(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所要数のパネルを屈曲自在に連結して構成されたシャッタカーテンと、シャフト両端部に設けられ、バランススプリングにより巻取り方向に付勢された巻取りドラムと、該巻取りドラムに巻設され下端が前記シャッタカーテンの最下段のパネルの側端面下端に設けられた係着ピンに係着されたワイヤと、前記最下段のパネルの両側端面に設けられたワイヤ緩み防止装置とを具備し、該ワイヤ緩み防止装置は、前記係着ピンの上側に設けられたシャフトと、該シャフトを中心に回転自在に設けられた回転板と、該回転板に突設された2本のピンと、前記シャフトを回転中心として前記回転板を回転させる方向に付勢する様設けられたスプリングとを有し、前記2本のピンのうち前記係着ピンに隣接するピンは前記シャフトと同心であり、前記ワイヤは前記2本のピンにS字状に掛回され、前記ワイヤの緩みに応じて前記スプリングが前記回転板を回転させ、前記ワイヤの緩みを吸収することを特徴とするオーバヘッドドア。
前記回転板は、前記スプリングにより前記ワイヤを巻取る方向に付勢され、該スプリングの付勢力は前記シャッタカーテンが正常に降下している状態で、前記ワイヤを巻取らない程度の強さである請求項1のオーバヘッドドア。
前記シャッタカーテンが完全に降下した状態では、前記ワイヤのテンションは弱まることなく、前記回転板が反巻取り方向に回転された状態が維持される請求項2のオーバヘッドドア。
【背景技術】
【0002】
建屋等の構築構造物の出入口等の開口部を開閉する開閉手段としてシャッタ装置があり、又シャッタ装置の1つとして、オーバヘッドドアがあり、該オーバヘッドドアでは、シャッタカーテンが所要数のパネルを屈曲自在に連結して構成され、該シャッタカーテンをガイドレールに沿って昇降させ、開口時にはシャッタカーテンは天井面に沿って格納される。
【0003】
又、オーバヘッドドアでは、シャッタカーテンの自重をバランススプリングの上方への付勢力によってバランスさせ、シャッタカーテン開閉時の開閉装置の負担を軽減している。
【0004】
オーバヘッドドアは、巻取りドラムに巻設されたワイヤを介してチェーン或はホイスト開閉機等により開閉されるが、開閉操作時、特に閉操作時にパネルが降下せず、巻取りドラムからワイヤのみが繰出され、ワイヤのテンションが緩み、ワイヤがドラムから外れることがある。
【0005】
上記の問題を解決する手段として、従来では巻取りドラムの近傍にワイヤテンショナを設け、ワイヤが緩んだ際にワイヤテンショナが作動することでワイヤのテンションを保っていた。
【0006】
図8に於いて、従来のワイヤテンション保持手段であるワイヤテンショナについて説明する。
【0007】
開口部(図示せず)の上方には、水平な巻取りドラムシャフト1が回転自在に設けられ、該巻取りドラムシャフト1の両端部に固着された巻取りドラム2にワイヤ3が巻設され、前記巻取りドラム2から前記ワイヤ3が繰出され、該ワイヤ3がシャッタカーテン(図示せず)の最下段のパネル(図示せず)に係着されている。
【0008】
又、前記巻取りドラム2の内側にはワイヤテンショナ4が設けられ、該ワイヤテンショナ4は断面コ字状でボルト等の固着具5により躯体6に取付けられると共に前記巻取りドラムシャフト1が貫通するブラケット7と、該ブラケット7を水平方向に回転自在に貫通するシャフト8と、該シャフト8に嵌設されたスプリング9と、前記シャフト8の端部に固着され一体に回転するL字状のアーム11と、該アーム11の水平部に回転自在に設けられたローラ12を有している。前記スプリング9は、前記アーム11に対して前記ワイヤ3を前記巻取りドラム2に巻付ける方向、例えば屋内側に回転する様付勢する。
【0009】
前記ローラ12は前記ワイヤ3よりも屋外側に位置し、何らかの理由で該ワイヤ3が緩んだ際には、前記シャフト8を介して前記アーム11が回転し、前記ローラ12が前記ワイヤ3を屋内側に引上げることで該ワイヤ3のテンションを保つ様になっている。尚、前記アーム11は、前記シャフト8が回転した際に前記巻取りドラムシャフト1と干渉しない様前記躯体6側に湾曲した形状となっている。
【0010】
