(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記施錠制御手段は、前記内部閉じスイッチが操作されて前記ドアが閉じられたことにより前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けられない状態で第1の所定時間が経過すると、前記外部開きスイッチの操作によって前記ドアを開放できる状態とし、
前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチが操作されて前記ドアが閉じられたことにより前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けられない状態で前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間が経過し、
かつ、前記在室検知センサによって人が検知されている場合には、前記外部開きスイッチの操作に応じた前記ドアの開放が可能になることを示す報知を前記内部報知部によって行う請求項2または3に記載の自動ドア。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1及び2に開示された自動ドアは、ドアを閉じる際に内部閉じスイッチを操作する必要があるため、ビルエントランス等に設けられる自動ドアとは異なる操作が必要となる。すなわち、ビルエントランス等に設けられる自動ドアでは、補助光センサやその他のセンサによって人が検知されなくなってから、所定時間経過すれば自動的にドアの閉じ動作を開始するのに対し、特許文献1及び2に開示された自動ドアでは、原則としてドアを閉じるために閉じスイッチの操作が必要となる。このため、利用者が自動ドアの動きの違いに戸惑うことがある。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用者が自動ドアの操作に戸惑うことのないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は
、室内に配置される内部閉じスイッチと、室外に配置される外部開きスイッチと、前記内部閉じスイッチ及び前記外部開きスイッチの操作に応じて、
室内外を仕切るドアの開閉制御を行う駆動制御手段と、前記室内に配置され、利用者に情報を報知する内部報知部と、前記室内に人がいることを検知可能な在室検知センサと、前記在室検知センサによって室内に人がいることが検知され、前記内部閉じスイッチが操作されないまま所定の条件が満たされると、前記内部閉じスイッチの操作を促すための報知を前記内部報知部によって行う報知制御手段と、を備え、
前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチが操作されずに前記ドアが閉じられた場合に、前記外部開きスイッチの操作に応じて前記ドアが開放可能であることを前記内部報知部によって報知する自動ドアである。
【0007】
本発明では、内部閉じスイッチ又は外部開きスイッチが操作されると、それに応じて、モータが駆動されドアが動く。そして、在室検知センサによって室内に人がいることが検知されているときにおいて、内部閉じスイッチが操作されないまま所定の条件が満たされると、内部閉じスイッチの操作を促すための報知が内部報知部を通じてなされる。すなわち、内部閉じスイッチを操作し忘れている利用者に対して、内部閉じスイッチの操作を促す。このため、内部閉じスイッチの操作に応じてモータが駆動されてドアが閉じられる自動ドアに不慣れな利用者でも、戸惑うことがない。
【0008】
ここで、前記自動ドアは、
前記ドアが施錠されずに閉じられている場合に、前記内部閉じスイッチが操作されると前記外部開きスイッチの操作を無効にする施錠制御手段を有していてもよく、この場合、前記報知制御手段は、前記在室検知センサによって室内に人がいることが検知されており、前記内部閉じスイッチが操作されないまま前記外部開きスイッチが操作されてから一定時間が経過すると、
前記施錠制御手段を作動させるために、前記内部閉じスイッチの操作を促すための報知を前記内部報知部によって行うのが好ましい。
【0009】
この態様では、在室検知センサによって室内に人がいることが検知されていて、内部閉じスイッチが操作されないで一定時間が経過すると、内部閉じスイッチの操作を促すための報知が内部報知部を通じてなされる。そして、内部閉じスイッチの操作がなされると、ドアが閉じられるとともに外部開きスイッチが無効にされる。このため、その後に外部開きスイッチが操作されても、ドアの開き動作は行われない。したがって、内部閉じスイッチが操作されないことで施錠がなされない状態(つまり外部開きスイッチによるドア開放が可能な状態)が継続することを回避することができる。なお、この場合での内部閉じスイッチの操作を促すための報知は、ドアが閉じられた状態であっても開かれた状態であってもなされる。
