(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお以降の図において、盛付皿およびサンプル皿が円で示されている場合がある。
【0021】
[飲食物搬送装置の構成および動作]
図1は、本発明の一実施の形態におる飲食物搬送装置の構成を示す平面図である。なお
図1では、ベルトコンベア102が走行レーン101の一部にのみ示されているが、ベルトコンベア102は実際には走行レーン101の全周に渡って設けられている。
【0022】
図1を参照して、本実施の形態における飲食物搬送装置100は、たとえば回転寿司店などの店舗内に配置されている。店舗内は、客が飲食を行う飲食エリアA1と、従業員が客の面前で飲食物を作製(調理)する厨房エリアA2と、従業員が飲食物を作製(調理)する厨房エリアA3とに分けられている。飲食エリアA1および厨房エリアA2と、厨房エリアA3とは、壁WAによって隔てられている。飲食エリアA1には、カウンター席である座席201および202と、テーブル席である座席203および204とが設けられている。
【0023】
飲食物搬送装置100は、飲食エリアA1の座席201〜204に座っている客へ飲食物を提供(搬送)するものである。飲食物搬送装置100は、環状の走行レーン101に沿って走行する環状のベルトコンベア102(走行体の一例)と、2つの線状の走行レーン103および105の各々に沿って走行する搬送体107および109の各々と、搬送体107および109の各々を駆動するための搬送部111および113とを含んでいる。環状の走行レーン101はいわゆる通常レーン(循環レーン)であり、客への飲食物の提供中にベルトコンベア102は常に回動している。厨房エリアA3に居る従業員によって、たとえば寿司などの飲食物が盛り付けられた盛付皿DがテーブルT2上で作製され、この盛付皿Dがベルトコンベア102上に載置されると、盛付皿Dはベルトコンベア102によってたとえば矢印AR1で示す方向に搬送される。具体的には、盛付皿Dは厨房エリアA3から、壁WAに設けられた穴を通り抜けて飲食エリアA1内に入り、座席201→座席202→座席203→座席204の順で各座席に居る客の面前に搬送される。その後盛付皿Dは、壁WAに設けられた穴を通り抜けて厨房エリアA3内へ戻り、再び飲食エリアA1内に搬送される。
【0024】
座席201〜204に座っている客は、ベルトコンベア102上を循環搬送される盛付皿Dを眺めながら、気に入った盛付皿Dをベルトコンベア102上から取り出し、各自のテーブルT1上にて飲食することができる。
【0025】
走行レーン103および105は、いわゆる特急レーンであり、客から注文を受けた注文品を搬送するためのものである。走行レーン103に設けられた搬送体107、および走行レーン105に設けられた搬送体109の各々は、それぞれの走行レーンに沿って往復移動可能である。すなわち、走行レーン103に設けられた搬送体107は、走行レーン103における厨房エリアA3側の端部103aから飲食エリアA1側の端部103bまで自由に移動可能であり、走行レーン103上の任意の位置にて停止可能である。同様に、走行レーン105に設けられた搬送体109は、走行レーン105における厨房エリアA3側の端部105aから飲食エリアA1側の端部105bまで、自由に移動可能であり、走行レーン105上の任意の位置にて停止可能である。搬送体107および109の一連の動きは、たとえば厨房エリアA3内に居る従業員によって操作される。
【0026】
座席201〜204に座っている客は、走行レーン101を所望の飲食物が循環してない場合には、店員または図示しない注文装置などを介して個別に飲食物を注文することができる。客からの注文を受けた場合、厨房エリアA3内に居る従業員によって、注文品である飲食物が盛り付けられた盛付皿DがテーブルT2上で作製され、搬送体107および109のうちいずれか一方にこの盛付皿Dが載置される。盛付皿Dが載置される際、搬送体107または109は端部103aまたは105a付近に位置している。盛付皿Dが搬送体107または109上に載置されると、盛付皿Dは厨房エリアA3から、壁WAに設けられた穴を通り抜けて飲食エリアA1内に入り、飲食物を注文した客の座席付近まで搬送される。
【0027】
