特許第5693243号(P5693243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチの特許一覧

特許5693243フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法
<>
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000010
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000011
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000012
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000013
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000014
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000015
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000016
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000017
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000018
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000019
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000020
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000021
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000022
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000023
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000024
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000025
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000026
  • 特許5693243-フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法 図000027
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693243
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】フラボノール化合物、生物活性抽出物又はフラクション、薬理学的組成物、医薬品及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 407/04 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   C07D407/04
【請求項の数】3
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2010-549257(P2010-549257)
(86)(22)【出願日】2009年3月3日
(65)【公表番号】特表2011-513390(P2011-513390A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】IN2009000146
(87)【国際公開番号】WO2009110003
(87)【国際公開日】20090911
【審査請求日】2012年2月17日
(31)【優先権主張番号】534/DEL/2008
(32)【優先日】2008年3月5日
(33)【優先権主張国】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596020691
【氏名又は名称】カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【弁理士】
【氏名又は名称】羽切 正治
(72)【発明者】
【氏名】マウリヤ、ラケシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラーワト、プリーティ
(72)【発明者】
【氏名】シャラン、クナール
(72)【発明者】
【氏名】シディキ、ジャエド、アクタル
(72)【発明者】
【氏名】スワランカル、ガウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、ジータンジャリ
(72)【発明者】
【氏名】マニカヴァサガム、ラクシュミ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン、ギリシュ、クマール
(72)【発明者】
【氏名】アリヤー、カマル、ラーム
(72)【発明者】
【氏名】チャットパドヤイ、ナイベドヤ
【審査官】 爾見 武志
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101058594(CN,A)
【文献】 国際公開第03/092666(WO,A1)
【文献】 Arch Pharm Res,(2004), Vol.27, No.7,p.751-756
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 407/04
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルムスワリチアーナから得た抽出物又はフラクション及び一般式2で表される化合物の製造方法であって、当該製造方法は
(a)植物であるウルムスワリチアーナを得る工程と、
(b)当該植物材料を粉化する工程と、
(c)当該粉化した植物材料をプロトン性溶媒で室温下抽出する
工程と、
(d)当該抽出物をろ過する工程と、
(e)減圧下で当該抽出物を濃縮する工程と、
(f)抽出物をヘキサンで処理して粉状化して非極性組成物を除去する工程と、
(g)真空下で残留物を乾燥させて自由流動性粉状にすることにより望ましい抽出物を得る工程と、
(h)工程(g)で得た抽出物を水中に溶解する工程と、
(i)n−ブタノールを添加して水溶性抽出物を沈殿させる工程と、
(j)白色沈殿物をろ過してK058を得る工程と、
(k)メタノールとエチルアセテートの混合物で得られた化合物を結晶化する工程と、
(l)当該化合物をろ過する工程と、
(m)当該化合物を乾燥して、自由流動性白色粉状の形態でK058を得る工程と、
(n)ろ液と粉末をアセトンで濃縮する工程と、
(o)化合物K012、K068、K100をアセトン可溶フラクションから従来のクロマトグラフ法により分離する工程と、
(p)抽出物及びアセトン可溶フラクション中でK058、K012、K068、K100を定量する工程、
とを含むことを特徴とする製造方法。
(一般式2)
【請求項2】
抽出用に使用されたアルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、又はこれらの適切な組み合わせからなるグループより選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
粉砕に使用される溶媒は、アセトン、エチルメチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、メタノール、又はこれらの適切な組み合わせからなるグループより選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患に関連するさまざまな医学的適応の予防及び/又は治療に有用な自然源から分離した新規なフラボノール化合物、新規な植物抽出物、フラクション、及びその純化合物を提供する医薬成分の分野に関し、ヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に関する。更に本発明は、ニレ科に属するウルムスワリチアーナから分離した生物活性抽出物/フラクション及びその化合物の作製プロセスに関し、本発明の主な態様は、医薬的に許容される塩や成分である。
【背景技術】
【0002】
骨粗しょう症は、「低骨量」とも定義され、高齢化社会の問題の1つとされる。骨粗しょう症は、老人人口における骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増加する疾患である。骨粗しょう症の骨折は、脊髄、腰、橈骨遠位端等に最もよく起こる。危険性は男性に比べて女性の方が高く、50歳以降急激に増加する。骨粗しょう症に罹りやすくなる要因として、家系、遺伝的素因、ホルモン因子、不適切な栄養、ある種の薬物の摂取、運動不足、及び病気等が挙げられる。重度の骨粗しょう症の場合、生活の質が著しく損なわれる。50歳以上の50%以上の女性及び30%の男性が骨粗しょう症に罹ることが知られている。女性の場合さらに、更年期以降数年間で急激に骨量の低下率が加速される。
【0003】
南アジアの女性の間では、最大骨量(PBM)が低下した患者と骨粗しょう症の患者との間に因果関係が認められている(S. Adami. 骨粗しょう症国際会議 1:S27-30, 1994)。PBMは正常な発育として達成される骨量の最高レベルとして定義されるものである。青年期は、PBMの半分以上が10代の間に蓄積されるため、骨の健康スパンにおいて最も重要な期間である。人生における前半期に、骨吸収より造骨の方が大きく骨量が増加する。青年期に達成されたPBMは、少なくとも70歳になるまで骨格の脆弱性の重要な決定因子となる(L.A. Soyka, W.P. Fairfiled, A. Klibanski. J Clin Endocrinol Metab, 11:3951-3963, 2000)。PBMの達成後、造骨より骨吸収の方が加速され、骨密度が減少していく。加齢と共に次第に進行する骨量の低下はノーマルである一方、骨粗しょう症のリスクが最も高い人というのは、最適なPBMを達成できない人及び/又は骨量の低下を加速させている人である。又、PBMの低下により脆弱性骨折の危険が更に増す。
【0004】
従って、若年期に高いPBMを有する人たちは老年期にも高い骨量を有する傾向があるため、骨格の発育時にPBMを増加させる作用因子があれば、骨粗しょう症を予防する上で望ましい。PBM達成の正確なタイミングは定かではなく骨格部位によりさまざまであるが、骨のミネラルの付着による質量増大がこのタイミング以降も続くため、PBMは身長の伸びが止まってからも数年は維持される。大腿骨の面密度(BMD)は20歳ぐらいでピークに達する。一方、その後6〜10年後に最大全骨格量を達成する。これは成長ホルモン(GH)のタンパク同化作用が停止してから大分経過してからである。
【0005】
骨量低下疾患に使用できる薬剤として、主にカルシウム、ビタミンDとその類似体、カルシトニン、ビスフォスフォネート、ラロキシフェン、ホルモン補充療法(HRT)等が挙げられ、それらは骨吸収率を低下させることによって骨量低下率を遅らせる作用をする。これら抗吸収剤をタイムリーに投与することにより、骨量低下を予防することができる。
【0006】
しかし、ホルモン補充療法は卵巣摘出術後や更年期障害の女性において骨量の低下を予防する上で効果的であるものの、子宮内膜増殖症や癌のリスクを増大させる[Grady, D. Grebretsadik, T. Ernestwr, V. Petitti, D. Gynecol. 85, 304-313(1995), Beresford S. A. Weiss, N. S. Voigt, L. F. McKnight, B. Lancet 349, 458-461(1997)]、乳癌[Riggs, L. Hartmann, L. C. J. Med. 348-618-629,(2003)]、及び血栓塞栓症[Delmas, P.D. Lancet 359, 2018-2026(2002)]。
【0007】
腎結石を促進させることがカルシウム療法の副作用として挙げられる。更にカルシトニンの使用の際の主なデメリットはコストが高いことである。又、カルシトニン治療を受ける何人かに速成耐性が促進される可能性がある。
【0008】
ビスフォスフォネートは吸収されにくく、胃腸刺激、下痢、便秘を引き起こす可能性がある。ラロキシフェンは顔面紅潮、深部静脈血栓症、肺塞栓症、及び脚のけいれんを引き起こすことが報告されている[Clemett, D.;Spencer, C. M. Drugs 60,380-409(2000)]。
【0009】
PBMの達成に関する要因として、先天性、食事、ホルモン、運動、ライフスタイル、薬、及び病気等が挙げられる。PBM増加を狙った治療的介入は、エストロゲンの状態、食事からのカルシウム摂取、及び運動等の制御因子に限られる。カルシウムの摂取は、所謂閾値摂取(1000mg/日)まで適切であると思われるが、高い摂取量が付加的利益をもたらすようには思えない。運動は、機械的ストレスが加わる骨格領域のみに影響を及ぼす。エストロゲン投与は、重度膣炎等のような状態においてのみに現実的となる。明らかに、栄養不足は、南アジア女性、特に人生の後半期に骨量低下になりやすい女性のPBM欠如の主な理由の1つである。従って、PBMを促進する作用因子が、骨量低下疾患に対する治療的示唆となる。
【0010】
上記治療とこれに伴う副作用を鑑みると、骨粗しょう症及びPBMが達成できない場合に対する予防及び治療の代替オプションを模索する必要がある。
【0011】