【0010】
一方、前記自動ドアは、前記ドアを施錠するための電気錠と、前記内部閉じスイッチの操作がされることによって前記ドアが閉じられたときに、前記ドアが施錠されるように前記電気錠を制御する施錠制御手段と、を有していてもよく、この場合、前記報知制御手段は、前記在室検知センサによって室内に人がいることが検知されており、前記内部閉じスイッチが操作されないまま前記外部開きスイッチが操作されてから一定時間が経過すると、前記内部閉じスイッチの操作を促すための報知を前記内部報知部によって行うのが好ましい。
【0011】
この態様では、在室検知センサによって室内に人がいることが検知されていて、内部閉じスイッチが操作されないで一定時間が経過すると、内部閉じスイッチの操作を促すための報知が内部報知部を通じてなされる。そして、内部閉じスイッチの操作がなされると、ドアが閉じられるとともに電気錠によって施錠される。このため、外部からドアを開くことはできない。したがって、内部閉じスイッチが操作されないことで施錠がなされない状態が継続することを回避することができる。なお、この場合での内部閉じスイッチの操作を促すための報知は、ドアが閉じられた状態であっても開かれた状態であってもなされる。
【0013】
また、上記の各態様では、例えば手動でドアを閉じてしまった利用者に、ドアが開放され得ることを知らせることができる。すなわち、ドアが閉じているにもかかわらず内部閉じスイッチの操作を促す報知がなされた場合には、利用者はこの報知を無視する可能性もある。したがって、ドアが開放可能であることを報知することにより、内部閉じスイッチの操作をより確実に促すことができる。このため、ドアが外から開けることができないようにするために内部閉じスイッチの操作が必要な自動ドアに不慣れな利用者でも、安心して使用することができる。
【0014】
好ましい態様において、前記施錠制御手段は、前記内部閉じスイッチが操作されて前記ドアが閉じられたことにより前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けられない状態で第1の所定時間が経過すると、前記外部開きスイッチの操作によって前記ドアを開放できる状態とし、前記報知制御手段は、前記内部閉じスイッチが操作されて前記ドアが閉じられたことにより前記外部開きスイッチの操作によっても前記ドアを開けられない状態で前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間が経過し、かつ、前記在室検知センサによって人が検知されている場合には、前記外部開きスイッチの操作に応じた前記ドアの開放が可能になることを示す報知を前記内部報知部によって行ってもよい。
【0015】
この態様では、利用者が室内に入って長時間が経過した場合(第1の所定時間が経過した場合)には、ドアを強制的に開放することが可能となる。この場合において、第1の所定時間が経過する前に、外部開きスイッチの操作に応じたドアの開放が可能になることを示す報知が内部報知部によって行われる。したがって、室内にいる人が知らないうちにドアが開放可能な状態になること、及び不意にドアが開けられることを未然に防止することができる。
【0016】
この態様において、前記報知制御手段は、前記第2の所定時間の経過後、前記第1の所定時間が経過する前に、前記内部閉じスイッチの操作を促す報知を前記内部報知部によって行い、前記施錠制御手段は、前記内部閉じスイッチの操作がなされると、前記第1の所定時間が経過した後に前記外部開きスイッチが操作されても前記ドアを開けられない状態を維持するのが好ましい。
【0017】
この態様では、内部閉じスイッチが操作されると、外部開きスイッチの操作によってもドアを開けられない状態が継続される。したがって、室内にいる人が安心して長時間室内にいることができる。
【0018】
前記自動ドアは、故障の有無をチェックする自己診断制御を行う診断制御手段を有していてもよく、この場合、前記報知制御手段は、自己診断の結果に応じた対処についての報知を前記内部報知部によって行うのが好ましい。
【0019】
この態様では、自動ドアの故障が検知された場合において、利用者に対処の仕方を伝えることができる。
【0020】
前記自動ドアにおいて、前記在室検知センサは、複数のエリアからなる検知エリアを有していてもよく、この場合、前記報知制御手段は、前記検知エリアのうち前記ドアの通過領域に近いエリアとして予め設定された領域で人が検知されている場合において前記駆動制御手段によって前記
ドアの開閉制御を行うときに、前記内部報知部を通じて、前記室内にいる人に対して注意を促す報知を行うのが好ましい。
【0021】
この態様では、ドアの通過領域に近いエリアに人がいる場合に、注意を促す報知が行われる。このため、操作部の操作者を含め利用者にとって安全な自動ドアとすることができる。
【0022】
