(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明が実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0010】
−第1の実施の形態−
図1〜
図6を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施の形態では、定圧弁の一部を構成するベースプレートにより、定圧弁を設置面に固定する例を説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るベースプレートが適用される定圧弁の分解斜視図であり、
図2、3は、それぞれ定圧弁の組立て状態を示す斜視図、
図4は、
図3のA−A線断面図である。定圧弁2は、ベースプレート1と、ベースプレート1の上面に取付けられる本体3と、本体3の上面に取り付けられるボンネット4とを有する。
【0012】
ベースプレート1は、例えばポリビニリデンフルオライド(以下、PVDFと呼ぶ)により構成される。
図1に示すようにベースプレート1は、平面視略正方形状をなす板状の台座11と、台座11の側面に着脱可能に設けられる一対の固定ピース12とを有する。台座11は、本体3を取り付けるための取付部11aを上面に有する。固定ピース12は、固定ピース12の両端部に設けられ、固定用ボルトが貫通する一対のボルト締結部15と、固定ピース12の中央部に設けられた凸部16とを有し、ボルト締結部15と凸部16とは、互いに水平方向反対側に突設されている。
【0013】
台座11は、本体3の形状に対応して平面視略矩形状を呈し、台座11の各側面には台座11の幅方向に沿って細長の凹部13がそれぞれ設けられている。なお、ここでは、
図1のA方向とB方向をそれぞれ幅方向と呼ぶ。
図4に示すように、台座11の底面には、凹部13に対応して幅方向および長さ方向に沿ってそれぞれ細長の溝部14が設けられている。溝部14と凹部13とは奥方で連通し、台座11の側端部の側面から底面にかけて断面略L字状の開口部が形成されている。なお、溝部14は台座11の底面全体に形成しても良く、台座11を射出成形するときの肉盗みであっても良い。
【0014】
固定ピース12の凸部16は、ボルト締結部15の上端面よりも上方において水平方向に突設された差込板17と、差込板17の下方において差込板17から隙間を空けて水平方向に突設された板ばね18とを有する。差込板17は略直方体形状を呈し、その上面および底面は平坦である。一方、板ばね18の上面は平坦であるのに対し、底面の先端部には、下方へ向けて突起19が突設され、突起19の先端はテーパ状に形成されている。板ばね18の突出長さは差込板17の突出長さとほぼ等しく、板ばね18の幅は差込板17の幅とほぼ等しい。板ばね18は、基端部における板厚が薄く、基端部を支点にして上下方向に弾性変形可能である。
【0015】
台座11に固定ピース12を装着する場合、台座11の凹部13に固定ピース12の凸部16を側方から押し込む。このとき、板ばね18の先端の突起19は凹部13の底面に乗り上げ、板ばね18の先端部は差込板17側へ弾性変形する。凸部16が凹部13に最大に押し込まれると、突起19は凹部13を乗り越え、
図5(a)に示すように、板ばね18の付勢力により突起19が溝部14に係合する。これにより凹部13に凸部16が嵌合される。この場合、突起19が溝部14に係合するため、台座11の内部に、アンダーカットを含む形状にすることなく、突起19が係合する場所を形成することができる。そのため、射出成形のみで台座11を成形することができ、後加工の手間を省ける。
【0016】
一方、台座11から固定ピース12を取り外す場合、
図5(b)に示すように、台座11と固定ピース12とが接触する接触面の底面側の線を基軸として、固定ピース12に下側への力を加え、板ばね18の先端部を差込板17側へ弾性変形させる。この状態で、
図5(c)に示すように、固定ピース12を側方に引き抜き、台座11から固定ピース12を取り外す。以上のようにして固定ピース12の着脱が可能となる。
【0017】
本実施の形態では、台座11のすべての側面に凹部13が設けられている。このため、
図2に示すように、流路軸線と直交する方向に固定ピース12を取り付けたり、