然し乍ら、前記ワイヤテンショナ4を設ける場合、前記ブラケット7を前記躯体6に固定する必要がある為、前記ブラケット7を固定する為の下地を前記躯体6に新たに設ける必要があり高所作業となる。更に、前記ワイヤテンショナ4自体も大掛りな装置であるのでコストがかかりスペースも取るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は斯かる実情に鑑み、ワイヤ緩みが発生した際でもワイヤテンションを保ち、ドラムからワイヤが外れるのを防止すると共に、省スペース化、省コスト化を図るオーバヘッドドアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、所要数のパネルを屈曲自在に連結して構成されたシャッタカーテンと、シャフト両端部に設けられ、バランススプリングにより巻取り方向に付勢された巻取りドラムと、該巻取りドラムに巻設され下端が前記シャッタカーテンの最下段のパネルに係着されたワイヤとを具備し、前記最下段のパネルの両側端面にワイヤ緩み防止装置を設け、該ワイヤ緩み防止装置によって前記ワイヤの緩みを吸収するオーバヘッドドアに係るものである。
【0014】
又本発明は、前記ワイヤ緩み防止装置は、前記側端面に回転自在に設けられた回転板と、該回転板に突設された2本のピンと、前記回転板の前記2本のピンの間に設けられたシャフトと、前記回転板を回転させる方向に付勢する様設けられたスプリングとを有し、前記ワイヤは前記2本のピンにS字状に掛回され、前記スプリングは前記ワイヤの緩みに応じて前記回転板を回転させるオーバヘッドドアに係るものである。
【0015】
又本発明は、前記ワイヤ緩み防止装置は、前記側端面に回転自在に設けられた回転板と、該回転板に突設された少なくとも1本のピンと、前記回転板を回転させる方向に付勢する様設けられたスプリングとを有し、前記ワイヤは前記ピンを掛回して前記パネルの側端面に係着され、前記ワイヤの緩みに応じて前記回転板が回転されるオーバヘッドドアに係るものである。
【0016】
更に又本発明は、前記ワイヤ緩み防止装置は、前記最下段のパネルの側端面に設けられた上下方向に移動自在な係着ピンと、該係着ピンを下方に付勢するスプリングとを有し、前記係着ピンに前記ワイヤが係着されたオーバヘッドドアに係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所要数のパネルを屈曲自在に連結して構成されたシャッタカーテンと、シャフト両端部に設けられ、バランススプリングにより巻取り方向に付勢された巻取りドラムと、該巻取りドラムに巻設され下端が前記シャッタカーテンの最下段のパネルに係着されたワイヤとを具備し、前記最下段のパネルの両側端面にワイヤ緩み防止装置を設け、該ワイヤ緩み防止装置によって前記ワイヤの緩みを吸収するので、該ワイヤが緩んだ際に前記巻取りドラムから外れ、前記シャッタカーテンが開閉不能になるのを防止することができ、更に前記ワイヤ緩み防止装置は簡易な構成であり、省スペース化を図ることができる。
【0018】
又本発明によれば、前記ワイヤ緩み防止装置は、前記側端面に回転自在に設けられた回転板と、該回転板に突設された2本のピンと、前記回転板の前記2本のピンの間に設けられたシャフトと、前記回転板を回転させる方向に付勢する様設けられたスプリングとを有し、前記ワイヤは前記2本のピンにS字状に掛回され、前記スプリングは前記ワイヤの緩みに応じて前記回転板を回転させるので、前記ワイヤ緩み防止装置を設ける際に最下段のパネル以外に工事をする必要がなく、労力及びコストの軽減を図れると共に、既存のオーバヘッドドアに対しても容易に適用可能である。
【0019】
又本発明によれば、前記ワイヤ緩み防止装置は、前記側端面に回転自在に設けられた回転板と、該回転板に突設された少なくとも1本のピンと、前記回転板を回転させる方向に付勢する様設けられたスプリングとを有し、前記ワイヤは前記ピンを掛回して前記パネルの側端面に係着され、前記ワイヤの緩みに応じて前記回転板が回転されるので、前記ワイヤ緩み防止装置を設ける際に最下段のパネル以外に工事をする必要がなく、労力及びコストの軽減を図れると共に、既存のオーバヘッドドアに対しても容易に適用可能であり、更に前記ワイヤの緩みの吸収量を増加させる為の大型化を容易に行うことができる。
