特許第5693155号(P5693155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693155
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】管内面の洗浄方法および破砕用工具
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/055 20060101AFI20150312BHJP
   B08B 9/053 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B08B9/055 552
   B08B9/055 551
   B08B9/053 535
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-247977(P2010-247977)
(22)【出願日】2010年11月5日
(65)【公開番号】特開2012-96197(P2012-96197A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2013年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
(72)【発明者】
【氏名】石原 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】西槙 伸充
(72)【発明者】
【氏名】高橋 新平
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−061441(JP,A)
【文献】 実開平05−042357(JP,U)
【文献】 実開昭61−195904(JP,U)
【文献】 特開2006−314926(JP,A)
【文献】 特開2007−077598(JP,A)
【文献】 特開昭58−189086(JP,A)
【文献】 特開平11−210025(JP,A)
【文献】 特開2004−283740(JP,A)
【文献】 特開2009−192209(JP,A)
【文献】 特開平10−180655(JP,A)
【文献】 特開平05−270608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/055
B08B 9/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有する拡縮自在な洗浄用部材を縮小した状態で上流の発進側分岐管内から本管内へ挿入し、
本管内で、洗浄用部材の中空部に流体を注入して洗浄用部材を拡張し、
本管内に流体を流して洗浄用部材を移送することにより本管内面を洗浄用部材で洗浄し、
洗浄用部材が下流の到達側分岐管に到達して予め到達側分岐管に設けた捕捉用治具に捕捉されたことを、捕捉用治具の認識用部材で認識すると、捕捉用治具を到達側分岐管から取り外し、
到達側分岐管内に回収用工具を挿入して、回収用工具で洗浄用部材を破裂させて縮小し、
回収用工具を用いて、洗浄用部材を本管内から到達側分岐管内に取り込んで引き出す際に、洗浄用部材が到達側分岐管に詰った場合、回収用工具を到達側分岐管内から脱抜し、破砕用工具を到達側分岐管内に挿入して、破砕用工具で洗浄用部材を破砕し、
本管内の流体圧を利用して到達側分岐管内の洗浄用部材を押し出すことを特徴とする管内面の洗浄方法。
【請求項2】
上記請求項1に記載の管内面の洗浄方法に用いられる破砕用工具であって、
到達側分岐管内に挿脱自在な棒状部材と、棒状部材の先端に設けられた回転自在な破砕ヘッドとを有していることを特徴とする破砕用工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水道管等の管内面の洗浄方法および洗浄に使用される破砕用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管内面の洗浄方法については、例えば、図25に示すように、水道管101の上流側の開閉弁102と下流側の開閉弁103とを閉じて、水道管101の所定領域104の流れを遮断し、この状態で、拡縮自在な洗浄用ピグ105を上流の発進側分岐管106内から水道管101内へ挿入し、その後、上流側の開閉弁102を開いて水道管101内に通水し、洗浄用ピグ105を水道管101内の下流側へ移送しながら、水道管101の内面を洗浄用ピグ105で洗浄し、洗浄後、洗浄用ピグ105を下流の到達側分岐管107内から回収する洗浄方法が知られている(下記特許文献1参照)。また、拡縮自在な洗浄用ピグ105としては、内部に中空部を有する圧縮変形自在なゴム製のものが知られている(下記特許文献2参照)。
【0003】