図3に示すように、流路軸線と同じ方向に固定ピース12を取り付けることができる。
【0018】
例えば、
図6に示すような配管ラインに定圧弁2を設置する場合、流路軸線と直交する方向にベースプレート1の固定ピース12が装着されていると(
図2参照)、固定ピース2が障害物に干渉して定圧弁2を設置することができない。この場合には、固定ピース12を台座11から取り外して流路軸線と同じ方向の側面の凹部13に固定ピース12を装着する(
図3参照)。これにより、固定ピース12が障害物と干渉することなく、狭い設置スペースであっても定圧弁2を設置面に容易に固定することができる。
【0019】
なお、固定ピース12は台座11の対向する2つの側面に各々取り付けることが好ましいが、設置場所の状況に応じて台座11の隣り合う2つの側面に各々取り付けるようにしても良く、台座11の単一の側面のみに取り付けるようにしても良い。定圧弁2を固定する必要がない場合には、固定ピース12を取り外して、台座11のみをベースプレートとして使用しても良く、必要に応じて固定ピース12を取り付けるようにすれば良い。
【0020】
ここで、
図5(a)に示すように、ベースプレート1は、台座11を固定ピース12に装着したときに、固定ピース12の底面の設置面からの高さhが台座11の底面より所定量(例えば0.5mm)だけ高くなるように設けられている。これにより、ベースプレート1を設置面にボルトで固定するときに、台座11を設置面に強く押し付けてベースプレート1を締結することができ、定圧弁2を設置面に強固に固定できる。固定部12の底面の設置面からの高さhが高くなると、ベースプレート1をボルトで固定したときに固定ピース12に応力が集中するので、高さhは0.1mm〜1mmの範囲が好ましく、0.3mm〜0.7mmの範囲がより好ましい。
【0021】
定圧弁2の本体3の取付部11aとして、
図1に示すように、台座11の上面中央部には、円形状に凹んだ段差部20が設けられ、段差部20の中央部に円形状に凹んだ切欠凹部21が設けられている。台座11の底面には切欠凹部21に連通する呼吸孔22が設けられている。台座11の四つ角部にはそれぞれボルト孔11bが設けられ、ボンネット4および本体3を貫通したボルト(不図示)がボルト孔11bに螺合する。これによりベースプレート1に本体3とボンネット4が固定される。なお、ボルト孔11bを単なる貫通孔として、ボルト孔11bを貫通したボルトに、台座11の裏側にてナットを螺合するようにしてもよい。
【0022】
固定ピース12の幅は、台座11の幅とほぼ等しく、あるいは少なくとも台座11の幅よりも短く形成されている。これにより、例えば
図3に示すように固定ピース12を装着した状態で、複数の定圧弁2を固定ピース12が互いに干渉することなく並べて配置することができる。なお、複数の定圧弁2を並設する場合に、隣接する定圧弁2の互いに対向する台座11の凹部13にそれぞれ連結用のピースを嵌合し、定圧弁2同士を連結するようにしてもよい。
【0023】
次に、
図4を参照して定圧弁2の構成を説明する。定圧弁2は、本体3とボンネット4の内側に、ばね受け5と、ピストン6と、ばね7と、第一弁機構体8と、第二弁機構体9と、第三弁機構体10とを有する。
【0024】
本体3は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと呼ぶ)により構成される。本体3の内部には、上面が開放された第一の空隙24と、底面が開放された第二の空隙23とが設けられ、第一の空隙24と第二の空隙23は中央の連通孔27により連通されている。第一の空隙24は第二の空隙23よりも大径であり、第二の空隙23は連通孔27より大径である。本体3の互いに対向する側面には一対の管部3aが突設され、一方の管部3aの内側には入口流路25が設けられ、他方の管部3aの内側には出口流路26が設けられている。入口流路25は第一の空隙24に連通し、出口流路26は第二の空隙23に連通している。第二の空隙23の上面部には弁座28が形成されている。
【0025】
ボンネット4はPVDF製であり、ボンネット4の底部内周面には段部30が設けられ、段部30の上方に円筒状の空隙29が形成されている。ボンネット4の側壁には、空隙29の内部に外部から圧縮空気を供給する給気孔31と、給気孔31より導入された圧縮空気を外部に微量に排出する排出孔32が上下に離間して設けられている。なお、排出孔32は、必要に応じて省略することができる。
