(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アプリケーション構成モジュールは、ワークフローを記憶するワークフローライブラリをさらに含み、前記アプリケーション構成モジュールは、ワークフロープロトコルに基づき、エンタープライズデジタルアシスタントが第1のまたは第2の機能モードになるよう再構成するよう適合される、請求項1から3のいずれか1項に記載のエンタープライズデジタルアシスタント。
前記アプリケーション構成モジュールは、状況上関連する医療情報を受取る/表示する準備のために、エンタープライズデジタルアシスタントを自動的に再構成する、請求項1から4のいずれか1項に記載のエンタープライズデジタルアシスタント。
前記アプリケーション構成モジュールは、適切なワークフロープロトコルを選択すると、所望の機能および/または動作構成情報をエンタープライズデジタルアシスタントのほかのモジュールに通信することにより、エンタープライズデジタルアシスタントを自動的に再構成する、請求項1から5のいずれか1項に記載のエンタープライズデジタルアシスタント。
第1の医療情報および第2の医療情報の少なくとも一方に属するパラメータについて、予測値と実際の値との間に相違を検出すると、システム警告を生成するよう構成される検証コンポーネントをさらに備える、請求項1から9のいずれか1項に記載のエンタープライズデジタルアシスタント。
第1の医療エンティティは患者であり、第2の医療エンティティは診断装置である、または第1の医療エンティティは介護者であり、第2の医療エンティティは患者である、請求項1から10のいずれか1項に記載のエンタープライズデジタルアシスタント。
前記第1のおよび/または第2の固有識別子は、コンピュータネットワークまたはサーバ接続がない場合に、前記アプリケーション構成モジュールが、第1のおよび第2の機能モードを確立可能にするのに十分なデータセットを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のエンタープライズデジタルアシスタント。
医療機関において医療エンティティ間で状況に基づく医療データを自動的に結びつけるために、コンピュータをエンタープライズデジタルアシスタントとして機能させるコンピュータプログラムであって、前記プログラムは、前記コンピュータのプロセッサによって実行されると、前記コンピュータに請求項14に記載の再構成するための方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は添付の図面と関連して読まれるべき、以下の詳細な説明によってよりよく理解されるであろう。本明細書において、同じ番号は本発明の種々の実施例において同様の要素を示す。
【0007】
詳細な説明
自動再構成およびデータ結合を有し、カスタマイズ可能でありかつ状況上関連する医療システムのための方法、装置、およびコンピュータプログラムプロダクトが開示されている。一部の実施例は、状況に基づきその機能性を変えることが可能であり、かつ、ある医療エンティティ、たとえば介護者または患者に関連付けられる医療情報を、別の医療エンティティ、たとえば医療装置またはシステムに関連付けられる医療情報に関連付ける、リンクさせる、および/または構成するといった結合を行なうことができる、エンタープライズデジタルアシスタントに関する。
【0008】
別の実施例は、状況に基づいてエンタープライズデジタルアシスタントを自動的に再構成し、状況上関連性のあるデータ結合を行なうための方法に関する。ここで、本方法は、複数の医療エンティティから医療データを処理し、データを1つ以上の臨床情報システムに送るためのモジュールを提供する。
【0009】
ワークフロー認識接続(WAC)アーキテクチャ:
図1は、エンタープライズデジタルアシスタント(EDA)104を含む例示的なワークフロー認識接続(WAC)システム100の高度な概略図である。図示されるように、WACシステム100は、1つ以上の医療エンティティ108から124を含み、これらはすべて、エンタープライズデジタルアシスタント104とデータ通信しているWACサーバ138と通信する、たとえばエンタープライズデジタルアシスタント104から、データを送信および/または受信し、さらに、WACサーバ138とデータ通信する1つ以上の臨床情報システム142から154を含む。一部の実施例において、エンタープライズデジタルアシスタント104は固有の機械読取可能識別子、たとえばバーコードやRFIDタグをスキャンまたは「読取る」よう構成されている。
【0010】
一部の実施例において、WACシステム100は、複数のネットワーク装置、ルータ、I/Oコンポーネント、スタンドアロンコンピュータシステム、および状況上関連するアプリケーションを実行するサーバを備えた汎用コンピュータネットワークシステムとして実施される。状況上関連するアプリケーションは、ユーザログやプロセスフロー制御を実施するサービスモジュール、および/またはガイダンスモジュールを含む。
図1では1つのエンタープライズデジタルアシスタント104しか示されていないが、WACシステム100には、典型的には2つ以上のエンタープライズデジタルアシスタント(総括的に104)が用いられる。
【0011】
WACシステム100の医療エンティティ108から124は、たとえば介護者または医者108、患者112、ならびに医療機関従業員および/または病院スタッフ116を含む。医療エンティティ108から124は、たとえば血圧、体温、脈拍または心拍および呼吸モニタといった生命兆候モニタ120−1、たとえばIVポンプといったIVステーション120−2、および/または理学的診察室において、体重身長測定はかり120−3、ならびに他の医療装置またはシステム120−4を含む。一部の実施例において、医療装置および/またはシステム120は、医療アクチュエータまたは医療センサのどちらかであると分類される。医療アクチュエータとは、生理的パラメータまたは他の医療システムのアクティビティを制御するよう構成されている機械的または電子的医療装置またはシステムであり、医療センサとは、生理的パラメータまたは他の医療システムのアクティビティを検出するよう構成されている機械的もしくは電子的な装置またはシステムである。医療アクチュエータの一例としては薬剤注入ポンプ、医療センサの一例としては心臓モニタを挙げることができる。
【0012】
一部の実施例では、他の医療装置またはシステム120−4は、たとえばプリンタ、コピー機、および/または電話やファックスといった通信装置を含むことができる。一実施例において、他の医療装置またはシステム120−4は、薬剤ラベルプリンタを含む。薬剤ラベルプリンタの一例は、「ラベル付け」と題される代理人文書番号00786−829P01で特定される仮出願に記載されており、その発明者はHarry Manalopoulous、 Wilton Levine、 Nat Sims、 Mike DempseyおよびKim Donovanであり、本願と同じ出願日を有し、その内容は引用によりここに援用される。特定の実施例において、他の医療装置またはシステム120−4は、より進化した通信インターフェイスとの互換性が制限されているレガシー医療装置またはシステムを含む。