発進側および到達側分岐管106,107の各内径は水道管101の内径よりも小径であり、上記のような洗浄方法では、洗浄用ピグ105は、発進側分岐管106内において縮径し、発進側分岐管106内から水道管101内に挿入されると拡径し、水道管101内から到達側分岐管107内に取り込まれると縮径される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−66522
【特許文献2】特開2001−87727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の従来形式では、特に、到達側分岐管107の内径と水道管101の内径とに大幅な差がある場合、洗浄用ピグ105は、水道管101内から到達側分岐管107内に挿入される際に、大幅に縮径されることになる。このため、縮径された洗浄用ピグ105が到達側分岐管107内の途中で詰ってしまい、洗浄用ピグ105(洗浄用部材)を到達側分岐管107内から回収することができないという問題が生じる。
【0006】
本発明は、洗浄用部材を到達側分岐管内から確実に回収することが可能な管内面の洗浄方法および破砕用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本第1発明における管内面の洗浄方法は、内部に中空部を有する拡縮自在な洗浄用部材を縮小した状態で上流の発進側分岐管内から本管内へ挿入し、
本管内で、洗浄用部材の中空部に流体を注入して洗浄用部材を拡張し、
本管内に流体を流して洗浄用部材を移送することにより本管内面を洗浄用部材で洗浄し、
洗浄用部材が下流の到達側分岐管に到達して予め到達側分岐管に設けた捕捉用治具に捕捉されたことを、捕捉用治具の認識用部材で認識すると、捕捉用治具を到達側分岐管から取り外し、
到達側分岐管内に回収用工具を挿入して、回収用工具で洗浄用部材を破裂させて縮小し、
回収用工具を用いて、洗浄用部材を本管内から到達側分岐管内に取り込んで引き出す際に、洗浄用部材が到達側分岐管に詰った場合、回収用工具を到達側分岐管内から脱抜し、破砕用工具を到達側分岐管内に挿入して、破砕用工具で洗浄用部材を破砕し、
本管内の流体圧を利用して到達側分岐管内の洗浄用部材を押し出すものである。
【0008】
これによると、回収用工具を用いて、破裂させた洗浄用部材を引き出す際、洗浄用部材が到達側分岐管内に詰った場合でも、縮小した洗浄用部材を破砕用工具で破砕することにより、洗浄用部材の体積が小さくなり、洗浄用部材が本管内の流体圧によって押し出される。これにより、洗浄用部材を到達側分岐管内から確実に回収することができる。
【0011】
本第発明は、上記第1発明に記載の管内面の洗浄方法に用いられる破砕用工具であって、
到達側分岐管内に挿脱自在な棒状部材と、棒状部材の先端に設けられた回転自在な破砕ヘッドとを有しているものである。
【0012】
これによると、破砕用工具の棒状部材を到達側分岐管内に挿入し、破砕ヘッドを回転させることにより、洗浄用部材が破砕ヘッドで破砕される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によると、洗浄用部材が到達側分岐管内に詰っても、破砕用工具を用いて洗浄用部材を破砕することにより、洗浄用部材を到達側分岐管内から確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における水道管およびその付帯設備の図である。
図2】同、洗浄装置を用いて水道管を洗浄している状態を示す図である。
図3】同、水道管内の洗浄に用いる洗浄用ボールの断面図である。
図4】同、水道管内の洗浄に用いる銛の図であり、(a)は正面図、(b)は(a)におけるX−X矢視図である。
図5】同、水道管内の洗浄に用いる捕捉用治具の側面図である。
図6】同、捕捉用治具の一部拡大断面図である。
図7】同、水道管内の洗浄に用いる破砕用工具の図であり、(a)は正面図、(b)は(a)におけるX−X矢視の拡大図である。
図8】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、洗浄用ボールを水道管内に挿入する行程を示す。
図9】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、捕捉用治具を取付ける行程を示す。
図10】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、捕捉用治具を取付ける行程を示す。
図11】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、捕捉用治具を取付ける行程を示す。
図12】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、洗浄用ボールで水道管内を洗浄している状態を示す。
図13】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、洗浄用ボールが捕捉用治具の受止部材に当接した状態を示す。
