(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693289
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
G01R19/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-35384(P2011-35384)
(22)【出願日】2011年2月22日
(65)【公開番号】特開2012-173134(P2012-173134A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】小池 伸一
【審査官】
濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−106856(JP,A)
【文献】
特開2010−060378(JP,A)
【文献】
特開2002−055128(JP,A)
【文献】
特開2004−233179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R19/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象信号を固定サンプリング周期でサンプリングして得られるサンプリングデータを一定区間ずつ区分けして一定数の当該サンプリングデータで構成される区分データを生成すると共に、当該区分データ、および当該区分データに基づいて算出された算出データのいずれかの窓掛け処理前データに対して窓掛け処理を実行し、当該窓掛け処理の実行された窓掛け処理後データに基づいて前記測定対象信号についての測定値を算出する信号処理部を備えた測定装置であって、
前記一定区間に含まれている前記測定対象信号についての基本波の波形数であって前記窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が前記窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差以下となる境界での波形数が基準数として予め規定されており、
前記信号処理部は、前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記窓掛け処理後データに基づいて前記測定値を算出し、前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記窓掛け処理前データに基づいて前記測定値を算出する測定装置。
【請求項2】
前記測定対象信号の周波数および周期のいずれかを検出対象として検出する検出部と、
前記検出された検出対象と前記一定区間の区間長とに基づいて、当該一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上であるか否かを判別する判別部とを備え、
前記信号処理部は、前記判別部の判別結果に応じて、前記窓掛け処理後データに基づく前記測定値の算出、および前記窓掛け処理前データに基づく前記測定値の算出のいずれかに決定する請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記区分データを二乗する二乗処理を実行して前記算出データとして生成し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記算出データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して平均処理、開方処理および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の実効値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記算出データに対する窓掛け処理を実行することなく当該算出データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記平均処理および前記開方処理を実行することによって前記実効値を算出する請求項1または2記載の測定装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記区分データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して二乗処理、平均処理、開方処理および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の実効値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記区分データに対する窓掛け処理を実行することなく当該区分データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記二乗処理、前記平均処理および前記開方処理を実行することによって前記実効値を算出する請求項1または2記載の測定装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記区分データの絶対値を算出する絶対値算出処理を実行して前記算出データとして生成し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記算出データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して平均処理、および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の交流平均値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記算出データに対する窓掛け処理を実行することなく当該算出データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記平均処理を実行することによって前記交流平均値を算出する請求項1または2記載の測定装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記区分データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して平均処理、および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の直流平均値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記区分データに対する窓掛け処理を実行することなく当該区分データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記平均処理を実行することによって前記直流平均値を算出する請求項1または2記載の測定装置。