【0013】
たとえば、CAS740モニタのようなレガシー医療装置は、たとえばEGC、心拍数および/または血圧といった患者112の生命兆候を取得するために用いられる。CAS740モニタは、標準のネットワーク接続を持たない。しかし、CAS740は、レガシーRS−232ポートを有する。したがって、CAS740は、RS−232からブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)へのコンバータを用いて、WACシステム100内において、通信する、すなわち直接的な点−点の態様で送信および/または受信するよう構成できる。
【0014】
一部の例では、医療エンティティ108から124は、診察室または病院設備室124を含む。別の実施例では、医療エンティティ108から124は、医療項目128、たとえば包装し直されたピル/タブレット、薬瓶、薬剤ラベルおよび/または患者医療履歴チャートをも含む。
【0015】
WACシステム100の医療エンティティ108から124の各々は、たとえばバーコード、二次元バーコード、もしくは他の標識、またはRFIDタグといった固有の識別子を介してエンタープライズデジタルアシスタント104によって特定される。その結果、医療区域における2つの同一の血圧モニタは、1つのベンダによって製造または現在保守点検されているとしても、固有のものとして識別される。
【0016】
別の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえば医者のオフィスおよび/または患者診察室といった設備室のドア枠上のバーコードをスキャンするよう構成できる。その結果、トランザクションの場所、たとえば医師のオフィスまたは患者の診察室も、医療トランザクション情報に結合される。このような態様で、状況によっては、健康治療施設は、設備室の使用について追跡、検討および最適化することができる。さらに別の実施例では、健康治療施設は、上述の設備室と同様の態様で、他の設備資産、たとえば医療装置またはシステム120の使用を同様に追跡、検討および最適化することができる。
【0017】
一部の実施例において、医療業界通信協議会(HIBCC)により利用可能である、2007年10月5日に発行された「患者の投薬安全性についての確実な識別、仕様書バージョン1.0」に記載される規準(以降「ザスタンダード」と呼ぶ)のような標準的な識別システムを用いて、固有の識別方式を実施する。
【0018】
ザスタンダードは、コンピュータネットワークがなくても、薬剤投与記録システムを実施するのに十分な量のデータセットを収容する。その結果、ザスタンダードの仕様書は、少量の必要なデータエレメント(接続環境により適する)と、接続されていないスタンドアロンの環境においてより安全な機能性を支持する大量の任意のデータエレメントとを挙げている。したがって、ザスタンダードは、各使用分野での必須のおよび任意なデータエレメントのディクショナリを与え、さらにこの情報をどのように構成するかも記載している。
【0019】
以下でより詳細に説明するように、エンタープライズデジタルアシスタント104は、自動再構成のための1つ以上のソフトウェアモジュールを有する演算装置である。一部の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、ポータブルな電子装置、またはたとえばイリノイ州、ショウンバーグにあるモトローラ社によって製造されたシンボルMC−70のような携帯装置である。別の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、パソコンやワークステーションのようなコンピュータステーションとして実施される。他の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、携帯電話内に実施される。
【0020】
エンタープライズデジタルアシスタント104は、医療エンティティ108から132の固有の識別子、たとえば患者に関連付けられる機械読取可能なタグをスキャンし、その固有の識別子に基づき通信プロトコルを実施して、医療エンティティ108から132に関連付けられる医療データ、たとえば患者の医療履歴情報を処理するよう構成されている。したがって、固有の識別子に応答して、エンタープライズデジタルアシスタント104は、医療情報を管理するための、状況上関連するモードに自動的に再構成される。
【0021】
エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえばRS−232またはユニバーサルシリアルバス(USB)を介した有線接続、および/またはたとえば無線周波数(RF)、ブルートゥース(登録商標)または赤外線(IR)接続を介した無線接続を用いて、医療エンティティ108から128のうちの選択されたエンティティと通信チャネルを確立する。一部の実施例では、このチャネルを用いてエンタープライズデジタルアシスタント104は、通信している医療エンティティ108から128の種類を特定する。エンタープライズデジタルアシスタント104は、この情報を用いて、適切な通信チャネルまたはリンクと、選択された医療エンティティ108から128から医療情報を送受信するためのプロトコルとを選択する。
【0022】
特定の実施の形態においてクロスコミュニケーションエラーをなくすために、エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえば複数の医療装置またはシステム120のうちのある医療装置またはシステム120の固有の識別子をスキャンし、現行の状況においてその特定の医療装置またはシステム120とのみ通信するよう構成されている。たとえば、医療装置またはシステム120にある二次元バーコードは、その医療装置またはシステム120と関連している固有のアドレス指定できるブルートゥース(登録商標)無線装置へのポインタを含むことができる。このようなバーコード識別システムの一例は、ザスタンダードに記載されている。
【0023】
さらに、ブルートゥース(登録商標)が広く実施される変形であるIEEE 802.15.1−2002ワイヤレスパーソナルエリアネットワークスタンダードは、このような固有にアドレス指定ができるブルートゥース(登録商標)無線装置を記載している。別の実施の形態では、二次元バーコードは、固有にアドレス指定ができる通信リンクまたはモジュールへのポインタを含まない。たとえば、例示的なIRDAデータ通信モジュールは、固有にアドレス指定される必要はない。なぜなら、ユーザは、通信チャネルを確立するために、エンタープライズデジタルアシスタント104をIRポートに直接向けることができるからである。
【0024】
他の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、同じ状況上で所定の数の医療装置および/またはシステム120と同時に通信するよう構成されている。たとえば、エンタープライズデジタルアシスタント104は、パルスオキシメータのバーコードをスキャンし、自動的にパルスオキシメータと凝析テスタの両方との通信チャネルを自動的に開いて、血液凝固時間情報および血液内の酸素レベルに対応するSpO