この時、走行レーン103に面した座席201の客が注文した飲食物の盛付皿Dは、走行レーン103の搬送体107によって矢印AR2で示す方向に搬送され、飲食物を注文した客の面前で停止される。走行レーン105に面した座席203および204の客が注文した飲食物の盛付皿Dは、走行レーン105の搬送体109によって矢印AR2で示す方向に搬送され、飲食物を注文した客の面前で停止される。これらの場合、飲食物を注文した客は、盛付皿Dを搬送体107または109上から取り出し、各自のテーブルT1上にて飲食することができる。一方、走行レーン103および105のいずれにも面していない座席202の客が注文した飲食物の盛付皿Dは、搬送体107および109のいずれかによって搬送され、端部103bまたは105b付近にて停止される。この場合盛付皿Dは、厨房エリアA2に居る従業員によって客へ提供される。
【0028】
盛付皿Dが取られた後の搬送体107または109は、矢印AR3で示すように、飲食エリアA1から壁WAに設けられた穴を通り抜けて厨房エリア内の端部103aまたは105a付近に戻る。
【0029】
なお飲食物搬送装置100には、上記の構成の他、一定時間循環した盛付皿Dをベルトコンベア102上から自動的に除去して廃棄する廃棄装置(図示無し)が設けられていてもよい。
【0030】
ここで、飲食物搬送装置100は、ベルトコンベア102に搭載された盛付皿配列装置1をさらに備えている。盛付皿配列装置1は、ベルトコンベア102によって搬送される盛付皿Dをきれいに配列させるものであり、ベルトコンベア102に搭載されている。
【0031】
盛付皿配列装置1は、走行レーン101のいずれの位置に配置されてもよいが、客がベルトコンベア102上の飲食物を取る妨げとならないようにするためには、盛付皿配列装置1は、厨房エリアA3内のような座席201〜204に面していない位置に配置されることが好ましい。
【0032】
[盛付皿配列装置の構成]
図2は、盛付皿配列装置の構成を示す側面図である。なお
図2においては、
図1中矢印AR1で示す盛付皿の搬送方向の下流側から見た場合の盛付皿配列装置1が、飲食物搬送装置100のベルトコンベア102とともに示されている。ベルトコンベア102は断面で示されており、その内部構成は省略されている。
【0033】
図2を参照して、盛付皿配列装置1は、センサ2と、ストッパ3および4(停止部材の一例)と、筐体5および6と、操作パネル7と、退避ボタン8と、解放間隔調節つまみ9と、制御部10とを備えている。筐体5はベルトコンベア102の
図2中右側に配置されており、筐体6はベルトコンベア102の
図2中左側に配置されている。筐体5内には制御部10が設けられている。筐体5と筐体6とは、たとえばベルトコンベア102の上部で接続することで一体化していてもよい。ストッパ3は筐体5に設けられており、筐体5に設けられた突出口5aの内部に引込んだ状態と、突出口5aから
図2中左方に突出した状態とで変化可能となっている。同様に、ストッパ4は筐体6に設けられており、筐体6に設けられた突出口6aの内部に引込んだ状態と、突出口6aから
図2中右方に突出した状態とで変化可能となっている。
【0034】
走行しているベルトコンベア102上には盛付皿Dが載置されている。盛付皿Dは、皿51と、皿51上に盛り付けられた寿司などの飲食物53とを有している。ストッパ3および4の各々が
図2に示すように突出すると、ベルトコンベア102上にストッパ3および4が配置された状態となる。これにより、ストッパ3および4によって盛付皿Dの移動が妨げられ、盛付皿Dは、ベルトコンベア102がその下を滑っている状態で停止する。また、ストッパ3および4の各々が突出口5aまたは6aの内部に引込むと、走行しているベルトコンベア102上からストッパ3および4が撤去された状態となる。これにより、盛付皿Dの移動の停止が解除され、盛付皿Dはベルトコンベア102とともに移動する。
【0035】
以降、ストッパ3および4の各々がベルトコンベア102上に配置された状態を突出状態と呼び、ストッパ3および4の各々がベルトコンベア102上から撤去された状態を解放状態と呼ぶことがある。
【0036】
ストッパ3および4の各々は、ある時間間隔INTで盛付皿Dの移動の停止を解除する。つまり時間間隔INTは、ストッパ3および4が開放状態から突出状態に変化した時刻から、突出状態から開放状態に変化した時刻までの時間間隔である。盛付皿配列装置1は、ストッパ3および4の各々が時間間隔INTで盛付皿Dの移動の停止を解除することにより、ベルトコンベア102上における盛付皿D同士の間隔を調節する。
【0037】
センサ2は、たとえば筐体5付近に設けられている。センサ2は、ベルトコンベア102上において、ストッパ3および4よりも矢印AR1で示す搬送方向の上流側の位置を通過するサンプル皿を検出するものである。サンプル皿とは、サンプル皿のたとえば直後を搬送される盛付皿Dを説明または宣伝するための皿であり、飲食物の代わりに看板などが乗った皿である。センサ2は、サンプル皿の裏面やサンプル皿上の看板などに取り付けられた、IC(Integrated Circuit)タグやバーコードを読み取ることにより、サンプル皿を検出する。