図14】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、洗浄用ボールが捕捉用治具で捕捉された状態を示す。
図15】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、捕捉用治具を取り外した状態を示す。
図16】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、銛で洗浄用ボールを破裂させる行程を示す。
図17】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、銛で洗浄用ボールを引上げる行程を示す。
図18】同、水道管内の洗浄に用いるフランジ蓋の断面図である。
図19】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、洗浄用ボールが詰った状態を示す。
図20】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、銛を回収した状態を示す。
図21】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、破砕用工具を挿入する行程を示す。
図22】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、破砕用工具で洗浄用ボールを破砕する行程を示す。
図23】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、水圧を利用して洗浄用ボールを押し上げる行程を示す。
図24】同、水道管内の洗浄方法を示す図であり、洗浄用ボールと破砕用工具とを回収した状態を示す。
図25】従来の水道管内の洗浄方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、1は地中に埋設された水道管(本管の一例)であり、水道管1には上流側の開閉弁2と下流側の開閉弁3とが設けられている。尚、図面において、各開閉弁2,3が閉じている場合は黒塗りで表示し、開いている場合は白抜きで表示する。
【0016】
両開閉弁2,3間は、水道管1内を洗浄する際に断水する断水区間4である。断水区間4には上流の発進側消火栓部5と下流の到達側消火栓部6とが設けられている。両消火栓部5,6は、水道管1の管頂部から分岐した縦管7,8と、縦管7,8の上端に接続されたボール式等の補修弁9,10と、補修弁9,10の上端に接続された消火栓11,12とを有している。
【0017】
消火栓部5,6はそれぞれ、地中に掘られた消火栓部収納用空間13,14内に収納されている。尚、縦管7,8の内径は水道管1の内径よりも小さい。また、消火栓部収納用空間13,14の上面開口部は着脱自在な蓋15,16で閉じられている。また、両消火栓部5,6間は、水道管1内を洗浄する際の洗浄対象区間17である。
【0018】
図2に示すように、21は水道管1の洗浄対象区間17を洗浄する洗浄装置である。この洗浄装置21は、拡縮自在な洗浄用ボール22(洗浄用部材の一例)と、接続短管23,24と、緊急時に洗浄用ボール22を回収する緊急時ボール回収手段25と、排水手段26と、水道管1内で洗浄用ボール22を捕捉する捕捉用治具27と、捕捉された洗浄用ボール22を破裂させて回収する銛28(回収用工具の一例,図4参照)と、破裂した洗浄用ボール22を破砕する破砕用工具29(図7参照)とを有している。
【0019】
図3に示すように、洗浄用ボール22は、ゴム等の弾性材製で且つ内部に中空部32を有する球体部33と、球体部33の外面を覆うスポンジ部34と、外部から中空部32に連通した注水口35とを備えている。注水口35には、中空部32に水37(流体の一例)を注入するための注水用ホース36が着脱自在に接続されている。尚、注水口35には、注水口35から中空部32に注入された水37が外部へ流出することを防止するバルブ等の逆流防止機構(図示省略)が備えられている。
【0020】
図2に示すように、発進側の接続短管23は発進側の補修弁9の上端に着脱自在であり、発進側の縦管7と補修弁9と接続短管23とによって発進側分岐管30が構成される。また、到達側の接続短管24は到達側の補修弁10の上端に着脱自在である。
【0021】
緊急時ボール回収手段25は、洗浄用ボール22に接続された回収用ロープ38と、回収用ロープ38を巻取り送出しする巻取装置39とを有している。巻取装置39は、発進側の接続短管23の上端に着脱自在な接続フレーム40と、接続フレーム40の上端に設けられた電動式のリール41とを有している。
【0022】
排水手段26は、到達側の接続短管24の上端に着脱自在な排水用接続管43と、排水用接続管43に接続された排水用配管44と、排水用配管44を開閉する排水用弁45とを有している。尚、排水用接続管43はT字管であり、到達側の縦管8と補修弁10と接続短管24と排水用接続管43とによって到達側分岐管31が構成される。