【0020】
更に又本発明によれば、前記ワイヤ緩み防止装置は、前記最下段のパネルの側端面に設けられた上下方向に移動自在な係着ピンと、該係着ピンを下方に付勢するスプリングとを有し、前記係着ピンに前記ワイヤが係着されたので、前記ワイヤ緩み防止装置を設ける際に最下段のパネル以外に工事をする必要がなく、簡易な構成であるので労力の低減及びコストの削減を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0023】
先ず
図1、
図2に於いて、本発明の実施例に係るオーバヘッドドアについて説明する。尚、
図8中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0024】
建屋等の躯体6の開口部13の両側柱14に沿って、垂直ガイドレール15が設けられ、天井に沿って水平ガイドレール16が設けられ、前記垂直ガイドレール15と前記水平ガイドレール16とは湾曲レール17によって連結されている。前記垂直ガイドレール15の上方には水平な巻取りドラムシャフト1等が設けられている。
【0025】
シャッタカーテン18は所要数のパネル19が屈曲自在に連結されて構成され、各パネル19の両端にはガイドローラ21が支軸(図示せず)を介して回転自在に設けられている。
【0026】
該ガイドローラ21は、前記垂直ガイドレール15、前記湾曲レール17、前記水平ガイドレール16に転動自在に嵌合し、前記シャッタカーテン18は前記垂直ガイドレール15、前記湾曲レール17、前記水平ガイドレール16に沿ってスライド可能となっている。
【0027】
前記巻取りドラムシャフト1はブラケット22を介し前記躯体6側(図示では側柱14)に回転自在に設けられている。前記巻取りドラムシャフト1の両端部には巻取りドラム2が設けられ、該巻取りドラム2に巻付けられたワイヤ3が前記シャッタカーテン18の最下段のパネル19の係着ピン23に係着されている。又、前記巻取りドラムシャフト1にはバランススプリング24が設けられ、該バランススプリング24は前記ワイヤ3を介して前記シャッタカーテン18を上昇方向に付勢している。
【0028】
前記開口部13が開かれる場合は、前記巻取りドラムシャフト1を介し前記巻取りドラム2が回転されることで前記ワイヤ3が巻取られ、前記シャッタカーテン18が前記垂直ガイドレール15に沿って引上げられ、更に前記水平ガイドレール16に格納される様になっている。
【0029】
又、前記開口部13が閉じられる場合は、前記巻取りドラムシャフト1を介して前記巻取りドラム2が逆方向に回転され、前記ワイヤ3が繰出されて前記シャッタカーテン18が自重により降下し、前記開口部13が閉じられる。
【0030】
本実施例では、最下段の前記パネル19の両側端面にワイヤ緩み防止機構を設け、前記ワイヤ3が緩んだ場合でも緩みを吸収し、該ワイヤ3のテンションを保つ様構成されている。
【0031】
図3(A)(B)、
図4(A)(B)に於いて、本発明の第1の実施例について説明する。又、
図3(A)(B)、
図4(A)(B)はそれぞれ最下段のパネル19の端部を拡大して示している。尚、
図3(A)(B)中、紙面に対して左方向を屋外側、紙面に対して右方向を屋内側としている。
【0032】
前記ワイヤ3の下端は屈曲されて折返され、該ワイヤ3と屈曲部とをスリーブ等のワイヤ束ね部材25で束ねることでリング状の係着部26が形成され、該係着部26を前記係着ピン23に引っ掛けることで、前記ワイヤ3が前記最下段のパネル19に係着される様になっている。
【0033】
又、該パネル19の下端には防水用の水切シール20が設けられると共に、端面の前記係着ピン23の上方にはワイヤ緩み防止装置27が設けられている。該ワイヤ緩み防止装置27は台座部28、シャフト29、捩りスプリング31、回転板32、上掛止めピン33及び下掛止めピン34により構成されている。
【0034】
前記台座部28は金属等により成型された板状の部材であり、前記最下段のパネル19の側端面にネジ等の固着具37により上下2箇所を固着されている。前記台座部28の上下方向中央には前記シャフト29が立設固着され、該シャフト29に前記回転板32が回転自在に設けられている。