【0038】
操作パネル7は、たとえば筐体5付近に設けられている。操作パネル7はタッチパネルになっており、従業員であるユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作による指示または設定の入力を受け付けたりする。操作パネル7は、特にストッパ3および4の時間間隔INTを設定するための入力を受け付ける。操作パネル7は、制御部10により制御されて表示を行う。また、操作パネル7の操作ボタンがユーザにより操作されると、操作パネル7は、その操作に応じた操作信号または所定のコマンドを制御部10に送信する。つまりユーザは、操作パネル7を通じて盛付皿配列装置1を操作することができる。
【0039】
筐体6のたとえば上部には退避ボタン8が設けられている。退避ボタン8は、緊急の場合などにストッパ3および4を開放状態とし、盛付皿Dの移動がストッパ3および4によって妨げられないようにするためのものである。退避ボタン8が押された場合には、ストッパ3および4の各々は開放状態とされる。退避ボタン8が押された場合には、ストッパ3および4の各々を開放状態とした後で、盛付皿配列装置1の電源がオフにされてもよい。
【0040】
筐体6のたとえば側面には解放間隔調節つまみ9が設けられている。解放間隔調節つまみ9は、ストッパ3および4の時間間隔INTを設定するものである。たとえば、解放間隔調節つまみ9において、つまみ9aが∞の目盛りの位置にセットされた場合には、ストッパ3および4が常に突出状態(時間間隔INTが無限大の状態)となる。つまみ9aが∞の目盛りの位置から時計回りに回転された場合には、時間間隔INTが目盛りに記載された時間間隔に設定される。つまみ9aが時計回りに最大限回転されて0の目盛りにセットされた場合には、ストッパ3および4が常に解放状態(時間間隔INTが0の状態)となる。繁忙時などには、ベルトコンベア102上の盛付皿Dの数が多くなるため、ストッパ3および4は常に解放状態とされることが好ましい。なお、つまみ9aがオフの位置にセットされた場合には、解放間隔調節つまみ9からの時間間隔INTの設定の入力を受け付けず、後述する操作パネル7からの入力に基づいて時間間隔INTが設定される。
【0041】
図3は、本発明の一実施の形態における盛付皿配列装置および飲食物搬送装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
図3を参照して、盛付皿配列装置1の制御部10は、たとえばCPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)33と、RAM(Random Access Memory)35と、HDD(Hard Disk Drive)37と、通信I/F39とを含んでいる。また盛付皿配列装置1は、計時部41を備えている。なお制御部10は、記憶装置として、HDDの代わりにSSD(Flash Solid State Drive)を備えていてもよい。
【0043】
制御部10は、センサ2、操作パネル7、および退避ボタン8の各々から信号の入力を受け付ける。また制御部10は、操作パネル7、およびストッパ3および4の各々を制御する。
【0044】
CPU31は、盛付皿配列装置1全体の制御を行なう。またCPU31は、ROM33に記憶された制御プログラムを実行する。CPU31は、所定の処理を行なうことにより、ROM33、RAM35からのデータの読み込みや、ROM33、RAM35へのデータの書き込みを行なう。
【0045】
ROM33は、たとえばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM33には、盛付皿配列装置1の動作を行なうための各種プログラムと、各種固定データとが格納されている。ROM33は、書換え不可能なものであってもよい。
【0046】
RAM35は、CPU31のメインメモリである。RAM35は、CPU31が制御プログラムを実行するときに必要なデータを記憶するためなどに用いられる。
【0047】
HDD37は、後述する客数テーブル(
図5)や時刻テーブル(
図6)などを記憶する記憶装置である。
【0048】
通信I/F39は、CPU31からの指示に従って、飲食物搬送装置100との通信を行う。特に通信I/F39は、飲食物搬送装置100に対してベルトコンベア102の速度に関する情報の送信を要求し、飲食物搬送装置100から送信されてきた情報を受信する。