【0023】
図4図16に示すように、銛28は、到達側分岐管31内に挿脱自在な棒状部材48と、棒状部材48の先端に設けられ且つ先端が尖った突刺し部49とを有している。尚、突刺し部49は、破裂した洗浄用ボール22を引っ掛ける複数の掛止板49a(返し)を供えている。これら掛止板49aは、掛止部の一例であり、突刺し部49の基端部に放射状に設けられている。
【0024】
また、捕捉用治具27は以下のような構成を有している。
図5図6に示すように、捕捉用治具27は、排水用接続管43の上端開口部に形成されたフランジ43a(図9参照)に着脱自在な取付用フランジ51を有している。取付用フランジ51の中央部には貫通孔52が形成され、この貫通孔52には可動部材50が昇降自在に挿通されている。可動部材50は、到達側分岐管31内に挿脱自在であり、外側のパイプ部材53と、パイプ部材53内に挿通された棒状部材54とを有している。パイプ部材53は取付用フランジ51に対して昇降自在であり、棒状部材54はパイプ部材53に対して昇降自在である。
【0025】
パイプ部材53は下端部に円板状の上板体55を有している。また、棒状部材54は、上端部にねじ部56を有するとともに、下端部に円板状の下板体57を有している。ねじ部56はパイプ部材53の上方に突出し、ねじ部56には、ワッシャ62が外嵌され且つナット63が螺合されている。また、下板体57は上板体55の下方に対向している。
【0026】
上板体55と下板体57との間には、径方向に拡縮自在なゴム等の弾性材製の閉塞用ボール69が挟まれている。閉塞用ボール69は、可動部材50が上昇した際、到達側の縦管8の下端開口部を閉塞するものである。尚、棒状部材54の下端部は閉塞用ボール69を貫通している。
【0027】
下板体57には、水道管1内において洗浄用ボール22を下流側から受け止める受止部材58と、ストッパー59とが設けられている。この受止部材58は、平板状であり、その上端部が蝶番60を介して下板体57に連結され、蝶番60を中心にして水道管1の管長方向に揺動自在である。尚、受止部材58は、図5の実線で示すように、外力を受けない状態では下向きに垂下しており、垂下姿勢から水道管1の下流側への揺動範囲がストッパー59により所定の揺動範囲Aに規制される。図5の仮想線で示すように、受止部材58は、ストッパー59に当接した際、下部が水道管1の下流側へ傾斜する傾斜姿勢となる。
【0028】
図6に示すように、取付用フランジ51とパイプ部材53との間はOリング61等のシール材でシールされており、Oリング61を押えるためのねじ締め込み式の押え部材65がパイプ部材53に外嵌されている。押え部材65に形成された雄ねじを取付用フランジ51の貫通孔52に形成された雌ねじに螺合し、押え部材65を締め込むことにより、Oリング61が押圧されて圧縮され、取付用フランジ51とパイプ部材53との間がシールされる。
【0029】
図5に示すように、パイプ部材53には、可動部材50の軸心を到達側の縦管8の軸心に合わせる心出用治具66が外嵌されている。この心出用治具66は、パイプ部材53に対して軸心方向へ移動自在であり、固定用ボルト67によってパイプ部材53に固定される。
【0030】
パイプ部材53には、取付用フランジ51に対する可動部材50の上昇を認識するための認識用部材71が外嵌されている。認識用部材71は、パイプ部材53に対して軸心方向(上下方向)に移動自在な円筒状の本体72と、本体72をパイプ部材53に固定する固定ボルト73とを有している。
【0031】
図7に示すように、破砕用工具29は、到達側分岐管31内に上方から挿脱自在な棒状部材29aと、棒状部材29aの先端に設けられた回転自在な破砕ヘッド29bと、破砕ヘッド29bを回転駆動させる駆動装置(図示省略)とを有している。
【0032】
破砕ヘッド29bの外周には、複数の凹部29cと凸部29dとが交互に形成され、さらに、破砕ヘッド29bから軸心方向外向きに突出する複数の突起部材29eが設けられている。尚、突起部材29eの断面形状は、破砕ヘッド29bの端面から突出している部分において、三角形状に形成されている。
【0033】
以下、上記洗浄装置21を用いて水道管1の内面を洗浄する洗浄方法について説明する。
(1)先ず、図8に示すように、両開閉弁2,3を閉じ、洗浄対象区間17を断水状態(流れを遮断した状態)にする。その後、蓋15,16を取り外し、補修弁9,10から消火栓11,12を取り外し、発進側の補修弁9の上端に接続短管23を接続し、到達側の補修弁10の上端に接続短管24を接続する。この際、両補修弁9,10を開にしておく。
【0034】
(2)洗浄用ボール22の注水口35に注水用ホース36の先端を接続し、回収用ロープ38を洗浄用ボール22に接続し、洗浄用ボール22を、縮径(縮小)した状態で、発進側分岐管30から水道管1内に挿入する。
【0035】