前記自動ドアにおいて、前記内部報知部は、音声発生器を有しており、前記施錠制御手段によって前記ドアを施錠する制御が行われていて、かつ前記在室検知センサによって人が検知されているときに、前記音声発生器から疑似音を発生させる制御を行う疑似音制御手段を有していてもよい。
【0023】
この態様では、使用時に発生する音に近い疑似音が発生する。このため、利用者が安心して使用することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、利用者が自動ドアの操作に戸惑うことのないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る自動ドア10は、ドア12を駆動するモータ14と、このモータ14の駆動制御を含め種々の動作制御を行うコントローラ16と、ドア12を施錠するための電気錠18と、操作部41,42と、センサ類46,47と、報知を行うための報知装置51,52と、を有する。この自動ドア10は、例えば車椅子利用者、高齢者、妊婦、乳幼児を連れた母親などを利用対象とした多目的トイレ24に設置されて使用される。なお、ここでは、多目的トイレ24(
図2参照)に設置された例について説明するが、これに限られるものではなく、試着室等、比較的狭い室内に設置され得る。
【0028】
図2及び
図3に示すように、多目的トイレ24は、出入り口として機能する開口部26を有する壁部27を備えており、この開口部26には、引き戸式のドア12が配設されている。この壁部27は他の壁部28〜30とともに直方体状の空間を形成しており、これら壁部27〜30によって形成された室内には、便器32、洗面台33、補助用手すり34等が配設されている。
【0029】
開口部26が形成された壁部27の一部は、開き位置にあるドア12を収容する戸袋38として構成されている。すなわち、ドア12は、戸袋38に収納されて開口部26を開放する全開位置と、戸袋38から進出して開口部26を閉じる全閉位置との間を移動可能である。
【0030】
操作部41,42には、室内に配置される内部操作部41と、室外に配置される外部操作部42とが含まれており、内部操作部41には、内部開きスイッチ41aと内部閉じスイッチ41bとが含まれ、外部操作部42には、外部開きスイッチ42aと外部閉じスイッチ42bとが含まれている。内部開きスイッチ41aと内部閉じスイッチ41bは、壁部27の室内側の側面に設置されるものであり、例えば、開口部26のすぐ横に配置される。外部開きスイッチ42aと内部閉じスイッチ41bは、壁部27の室外側の側面に設置されるものであり、例えば、開口部26のすぐ横に配置される。
【0031】
内部開きスイッチ41aと外部開きスイッチ42aは、操作されるとドア12を開く方向に動作させる制御を行うための信号を出力する。内部閉じスイッチ41bと外部閉じスイッチ42bは、操作されるとドア12を閉じる方向に動作させる制御を行うための信号を出力する。これら信号の出力は、スイッチ41a,41b,42a,42bが例えば押圧操作されている間、継続して出力される。なお、断線検知が容易になるように、押圧操作されていない間、信号が継続出力され、押圧操作されている間は、信号出力が停止するように構成されていても構わない。
【0032】
室内には非常スイッチ44が配設されている。非常スイッチ44は、例えば便器32の近傍に設置され、操作がなされると管理室等、所定の管理者のもとに連絡がなされるようになっている。
【0033】
センサ類としては、在室検知センサ46と補助センサ47とが設けられている。在室検知センサ46は、検知エリア46aを有するセンサであって、この検知エリア46aで人又は物が検知されると検知信号を出力する。図示省略するが、在室検知センサ46は、複数のセンサ部を備えている。そして、検知エリア46aを複数のエリアに分割して、分割された各エリアで個別に人等を検知することができる。
【0034】
在室検知センサ46は、例えば天井に設置され、下方に向かって赤外線等の検知用媒体を出射する。検知エリア46aは、上から見て例えば矩形状となる形状となっており、便器32や洗面台33の近傍が少なくとも含まれるように設定されている。また、検知エリア46aには、開口部26が設けられた壁部27に沿うエリア(安全監視エリア)46bも含まれている。この安全監視エリア46bは、ドア12の通過領域の近傍にいる人が検知できる領域として、予め設定(記憶)しておくことができる。なお、
図4に示すように、ドア12が壁部27の内側を移動するように設置される構成の場合には、安全監視エリア46bとして、ドア12の戸尻側の通過領域の近傍を含む領域を設定してもよい。
【0035】
補助センサ47は、開口部26で人を検知するためのセンサであり、例えば光電センサによって構成されている。補助センサ47は、戸袋38と、壁部27のうち開口部26を挟んで戸袋38に対向する部位との間で光線が出射されており、この光線が遮られると、検知信号を出力する。