【0026】
ばね受け5は、PVDF製であり、全体が略円筒形状をなし、中央部に貫通孔33を有する。ばね受け5の外周面は、ボンネット4の段部30に嵌挿され、ばね受け5はボンネット4に一体に固定されている。ばね受け5の外周面には環状溝が設けられている。環状溝にはOリングが装着され、ボンネット4から外部への圧縮空気の流出が防止される。
【0027】
ピストン6は、PVDF製であり、ボンネット4の内部を上下動可能に設けられている。ピストン6は、略円筒形状のピストン軸35と、ピストン軸35の上部に設けられ、ピストン軸35よりも大径の円盤状の鍔部34とを有し、ピストン軸35の内周面には雌ネジ部が設けられている。ピストン軸35は、ばね受け5の貫通孔33よりも小径であり、ばね受け5の上方にピストン6が配設され、鍔部34の上面はボンネット4の内側上面に対向している。
【0028】
ばね7は、ステンレス製であり、ピストン6の鍔部34の下端面とばね受け5の上端面との間に介装されている。ばね7は、ピストン6の上下動に伴って伸縮するが、このときのばね7の荷重変化が少ないよう、自由長の長いものが好適に使用される。
【0029】
第一弁機構体8は、PTFE製であり、軸部37の上端部に雄ねじ部が設けられ、雄ねじ部はピストン軸35の内周面に螺合されている。軸部37は、下端部が大径となっており、その外周面には径方向外側にかけて第一ダイヤフラム36が形成されるとともに、軸部37の中央内部には底面から上方にかけて雌ねじ部が設けられている。第一ダイヤフラム36の膜部の外周縁部は、本体3とばね受け5との間に挟持され、第一ダイヤフラム36の下方に第一の弁室38が密封状態で形成されている。第一ダイヤフラム36の上方には、ボンネット4の給気孔31より供給される圧縮空気が充満する気室が密封状態で形成されている。
【0030】
第二弁機構体9は、PTFE製であり、軸部40の上端部に雄ねじ部が設けられ、雄ねじ部は第一弁機構体8の雌ねじ部に螺合されている。第二弁機構体9は、本体3の第二の空隙23内に配設され、連通孔27より大径に設けられた弁体39を有し、弁体39の中央内部には底面から上方にかけて雌ねじ部が設けられている。なお、第三弁機構体10を第二弁機構体9と一体に形成することもできる。
【0031】
第三弁機構体10は、PTFE製であり、ロッド41の上端部に雄ねじ部が設けられ、雄ねじ部は第二弁機構体9の雌ねじ部に螺合されている。ロッド41の下端部外周面には径方向外側にかけて第二ダイヤフラム42が形成されている。第二ダイヤフラム42の外周縁部、すなわちベースプレート1の上面の段差部20に対向する部位の厚さは厚くなっており、その厚肉部が段差部20に配置され、ベースプレート1と本体3との間で挟持されて、本体3の第二の空隙23と第二ダイヤフラム42とにより第二の弁室43が密閉状態で形成されている。
【0032】
以上の定圧弁2の動作について説明する。第二弁機構体9の弁体39には、ばね7と第一ダイヤフラム36下面の流体圧力とにより、上方への付勢力が作用し、第一ダイヤフラム36上面の操作圧力により下方への付勢力が作用する。なお、厳密には、弁体39の下面と第二ダイヤフラム42の上面とが流体圧力を受けているが、それらの受圧面積はほぼ等しく設定されているため、両者の力はほぼ相殺される。したがって、第二弁機構体9の弁体39は、上述の3つの力(ばね力、第一ダイヤフラム下面の流体圧力、第一ダイヤフラム上面の操作圧力)が釣り合う位置にて静止する。
【0033】
給気孔31を介して電空変換機(不図示)から定圧弁2に供給される操作圧力を増加させると、第一ダイヤフラム36を押し下げる力が増加する。これにより、第二弁機構体9の弁体39と弁座28との間で形成される流体制御部の開口面積が増加し、第一の弁室38の圧力が増加する。反対に、定圧弁2に供給される操作圧力を減少させると、流体制御部の開口面積が減少し、第一の弁室38の圧力も減少する。このように操作圧力を調整することで、第一の弁室38を任意の圧力に設定することができる。
【0034】
