機構〕
このように構成された落下供給装置5には、上段側の育苗箱20と下段側の育苗箱20との間隔を広げる分離姿勢と、その分離姿勢を解除する分離解除姿勢とに姿勢切り換え可能に構成された間隔拡張機構7が備えられている。
この間隔拡張機構7は、
図15乃至
図20に示すように、上部爪51に一体的に組み込まれた状態で設けてある。
【0055】
すなわち、
図19及び
図20に示すように、上部爪51の板状係止部51aの下側に、平板状の分離操作体70が重なる状態で位置させ、この分離操作体70と一体の操作軸71を、前記上部爪51の上部軸53との連結体51bの両側に設けたボス部51cに挿嵌して支持させている。
前記操作軸71の前記分離操作体70とは反対側に露出する部位には、ベルクランク72の中間箇所を固着してあり、両側の操作軸71のそれぞれに装着されたベルクランク72の互いに近い側の端部に、その端部同士を互いに近接する方向へ引き寄せる引っ張りバネ74を連結してある。
前記ベルクランク72の他端側には、前記操作軸71の軸芯z1と平行な軸芯z2周りで回動自在な受圧ローラ73を装着してあり、下部爪50の操作片50cの押し上げ操作に伴って操作軸71を回転させるように構成してある。
上記の操作軸71に装着されたベルクランク72、受圧ローラ73、及び下部爪50の操作片50cによって、下部爪50の非作用姿勢側への移行動作を上部爪51の間隔拡張機構7における分離操作体70の、前記操作軸71の軸芯z1回りでの回転動作に変換して伝える連係機構が構成されている。
【0056】
このように構成された間隔拡張機構7は、
図18A、
図18B乃至
図20に示すように作動する。
すなわち、
図18Aに示すように、小径カム62の長径部が下向きとなり、大径カム61の長径部が上向きとなって、上部爪51が非作用姿勢に位置し、下部爪50が作用姿勢に位置している状態では、
図19(a)、及び
図20(a)に示すように、下部爪50によって育苗箱群2Aの底面側が支持され、上部爪51には育苗箱群2Aの荷重が作用していない。
この状態では、間隔拡張機構7は、
図20(a)に示すように、両側のベルクランク72の互いに近い側の端部が引っ張りバネ74で引き寄せられ、操作軸71のうち、右側の操作軸71は時計回りに回転する方向へ付勢され、左側の操作軸71は反時計回りに回転する方向へ付勢される。
これに伴い、右側の分離操作体70は時計回りに回転する方向へ付勢されて板状係止部51aの下面側に押し付けられた姿勢で位置固定され、左側の分離操作体70は反時計回りに回転する方向へ付勢されて板状係止部51aの下面側に押し付けられた姿勢で位置固定される。
【0057】
そして、
図18Bに示すように、小径カム62の長径部が上向きとなり、大径カム61の長径部が下向きとなって、上部爪51が作用姿勢に位置し、下部爪50が非作用姿勢に位置している状態では、
図19(b)、及び
図20(b)に示すように、上部爪51によって下から2段目に位置する育苗箱20がそれよりも上方側の育苗箱群2Aとともに支持され、下部爪50には育苗箱群2Aの荷重が作用していない。
この状態では、間隔拡張機構7は、
図19(b)及び
図20(b)に示すように、受圧ローラ73が、非作用姿勢側へ駆動された下部爪50の操作片50cと接当して押し上げられるため、引っ張りバネ74の付勢力に抗して右側の操作軸71が反時計回りに回転し、左側の操作軸71は時計回りに回転する。
これに伴い、右側の分離操作体70は反時計回りに回転し、左側の分離操作体70は時計回りに回転して、最下段の育苗箱20を、板状係止部51aで支持されている下から2段目に位置する育苗箱20から離れる下方側へ押し下げて、前記下から2段目に位置する育苗箱20との距離を強制的に広げるように作用する。
【0058】
このとき、左右の分離操作体70は、その間隔拡張の際の動作が、例えば、育苗箱群2Aに対して遠近方向で移動するように、向かい合う育苗箱群2Aの一つの面に沿う方向の水平軸芯周りで回動操作されるのではなく、向かい合う育苗箱群2Aの一つの面に直交する方向の水平軸芯を有した操作軸71の軸芯z1周りで回動するように構成されている。
したがって、分離操作体70の間隔拡張の際の動作は、育苗箱群2Aに対して遠近する方向には変化せず、その動作中における分離操作体70の育苗箱20との係合深さd(
図19b参照)は、一定のままである。
これによって、分離操作体70による間隔拡張操作中における育苗箱20と分離操作体70との係合代を所定量に確保したままの状態で動作させることができ、この係合代が分離操作体70の動作中に漸次変化して所期の間隔拡張操作を的確に行えないというような不具合を生じる虞がない。
【0059】
上部爪51に装備する分離操作体70として、例えば、向かい合う育苗箱群2Aの一つの面に沿う方向の水平軸芯周りで回動操作されるような構造のものを採用した場合には次のような問題がある。
つまり、育苗箱群2Aの向かい合う一つの面に沿う方向の水平軸芯周りで回動操作される分離操作体70が、育苗箱20との短い係合深さdの範囲内で所要の上下方向の揺動ストロークを得るには、その分離操作体70として、揺動支点からの距離が長いものを採用する必要がある。
したがって、揺動支点からの距離が長い分離操作体70を用いて最下段の育苗箱20の分離操作を行うには、分離操作体70自体が大型化したり、分離操作体70に対して大きな操作力を与えたり、分離操作体70が変形しないような丈夫な構造とする必要がある。
これに比べて、分離操作体70を、前述のように、向かい合う育苗箱群2Aの一つの面に直交する方向の水平軸芯を有した操作軸71の軸芯z1周りで回動するようにして、育苗箱20との係合深さdが変化しないように構成した本発明のものでは、分離操作体70自体の大型化や高強度化を避けられる点でも有利である。
【0060】
〔別実施形態の1〕
図21及び
図22に示すように、落下供給装置5の上部爪51を構成するにあたり、下から2段目に位置する育苗箱20を支持するための固定の板状係止部51aを用いずに、間隔拡張機構7の分離操作体70だけを用いて、上部爪51と兼用するように構成してもよい。
この場合、分離操作体70の上縁側部分が下から2段目に位置する育苗箱20を支持した状態で操作軸71の軸芯z1周りで回動することにより、最下段の育苗箱20を分離操作体70の下縁側部分で押し下げて、前記下から2段目に位置する育苗箱20との距離を強制的に広げるように作用することになる。
【0061】
〔別実施形態の2〕
間隔拡張機構7の分離操作体70の操作方向は、実施の形態で示したように、右側の分離操作体70を遊端側が反時計回りに回転する方向に操作し、左側の分離操作体70を遊端側が時計回りに回転する方向に操作する構造のものに限らず、これとは逆方向に操作するようにしてもよい。つまり、右側の分離操作体70を遊端側が時計回りに回転する方向に操作し、左側の分離操作体70を遊端側が反時計回りに回転する方向に操作する構造であるように構成してもよい。
また、このように、左右の分離操作体70を互いに逆方向に操作するのではなく、左右を同方向に回転させるように構成してもよい。