伝統医学というのは現代科学が健康の分野にも応用される以前の人間社会に存在する古代医療行為を指す。主な健康管理の根源としての伝統医学の重要性は、1976年伝統医学プログラムを世界的に発表することにより、世界保健機関(WHO)により初めて正式に認められた。伝統医学には、骨の病気を治療する可能性があるたくさんの生薬がある。しかしながら、イプリフラボン、天然物誘導体を除いて、伝統医学の開発や使用の可能性を評価する実習指導が充分に行われなかった。イプリフラボン、天然物誘導体は以下の適応例に臨床的に使用されている[Fujita, T.;Yoshikawa, S.;Ono, K.;Inoue, T.;Orimo, H. J. Clin. Exp. Med. 138, 113-141(1986),Passeri, M.;Biondi, M. ;Costi, D. ;Bufalino, L.;Castiglione, g. N.;DiPeppe, C.;Abate, G. Bone Miner. 19(Suppl. 1),S57-62(1992)]。漢方薬がたやすく入手でき、安く、そして化学合成薬品より安全であると信じられている。インドでは、ウパニシャッドや仏教の哲学やその他インドの学派の台頭と共にアユルベーダ医療が現れた。ハーブはアユルベーダ医療において重要な役割を果たしている。このようなアユルベーダ漢方薬として、ウルムスワリチアーナプランションが挙げられる。クマオンの心霊治療家の周囲では、この植物を骨折治療に使用する[Gaur, R. D. Flora of District Garhwal, North West Himalaya. Trans Media, Srinagar(Garhwal), India, 1999, pp. 86;Arya, K. R.;Agarwal, S. C. Indian J. Traditional Knowledge, In Press]。しかし、骨粗しょう症や骨系疾患、及び関連疾患に対する効果は科学的に解明されてはいない。
【0012】
よって、動物や人間において試験的に骨の同化作用や造骨の可能性を発揮する有望なハーブ製品や生物機能性単一分子ベースの薬品、もしくは植物由来の純粋生物機能性分子の混合物等を早急に開発する必要があった。ウルムスワリチアーナは、その抽出物やフラクション及びバイオマーカー成分の造骨反応の真の可能性を研究開発するのに適切な例である。実験によると、抽出物、フラクションから分離した生薬エキス、アセトン可溶性フラクション及び純化合物は有望な造骨活性を発揮することが分かった。
【0013】
ウルムスワリチアーナプランションはニレ科に属し、アフガニスタンから西ネパールに亘るヒマラヤに分布する[Dictionary of Indian Folk Medicine 及び Ethnobotany edited by Jain, S. K., Deep Publications, Paschim Vihar, New Delhi, India, 1991, pp183]。この植物の葉は飼料として、樹皮は強い繊維として消費される。インドでは、この植物はChamarmouと地元で呼ばれるクマオン及びガルワール・ヒマラヤに生息し、高さ35mにもなる落葉性の木である。この木はこれまで、化学的に及び薬理学的に調査されることはなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、ウルムスワリチアーナから、骨疾患の管理、予防又は治療に有用な新規な化合物や生物活性抽出物/フラクションを作製することである。
【0015】
本発明の他の目的は、生物活性抽出物/フラクションのマーカー化合物を同定することである。
【0016】
本発明の更なる他の目的は、個々の成分を分離するプロセスを提供することである。
【0017】
本発明の更なる他の目的は、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療のための、及びヒト及び動物の健康的な骨格成長における骨量(PBM)最大量の達成のための薬理学的成分を提供することである。
【0018】
[発明の要約]
本発明は、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患に関連するさまざまな医学的適応の予防及び/又は治療に有用な自然源から分離した新規なフラボノール化合物、新規な植物抽出物、フラクション、及びその純化合物を提供する医薬成分の分野に関し、ヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に関する。更に本発明は、ニレ科に属するウルムスワリチアーナから分離した生物活性抽出物/フラクション及びその化合物の作製プロセスに関し、本発明の主な態様は、医薬的に許容される塩や成分である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】抽出物、フラクション、及びウルムスワリチアーナの幹の皮より分離される生薬エキス及び純フラクションを示すフローチャートである。
図2】ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物は、ラットにおけるOvx−誘発による骨量低下を抑制する。摘出された骨におけるBMD(骨密度)をDEXAにより測定した。体重当たり750mg/kgのC002で90日間治療したOvxラットを、Ovxラット、賦形剤で治療した擬似手術のラットと比較した。(A)大腿骨全体、(B)大腿骨頸、(C)大腿骨骨幹軸、(D)第4腰椎をそれぞれ示す(擬似手術のラットのBMDと比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、OvxコントロールのラットのBMDと比較した場合、a−P<0.001、b−P<0.01、c−P<0.05を満たす)。
図3】ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物は、ラットの子宮レベルではエストロゲン性を示さない。擬似手術を受けたコントロールラット及びOvxラットに対して、体重当たり750mg/kgのC002で90日間治療したラットの子宮重量を示す。擬似コントロールラットの子宮重量と比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、Ovxラットの子宮重量と比較した場合、c−P<0.001;b−P<0.01;a−P<0.05を満たす。
図4】ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物やフラクションは、若いラットのPBMを促進する。摘出された骨におけるBMDをDEXAにより測定した。(A)750mg/kgのC002及び50mg/kgの914/F006(914/C002のフラクション)で治療した成長過程の雌ラットの大腿骨を、賦形剤で治療したコントロールラットと比較した。(B)コントロールラットの第4腰椎と750mg/kgの914/C002で治療したラットを示す(***−P <0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。
図5】ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物は、若いラットの骨幹細胞の成長を促進する。750mg/kgの914/C002で治療した成長過程の雌ラットから得たBMC(骨髄細胞)を賦形剤で治療したコントロールラットのそれと比較した。(A)アルカリ ホスファターゼ−アッセイ(骨芽細胞への分化)を示し、(B)アリザリンレッドS細胞の顕微鏡写真(骨髄細胞のミネラル化)を示し、及び(C)抽出後のアリザリンレッドSの定量化(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)を示す。
図6】ウルムスワリチアーナから得た4種の純化合物はインビトロで頭蓋冠骨芽細胞への分化を促進する。頭蓋冠骨芽細胞を、1及び100nM濃度のK012、K058、K068及びK100で治療し、ALP(アルカリホスファターゼ)生産物を定量した。***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05;N=3。
図7】ウルムスワリチアーナから得た4種の純化合物は、頭蓋冠骨芽細胞のミネラル化をインビトロで促進する。頭蓋冠骨芽細胞は、1及び100nMの濃度のK012、K058、K068及びK100で治療した。(A)アリザリンレッドS細胞の顕微鏡写真を示す。(B)抽出後のアリザリンレッドSの定量化を示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。(C)コッサ法により染色された骨芽細胞の顕微鏡写真を示す。
図8】K058は、頭蓋冠骨芽細胞の増殖を促進する。頭蓋冠骨芽細胞を1及び100nM濃度のK058で治療し、BrdU細胞増殖アッセイが行われた。***−<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05;N=3。
図9】ウルムスワリチアーナから得た4種の純化合物は、BMCs(骨髄細胞)のインビトロでのミネラル化を促進する。1及び100nM濃度のK012、K058、K068及びK100でBMCを治療し、ミネラル化が行われた。(A)アリザリンレッドS細胞の顕微鏡写真を示す。(B)抽出後のアリザリンレッドSの定量化を示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。
図10】K068及びK100は、ネズミの前脂肪細胞3T3−L1の脂肪細胞への分化を抑制する。(A)3T3−L1細胞を1μM、100nM及び1nM濃度のK068及びK100で治療し、オイルレッド−O染色が行われた。染色が抽出され定量された。***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05;N=3。(B)100nM及び1nM濃度のK068及びK100で3T3−L1前脂肪細胞を8日間(脂肪細胞分化の時間)治療した後の、脂肪細胞分化−特異的遺伝子の半定量的RT PCRを示す。GAPDHを、RNAローディングコントロールとして使用した。同じような結果を示す3種の個別実験の典型的なゲルの像を示す。
図11】K058は、さまざまな骨芽細胞特異的遺伝子のmRNAレベルを増加させる。100nM濃度のK058で頭蓋冠骨芽細胞をさまざまな時点で治療した後の、さまざまな骨芽細胞mRNAの半定量的RT PCRを示す。GAPDHが内的ローディングコントロールとして使用された。同じような結果を示す3種の個別実験の典型的なゲルの像を示す。
図12】K058及びK012はインビトロでエストロゲン性や抗エストロゲン性を有しない。17β−エストラジオールで治療したIshikawa細胞はALP生成を刺激する。(A)コントロールに比べて10−8M 17β−エストラジオールで治療することにより、ALP(アルカリホスファターゼ)の著しい増加が見られた。さまざまな濃度のK058、K012及びラロキシフェンは反応を示さなかった。(B)10−8M17β−エストラジオールの存在下でK012、K058及びラロキシフェンの様々な濃度下でのALPレベルを示す。
図13】K058はラットにおけるOvx−誘発骨量低下を減少させる。摘出された骨におけるBMDがDEXAによって測定された。1.0及び5.0mg/kgのK058で90日間治療したOvxラットを、Ovxラット、賦形剤で治療した擬似手術のコントロールラットと比較した。(A)大腿骨全体、(B)大腿骨頸、(C)大腿骨骨幹軸、(D)第4腰椎、(E)脛骨(擬似手術のBMDと比較する場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、OvxコントロールのBMDと比較する場合、a−P<0.001、b−P<0.01、c−P<0.05を満たす)。
図14】K058は、ラットの子宮レベルではエストロゲン性を示さない。擬似手術のコントロールラット、Ovxラットと比較して、体重当たり1.0及び5.0mg/kgのK058で90日間治療したラットの子宮重量を示す。擬似手術のコントロールラットの子宮重量と比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、Ovxラットの子宮重量と比較した場合、c−P<0.001、b−P<0.01、a−P<0.05を満たす。
図15】K058は若いラットにおいてPBMを促進する。摘出された骨においてBMDをDEXAにより測定した。5mg/kgのK058で治療した成長過程の雌ラットを、賦形剤で治療したコントロールラットと比較した。大腿骨骨幹軸におけるBMDを示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。
図16】K058は、若いラットにおける骨幹細胞の成長を促進する。5mg/kgのK058で30日間治療した成長過程の雌ラットから得たBMCを、賦形剤で治療したコントロールラットと比較した。(A)アルカリホスファターゼ−アッセイを示し、(B)アリザリンレッドS細胞の顕微鏡写真を示し、及び(C)抽出後のアリザリンレッドSの定量化(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)を示す。
図17】K012はラットにおけるOvx−誘発骨量低下を減少させる。摘出された骨におけるBMDをDEXAによって測定した。1.0及び5.0mg/kgのK012で90日間治療したOvxラットを、Ovxラット、賦形剤で治療した擬似手術のコントロールラットと比較した。(A)大腿骨頸、(B)脛骨全体、(C)頭側の脛骨、(D)脛腓骨の分離点、(E)腰椎全体、及び(F)第2腰椎をそれぞれ示す(擬似手術のBMDと比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、OvxコントロールのBMDと比較した場合、a−P<0.001、b−P<0.01、c−P<0.05を満たす)。