【0036】
報知装置51,52には、内部報知部51と外部報知部52とが含まれている。内部報知部51は、室内に配置される報知部であり、室内にいる利用者に対して報知を行うためのものである。外部報知部52は、室外に配置される報知部であり、室外にいる利用者に対して報知を行うためのものである。内部報知部51には、コントローラ16から出力された信号に応じた音声を発生(情報の提示)するスピーカを有する内部音声発生器51aと、コントローラ16から出力された信号に応じた表示(情報の提示)を行う内部表示器51bとが、含まれている。また、外部報知部52も同様であり、外部音声発生器52aと外部表示器52bとが含まれている。すなわち、報知装置51,52には、音声発生器51a,52aと表示器51b,52bとが含まれている。
【0037】
コントローラ16は、ROM、RAM、CPU等を有し、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、種々の機能を発揮する。この機能には、駆動制御手段55と、施錠制御手段56と、報知制御手段57と、診断制御手段58と、疑似音制御手段59と、が含まれている。
【0038】
駆動制御手段55は、内部操作部41及び外部操作部42の操作に応じて、モータ14の駆動制御を行う。すなわち、駆動制御手段55は、内部開きスイッチ41a又は外部開きスイッチ42aから出力された信号がコントローラ16に入力されると、ドア12が開き方向に動作するようにモータ14を駆動制御し、また内部閉じスイッチ41b又は外部閉じスイッチ42bから出力された信号がコントローラ16に入力されると、ドア12が閉じ方向に動作するようにモータ14を駆動制御する。
【0039】
施錠制御手段56は、電気錠18を駆動制御するものであり、内部閉じスイッチ41bの操作がされることによってドア12が閉じられたときに、ドア12が施錠されるように電気錠18を制御し、内部開きスイッチ41aから出力された信号がコントローラ16に入力されると、ドア12の施錠を解除するように電気錠18を制御する。
【0040】
報知制御手段57は、利用者に対して種々の情報を伝える報知を行うための制御を行う。この報知には、利用者に対して注意を促すための報知、利用者に対して所定の操作を促すための報知、利用者に対してドア12の動作状況を伝える報知等が含まれる。
【0041】
利用者に対して注意を促すための報知には、例えば、ドア12の閉じ動作中に安全監視エリア46bで人が検知されている場合(検知状態)において、閉まるドア12に注意を促す報知がある。例えば、この報知では、「閉まるドアにご注意下さい」という音声を流してもよく、或いは内部表示器51bに「閉まるドアに注意!」と表示させる形態であってもよい。また、これらを同時に行ってもよい。
【0042】
利用者に対して所定の操作を促すための報知には、例えば、ドア12が閉じているにも拘わらず、施錠がなされていない場合に、未施錠である旨を伝えるとともに、内部閉じスイッチ42bの操作によって施錠できることを伝える報知がある。すなわち、ドア12は手動で動かすことできるため、ドア12を手動で閉じた場合、施錠制御手段56は、ドア12を施錠する制御を行わない。また、自動ドアには閉じ忘れ防止タイマ(図示省略)が設けられていて、この閉じ忘れ防止タイマがカウントアップしたことによってドア12が閉じられた場合にも、施錠制御手段56は、ドア12を施錠する制御を行わない。このような場合、利用者はドア12が閉じられていることから施錠もされていると思い込んでしまう可能性もある。したがって、外部開きスイッチ42aが押された後、在室検知センサ46によって人が検知されている場合において、一定時間経過しても内部閉じスイッチ41bが押されないときには、報知制御手段は、未施錠であること(外部からドア12を開放可能であること)を報知するとともに、内部閉じスイッチ42bの操作によって施錠できることを報知する制御を行う。この報知では、「ドアが施錠されていません」「閉じスイッチを押して下さい」という音声を流してもよく、或いは/及び内部表示器51bに同じ内容の表示やランプの点滅・点灯を行ってもよい。
【0043】
利用者に対してドア12の動作状況を伝える報知には、例えば、後述する自己診断の結果、ドア12が故障中である旨の報知、長時間使用タイマがカウントアップすることによって外部開きスイッチ42aの操作が間もなく有効になる旨の報知等がある。故障中の場合の報知では、例えば「自動ドアが故障しています。」という音声を流してもよく、或いは/及び内部表示器51bに同じ内容の表示を行ってもよい。この場合、「手で開けてみて下さい。」、「ランプが点灯している非常スイッチを押して下さい。」というように利用者に所定の行動を促す報知を一緒に行ってもよい。一方、外部開きスイッチ42aの操作が間もなく有効になる場合の報知には、例えば「長時間使用のため、もうすぐ外から開けられるようになります。」という音声を流してもよく、或いは/及び内部表示器51bに同じ内容の表示を行ってもよい。この場合、「トイレの使用を続ける場合には、閉じスイッチを押して下さい。」というように利用者に所定の行動を促す報知を一緒に行ってもよい。
