(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693237
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】磁界センサを製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
G01R33/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-542550(P2010-542550)
(86)(22)【出願日】2008年11月26日
(65)【公表番号】特表2011-510277(P2011-510277A)
(43)【公表日】2011年3月31日
(86)【国際出願番号】EP2008066224
(87)【国際公開番号】WO2009092478
(87)【国際公開日】20090730
【審査請求日】2010年8月3日
(31)【優先権主張番号】102008005315.5
(32)【優先日】2008年1月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マティー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス クニ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヴァイスホイテル
【審査官】
菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−122347(JP,A)
【文献】
特開2000−097955(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3030535(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ユニット(10)および接続ケーブル(28)の端部がプラスチックによる射出成形により被覆され、取り付けタブ(38)が射出成形されている、
磁界センサ(13)の製造方法において、
第1の射出成形プロセスにおいて、前記電気ユニット(10)および前記接続ケーブル(28)がコア状の第1の注入材(30,32)を用いて射出成形により被覆され、その後に、第2の射出成形プロセスにおいて、前記取り付けタブ(38)が、予め設定された長手位置および/または角度位置で、コア状の挿入コンポーネント(30)に射出成形され、
前記コア状の挿入コンポーネント(30)は、該挿入コンポーネント(30)内に封止される前記電気ユニット(10)の位置に対応したパイロット孔(34)を備え、
前記第2の射出成形プロセスにおいて、前記コア状の挿入コンポーネント(30)は、射出成形金型(46,58)内で長手方向にシフト可能および/または回転可能である金型中子(48)内に前記パイロット孔(34)を介して保持されることを特徴とする磁界センサ(13)の製造方法。
【請求項2】
前記コア状の挿入コンポーネント(30)は、円筒形状に成形されており、前記金型中子(48)の孔部(52)内に位置決めされる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の射出成形プロセスにおいて、メタルブッシュ(36)が射出成形の際に前記取り付けタブ(38)内に装入される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第2の射出成形プロセスにおいて、前記コア状の挿入コンポーネント(30)を囲繞しているセンタリングスリーブ(40)が、前記取り付けタブ(38)と一体で射出成形される、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
電気ユニット(10)および接続ケーブル(28)の端部がプラスチック(32)による射出成形により被覆され、取り付けタブ(38)が射出成形される、
請求項1から4のいずれか1項記載の方法を実行する磁界センサ(13)の製造装置において、
当該製造装置は、
第1の射出成形プロセスにおいて、前記電気ユニット(10)および前記接続ケーブル(28)がコア状の第1の注入材(30,32)を用いて射出成形により被覆され、その後に、第2の射出成形プロセスにおいて、前記取り付けタブ(38)が予め設定された長手位置および/または角度位置でコア状の挿入コンポーネント(30)に射出成形され、
前記コア状の挿入コンポーネント(30)は、該挿入コンポーネント(30)内に封止される前記電気ユニット(10)の位置に対応したパイロット孔(34)を備え、
前記第2の射出成形プロセスにおいて、前記コア状の挿入コンポーネント(30)は、射出成形金型(46,58)内で長手方向にシフト可能および/または回転可能である金型中子(48)内に前記パイロット孔(34)を介して保持される
ように構成されている
ことを特徴とする磁界センサ(13)の製造装置。
【請求項6】
前記射出成形金型(46,58)内の前記金型中子(48)は、連続して変化される長手位置および/または角度位置でシフト可能であり、該変化された長手位置および/または角度位置でロック可能である、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記金型中子(48)は、種々の挿入位置(Einschubpositionen)で前記コア状の挿入コンポーネント(30)を収容する孔部(52)を備えている、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