図18】K012は、ラットの子宮レベルではエストロゲン性を示さない。擬似手術のコントロールラットとOvxラットの子宮重量と比較して、体重当たり1.0及び5.0mg/kgのK012で90日間治療したラットの子宮重量を示す(擬似手術のコントロールラットの子宮重量と比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、Ovxラットの子宮重量と比較した場合、c−P<0.001、b−P<0.01、a−P<0.05を満たす)。
【0020】
[発明の詳細な説明]
従って、本発明は一般式1で表せるフラボノール化合物を提供し、ここでR1及びR2はH、OHからなるグループより選択される。
本発明の一実施形態によると、一般式1で表せる化合物がウルムスワリチアーナから分離される。
本発明の他の実施形態によると、前記化合物は骨疾患の治療に有用である。
【0021】
従って、本発明は骨疾患の管理治療に有用な、ウルムスワリチアーナから得た生物活性抽出物/フラクションを提供することであって、前記抽出物/フラクションは一般式2で表されるマーカー化合物を含むことを特徴とする。
【0022】
(一般式2)
【0023】
ここで、マーカー化合物K012、K058、K068、K100はそれぞれ6.7−12%、1.7−4.5%、0.6−1.2%、1.7-4.5%の範囲である。
【0024】
本発明の一実施形態によると、前記抽出物は、マーカー化合物K012(6.7−9%)、K058(3.3−4.5%)、K068(0.6−0.7%)、K100(1.7−2.6%)を含むウルムスワリチアーナのアルコール抽出物より得る。
【0025】
本発明の他の実施形態によると、アセトン可溶フラクションは、マーカー化合物K012(7.9−12%)、K058(1.7−3.0%)、K068(0.7−1.2%)及びK100(2.5−4.5%)を含むアルコール抽出物から得る。
【0026】
本発明の更に他の実施形態によると、アルコールフラクション/アセトン可溶フラクションは、エストロゲン欠乏下で骨温存作用を有する。
【0027】
本発明の更に他の実施形態によると、アルコールフラクションは、骨髄の骨幹細胞を増加することによってPBMの達成度を増大する。
【0028】
本発明の更に他の実施形態によると、生物活性抽出物/フラクションは、ウルムスワリチアーナの幹の皮や枝から選択された植物から得てもよい。
【0029】
ウルムスワリチアーナから得た生物活性抽出物/フラクション又は一般式1で表されるそのマーカー化合物は、個別に又は組み合わせて、骨疾患の管理、予防、又は治療に使用される。
【0030】
アルコール抽出物の有効投与量は500−750mg/kgの範囲であり、アセトン可溶フラクションの有効投与量は25mg/kg〜100mg/kgの範囲である。
(一般式2)
【0031】
一般式2で表される薬理学的に好ましい塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、シュウ酸塩、フマル酸エステル塩、コハク酸エステル塩、及び酒石酸塩からなる。
【0032】
一般式2で表される化合物、K012、K058、K068、K100は、0.1nM〜1.0μMの間の濃度で治療した頭蓋冠骨芽細胞におけるコントロール(賦形剤)(図6)と比べて70〜100%のALPを増加させることが分かった。
【0033】
一般式2で表わされる化合物は、コントロール(賦形剤)と比べて、K012、K058、K068、及びK100で治療した骨芽細胞において新生カルシウムの沈殿が10〜25%増加することが分かった(図7A及び図7B)。
【0034】
一般式1で表される化合物は、骨格の成長又は骨量維持のための造骨に必要なBMCsのミネラル化を促進する。
【0035】
一般式1で表される化合物は0.25−1.0(K068):1.0−5.0(K100):2.5−7.5(K058):5.0−12.5(K012)の範囲内の率で組み合わせて使用される。
【0036】
一般式2で表される化合物K012、K058は、骨芽細胞の増殖、分化、及びミネラル化を促進した。
【0037】
一般式2で表される化合物K068、及びK100は、骨芽細胞の分化、ミネラル化を促進し、3T3 L1細胞株において脂質活性を抑制する。
【0038】
一般式1で表される化合物K058は、骨芽細胞の機能を促進し破骨細胞の機能を抑制するさまざまな遺伝子の合成を上方調整して造骨作用を発揮する。
【0039】
一般式1で表される化合物K058は、10nM〜1.0μMの範囲の濃度下で行う25〜75%の頭蓋冠骨芽細胞のセミコンフルエント培養でBrdUの取り込み(細胞増殖)を刺激する(図8)。
【0040】
一般式1で表される化合物K058は、骨芽細胞の機能を促進し破骨細胞の機能を抑制するさまざまな遺伝子の合成を上方調整して造骨作用を発揮する。
【0041】
従って、本発明はウルムスワリチアーナから得た有効な量の生物活性抽出物/フラクション、又は一般式2で表されるそのマーカー化合物を個別に又は組み合わせた状態で、1種以上の薬理学的に好ましい任意の添加剤、キャリア、及び希釈剤と共に含む薬理学的成分を提供する。
【0042】
本発明の一実施形態によると上記成分は、一般式2で表されるK012、K058、K068及びK100からなるグループから選択された化合物を個別に又は組み合わせた状態で、1種以上の薬理学的に好ましい任意の添加剤、キャリア、及び希釈剤と共に含む。
【0043】
本発明の他の実施形態によると、使用される希釈剤はでんぷん、乳糖、第二リン酸カルシウムから選択してもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によると、薬理学的に好ましい潤滑剤の形態の添加剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステオロート、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、又はその他同様な性質を有する物質単独又はその組み合わせからなるグループから選択してもよい。
【0045】
本発明の更に他の実施形態によると、アルコール抽出物に対して体重当たり少なくとも500−750mg/Kg、アセトン可溶フラクションに対して25−100mg/Kgの上記成分の投与を行う。
【0046】
本発明の一実施形態によると、ウルムスワリチアーナからアルコール抽出物(C002)が抽出され、このC002は、エストロゲン欠乏下で骨温存作用を有し、子宮レベルでのエストロゲン拮抗作用を有さず、成長過程の雌ラットにおける骨髄の骨幹細胞を増加させることによってPBM達成度を上げることができる。
【0047】
薬理学的成分を必要とする被験者の骨疾患を治療する方法であって、前記薬理学的成分を被験者に投与する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0048】
本発明の更に他の実施形態によると、前記薬理学的成分は、経口投与、静脈内投与、皮下投与、腹膜内投与、又は筋肉内投与で投与される。
【0049】
従って、本発明はウルムスワリチアーナから得た抽出物/フラクション及びその化合物の作製プロセスを提供し、当該プロセスは
(a)植物であるウルムスワリチアーナを得る工程と、
(b)当該植物材料を粉化する工程と、
(c)当該粉化した植物材料をプロトン性溶媒で室温下抽出する工程と、
(d)当該抽出物をろ過する工程と、
(e)減圧下で当該抽出物を濃縮する工程と、
(f)抽出物をヘキサンで処理して粉状化して非極性組成物を除去する工程と、
(g)真空下で残留物を乾燥して自由流動性粉状にすることにより望ましい抽出物を得る工程と、
(h)上記工程(g)で得た抽出物を水中に溶解する工程と、
(i)n−ブタノールを添加して水溶性抽出物を沈殿させる工程と、
(j)白色沈殿物をろ過してK058を得る工程と、
(k)メタノールとエチルアセテートの混合物で得られた化合物を結晶化する工程と、
(l)当該化合物をろ過する工程と、
(m)当該化合物を乾燥して、自由流動性白色粉状の形態でK058を得る工程と、 (n)ろ液と粉末をアセトンで濃縮する工程と、
(o)化合物K012、K068、K100をアセトン可溶フラクションから従来のクロマトグラフ法により分離する工程と、
(p)抽出物及びアセトン可溶フラクション中でK058、K012、K068、K100を定量する工程
と、を含む。
【0050】
本発明の実施形態において、抽出用に使用されたアルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、又はこれらの適切な組み合わせからなるグループより選択される。
本発明の他の実施形態において、粉砕に使用される溶媒は、アセトン、エチルメチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルアセテート、メタノール、又はこれらの適切な組み合わせからなるグループより選択される。
【0051】
本発明は、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症候群に関連したさまざまな医学的適応の症状の予防又は治療のため、自然源から純化合物を抽出、分別、及び分離するプロセスを提供する。
【0052】
ウルムスワリチアーナから抽出物を作製するプロセスは、アルコールで植物材料を抽出するステップと、脂肪族非極性組成物をヘキサンで処理して粉状化することにより除去するステップとを含む。
【0053】
このようにして得た抽出物は栄養製品、健康補助食品、又は医薬成分として有用であり、経口投与に適したいかなる投与形態に作製してもよい。
【0054】
ウルムスワリチアーナの抽出物から有効成分を分離するプロセスは、抽出物を水に溶解するステップと、その化合物をn−ブタノールで沈殿させるステップとを含む。もしくは、このプロセスで得た化合物を水溶ベースの溶液から抽出してもよい。このようにして得た有効成分は栄養製品、健康補助食品、又は医薬成分として有用であり、経口投与に適したいかなる投与形態に作製してもよい。
【0055】
ここでいう疾患や病気を予防又は治療する方法とは、そのような治療を必要とする個々のヒト又はその他の哺乳動物又は他のいかなる動物に対し、本発明に係る治療的に有効な量の1種以上の薬剤を投与するステップを含む。
【0056】
本発明の薬剤、又は医薬的に好ましい塩、又は一種以上のキャリア、賦形剤等を含む医薬的に好ましいその組成物の投薬計画や投与形態は、ここに記載される疾患や病気の状態によって様々であり、関わった開業医の診断次第である。
【0057】
本発明の薬剤、又は医薬的に好ましい塩、又は一種以上のキャリア、賦形剤等を含む医薬的に好ましいその組成物は、週に1回、又は週に2回、又は1日1回又は1日2回又は1日3回又は更に分割して、0.1mg〜5000mgの範囲、より好ましくは0.5〜1000mgの範囲、更に好ましくは1mg〜500mgの範囲の量で、効果的に投与される。
【0058】
上記投与は、例えば経口、全体、局部又は局所、静脈内、動脈内、筋肉注射、皮下、腹膜、経皮、口腔、経鼻、吸入、膣内、直腸、経皮、又は他のいかなる適切な手段の適切なルートで、従来の液状又は固形状の形態で投与され、医薬的に好ましいキャリア、賦形剤等を含む本発明の化合物又は医薬的に好ましい塩又はその医薬的に好ましい成分に関して、従来の送達、制御された送達、または狙いを定めた送達を達成した。
【0059】
本発明の薬剤又は医薬的に好ましい塩又は医薬的に好ましいその組成物の好ましい投与形態は経口である。経口組成物は一般的に本発明の薬剤又は医薬的に好ましいその組成物及び1種以上の医薬的に好ましい賦形剤などを含む。
【0060】
タブレット、ピル、カプセル、顆粒等の経口組成物は、以下の医薬的に好ましい賦形剤を含んでもよい。
1.ラクトース、マニトール、ソルビトール、微晶質のセルロース、サクロース、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、又は他の同様な性質を有する他のいかなる含有物かその適切な組み合わせ;
2.ガムトラガカント、アカシアガム、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニル、ピロリドン、でんぷん、又は他の同様な性質を有する他のいかなる含有物単独かその適切な組み合わせ;
3.又は他の同様な性質を有する他のいかなる含有物単独かその適切な組み合わせ;
4.ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステオロート、タルク、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤、又は他の同様な性質を有する他のいかなる含有物単独かその適切な組み合わせ;
5.コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤、又は他の同様な性質を有する他のいかなる含有物単独かその適切な組み合わせ;
6.サクロース、サッカリン等の甘味料、又は他の同様な性質を有する他のいかなる含有物単独かその適切な組み合わせ;
7.ペパーミント、メチル・サリチル酸、オレンジフレーバー、バニラフレーバー等の香料添加剤、又は他の医薬的に好ましいフレーバー単独かその適切な組み合わせ;
8.セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン等の湿潤剤、又は他の医薬的に好ましいフレーバー単独かその適切な組み合わせ;
9.カオリン、ベントナイト粘土等の吸収剤、又は他の医薬的に好ましいフレーバー単独かその適切な組み合わせ、及び
10.ワックス、パラフィン等の溶液遅延剤、又は他の医薬的に好ましいフレーバー単独かその適切な組み合わせ。
【0061】
従って本発明は、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患、特に骨関連の疾患や症状に関連する治療及び管理に関する従来の問題点を克服しようとすることであり、更に青年期の骨格成長の際に起こる最大骨量の達成を促進することである。本発明に記載のウルムスワリチアーナから得た生薬エキスやアセトン可溶フラクション及び純化合物K012、K058、K068及びK100は、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療に有用であり、ヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に有用である。