【0044】
診断制御手段58は、自動ドア10に故障がないかを自己診断する自己診断制御を行う。この自己診断制御は、所定の操作が行われた場合、あるいは定期的に行われものであり、予め設定された所定の動作を行うことにより故障の有無を調査する。そして、報知制御手段57は、ドア12が電気錠18によって施錠されている場合において、自動ドア10の故障が検知された場合に、前述したように、利用者に故障である旨の報知、所定の操作を促す報知を行う。
【0045】
疑似音制御手段59は、ドア12が施錠されていて、かつ在室検知センサ46によって人が検知されているときに、内部音声発生器51aから疑似音を発生させる制御を行う。
【0046】
ここで、本実施形態に係る自動ドア10の動作について説明する。まず、
図5を参照しつつ、自動ドア10の基本動作の説明を行う。
【0047】
図5は、利用者が多目的トイレ24を利用するときの一連の流れに合わせてドア12の動作を説明するフローチャートであり、まず、ドア12が全閉位置にあって待機状態となっているときに、外部開きスイッチ42aがオンすると(ステップST1,ST2)、ドア12を開放すべくモータ14を駆動する(ステップST3)。そして、利用者が室内に入り、内部閉じスイッチ41bを一度押すと(ステップST4)、ドア12を閉じるべくモータ14を駆動する(ステップST5)。ドア12が全閉位置となると、電気錠18が駆動してドア12は施錠され、外部表示器52bには、使用中である旨の表示がなされる(ステップST6)。
【0048】
その後、利用者が多目的トイレ24から出る場合には、利用者は内部開きスイッチ41aを押す。内部開きスイッチ41aが一度押されると(ステップST7)、使用中である旨の表示が消されるとともに、電気錠18が駆動されてドア12が解錠される。そして、モータ14が駆動されてドア12が開き動作する(ステップST8)。その後、外部閉じスイッチ42bが一度押されるとドア12は通常の速度で閉じられる(ステップST9,ST12)。一方、ドア12が全開位置に到達してから所定時間が経過しても外部閉じスイッチ42bが操作されない場合には、ステップST11において判定がYESとなり、ドア12を閉じるようにモータ14を駆動する(ステップST10)。この場合は、閉じスイッチ42bによらないでドア12の閉じ動作を行うため、低速でドア12を閉じるのが好ましい。
【0049】
次に、
図6を参照しつつ、ドア12が未施錠の場合において室内にいる利用者に注意を促す制御について説明する。待機状態では、外部開きスイッチ42aが操作されてドア12が開放されたか否かが繰り返し判断される(ステップST21)。そして、外部開きスイッチ42aがオンし、人が室内に入った後、内部閉じスイッチ41bが操作されると、ドア12を閉じる(ステップST22,ST23)。
【0050】
一方、外部開きスイッチ42aがオンした後、内部閉じスイッチ41bがオンしない場合には、ステップST24へと移り、在室検知センサ46がオンしているか否かが判断される。室内に人がいれば在室検知センサ46がオンするため、この場合には、一定時間が経過しているか否かを判断した後(ステップST25)、一定時間が経過すると、ドア12が閉じ位置にあるか否かが判断される(ステップST26)。そして、ドア12が閉じ位置にある場合には、ドア12が施錠されていない旨の報知を行うとともに(ステップST27)、内部閉じスイッチ41bの操作を促す報知を行う(ステップST28)。すなわち、この場合は、内部閉じスイッチ41bが操作されていないにも拘わらず(ステップST22においてNO)、人が室内にいてドア12が閉じられている場合である。このため、人が内部閉じスイッチ41bを操作するのではなく手動でドア12を閉じたこと、あるいは閉じ忘れ防止タイマのカウントアップによってドア12が自動的に閉じたことが該当する。内部閉じスイッチ41bが操作されることなくドア12が閉じた場合には、施錠制御手段56は、ドア12を施錠する制御を行わない。このため、施錠されていないこと、及び内部閉じスイッチ41bの操作によって施錠できることについての報知がなされる。
【0051】
なお、閉じ忘れ防止タイマは、内部開きスイッチ41a又は外部開きスイッチ42aの操作がされることによってカウントを開始し、内部閉じスイッチ41b又は外部閉じスイッチ42bの操作がされるとリセットする。また、ドア12が閉じ位置にあるか否かについては、モータ14から出力されるパルスをカウントすること、閉じ位置検知センサを設けること等によって判断することができる。
【0052】