【0035】
又、前記シャフト29の周囲には前記捩りスプリング31が嵌設され、該捩りスプリング31の両端はそれぞれ前記回転板32と前記台座部28に係止され、前記回転板32は前記捩りスプリング31により
図3中時計回り方向に付勢されている。
【0036】
前記回転板32の長手方向端部には、それぞれ円柱形状の前記上掛止めピン33と前記下掛止めピン34が突設され、前記上掛止めピン33と前記下掛止めピン34の先端には、それぞれ上掛止めピンフランジ38と下掛止めピンフランジ39が形成されており、前記上掛止めピン33は前記上掛止めピンフランジ38と前記回転板32との間に回転可能な上ローラ35を有し、前記下掛止めピン34は前記下掛止めピンフランジ39と前記回転板32との間に回転可能な下ローラ36を有している。
【0037】
前記ワイヤ3は前記上ローラ35の屋内側と接触し、更に前記下ローラ36の屋外側と接触する様S字状に掛回されて前記係着ピン23に係着されており、前記ワイヤ緩み防止装置27は前記回転板32が時計回り方向に付勢されていることから、前記ワイヤ3が緩んだ場合は前記シャフト29を中心に前記回転板32が回転し、前記上掛止めピン33及び下掛止めピン34により前記ワイヤ3を巻取る様になっている。又、前記上掛止めピンフランジ38と前記下掛止めピンフランジ39によって前記ワイヤ3が前記上掛止めピン33及び前記下掛止めピン34から外れない様になっている。
【0038】
尚、前記捩りスプリング31の付勢力は、前記シャッタカーテン18が正常に降下している状態で、前記バランススプリング24によるテンションが最小になった場合でも、前記ワイヤ3を巻取らない程度の強さとしている。
【0039】
前記シャッタカーテン18の開閉動作、例えば閉動作時に於いて、前記パネル19の大部分が前記水平ガイドレール16に格納された状態では、前記ワイヤ3も大部分が前記巻取りドラム2に巻取られ、前記バランススプリング24の撓み量も少なくなって前記ワイヤ3に作用するテンションも小さくなる。前記ワイヤ3のテンションが小さい場合には、
図3(A)に示される様に、前記捩りスプリング31の付勢力によって前記ワイヤ緩み防止装置27が前記ワイヤ3を僅かに撓ませた状態となる。
【0040】
前記シャッタカーテン18が降下されるにつれて、前記パネル19の自重が増大すると共に、前記バランススプリング24の撓み量も増大して前記ワイヤ3のテンションが増加する。尚、前記バランススプリング24による付勢力に対し、前記パネル19の自重が大きくなる様設定され、又前記バランススプリング24の付勢力と前記パネル19の自重との差は変動しない様になっている。前記シャッタカーテン18が完全に降下される直前、即ち前記ワイヤ3のテンションが最大となっている時には、前記巻取りドラム2と前記係着ピン23との間の前記ワイヤ3は直線状となり、前記回転板32は垂直の状態から若干反時計回り方向に回転された状態となる。
【0041】
又、前記シャッタカーテン18が完全に降下し、前記水切シール20が地面と接触した際には、前記バランススプリング24の付勢力と前記パネル19の総重量の差分が地面に荷重としてかかり、該パネル19には前記バランススプリング24の付勢力が作用しているので、前記ワイヤ3のテンションは弱まることなく、前記回転板32が反時計回りに回転された状態が維持される。
【0042】
上記工程に於いて、前記パネル19と前記水平ガイドレール16との摩擦により、或は前記パネル19が前記垂直ガイドレール15に接触する等の理由により、前記シャッタカーテン18が前記巻取りドラム2の前記ワイヤ3の繰出しと連動して降下しない場合には、前記シャッタカーテン18の降下量に対して前記ワイヤ3の繰出しが多くなる。
【0043】
この時、前記シャッタカーテン18の降下量以上に前記ワイヤ3が繰出されることで前記ワイヤ3が緩み、テンションは前記捩りスプリング31の付勢力よりも弱くなるので、前記ワイヤ緩み防止装置27が作動し、