【0049】
計時部41は、現在時刻を保持し、また所定の時間を計測(カウント)する。
【0050】
盛付皿配列装置1は飲食物搬送装置100と接続されている。飲食物搬送装置100は、制御部120と、操作パネル115とを含んでいる。制御部120は、たとえばCPU131と、ROM133と、RAM135と、HDD137と、通信I/F139とを含んでいる。
【0051】
制御部120は、ベルトコンベア102の速度設定や、搬送体107および109の各々の操作に関する入力を操作パネル115から受け付ける。また制御部120は、ベルトコンベア102、搬送部111、搬送部113、および操作パネル115の各々を制御する。CPU131は、飲食物搬送装置100全体の制御を行なう。またCPU131は、ROM133に記憶された制御プログラムを実行する。CPU131は、所定の処理を行なうことにより、ROM133、RAM135からのデータの読み込みや、ROM133、RAM135へのデータの書き込みを行なう。なお、盛付皿配列装置1は飲食物搬送装置100と接続されていなくてもよいし、盛付皿配列装置1は図示しないPOSシステム(販売時点情報管理装置)と接続されていてもよい。
【0052】
図4は、盛付皿配列装置の操作パネルに表示される画面の一例を示す図である。
【0053】
図4を参照して、盛付皿配列装置1の電源がオンされると、操作パネル7には「モードを選択して下さい」の文字と、それぞれ「手入力モード」と記載されたボタン71と、「客数入力モード」と記載されたボタン73と、「時刻入力モード」と記載されたボタン75とが表示される。この表示により操作パネル7は、ストッパ3および4の時間間隔INTの設定の入力を受け付ける。
【0054】
図4に示す画面において、「手入力モード」のボタン71がユーザによって押下された場合、操作パネル7は、たとえばテンキーを表示することにより、ストッパ3および4の時間間隔INTの設定の入力(数字の入力)をユーザから受け付ける。そして盛付皿配列装置1は、入力された設定に従って時間間隔INTを設定し、動作を開始する。
【0055】
「客数入力モード」のボタン73がユーザによって押下された場合、操作パネル7は、たとえばテンキーを表示することにより、現在の客数(座席201〜204に座っている客数)の入力(数字の入力)をユーザから受け付ける。そして盛付皿配列装置1は、後述する客数テーブル(
図5)を用いて、入力された客数に基づいて時間間隔INTを設定し、動作を開始する。なお、現在の客数については、操作パネル7を通じてユーザから入力を受け付ける代わりに、POSシステムから取得してもよい。
【0056】
「時刻入力モード」のボタン75がユーザによって押下された場合、後述する時刻テーブル(
図6)を用いて、計時部41の現在時刻に基づいて時間間隔INTを設定し、動作を開始する。時間間隔INTを設定後、操作パネル7は
図4の表示状態に戻る。
【0057】
図5は、盛付皿配列装置のHDDに記憶される客数テーブルの一例を示す図である。
【0058】
図5を参照して、客数テーブルには、ユーザによって入力された客数と、ストッパ3および4の時間間隔INTとの関係が記載されている。具体的には、ユーザが入力した現在の客数が10人以下である場合には、ベルトコンベア102上に載置される盛付皿Dの数が少ないことが予想されるので、ストッパ3および4の時間間隔INTが最大の値である7秒に設定される。これにより、盛付皿D同士の間隔が大きくなる。ユーザが入力した現在の客数が増えるに従って、ベルトコンベア102上に載置される盛付皿Dの数が増えると予想されるので、ストッパ3および4の時間間隔INTも徐々に短く設定される。これにより、盛付皿D同士の間隔が徐々に小さくなる。ユーザが入力した現在の客数が41人以上である場合には、ベルトコンベア102上になるべく多くの盛付皿Dが載置可能となるように、ストッパ3および4の時間間隔INTが0とされ、ストッパ3および4が常に開放状態とされる。
【0059】
図6は、盛付皿配列装置のHDDに記憶される時刻テーブルの一例を示す図である。
【0060】