2レベル情報を同時に引き出すよう構成できる。
【0025】
別の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、1つ以上のメディカルエンティティ108から124の固有の識別子をスキャンして、医療情報を管理するための状況を定めるよう構成されている。たとえば、エンタープライズデジタルアシスタント104は、手術室の薬剤ボトルに付けられるラベルのバーコードをスキャンして麻酔用注射ラベル印刷状況モードを再構成するよう構成できる。
【0026】
エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえばWiFiおよび/またはブルートゥース(登録商標)のようなワイヤレス接続を介して、またはたとえばイーサネット(登録商標)、Active Sync接続といった有線接続を介して、たとえばWACサーバ138のような記録サーバと通信チャネルを確立する。一部の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえば戦場の駐屯所または救急車といった救急医療車両の場合のように、ネットワークまたはサーバ接続がない厳しい環境で用いられる。このような場合、ザスタンダードで記載されている識別システムのような、非接続環境において安定した機能性を有する識別システムを支持するのは有用である。
【0027】
エンタープライズデジタルアシスタント104は、どの情報が重要であるかを定めるために、二次元バーコードをパーズする、すなわち知的にスキャンまたは「読取る」よう構成されている。たとえば、医療容器上の二次元バーコードは、薬剤の濃度についての情報、ならびにたとえば患者112の氏名および薬剤の有効期限などといった他の情報も含むことができる。エンタープライズデジタルアシスタント104は、バーコードをパーズして所与の状況用の関連する情報を定める。
【0028】
一部の実施の形態では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、マクロ、たとえば命令を含むサブルーチンを、たとえば薬剤注入ポンプといった医療装置またはシステム120にアップロードするためにも用いられる。たとえば、状況を定めた後、エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえば薬剤投与命令を薬剤注入ポンプに自動的にアップロードする。
【0029】
WACサーバ138は、たとえばマイクロソフトのウィンドウズ(登録商標)サーバを走らすサーバといった標準の単一プロセッササーバのようなネットワークサーバによって実施される。一実施例において、マイクロソフト社からのインターネット情報サービス(IIS)のようなソフトウェアは、ネットワークサービスを提供するために用いられる。一般に、以下でより詳細に説明されるように、WACルーチンを実施するモジュールは、標準のプログラミング言語、たとえばC♯、C/C++、またはJAVA(登録商標)で書かれている。
【0030】
WACサーバ138は、さらに1つ以上の臨床情報システム142から152とネットワーク通信している。臨床情報システム142から152は、たとえば長期的カルテ(LMR)システム142、コンピュータプロバイダオーダエントリ(CPOE)システム146および/または調剤システム150を含む。
【0031】
臨床情報システム142から152は、典型的には患者の医療履歴、データおよび情報を格納する。一部の実施の形態において、たとえば医療プロシージャおよび/または医療検査のような医療トランザクションが支払い対象である、自己負担である、または支払い対象ではないことを示す保険コードといった患者112の医療保険補償情報も、臨床情報システム142から152において集められ記憶された医療情報に結合されている。
【0032】
一部の実施の形態では、医療トランザクションは、医療プロシージャおよび/または医療検査に関連するワークフローで行なわれるそれぞれのステップを含む。したがって、ローカル請求システム(図示されていない)は、各医療トランザクションの詳細を示す項目別の請求書を提供することができ、また、たとえば各医療トランザクションに対応する保険コードに基づく情報といった保険情報を含むことができる。代替的に、支払い請求は保険キャリアに電子的に送られ得る。
【0033】
一実施例において、保険キャリアは、特定のプロシージャ、たとえば記録されている各医療トランザクションに対応するキャリア特有の保険コードを用いることを必要とするプロシージャとの適合性を必要とし得る。このような場合、請求システムは、患者112の医療情報に基づき、患者112への補償を与える保険キャリアを自動的に定める。この態様で、患者112の保険情報は、自動的に自分の医療記録に結合される。
【0034】
一部の実施例では、WACサーバ138は、他の情報またはサービスを発行または契約するために、他のウェブサービスサーバ154と接続する。当業者ならここに記載されているWACシステム100は、ここに記載される技術および方法を用いて、記載されている以外の医療エンティティ108から124および/または臨床情報システム142から152を含むよう拡張できることは容易に認識できるであろう。
【0035】
WACエンタープライズデジタルアシスタントアーキテクチャ:
図2は、WACシステム100で使用するための例示的エンタープライズデジタルアシスタント104を示す高度な概略図である。図示されるように、医療エンティティ108から124は、さまざまな方法でエンタープライズデジタルアシスタント104とインターフェイスする。たとえば、一部の医療機関地域では、介護者108、患者121、および病院スタッフまたは従業員116一人一人に識別タグ、たとえば手首にはめられたタグまたは識別バッジが割当てられ、識別タグは、固有の機械読取可能識別子、たとえばバーコードまたは無線周波数識別(RFID)タグを含む。したがって、エンタープライズデジタルアシスタント104は、固有の識別子をスキャンして医療情報を管理するための状況を確立する。
【0036】
WACシステム100の医療装置および/またはシステム120の各々は、上記のようにたとえばブルートゥース(登録商標)または赤外線(IR)によって確立された通信チャネルを介してエンタープライズデジタルアシスタント104と通信する。エンタープライズデジタルアシスタント104は、スキャニングおよび通信モジュールを含み、これはたとえばバーコードスキャナ204、医療装置と赤外線通信チャネルを確立するためのIR装置208、および医療装置とブルートゥース(登録商標)通信チャネルを確立するためのブルートゥース(登録商標)装置212を含む。一部の実施例において、バーコードスキャナ204、IR装置208および/またはブルートゥース(登録商標)モジュール212は、エンタープライズデジタルアシスタント104と独立して実施され、エンタープライズデジタルアシスタント104とデータ通信する。
