(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693103
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】液圧式のねじ山付ボルト緊締装置及び該液圧式のねじ山付ボルト緊締装置を用いて大型ねじを締め付けるための方法
(51)【国際特許分類】
B25B 29/02 20060101AFI20150312BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
B25B29/02
B25B23/14 610T
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-194511(P2010-194511)
(22)【出願日】2010年8月31日
(65)【公開番号】特開2011-51090(P2011-51090A)
(43)【公開日】2011年3月17日
【審査請求日】2013年5月2日
(31)【優先権主張番号】10 2009 043 907.2
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507335023
【氏名又は名称】フランク ホーマン
【氏名又は名称原語表記】Frank Hohmann
(73)【特許権者】
【識別番号】507335012
【氏名又は名称】ヨルク ホーマン
【氏名又は名称原語表記】Joerg Hohmann
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】フランク ホーマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨルク ホーマン
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−534307(JP,A)
【文献】
特開昭49−087000(JP,A)
【文献】
特開昭56−089485(JP,A)
【文献】
特開平07−256566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/00−23/18
B25B 25/00−33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高負荷されるねじを締め付け且つ取り外すための液圧式のねじ山付ボルト緊締装置(1)であって、ねじ山付ボルトとナットとを用いて緊締しようとする機械部分に支持されたシリンダ(24)と、ねじ山付ボルトのねじ山端部に螺合可能な交換ブシュ(18)と、前記シリンダ(24)内でシールされて案内され、ナットを越えて突出したねじ山付ボルトのねじ山端部に螺合された交換ブシュ(18)の延長部を支持する、前記シリンダ(24)と一緒に環状室を形成する圧力負荷可能な緊締ピストン(23)と、圧力媒体供給部(2)と、目標予荷重に対応する目標圧力を調節するための調節装置(5,6)と、ねじ山付ボルト緊締装置(1)の放圧のための装置(13)と、圧力センサ(14)とを備えている形式のものにおいて、
ねじ山付ボルトの伸長に基づくねじ山付ボルト緊締中に降伏点に到達したことを検知するための装置(10)と、緊締しようとするねじ山付ボルトの降伏点の到達時又は到達直後にねじ山付ボルト緊締装置(1)を放圧するための制御装置(7,11)とが設けられていることを特徴とする、液圧式のねじ山付ボルト緊締装置。
【請求項2】
降伏点に到達したことを検知するための前記装置(10)が、ねじ山付ボルト緊締装置(1)の圧力負荷中の圧力勾配を求めるための微分装置(10)であり、前記圧力勾配が目標圧力到達前に、予め規定された値を下回って低下すると、前記制御装置(7,11)がねじ山付ボルト緊締装置(1)の放圧を生ぜしめる、請求項1記載の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置。
【請求項3】
断続的に作用する圧力負荷において、前記微分装置(10)が、圧力勾配を圧力上昇段階中にのみ求め且つ圧力勾配が目標圧力到達前の圧力上昇段階中に、予め規定された値を下回って低下した場合にのみ放圧を生ぜしめる、請求項2記載の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置。
【請求項4】
圧力勾配が目標圧力到達前にゼロになると、前記微分装置(10)が放圧を生ぜしめる、請求項2又は3記載の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置。
【請求項5】
圧力勾配が目標圧力到達前に突然負になると、前記微分装置(10)が放圧を生ぜしめる、請求項2又は3記載の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置。