この状態で、定圧弁2の上流側の流体圧力が増加すると、瞬間的に第一の弁室38内の圧力も増加する。これにより、第一ダイヤフラム36の上面に作用する圧縮空気による操作圧力よりも、第一ダイヤフラム36の下面に流体によって作用する力の方が大きくなり、第一ダイヤフラム36は上方へ移動し、それに伴い弁体39も上方へ移動する。このため、弁体39と弁座28との間の流体制御部の開口面積が減少し、第一の弁室38内の流体圧力が減少する。最終的には、弁体39は上記3つの力が釣り合う位置まで移動し、静止する。このとき、ばね7の荷重が大きく変わらなければ、空隙29内部の圧力、つまり、第一ダイヤフラム36上面が受ける力は一定であるため、第一ダイヤフラム36の下面が受ける圧力はほぼ一定となる。したがって、第一ダイヤフラム36下面の流体圧力、すなわち、第一の弁室39内の流体圧力は、上流側の圧力が増加する前と後とでほぼ同じである。
【0035】
一方、定圧弁2の上流側の流体圧力が減少すると、瞬間的に第一の弁室38内の圧力も減少する。これにより、第一ダイヤフラム36の上面に作用する圧縮空気による操作圧力よりも、第一ダイヤフラム36の下面に流体によって作用する力のほうが小さくなり、第一ダイヤフラム36は下方へ移動し、それに伴い弁体39も下方へ移動する。このため、弁体39と弁座28との間の流体制御部の開口面積が増加し、第一の弁室38内の流体圧力が増加する。最終的には、弁体39は上記3つの力が釣り合う位置まで移動し、静止する。したがって、上流側圧力が増加した場合と同様、第一の弁室38内の流体圧力は、上流側の圧力が減少する前と後とでほぼ同じである。
【0036】
本発明の第1の実施の形態に係るベースプレートによれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)台座11の上面に定圧弁2の取付部11aを設けるとともに、台座11の側面に固定ピース12を着脱可能に設け、固定ピース12に設けられたボルト締結部15を介してベースプレート1を設置面に固定するようにした。これにより、種々の大きさ、形状の定圧弁2等の被固定物を設置面に容易に固定することができ、適用対象が広く、汎用性のあるベースプレート1として構成できる。
(2)定圧弁2を設置面に固定する必要がない場合には、固定ピース12を台座11から取り外して定圧弁2を使用することができ、定圧弁2をコンパクトに構成できる。また、配管ラインの変更などで定圧弁2を設置面に固定する必要が生じた場合には、台座11に固定ピース12を装着することにより、定圧弁2を設置面に容易にボルト固定することができる。
(3)台座11の各側面に固定ピース取付用の凹部13を設けるようにしたので、固定ピース12の装着位置を変更することができ、固定ピース12と設置面近傍の障害物との干渉を防いで、定圧弁2を狭隘な場所にも容易に設置することができる。すなわち、配管部材の設置場所の状況に応じて、台座11に対する固定ピース12の装着位置を変更することができるため、固定ピース12が壁面や機器などに干渉するときは、それらを避けてベースプレート1を設置できる。
【0037】
(4)台座11の側面に凹部13を設けるとともに、これに対応して固定ピース12の端部に凸部16を設けるようにしたので、凸部16を凹部13に押し込むことにより、台座11に固定ピース12を嵌合することができ、台座11と固定ピース12の嵌合が容易である。
(5)凹部13を台座11の幅方向に沿って形成するとともに、台座11の底面に、台座11の幅方向に沿って、かつ、凹部13に連通して溝部14を設けるようにしたので、凸部16の先端部を溝部14に係合することができる。
(6)凸部16の先端に突起19を設けるようにしたので、凸部16の溝部14への係合が容易である。
(7)互いに略平行に突設された差込板17と板ばね18とにより凸部16を構成したので、板ばね18の弾性変形により凹部13に凸部16を容易に係合固定することができる。
(8)固定ピース12の底面の設置面からの高さhを、台座11の底面の設置面からの高さよりも所定量(0.1〜1mm程度)だけ高くするようにしたので、ベースプレート1を設置面に強固に固定できる。
【0038】
図13は、第1の実施の形態の比較例を示す図であり、速度制御弁の連結機構を示している。すなわち、