【0037】
エンタープライズデジタルアシスタント104は、さらにWACクライアント216と、たとえばWiFiネットワークモジュールまたはActive Syncモジュールのようなネットワーク管理モジュール220とを含む。一部の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、移動オペレーティングシステム224、たとえばマイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)モバイル(Windows(登録商標) Mobile)を実行するための携帯電子装置として実施される。別の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104のさまざまなモジュールは、ソフトウェアまたは関連するソフトウェアを有するハードウェアで実施される。他の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、さらに無線ネットワークを介して外部のデータインターフェイス228と通信する。
【0038】
図3は、WACシステム100における多様な医療装置および/またはシステム120を識別および通信するためのエンタープライズデジタルアシスタント104の例示的WACクライアント216の概略図である(
図1)。WACクライアント216は、物理的インターフェイス302を介して医療装置および/またはシステム120との通信を与える。物理的インターフェイス302の例として、赤外線データ関連(IRTB)ポート304、ブルートゥース(登録商標)シリアルポート308、および/またはバーコードスキャナ312によって確立されたデータ検索システムを挙げることができる。一部の実施の形態において、物理的インターフェイス302は、ワイヤードシステムたとえばRS−232、および/またはイーサネット(登録商標)ワイヤレスシステムを含む。
【0039】
図示されるように、WACクライアント216は、さらにデータ獲得モジュール316およびアプリケーション構成モジュール320を含む。データ獲得モジュール316は、データ保存モジュール324と通信する。さらに、アプリケーション構成モジュール320は、ネットワークインターフェイスモジュール328を介してWACサーバ138と通信する。
【0040】
物理的インターフェイス302は、外部の医療装置またはシステム120から識別情報を受取る。その後、物理的インターフェイス302は、識別情報をデータ獲得モジュール316に送る。データ獲得モジュール316は、データプロトコルの集まりを含む装置ライブラリ332を含む。データプロトコルは、データ獲得モジュール316に医療装置および/またはシステム120用の通信プロトコルを与える。
【0041】
たとえば、ある仮のシナリオでは、データ獲得モジュール316は、プリンタのバーコードに含まれる情報に基づいて、薬剤ラベルプリンタを、たとえばイリノイ州、バーノンヒルズにあるZebra Technologies社のゼブラモデルTLP3842プリンタとして認識する。したがって、データ獲得モジュール316は、装置ライブラリ332において適切な通信プロトコルを探す。適切なプロトコルが、たとえばブルートゥース(登録商標)通信プロトコルである場合、データ獲得モジュール316は、ブルートゥース(登録商標)シリアルポート308を介してプリンタとの通信の準備をする。
【0042】
新しい装置、すなわち装置ライブラリ332に対応する入力がない医療装置および/またはシステム120を識別した上で、データ獲得モジュール316は、識別情報をアプリケーション構成モジュール324に送る。これに対して、アプリケーション構成モジュール324は、ネットワークインターフェイスモジュール328を介して通信チャネルを確立し、WACサーバ138に接続する。このような態様で、WACクライアント216は、新しい装置のための適切なライブラリエントリおよび通信プロトコルをダウンロードし、ライブラリのエントリを装置ライブラリ332に追加する。
【0043】
一部の実施例において、新しいライブラリエントリおよび通信プロトコルは、装置ライブラリ332にある古いライブラリエントリおよび通信プロトコルと置き換えられる。他の実施例では、ライブラリエントリおよび通信プロトコルは、一時キャッシュメモリ(図示されない)に格納されて、WACクライアント216が新しい装置と通信する間に用いられる。不要になれば、ライブラリエントリおよび通信プロトコルはキャッシュメモリから取除かれる。
【0044】
医療装置および/またはシステム120との通信チャネルが一旦確立すると、WACクライアント216は、医療装置またはシステム120と医療情報を送信および受信する。データ獲得モジュール316は、医療装置またはシステム120からの識別情報および医療情報をデータ保存モジュール324に送る。一部の実施例では、データ獲得モジュール316は、医療情報をアプリケーション構成モジュール320にも送る。
【0045】
アプリケーション構成モジュール320は、ワークフローライブラリ336に記憶されるワークフロープロトコルの集合に基づき、エンタープライズデジタルアシスタント104が状況上関連するモードとなるよう再構成する。たとえば、データ獲得モジュール316は、医療装置および/またはシステム120がゼブラモデルTLP3842薬剤ラベルプリンタであると識別すれば、アプリケーション構成モジュール320は、エンタープライズデジタルアシスタント104の現在の機能は麻酔用薬剤のラベルをプリントすることであると判断する。したがって、WACクライアント216は、現在の機能を実行するのに必要な適切なモジュールおよびサービスをロードする。
【0046】
一部の実施例において、ワークフローライブラリ336に記憶されるワークフロープロトコルは、ユーザによって生成され、エンタープライズデジタルアシスタント104のメモリユニットに記憶される。別の実施例では、ワークフローライブラリ336は、一時キャッシュ(図示されない)として実施される。したがって、ワークフロープロトコルの完全なライブラリがWACサーバ138に記憶される。このような場合、適切なワークフロープロトコルは、上記のように、通信プロトコルが一時キャッシュにダウンロードされるのと同様な態様で、WACサーバ138から一時キャッシュにダウンロードされる。
【0047】
適切なワークフロープロトコルを選択すると、アプリケーション構成モジュール320は、所望の機能および/または動作構成情報を他のモジュール、たとえばデータ獲得モジュール216およびデータ保存モジュール324に通信することによって、エンタープライズデジタルアシスタント104を自動的に再構成する。この態様において、WACクライアント216のすべてのモジュールは、現在の状況に関連する識別データおよび/または医療情報を受取りおよび処理する用意ができる。この再構成は、バーコードまたはRFIGタグをスキャンすること以外はユーザの介入を必要としないので、自動であるとみなされる。
【0048】