【0062】
本発明の主な目的は、ウルムスワリチアーナから抽出される生薬エキスを医薬的に好ましい形態で提供して、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に対する適用可能性の増大を図ることである。
【0063】
本発明の他の目的は、ウルムスワリチアーナから抽出されるアセトン可溶性フラクションを医薬的に好ましい形態で提供して、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に対する適用可能性の増大を図ることである。
【0064】
本発明の更に他の目的は、ウルムスワリチアーナから抽出される単独の純化合物を医薬的に好ましい形態で提供して、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に対する適用可能性の増大を図ることである。
【0065】
本発明の更に他の目的は、ウルムスワリチアーナから抽出される2種または2種以上の純化合物の混合物を適切な割合で医薬的に好ましい形態で提供して、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に対する適用可能性の増大を図ることである。
【0066】
従って本発明は、ウルムスワリチアーナから抽出される生薬エキス又はアセトン可溶フラクション又は単独純化合物又は2種または2種以上の純化合物の混合物を適切な割合で医薬的に好ましい形態で提供して、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療の際の、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に対する適用可能性の増大を図ることである。
【0067】
本発明の一実施形態によると、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に有用な生薬エキスは、ウルムスワリチアーナという植物の幹の皮や枝から作製される。
【0068】
本発明の更に他の実施形態によると、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に有用なアセトン可溶フラクションは、ウルムスワリチアーナという植物の幹の皮や枝から作製される。
【0069】
本発明の更に他の実施形態によると、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療の際の、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に有用な単独純化合物は、ウルムスワリチアーナという植物の幹の皮や枝の生薬エキスやアセトン可溶フラクションから抽出される。
【0070】
本発明の更に他の実施形態によると、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療の際の、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に有用なウルムスワリチアーナの生薬エキス又はアセトン可溶フラクション中の単独純化合物の割合や絶対濃度は、HPLCベースの定量方法を使用して抽出された。
【0071】
本発明の更に他の実施形態によると、ウルムスワリチアーナの生薬エキス又はアセトン可溶フラクション中の単独純化合物は、既知のプロトコールや手順を使用してインビトロ及びインビボで評価され、ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の管理、予防及び治療やヒト及び動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に対する有用性が確立され証明された。
【0072】
以下の実施例はあくまでも説明のために挙げられたものであって、本発明の技術的範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【実施例】
【0073】
1.幹の皮から得た抽出物
ウルムスワリチアーナ(Plant code No.914,5kg)の粉状の幹の皮をエタノール(20L)付着させたガラスのパーコレータに置き、室温下で約16時間(一晩)静置した。そして浸透物を採取した。この抽出プロセスを4回繰り返した。複合抽出物をろ過し、45℃で凝縮し、660g(13.2%、914−C002)の抽出物重量が得られた。
【0074】
2.枝から得た抽出物
ウルムスワリチアーナ(Plant code No.4669,4kg)の粉状の枝をエタノール(18L)付着させたガラスのパーコレータに置き、室温下で約16時間(一晩)静置した。そして浸透物を採取した。この抽出プロセスを4回繰り返した。複合抽出物をろ過し、45℃で凝縮し、350g(8.7%、C002)の抽出物重量が得られた。
【0075】
3.分別
エタノール抽出物(914−C002、100g)をヘキサン(200ml×5)で処理し粉状化した。それから、ヘキサン可溶フラクションを減圧下40℃で凝縮して得られたヘキサンフラクションの重量は10g(10%、F003)であった。それから、ヘキサンで処理して粉状化後得られた残留物を水中(500ml)に溶解し、n−ブタノール(500ml)を添加して沈殿させた。こうして得られた固形物をろ過し蒸留水で洗浄した。2.6g(2.6%、K058)の純化合物が、メタノールとエチレンアセテートの混合液で結晶化することにより得られた。ろ過物は、回転式蒸発器を使用して45℃で凝縮された。残留物はアセトン(200ml×4)で粉状化された。複合アセトン可溶フラクションを減圧下で濃縮した。こうして得られたアセトン可溶フラクションの重量は69.0g(F004)であり、得られたアセトン不溶性フラクションは18.4g、(F005)であった。
【0076】
ウルムスワリチアーナからの抽出、分化、及び分離方法を示す概略図を図1に示す。
図1はウルムスワリチアーナからの、生薬エキス及び純フラクションの抽出、分化、及び分離を示すフローチャートである。
【0077】
4.ウルムスワリチアーナのアセトン可溶フラクション(F004)からの分離
シリカゲル(230−400、網目構造)に対して、溶離液としてCHCl:(5%)aqMeOH(93:7)を使用し、CHClとMeOH(CHClに対して5%水溶液)を使用したアセトン可溶フラクション(69.0g)のクロマトグラフィにより、K068(0.200g.(0.2%)を得ることができ、溶離液としてCHCl:(5%)aq MeOH(90:10)を使用しK100(0.20g.、0.20%)を得ることができ、溶離液としてCHCl:(5%)aq MeOH(87:13)を使用しK012(2.5g.2.5%)を得ることができた。これら化合物は、詳細な分光学的研究により特徴付けられた。K058とK100は新規な化合物でありK068とK012は公知の化合物である。
【0078】
【0079】
5.K012、K058、K068及びK100の特性評価
K058:(2S,3S)−(+)−3’,4’,5,7−terahydroxydihydroflavonol−6−C−β−D−glucopyranoside.
Yield:2.6g.(2.6%);amorphous;UVλmaxMeOH:290,327nm;[α]25+1.33(c,0.098;MeOH);).
CD(MeOH)Δε304+36.27 Δε332−12.21.FAB−MS:m/z 467[M+1];C212212H NMR:(DMSO−d,300MHz)δ:4.92(1H,d,J=10.1Hz,H−2),4.49(1H, m,H−3),5.92(1H,s,H−8,6.87(1H,s,H−5’),6.74(2H,s,H−2’,6’),4.87(1H,m,H−1''along with OH signal),3.14(2H,m,H−2'',5''),3.48(1H,m,H−3''),3.67(1H,m,H−4''),4.01(1H,m,H−6''a),4.47(1H,m,H−6''b),12.48(1H,s,OH−5),9.11(1H,s,OH−3),9.05(1H,s,OH−3’),4.84(1H,brs,OH),4.62(1H,brs,OH).13C NMR:(DMSO−d,75MHz)δ:83.0(C−2),71.63(C−3),197.9(C−4),162.6(C−5),106.0(C−6),166.0(C−7),94.8(C−8),161.3(C−9),100.2(C−10),128.0(C−1’),115.3(C−2’),145.8(C−3’),145.0(C−4’),115.3(C−5’),119.4(C−6’),72.9(C−1''),70.7(C−2''),79.1(C−3''),70.3(C−4''),81.5(C−5''),61.6(C−6'').
【0080】
K012(6−Glucopyranosyl−3,3’,4’,5,7−pentahydroxyflavone):Yield:2.5g.(2.5%);amorphous;UVλmaxMeOH:−−−−nm;[α]25+9.79(c,0.0612;DMSO);FAB−MS:m/z 465[M+1];C212012H NMR:(DMSO−d,300MHz)δ 6.48(1H,s,H−8),7.65(1H,d,J=2.1Hz,H−2’),6.88(1H,d,J=8.5Hz,H−5’),7.54(1H,dd,J=8.5,2.1Hz,H−6’),4.59(1H,d,J=9.6Hz,H−1''),and other suger protons are at 4.05−3.20(5H,m,H−2''−6''),13.06(1H,s,OH−12),9.35(1H,s,OH−3).13C NMR:(DMSO−d,75MHz)δ:144.2(C−2),134.7(C−3),175.2(C−4),159.0(C−5),107.2(C−6),162.2(C−7),92.2(C−8),154.2(C−9),101.8(C−10),121.0(C−1’),114.7(C−2’),145.7(C−3’),146.8(C−4’),114.1(C−5’),119.2(C−6’),72.2(C−1''),69.7(C−2''),78.1(C−3''),69.3(C−4''),80.7(C−5''),60.6(C−6'').
【0081】
K068(6−Glucopyranosyl−4’,5,7−trihydroxyflavanone):
Yield:0.200g.(0.2%);mp:195−196°C;UVλmaxMeOH:292,328nm;[α]25+29.32(c,0.133;MeOH);FAB−MS:m/z 435[M+1];C212210H NMR:(CDOD,300MHz)δ:5.35(1H,dd,J=12.4,2.3Hz,H−2),2.75(1H,dd,J=2.3,17.1Hz,H−3a),3.14(1H,dd,J=12.4,17.1Hz,H−3b),5.98(1H,s,H−8),7.32(2H,d,J=8.4Hz,H−2’,6’),6.82(2H,d,J=8.4,H−3’,5’),4.79(1H,d,J=9.4Hz,H−1'',),4.11(1H,m,H−2''),3.45(1H,m,H−3''),3.30(2H,m,H−4'',5''),3.86(1H,dd,J=2.2,12.3Hz,J=5.2,12.3Hz,H−6''b),3.73(1H,m,H−6''a);13C NMR:(CDOD,75MHz)δ:82.9(C−2),44.0(C−3),198.2(C−4),164.3(C−5),106.1(C−6),167.4(C−7),96.5(C−8),159.1(C−9),103.4(C−10),131.0(C−1’),129.1(C−2’),116.1(C−3’),164.6(C−4’),116.1(C−5’),129.1(C−6’), 75.3(C−1''),72.7(C−2''),80.2(C−3''),71.9(C−4''),80.0(C−5''),63(C−6'').
【0082】
K100:(2S,3S)−(+)−4’,5,7−trihydroxydihydroflavonol−6−C−β−D−glucopyranoside.
Yield:0.20g.(0.20%);amrphous;UVλmax MeOH:296,334nm;[α]25+48.69(c,0.115;MeOH);CD(MeOH)Δε299+27.35 Δε328−15.56.FAB−MS:m/z451[M+1];C212211H NMR:(CDOD,300MHz)δ:4.95(1H,d,J=11.3Hz,H−2),4.55(1H,d,J=11.3Hz,H−3),5.95(1H,s,H−8),7.34(2H,d,J=8.5Hz,H−2’,6’),6.83(2H,d,J=8.5Hz,H−3’,5’),4.82(1H,m,H−1''along with OH signal),4.13(1H,t,J=9.1Hz,H−2''),3.86(1H,dd,J=2.1,12.3Hz,H−6''a),3.71(1H,dd,J=4.9,12.3Hz,H−6''b),3.45−3.35(3H,m, H−3'',4'',5''),13C NMR:(CDOD,75MHz),δ:85.0(C−2),72(C−3),198.9(C−4), 163.9(C−5),106.3(C−6),167.4(C−7),96.4(C−8),159.2(C−9),101.8(C−10),129.2(C−1’),130.4(C−2’),116.2(C−3’),164.1(C−4’),116.2(C−5’),130.4 (C−6’),75.2(C−1''),72.6(C−2''),80.2(C−3''),71.9(C−4''),82.6(C−5''),62.9(C−6'').