【請求項7】
測定対象信号を固定サンプリング周期でサンプリングして得られるサンプリングデータを一定区間ずつ区分けして一定数の当該サンプリングデータで構成される区分データを生成すると共に、当該区分データ、および当該区分データに基づいて算出された算出データのいずれかの窓掛け処理前データに対して窓掛け処理を実行し、当該窓掛け処理の実行された窓掛け処理後データに基づいて前記測定対象信号についての測定値を算出する測定方法であって、
前記一定区間に含まれている前記測定対象信号についての基本波の波形数であって前記窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が前記窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差以下となる境界での波形数が基準数として予め規定されており、前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記窓掛け処理後データに基づいて前記測定値を算出し、前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記窓掛け処理前データに基づいて前記測定値を算出する測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象信号の実効値などの測定値を測定する測定装置および測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、出願人は下記特許文献1に開示された測定装置(実効値測定装置)を既に提案している。この測定装置は、A/D変換部、実効値演算部、操作部、制御部および表示部を備え、入力した測定対象信号の測定値(一例として実効値)を測定可能に構成されている。この場合、実効値演算部は、データ切出し部、窓掛け処理部、二乗処理部、フィルタ処理部、平均処理部、平方根処理部および補正部を備え、A/D変換部から出力された測定対象信号についてのサンプリングデータに基づいて、測定対象信号の実効値を算出して出力する。
【0003】
この測定装置では、測定対象信号についての所定数のサンプリングデータに対して窓掛け処理を実行して窓データとし、この窓データに対して、二乗処理、フィルタリング処理、平均処理および平方根処理という実効値算出のための基本的な処理を施した後、これら処理によって得られた平方根データに対して窓掛け処理時の減衰分を補正する処理を施して、測定対象信号の実効値を算出する。したがって、この測定装置によれば、測定対象信号の周期が未知であることに起因して、測定対象信号の周期とサンプリング周期とが非同期であっても、所定数のサンプリングデータに含まれる測定対象信号の位相が変動することに起因して発生する誤差を、窓掛け処理によって大幅に低減することが可能となっている。
【0004】
また、窓掛け処理を行う所定数のサンプリングデータに含まれる測定対象信号の波形数が少ないときには、実効値の測定精度が低下する。このため、この測定装置では、所定数のサンプリングデータに含まれる測定対象信号の波形数が少ないときには、A/D変換部のサンプリング周期を長くして、含まれる測定対象信号の波形数を増加させることができる構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−60378号公報(第3−6頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、低価格帯の測定装置では、製品コストの低減のため、A/D変換部のサンプリング周期を一定とし、かつA/D変換部から出力されるサンプリングデータのうちから所定数のサンプリングデータを切り出す周期も一定とする簡易な構成(言い換えれば、サンプリングデータを一定区間ずつ区分けする簡易な構成)を採用したものが多く存在している。このため、このような測定装置では、所定数のサンプリングデータに含まれる波形数が少なくなる周波数の低い測定対象信号に対する測定精度が低下するという解決すべき課題が存在している。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、装置コストの上昇を抑えつつ、高い高精度で測定対象信号についての測定値を測定し得る測定装置および測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、測定対象信号を固定サンプリング周期でサンプリングして得られるサンプリングデータを一定区間ずつ区分けして一定数の当該サンプリングデータで構成される区分データを生成すると共に、当該区分データ、および当該区分データに基づいて算出された算出データのいずれかの窓掛け処理前データに対して窓掛け処理を実行し、当該窓掛け処理の実行された窓掛け処理後データに基づいて前記測定対象信号についての測定値を算出する信号処理部を備えた測定装置であって、
前記一定区間に含まれている前記測定対象信号についての基本波の波形数