データ保存モジュール324は、医療装置またはシステム120に関連する付加的識別情報を保存する。たとえば、データ保存モジュール324は、「ゼブラ」モデルTLP3842の薬剤ラベルプリンタは白黒でしかプリントアウトしない、またはプリンタが特殊な単一目的のラベルでロードされているといった情報を記憶する。別の実施例では、データ保存モジュール324は、介護者108、患者112および/または病院スタッフ116についての付加的識別情報またはプログラムパラメータを記憶する。
【0049】
一部の実施例において、介護者108は、医療情報を直接ユーザインターフェイス340を介してデータ保存324に入力する。たとえば、医療装置120が生命兆候モニタであることをデータ獲得モジュール316が特定し、かつアプリケーション構成モジュール320が患者112からの生命兆候を受入れるようエンタープライズデジタルアシスタント104を構成すると、データ保存モジュール324は、ユーザインターフェイス324を介して医療情報および/またはデータ、たとえば患者識別情報、を受取る。したがって、このような場合、データ保存モジュール324は患者特定情報を記憶する。
【0050】
ある実施の形態では、アプリケーション構成モジュール320はユーザインターフェイス340を制御する。たとえば、アプリケーション構成モジュール320は、エンタープライズデジタルアシスタント104のユーザに特定の画面および/またはボタンを表示するようユーザインターフェイス340を指示する。ユーザインターフェイス340およびデータ保存モジュール324は、たとえばSQLモバイルデータベースによって実施されるデータベース344と通信して長期の医療および識別情報をそのデータベース344に保存する。
【0051】
一部の実施例において、ユーザインターフェイス340は、介護者108および/または患者112の識別を検証する検証モジュール348と通信する。たとえば、一部の実施の形態において、検証モジュール348は、ユーザインターフェイス340を介してユーザ名およびパスワードの組合せの入力を求めることにより、エンタープライズデジタルアシスタント104のユーザを認証する。
【0052】
一部の実施の形態において、検証モジュール348は、エンタープライズデジタルアシスタント104のユーザによって入力される医療情報をチェックして、その医療情報が現実的であり、予期される範囲内のものであることを確実にする。介護者108が患者112の血圧読取値を手動で入力できる、または血圧モニタが読取値を通信チャネルを介してエンタープライズデジタルアシスタント104に電子的に送信できる例では、検証モジュール348は、自動的に読取値をチェックして、読取値が間違っている、たとえば高過ぎるまたは低過ぎる場合には、警告を発する。
【0053】
一部の実施の形態において、検証モジュール104は、医療情報を自動的にチェックして即時対応が必要であるかどうかを定める。したがって、エンタープライズデジタルアシスタント104は、ユーザインターフェイス340上の一連の画面によって介護者108を促すよう構成されており、たとえばこの場合は血圧の読取値である医療情報の正しい値の入力を促す。
【0054】
特定の実施の形態において、検証モジュール104は、ネットワークインターフェイスモジュール328に伝送する前に、重要な医療情報、たとえば白血球の数、脈拍および/または血中酸素濃度についての情報をチェックするよう構成されている。たとえば、検証モジュール104は、ユーザインターフェイス340による一連のプロンプトによって、介護者108が重要な医療情報を検証するよう注意を促す。
【0055】
他の実施の形態において、検証モジュール104は、重要な投薬情報、たとえば手術の際の麻酔注射の投与情報および/または薬剤濃度、および/または患者112に投与されるピルの情報をチェックするよう構成されている。このような態様で、検証モジュール104はエラーチェック機構を提供する。
【0056】
別の実施の形態において、医療装置またはシステム120は、エラーチェック機構を既に含むことができる。たとえば引用によりその全部が援用される、「電子的にロード可能な薬剤ライブラリを備えた注入ポンプおよびライブラリをロードするためのユーザインターフェイス」と題される米国特許第5,681,285号に記載される薬剤注入ポンプは、重要な情報、たとえばベンダによって設定された事前の制限または介護者108によって設定された新しい制限についての薬剤投与情報および/または薬剤濃度をチェックする。したがって、検証モジュール104は、検証用の重要な情報を薬剤注入ポンプに送るよう構成できる。
【0057】
一旦ユーザが認可された介護者108として認証されると、アプリケーション構成モジュール320は、エンタープライズデジタルアシスタント104を自動的に再構成して機能を変更しかつ次の入力の準備をする。ある実施の形態において、検証モジュール348は、患者の生命履歴情報を入力する前に、患者の特定を確認するようユーザに促す。
【0058】
他の実施の形態において、検証モジュール348は、ネットワークインターフェイスモジュール328を介してWACサーバ138に、または直接臨床情報システム142から152に、送られる患者の生命維持履歴情報が正確に「読出される」ことを確実にする。特定の実施の形態において、検証モジュール348は、臨床情報システム142から152またはWACサーバ138に問合せて、前に送った情報が正確に記録されているかどうかを判断する。一部の実施の形態において、情報にタイムスタンプが付される。
【0059】
エンタープライズデジタルアシスタント104は、前に送信した情報を実際の情報と比較することによって、情報が正確に記録されたか否かを自動的に検証することができる。一部の例では、エンタープライズデジタルアシスタントは、所定の時間、たとえば300msが経過したら検証を実行する。別の例では、ユーザは、エンタープライズデジタルアシスタント104が検証を実行することを手動的にリクエストすることができる。
【0060】
ユーザインターフェイス340は、データ転送モジュール352を介してネットワークインターフェイスモジュール328に対して状態、識別および/または医療情報を送受信する。一部の実施の形態では、状態情報は、たとえば医療装置またはシステム120の現状を示す情報である。したがって、状態情報は、たとえば生命兆候モニタが小児患者または大人の患者に操作されるよう構成されているか否か、またはプリンタの用紙もしくはラベルが切れていることを示す情報を含む。別の実施の形態において、識別情報は、たとえば介護者108、患者112および/または病院スタッフ116を特定する情報である。したがって、識別情報は、たとえば患者のID番号、氏名、生年月日、および/または場合によっては患者108の写真を含む。
【0061】
一実施の形態において、アプリケーション構成モジュール320は、ワークフロープロトコルによって定められる状況に基づき、特定の医療情報が無線ネットワークリンクで送るには機密性が高過ぎると判断する。したがって、アプリケーション構成モジュール320はその機密情報を送るために、たとえば有線のネットワークを選択するようデータ転送モジュール352を構成する。
【0062】