図13では、互いに隣接する速度制御弁201の一方に設けられる連結爪202と、他方に設けられるフック溝203とを備え、このフック溝203と連結爪202とのフック係合により、互いに隣接する速度制御弁201同士を連結するようにしており、連結爪202の取付孔204に挿通させた取付ネジ205を固定ベース(設置面)に螺合させることで速度制御弁205を設置面に固定している。連結爪202を固定ベースにボルト固定しない場合には、連結爪202を付け根部206で折り畳んで収納する。
【0039】
このような速度制御弁の連結機構においては、連結爪202を折り畳み可能な構成にするために、付け根部206にノッチを形成する必要がある。しかしながら、ノッチが形成された部分は肉厚が極めて薄く、外部から速度制御弁201に物理的な強い力が加わると、ノッチが形成された部分が破損するおそれがある。また、連結爪202は速度制御弁201の連結と固定ベースへの固定とを兼ねているため、速度制御弁201は流路軸線に対して斜めに2箇所の位置でボルト固定される。このため、バルブの固定方法としては不安定であり、特にバルブが大きくなると固定が不十分になる。さらに、連結爪202が弁本体207から外部に大きく張り出した状態で、速度制御弁201は弁本体207と一体成形されるため、弁本体207のみの形状と比較して金型が著しく大きくなる。
【0040】
これに対し、本実施の形態では、固定ピース12を台座11に着脱可能に設けるようにしたので、固定ピース12を折り畳む必要がなく、固定ピース12の破損を防止できる。また、固定ピース12の凸部16を台座11の幅方向中央の凹部13に嵌合し、固定ピース12の幅方向両端部のボルト締結部15でボルト締結するようにしたので、定圧弁2の流路軸線に対する対称位置でベースプレート1を安定して固定することができる。さらに、定圧弁2と固定ピース12が別体であるため、定圧弁2を製造するための金型を小型化できる。
【0041】
−第2の実施の形態−
図7を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、台座と固定ピースの嵌合部の形状である。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0042】
図7は、第2の実施の形態に係るベースプレート51の組立状態における要部形状を示す断面図である。
図7において、PVDF製のベースプレート51は、板状の台座52と、台座52に嵌合される一対の固定ピース53とを有する。台座52のすべての側面には、有底の凹部54がそれぞれ設けられている。各固定ピース53には、第1の実施の形態の固定ピース12と同様、ボルト締結部が2箇所に設けられるとともに、台座52の凹部54に嵌合する凸部55が突設され、凸部55の先端部には、下方へ向けて突起56が突設されている。突起56は直線状に形成されているが、環状に形成してもよく、突起56の形状は限定されない。台座52に固定ピース53を強固に嵌合するために、凸部55に突起56を複数設けてもよく、突起56が係合する溝部を凹部54に設けてもよい。
【0043】
台座52に固定ピース53を装着する場合、台座52の凹部54に固定ピース53の凸部55を押し込んで嵌合させる。このとき凸部55の突起56が、固定ピース12の抜け防止として機能する。固定ピース53を台座52から取り外すときは、固定ピース53を強く引っ張って台座52から引き抜く。
【0044】
−第3の実施の形態−
図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、台座と固定ピースの嵌合部の形状である。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0045】
図8は、第3の実施の形態に係るベースプレート61の組立状態における要部形状を示す断面図である。
図8において、PVDF製のベースプレート61は、板状の台座62と、台座62に嵌合される一対の固定ピース63とを有する。固定ピース63には、第1の実施の形態の固定ピース12と同様、ボルト締結部が2箇所に設けられるとともに、固定ピース63の端面には有底の凹部64が設けられている。台座62のすべての側面には、固定ピース63の凹部64に嵌合する凸部65が突設されている。凸部65の先端部には、下方へ向けて突起66が突設されている。突起66は直線状に形成されているが、環状に形成してもよく、突起66の形状は限定されない。台座62に固定ピース63を強固に嵌合するために、凸部65に突起66を複数設けてもよく、突起66が係合する溝部を凹部64に設けてもよい。