であって前記窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が前記窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差以下となる境界での波形数が基準数として予め規定されており、前記信号処理部は、前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記窓掛け処理後データに基づいて前記測定値を算出し、前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記窓掛け処理前データに基づいて前記測定値を算出する。
【0009】
また、請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記測定対象信号の周波数および周期のいずれかを検出対象として検出する検出部と、前記検出された検出対象と前記一定区間の区間長とに基づいて、当該一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上であるか否かを判別する判別部とを備え、前記信号処理部は、前記判別部の判別結果に応じて、前記窓掛け処理後データに基づく前記測定値の算出、および前記窓掛け処理前データに基づく前記測定値の算出のいずれかに決定する。
【0010】
また、請求項3記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記信号処理部は、前記区分データを二乗する二乗処理を実行して前記算出データとして生成し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記算出データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して平均処理、開方処理および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の実効値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記算出データに対する窓掛け処理を実行することなく当該算出データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記平均処理および前記開方処理を実行することによって前記実効値を算出する。
【0011】
また、請求項4記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記信号処理部は、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記区分データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して二乗処理、平均処理、開方処理および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の実効値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記区分データに対する窓掛け処理を実行することなく当該区分データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記二乗処理、前記平均処理および前記開方処理を実行することによって前記実効値を算出する。
【0012】
また、請求項5記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記信号処理部は、前記区分データの絶対値を算出する絶対値算出処理を実行して前記算出データとして生成し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記算出データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して平均処理、および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の交流平均値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記算出データに対する窓掛け処理を実行することなく当該算出データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記平均処理を実行することによって前記交流平均値を算出する。
【0013】
また、請求項6記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記信号処理部は、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記区分データに対して窓掛け処理を実行して前記窓掛け処理後データを生成すると共に当該窓掛け処理後データに対して平均処理、および前記窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行することによって前記測定対象信号の直流平均値を前記測定値として算出し、前記一定区間に含まれている前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記区分データに対する窓掛け処理を実行することなく当該区分データを前記窓掛け処理前データとして、当該窓掛け処理前データに対して前記平均処理を実行することによって前記直流平均値を算出する。
【0014】
上記目的を達成すべく請求項7記載の測定方法は、測定対象信号を固定サンプリング周期でサンプリングして得られるサンプリングデータを一定区間ずつ区分けして一定数の当該サンプリングデータで構成される区分データを生成すると共に、当該区分データ、および当該区分データに基づいて算出された算出データのいずれかの窓掛け処理前データに対して窓掛け処理を実行し、当該窓掛け処理の実行された窓掛け処理後データに基づいて前記測定対象信号についての測定値を算出する測定方法であって、前記一定区間に含まれている前記測定対象信号についての基本波の波形数