一部の実施の形態において、ネットワークインターフェイスモジュール328は、アプリケーション構成モジュール320に対して、ネットワークの状態、すなわちネットワーク接続が「アップ」または「ダウン」であるかを報告する。ネットワーク接続がないことが検出されると、アプリケーション構成モジュール320は、機能を変更するようエンタープライズデジタルアシスタント104を再構成して、ネットワーク接続の回復を待ちながら他のタスクを行なわせる。代替的に、アプリケーション構成モジュール320は、エンタープライズデジタルアシスタント104を再構成して別のネットワーク接続を検出させる。
【0063】
WACサーバアーキテクチャ:
図4は、例示的WACサーバアーキテクチャの概略図である。図示されるように、エンタープライズデジタルアシスタント104は、たとえばRF接続を介してWACサーバ138とネットワーク上で通信する。WACサーバは、インターフェイスモジュール404、WACウェブサービス層408、臨床情報システムインターフェイス412、更新サーバモジュール416、スタンドアロンデータストレージ420およびスタンドアロンデータインターフェイスモジュール424を含む。
【0064】
インターフェイスモジュール404およびWACウェブサービス層408により、エンタープライズデジタルアシスタント104は、WACサーバ138を認証して通信することができる。一部の例では、インターフェイスモジュール404は、たとえばマイクロソフト社からのインターネットインフォメーションサービシズ(IIS)パッケージによって、WACサーバ138で実施される。
【0065】
インターフェイスモジュール404は、ネットワークインターフェイスモジュール328を介して、エンタープライズデジタルアシスタント104から状況、識別および/または医療情報を受取る。インターフェイスモジュール404は、情報を管理するためにWACウェブサービス層408と直接インターフェイスする。WACウェブサービス層408はネットワークインターフェイスモジュール328から受取った情報が容易にチェック、表示、操作、記憶および/またはたとえばハイパーテキストトランスファプロトコル(HTTP)呼出といった標準のウェブ呼出を介して引き出されることを可能にする。
【0066】
WACサーバ138は、臨床情報システムインターフェイス412を介して臨床情報システム142と通信する。したがって、WACウェブサービス層408は、エンタープライズデジタルアシスタント104から受取った医療情報を臨床情報システムインターフェイス412に送り、ここから情報は、臨床情報システム142に送られる。臨床情報システム142は、たとえば中に記憶されている医療記録といったデータを更新する。
【0067】
臨床情報システム142がダウンである、またはWACサーバと臨床情報システム142とのHTTPインターフェイスが機能しない場合、スタンドアロンデータインターフェイス424は医療情報をWACサーバ138でローカルに管理する。臨床情報システム142がダウンしている間、医療情報は、スタンドアロンデータストレージ420においてローカルに保存される。
【0068】
更新サーバモジュール416は、臨床情報システム142がアクセス可能であると判断すると、スタンドアロンデータストレージ420に記憶されている医療情報は、臨床情報システム142にコピーされる。一部の実施例では、医療情報の流れは双方向である。すなわち情報は、エンタープライズデジタルアシスタント104から臨床情報システム142に、および臨床情報システム142からエンタープライズデジタルアシスタント104に流れる。
【0069】
図5は、WACシステム100内で動作する状況依存型エンタープライズデジタルアシスタント104を自動的に再構成するための例示的方法500を示すフローチャート図である。図示されるように、エンタープライズデジタルアシスタント104のユーザは、ユーザインターフェイス340によって促されて、ユーザ名/パスワードの組合せを用いてログインする(ステップ504)。
【0070】
一部の実施例では、介護者108は、認証処理の一部として、識別バッジのバーコードまたはRFIDタグをスキャンする。別の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、他の認証および/または識別システム、たとえば指紋読取システム、網膜スキャニングシステムおよび/または顔認識システムを組込むよう構成されている。一実施の形態において、ユーザインターフェイス340は、介護するグループ、たとえば「一般介護」を選択するよう介護者108に促す。
【0071】
介護者108は、エンタープライズデジタルアシスタント104で患者112の手首にはめられたタグをスキャンする(ステップ508)。上記のように一部の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、患者112を識別するために他の認証および/または識別システムを用いることができる。アプリケーション構成モジュール320は、ワークフローライブラリ336からのワークフロープロトコルに基づく状況を自動的に定め、エンタープライズデジタルアシスタント104を再構成して状況上関連する医療情報を受取る/表示する準備をする。
【0072】
一部の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、適切な臨床情報システム142から患者112の医療情報を自動的にダウンロードする。別の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、スタンドアロンデータストレージ420から関連する医療情報を検索する。医療情報は、手作業によるチェックのために、ユーザインターフェイス340によって介護者108に表示される。ユーザインターフェイス340は、介護者108にOKボタンまたは「キャンセル」ボタンを与えて、表示される情報を確認または拒絶させる。
【0073】
介護者108は、ユーザデジタルアシスタント104で医療装置またはシステム120の固有の機械読取識別子、たとえばバーコードをスキャンする(ステップ512)。再度、アプリケーション構成モジュール320は、医療装置またはシステム120に関連する別のワークフロープロトコルに基づき状況を自動的に判断し、エンタープライズデジタルアシスタント104を再構成して対応する医療情報を受取る/表示する準備をする。
【0074】
一部の実施の形態において、エンタープライズデジタルインフォメーション104は、患者情報を引き出す(ステップ516)ために、医療装置またはシステム120とたとえばブルートゥース(登録商標)または赤外線(IR)接続といった通信チャネルを確立する。このような態様で、データ保存モジュール324は、ユーザインターフェイス340から受取られた識別および医療情報に基づき、患者112の記録にあるすべての該当するフィールドにデータを追加投入する。
【0075】
つぎにエンタープライズデジタルアシスタント104は、臨床情報システム142から引き出された医療情報を、医療装置またはシステム120からユーザインターフェイスおよび/または通信チャネルによって受取られた医療情報に結合する(ステップ520)。