【0083】
6.生薬エキス中及びアセテート可溶フラクション中のK058、K012、K068、K100
HPLC−PDAベースの分析方法が、生薬エキスやアセトン可溶フラクション中のK012、K058、K068、K100の絶対定量化を行うために使用された。メタノールを使用したコラムC−18において分析が行われた:水系移動相として、一分間当たり0.5mlの流量に水を設定した。クロマトグラムにおいて、マーカーK012、K058、K068、K100が15±0.8、8.3±0.8、14.3±0.8、10±0.8分でそれぞれ個別に現れた。日内及び日間分析により、純マーカーK012、K058、K068、K100の精密度を0.99以上の相関係数で0.5−16μg/mlの濃度範囲に実現した。生薬エキス及びアセトン可溶フラクションを上記方法を使用して分析し、生薬エキスとアセトン可溶フラクション中のこれら4種のマーカー化合物の絶対濃度が棒グラフにより表された。K012、K058、K068、K100は生薬エキス中ではそれぞれ6.7−9%、3.3−4.5%、0.6−0.7%及び1.7−2.6%の濃度範囲に現れ、アセトン可溶フラクション中では7.9−12%、1.7−3.0%、0.7−1.2%及び2.5−4.5%の濃度範囲にそれぞれ現れることが分かった。
【0084】
7.生物学的評価
ヒト及び動物に起こるエストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患の予防又は治療において、エストロゲン依存性又は独立型の病気又は症状又は疾患に対して使用するため、更に哺乳動物の健康的な骨格成長の際の最大骨量(PBM)の達成に使用するため本発明の植物抽出物及び純化合物を評価した。次に、本発明に係る幹の皮のエタノール抽出物や分離された化合物の評価のための詳細な手順を説明する。しかしながら、以下の実施例に記載する実験活動は本発明の範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【0085】
7.1 造骨活動を決定するテスト手順
本発明のテスト抽出物のテスト溶液を10mMの備蓄ジメチルスルホキシド中に作製し、1nM及び100nMの濃度の培地で希釈し、造骨活動をインビトロで評価した。対照実験において、テスト物質の代わりに同濃度のDMSOを使用した。
【0086】
7.2 骨芽細胞培養
骨芽細胞は間葉性幹細胞より生じる。前骨芽細胞の豊富なソースの1つとしてラットの新生児の頭蓋冠細胞が挙げられる。骨芽細胞は骨髄にも存在する。培養の過程で、前骨芽細胞はその特徴的な3段階を経て、段階ごとに特異遺伝子の発現をする。これら段階は以下の通りである。
・増殖及び分化:1〜12日
遺伝子−アルカリホスファターゼ、コラーゲン−I、オステオカルシン等。
・細胞外マトリックスの成熟:12〜18日
遺伝子−オステオカルシン、オステオポンチン、フィブロネクチン
・ミネラル化:14〜35日
特徴−石灰化(根粒の形成)
エタノール抽出物は、0.0025%の希釈でも培地中に沈殿することがわかっているにもかかわらず、インビトロの研究では含まれていなかった。というのは、おそらく豊富な非極性群の存在によるものと考えられる。従って、骨芽細胞や前脂肪細胞に関する純化合物をテストしてみた。
【0087】
7.3 卵巣切除したSDラットにおけるウルムスワリチアーナの生薬エキス(C002)による治療
体重当たり500−750mg/kgの投与量でC002のエタノール抽出物を、左右卵巣切除後(Ovx)のSDラット(180−200g)に経口で毎日与えた。これが、閉経後の骨量低下のヒトの状態を模倣した骨減少(骨量低下)に関する動物モデルとして最も広く使用されるものである。抽出物はアカシアガム(賦形剤)として与えた。擬似手術のラットと卵巣摘出手術後の(Ovx)ラットがコントロールとして使用され、アカシアガムのみが与えられた。10匹のラットからなるグループのそれぞれは次の通りであった:処女膜のある擬似手術群、Ovx、Ovx+500mg/kgの抽出物及びOvx+750mg/kgの抽出物。治療は手術後24時間してからスタートし、90日間続けた。90日後ラットが順応したところで、代謝ケージに移し、24時間えさを与えず水のみで尿サンプルを採取した。24時間後、ラットをケージに戻し不断給餌でえさを与え、更に24時間以前と同じように抽出物の経口投与を開始した。その後ラットを安楽死させ解剖し採血し、骨(脛骨、大腿骨、LL1−L4腰椎)及び子宮を採取した。
【0088】
7.4 骨密度の測定(BMD)
大腿骨(全体、頭部、首)、脛骨(全体、頭部、脛踵腓骨分離点)及び腰椎(LV1、LV2、LV3、LV4)の骨密度がDEXAにより求められた。
【0089】
7.5 成長過程のSDラットにおけるC002及びF004(C002のフラクション)による治療
生後21日のSDラットの雌を1グループ10匹ずつの3グループに分ける;コントロール(賦形剤治療を受けるもの)、750mg/kgのC002生薬エキス、及び50mg/kgの914/F004。賦形剤治療はアカシアガムで30日間経口投与により与えられた。30日の投与完了後、ラットを安楽死させ、3本の骨(大腿骨脛骨、L1−L4腰椎)が採取された。
【0090】
7.6 骨密度の測定(BMD)
大腿骨(全体、頭部、首)、脛骨(全体、頭部、脛踵腓骨分離点)及び腰椎(LV1、LV2、LV3、LV4)の骨密度がDEXAにより求められた。
【0091】
7.7 ALP(アルカリホスファターゼ)定量化のための骨髄の体外培養とC002治療を受けた若いラットの体内ミネラル化
コントロールラット及びC002治療を受けたラットの右の大腿骨を、ラットの部検によりPBS中に無菌で採取した。軟組織を取り除き、大腿骨の両端を滅菌鋏で切り抜き、針でそれぞれの骨の膝のジョイントエンドに穴を形成し、10%のウシ胎仔血清髄液、100U/mlのペニシリン、100U/mlのストプレトマイシン(Sigma, Chemical Co., St. Louis, MO, USA)を補充したα−MEMからなるコントロール賦形剤(CM)で骨幹から骨髄を洗い流した。細胞をこの賦形剤中に懸濁し、この懸濁液を800rpmで5分間沈降させた。細胞を新鮮なCMで再懸濁し、血球計算器を使用して細胞数をカウントした。100000及び200000cells/ウェルを、10mM−β−グリセロリン酸塩、50μg/mlL−アスコルビン酸及び10−8 Mデキサメタゾンを補充したCM中37℃、5%CO下、加湿雰囲気中、48−ウェル及び12−ウェルプレート上でそれぞれ培養した。この賦形剤は一日おきに置き換えた(John et al., 2002;Connolly, 1995;Gebhart and Lane, 1991;Gurpinar et al., 2003;Lan and Wang, 2003)。ALP活性を求めるため細胞を9日間保持し、修飾された状態でAkiyama et al により修飾を加えたALP活性を求めた。簡潔に言うと、細胞は一度PBSで洗い流され、その後ALPバッファ(1Mジエタノールアミン、0.5mM MgCl、1mg/ml PNPP、pH9.0)を添加し、37℃で培養することによりALP活性が測定され、マイクロプレート分光光度計を使用して吸収度(405nm)が測定された。統計的優位性が両側検定により求められた。
【0092】
インビトロミネラル化において、細胞を上記のように21日間保持し、その後固化(PBS中4%のHCHOで20分間)した。それからサンプルをナノ純水で洗い流し、40mMのアリザリンレッドSにより10分間室温で染色した。サンプルは水で5回洗い流した。染色ウェルの顕微鏡写真を撮った。その後、10%(w/v)の塩化セチルピリジニウム(CPC)を使用して、pH7.0、10nMのリン酸ナトリウム中、室温下15分間、アリザリンレッドSを抽出し、結果得られた溶液をマイクロプレート・リーダーで解読し、標準波長620nmに対してテスト波長540nmを得た。
【0093】
7.8 原発性骨芽細胞の培養
上記のように多少の修飾を加えた新生児ラットの頭蓋冠細胞を用意した(Chattopadhyay et al., Endocrinology 145:3451-62, 2004)。簡潔に言うと、頭蓋冠骨芽細胞を培養するため、新生児SDラット(生後1〜3日)から得た前頭骨や頭頂骨がα−MEM中の0.1%のコラゲナーゼ/0.1%のディスパーゼで5連続消化された。2番目〜5番目の消化生成物が、10%のウシ胎仔血清(FBS)、2mMのグルタミン、100U/mlのペニシリン−ストレプトマイシン、非本質アミノ酸溶液とピルビン酸溶液を補充したα−MEM中、大気中5%CO下37℃で、結合し密集した。
【0094】
7.9 BrdU細胞の増殖アッセイ
増殖細胞におけるDNA合成中のBrdUの取り込みに基づいて細胞増殖を測定するためにBrdUアッセイを使用した(Chattopadhyay et al., Endocrinology 145:3451-62, 2004)。頭蓋冠骨芽細胞を96−ウェル プレート上(2000cells/ウェル)に接種した。細胞は24時間付着され、その後α−MEM賦形剤を含む0.5%FCS中で枯渇させ、それから24時間さまざまな濃度のK058による治療を施し、その後製造者(Roche Biochemicals, Rotkreuz, Switzerland)からはBrdU ELISA法と呼ばれる方法により細胞の増殖を認めた。反応が終わる4時間前にBrdU溶液を添加した。BrdU培養を4時間行い、細胞を固化し変性させ続いて抗−BrdU抗体で治療し、その反応基質により免疫複合体を検知した。吸収率は370nmと測定された。
【0095】
7.10 アルカリホスファターゼアッセイ
アルカリホスファターゼ(ALP)アッセイのため、骨芽細胞を通常の成長賦形剤における96−ウェル(2000cells/ウェル)プレート上に置いた。24時間後、細胞がコンフルエント単層を形成した時、賦形剤を10%FBS、10mMβ−グリセロリン酸塩及び50μg/mlのアスコルビン酸を補充したα−MEM 賦形剤と置き換えた。1nM及び100nM濃度のテスト化合物K012、K058、K068及びK100の濃度を異ならせて、治療を行った。誘導後48時間経過すると、骨芽細胞のALP活性が、Akiyama et al(Exp Cell Res 235:362-369, 1997)に記載されるように、多少の修正を加えた状態で求められた。簡潔に言うと、細胞は一度PBSで洗い流され、その後ALPバッファ(1Mジエタノールアミン、0.5mM MgCl、1mg/ml PNPP、pH9.0)を添加し、37℃で培養することによりALP活性が測定され、マイクロプレート分光光度計を使用して吸収度(405nm)が測定された。統計的優位性が両側検定により求められた。
【0096】
7.11 頭蓋冠骨芽細胞のインビトロでのミネラル化
骨再生のための材料の開発に関して、細胞がミネラル化したマトリックスを生成する能力は重要である。骨芽細胞の細胞外マトリックスのミネラル化は塩化セチルピリジニウム(CPC)の抽出と組み合わせたアリザリンレッドS細胞(AR−S)を使用して求められた(Stanford et al, J. Biol. Chem. 270:9420-9428;1995.)。アリザリンレッドは新生カルシウム塩と選択的に結合する染料であり、カルシウムミネラル組織化学に広く使用されている。10mMβ−グリセロリン酸塩、50μg/mlL−アスコルビン酸を補充した培地中、1nM及び100nM濃度のテスト化合物K012、K058、K068及びK0100を使用し、10000cells/ウェルを含む6個のウェルプレートに細胞を接種した。PBSで洗い流しその後、固化する(4%のHCHOで20分間)。染色されたウェルの顕微鏡写真が撮られた。続いて、10%(w/v)の塩化セチルピリジニウム(CPC)を使用して、pH7.0、10nMのリン酸ナトリウム中、室温下15分間、アリザリンレッドSを抽出し、結果得られた溶液をマイクロプレート・リーダーで解読し、標準波長620nmに対してテスト波長540nmを得た。