【請求項6】
ねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷を、伸長により緊締しようとするねじ山付ボルトの降伏点到達時又は到達直後に放圧により終了させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷を制御するための方法。
【請求項7】
ねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷中の圧力勾配を微分装置によって求め、前記圧力勾配が目標圧力到達前に、予め規定された値を下回って低下した場合は、ねじ山付ボルト緊締装置の迅速な放圧を発動するための信号を発生させる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
圧力勾配を、断続的な圧力負荷の最中の、圧力上昇段階中にのみ求め、前記圧力勾配が、目標圧力到達前の圧力上昇段階中に、予め規定された値を下回って低下した場合にのみ、迅速な放圧を発動するための信号を発生させる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
目標圧力到達前の圧力勾配がゼロである場合に迅速な放圧を生ぜしめる、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
圧力勾配が目標圧力到達前に突然負になると迅速な放圧を生ぜしめる、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
迅速な放圧の発動に際してエラーメッセージを出す、請求項6から10までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高負荷されるねじを締め付け且つ取り外すための液圧式のねじ山付ボルト緊締装置であって、ねじ山付ボルトとナットとを用いて緊締しようとする機械部分に支持されたシリンダと、ねじ山付ボルトのねじ山端部にねじ嵌め可能な交換ブシュと、前記シリンダ内でシールされて案内され、ナットの上位に突出したねじ山付ボルトのねじ山端部にねじ嵌められる交換ブシュの延長部を支持する、前記シリンダと一緒に環状室を形成する圧力負荷可能な緊締ピストンと、圧力媒体供給部と、目標予荷重力に対応する目標圧力を調節するための調節装置と、ねじ山付ボルト緊締装置の放圧のための装置と、圧力センサとを備えている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような形式の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置は、同一出願人のドイツ連邦共和国特許出願公開第102005015922号明細書に記載されている。
【0003】
ねじ山付ボルト緊締装置は、ねじ山付ボルトにねじ嵌められるナットを締め付ける又は取り外すことができるようにするために、予め正確に規定された予荷重力をねじ山付ボルトに付与するという課題を有している。このためには、ねじ山付ボルト緊締装置の交換ブシュが、ナットの上位の突出したねじ山にねじ嵌められた後で、ねじ山付ボルト緊締装置に液圧が供給される。その結果、ねじ山付ボルトは伸長に基づき緊締される。この場合にねじ山付ボルトに付与される力は著しく大きいので、ねじ山付ボルト、ねじ山付ボルト緊締装置及び該装置の個別部材は非常に激しく負荷される。これらの部材により吸収可能な交番荷重の超過に基づき疲れ破損の生じる恐れがあるので、高負荷される前記個別部材がねじ山付ボルトの緊締時に破断することを防止するためには、前記のような疲れ破損が生じる前に、この疲れ破損により危険に晒される部材を交換することが目標とされる。これは例えばシール等の、その他の摩耗部材の早期交換についても云える。このことは、ねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷に基づき作動毎に切り替えられる「交番荷重カウンタ」によって達成される。この場合、空行程のカウントは、交番荷重カウンタが予め規定可能な所定の圧力の上位でしか切り替わらないことにより防止される。このような交番荷重カウンタは、同一出願人のドイツ連邦共和国特許出願公開第4324888号明細書に記載されている。
【0004】
同一出願人のドイツ連邦共和国特許出願公開第4341707号明細書に記載された別の安全手段は、前記の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置において特に高負荷される交換ブシュが、所定数のねじり延伸後に、即ちねじのねじ山端部域の交番荷重後に、個々のケースにおいて、計算上は達成可能な交番荷重の達成前に破断する場合に有効となる。
【0005】