【0076】
最後に、ユーザインターフェイス340は、情報を介護者108に表示して、臨床情報システム142に与える前にチェックさせる(ステップ524)。一部の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、クエリサブルーチンを自動的に実行して、医療情報が正確に臨床情報システム142に書込まれることを検証する。このようなクエリサブルーチンの一例では、データ転送モジュール352および検証モジュール348は、ネットワークインターフェイスモジュール328を介してWACサーバ138に自動的に問合せて結果を確認する。
【0077】
実施例
以下の説明は、ここに開示される装置、方法およびコンピュータプログラムプロダクトの例示的実施例であり、限定するものではない。以下に記載される特徴は、本発明を示しかつ全体的な理解を与えるために用いられているにすぎない。したがって、当業者は本発明が以下に記載される特定の実施例に限定されないことを容易に理解するであろう。
【0078】
一実施例において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、生命兆候データを自動的に収集するために用いられる。関与する主な医療エンティティは、介護者108、患者112、および医療装置120、すなわちIRDA接続が備わった生命兆候モニタ120−1である。
【0079】
このようなシナリオでは、介護者116は、生命兆候モニタ120−1を用いて診察室にいる患者112から生命兆候情報を電子的に獲得および記憶する。介護者116は、次にエンタープライズデジタルアシスタント104を用いて生命兆候モニタ120−1上のバーコードをスキャンする。エンタープライズデジタルアシスタント104は次に、特定の対象が定められた通信接続、たとえばIRDA接続またはブルートゥース(登録商標)接続を確立することにより、生命兆候モニタ120−1と通信する。介護者116は、患者112のバーコードをスキャンする。生命兆候情報は、生命兆候モニタ120−1から抽出されて患者112と関連付けられ、エンタープライズデジタルアシスタント104に送り出される。
【0080】
一部の実施の形態において、生命兆候情報は、WACサーバ138を介して適切な臨床情報システム142にも流される。一例では、医療機関区域の各介護者116にはエンタープライズデジタルアシスタント104が割当てられている。したがって、エンタープライズデジタルアシスタント104は、介護者116のIDを用いて予めプログラミングされる。任意に、エンタープライズデジタルアシスタント104を用いて、介護者は、自分の識別バッジのバーコードをスキャンして患者112用の生命兆候情報を取得したことを確認する。
【0081】
上記の例では、すべての医療データは電子的に得られる。その結果、転写は必要ない。さらに確実な患者の識別が保障される。さらに、エンタープライズデジタルアシスタント104は、特定の医療装置またはシステムの使用を前提としない。したがって、医療装置またはシステムのベンダを変えても他の医療装置またはシステムに影響を与えない。
【0082】
WACシステム100の利点は、たとえばWiFiのようなより高価で複雑な通信解決策と同じだけ有効に、たとえばIRDAのような比較的安価な通信解決策を使用できるその能力からきている。このような態様で、さまざまな通信システムが不当なコストを伴うことなく容易に導入できる。さらに、典型的にはネットワークで接続されていない医療装置またはシステム、たとえば携帯可能な生命兆候チェッカでも、医療データを適切な臨床情報システム142に電子的にアップロードすることができる。
【0083】
これが可能なのは、このようなレガシー装置が、元々はプリンタ接続を意図されている、またはソフトウェア更新を受取ることを意図されるシリアルポートを考慮しているからである。このようなポートは、ドングルと接続するよう適合でき、エンタープライズデジタルアシスタント104と短距離の無線通信を与える。
【0084】
別の実施例において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、一般的な身体検査において患者112の医療情報を自動的に獲得するために用いられる。患者112は、体重計136の上に立つことが求められる。介護者116は、体重計136のバーコードをスキャンする。その結果、エンタープライズデジタルアシスタント104は、自動的に体重計136と通信して患者112の体重を取得する。
【0085】
状況が身体測定であることが確立されると、エンタープライズデジタルアシスタント104は、表示画面にキーボードを自動的に表示して、患者112の身長を入力するよう介護者116を促す。この態様で、エンタープライズデジタルアシスタント104は、健康管理施設でのワークフローパラダイムを駆動させる。
【0086】
別の実施例において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、手術室で希釈または還元される麻酔用の薬剤ラベルを自動的にプリントアウトする。本実施例で関与する主な医療エンティティは、医療システム120、たとえば麻酔「ステーション」(さらに麻酔文書化システムを走らせているワークステーション、換気装置、プリンタおよび薬剤カートを含む)、介護者108、患者112、および原料薬剤、すなわち希釈または還元されず、直接ベンダから供給される薬剤を含む。
【0087】
上記の例では、介護者116は、エンタープライズデジタルアシスタント104を用いて自分の識別カードのバーコードをスキャンし、それにより自分が作業を進めることが認められることを確証する。一実施の形態において、介護者116は、自分に資格があることを認証するためにユーザ名/パスワードの組合せを入力するよう促される。介護者116は、次に患者112のリストタグをスキャンしてエンタープライズデジタルアシスタント104に適切な臨床情報システム142から関連する医療情報をダウンロードすることを指示する。
【0088】
一部の実施の形態において、患者112の特定は、麻酔ステーションに含まれる情報を識別することによって確立できる。たとえば、麻酔ステーションには既に患者112の医療情報が設定され、麻酔ステーションの固有の識別子をスキャンすると、この情報は自動的にエンタープライズデジタルアシスタント104にアップロードされる。
【0089】
麻酔ステーションの固有の識別子のスキャニングに応答して、エンタープライズデジタルアシスタント104は、薬剤用のラベルをプリントアウトするために自分自身を自動的に再構成する。一部の実施の形態において、エンタープライズデジタルアシスタント104は、内蔵プリンタを用いて薬剤ラベルを印刷する。別の実施例では、エンタープライズデジタルアシスタント104は、ラベルを印刷するために、情報を遠隔のプリンタに無線で送信する。
【0090】