(3)図3に示すように、水37を注水用ホース36から洗浄用ボール22の注水口35を通じて中空部32に所定量注入することにより、洗浄用ボール22を膨らませて拡径(拡張)させる。これにより、洗浄用ボール22の外面(すなわちスポンジ部34)が水道管1の内面に確実に接触した状態になる。
【0036】
(4)注水用ホース36を上方向に引っ張って、注水用ホース36の先端を洗浄用ボール22の注水口35から取り外した後、注水用ホース37を回収する。
(5)次に、図2に示すように、緊急時ボール回収手段25の接続フレーム40の下端のフランジを発進側の接続短管23の上端のフランジに接合する。この際、接続フレーム40の下端のフランジと発進側の接続短管23の上端のフランジとの間をガスケット等のシール材(図示せず)でシールし、また、接続フレーム40の下端のフランジと回収用ロープ38との間をパッキン等のシール材(図示せず)でシールする。
【0037】
(6)到達側の接続短管24の上端に排水用接続管43を接続し、捕捉用治具27を以下のようにして取付ける。
(7)押え部材65を緩めておき、固定ボルト73を緩めて認識用部材71をパイプ部材53に対して昇降自在にした状態で、図9に示すように、捕捉用治具27を排水用接続管43の上端開口部から到達側分岐管31内に挿入し、取付用フランジ51を排水用接続管43の上端のフランジ43aに接合する。
【0038】
(8)図10に示すように、ナット63を回すことにより、パイプ部材53に対して棒状部材54が引上げられ、上板体55と下板体57との上下間隔が縮小され、閉塞用ボール69の水平方向における直径が縦管8の内径よりも拡大する。
【0039】
(9)閉塞用ボール69が水道管1と到達側の縦管8との接合部分に下方から当接するまで、可動部材50を取付用フランジ51に対して一旦引上げ、その後、可動部材50を所定距離だけ下げて、図11に示すように、水道管1の頂部と上板体55との間に所定寸法(例えば数センチメートル)の隙間74を形成する。
【0040】
(10)押え部材65を締め込み、認識用部材71の下端が押え部材65の上端に当接した状態で、固定ボルト73を締付け、認識用部材71をパイプ部材53に固定する。これにより、可動部材50は、認識用部材71と押え部材65とを介して取付用フランジ51に支持され、到達側分岐管31内に吊り下げられた状態で保持される。これにより、捕捉用治具27が取り付けられる。
【0041】
(11)図2図12に示すように、下流側の開閉弁3を引き続き閉じた状態のままで、上流側の開閉弁2を開く。これにより、水道管1内の水W(流体の一例)が、開閉弁2から水道管1の洗浄対象区間17を流れ、到達側分岐管31を通って排水用配管44へ排水される。このため、拡径状態の洗浄用ボール22が水圧によって水道管1内の洗浄対象区間17を発進側から到達側へ移送され、この際、洗浄用ボール22のスポンジ部34が水道管1の内面を摺動することにより、水道管1の内面が洗浄される。また、このとき、洗浄用ボール22の移送に伴って、緊急時ボール回収手段25の回収用ロープ38がリール41から送り出される。
【0042】
尚、この際、図6に示すように、Oリング61が押え部材65により押圧されて圧縮されているため、取付用フランジ51とパイプ部材53との間がシールされるとともに、洗浄用ボール22が受止部材58に受け止められる前に、可動部材50が内水圧によって上昇してしまうのを防止することができる。
【0043】
(12)図13に示すように、洗浄用ボール22は、到達側の縦管8の下方に達すると、受止部材58によって受け止められる。この際、受止部材58は、上流側から下流側へ押され、蝶番60を中心に下流側へ揺動し、ストッパー59に当接して傾斜姿勢になる。これにより、洗浄用ボール22が捕捉用治具27で捕捉される。
【0044】
この際、心出用治具66が縦管8の内面に当接することにより、可動部材50が縦管8の径方向に変動するのを防止することができる。
また、図14に示すように、可動部材50は、捕捉された洗浄用ボール22から上向きの力Fを受けて、上昇する。この力Fにより、可動部材50と共に認識用部材71が押え部材65から上昇し、認識用部材71と押え部材65との間に隙間75が発生する。作業者は、この隙間75を目視で確認することにより、洗浄用ボール22が縦管8の下方に到達して捕捉用治具27で捕捉されたことを、確実且つ正確に認識(確認)することができる。
【0045】
さらに、上記のように洗浄用ボール22が捕捉された際、閉塞用ボール69は、可動部材50と共に上昇し、到達側の縦管8の下端開口部を閉塞して止水する。これにより、洗浄用ボール22の一部が縦管8に入り込んでしまうのを防止することができる。仮に、洗浄用ボール22の一部が縦管8に入り込んでしまうと、洗浄用ボール22が不用意に破裂して水道管1内に沈下し回収不能に陥る虞がある。
【0046】
(13)上流側の開閉弁2を閉じて、洗浄対象区間17を断水させる。その後、図15に示すように、取付用フランジ51を排水用接続管43の上端のフランジ43aから取り外し、捕捉用治具27を到達側分岐管31内から上方へ脱抜して取り外す。