【0046】
台座62に固定ピース63を装着する場合、固定ピース63の凹部54に台座62の凸部65を押し込んで嵌合させる。このとき凸部65の突起66が、固定ピース12の抜け防止として機能する。固定ピース63を取り外すときは、固定ピース63を強く引っ張って台座62から引き抜く。
【0047】
−第4の実施の形態−
図9を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、台座と固定ピースの嵌合部の形状である。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0048】
図9(a)は、第4の実施の形態に係るベースプレート71の分解状態における平面図であり、
図9(b)は、ベースプレート71の組立状態における要部形状を示す断面図である。
図9において、PVDF製のベースプレート71は、板状の台座72と、台座72に嵌合される一対の固定ピース73とを有する。台座72のすべての側面には、凹部74がそれぞれ設けられている。台座72の底面には、幅方向に沿って、かつ、凹部に連通して溝部80が設けられている。各固定ピース73には、ボルト締結部75が2箇所に設けられるとともに、台座72の凹部74に嵌合する凸部76が突設されている。凸部76は、幅方向に細長の略直方体形状の差込板77と、差込板77の幅方向両端部に、差込板77から隙間を空けて突設された板ばね78とを有し、板ばね78の先端部には幅方向外側に向けて突起79が突設されている。
【0049】
台座72に固定ピース73を装着する場合、台座72の凹部74に固定ピース73の凸部76を押し込む。このとき板ばね78の先端部が差込板77側へ弾性変形し、凸部76を最大に押し込むと、板ばね78の先端部の突起79が台座72の溝部80に係合し、凸部76が凹部74に嵌合する。台座72から固定ピース73を取り外す場合、板ばね78の外側から圧縮力を付与して板ばね78を差込板77側へ弾性変形させながら、固定ピース73を台座72から取り外す。
【0050】
−第5の実施の形態−
図10を参照して本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、台座と固定ピースの嵌合部の形状である。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0051】
図10(a),(b)は、それぞれ第5の実施の形態に係るベースプレート81の組立状態における平面図および要部形状を示す断面図である。
図10において、PVDF製のベースプレート81は、板状の台座82と、台座82に嵌合される一対の固定ピース83とを有する。台座82のすべての側面には底面にかけて凹部84がそれぞれ設けられている。各固定ピース83には、固定用ボルト締結部85が2箇所に設けられるとともに、台座82の凹部84に嵌合する凸部86が突設され、凸部86の先端部側面には、側方へ向けて突起87が突設されている。台座82に固定ピース83を強固に嵌合するために、凸部86に突起87を複数設けてもよく、突起87が係合する溝部を凹部84に設けてもよい。
【0052】
台座82に固定ピース83を装着する場合、台座82の凹部84に固定ピース83の凸部86を押し込んで嵌合させる。このとき凸部86の突起87が、固定ピース83の抜け防止として機能する。固定ピース83を取り外すときは、固定ピース83を側方に強く引っ張って台座82から引き抜く。この場合、凹部84が側面から底面にかけて形成されているため、固定ピース83が設置面に固定された状態でも、被固定物(定圧弁2)を上方に強く引っ張ることで、被固定物を台座82が結合された状態で固定ピース83から分離することができる。このように固定ピース83が設置面に固定された状態で、台座82と一体に被固定物を設置面すなわち固定ピース83から着脱可能にすると、被固定物を交換やメンテナンス等で設置面から頻繁に取り外す必要があるときに、固定ピース83の締結ボルトを着脱する必要がなく、作業時間を短縮できる。