であって前記窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が前記窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差以下となる境界での波形数が基準数として予め規定されており、前記基本波の波形数が前記基準数以上のときには、前記窓掛け処理後データに基づいて前記測定値を算出し、前記基本波の波形数が前記基準数未満のときには、前記窓掛け処理前データに基づいて前記測定値を算出する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の測定装置および請求項7記載の測定方法では、測定値の算出に際して、サンプリングデータを区分けする際に適用した一定区間内に測定対象信号の基本波が基準数以上含まれているか否かに基づいて、含まれていないときには、区分データ、および区分データに基づいて算出された算出データのいずれかに対する窓掛け処理の実行を実行しないで、窓掛け処理の実行されていない窓掛け処理前データに基づいて測定対象信号についての測定値を算出する。
【0016】
したがって、この測定装置および測定方法によれば、一定区間に含まれる測定対象信号についての基本波が基準数に達していない状態(基準数未満の状態)で窓掛け処理を実行することに起因して発生する誤差の増大を回避できるため、このような状態においても、測定対象信号の測定値を精度よく測定することができる。
【0017】
請求項2記載の測定装置によれば、信号処理部とは別に、検出部および判別部を設け、検出部が測定対象信号の周波数および周期のいずれかを検出対象として検出し、判別部がこの検出対象と一定区間の区間長とに基づいて一定区間内に測定対象信号の基本波が基準数以上含まれているか否かを判別して、この判別結果を信号処理部に出力する構成を採用したことにより、信号処理部の処理を軽減することができる結果、信号処理部をDSPで構成する場合には安価なDSPを使用でき、これにより、装置コストを低減することができる。
【0018】
請求項3記載の測定装置および請求項4記載の測定装置によれば、一定区間に含まれる測定対象信号についての基本波が基準数に達していない状態(基準数未満の状態)で窓掛け処理を実行することに起因して発生する誤差の増大を回避しつつ、実効値を測定値として精度よく測定することができる。
【0019】
請求項5記載の測定装置によれば、一定区間に含まれる測定対象信号についての基本波が基準数に達していない状態(基準数未満の状態)で窓掛け処理を実行することに起因して発生する誤差の増大を回避しつつ、交流平均値を測定値として精度よく測定することができる。
【0020】
請求項6記載の測定装置によれば、一定区間に含まれる測定対象信号についての基本波が基準数に達していない状態(基準数未満の状態)で窓掛け処理を実行することに起因して発生する誤差の増大を回避しつつ、直流平均値を測定値として精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】測定対象信号Siの周波数を変化させたときの窓掛け処理の実行時(窓掛け処理ありのとき)における実効値の誤差と、窓掛け処理の非実行時(窓掛け処理なしのとき)における実効値の誤差を示す実験結果図である。
【
図3】実効値算出処理50の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】交流平均値算出処理60の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】直流平均値算出処理70の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】他の実効値算出処理50Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、測定装置および測定方法の実施の形態について説明する。
【0023】
最初に、測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。
【0024】
測定装置1は、
図1に示すように、直流除去部2、信号切替部3、検出部4、判別部5、A/D変換部6、信号処理部7、操作部8、制御部9および表示部10を備え、入力した測定対象信号Si(アナログ信号)の測定値Dm(実効値Dm1、交流平均値Dm2および直流平均値Dm3)を測定可能に構成されている。
【0025】
直流除去部2は、一例としてコンデンサで構成されて、測定対象信号Siを入力すると共にこの測定対象信号Siに含まれている直流成分を除去して、交流信号としての第1測定信号S1を出力する。信号切替部3は、切替スイッチで構成されて、測定対象信号Siおよび第1測定信号S1を入力すると共に、制御部9から出力される制御信号Sc1に基づいて切替状態が制御されることにより、これらの信号Si,S1のうちのいずれか一方を第2測定信号S2として出力する。
【0026】
検出部4は、一例として、コンパレータ、カウンタおよび演算回路(いずれも図示せず)を備えて構成されて、入力した第1測定信号S1の周波数および周期のいずれか(本例では一例として周波数f1)を検出対象として検出する。具体的には、検出部4では、コンパレータが第1測定信号S1のゼロクロス点を検出することにより、第1測定信号S1の1周期(または半周期)に同期した同期信号を生成する。次いで、カウンタが、一定の周期(測定対象信号Siの周期に対して十分に早い既知の周期)でカウント動作を実行して、コンパレータから出力される同期信号の1周期内でのカウント値を計測して出力する。最後に、演算回路が、このカウント値に基づいて周波数データDfを算出して出力する。この場合、上記したように、カウンタのカウント周期が既知であり、かつ同期信号が第1測定信号S1の1周期(または半周期)であることから、演算回路は、上記カウント周期と上記カウント値との乗算値を算出し、同期信号が第1測定信号S1の1周期である場合にはこの乗算値に基づき、また同期信号が第1測定信号S1の半周期である場合にはこの乗算値の2倍の値に基づき、第1測定信号S1の周波数f1を算出して、周波数データDfとして出力する。なお、周波数f1の逆数を算出することで第1測定信号S1の周期を検出対象として算出して、この周期を示すデータ(周期データ)を出力する構成を採用することもできる。