コッサ染色法により、ミネラル化根粒も見られた(A. M. Chou et al. Materials Science and Engineering C 20(2002)77-83.)。21日間の培養後、組織培養ウェル中の細胞はPBSで洗浄し5%(w/v)の硝酸銀溶液に45分間湿潤した。そして蒸留水で洗い流した後、5%(w/v)の重炭酸ナトリウムホルマリン中、8分間固化させた。最後に、5%(w/v)のチオ硫酸塩溶液に5分間湿潤し、水で15分間完全に洗浄して顕微鏡写真を撮った。
【0097】
7.12 マウスの骨髄のインビトロでのミネラル化
大人のbalb/cマウスが研究で使用された。文献(Maniatopoulos et al., Cell Tissue Res 1988;254:317-30.;Ishaug et al., J Biomed Mater Res 1997;36:17-28.)に記載されているように、マウスの大腿骨と脛骨から骨髄細胞(BMC)が採取された。簡潔に言うと、エーテルで安楽死後、マウスの後足から骨を無菌で切除した。軟組織が取り除かれ、大腿骨の基部と脛骨の先端を滅菌鋏を使用して切り抜き、針でそれぞれの骨の膝のジョイントエンドに穴を形成し、10%のウシ胎仔血清髄液、100U/mlのペニシリン、100U/mlのストプレトマイシン(Sigma, Chemical Co., St. Louis, MO, USA)を補充したα−MEMからなるコントロール賦形剤(CM)で骨幹から洗い流した。細胞をこの賦形剤中に懸濁し、全ての骨の細胞懸濁が一本の試験管内で化合された。この懸濁液を800rpmで5分間沈降させた。血球計算器を使用して細胞数をカウントした。上澄みを吸引し、沈殿物を新鮮なCM中で再懸濁し、その後12ウェルプレートに接種した。200000cells/ウェルを、10mM−β−グリセロリン酸塩、50μg/ml L−アスコルビン酸及び10−8Mデキサメタゾンを補充した同じ賦形剤中37℃、5%CO下、加湿雰囲気中、12−ウェルプレート上で培養した。この賦形剤は一日おきに置き換えた(John et al., Trends Biomater. Artif. Organs 2002;16(1):28-33.;Connolly, Clin Orthop 1995;313:8-18.;Gebhart and Lane, Acta Orthop Belg 1991;57(2):130-43.;Gurpinar et al., J Biomater Appl 2003;18(1):25-33;Lan and Wang, Blood Substitutes, Biotechnol 2003;31(1):59-68.)。1nM及び100nMの濃度でK012、K058、K068及びK0100による治療が21日間行われ、治療完了後、サンプルはPBSで洗い流され、引き続き固化(4%のHCHOで20分間)された。その後サンプルは超純水で洗い流され、40mM AR−S、pH4.2下、室温で10分間染色された。治療は21日間行われ、治療完了後、サンプルはPBSで洗い流され、引き続き固化(4%のHCHOで20分間)された。染色されたウェルの顕微鏡写真を撮った。その後、10%(w/v)の塩化セチルピリジニウム(CPC)を使用して、pH7.0、10nMのリン酸ナトリウム中、室温下15分間、アリザリンレッドSを抽出し、結果得られた溶液をマイクロプレート・リーダーで解読し、標準波長620nmに対してテスト波長540nmを得た。
【0098】
7.13A インビトロでの脂質生成
3T3−L1前脂肪細胞を培養し密集させた。細胞の密集後2日を0日目と考える。0日目において、細胞を、誘発賦形剤[1μg/mlのインシュリンを含む10%の仔牛の血清/DMEM、及び1μMのデキサメタゾンと500mMのイソブチルメチルキサンチン(IBMX)]で治療した。誘発賦形剤での治療後2日後、細胞をインシュリン[1μg/mlのインシュリンを含む10%の仔牛の血清]で治療した。通常0日目から8日後、細胞は完全に分化する。3T3−L1前脂肪細胞から脂肪細胞への分化に関してテスト化合物の効果を実験するため、1μM、100nM及び1nmの濃度のテスト化合物K068 及びK100を、分化期間中(0日目からスタートして8日)濃度を変化させながら使用した。脂質生成を評価するため、分化した細胞を4%のパラホルムアルデヒドw/v中20分間固化し、固化したものをPBSで洗浄し、60%のイソプロパノール中15分間Oil Red Oで染色した。その後、それをPBSで3回洗浄し、オービタルシェーカで30分間室温に保ちながら80%のイソプロパノールで染料を抽出した。抽出した染料のODが520nmの濃度で取り出された。
【0099】
7.13B 逆転写酵素ポリメラーゼの連鎖反応(RT−PCR)
PPAR−γ(ペルオキシソーム増殖剤−活性受容体)とアディポネクチンの発現を評価するためRT−PCRを行った。この研究では、ハウスキーピング遺伝子GAPDHが内部制御に使用された。3T3−L1前脂肪細胞を異なる条件下、8日間10−6、10−7及び10−9M濃度のK068及びK100の存在下で培養し、脂肪細胞を形成した。培養後、細胞RNAを抽出し、製造者の指示によるキット(Fermentas製)を使用してRT−PCRを行った。PCRは表1に示すオリゴヌクレオチドを使用して行った。
【0100】
【表1】
【0101】
7.14 逆転写酵素ポリメラーゼの連鎖反応(RT−PCR)
Col1(コラーゲンタイプI)、Cbfa−1(コア結合因子−1)、ALP(アルカリホスファターゼ)、OPN(オステオポンチン)、BMP2(骨形態形成タンパク質2)、OPG(オステオプロテジェリン)、及びOCN(オステオカルシン)のmRNAレベルを査定するためRT−PCRを行った。この研究では、ハウスキーピング遺伝子GAPDH(グリセルアルデヒド−3−フォスフェイト デヒドロゲナーゼ)が内部制御に使用された。RNAが0、4、8、12、24、48時間時点で抽出された。全RNAをTRIzol試薬(Invitrogen製)を使用して抽出した。単一段階RT PCRキット(Qaigen製)を使用して、製造者の指示の下RT−PCRを行った。以下に示す一対の遺伝子特異的プライマーを使用した(表2)。
【0102】
【表2】
【0103】
7.15 インビトロでのエストロゲン性
エストロゲン又はエストロゲン様物質(Littlefield et al, Endocrinology. 1990 Dec;127(6):2757-62.)に反応してIshikawa細胞中にアルカリホスファターゼの発現が誘発された。Ishikawa細胞は、平底マイクロタイタープレートの96−ウェルに、5000cells/ウェルの濃度で載置され、10%のチャコールで処理されたウシ胎仔血清(FCS)を含むフェノールレッドの染色がないDMEM中で培養された。24時間の焼付け後、細胞の血清を12時間かけて欠乏させた。その後、化合物のエストロゲン性をテストするため、細胞を、異なる濃度(10−6から10−11M)の純化合物K058及びK012で治療した。同濃度のラロキシフェンも比較のために使用された。10−8Mのエストロゲン濃度が陽性対照として使用された。化合物による治療が、CO培養器内で37℃に設定し、72時間行われた。実験は、4回繰り返された。抗エストロゲン性の研究のため、10−6から10−11M濃度の化合物K012及びK058に10−8Mのエストロゲンが添加された。72時間の培養後、賦形剤が取り除かれ、プレートをPBSで2回洗浄し、軽く叩打して乾燥させた。プレートを−70℃で15分間静置し、引き続き室温に上げることにより細胞を凍結破断させた。その後プレートを氷上に置き、50μlの冷たいジエタノールアミン溶液(5mM P−ニトロフェニル フォスフェイト(PNP)及び1Mのジエタノールアミン中の0.25mM濃度のMgCl)を各ウェルに添加した。発色(黄色)現象はALP活性の機能であるため、プレートを37℃で30分間静置した。吸収度は405nmと測定された。
【0104】
7.16 卵巣切除したSDラットのK058による治療
左右の卵巣切除後(Ovx)、体重当たり1〜10mg/kg濃度のK058をSDラット(180−200g)に経口で毎日与えた。これは、人間の更年期後の骨量減少の状態を想定した骨減少症の動物モデルとして最も広く使用されている方法である。抽出物は、アカシアガム(賦形剤)中に提供された。擬似手術ラットとOvxラットがコントロールとして使用され、アカシアガムのみが与えられた。10匹のラットからなるそれぞれのグループ及び全グループは次の通りである:処女膜のある擬似手術群、Ovx、Ovx+1mg/kgのK058及びOvx+5mg/kgのK058。治療は手術後24時間してからスタートし、90日間続けた。90日後ラットが順応したところで、代謝ケージに移し、24時間えさを与えず水のみで尿サンプルを採取した。24時間後、ラットをケージに戻し不断給餌でえさを与え、更に24時間以前と同じように抽出物の経口投与を開始した。その後ラットを安楽死させ解剖し採血し、骨(脛骨、大腿骨、腰椎)及び子宮を採取した。
【0105】
7.17 骨密度の測定(BMD)
大腿骨(全体、頭部、首)、脛骨(全体、頭部、脛踵腓骨分離点)及び腰椎(LV1、LV2、LV3、LV4)の骨密度がDEXAにより求められた。
【0106】
7.18 若いSDラットに対するK058による治療
離乳した雌のSDラット(生後21日)を、それぞれ10匹からなる二つのグループに分けた。コントロールラットにはアカシアガム(賦形剤)で治療しその他のグループは体重当たり5mg/kgのK058で治療した。すべてのコントロールラット及び治療済みラットに対してK058又は賦形剤をアカシアガム中、毎日経口で30日間与えた。30日の投与完了後、ラットを安楽死させ、3本の骨(大腿骨脛骨、L1−L4腰椎)が採取された。
a)骨密度の測定(BMD)
大腿骨(全体、頭部、首)、脛骨(全体、頭部、脛踵腓骨分離点)及び腰椎(LV1、LV2、LV3、LV4)の骨密度がDEXAにより求められた。
b)ALP(アルカリホスファターゼ)定量化のための骨髄の体外培養とK058治療を受けた若いラットの体内ミネラル化
コントロールラット及びK058治療を受けたラットの右の大腿骨を、ラットの部検によりPBS中に無菌で採取した。軟組織を取り除き、大腿骨の両端を滅菌鋏で切り抜き、針でそれぞれの骨の膝のジョイントエンドに穴を形成し、10%のウシ胎仔血清髄液、100U/mlのペニシリン、100U/mlのストプレトマイシン(Sigma, Chemical Co., St. Louis, MO, USA)を補充したα−MEMからなるコントロール賦形剤(CM)で骨幹から骨髄を洗い流した。細胞をこの賦形剤中に懸濁し、この懸濁液を800rpmで5分間沈降させた。細胞は新鮮なCMで再懸濁し、血球計算器を使用して細胞数をカウントした。100000及び200000cells/ウェルを、10mM−β−グリセロリン酸塩、50μg/ml L−アスコルビン酸及び10−8Mデキサメタゾンを補充したCM中37℃、5%CO下、加湿雰囲気中、48−ウェル及び12−ウェルプレート上でそれぞれ培養した。この賦形剤は一日おきに置き換えた。(John et al., 2002;Connolly, 1995;Gebhart 及び Lane, 1991;Gurpinar et al., 2003;Lan 及び Wang, 2003)。ALP活性を求めるため細胞を9日間保持し、上記のように修飾を加えてAkiyama et al によりALP活性が求められた。簡潔に言うと、細胞は一度PBSで洗い流され、その後ALPバッファ(1Mジエタノールアミン、0.5mM MgCl、1mg/ml PNPP、pH9.0)を添加し、37℃で培養することによりALP活性が測定され、マイクロプレート分光光度計を使用して吸収度(405nm)が測定された。統計的優位性が両側検定により求められた。