内部閉じスイッチ41bがオンしない場合において、在室検知センサ46もオンしない場合には、ステップST24からステップST29に移る。この場合は、いたずらによって内部閉じスイッチ41bが操作された場合が該当する。この場合、外部閉じスイッチ42bがオンされるまで、閉じ忘れ防止タイマがタイムカウントを継続し(ステップST30)、一定時間が経過すると、ドア12を低速で閉じる(ステップST31)。
【0053】
次に、
図7を参照しつつ、長時間使用時の制御動作について説明する。ドア12が開放された状態で、在室検知センサ46によって人が検知されているときに、内部閉じスイッチ41bがオンするとドア12を閉じる動作を行ってドア12を施錠する(ステップST41,ST42)。このとき、長時間使用タイマのカウントも開始する。なお、長時間使用タイマのカウントは、内部閉じスイッチ41bが操作されることによってスタートする(リセットされる)。
【0054】
その後、内部開きスイッチ41aがオンしたか否かを判断し(ステップST43)、予め設定された第2の所定時間(例えば、カウントアップの5分前)になると、外部開きスイッチ42aが間もなく有効になる旨の報知がなされる(ステップST44,ST45)。例えば、「長時間使用のため、もうすぐ外から開けられるようになります」という音声が流れる。
【0055】
そして、さらに時間が経過して、予め設定された第1の所定時間(例えば、カウントアップの1分前)になると、内部閉じスイッチ41bの操作を促す旨の報知がなされる(ステップST46,ST47)。例えば、「トイレの使用を続ける場合には、閉じスイッチを押して下さい。」という音声が流れる。
【0056】
そして、内部閉じスイッチ41bが操作されると長時間使用タイマをリセットする(ステップST48,ST49)。すなわち、内部閉じスイッチ41bが操作された場合には、利用者が継続してトイレ24を使用する意思表示となるため、この場合には、長時間使用タイマをリセットする。
【0057】
一方、内部閉じスイッチ41bが操作されることなく(ステップST48においてNO)、長時間使用タイマがカウントアップすると(ステップST50)、外部開きスイッチ42aの操作がなされたか否かを判断する(ステップST51)。そして、外部開きスイッチ42aが操作されると、電気錠18を解錠してドア12を開放する(ステップST52)。すなわち、内部閉じスイッチ41bを操作するように利用者に促したにも拘わらず内部閉じスイッチ41bが操作されることなく長時間使用タイマがカウントアップした場合、室内にいる人にトラブルが発生したことも想定される。このため、外部からドア12を強制的に開放できるようにしている。
【0058】
次に、
図8を参照しつつ、自己診断制御を行う場合の制御動作について説明する。ドア12が閉鎖され、電気錠18がドア12を施錠している場合には、自動ドア10に異常がないか自己診断を行う自己診断制御が行われる(ステップST51)。そして、自己診断の結果、故障が無いと判断された場合には(ステップST52の判断がNO)、内部開きスイッチ41aの操作の有無を判断し、内部開きスイッチ41aの操作に応じて、電気錠を解錠してドア12を開放する(ステップST53,ST54)。つまり、通常の開放動作が行われる。
【0059】
一方、自己診断の結果、故障が検知された場合にはステップST55に移る。ステップST55において自動ドア10が故障している旨の報知を行い、また非常スイッチ44の操作を促す旨の報知を行う(ステップステップST56)。そして、電気錠18が故障しているか否かの判断を行い(ステップST57)、電気錠18が故障していなければ電気錠18を解錠する(ステップST58)。このとき「手でドアを開けてみて下さい」という音声が流される(ステップST59)。この場合にはドア12を開けることができるため、利用者が室内に閉じこめられることはない。一方、電気錠18が故障している場合には、非常スイッチ44がオンしたか否かを判断し、非常スイッチ44がオンすると非常信号が出力され、所定の管理者のもとに連絡がなされる(ステップST60,ST61)。なお、このとき、「非常スイッチを押して下さい」という音声を流しても良い。
【0060】
次に、
図9を参照しつつ、動作モード切り替えを含む制御動作について説明する。この
図9は、ドア12を閉じる動作時において利用者に注意を促す制御を行うときのフローチャートである。ドア12が全開位置にある状態で、室内に入った利用者が内部閉じスイッチ41bを一度押すと(ステップST71)、ドア12近傍のエリア(安全監視エリア)46bがON(検知状態)になっているか否か判断する(ステップST72)。
【0061】
安全監視エリア46bが検知状態になっている場合には、閉まるドア12に注意を促す報知をするとともに、インチング操作モードに切り替えることができる旨を伝える報知する(ステップST73,ST74)。例えば、内部表示器51bに「閉まるドアに注意!」と表示するとともに、「閉じスイッチを押し続けると、スイッチを押し続ける間だけドアを閉じ動作できます。」という表示を行う。そして、内部閉じスイッチ41bが所定時間以上押圧され続けているか否かを判断し(ステップST75)、所定時間以上押圧され続けられると通常モードからインチング操作モードに切り替わる。