つぎに介護者116は、さまざまな原料薬剤をスキャンし、薬剤に基づき、および/または介護者116がたとえばキーボードおよびユーザインターフェイス340を介して入力する付加的情報、たとえば薬剤の濃度および種類に基づき、ラベルを自動的に生成するように、エンタープライズデジタルアシスタント104を促す。エンタープライズデジタルアシスタントは、現在の手術がどの麻酔ステーションに関連付けられているか承知しているので、ラベルをプリントアウトするために、麻酔ステーションに近い適切なプリンタを選択することができる。
【0091】
一部の実施例において、プリンタによって生成される薬剤ラベルは、バーコード、すなわち「娘」バーコードをも含む。したがって、娘バーコードがスキャンされると、エンタープライズデジタルアシスタント10は、ラベルによって記載される薬剤成分が患者112に投与されたことを書類上記録する(患者112のリストタグをスキャンすることによって定められる)。
【0092】
実施:
ここに記載される技法は、デジタルエレクトロニック回路で、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはその組合せで実施できる。これらの技法は、コンピュータプログラムプロダクトとして、すなわちたとえばマシン読取可能記憶装置のような情報キャリアで明確に実現されるコンピュータプログラムとして実施でき、たとえばプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータといったデータ処理装置によって実行され、またはその動作を制御する。コンピュータプログラムは、コンパイル型またはインタープリタ型言語を含むどのようなプログラミング言語で書かれてもよく、スタンドアロンプログラムもしくはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピュータ環境で使用するのに適する他のユニットを含むいかなる形式でも配置されることができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータで、または1箇所にあるもしくは複数の箇所に分散されて通信ネットワークによって相互接続する複数のコンピュータで、実行できるよう配置される。
【0093】
ここに記載される技法の方法ステップは、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラミング可能なプロセッサによって実行でき、入力データを操作しかつ出力を生成することによって、本発明の機能を実行する。方法ステップは、専用の論理回路、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によっても実行でき、さらに本発明の装置はその専用の論理回路として実施できる。モジュールとは、機能を実施するコンピュータプログラムおよび/またはプロセッサ/特定回路の部分を指すことができる。
【0094】
コンピュータプログラムの実行に適するプロセッサは、一例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用のマイクロプロセッサ、ならびにすべての種類のデジタルコンピュータのいずれか1つ以上のプロセッサを挙げることができる。一般に、プロセッサは、読出専用メモリから、ランダムアクセスメモリから、またはこの両方から、命令およびデータを受取る。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリ装置とを含む。一般にコンピュータは、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、もしくは光ディスクといった、データを記憶するための大容量記憶装置を含む、またはこの大容量記憶装置からデータを受取るもしくはデータを転送する、または両方を行なうよう、動作可能に結合されている。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適する情報担体は、如何なる形式の不揮発性メモリをも含み、たとえばEPROMやEEPROMのような半導体記憶装置やフラッシュメモリ装置、たとえば内部ハードディスクまたは取外し可能なディスクである磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクを挙げることができる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完でき、または専用論理回路に組み込むことができる。
【0095】
ユーザとの相互作用を与えるために、ここに記載される技法は、ユーザに情報を表示するためのたとえばCRT(陰極管)またはLCD(液晶表示)モニタといった表示装置と、キーボードおよびたとえばマウスまたはトラックボールといった指示装置とを有するコンピュータまたはエンタープライズデジタルアシスタント104で実施でき、ユーザはそれによってコンピュータに入力を与えることができる(たとえば、このような指示装置のボタンをクリックすることによって、ユーザインターフェイスエレメントと相互作用する)。ユーザとの相互作用のために、他の種類の装置を使うこともできる。たとえば、ユーザに与えられるフィードバックは、どのような形のセンサフィードバック、たとえば視覚的フィードバック、可聴のフィードバック、または触覚フィードバックであってもよい。ユーザからの入力は、可聴、会話型、または触覚入力を含めたどのような形でも受取ることができる。
【0096】
ここに記載される技法は、分散コンピューティングシステムで実施することができ、分散コンピューティングシステムは、たとえばデータサーバといったバックエンドコンポーネント、および/またはたとえばアプリケーションサーバといったミドルウェアコンポーネント、および/またはたとえばグラフィックユーザインターフェイスおよび/またはユーザが本発明の実施で相互作用することができるウェブブラウザを有するクライアントコンピュータといったフロントエンドコンポーネント、またはこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、もしくはフロントエンドコンポーネントのいずれかの組合せをも含む。本システムのコンポーネントは、どのような形または媒体のデジタルデータ通信、すなわち通信ネットワークによっても相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)および広域ネットワーク(WAN)、たとえばインターネット、を挙げることができ、有線および無線両方のネットワークを含む。
【0097】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して相互に作用する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータで走りかつ互いにクライアント−サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0098】
他の実施の形態
他の実施の形態も添付の請求項の範囲内にある。ここに記載される技法は異なった順番で行なうことができ、異なる順番であっても所望の結果が得られる。