このような場合は全系が急激に荷重緩和されるので、交換ブシュの破断部分がピストン及びシリンダと共に著しいエネルギによって投げ出されて、隣接する機械部分の重大な損傷並びに作業員の怪我を惹起する恐れがある。このことを防止するために、同一出願人の前掲のドイツ連邦共和国特許出願公開第4341707号明細書では、ねじ山付ボルト緊締装置の前記構成部材、即ち交換ブシュ、ピストン及びシリンダ部分のための捕集装置が設けられている。
【0006】
前掲のドイツ連邦共和国特許出願公開第4324888号明細書から公知の交番荷重カウンタと、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4341707号明細書から公知の捕集装置を備えた液圧式のねじ山付ボルト緊締装置とは両方共有利であることが判っているが、但し、これらの装置は緊締しようとするねじ山付ボルトを破断からは保護しない。この破断は特に、ねじ山付ボルトが過剰延伸、損傷したねじ山、又は材料欠陥により以前から損傷を有している場合に生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005015922号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4324888号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4341707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ねじ山付ボルトの破断を防止することのできる、高負荷されるねじを締め付け且つ取り外すための液圧式のねじ山付ボルト緊締装置及び該液圧式のねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷を制御するための方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために本発明では、
ねじ山付ボルトの伸長に基づくねじ山付ボルト緊締中に降伏点に到達したことを検知するための装置と、緊締しようとするねじ山付ボルトの降伏点到達時又は到達直後にねじ山付ボルト緊締装置を放圧するための制御装置とが設けられているようにした。特に本発明では、圧力負荷中の圧力勾配を
求めるために圧力センサから送られる信号用の微分装置及び圧力勾配が目標圧力の到達前に予め規定された値未満に低下すると、ねじ山付ボルト緊締装置の放圧を生ぜしめる制御装置が設けられているようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ねじ山付ボルトの弾性限界点の下位で圧力負荷する間は、圧力が直線的に上昇するという思想から出発する。弾性限界点に到達すると、圧力‐時間曲線の傾斜は緩やかになり、最大値に到達した後に破断荷重まで降下する。降伏点無しのねじ材料の場合、前記曲線の推移は連続的であり、降伏点を有するねじ材料の場合、前記曲線は上降伏点から下降伏点まで降下し、次いで改めて最大値まで上昇した後に、当該曲線は再び破断荷重に向かって降下する。即ち、この曲線の微分により得られる圧力勾配は、弾性限界点に到達するまでは一定であり、次いで降伏点無しのねじ材料の場合は連続的に低下し、降伏点を有するねじ材料の場合は飛躍的に低下する。
【0011】
ねじ山付ボルトの例えばねじ山における以前からの損傷により、又は材料欠陥に基づき、又は機械的に許容される特性量を上回る過剰負荷によっても、ねじ山付ボルトの過大な伸長を生ぜしめ、この伸長は、ねじ山付ボルト緊締装置の放圧が行われないと、破断を生ぜしめる。ねじ山付ボルトの破断は、本発明では高い安全性を以て防止され得るので、ねじ山付ボルト緊締装置が投げ出される恐れもなく、隣接する機械部分の損傷並びに作業員の怪我が防止される。つまり、前掲のドイツ連邦共和国特許出願公開第4341707号明細書に記載された捕集装置は、交換ブシュが破断した場合にしかキャッチせず、ねじ山付ボルトが折れた場合はキャッチしない。
【0012】
圧力負荷は、電気的又は空圧式で駆動される液圧ユニットにより、又は手動ポンプにより行うことができる。
【0013】
空圧式で駆動される液圧ユニット又は手動ポンプは断続的に作動するので、この場合、微分装置は、圧力勾配が圧力上昇段階中にしか決定されず、且つ圧力勾配が目標圧力に到達する前の圧力上昇段階中に、予め規定された値を下回って低下した場合にしか、放圧が生ぜしめられないように調整されている。
【0014】
微分装置は、圧力勾配が目標圧力到達前に、弾性範囲の圧力勾配付近に位置する予め規定された値を下回って低下した場合、又は圧力勾配が目標圧力到達前に突然負になる場合(これは降伏点を有するねじ材料に当てはまる)に、当該微分装置が放圧を生ぜしめるように調整されていてよい。この場合、放圧は極めて迅速に弾性限界点超過後に行われる。