【0062】
ここで、通常モード及びインチング操作モードについて簡単に説明する。モータ14の駆動制御には、通常モードとインチング操作モードとがある。通常モードでは、補助センサ47からの検知信号がコントローラ16に入力されていなければ、ドア12が全閉位置に到達するまでモータ14を駆動する。通常モードでは、補助センサ47から出力された信号がコントローラ16に入力されると、閉じ動作を制限する。内部操作部41又は外部操作部42が所定時間以上、例えば2秒以上継続して操作され続けると、通常モードからインチング操作モードに切り替わる。
【0063】
インチング操作モードでは、内部操作部41又は外部操作部42が操作されている間だけドア12が開き方向又は閉じ方向に移動するようにモータ14を駆動制御する。そして、開きスイッチ41a,42a又は閉じスイッチ41b,42bの押圧が一旦やめられるとドア12は停止する。その後、所定時間経過するか、開きスイッチ41a,42a又は閉じスイッチ41b,42bが、一瞬だけ押された場合にはインチング操作モードから通常モードに切り替わる。
【0064】
インチング操作モードにおいては、内部閉じスイッチ41bがオンしているか否かを判断しながらドア12の動作を行う。すなわち、閉じスイッチ41bがオンしていれば(ステップST76の判断がYES)、その間ドア12を低速で閉じ動作を行い、表示器51b,52bに「インチング動作中です」と表示される(ステップST77,ST78)。ドア12が全閉位置に達するまで、閉じスイッチ41b,42bの状態を監視しながら、モータ14の駆動を行い(ステップST79)、全閉位置に達すると電気錠18を駆動してドア12を施錠する(ステップST80)。これによりリターンするので、インチング操作モードは解除され、その後に開きスイッチ41a,42aがオンしたときには、通常モードとなる。
【0065】
一方、ドア12が全閉位置に達する前に閉じスイッチ41b,42bの押圧がやめられてオンしなくなった場合には、ステップST81へと移り、モータ14の駆動を停止する。これによりドア12の閉じ動作が停止される。このとき表示器51b,52bの「インチング動作中です」という表示は停止される(ステップST82)。
【0066】
また、安全監視エリア46bが検知状態になっていない場合には、ステップST82の判定がNOとなるため、ステップST83へと移り、補助センサ47からの検知信号がコントローラ16に入力されない限り、全閉位置までドア12を動作させる。
【0067】
次に、
図10を参照しつつ、使用中において疑似音を発生させるときの制御動作について説明する。ドア12が閉じられて電気錠18によって施錠されると、ステップST91からステップST92に移る。ステップST92において、在室検知センサ46が人を検知しているか否かが判断され、人が検知されていれば、疑似音を発生させる制御を行う(ステップST93)。したがって、ドア12が施錠されていて、かつ室内に人がいると判断されている間、トイレ使用時に発生する音に近い疑似音が発生する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態では、内部閉じスイッチ41b又は外部開きスイッチ42aが操作されると、それに応じてモータ14が駆動されドアが動く。そして、在室検知センサ46によって室内に人がいることが検知されているときにおいて、内部閉じスイッチ41bが操作されないまま所定の条件が満たされると、内部閉じスイッチ41bの操作を促すための報知が内部報知部51を通じてなされる。すなわち、内部閉じスイッチ41bを操作し忘れている利用者に対して、内部閉じスイッチ41bの操作を促す。このため、内部閉じスイッチ41bの操作に応じてモータ14が駆動されてドア12が閉じられる自動ドアに不慣れな利用者でも、戸惑うことがない。
【0069】
特に、本実施形態では、在室検知センサ46によって室内に人がいることが検知されていて、内部閉じスイッチ41bが操作されないで一定時間が経過すると、内部閉じスイッチ41bの操作を促すための報知が内部報知部51を通じてなされる。したがって、この種の自動ドアに不慣れな利用者であっても戸惑うことなく多目的トイレ24を利用することができる。なお、この場合での内部閉じスイッチ41bの操作を促すための報知は、ドア12が閉じられた状態であっても開かれた状態であってもなされる。
【0070】
