【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第一の観点との関係では、上記目的は、加工されるべき領域を類似の面積を有する複数の表面区分領域に分割することによって達成される。或る表面区分領域における、入射ビームと物体との反応からの反応生成物による信号は、完全な信号を形成するために積分される。
【0017】
本発明の第一の観点は、反応生成物が加工ステップで検出されるとき及び加工ステップとは一時的に分離された計測ステップにおいて反応生成物の検出が行われるとき双方に適用することができる。
【0018】
本発明の第二の観点との関係では、終端点検出のための反応生成物の検出は、加工ステップでのビームパラメータと比較して、入射ビームの一以上のビームパラメータが変更された状態で、別個のステップにおいて行われる。
【0019】
また、当然のことながら、本発明の両観点を併行して適用することもできる。
【0020】
本発明の第一の観点による方法は以下のステップを伴うことができる。
−前記物体の表面に反応ガスを供給するステップと、
−エネルギービームを、前記物体の表面の加工されるべき領域の加工部分へ向けることによって、前記物体上に材料を堆積させるため又は前記物体から材料を除去するために行われる、物体を加工するステップと、
−前記エネルギービームと物体との反応生成物を検出するステップと、
−検出された、前記エネルギービームと前記物体との前記反応生成物から得られる情報に基づいて、前記物体の加工が続行されなければならないのか、それとも前記物体の加工を終了することができるのか、を判断するステップ。
【0021】
前記エネルギービームは、光ビーム、例えばパルス幅10ps以下の極短光パルスを伴うレーザービーム、又は、荷電粒子ビーム、特に電子ビームであることができる。
【0022】
物体の加工が続行されなければならないのか、それとも物体の加工を終了することができるのか、を判断するに際しては、加工されるべき領域は複数の表面区分に分割されることができ、ビームが同一の表面区分の部分に当たった際に検出された反応生成物について完全な信号を形成するために積分を行うことができる。
【0023】
すべての表面区分におけるノイズ成分がある程度等しくなるようにするために、前記表面区分の面積は似た値を持つことができる。具体的な実施態様においては、個々の表面区分の面積は互いに最大でも300%しか相違できないようにされる。
【0024】
具体的な実施態様においては、物体に投射されるビームと加工されるべき領域の縁との距離が既定の最小間隔より大きい場合に検出された信号のみが、完全な信号の形成時に考慮されるようにすることができる。より具体的な実施態様においては、反応生成物によりもたらされる信号が実質上、材料コントラストを排他的に示すように、前記最小間隔を選ぶことができる。
【0025】
別の具体的な実施態様においては、前記表面区分に関しての空間的積分及び複数の照射サイクルにわたって並列的に行われる時間的積分によって、反応生成物から検出された信号の統計上のノイズが、加工中に生じる材料の変化に応じて検出されるはずである信号の変化よりも小さくなるような、最低の大きさを各表面区分は持つことができる。
【0026】
別の具体的な実施態様においては、前記全表面区分の少なくとも90%について、表面区分の周長の二乗を表面区分の面積で割った商が、30未満となるように表面区分を決定することができる。
【0027】
別の具体的な実施態様においては、前記ステップbにおける物体の加工を第一のビームパラメータの組合せをとるビームによって行うことができ、前記ステップcにおける表面のスキャニングを第二のビームパラメータの組合せをとるビームによって行うことができるのであり、ここでは前記第二のビームパラメータの組合せは前記第一のそれと異なるのである。さらに具体的な実施態様においては、第二のビームパラメータの組合せによる加工速度が第一のビームパラメータの組合せによる加工速度よりも低いこととなるように、第一のビームパラメータの組合せと第二のビームパラメータの組合せが異なることができる。
【0028】
別のより具体的な実施態様においては、少なくとも、物体の表面の或る場所における(ピクセル上の)ドウェルタイムに関して、前記第二のビームパラメータの組合せにおけるドウェルタイムが前記第一のビームパラメータのそれよりも長くなるように、前記第一のビームパラメータの組合せと前記第二のビームパラメータの組合せが異なることができる。
【0029】
別のより具体的な実施態様においては、少なくとも、物体の表面の異なる場所にビームが当たる順序に関して、前記第一のビームパラメータの組合せと前記第二ビームパラメータの組合せのそれとが異なることができる。
【0030】
別の具体的な実施態様においては、前記ステップcにおける物体の表面のスキャニング中に、物体へのプロセスガスの供給を、物体の加工中でのプロセスガスの供給と比べて減じることができる。
【0031】
別の具体的な実施態様においては、前記ステップdにおける判断の後は、反応ガスが供給されている間に物体の表面上の或る場所の加工されるべき領域にビームが向けられて加工が続けられるのは、充分な加工が前記ステップdにおいてまだ確認できていない、物体の表面上の領域に限られる。
【0032】
異なる材料の厚みを持つ欠陥の領域が異なる表面区分に属するように、加工されるべきマスクの種類及び修復されるべき欠陥の種類に応じて、表面区分の大きさを経験主義的に設定することができる。これにより、空間的積分が行われるのにも関わらず、異なるエッチング持続時間を必要とすることになる、除去されるべき材料の厚みに典型的な変動範囲のある場合を考慮に入れることが可能となる。
【0033】
