【実施例】
【0025】
つぎに本発明の実施例による印字用紙巻取り芯管18およびその保持装置20を
図1ないし
図8にもとづき説明する。
図1は、プリンター1、ならびに印字用紙巻取り芯管18およびその保持装置20を備えた印字用紙巻取り機2の側面図、
図2は、プリンター1および印字用紙巻取り機2の平面図である。
プリンター1は、印字用紙たとえば台紙なしラベル3を装填して、任意の方式により必要な情報を印字するもので、ケーブル4により印字用紙巻取り機2と電気的に接続し、台紙なしラベル3の印字発行および印字用紙巻取り機2による巻取り動作のタイミングを適正に制御可能としている。
台紙なしラベル3は、
図1にその一部を拡大して示すように、たとえば感熱発色材を塗布したラベル基材5の表面に剥離剤層6を有し、その裏面に貼付け用の粘着剤層7を有するが、その裏面に仮着する台紙を備えていない構成を有し、省資源タイプの印字用紙である。
【0026】
図3は、印字用紙巻取り機2のプリンター1側から見た正面図、
図4は、印字用紙巻取り機2の斜視図であって、印字用紙巻取り機2は、基台8に巻取り機本体9を起立させ、巻取り機本体9に、片持ち式に用紙ガイド部10および用紙巻取り部11を設けるとともに、用紙ガイド部10および用紙巻取り部11の間に用紙張力調整部12を取り付けている。
【0027】
巻取り機本体9は、電源スイッチ13および駆動モーター14を有し、電源スイッチ13をオンすることにより駆動モーター14を回転駆動する。
【0028】
用紙ガイド部10は、そのガイド軸15にガイドローラー16を固定してあって、巻取り機本体9に対してガイドローラー16が自由回転し、プリンター1から印字発行されてくる台紙なしラベル3の裏面側をガイドして、用紙張力調整部12に受け渡し可能となっている。
なお、ガイドローラー16は台紙なしラベル3の裏面側の粘着剤層7が接触するため、後述する用紙巻取り部11の印字用紙巻取り芯管18と同様に、一般的にはプラスチック製であり、粘着剤に対する剥離性を有していることが望ましい。
【0029】
用紙巻取り部11は、片持ち式の巻取り軸17(
図3、
図7)と、この巻取り軸17に着脱可能とする印字用紙巻取り芯管18と、この印字用紙巻取り芯管18に着脱可能とする用紙端部取付け具19と、を有し、巻取り軸17に印字用紙巻取り芯管18の保持装置20を設けている。
巻取り軸17は、プリンター1による台紙なしラベル3の印字発行量に合わせて駆動モーター14によりこれを間歇的に回転駆動し、印字用紙巻取り芯管18を間歇的に回転駆動する。
巻取り軸17の自由端部17Aには、巻取り軸17の半径方向および巻取り軸17の軸方向にそれぞれ起伏可能であるロック片21(
図7および
図8において後述)を取り付けている。
【0030】
印字用紙巻取り芯管18は、帯状の台紙なしラベル3をロール状に巻き取るためのもので、円筒形を呈し、巻取り軸17にこれを着脱可能に取り付けて巻取り軸17の駆動により巻取り軸17とともに一体回転可能である。
図5は、印字用紙巻取り芯管18をその軸方向において、
図4中巻取り機本体9方向に見た側面図であって、印字用紙巻取り芯管18は、台紙なしラベル3を巻き付ける円周面である巻付け表面22と、その軸方向を貫く中央貫通孔23と、中央貫通孔23に連通する半径方向孔24と、を有する。
【0031】
中央貫通孔23は、巻取り軸17の軸方向に延びて巻取り軸17に対して一方の開口端部23A(
図7)から印字用紙巻取り芯管18を着脱可能に挿通可能である。
半径方向孔24は、中央貫通孔23の他方の開口端部23B(
図7)に位置して印字用紙巻取り芯管18の半径方向に延びるもので、巻取り軸17の自由端部17Aに設けた起伏可能な上記ロック片21が係脱可能である。
【0032】
用紙端部取付け具19は、印字用紙巻取り芯管18の外周面の軸方向に一対で形成した取付け溝25に装脱する軸方向に長いほぼU字形の金属線材であって、台紙なしラベル3以外の、台紙付きの一般的なラベルあるいは粘着剤層を形成していないタグなどの印字用紙を印字用紙巻取り芯管18に巻き取る際に、その下流側先端部を取付け溝25との間に挟むことにより巻付け表面22に固定可能である。