【0107】
7.19 卵巣摘出されたSDラットに対するK012による治療
左右の卵巣切除後(Ovx)、体重当たり1〜5mg/kg濃度のK012をSDラット(180−200g)に経口で毎日与えた。抽出物は、アカシアガム(賦形剤)中に提供された。擬似手術ラットとOvxラットがコントロールとして使用され、アカシアガムのみが与えられた。10匹のラットからなるそれぞれのグループ及び全グループは次の通りである:処女膜のある擬似手術群、Ovx、Ovx+1mg/kgのK012及びOvx+5mg/kgのK012。治療は手術後24時間してからスタートし、90日間続けた。90日後ラットが順応したところで、代謝ケージに移し、24時間えさを与えず水のみで尿サンプルを採取した。24時間後、ラットをケージに戻し不断給餌でえさを与え、更に24時間以前と同じように抽出物の経口投与を開始した。その後ラットを安楽死させ解剖し採血し、骨(脛骨、大腿骨、L1−L4腰椎)及び子宮を採取した。
【0108】
7.20 骨密度の測定(BMD)
大腿骨(全体、頭部、首)、脛骨(全体、頭部、脛踵腓骨分離点)及び腰椎(LV1、LV2、LV3、LV4)の骨密度がDEXAにより求められた。
【0109】
8.C002によるOvx−誘発骨量低下の予防
ウルムスワリチアーナ(体重当たり750mg/kg)のエタノール抽出物(C002)で90日間治療したOvxラットから摘出した骨のBMDを、DEXAにより測定した。得られたデータによると、750mg/kgのエタノール抽出物で治療したOvxラットは、賦形剤(図2A、B、C)で治療したOvxグループと比べて、大腿骨(全体、首、骨幹部)におけるかなり高いBMDを有していることが分かった。更に、750mg/kgのエタノール抽出物で治療したOvxラットは、賦形剤(図2D)で治療したOvxグループと比べてLV4腰椎(体重を支える腰椎)におけるかなり高いBMDを有していることが分かった。そしてこの結果より、C002は、エストロゲン欠乏下で骨温存作用を有することが分かった。
【0110】
図2:ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物は、ラットのOvx−誘発骨量低下を減少させる。摘出した骨におけるBMDをDEXAにより測定した。体重当たり750mg/kgのC002で90日間治療したOvxラットを、賦形剤で治療したOvx及び擬似手術ラット(コントロール)と比較した。(A)大腿骨全体、(B)大腿骨頸、(C)大腿骨骨幹軸、(D)第4腰椎をそれぞれ示す(擬似手術のラットのBMDと比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、OvxコントロールのラットのBMDと比較した場合、a−P<0.001、b−P<0.01、c−P<0.05を満たす)。
【0111】
9.C002のエストロゲンアゴニスト効果の評価
卵巣摘出手術は子宮重量の減少をもたらすと同時にエストロゲン様作用は子宮重量の増加をもたらす。ウルムスワリチアーナ(体重当たり750mg/kg)のエタノール抽出物(C002)で90日間治療したOvxラットは、賦形剤で治療したOvxラットと同等の賦形剤で治療した擬似手術ラットの子宮重量と比べて著しく子宮重量が減少した(図3)。従って、C002は子宮レベルではエストロゲンアゴニスト効果がないことがわかる。
【0112】
図3:ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物は、子宮レベルではエストロゲン性がない。子宮重量が体重当たり750mg/kgのラットで、C002で90日間治療したラットを、擬似手術ラット及びOvxラット(コントロール)と比較した。コントロール擬似手術ラットの子宮重量と比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし;コントロールOvxラットの子宮重量と比較した場合、c−P<0.001;b−P<0.01;a−P<0.05を満たした。
【0113】
10.SDラットにおけるPBMの達成
a)生後21日の雌のラット(離乳期)を選択してPBMを達成させるためのC002の効果を調べた。体重当たり750mg/kgのC002による治療をして30日後、コントロールラット(賦形剤治療)と比較してC002によるラットの大腿骨骨幹においてBMD値の急激な上昇が見られた(図4A)。体重当たり750mg/kgのC002による治療したラットの中で、若いラットの第4腰椎のBMD値も増加した(図4B)。よって、C002は、成長過程にある雌のラットにおけるPBMの達成も改善することが分かった。
【0114】
b)生後21日の雌のラット(離乳期)を選択してPBMを達成させるためのC002(F004)のフラクション効果を調べた。体重当たり50mg/kgのF004による治療をして30日後、コントロールラット(賦形剤治療)と比較してF004によるラットの大腿骨骨幹においてBMD値の急激な上昇が見られた(図4A)。よって、F004、C002のフラクションは成長過程の雌ラットにおけるPBMの達成を促進することが分かった。
【0115】
図4:エタノール抽出物及びウルムスワリチアーナのフラクションは、若いラットにおけるPBMを促進する。摘出した骨におけるBMDを DEXAにより測定した。750mg/kgのC002及び50mg/kgの914/F004(フラクション)で治療した成長過程の雌のラットを、賦形剤治療したコントロールラットと比較した。(A)大腿骨体及び(B)第4腰椎をそれぞれ示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。
【0116】
11.C002による骨幹細胞の刺激
上記のように、骨髄中の骨幹細胞の増加をALP活性により査定し、成長過程のラットにおけるC002治療後のBMCのミネラル化を査定した。ALP活性、つまり骨幹分化量は、コントロールラットと比較してC002治療したラットから得たBMCにおいて著しく増加していることが分かった(図5A)。更に、C002治療したラットから得たBMCのミネラル化がコントロールラット(賦形剤治療)のそれより著しく増加していることが分かった(図5B及び5C)。よって、C002は骨髄における骨幹細胞を増加させ、PBMの達成を改善することが分かった。
【0117】
図5:ウルムスワリチアーナのエタノール抽出物は、若いラットにおける骨幹細胞の成長を促進する。750mg/kgのC002及び50mg/kgの914/F004で治療した成長過程の雌のラットを、賦形剤治療したコントロールラットと比較した。(A)アルカリホスファターゼアッセイ(骨芽細胞への分化)を示し、(B)アリザリンレッドS細胞の顕微鏡写真(骨髄細胞のミネラル化)を示し、及び(C)抽出後のアリザリンレッドSの定量化(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)を示す。
【0118】
12.F004から分離した4種の純化合物による骨芽細胞分化を刺激
骨芽細胞の分化を刺激して、F004から分離した4種の純化合物K012、K058、K068及びK100の能力をテストした。これら4種の化合物のさまざまな濃度(0.1nM〜1.0μM)で治療した頭蓋冠骨芽細胞は、コントロールラット(賦形剤治療)のそれと比較して、70〜100%のALP活性の増加を示した(図6)。4種の分離された純化合物すべてが骨芽細胞の分化を刺激して、骨芽細胞が造骨作用及び重要な骨同化作用を発揮することが分かった。
【0119】
図6:ウルムスワリチアーナから得た4種の純化合物は、インビトロで頭蓋冠骨芽細胞の分化を促進する。頭蓋冠骨芽細胞を1及び100nM濃度のK012、K058、K068及びK100で治療し、ALP生成を定量化した。***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05;N=3。
【0120】
13.F004から分離した4種の純化合物によって頭蓋冠骨芽細胞のミネラル化を刺激 ラットの頭蓋冠骨芽細胞(骨髄膜)による細胞外マトリックスのインビトロでのミネラル化を、アリザリン染色、抽出及びコッサ法による染色によって分析した。4種の化合物(1nM〜100μMの濃度)すべてを使用することによりミネラル化が著しく増加した(図7)。アリザリン染色、つまり新生カルシウムの沈殿量が、コントロールラット(賦形剤治療)のそれと比べて、K012、K058、K068、及びK100で治療した骨芽細胞において10〜25%増加していることが分かった(図7A及び7B)。酸性下でリン酸塩と反応しカルシウムとは反応せずミネラル化した根粒を測定するコッサ法染色は、コントロールラット(賦形剤治療)のそれと比較して、K012、K058、K068及びK100で治療した骨芽細胞で増加することが分かった(図7C)。よって、4種すべての化合物は、重要な骨同化作用である、膜質(頭蓋冠)骨から得た骨芽細胞における石灰化及びミネラル化した骨根粒形成を促進することが分かった。
【0121】
図7:ウルムスワリチアーナから得た4種の純化合物は、頭蓋冠骨芽細胞のインビトロでのミネラル化を促進する。頭蓋冠骨芽細胞を1及び100nM濃度のK012、K058、K068及びK100で治療した。(A)アリザリンレッドSで染色した骨芽細胞の顕微鏡写真を示す。(B)抽出後アリザリンレッドSの定量化を示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。(C)コッサ法による染色された骨芽細胞の顕微鏡写真を示す。
【0122】
14.K058によって頭蓋冠骨芽細胞増殖を刺激
10nM〜1.0μM濃度のK058により刺激された頭蓋冠骨芽細胞のセミコンフルエント培養中のBrdUの取り込み(細胞増殖量)は25〜75%であった(図8)。 よって、K058は、重要な骨同化作用である骨芽細胞に対する細胞分裂促進作用を発揮することが分かった。
【0123】
図8:K058は、頭蓋冠骨芽細胞の増殖を促進する。頭蓋冠骨芽細胞を、10及び100nM濃度のK058で治療し、BrdU細胞増殖アッセイを行った。***−<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05;N=3。
【0124】
15.F004から分離した4種の純化合物によってBMCミネラル化を刺激
検討した結果、植物エストロゲンやゲニステインがBMCの骨芽細胞系列への分化、又はその関与を促進することができることが分かった(Heim et al,Endocrinology.2004 Feb;145(2):848-59.)。骨格成長(モデリング)や骨量維持(リモデリング)は、骨髄を含む皮質及び骨梁内で起こる。アリザリンレッド染色法により査定された1nM及び100nM濃度のK012、K058、K068、及びK100により刺激した骨髄骨芽細胞のミネラル化が観察された(図9A及び9B)。よって、4種の化合物すべてが、骨格成長及び骨量維持における造骨作用に必要なBMCのミネラル化を促進することが分かった。
【0125】
図9:ウルムスワリチアーナから得た4種の純化合物は、BMCのインビトロでのミネラル化を促進する。BMCを、1及び100nM濃度のK012、K058、K068及びK100で治療し、ミネラル化を行った。(A)アリザリンレッドSで染色された細胞の顕微鏡写真を示す。(B)抽出後のアリザリンレッドS染色の定量化を示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。
【0126】
16A.K068及びK100によるインビトロでの3T3 L1細胞における脂質生成の抑制