完全な信号を形成するに際して考慮されるべき信号は、加工されるべき領域の縁から少なくとも最小限の隔たりを持った、物体に投射されるビームによる信号であるべきである。換言するならば、物体に投射されるビームの、加工されるべき領域の縁からの距離が、既定の最小間隔より大なる場合に検出される信号のみが、完全な信号の形成に際して考慮されるべきである。これにより、検出される信号が、特に修復されるべき欠陥の縁において発生するシグナルアーチファクトによって支配されないことを保障することが可能となる。このようなシグナルアーチファクトは、例えば、検出された信号が物体のトポグラフィーによって強く影響される場合に生じ得る。特に、前記最小間隔は、反応生成物による信号が実質上、材料コントラストを排他的に示すこととなるように選択することができる。
【0034】
個々の表面区分は、全表面区分の少なくとも50%について周長の二乗を表面区分の面積で割った商が、20未満となり、全表面区分の少なくとも90%について周長の二乗を表面区分の面積で割った商(以下において、単に「商」と記す。)が、30未満となるように画定することができる。観測される信号の空間的解像度が、互いに直交する二つの方向において、ある程度近似するように、理想的には、表面区分は、おおよその円形又はおおよその正方形であることが望ましい。しかし、円形の表面区分(図形)を用いて重複なしに表面を埋め尽くすのは不可能であり、また、修復されるべき欠陥の縁又は加工されるべき領域の縁は一般的には理想的な円形状又は直線状の形を持たないのであるため、おおよその円形又はおおよその正方形を用いることは原則的には可能ではない。上述の商が、全表面区分の少なくとも50%について20未満であり、かつ、全表面区分の少なくとも90%について30未満であれば、円形又は正方形からの逸脱はまだ許容できる程に小さく、このため、注目されるような又は心配を来たすような解像度の差が、方向に依存して発生しない。
【0035】
全表面区分を合わせれば加工すべき領域の全体を正確に覆うことが望ましい。加工すべき領域中の点で、表面区分に属さないで残されている点は存在しないことが望ましい。他方、表面区分は互いに重複していること、すなわち、加工されるべき領域中の或る点が2以上の表面区分に属していることが望ましい。なぜならば、先述の条件が真でなければ、或る表面区分がマスクされると、別の表面区分にも変化が及ぶからである。
【0036】
本発明の第二の観点による方法は以下のステップを伴うことができる。
−前記物体の表面に反応ガスを供給するステップと、
−エネルギービームを、或る加工されるべき部分の、前記物体の表面にある加工されるべき領域に向けることによって、前記物体上に材料を堆積させるため又は前記物体から材料を除去するために行われる、前記物体を加工するステップと、
−前記エネルギービームを用いて前記物体の表面をスキャンして、前記エネルギービームと前記物体との反応生成物を検出するステップと、
−検出された、前記エネルギービームと前記物体との前記反応生成物から得られる情報に基づいて、前記物体の加工が続行されなければならないのか、それとも前記物体の加工を終了することができるのか、を判断するステップ。
【0037】
前記エネルギービームは、光ビーム、例えばパルス幅10ps以下の極短光パルスを伴うレーザービーム、又は、荷電粒子ビーム、特に電子ビームであることができる。
【0038】
前記第二のステップにおける加工は、第一のビームパラメータの組合せをとるビームによって行うことができ、前記第三のステップにおける表面のスキャニングのステップは、第二のビームパラメータの組合せをとるビームによって行うことができるのであり、ここでは第二のビームパラメータの組合せは第一のそれとは異なることができる。
【0039】
ここで、前記第一のビームパラメータの組合せは、加工ステップに関して最適化されていることができ、前記第二のビームパラメータの組合せは、反応生成物の検出に関して最適化されていることができる。特に、第二のビームパラメータの組合せによる加工速度が第一のビームパラメータの組合せによる加工速度よりも低いこととなるように、第一のビームパラメータの組合せと第二のビームパラメータの組合せが異なることができる。
【0040】
物体の表面の或る場所における(ピクセル上の)ドウェルタイムに関して、第二のビームパラメータの組合せにおけるドウェルタイムが第一のビームパラメータのそれよりも長くなるように、第一のビームパラメータの組合せと第二のビームパラメータの組合せが異なることができる。或る場所における、ビームの長くなったドウェルタイムのため、程なくして当該場所においてプロセスガスの消耗が起こり、結果として、投射される荷電粒子ビームにも関わらずに、化学反応が停止させられるか又は少なくとも減速させられる。
【0041】
サンプルの表面の異なる場所にビームが当たる順序に関して、第一のビームパラメータの組合せと第二ビームパラメータの組合せのそれとが異なることができる。特に、スキャニング戦略として蛇行走査が加工ステップ及び終端点信号の検出に用いられるときは、加工ステップよりも終端点信号の検出についてより細かい間隔が用いられることとなるように蛇行の間隔を設定できる。これによりまた、化学反応の低減或いは減速が達成される。
【0042】
第三のステップにおける物体の表面のスキャニング中に、物体へのプロセスガスの供給を、物体の加工中でのプロセスガスの供給と比べて減じ又はそれどころか停止することができる。これによりまた、化学反応の低減或いは減速が達成される。
【0043】
上記の化学反応を低減或いは減速させるための手段は、単体で、又は、互いに複合して適用することができる。
【0044】
第四の加工ステップにおける判断の後は、反応ガスが供給されている間に物体の表面上の或る場所の加工されるべき領域にビームが向けられて加工が続けられるのは、充分な加工が判断ステップにおいてまだ確認できていない、物体の表面上の領域に限られる。これにより、加工を要する厚さ又は加工速度の、空間的な差異を考慮することができ、各場所の局所的な性質に応じて、必要な時間だけ正確に、各場所において加工を続行することができる。