しかも本実施形態では、内部閉じスイッチ41bが操作されずにドア12が閉じられた場合、例えば手動でドア12を閉じてしまった利用者に、ドア12が開放され得ることを知らせる。すなわち、ドア12が閉じているにもかかわらず内部閉じスイッチ41bの操作を促す報知がなされた場合には、利用者はこの報知を無視する可能性もある。したがって、ドア12が開放可能であることを報知することにより、内部閉じスイッチ41bの操作をより確実に促すことができる。このため、ドア12が外から開けることができないようにするために内部閉じスイッチ41bの操作が必要な自動ドア10に不慣れな利用者でも、安心して使用することができる。
【0071】
また本実施形態では、内部閉じスイッチ41bが操作されてドア12が閉じられたことにより施錠された状態で第1の所定時間が経過すると、外部開きスイッチ42aの操作によってドア12を開放できる状態とする。このため、利用者が室内に入って長時間が経過した場合(第1の所定時間が経過した場合)には、ドア12を強制的に開放することが可能となる。この場合において、第1の所定時間が経過する前に、外部開きスイッチ42aの操作に応じたドア12の開放が可能になることを示す報知が内部報知部51によって行われる。したがって、室内にいる人が知らないうちにドア12が開放可能な状態になること、及び不意にドア12が開けられることを未然に防止することができる。
【0072】
さらに本実施形態では、第2の所定時間の経過後、第1の所定時間が経過する前に、内部閉じスイッチ41bの操作を促す報知を行うため、内部閉じスイッチ41bが操作されると、外部開きスイッチ42aの操作によってもドア12を開けられない状態が継続される。したがって、室内にいる人が安心して長時間トイレ24を使用することができる。
【0073】
また本実施形態では、故障の有無をチェックする自己診断制御を行い、その結果に応じた報知を行うため、自動ドアの故障が検知された場合において、利用者に対処の仕方を伝えることができる。
【0074】
また本実施形態では、ドア12の通過領域に近いエリア(安全監視エリア)46bに人がいる場合にドア12を動作させるとき、注意を促す報知が行われる。このため、操作部の操作者を含め利用者にとって安全な自動ドアとすることができる。
【0075】
また本実施形態では、ドア12が施錠されていて、かつ在室検知センサ46によって人が検知されているときに、疑似音を発生させる。このため、利用者が安心して使用することができる。
【0076】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では電気錠18によってドア12を施錠可能な構成としたが、これに限られるものではない。例えば、電気錠18を省略する一方で、施錠制御手段56が所定条件下で外部開きスイッチ42aの操作を無効にすることによって、ドア12が開かない構成にしてもよい。この場合において、機械式の錠を設けるようにしてもよい。この構成では、在室検知センサ46によって室内に人がいることが検知されていて、内部閉じスイッチ41bが操作されないで一定時間が経過すると、内部閉じスイッチ41bの操作を促すための報知が内部報知部51を通じてなされる。そして、内部閉じスイッチ41bの操作がなされると、ドア12が閉じられるとともに外部開きスイッチ42aが無効にされる。このため、その後に外部開きスイッチ42aが操作されても、ドア12の開き動作は行われない。
【0077】
前記実施形態では、開き動作及び閉じ動作の双方でインチング操作モードを実行可能な構成としたが、これに限られるものでなく、開き動作及び閉じ動作の一方のみでインチング操作モードを実行可能な構成としてもよい。例えば、前記実施形態のようにドア12が戸袋38に収納される構成の場合には、開き動作のときにインチング操作モードを実行しないようにしてもよい。
【0078】
また前記実施形態では、安全監視エリア46bで人が検知された場合にインチング操作モードへの切り替え条件の1つとしたが、安全監視エリア46bを設定しない構成の場合には、補助センサ47で人が検知されたことを切り替え条件として加えてもよい。
【0079】
また前記実施形態では、天井に設置された在室検知センサ46と、壁部27に設置された補助センサ47とを有する構成としたが、この構成に限られるものではない。例えば、壁部27に設置された補助センサ47のみを有する構成としてもよい。この場合には、壁部27に設置された光電センサの時系列変化、例えば、初期状態から1度だけ検知すれば在室とし、2度検知すれば退出とするなど、をもとに在室を検知し、これを在室検知センサ46として使用することもできる。
【0080】
また前記実施形態について、リモートスイッチをさらに含んでいてもよい。リモートスイッチは、有線又は無線でコントローラ16と接続され、多目的トイレ24の任意の場所に設置できるものである。
【0081】
さらに、報知装置51,52として、音声や表示を行う構成を例示したが、これに限られず、警告音など音声以外の音で聴覚に報知するものや、文字以外の図形や色などで視覚に報知するものであってもよく、更に聾唖者に対して振動や凹凸など触覚に報知するものであっても良い。