更年期及び老化−誘発の骨量低下の広く認められた態様として、骨髄脂質生成において、骨髄中の間充織幹細胞の通常のプールにおける脂肪細胞形成が増加するにつれ、更年期及び老化−誘発の骨量低下も増加し、結果、骨芽細胞がほとんど形成されなくなることが挙げられる。従って、骨粗しょう症の主な治療アプローチとして、脂肪細胞の分化を抑制することが挙げられる。3T3−L1は、脂肪細胞の分化におけるK068及びK100の効果を調べるために使用されたマウスの前脂肪細胞である。データによると、1μM、100nM及び1nm濃度のK068とK100が、脂肪細胞の分化を著しく抑制することが分かった(図10A)。よって、K068とK100が抗脂質生成効果を有することが分かった。
【0127】
16B.K068及びK100による3T3−L1における脂質生成遺伝子のmRNAレベルの下方制御
3T3−L1細胞を、10−7及び10−9M濃度のK068及びK100で8日間(脂肪細胞形成にかかる時間)治療した。セミ−定量RT−PCRの結果、PPAR−γのmRNAレベルが減少すると共にアディポネクチン濃度も減少することが分かった(図10B)。よって、脂肪細胞の分化を促進するさまざまな遺伝子の発現を下方調整することによりK068及びK100は抗アディポネクチン作用を発揮することが分かった。
【0128】
図10:K068及びK100は、マウスの前脂肪細胞、3T3−L1の脂質生成分化を抑制する。(A)3T3−L1細胞を、1μM、100nM及び1nM濃度のK068及びK100で治療し、オイルレッド−O染色を行った。そして染色が抽出され定量化された。***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05;N=3。(B)100nM〜1nM濃度のK068及びK100で前脂肪細胞3T3−L1を8日間(脂肪細胞の分化にかかる時間)治療した後、さまざまな脂肪細胞の分化−特異遺伝子に対してセミ−定量化RT PCRを行った。GAPDHが、RNAローディングコントロールとして使用された。3回の個別実験の典型的なゲルの像は同じような結果を示す。
【0129】
【表3】
【0130】
17.K058による骨芽細胞における造骨遺伝子のmRNAレベルの上方調整
頭蓋冠骨芽細胞を、10−7M濃度のK058で0〜48時間治療した。半定量的RT−PCRにより、コラーゲンI(COL−1)、転写因子−1(Cbfa−1)、アルカリホスファターゼ(ALP)、オステオカルシン(OCN)、及び造骨タンパク質−2(BMP−2)のmRNAレベルの増加が明らかになった(図11)。最も強力な破骨細胞形成抑制因子サイトカインであるオステオプロテジェリン(OPG)は骨芽細胞から分泌される。10−7M濃度のK058により、頭蓋冠骨芽細胞におけるOPGのmRNAレベルが増加した(図11)。K058は、骨芽細胞の活動を促進するさまざまな遺伝子の合成を上方調整し破骨細胞の活動を抑制することによって、造骨作用を発揮することが分かった。
【0131】
図11:K058により、さまざまな骨芽細胞の特異遺伝子のmRNAレベルが増加する。さまざまな時点で、100nM濃度のK058で頭蓋冠骨芽細胞を治療した後の半定量的RT PCRによるさまざまな骨芽細胞のmRNAレベルを示す。GAPDHを内部標準として使用した。同じような結果を示す個別の実験を3回行ってその典型的ゲル写真を示す。
【0132】
18.K012及びK058のインビトロエストロゲン性又はエストロゲン性プロフィール
Ishikawa細胞は、高レベルのエストロゲン受容体を発現するヒトの子宮内膜癌細胞であり、ALPレベルを増加することによりエストロゲンに反応する。K012及びK058(10−11〜10−6M)で治療したIshikawa細胞は、ALPレベルを増加させなかったが、10−8M 17β−エストラジオールは、コントロール細胞(賦形剤治療細胞)に対して25倍以上もALP活性を刺激した(図12A)。更に、10−11〜10−6Mの範囲の濃度のK012及びK058は、17β−エストラジオールによる刺激でALP活性を増加させなかった(図12B)。よって、K012及びK058は、エストロゲンアゴニスト活性又は抗エストロゲン活性を有しないことが分かった。
【0133】
図12:K058及びK012は、インビトロでエストロゲン性及び抗エストロゲン性を有しない。17β−エストラジオールで治療したIshikawa細胞はALP生成を刺激する。(A)コントロール細胞に比べて10−8M 17β−エストラジオール使用によって著しいALPの増加を示す。さまざまな濃度のK058、K012及びラロキシフェンは反応を示さなかった。(B)10−8M 17β−エストラジオール存在下での、K012、K058及びラロキシフェンのさまざまな濃度におけるALPレベルを示す。
【0134】
19.K058はOvx−誘発の骨量低下を低減する
K058(体重当たり1.0−5.0mg/kg)で90日間治療したOvxラットの切除した骨のBMDをDEXAにより測定した。データによると、1.0−5.0mg/kgで治療したOvxラットは、賦形剤で治療したOvxグループと比較して大腿骨(全体、首、骨幹部)におけるBMDがかなり高いことが分かる(図13A、B及びC)。体重当たり1.0及び5.0mg/kg投与のK058は、賦形剤治療をしたOvxグループと比較して(図13E)、体重を支える関節L4腰椎(図13D)においてより高いBMDを発現し、体重当たり5mg/kgで脛骨のBMDを増加した。この結果より、K058は骨温存作用を有することが分かった。
【0135】
図13:K058は、ラットにおけるOvx−誘発の骨量低下を低減することを示す。摘出された骨において、BMDがDEXAにより測定された。1.0及び5.0mg/kgのK058で90日間治療したOvxラットを、賦形剤で治療した擬似手術ラット(コントロール)と比較した。(A)大腿骨全体、(B)大腿骨頸、(C)大腿骨骨幹軸、(D)第4腰椎、(E)脛骨をそれぞれ示す(擬似手術のBMDと比較する場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たす。OvxコントロールのBMDと比較する場合、a−P<0.001、b−P<0.01、c−P<0.05を満たす)。
【0136】
20.K058のインビトロでのエストロゲンアゴニストプロフィール
卵巣摘出は子宮重量を減少させるが、エストロゲン様活性を有する作用因子が子宮重量を増加させる。体重当たり1.0及び5.0mg/kgのK058で90日間治療したOvxラットは、賦形剤で治療したOvxラットと同等の賦形剤で治療した擬似手術ラットの子宮重量と比べて著しく子宮重量が減少した(図14)。従って、K058は子宮レベルではエストロゲンアゴニスト作用を有しないことが分かる。
【0137】
図14:K058は、子宮レベルではラットにエストロゲン性を発揮しないことを示す。体重当たり1.0及び5.0mg/kgのK058で90日間治療したラットの子宮重量を、擬似手術ラット及びOvxラット(コントロール)の子宮重量と比較した。擬似手術のコントロールラットの子宮重量と比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、Ovxコントロールラットの子宮重量と比較した場合、c−P<0.001、b−P<0.01、a−P<0.05を満たす。
【0138】
21.K058による若いラットにおけるピーク骨量の達成
PBM達成を図るため、生後21日の雌のラット(離乳期)を選択し、K058の効果を検討した。体重当たり5mg/kgのK058で治療して30日後、コントロールラット(賦形剤治療)と比べて大腿骨の骨幹部においてBMD値がかなり増加していることが分かった(図15)。よって、K058により成長過程の雌のラットにおけるPBM達成が改善されることが分かった。
【0139】
図15:K058が若いラットにおけるPBM達成を促進することを示す。摘出された骨においてBMDがDEXAによって測定された。5mg/kgのK058で治療した成長過程の雌ラットを、賦形剤治療のコントロールラットと比較した。大腿骨骨幹部におけるBMDを示す(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)。
【0140】
22.K058によって骨幹細胞を刺激
骨髄の骨幹細胞の増加を、以上記載したように成長過程のラットに対してK058による治療(体重当たり5.0mg/kg)しその後のALP活性とBMCのミネラル化により査定した。コントロールラットに比べて(図16A)、K058治療(体重当たり5.0mg/kg)のラットから得たBMCにおいて、ALP活性と骨芽分化量が著しく増加していることが分かった。又、K058治療のラットから得たBMCのミネラル化は、コントロールラット(賦形剤治療)より著しく増加していた(図16B及び16C)。よって、K058は、骨髄における骨幹細胞を増加させることによりPBM達成を改善することが分かった。
【0141】
図16:K058が若いラットにおいて骨幹細胞の増殖を促進することを示す。5mg/kgのK058で30日間治療した成長過程の雌ラットから得たBMCを、賦形剤治療のコントロールラットと比較した。(A)アルカリホスファターゼ−アッセイを示し、(B)アリザリンレッドS細胞の顕微鏡写真を示し、及び(C)抽出後のアリザリンレッドSの定量化(***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05)を示す。
【0142】
23.K012はOvx−誘発の骨量低下を低減する
K012(体重当たり1.0−5.0mg/kg)で90日間治療したOvxラットから摘出した骨のBMDをDEXAにより測定した。データによると、5.0mg/kgで治療したOvxラットは、賦形剤で治療したOvxグループと比較して大腿骨(全体、首、頭、骨梁間隙(TFSP))におけるBMDがかなり高いことが分かる(図17A、B、C及びD)。体重当たり5.0mg/kg投与のK012は、賦形剤治療をしたOvxグループと比較して、全体及び第2腰椎(図17E及びF)においてより高いBMDを発現した。賦形剤治療したOvxグループと比較した場合、BMDの増加は、体重当たり1.0mg/kgのK012で治療したラットのTFSPにも見られた(図17D)。この結果より、K012はエストロゲン欠乏下で骨温存作用を有することが分かった。
【0143】
図17:K012がラットのOvx−誘発の骨量低下を低減することを示す。摘出した骨においてBMDをDEXAによって測定した。1.0及び5.0mg/kgのK012で90日間治療したOvxラットを、賦形剤治療したOvxコントロールラット及び擬似手術のコントロールラットと比較した。(A)大腿骨頸、(B)脛骨全体、(C)脛骨頭、(D)腓骨の骨梁間隙、(E)腰椎全体(F)第2腰椎をそれぞれ示す(擬似手術のBMDと比較した場合***−P<0.001、**− P<0.01、*−P<0.05を満たし、ovxコントロールのBMDと比較した場合、a−P<0.001、b−P<0.01、c−P<0.05を満たす)。
【0144】
24.K012のインビトロでのエストロゲンアゴニストプロフィール
卵巣摘出は子宮重量を減少させるが、エストロゲン様活性を有する作用因子が子宮重量を増加させる。K012(体重当たり1.0及び5.0mg/kg)で90日間治療したOvxラットは、賦形剤で治療したOvxラットと同等の賦形剤で治療した擬似手術ラットの子宮重量と比べて著しく子宮重量が減少した(図18)。従って、K012は子宮レベルではエストロゲンアゴニスト作用を有しないことが分かる。
【0145】
図18:K012は、子宮レベルではラットにエストロゲン性を発揮しないことを示す。体重当たり1.0及び5.0mg/kgのK012で90日間治療したラットの子宮重量を、擬似手術ラット及びOvxラット(コントロール)の子宮重量と比較した。擬似手術のコントロールラットの子宮重量と比較した場合、***−P<0.001、**−P<0.01、*−P<0.05を満たし、Ovxコントロールラットの子宮重量と比較した場合、c−P<0.001、b−P<0.01、a−P<0.05を満たす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18