図6を参照して、時刻テーブルには、現在の時刻が含まれる時間帯と、ストッパの時間間隔INTとの関係が記載されている。具体的には、現在の時刻が午後10時〜午前10時の時間帯に含まれる場合には、客数が少なく、ベルトコンベア102上に載置される盛付皿Dの数が少ないことが予想されるので、ストッパ3および4の時間間隔INTが最大の値である7秒に設定される。これにより、盛付皿D同士の間隔が大きくなる。現在の時刻が午前10時〜午後12時、午後2時〜午後6時、または午後8時〜午後10時の時間帯に含まれる場合には、前述の時間帯に比べて客数が多く、ベルトコンベア102上に載置される盛付皿Dの数が多いことが予想されるので、ストッパ3および4の時間間隔INTが前述の時間帯よりも短い5秒または3.5秒に設定される。これにより、盛付皿D同士の間隔が小さくなる。現在の時刻が午後12時〜午後2時および午後6時〜午後8時の最も混雑する時間帯に含まれる場合には、ベルトコンベア102上になるべく多くの盛付皿Dが載置可能となるように、ストッパ3および4の時間間隔INTが0とされ、ストッパ3および4が常に開放状態とされる。
【0061】
なお、上述の時刻テーブルにおいては、現在時刻のみに基づいて時間間隔INTが設定される場合について示したが、時間間隔INTの設定には、現在時刻に加えて曜日や日付などが考慮されてもよい。
【0062】
また、ベルトコンベア102上における盛付皿D同士の間隔は、時間間隔INTのみならず、ベルトコンベア102の速度(盛付皿Dの搬送速度)にも依存する。つまり、時間間隔INTが一定の値に設定されていても、ベルトコンベア102の速度が大きい場合は盛付皿D同士の間隔は大きくなり、ベルトコンベア102の速度が小さい場合は盛付皿D同士の間隔は小さくなる。また、走行レーン101の長さを調節可能な場合には、客数の多い時間帯にはより多くの客の元へ盛付皿Dを搬送するために走行レーン101が長い状態とされ、客数の多い時間帯には走行レーン101が短い状態とされる。従って、客数入力モードまたは時刻入力モードがユーザによって選択された場合には、客数または現在時刻に加えてベルトコンベア102の速度や走行レーン101の長さに基づいて時間間隔INTが設定されることが好ましい。また、ベルトコンベア102の速度や走行レーン101の長さが変更されたときに、それに応じて時間間隔INTが自動的に変更されるようにしてもよい。ベルトコンベア102の速度や走行レーン101の長さは、飲食物搬送装置100から取得してもよいし、操作パネル7から入力されてもよい。
【0063】
[盛付皿配列装置の動作]
図7は、本発明の一実施の形態における盛付皿配列装置の動作を説明するフローチャートである。
【0064】
図7を参照して、盛付皿配列装置1の電源がオンされると、CPU31は、操作パネル7の画面において一定時間内に手入力モードがユーザによって選択されたか否かを判別する(S1)。ステップS1において、一定時間内に手入力モードが選択された場合(S1でYES)、CPU31は、入力された時間間隔に時間間隔INTを設定する(S3)。ステップS1およびS3においては、解放間隔調節つまみ9のつまみ9aがオフの位置から回転された場合に、手入力モードを選択したものと判別され、つまみ9aで設定された時間に時間間隔INTが設定されてもよい。
【0065】
続いてCPU31は、ストッパ3および4を突出状態にし、計時部41において時間のカウントを0から開始する(S5)。次にCPU31は、操作パネル7の画面または解放間隔調節つまみ9において時間間隔INTの設定の変更をユーザから受け付けた否かを判別する(S7)。時間間隔INTの設定の変更をユーザから受け付けた場合(S7でYES)、CPU31は、時間のカウントを停止し、ステップS1の処理へ進む。
【0066】
ステップS7において、時間間隔INTの設定の変更をユーザから受け付けない場合(S7でNO)、CPU31は、センサ2がサンプル皿を検出したか否かを判別する(S9)。センサ2がサンプル皿を検出した場合(S9でYES)、CPU31は、ストッパ3および4を突出口5aまたは6a内に引込めて、一定時間TM2の間解放状態にし(S17)、その後ステップS5の処理へ進む。
【0067】
ステップS9において、センサ2がサンプル皿を検出しなかった場合(S9でNO)、CPU31は、カウントしている時間が時間間隔INTに達したか否かを判別する(S11)。ステップS11において、カウントしている時間が時間間隔INTに未だ達していない場合(S11でNO)、CPU31は、ステップS7の処理へ進む。
【0068】
ステップS11において、カウントしている時間が時間間隔INTに達した場合(S11でYES)、CPU31は、ストッパ3および4を突出口5aまたは6a内に引込めて、一定時間TM1(TM1<TM2)の間解放状態にする(S13)。その後、現在の時間間隔INTが時刻入力モードで設定されている場合には、CPU31は現在時刻に基づいて時間間隔INTを再設定し(S15)、ステップS5の処理へ進む。