【0047】
(14)図16に示すように、銛28を上方から到達側分岐管31内に挿入し、銛28の突刺し部49の先端で洗浄用ボール22を突き刺し破裂させて縮小する。
(15)図17に示すように、中央部分に貫通孔77を有するフランジ蓋78を、排水用接続管43の上端のフランジ43aに取付ける。この際、図18に示すように、銛28の棒状部材48をフランジ蓋78の貫通孔77に挿通しておく。尚、棒状部材48と貫通孔77の内周面との間はOリング79等のシール材でシールされており、Oリング79はフランジ蓋78に螺合した押え部材80により押圧されて圧縮されている。尚、棒状部材48はフランジ蓋78に対して軸心方向(上下方向)に移動自在である。
【0048】
そして、上流側の開閉弁2を開いて、水道管1内の水Wを開閉弁2から排水用配管44へ通水しながら、破裂した洗浄用ボール22を、銛28の掛止板49aに引っ掛けて、水道管1内から縦管8に取り込んで引き上げる。
【0049】
(16)この際、図19に示すように、洗浄用ボール22が縦管8の下端開口部に詰った場合、銛28を引き上げて洗浄用ボール22から離脱させ、図20に示すように、フランジ蓋78を排水用接続管43のフランジ43aから取り外し、銛28を到達側分岐管31から脱抜して回収する。尚、上記のように洗浄用ボール22が縦管8の下端開口部に詰った状態では、洗浄用ボール22の下部に作用する水道管1内の水圧P(流体圧の一例)により、洗浄用ボール22が上向きに押圧されている。
【0050】
(17)その後、図21に示すように、破砕用工具29を上方から到達側分岐管31内に挿入する。この際、フランジ蓋78を排水用接続管43のフランジ43aに取付け、図18に示すように、破砕用工具29の棒状部材29aをフランジ蓋78の貫通孔77に挿通しておく。尚、棒状部材29aと貫通孔77の内周面との間はOリング79等のシール材でシールされている。
【0051】
(18)そして、図22に示すように、破砕ヘッド29bを回転させて、洗浄用ボール22を破砕ヘッド29bで削り取って破砕する。これにより、洗浄用ボール22の体積が小さくなって、図23に示すように、洗浄用ボール22は、水道管1内の水圧Pによって下から押し上げられて、到達側分岐管31内の上端部(すなわち排水用接続管43内の上端部)まで上昇する。尚、この際、洗浄用ボール22の上昇と共に、破砕用工具29を引き上げる。
【0052】
(19)その後、開閉弁2を閉じて洗浄対象区間17を断水させ、図24に示すように、フランジ蓋78を排水用接続管43から取り外し、破砕用工具29と洗浄用ボール22とを排水用接続管43の上端開口部から取り出して回収し、水道管1の洗浄作業が完了する。これにより、洗浄用ボール22を到達側分岐管31内から確実に回収することができる。
【0053】
尚、洗浄作業中に、万一、洗浄用ボール22が、到達側の縦管8に達する前に、洗浄対象区間17の途中で破裂した場合、図2に示すように、緊急時ボール回収手段25のリール41を作動させて回収用ロープ38を巻き取ることにより、洗浄用ボール22を発進側の縦管7へ引き戻して発進側分岐管30内から回収することができる。
【0054】
洗浄作業完了後、緊急時ボール回収手段25と排水手段26と両接続短管23,24とを取り外し、図1に示すように、両消火栓11,12と両蓋15,16とを取り付ける。
上記実施の形態では、図21に示すように、洗浄用ボール22が縦管8の下端開口部に詰った場合、破砕用工具29を用いて洗浄用ボール22を破砕しているが、縦管8に限定されるものではなく、到達側分岐管31を構成している補修弁10又は接続短管24或は排水用接続管43のいずれかに詰った場合、破砕用工具29を用いて洗浄用ボール22を破砕してもよい。
【0055】
上記実施の形態では、洗浄用ボール22を破裂させることで縮小しているが、洗浄用ボール22内の水37を排出させることで洗浄用ボール22を縮小してもよい。
上記実施の形態では、本管の一例として水道管1を挙げたが、水道管1に限定されるものではなく、例えば下水道管等であってもよい。また、流体の一例として水Wを挙げたが、水Wに限定されるものではない。
【0056】
上記実施の形態では、消火栓用の縦管7,8を利用して水道管1を洗浄しているが、消火栓用に限定されるものではなく、例えば、空気管用の分岐管や各種補修用の分岐管等を利用して洗浄してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 水道管(本管)
22 洗浄用ボール(洗浄用部材)
28 銛(回収用工具)
29 破砕用工具
29a 棒状部材
29b 破砕ヘッド
30 発進側分岐管
31 到達側分岐管
P 水圧(流体圧)
W 水(流体)
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