【0027】
判別部5は、検出部4から出力される周波数データDfを入力すると共に、この周波数データDfで示される第1測定信号S1の周波数f1と、後述するように信号処理部7が波形データDwを区分データに区分けする一定区間の区間長とに基づいて、この一定区間に含まれている測定対象信号Siについての基本波の波形数を検出し、この検出した波形数と予め規定された基準数とを比較する。また、判別部5は、この比較の結果に基づいてレベルが変化する制御信号Sc2を生成して信号処理部7に出力する。本例では一例として、判別部5は、上記の一定区間に含まれる基本波の波形数が上記の基準数以上のときにはLowレベルとなり、この基本波の波形数が基準数未満のときにはHighレベルとなる制御信号Sc2を判別結果として生成して出力する。
【0028】
後述するように、信号処理部7は、波形データDwを一定区間ずつ区分けして一定数の波形データDwで構成される区分データを生成し、この区分データに対して通常では窓掛け処理を実行し、窓掛け処理によって得られたデータに基づいて測定値Dmを算出している。この場合、波形データDwを区分データに区分けする際の一定区間に含まれている測定対象信号Siの基本波の波形数が予め規定された基準数以上のときには、窓掛け処理を実行して測定値Dmを算出した方が、窓掛け処理を実行しないで算出するときよりも高精度で測定値Dmを算出できる一方、一定区間に含まれている測定対象信号Siの基本波の波形数が上記の基準数未満のときには、窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が大きくなるため、窓掛け処理を実行しないで測定値Dmを算出した方が、窓掛け処理を実行して算出するときよりも高精度で測定値Dmを算出できることが発明者の実験やシミュレーションで確認された。
【0029】
このシミュレーションの結果を
図2に示す。このシミュレーションでは、測定対象信号Siを正弦波とし、まず、この測定対象信号Siの周波数を変化させながら、各周波数において後述の区分けする一定区間と測定対象信号Siとの位相を少しずつずらして、測定対象信号Siの波形データDwを一定区間(100ms)で区分けすることで、周波数毎に複数の区分データ(位相をずらした区分データ)を作成する。次いで、これらの区分データに対して、窓掛け処理を含む測定値算出処理(ここでは実効値算出処理)と、窓掛け処理を含まない測定値算出処理とをそれぞれ実行して、測定対象信号Siの測定値(実効値)を算出し、周波数毎に測定値の最大と最小の差分を誤差として算出した。なお、この窓掛け処理では、一例としてブラックマン・ハリス窓関数を使用した。
【0030】
このシミュレーション結果によれば、一定区間に含まれている測定対象信号Siについての基本波の波形数が1未満のとき(言い換えれば、測定対象信号Siの周波数が10Hz未満(周期が100msを超える)のとき)には、窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が、窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差を大きく超える状態となる。しかしながら、一定区間に含まれる基本波の波形数が1のときに、窓掛け処理を実行することによって生じる誤差と窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差とが等しくなり、一定区間に含まれる基本波の波形数が1を超えるときには、窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が、窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差よりも小さい状態となることが確認されている。したがって、窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差以下となる境界での波形数(本例では数値「1」)が、上記の基準数として規定される。
【0031】
なお、シミュレーション結果は特に示さないが、測定対象信号Siが正弦波ではなく、三角波や矩形波などの他の形状の繰り返し波形で構成される信号の場合においても、正弦波の場合と同様にして、窓掛け処理を実行することによって生じる誤差が窓掛け処理を実行しない場合に生じる誤差以下となる境界が存在することが確認されており、この境界での波形数が上記の基準数として規定される。
【0032】
A/D変換部6は、予め規定された一定のサンプリング周期(測定対象信号Siの周期に対して十分に早い固定サンプリング周期)でサンプリングを行うA/D変換器を備えて構成されている。この構成により、A/D変換部6は、信号切替部3から出力された第2測定信号S2を入力すると共にサンプリングすることにより、サンプリングデータ(第2測定信号S2の振幅の瞬時値を示すデータ)に変換し、変換したサンプリングデータを波形データDwとして出力する。
【0033】
信号処理部7は、一例としてDSP(Digital Signal Processor)で構成されて、A/D変換部6から出力される波形データDwに基づいて、測定対象信号Siについての測定値Dm(実効値Dm1、交流平均値Dm2および直流平均値Dm3)を算出して出力する。この場合、信号処理部7は、制御部9から出力される制御信号Sc3に基づいて、実効値Dm1を算出する実効値算出処理、交流平均値Dm2を算出する交流平均値算出処理、および直流平均値Dm3を算出する直流平均値算出処理のうちの1つの算出処理を選択して測定値算出処理として実行する。
【0034】