【0069】
ステップS1において、一定時間内に手入力モードが選択されない場合(S1でNO)、CPU31は、操作パネル7の画面において一定時間内に客数入力モードがユーザによって選択されたか否かを判別する(S21)。ステップS21において、一定時間内に客数入力モードが選択された場合(S21でYES)、CPU31は、客数テーブルを用いて、入力された現在の客数に基づいて時間間隔INTを設定し(S23)、ステップS5の処理へ進む。
【0070】
ステップS21において、一定時間内に客数入力モードが選択されない場合(S21でNO)、CPU31は、操作パネル7の画面において一定時間内に時刻入力モードがユーザによって選択されたか否かを判別する(S25)。ステップS25において、一定時間内に時刻入力モードが選択された場合(S25でYES)、CPU31は、時刻テーブルを用いて、計時部41の現在時刻に基づいて時間間隔INTを設定し(S27)、ステップS5の処理へ進む。一方、ステップS25において、一定時間内に時刻入力モードが選択されない場合(S25でNO)、CPU31は、ステップS1の処理へ進む。
【0071】
続いて、盛付皿配列装置1によって盛付皿が配列される様子について、
図8〜
図13を用いて説明する。なお以降の
図8〜
図15においては、ストッパ3および4以外の盛付皿配列装置1の構成が省略されている。
【0072】
図8を参照して、3枚の盛付皿D1〜D3がベルトコンベア102によって矢印AR1で示す方向に搬送される場合が想定されている。
図8においては、盛付皿D1と盛付皿D2との間隔、および盛付皿D2と盛付皿D3との間隔は、ユーザが所望する間隔よりも狭くなっている。
【0073】
盛付皿D1は、ベルトコンベア102によってストッパ3および4の位置まで搬送されると、突出状態のストッパ3および4によってその移動が停止される。盛付皿D1とともに盛付皿D2およびD3の移動も、ストッパ3および4によって停止される。盛付皿D1〜D3の移動は、計時部41のカウント時間が時間間隔INTに達するまで停止される。
【0074】
なおストッパ3および4については、ベルトコンベア102上に配置された状態における幅Wが、ベルトコンベア102の走行レーン101の中心線CEに近づくにつれて減少していることが好ましい。幅Wは、走行レーン101の延在方向(
図8中横方向)に沿った幅である。ストッパ3および4がこの構成を有することにより、ストッパ3および4によって盛付皿Dの移動を停止する際に、盛付皿Dの中心位置を中心線CEに揃えることができる。この場合、ストッパ3および4の形状は、ストッパ3および4がベルトコンベア102上に配置された状態において、盛付皿Dの外形に対応するものであることが好ましい。
【0075】
図9を参照して、計時部41がカウントしている時間が時間間隔INTに達すると、ストッパ3および4が解放状態となり、盛付皿D1〜D3の移動の停止が解除される。盛付皿D1〜D3はベルトコンベア102とともに矢印AR1で示す方向に移動する。
【0076】
図10を参照して、ストッパ3および4は一定時間TM1だけ開放状態となり、この間に盛付皿D1はストッパ3および4の位置を通過する。一定時間TM1は、1枚の盛付皿がストッパ3および4の位置を通過し始める時刻から通過し終わる時刻までの時間であることが好ましい。一定時間TM1経過後、ストッパ3および4は再び突出状態となり、計時部41の時間のカウントが0から開始する。これにより、盛付皿D2は、突出状態のストッパ3および4によってその移動が停止される。盛付皿D2とともに盛付皿D3の移動も、ストッパ3および4によって停止される。
【0077】
図11を参照して、計時部41のカウント時間が時間間隔INTに達すると、ストッパ3および4が解放状態となり、盛付皿D2およびD3の移動の停止が解除される。盛付皿D2およびD3はベルトコンベア102とともに矢印AR1で示す方向に移動する。その結果、ベルトコンベア102上における盛付皿D1と盛付皿D2との間が間隔L1に調節される。
【0078】
図12を参照して、ストッパ3および4は一定時間TM1だけ開放状態となり、この間に盛付皿D2はストッパ3および4の位置を通過する。一定時間TM1経過後、ストッパ3および4は再び突出状態となり、計時部41の時間のカウントが0から開始する。これにより、盛付皿D3は、突出状態のストッパ3および4によってその移動が停止される。
【0079】