【0015】
ねじ山付ボルトの破断は、圧力勾配が目標圧力到達前にゼロになる場合に放圧を生ぜしめるように、即ち放圧が、圧力‐時間曲線の最大値に到達した場合に行われるように微分装置が調整されている場合にも、防止することができる。
【0016】
冒頭で述べた課題は、ねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷を、
伸長により緊締しようとするねじ山付ボルトの降伏点到達時又は到達直後に放圧により終了させることを特徴とする、前記形式の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷を制御するための方法によっても解決される。特に、ねじ山付ボルト緊締装置の圧力負荷中の圧力勾配を微分装置によって求め、前記圧力勾配が目標圧力到達前に、予め規定された値を下回って低下した場合は、ねじ山付ボルト緊締装置の迅速な放圧を発動するための信号を発生させる方法により解決される。この場合、圧力勾配を、断続的な圧力負荷の最中の、圧力上昇段階中にのみ
求め、前記圧力勾配が、目標圧力到達前の圧力上昇段階中に、予め規定された値を下回って低下した場合にのみ、迅速な放圧を発動するための信号を発生させるか、又は、目標圧力到達前の圧力勾配がゼロである場合に迅速な放圧を生ぜしめるか、又は、圧力勾配が目標圧力到達前に突然負になると迅速な放圧を生ぜしめる。
【0017】
有利には、迅速な放圧の発動に際してエラーメッセージが出されるので、作業員は直ちに損傷したねじ山付ボルトに気づかされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】液圧式のねじ山付ボルト緊締装置を制御装置及び液圧源と共に概略的に示した図である。
【
図2】降伏点無しのねじ材料の圧力‐時間曲線を示した図である。
【
図3】降伏点を有するねじ材料の圧力‐時間曲線を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0020】
全体的に符号1を付された図示の液圧式のねじ山付ボルト緊締装置は、同一出願人の前掲のドイツ連邦共和国特許出願公開第4341707号明細書にほぼ対応している。
【0021】
例えば機械ケーシングのフランジであってよい機械部分(図示せず)は、ねじ山付ボルト(図示せず)と、このねじ山付ボルトにねじ嵌められるナット(図示せず)とによって緊締されることが望ましい。
【0022】
ねじ山付ボルトに正確に制御可能な予荷重を付与し且つ該ねじ山付ボルトが、このねじ山付ボルトを付加的に負荷するねじりモーメントの影響を受けないようにするためには、ナットがまず最初に手動でのみ、前記機械部分に接触してねじ山付ボルトにねじ嵌められる。ねじ山付ボルトの長さは、ねじ山の自由端部がナットを越えて突出するように設定されている。
【0023】
ねじ山付ボルトを緊締するためには、ねじ山付ボルト緊締装置1をねじ山付ボルトにねじ嵌められたナットの上位にセットする。この場合、六角穴17を備えた回転スリーブ16が、ナットに形状接続式に被さる。ねじ山付ボルト緊締装置1のシリンダ24内の緊締ピストン23に結合された交換ブシュ18が、ねじ山付ボルトの突出したねじ山端部に螺合され、これにより、ねじ山付ボルト緊締装置1は使用準備状態となる。図示の実施例では電気的な駆動モータ20によって、或いは空圧式又は手動で駆動されていてよい液圧ポンプ12は、電気的な方向切換弁13と、圧力媒体供給部2と、逆止弁22と、圧力媒体接続部3とを介してねじ山付ボルト緊締装置1に接続されており且つ圧力媒体供給部2への圧力供給か、又は捕集容器15に対する放圧に切換えることを可能にする。方向制御弁13は、必要な場合は極めて迅速に捕集容器15に対する放圧に切り換えることを可能にする。
【0024】
回転スリーブ16には外側歯列が設けられており、この外側歯列には、伝動装置19の歯車が係合している。伝動装置19には回転駆動装置4が結合されており、この回転駆動装置4は伝動装置19の四角穴に係合している。
【0025】
制御装置5は、回転駆動装置4と、電気的な方向切換弁13と、圧力センサ14と、調節可能な圧力制御弁21とに接続されている。
【0026】
圧力センサ14は、液圧ポンプ12により圧力媒体供給部2へ案内される圧力を測定する。
【0027】
制御装置5は、ねじ山付ボルトの目標予荷重用又は液圧ポンプ12と、ねじ山付ボルト緊締装置1のピストン面積とから得られる液圧ポンプ12の目標圧力のための入力装置6を有しており、この入力装置6は圧力制御弁21の対応した調節を生ぜしめる。制御装置5は更に、目標圧力勾配用の入力装置9を有しており、この目標圧力勾配は、圧力勾配が、その時々のねじ締結用に入力された目標圧力に到達する前に前記入力装置9を介して入力された目標圧力勾配を下回って低下した場合に放圧するための判断基準として役立つ。