【0033】
図6は、巻付け表面22の展開図(図中矢印が台紙なしラベル3の移送方向下流側)であって、巻付け表面22には、印字用紙巻取り芯管18の長さ方向における本体中心位置18Aにそれぞれの突条中心位置26Aを合わせて台紙なしラベル3の幅方向に延びるとともにその長さがわずかづつ異なっている互いに平行な複数本の幅セット突条26を形成している。
幅セット突条26は、その頂点が印字用紙巻取り芯管18の外周径方向に突出し、台紙なしラベル3の粘着剤層7への接触面積をできるだけ少なくして、台紙なしラベル3の巻付け表面22への貼付け強度を所定レベルに低下させるようにしている。
ただし、
図6に示すように、それぞれ長さがわずかずつ異なる幅セット突条26の突条組を何組か(最低でも二組、図中の例では、四組)周方向に形成して、印字用紙巻取り芯管18と台紙なしラベル3との相対位置にかかわらず、巻付け表面22の周面の任意の位置で台紙なしラベル3の幅を合わせて巻付け表面22に貼り合わせることができるようにする。
なお、上記軸方向に延びる幅セット突条26とは別に、幅セット突条26に直交する(印字用紙巻取り芯管18の外周方向に延びる)互いに平行な補助突条27を複数本形成して、台紙なしラベル3の巻付け表面22への貼付け強度をさらに低下させるようにすることができる。
また用紙ガイド部10のガイドローラー16の外周面にも、幅セット突条26および補助突条27と同様の突条模様を形成し、台紙なしラベル3との接触抵抗を低下させている。
【0034】
図7は、巻取り軸17および印字用紙巻取り芯管18の要部断面図であって、
図7(1)は、巻取り軸17に印字用紙巻取り芯管18を挿通固定した状態の要部断面図、
図7(2)は、巻取り軸17から印字用紙巻取り芯管18を引き抜く状態の断面図、
図8は、巻取り軸17の自由端部17Aにおけるロック片21の取付け構造を示す断面説明図である。
とくに
図8に示すように、ロック片21は、巻取り軸17の自由端部17Aに設けた起伏軸28のまわりに、巻取り軸17の半径方向および巻取り軸17の軸方向にそれぞれ起伏可能である。
すなわち、ロック片21は、その基部に円周方向90度の角度間隔をもって伏臥用係合溝29および起立用係合溝30を形成してあり、巻取り軸17とロック片21との間に起伏付勢部材(係合スチールボール31、付勢用スプリング32)を設けている。
この伏臥用係合溝29あるいは起立用係合溝30に係合スチールボール31が付勢用スプリング32に付勢されつつ選択的に係合して、ロック片21を巻取り軸17の半径方向において起立状態に仮保持可能とするとともに、ロック片21を巻取り軸17の軸方向に伏臥状態に仮保持可能とする。
【0035】
図7に示すように、ロック片21が印字用紙巻取り芯管18の半径方向孔24に係合して、印字用紙巻取り芯管18が巻取り軸17と一体回転可能となり、ロック片21が印字用紙巻取り芯管18の中央貫通孔23に平行に位置して、印字用紙巻取り芯管18が巻取り軸17に対して着脱可能となる。
ただし、印字用紙巻取り芯管18には、その半径方向孔24の奥部に位置する内壁面に、ロック片21に臨んでロック片21を巻取り軸17の半径方向から軸方向に回動させることができる押圧壁部33を突出形成している。
【0036】
印字用紙巻取り芯管18には、その中央貫通孔23の他方の開口端部23B付近の内壁面に、巻取り軸17の肩部17Bと係合して、印字用紙巻取り芯管18の巻取り軸17に対する位置決めを行うことができる係合壁部34を突出形成している。
【0037】
本発明による印字用紙巻取り芯管18の保持装置20は、上述のような巻取り軸17およびロック片21と、係合スチールボール31や付勢用スプリング32などの起伏付勢部材と、押圧壁部33や係合壁部34と、などからこれを構成している。
【0038】
前記用紙張力調整部12は、とくに
図1ないし
図4に示すように、基台8および巻取り機本体9に固定した揺動軸35と、揺動軸35に揺動可能に取り付けた揺動枠36と、揺動枠36の用紙ガイド部10側の中央に設けたピニオン37と、このピニオン37に上流側および下流側で係合する一対のラック38と、を有し、それぞれのラック38の下部に幅規制片39(