図3(B)に示される様に、前記ワイヤ3に接触している前記上ローラ35及び前記下ローラ36が回転しながら前記回転板32が時計回り方向に回転することで、前記上掛止めピン33及び前記下掛止めピン34に前記ワイヤ3が巻取られ、前記巻取りドラム2と前記上掛止めピン33との間で前記ワイヤ3にテンションが発生し、該ワイヤ3が緩むことなくテンションが保たれる。
【0044】
尚、前記上掛止めピン33及び前記下掛止めピン34は、前記上ローラ35及び前記下ローラ36を介して前記ワイヤ3と接触しているので、該ワイヤ3を巻取る過程で前記上ローラ35及び前記下ローラ36が回転し、前記上掛止めピン33及び前記下掛止めピン34と前記ワイヤ3との間で摩擦が発生せず、前記捩りスプリング31による付勢力が減少されることなく前記ワイヤ3に伝えられ、又前記上掛止めピン33及び前記下掛止めピン34と前記ワイヤ3間の擦れによる摩耗が防止される。
【0045】
又、前記ワイヤ緩み防止装置27は前記ワイヤ3の緩みを300mm〜400mm程度吸収可能であるが、前記回転板32の長手方向の長さを長くする、或は前記ワイヤ緩み防止装置27を複数個設ける等を行うことにより、前記ワイヤ3の緩みを更に多く吸収することができる。
【0046】
上述の様に、前記ワイヤ緩み防止装置27を最下段のパネル19の両端面に設け、前記ワイヤ3のテンションが弱まった際には前記ワイヤ緩み防止装置27が前記ワイヤ3を巻取り、該ワイヤ3のテンションを保つ様にしたので、何らかの理由により前記シャッタカーテン18が降下せず、前記巻取りドラム2から繰出される前記ワイヤ3のテンションが緩み、該ワイヤ3が前記巻取りドラム2から外れ、前記シャッタカーテン18が開閉不能になるのを防止することができる。
【0047】
又、前記ワイヤ緩み防止装置27は前記最下段のパネル19の側端面に設けられるので、前記ワイヤ緩み防止装置27を前記躯体6に設置する為に該躯体6に下地を新たに設ける必要がなく、更に地上での作業となり、労力の軽減が図れると共に、既存のオーバヘッドドアに対しても容易に適用可能である。
【0048】
又、前記ワイヤ緩み防止装置27は従来のワイヤテンション保持手段であるワイヤテンショナよりも小型且つ簡易な構造である為、省スペース化及び製造に於ける省コスト化を図ることができる。
【0049】
次に、
図5(A)(B)、
図6(A)(B)に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。又、
図5(A)(B)、
図6(A)(B)はそれぞれ最下段のパネル19の端部を拡大して示している。尚、
図5(A)(B)、
図6(A)(B)中、
図3(A)(B)、
図4(A)(B)中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図5(A)(B)中では、第1の実施例と同様、紙面に対して左方向を屋外側、紙面に対して右方向を屋内側としている。
【0050】
第2の実施例に於けるワイヤ緩み防止装置41も、第1の実施例のワイヤ緩み防止装置27と同様、最下段パネル19の両側端面の係着ピン23の上方に設けられる。
【0051】
前記ワイヤ緩み防止装置41は、前記最下段のパネル19の側端面にネジ等の固着具42により固着された台座部43と、該台座部43に立設固着されたシャフト44と、該シャフト44に長手方向裏面の端部が回転自在に取付けられた回転板45と、前記シャフト44の周囲に嵌設され前記回転板45を時計回り方向に付勢する捩りスプリング46と、前記回転板45の長手方向の両端部表面にそれぞれ突設された円柱形状の上掛止めピン47及び下掛止めピン48とで構成されている。
【0052】
前記上掛止めピン47及び前記下掛止めピン48は、それぞれ先端に上掛止めピンフランジ49及び下掛止めピンフランジ51が形成され、前記上掛止めピンフランジ49と前記回転板45及び前記下掛止めピンフランジ51と前記回転板45との間にそれぞれ上ローラ52及び下ローラ53を有している。尚、前記下掛止めピン48は前記シャフト44と同心であり、前記回転板45は前記下掛止めピン48を回転中心として回転する様になっている。
【0053】
シャッタカーテン18の閉操作時に於いて、前記ワイヤ3が巻取られて前記パネル19の大部分が水平ガイドレール16に格納された状態では、バランススプリング24(