【0053】
−第6の実施の形態−
図11を参照して本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、台座と固定ピースの嵌合部の形状、とくに固定ピースの形状である。なお、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0054】
図11(a),(b)は、それぞれ第6の実施の形態に係るベースプレート91の組立状態における平面図および要部形状を示す断面図である。
図11において、PVDF製のベースプレート91は、板状の台座92と、台座92に嵌合される複数の固定ピース93とを有する。台座部92のすべての側面には、凹部94がそれぞれ設けられ、各凹部94にそれぞれ一対の固定ピース93が互いに対称に取り付けられている。各固定ピース93の一端部には、単一のボルト締結部95が設けられ、他端部には、凹部94に嵌合する凸部96が設けられている。凸部96の先端部には、上方へ向けて突起97が突設されている。台座92に固定ピース93を強固に嵌合するために、凸部96に突起97を複数設けてもよく、突起97が係合する溝部を凹部94に設けてもよい。
【0055】
台座92に固定ピース93を装着する場合、台座92の凹部94に固定ピース93の凸部96を押し込んで嵌合させる。このとき凸部96の突起97が、固定ピース93の抜け防止として機能する。固定ピース93を取り外すときは、固定部93を強く引っ張って台座92から引き抜く。さらに第6の実施の形態では、固定ピース93が設置面に固定された状態で、ボルト締結部95を中心として固定ピース93を水平方向(
図11(a)の矢印方向)に回動可能であり、被固定物が台座92に結合された状態で、固定ピース93を台座92から取り外すことができる。
【0056】
−第7の実施の形態−
図12を参照して本発明の第7の実施形態について説明する。第7の実施の形態が第1の実施の形態と異なるのは、ベースプレートが適用される被固定物の構成である。すなわち、第1の実施の形態では、ベースプレートを定圧弁に適用したのに対し、第7の実施の形態では、開閉弁に適用する。なお、ベースプレート自体の構成は第1の実施の形態と同様であり、以下では第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0057】
図12は、第7の実施の形態に係る開閉弁200の内部構成を示す断面図である。
図12において、ベースプレート101は、開閉弁200を設置面に固定する台座部品として形成され、開閉弁200の本体102の下端部はベースプレート101の上面に取り付けられている。開閉弁200は、ベースプレート101と、本体102と、駆動部103と、ピストン104と、ダイヤフラム押さえ105と、弁体106とを有する。
【0058】
PTFE製の本体102は、軸線方向上端の中央に弁室109と、弁室109と連通した入口流路110と出口流路111とを有する。PVDF製の駆動部103は、内部に円筒状のシリンダ部112が設けられ、本体102の上部にボルト・ナット(図示せず)で固定されている。駆動部103の側面にはシリンダ部112の上側及び下側にそれぞれ連通された一対の作動流体供給口113、114が設けられている。PVDF製のピストン104は、駆動部103のシリンダ部112内に密封状態かつ軸線方向に上下動自在に嵌挿されており、底面中央にロッド部115が垂下して設けられている。
【0059】
PVDF製のダイヤフラム押さえ105は、中央部にピストン104のロッド部115が貫通する貫通孔116を有し、本体102と駆動部103の間に挟持されている。弁室109に収容されるPTFE製の弁体106は、ダイヤフラム押さえ105の貫通孔116を貫通し、かつダイヤフラム押さえ105の下面から突出したピストン104のロッド部115の先端に螺着されており、ピストン104の上下動に合わせて軸線方向に上下動する。弁体109は外周にダイヤフラム117を有しており、ダイヤフラム117の外周縁は、ダイヤフラム押さえ105と本体102との間に挟持されている。
【0060】