図3)を取り付けている。
【0039】
したがって、ピニオン37を回転操作することにより、一対のラック38すなわち幅規制片39を台紙なしラベル3の幅方向に移動調整可能とし、用紙ガイド部10から移送されてくる台紙なしラベル3をその幅方向で規制可能としている。
【0040】
なお、揺動枠36の巻取り機本体9に対する揺動姿勢(揺動角度)を任意の手法により検出して、プリンターによる台紙なしラベル3の印字発行速度に対して、印字用紙巻取り機2による台紙なしラベル3の巻取り速度を調整して、台紙なしラベル3に過剰な張力がかからないようにしている。
すなわち、揺動枠36が最大起立状態になったときに、この姿勢を検出して巻取り機本体9の駆動モーター14を停止し、用紙巻取り部11における台紙なしラベル3の巻取り動作を停止し、この停止期間中におけるプリンター1からの台紙なしラベル3の印字発行により、台紙なしラベル3が用紙ガイド部10と用紙巻取り部11との間に延びてきたときに揺動枠36がその自重により揺動軸35のまわりに下方に揺動して、その最小伏臥状態になったときに、この姿勢を検出して駆動モーター14の回転駆動を再開し、用紙巻取り部11における台紙なしラベル3の巻取り動作を再開するようになっている。
【0041】
こうした構成のプリンター1および印字用紙巻取り機2において、とくに
図7(1)に示すように、たとえば、ロック片21が起立状態のままの場合には、ロック片21が半径方向孔24に沿って係合するように印字用紙巻取り芯管18を巻取り軸17に差し込むことができる。あるいはロック片21が伏臥状態の場合には、そのまま印字用紙巻取り芯管18を巻取り軸17に差し込むとともに、伏臥状態のロック片21を付勢用スプリング32の付勢力に抗して半径方向孔24内に係合するように起立させる。いずれの場合にも、印字用紙巻取り芯管18と巻取り軸17とを一体回転可能とすることになる。
【0042】
プリンター1からの台紙なしラベル3を用紙ガイド部10のガイドローラー16の上面に案内し、用紙張力調整部12におけるピニオン37によりラック38すなわち幅規制片39を調整して台紙なしラベル3を幅規制片39の間を通し、用紙巻取り部11における印字用紙巻取り芯管18の巻付け表面22に貼り付ける。
この貼付け操作の際に、巻付け表面22の幅セット突条26に台紙なしラベル3の幅を合わせるようにすれば、台紙なしラベル3を移送方向に沿って巻付け表面22に直角に貼り付けることができ、巻取り動作にともなう台紙なしラベル3の蛇行を防止することができる。
【0043】
印字用紙巻取り機2の電源スイッチ13をオンして台紙なしラベル3の巻取り動作を開始させ、プリンター1からの台紙なしラベル3の印字発行長さに応じて用紙張力調整部12による張力を調整しながら用紙巻取り部11の印字用紙巻取り芯管18に台紙なしラベル3をロール状に巻き取ってゆく。
【0044】
印字用紙巻取り芯管18への台紙なしラベル3の巻取り動作が完了したのち、印字用紙巻取り芯管18ごと台紙なしラベル3を巻取り軸17から引き抜くことができる。
すなわち、とくに
図7(2)に示すように、印字用紙巻取り芯管18ごと台紙なしラベル3を巻取り軸17から引き抜けば、印字用紙巻取り芯管18の押圧壁部33が付勢用スプリング32の付勢力に抗してロック片21を伏臥状態に移行させるので、そのまま印字用紙巻取り芯管18および台紙なしラベル3を用紙巻取り部11から簡単に取り外すことができる。
【0045】
印字用紙巻取り芯管18にロール状に巻き取った台紙なしラベル3を必要な被貼付け体に貼り付けることができ、台紙なしラベル3を貼り付け終われば、印字用紙巻取り芯管18を再び巻取り軸17に差し込んで、ロック片21を半径方向孔24内に起立状態とすることにより、つぎの巻取り動作を開始することができる。
【0046】
かくして、巻取り軸17への取付けおよび取外し操作が面倒な従来の紙管に代わって印字用紙巻取り芯管18を用いることにより、用紙巻取り部11における台紙なしラベル3の巻取り動作完了後の、引抜き操作を簡便なものとすることができる。