【0028】
制御装置5は、コンピュータ7と、圧力センサ14から送られる信号のための微分装置10と、ねじ山付ボルト緊締装置1に通じる圧力供給部2を電気的な方向切換弁13を介して制御するための制御装置11とを有している。
【0029】
図2には、降伏点無しのねじ材料に関する圧力‐時間曲線が示されている。降伏点P
Fに至るまで、圧力延いてはねじ山付ボルト緊締装置1によりねじ山付ボルトにもたらされる予荷重力は直線的に増加する。降伏点P
Fから勾配は減少する、即ち圧力勾配は最大値maxPに至るまでにゼロに低下し、次いで破断点若しくは破断荷重Zまで負の圧力勾配で以て下がる。
【0030】
図3には、降伏点を有する材料に関する圧力‐時間曲線の推移が示されている。この曲線は、主として鋼材料に当てはまる。この場合、圧力は上降伏点P
Foに至るまで増大し、次いで突如下降伏点P
Fuまで降下した後、徐々に小さくなる圧力勾配を以て最大値maxPまで連続的に増大し、次いで負の圧力勾配で以て破断荷重Zまで下がる。
【0031】
これらの曲線は一般的な有効範囲を有しており、従って、ねじ山付ボルトは通常P
F若しくはP
Foの手前の値まで予荷重をかけられ、その後、ねじ山付ボルトのねじ山端部にねじ嵌められるナットが回転駆動装置4により、緊締しようとする全部材の据付けが達成されるようなトルクで以て回転され、その後、ねじ山付ボルト緊締装置1は電気的な方向切換弁13の開放に基づき、捕集容器15に対して放圧される。この放圧は制御装置5により、予め入力装置6を介して入力された目標圧力に対応して自動的に行われる。この目標圧力は、例えば降伏点P
F若しくはP
Foの90%であってよい。
【0032】
微分装置10により、圧力センサ14から制御装置5に送られた圧力信号は連続的に微分され、これにより、圧力‐時間曲線の圧力勾配が決定される。圧力増大が、未だ弾性限界点P
F若しくはP
Foの下位に位置する限り、圧力勾配は一定であり、放圧は、調節された目標圧力に到達し且つナットを回転させた後に行うことができる。
【0033】
ねじ山付ボルトがねじ山又は軸部に、例えば亀裂による以前からの損傷を有している場合、又はねじ山付ボルトの有効横断面を減少させる材料欠陥のある場合は、目標圧力の到達前に弾性限界点P
F若しくはP
Foに到達するので、圧力勾配は比較的小さくなるか、又はそれどころか負になる。この場合に過剰負荷によるねじ山付ボルトの破断を防止するためには、制御装置5により、捕集容器15に対する放圧を直ちに且つ迅速に生ぜしめる信号が、電気的な方向切換弁13に送られる。同時に制御装置5の表示部8にエラーメッセージが出されるので、作業員は損傷しているねじ山付ボルトに関する情報を得て、このねじ山付ボルトをすぐに交換することができる。同時に液圧ポンプ12が遮断され、これにより、高圧下にある液圧媒体の不要な圧送が防止される。
【0034】
液圧ポンプ12が電気的な駆動装置を有している場合は、液圧媒体の圧送は連続的であり、圧力‐時間曲線は
図2及び
図3に対応している。液圧ポンプ12が手動又は空圧式で操作される場合は、液圧媒体の圧送は断続的に行われるので、圧力上昇段階と一定圧力段階とが交互に現れる。この場合、制御装置5に設けられたコンピュータ7は、圧力勾配が圧力上昇段階中にしか決定されず且つ圧力勾配が目標圧力到達前の圧力上昇段階中に、予め規定された値未満に低下した場合にしか放圧が生ぜしめられないように調整されている。圧力勾配の前記の予め規定された値は、制御装置5の入力装置9を介して入力することができ且つ弾性範囲における圧力勾配の、例えば90%か、又はそれ以下であってよく、例えばゼロ又は負であってもよい。即ち、
図2に示すように挙動するねじ山付ボルトの材料の場合、放圧は、損傷したねじ山付ボルトに該当する降伏点P
Fのやや上位で、又は圧力‐時間曲線の最大値で、又はこの最大値の直後に行うことができるが、いずれにせよ破断荷重Zの到達前に行うことができる。
図3に示すように挙動する材料、特に炭素鋼の場合、放圧は、有利には圧力勾配が点P
Foの後で負になる場合に行われる。
【0035】
液圧式のねじ山付ボルト緊締装置の制御装置の本発明による構成により、損傷を有するねじ山付ボルトの破断が、液圧式のねじ山付ボルト緊締装置による緊締時に確実に防止され得る。
【符号の説明】
【0036】
1 ねじ山付ボルト緊締装置、 2 圧力媒体供給部、 3 圧力媒体接続部、 4 回転駆動装置、 5 制御装置、 6 目標圧力用の入力装置、 7 コンピュータ、 8 表示部、 9 圧力勾配値用の入力装置、 10 微分装置、 11 制御装置、 12 液圧ポンプ、 13 電気的な方向切換弁、 14 圧力センサ、 15 捕集容器、 16 回転スリーブ、 17 六角穴、 18 交換ブシュ、 19 伝動装置、 20 駆動モータ、 21 圧力制御弁、 22 逆止弁、 23 緊締ピストン、 24 シリンダ