図13を参照して、計時部41のカウント時間が時間間隔INTに達すると、ストッパ3および4が解放状態となり、盛付皿D3の移動の停止が解除される。盛付皿D3はベルトコンベア102とともに矢印AR1で示す方向に移動する。その結果、ベルトコンベア102上における盛付皿D2と盛付皿D3との間が間隔L1に調節される。以上の方法により、ベルトコンベア102上における各盛付皿Dが等間隔で配列される。
【0080】
ここで、ベルトコンベア102上において盛付皿Dとともにサンプル皿も載置されることがある。サンプル皿は、その直後などを搬送される盛付皿Dを説明または宣伝するためのものであるため、ユーザ(従業員)は通常、サンプル皿とその直後の盛付皿Dとの間隔を意図的に狭めている。したがって、サンプル皿とその直後の盛付皿Dとの間隔は盛付皿配列装置1によって調節されないことが好ましい。続いて、サンプル皿を検出した場合の盛付皿配列装置1の動作について、
図14および
図15を用いて説明する。
【0081】
図14を参照して、サンプル皿SDと盛付皿D4とがベルトコンベア102によって矢印AR1で示す方向に搬送されている場合が想定されている。
図14においては、サンプル皿SDと盛付皿D4との間隔は、ユーザによって間隔L1より小さい間隔L2に設定されている。
【0082】
サンプル皿SDがベルトコンベア102によってセンサ2の位置まで搬送されると、センサ2によってサンプル皿であることが検出される。センサ2がサンプル皿を検出すると、ストッパ3および4は直ちに、一定時間TM1よりも長い一定時間TM2だけ開放状態となる。
【0083】
図15を参照して、ストッパ3および4が一定時間TM2だけ開放状態となっている間に、サンプル皿SDおよび盛付皿D4はストッパ3および4の位置を通過する。その結果、ベルトコンベア102上におけるサンプル皿SDと盛付皿D4との間隔は調節されず、間隔L2が保たれる。
【0084】
図16は、本発明の一実施の形態における盛付皿配列装置のストッパの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0085】
図16を参照して、CPU31によって時間間隔INTが設定されると、時刻CT1において、ストッパ3および4が突出口5aまたは6aから突出し、時間間隔INTの間突出状態にされる。時刻CT1から時間間隔INT経過後の時刻CT2において、ストッパ3および4が突出口5aまたは6a内へ引込み、一定時間TM1の間開放状態にされる。時刻CT2から一定時間TM1経過後の時刻CT3において、ストッパ3および4が突出口5aまたは6aから突出し、時間間隔INTの間突出状態にされる。このように、ストッパ3および4は、一定時間TM1の間の開放状態と、時間間隔INTの間の突出状態とを繰り返す。
【0086】
ここで、たとえばストッパ3および4が突出状態にある時刻CT4において、サンプル皿を検出した場合を想定する。この場合、時間間隔INTおよび一定時間TM1に関わらず(ストッパ3および4の状態に関わらず)、時刻CT4において直ちにストッパ3および4は開放状態とされる。そして、時刻CT4から一定時間TM2経過後の時刻CT5において、ストッパ3および4が突出口5aまたは6aから突出し、時間間隔INTの間突出状態にされる。その後、ストッパ3および4は、時刻CT5から時間間隔INT経過後の時刻CT6において開放状態とされ、時刻CT6から一定時間TM1経過後の時刻CT7において突出状態とされ、一定時間TM1の間の開放状態と、時間間隔INTの間の突出状態とを繰り返す。
【0087】
[実施の形態の効果]
本実施の形態における盛付皿配列装置によれば、走行レーンに沿って走行しているベルトコンベア上において盛付皿の移動を停止させ、盛付皿の移動の停止を一の時間間隔で解除するので、走行レーンに沿って搬送される盛付皿同士の間隔を揃えることができ、搬送される盛付皿をきれいに配列させることができる。その結果、盛付皿の美観を保ち、客を十分に誘引することができる。加えて、従業員による盛付皿の位置の調節が不要となる。
【0088】
また、盛付皿の移動を停止させる時間間隔を設定することができるので、盛付皿同士の間隔を任意の間隔とすることができる。
【0089】
また、操作パネルから入力された客数や、操作パネルまたは解放間隔調節つまみから入力された時間間隔や、現在時刻などに基づいて時間間隔を設定することができるので、走行レーン上の盛付皿の数の増減などに応じて、盛付皿同士の間隔を調節することができる。
【0090】
また、センサにてサンプル皿を検出した場合に、時間間隔に関わらずストッパを開放状態とするので、サンプル皿とその後に続く盛付皿との間隔を保つことができる。
【0091】
[その他]