また、信号処理部7は、各測定値算出処理の実行状態において、判別部5から出力される制御信号Sc2のレベルに基づいて、窓掛け処理を含む態様での測定値算出、および窓掛け処理を含まない態様での測定値算出のうちのいずれか一方を選択して実行する。本例では、上記したように、第2測定信号S2は、一定区間に含まれる測定対象信号Siについての基本波の波形数が基準数以上のときにはLowレベルとなり、一定区間に含まれるこの基本波の波形数が基準数未満のときにはHighレベルとなる。このため、信号処理部7は、測定対象信号Siについての基本波が一定区間に基準数以上含まれている(制御信号Sc2がLowレベルのとき)には窓掛け処理を含む態様での測定値算出を実行し、測定対象信号Siについての基本波が一定区間に基準数以上含まれていないとき(制御信号Sc2がHighレベルのとき)には窓掛け処理を含まない態様での測定値算出を実行する。
【0035】
操作部8は、測定装置1で測定する測定対象信号Siについての測定値Dmを選択する(実効値Dm1、交流平均値Dm2または直流平均値Dm3を選択する)ための不図示の選択スイッチ(例えば、ロータリースイッチ)を備え、選択スイッチに対する操作内容に応じた選択データDsを制御部9に出力する。制御部9は、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、入力した選択データDsに基づいて各制御信号Sc1,Sc3を出力することにより、信号切替部3に対する切替制御、信号処理部7に対する実行処理の選択制御を実行する。また、制御部9は、信号処理部7において算出された測定値Dmを表示部10に表示させる表示処理も実行する。表示部10は、例えば液晶ディスプレイなどのモニタ装置で構成されて、制御部9から出力された測定値Dmを画面上に数値表示する。なお、表示部10は、モニタ装置に代えて、プリンタなどの印字装置で構成することもできる。
【0036】
次いで、測定装置1による測定対象信号Siについての測定値Dmの測定動作と共に測定方法について説明する。
【0037】
測定装置1では、直流除去部2が、入力した測定対象信号Siから直流成分を除去して、第1測定信号S1として出力し、検出部4が、この第1測定信号S1の周波数を検出して周波数データDfを出力し、判別部5が、この周波数データDfで示される第1測定信号S1の周波数f1と、一定区間の区間長とを比較して制御信号Sc2を出力する。また、A/D変換部6は、信号切替部3から出力される第2測定信号S2をサンプリングすることにより、波形データDwを出力する。
【0038】
最初に、この状態において操作部8に対する操作が行われて、算出する測定値Dmとして実効値Dm1が選択された場合について説明する。
【0039】
この際には、操作部8は、この選択内容(算出する測定値Dmとして実効値Dm1が選択された旨の内容)を示す選択データDsを制御部9に出力する。制御部9は、この選択データDsを入力したときには、制御信号Sc1を出力して信号切替部3の切替状態を制御することにより、信号切替部3に対して第2測定信号S2として測定対象信号SiをA/D変換部6に出力させると共に、制御信号Sc3を出力して信号処理部7に対する選択制御を実行することにより、信号処理部7に対して実効値Dm1を算出する実効値算出処理50(
図3参照)を開始させる。
【0040】
この実効値算出処理50では、信号処理部7は、まず、データ切出し処理を実行して、波形データDwを一定区間ずつ区分けして一定数(予め決められた数)の波形データDwを順次切り出すことにより、区分データを生成する(ステップ51)。次いで、信号処理部7は、区分データに含まれる各波形データDwに対して二乗処理を実行して、二乗データを生成する(ステップ52)。続いて、信号処理部7は、判別部5から出力されている制御信号Sc2のレベルを検出して、Lowレベルであるか否かを判別し(ステップ53)、Lowレベルのときには、二乗データ(区分データに基づいて算出された算出データ)に対して窓関数を適用することによって窓掛け処理を実行し、処理後のデータを出力データ(窓掛け処理後データ)として生成する(ステップ54)。なお、ステップ53での判別の結果、制御信号Sc2のレベルがHighレベルのときには、窓掛け処理を実行することなく、二乗データをそのまま出力データ(窓掛け処理前データ)として生成する。
【0041】
次いで、信号処理部7は、出力データに対する平均処理を実行することにより、出力データの移動平均を算出して、平均データとして生成し(ステップ55)、続いて、この平均データに対する開方処理を実行することにより、平均データの平方根を算出して、平方根データを生成する(ステップ56)。次いで、信号処理部7は、ステップ54の窓掛け処理を実行したか否かを判別し(ステップ57)、窓掛け処理を実行しているときには、平方根データに対して窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行して、測定対象信号Siの実効値Dm1を生成する(ステップ58)。一方、窓掛け処理を実行していないときには、補正処理を実行することなく、平方根データを測定対象信号Siの実効値Dm1として生成する。これにより、実効値算出処理50が完了する。信号処理部7は、この実効値算出処理50の完了後に、生成した実効値Dm1を制御部9に出力する。
【0042】
制御部9は、信号処理部7から入力した実効値Dm1を表示部10に表示させる。これにより、測定装置1による実効値Dm1の測定が完了する。なお、測定装置1では、算出する測定値Dmとして実効値Dm1が選択されている状態において、信号処理部7は、この実効値算出処理50を繰り返し実行して実効値Dm1を制御部9に出力するため、制御部9は、信号処理部7から新たな実効値Dm1を入力する都度、表示部10に表示させる。したがって、表示部10には最新の実効値Dm1が表示される。
【0043】
次に、操作部8に対する操作が行われて、算出する測定値Dmとして交流平均値Dm2が選択された場合について説明する。
【0044】