図1参照)の付勢力が小さく、ワイヤ3のテンションも弱くなり、
図5(A)に示される様に、前記ワイヤ緩み防止装置41が前記ワイヤ3を僅かに撓ませた状態となる。
【0054】
前記シャッタカーテン18が降下すると、前記バランススプリング24の付勢力の増加と前記パネル19の自重の増加により前記ワイヤ3のテンションが増加する。該テンションが前記捩りスプリング46の付勢力を上回ることで、前記回転板45が反時計回りに若干傾いた状態となる。前記シャッタカーテン18の降下が完了し、水切シール20が地面と接触した後も、前記パネル19に前記バランススプリング24の付勢力が作用し、前記ワイヤ3のテンションが維持されることで前記回転板45の状態は変化しない。
【0055】
上記工程に於いて、何らかの理由により前記シャッタカーテン18が降下せず、巻取りドラム2(
図2参照)から前記ワイヤ3が繰出された場合には、該ワイヤ3のテンションが緩み、該テンションが前記捩りスプリング46の付勢力よりも弱くなるので、前記ワイヤ緩み防止装置41が作動する。該ワイヤ緩み防止装置41が作動すると、
図5(B)に示される様に、前記下掛止めピン48を中心に前記下ローラ53が回転しながら前記回転板45が時計回り方向に回転することで、前記上掛止めピン47に前記ワイヤ3が巻取られ、前記巻取りドラム2と前記上掛止めピン47との間で前記ワイヤ3にテンションが発生し、該ワイヤ3が緩むことなくテンションが保たれ、該ワイヤ3が前記巻取りドラム2から外れるのを防止することができる。
【0056】
尚、第2の実施例では、前記上掛止めピン47及び前記下掛止めピン48にそれぞれ上ローラ52及び前記下ローラ53を設けているが、前記下掛止めピン48は前記シャフト44と同心であり、前記下掛止めピン48と前記ワイヤ3との間に発生する摩擦は僅かであるので、前記下ローラ53を省略してもよい。
【0057】
又、前記回転板45は前記下掛止めピン48と同心に設けられた前記シャフト44を中心に屋内側に回転されるので、前記ワイヤ緩み防止装置41が作動した際に前記回転板45が躯体6(
図2参照)に衝突することがない。又、前記ワイヤ3の吸収量を増加させる為の前記回転板45の大型化も可能である。
【0058】
又、第2の実施例の場合も、第1の実施例と同様、設ける前記ワイヤ緩み防止装置41の数を増加させることで前記ワイヤ3の緩みの吸収量を増加させることができる。
【0059】
更に、前記下掛止めピン48を省略し、前記ワイヤ3を前記上掛止めピン47の屋内側から掛回して前記ワイヤ3を前記係着ピン23に係着させた場合でも、前記ワイヤ緩み防止装置41によって前記ワイヤ3の緩みを吸収することができる。
【0060】
尚、第1の実施例及び第2の実施例のワイヤ緩み防止装置では、捩りスプリングによって回転板を回転させ、上掛止めピン及び下掛止めピンでワイヤを巻取ることでワイヤの緩みを吸収しているが、ワイヤが緩んだ際にワイヤのテンションを保てれば他の構造であってもよく、
図7(A)(B)にその変形例を示す。
【0061】
変形例に於けるワイヤ緩み防止装置54は、最下段のパネル19両端の側端面に設けられ係着部26を介してワイヤ3と係着される係着ピン23と、該係着ピン23が貫通すると共に該係着ピン23を上下方向に移動自在とする様前記最下段のパネル19の側端面に穿設された長孔55と、該長孔55の下方に突設された係止ピン56と、前記係着ピン23と前記係止ピン56に接続され、前記係着ピン23を下方に付勢するコイルスプリング57とで構成されている。
【0062】
上記変形例の場合、前記係着ピン23を介して前記コイルスプリング57によって前記ワイヤ3が常時下方に付勢されており、何らかの理由によりシャッタカーテン18が降下せず、前記ワイヤ3が緩んだ場合には、前記係着ピン23が前記長孔55を介して下方に移動する様になっている。
【0063】
従って、前記ワイヤ3が緩んだ場合であっても該ワイヤ3のテンションを保つことができるので、該ワイヤ3が緩むことにより前記巻取りドラム2から外れるのを防止することができ、更に該変形例は簡易な構成であり、低コストでの実施が可能である。