上述の実施の形態においては、ICタグやバーコードを読み取る以外の方法でサンプル皿を検出してもよい。たとえば、センサ2はストッパ3とストッパ4との間に電圧を加え、これらの間に電流が流れるか否かに基づいてサンプル皿を検出してもよい。具体的には、サンプル皿(または盛付皿D)におけるストッパ3および4との接触部分に導電材料(導電性の板など)を取り付けておけば、サンプル皿がストッパ3および4と接触した際にストッパ3とストッパ4との間には電流が流れるので、それによりセンサ2はサンプル皿を検出することができる。
【0092】
上述の実施の形態の盛付皿配列装置は、たとえば
図17の構成を有する飲食物搬送装置に搭載されてもよい。なお
図17では、ベルトコンベア102が走行レーン101の一部にのみ示されているが、ベルトコンベア102は実際には走行レーン101の全周に渡って設けられている。
【0093】
図17を参照して、店舗内は、客が飲食を行う飲食エリアA1と、従業員が飲食物を作製する厨房エリアA3とに分けられている。飲食エリアA1と厨房エリアA3とは、壁WAによって隔てられている。飲食エリアA1には、カウンター席である座席205〜208が設けられている。飲食物搬送装置100は、U字型の走行レーン101に沿って走行する環状のベルトコンベア102を含んでいる。飲食エリアA1には2本の直線状の走行レーンが延在しており、厨房エリアA3では2本の走行レーンが互いに接続されている。この飲食物搬送装置100においては、厨房エリアA3に居る従業員によって盛付皿Dが作製され、壁WAに設けられた飲食物供給口SAを通じてこの盛付皿Dがベルトコンベア102上に載置されると、盛付皿Dはベルトコンベア102によって矢印AR1で示す方向に搬送される。具体的には、盛付皿Dは厨房エリアA3に面した位置から飲食エリアA1内に搬送され、座席205→座席206→座席207→座席208の順で各座席に居る客の面前に搬送される。その後盛付皿Dは厨房エリアA3に面した位置へ戻り、再び飲食エリアA1内に搬送される。この飲食物搬送装置100は、2つの盛付皿配列装置1を備えている。盛付皿配列装置1の各々は、厨房エリアA3に面した位置から飲食エリアA1へ盛付皿Dが搬送される位置に配置されている。なお飲食物搬送装置100は、2つ以上の盛付皿配列装置1を備えていてもよい。
【0094】
上述の実施の形態における盛付皿配列装置は、盛付皿を循環搬送するベルトコンベアに搭載されることが好ましい。通常、注文品を搬送するための走行レーンには、1グループの客の元へ搬送される注文品のみが載置される。このため、客が注文品を走行レーンから取る際の取り易さを考慮すると、注文品を搬送するためだけに用いられる走行レーンには、盛付皿配列装置は搭載されないことが好ましい。
【0095】
上述の実施の形態において、センサ、操作パネル、退避ボタン、および解放間隔調節つまみの設置の有無は任意である。一方、解放間隔調節つまみが設置された場合には、操作パネルが無くともストッパの時間間隔INTを設定可能となる。また、操作パネルおよび解放間隔調節つまみの両方が設置された場合には、操作パネルおよび開放間隔調節つまみの各々で、ストッパの時間間隔INTを設定可能となる。
【0096】
上述の実施の形態において、ストッパは、走行している走行体上に配置することにより盛付皿の移動を停止させ、かつ走行している走行体上から撤去されることにより盛付皿の移動の停止を解除するものであれば、他の構成であってもよい。たとえば
図2において、ストッパは、ベルトコンベア102の上部に設けられた筐体からベルトコンベア102に向けて下方に突出するものや、筐体5および6のうちいずれか一方のみからベルトコンベア102上に突出するものであってもよい。ストッパの突出方向は、上述の実施の形態に示すようにベルトコンベア102における走行レーン101の延在方向に対して垂直な方向である場合の他、走行レーン101の延在方向に対して鋭角をなす方向であってもよい。またストッパは、開放状態において突出口5aまたは6a内に完全に引込まなくてもよい。
【0097】
上述の実施の形態は、適宜組み合わせることが可能である。たとえば、センサおよび操作パネルの無い盛付皿配列装置に対して、ベルトコンベアの上部に設けられた筐体からベルトコンベア上に突出するストッパを組み合わせてもよい。また、時刻と客数との両方に基づいて時間間隔INTが設定されてもよい。
【0098】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0099】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。