前記金型中子(48)は、円筒形状に形成され、前記射出成形金型(46,58)内で軸方向にシフト可能である、請求項5から7のいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記射出成形金型(46,58)において、前記コア状の挿入コンポーネント(30)を保持する前記金型中子(48)の軸方向からずらされて、前記取り付けタブ(38)内に射出成形の際に装入すべきメタルブッシュ(36)を供給する傾斜スライダー(54)が配置されている、請求項5から8のいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載の磁界センサを製造する方法および装置に関する。また、本発明の対象は、提案された方法および/または装置を用いて製造される磁界センサでもある。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開公報DE10129222A1からは、磁界センサと、センサ素子を含んでいる支持体の射出成形により被覆による磁界センサの製造方法がすでに公知である。ここでのセンサエレメントは、金属から成る支持体上に載置されており、回転する発信器素子との関係で定められる位置においてプラスチック材料で射出成形により被覆されて固定されている。センサ素子の位置は、センサとエンコーダとの間の間隔を規定するストッパーによりもたらされるが、この間隔もエンコーダに対するセンサの角度位置も変化させることができない。
【0003】
さらにドイツ特許出願DE102006050177では、車両ホイール用の回転数センサおよび/または回転方向センサとして構成されている磁界センサがすでに提案されている。この磁界センサの場合には、磁界感度センサ素子がその支持体と共にプラスチック材料で射出成形により被覆されている。このプラスチック材料による射出成形による被覆は、接続ケーブルの端部も囲繞し、射出成形材料がセンサの取り付けのための取り付けブッシュを備えた接続タブを形成するように構成されている。ここで、取り付けブッシュの中央軸線を中心として回転する発信器ホイールに対するセンサの角度位置は狭い範囲でしか調整することができず、センサの軸方向の位置決めを変更することはできない。
【0004】
発明の開示
それに対して、本発明による方法によっておよび/または本発明による装置を用いて製造されるセンサは、以下のような利点を有している。すなわち、センサのその都度の組み込み状態に応じて、取り付けタブの長手位置と角度位置を変化させ、さらに発信器素子に対するセンサの長手位置と角度位置も、変化させることができるということである。その結果、種々の組み込み状態に対して、金型中子の交換や射出成形金型全体の交換を必要とすることなく、センサを製造することができる。
【0005】
この場合、第1の射出成形プロセスで製造されるコア状の挿入コンポーネントが第2の射出成形プロセスにおいて射出成形金型内で長手方向にシフト可能および/または回転可能な金型中子内に保持されると殊に有利である。このようにして、第2の射出成形プロセスの前に精確かつ簡単に挿入コンポーネントを位置決めし、予め設定された長手位置および角度位置に取り付けタブを射出成形することができる。これに関して有利には、コア状の挿入コンポーネントは、実質的に円筒形状に成形され、金型中子の孔部内に位置決めされる。これによって、電気ユニットを備えた挿入コンポーネントの挿入と位置調節がさらに簡単化される。
【0006】
センサの挿入位置を定める取り付けタブを備えた磁界センサを製造する本発明による装置の形態に関しては、射出成形金型内で取り付けタブを射出成形するために、金型中子が長手方向にシフト可能および/または回転可能に配置され、先行する製造過程で製造された電気ユニットを含むコア状の挿入コンポーネントを収容するように構成されていると殊に有利である。これにより、コストのかかる射出成形金型の変更を必要とすることなく、発信器素子との関係で長手位置および角度位置が異なる様々な組み込み状態のセンサを同じ基本モデルをベースとして製造することができる。
【0007】
有利には金型中子を、射出成形金型内で連続的にシフトし、種々の長手位置および/または角度位置でロックすることができる。有利にはこの場合、金型中子も電気ユニットを備えたコア状の挿入コンポーネントも円筒形状ないし中空円筒形状に形成することができる。これによって、挿入することも位置決めすることも簡単化される。
【0008】
本発明のさらに別の個々の部分および有利な実施形態は、従属請求項および実施例の説明から得られる。
【0009】
本発明によって製造される磁界センサおよびそれを製造する装置の実施例を、図面で示し、以下の明細書において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】磁界センサの接続ケーブルを備え、電子ユニットを収容するコア状の挿入コンポーネントの斜視図
【
図4】
図1による挿入コンポーネントを収容する金型中子が嵌め込まれている射出成形金型の下側部分の斜視図
【
図5】完成した磁界センサと共に示されている射出成形金型の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1では、自動車の車輪回転を検出する回転数センサとしての形態で、提案された方法に従って熱可塑性プラスチックで周りを射出成形により被覆される磁界センサ13の電気ユニット10が示されている。この電気ユニット10には、センサエレメントと測定信号を処理し測定値を出力するための集積回路とを備えたICモジュール11が含まれている。測定信号を発生する磁界が、ICモジュール11に直接隣接して配置されている円筒形状の永久磁石12によって形成される。集積回路11の2つの導体路14,16は、信号ピークを低減するためにコンデンサ18によって橋絡され、クランプ接続部20,22によってケーブル28の接続線路24,26と接続されている。そのケーブル28の前方端部は、線路24,26とコンデンサ18と永久磁石12と集積回路11と共にプラスチックで射出成形により被覆され、構造および作用に関して周知である完成した磁界センサとなる。
図1ではプラスチックで射出成形により被覆された個々の部分を、破線で示し、以下の図面で詳細に説明していく。