作動流体供給口114を介して外部から圧縮空気が供給されると、圧縮空気の圧力でピストン104が押し上げられる。これによりロッド部115が上方へ引き上げられるとともに、弁体106も上方へ引き上げられ、弁は開状態となる。一方、作動流体供給口93を介して圧縮空気が供給されると、ピストン104が押し下げられる。これにより、ロッド部115と弁体106が下方へ押し下げられ、弁は閉状態となる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、ベースプレートを定圧弁2または開閉弁200に適用したが、設置面に設置する必要のある他の被固定物に適用することもできる。例えば、ポンプやフィルターなどの配管ラインに接続される配管部材、更には、各種製造装置の内部の配管において、ポンプやフィルターなどに比べ配管施工される時期が遅く、狭隘な場所に設置されがちなバルブに好適に適用することができる。バルブの種類は特に限定されないが、定流量弁、ストップ弁、ダイヤフラム弁、ニードル弁、ピンチ弁、ボール弁などが好適なものとして挙げられる。このように、本発明のベースプレートが使用される被固定物は多岐にわたるので、例えば、本発明のベースプレートの台座が接続された配管部材同士であれば、バルブなどのサイズの違い、あるいは、ポンプとバルブというような配管部材の種類の違いに係らず、固定ピースを共有することができる。
【0062】
ベースプレートは、被固定物の構成部品として設けられても、被固定物の構成部品とせずに、単に被固定物の下部に設けられてもよい。ベースプレートは、台座と固定ピースとから構成され、台座の側面に凹部を設けるだけで、台座に固定ピースを装着することができるので、台座の上面や内部に溝や突起を形成するスペースが十分に存在する。したがって、特に、各種製造装置に使用されるバルブのように、被固定物に小型化が要求されるような場合は、台座にバルブの流路や弁座、シール部材装着溝などを形成し、ベースプレートを被固定物の構成部品の一部品とすることが好ましい。
【0063】
上記実施の形態では、台座の側面に被嵌合部としての凹部あるいは凸部を設けたが、被嵌合部の形状は、窪みや貫通孔等、いかなるものでもよい。また、被嵌合部を台座の複数の面にかけて、例えば、側面から下面にかけて形成してもよい。
図1のA方向およびB方向を幅方向と定義して、凹部を幅方向に沿って形成したが、A方向およびB方向のいずれかを長さ方向と定義して、凹部を長さ方向に沿って形成してもよい。台座を平面視略正方形状としたが、被固定物の取付部を有するのであれば、台座の形状はいかなるものでもよい。
【0064】
上記実施の形態では、固定ピースの端部に嵌合部としての凸部あるいは凹部を設けたが、被嵌合部に対応する形状であれば、嵌合部の形状はいかなるものでもよく、固定ピースの形状も上述したものに限らない。ボルト締結部に固定用ボルトが貫通する貫通穴を設けたが、貫通孔の代わりに切り欠きを設けるようにしてもよい。ボルト締結部の貫通孔や切り欠きの形状はいかなるものでもよい。例えば円形、楕円形、矩形でもよく、大きさの異なる孔をつなげたものでもよい。凸部や凹部の表面に設けられる突起や、凸部を構成する板ばねの形状も上述したものに限らない。
【0065】
ベースプレートの台座および固定ピースの材質としては、PVDFが使用可能であるが、特に限定されるものではなく、PTFE、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリエチレンなどの合成樹脂、または鉄、ステンレスなどの金属などでも良い。このとき、固定ピースの材質の強度を台座よりも低くすると、固定ピースの着脱に伴う摩耗や被固定物などに不測の外力がかかったときに、意図的に固定ピースに摩耗や外力を偏らせることができる。このため、台座、特にベースプレートを被固定物の構成部品として用いる場合には、被固定物の損傷を防ぐことができる。
【0066】
1,51,61,71,81,91,101 ベースプレート
2 定圧弁
3,102 本体
4 ボンネット
11,52,62,72,82,92,107 台座
12,53,63,73,83,93,108 固定ピース
13,54,64,74,84,94 凹部
14,80 溝部
15,75,85、95 ボルト締結部
16,55,65,76,86,96 凸部
17,77 差込板
18,78 板ばね
19,56,66,79,87,97 突起
200 開閉弁