【0012】
図2には、円筒形状の射出成形被覆部32内で接続ケーブル28と接続されている電気ユニット10が含まれているコア状の挿入コンポーネント30の斜視図が示されている。ここで孔34は、センシング素子としての電気ユニット10のICモジュール11の位置を示しており、その位置に従って取り付け時に磁界センサの位置を調節する。さらに
図2では、メタルブッシュ36が、第2の射出成形プロセスにおいて挿入コンポーネント30と接続される位置で描かれている。
【0013】
図3には、第2の射出成形プロセス後の完成された磁界センサ13の斜視図が同様に示されている。この第2の射出成形プロセスでは、取り付けタブ38が予め設定された長手位置および角度位置でコア状の挿入コンポーネント30に向けて射出成形されている。さらにこの第2の射出成形プロセスでは、挿入コンポーネント30は長手位置および角度位置を孔34を用いて次に説明する射出成形金型内に位置決めされる。それから、この射出成形金型において、取り付けタブ38がセンサ13の後からの取り付けプロセスのために予め設定された位置に射出成形される。
【0014】
センサ取り付けの安定性を向上させるために、取り付けタブ38内に
図2に示したメタルブッシュ36が射出成形の際に装入される。その他にも、挿入コンポーネント30のプラスチックの射出成形被覆部32を部分的に覆うセンタリングスリーブ40が、取り付けタブに結合されて射出成形される。このセンタリングスリーブ40は、その周囲に4つの均一に分布したリブ42を備えている。これらのリブを用いてセンサ13の全体が取り付け時にセンタリングされる。さらに、センタリングスリーブ40の反対側では、リングフランジ44が取り付けタブ38に射出成形されている。このリングフランジ44は、接続ケーブル28を囲繞し、ケーブルから挿入コンポーネント30への移行部を安定にしている。
【0015】
図4には、挿入コンポーネント30を収容するための金型中子48を備えた射出成形金型の下側部分46の斜視図が示されている。金型中子48は、全体的に円筒形状に成形され、同様に円筒形状の挿入コンポーネント30を収容するために円筒形状の孔部52を備えている。この金型中子は、射出成形金型および支持体50において任意の位置で連続的に長手方向にシフト可能および回転可能であり、それに応じて調節された位置にロック可能である。このことについては、さらに例えば
図5に基づいて詳細に説明する。この調節のために、この実施形態ではハンドグリップ53が一体成形されている。
【0016】
射出成形金型の下側部分46における支持体50の位置決め後、接続ケーブル28を備えた挿入コンポーネント30は、射出成形金型46および金型中子48において後の取り付けのために予め設定された機能長および角度位置で位置決めされ、金型中子自身が射出成形金型内でロックされる。取り付けタブ38内に射出成形の際に装入すべきブッシュ36は、射出成形される取り付けタブ38の領域における
図2,3に示したブッシュ36の位置にスライダー54およびマンドレル55を用いて装入され、続いてこのスライダー54は再びもとに戻る。取り付けタブ38を射出成形するために、プラスチック混合物の供給がチャネル56を介して行われる。
ここで、スライダー54は、射出成形金型において、コア状の挿入コンポーネント30を保持する金型中子48の軸方向からずらされて、有利にはタブ38内に射出成形の際に装入すべきメタルブッシュ36を供給する。
【0017】
図4には、射出成形プロセス後において内部を開放した状態で示した射出成形金型が示されており、ここでセンサが射出成形金型の下側部分46に設けられている。図面において既に、取り付けタブ38は挿入コンポーネント30に射出成形されており、これによって、完成した磁界センサ13を取り出すことができる。
【0018】
図5には、下側部分46と傾斜スライダーとして構成されているスライダー54と上側部分58とを備えた射出成形金型の断面図が示されている。下側部分46において支持体50の延長部の部分が、上側部分58において支持体50の残りの延長部の部分がそれぞれ占められている。この支持体50において金型中子48が、矢印60に応じて長手方向にシフト可能におよび金型中子48の中央軸線を中心として回転可能に保持されている。支持体50内での金型中子48の固定が、ロック部品62によって行われる。金型中子48内の孔部52内へ、挿入コンポーネント30がその予め設定された角度位置にその孔部52の端部まで挿入されている。挿入コンポーネントのロックは、挿入する時に予め設定されている角度位置を保障し、かつ接続ケーブル28と共に挿入コンポーネントをその位置において保持する固定ピン64によって、行われる。この固定ピンは、挿入コンポーネント30のパイロット孔34に挿入され、ICモジュール11の位置によって予め設定されている位置を保障している。
【0019】
図3,5を参照すると、取り付けタブ38の異なる位置決め状態を見ることができる。
図3では、取り付けタブ38が挿入コンポーネント30のケーブル側の端部に配置されている一方、
図5によると取り付けタブ38はさらに挿入コンポーネント30の中央に配置されており、このようにしてセンサの異なる機能長を定めている。矢印60に対応する長手方向の変化によって、場合によっては金型中子48の回転によって、このように位置決めすることができる。ここでの挿入コンポーネント30は、その都度完全に孔部52に挿入されている。射出成形金型内の取り付けタブ38の位置は、固定的に予め設定されている。
【0020】
図6には、
図5の一点鎖線VI−VIの領域の射出成形金型の断面図が示されている。この図面からは、この場合楕円形状で形成されている固定ブッシュ36の位置と同様に、挿入コンポーネント30に対する取り付けタブ38の形態を見て取ることができる。このことによって、センサ取り付け時に所定の取り付け許容偏差とすることができる。
図6においても同じ部品には上述の図面と同じ参照符号が付されている。