この際には、操作部8は、この選択内容(算出する測定値Dmとして交流平均値Dm2が選択された旨の内容)を示す選択データDsを制御部9に出力する。制御部9は、この選択データDsを入力したときには、制御信号Sc1を出力して信号切替部3の切替状態を制御することにより、信号切替部3に対して第2測定信号S2として第1測定信号S1をA/D変換部6に出力させると共に、制御信号Sc3を出力して信号処理部7に対する選択制御を実行することにより、信号処理部7に対して交流平均値Dm2を算出する交流平均値算出処理60(
図4参照)を開始させる。
【0045】
この交流平均値算出処理60では、信号処理部7は、まず、データ切出し処理を実行して、実効値算出処理50のときと同様にして区分データを生成する(ステップ61)。次いで、信号処理部7は、区分データに含まれる各波形データDwに対して絶対値算出処理を実行して、絶対値データを生成する(ステップ62)。続いて、信号処理部7は、判別部5から出力されている制御信号Sc2のレベルを検出して、Lowレベルであるか否かを判別し(ステップ63)、Lowレベルのときには、絶対値データ(区分データに基づいて算出された算出データ)に対して窓関数を適用することによって窓掛け処理を実行し、処理後のデータを出力データ(窓掛け処理後データ)として生成する(ステップ64)。なお、ステップ63での判別の結果、制御信号Sc2のレベルがHighレベルのときには、窓掛け処理を実行することなく、絶対値データをそのまま出力データ(窓掛け処理前データ)として生成する。
【0046】
次いで、信号処理部7は、出力データに対する平均処理を実行することにより、出力データの移動平均を算出して、平均データとして生成する(ステップ65)。続いて、信号処理部7は、ステップ63の窓掛け処理を実行したか否かを判別し(ステップ66)、窓掛け処理を実行しているときには、平均データに対して窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行して、測定対象信号Siの交流平均値Dm2を生成する(ステップ67)。一方、窓掛け処理を実行していないときには、補正処理を実行することなく、平均データを測定対象信号Siの交流平均値Dm2として生成する。これにより、交流平均値算出処理60が完了する。信号処理部7は、この交流平均値算出処理60の完了後に、生成した交流平均値Dm2を制御部9に出力する。
【0047】
制御部9は、信号処理部7から入力した交流平均値Dm2を表示部10に表示させる。これにより、測定装置1による交流平均値Dm2の測定が完了する。なお、測定装置1では、算出する測定値Dmとして交流平均値Dm2が選択されている状態において、信号処理部7はこの交流平均値算出処理60を繰り返し実行して交流平均値Dm2を制御部9に出力するため、制御部9は、信号処理部7から新たな交流平均値Dm2を入力する都度、表示部10に表示させる。したがって、表示部10には最新の交流平均値Dm2が表示される。
【0048】
最後に、操作部8に対する操作が行われて、算出する測定値Dmとして直流平均値Dm3が選択された場合について説明する。
【0049】
この際には、操作部8は、この選択内容(算出する測定値Dmとして直流平均値Dm3が選択された旨の内容)を示す選択データDsを制御部9に出力する。制御部9は、この選択データDsを入力したときには、制御信号Sc1を出力して信号切替部3の切替状態を制御することにより、信号切替部3に対して第2測定信号S2として測定対象信号SiをA/D変換部6に出力させると共に、制御信号Sc3を出力して信号処理部7に対する選択制御を実行することにより、信号処理部7に対して直流平均値Dm3を算出する直流平均値算出処理70(
図5参照)を開始させる。
【0050】
この直流平均値算出処理70では、信号処理部7は、まず、データ切出し処理を実行して、実効値算出処理50のときと同様にして区分データを生成する(ステップ71)。次いで、信号処理部7は、判別部5から出力されている制御信号Sc2のレベルを検出して、Lowレベルであるか否かを判別し(ステップ72)、Lowレベルのときには、区分データに含まれる各波形データDwに対して窓関数を適用することによって窓掛け処理を実行し、処理後のデータを出力データ(窓掛け処理後データ)として生成する(ステップ73)。なお、ステップ72での判別の結果、制御信号Sc2のレベルがHighレベルのときには、窓掛け処理を実行することなく、区分データをそのまま出力データ(窓掛け処理前データ)として生成する。
【0051】
次いで、信号処理部7は、出力データに対する平均処理を実行することにより、出力データの移動平均を算出して、平均データとして生成する(ステップ74)。続いて、信号処理部7は、ステップ72の窓掛け処理を実行したか否かを判別し(ステップ75)、窓掛け処理を実行しているときには、平均データに対して窓掛け処理時の減衰分を補正する補正処理を実行して、測定対象信号Siの直流平均値Dm3を生成する(ステップ76)。一方、窓掛け処理を実行していないときには、補正処理を実行することなく、平均データを測定対象信号Siの直流平均値Dm3として生成する。これにより、直流平均値算出処理70が完了する。信号処理部7は、この直流平均値算出処理70の完了後に、生成した直流平均値Dm3を制御部9に出力する。
【0052】
制御部9は、信号処理部7から入力した直流平均値Dm3を表示部10に表示させる。これにより、測定装置1による直流平均値Dm3の測定が完了する。なお、測定装置1では、算出する測定値Dmとして直流平均値Dm3が選択されている状態において、信号処理部7はこの直流平均値算出処理70を繰り返し実行して直流平均値Dm3を制御部9に出力するため、制御部9は、信号処理部7から新たな直流平均値Dm3を入力する都度、表示部10に表示させる。したがって、表示部10には最新の直流平均値Dm3が表示される。
【0053】
このように、この測定装置1および測定方法では、測定値Dm(実効値Dm1、交流平均値Dm2および直流平均値Dm3)の算出に際して、信号処理部7が、波形データDwを区分けする際に適用した一定区間内に測定対象信号Siの基本波が基準数以上含まれているか否かに基づいて、含まれていないときには、区分データまたは算出データに対する窓掛け処理の実行を実行しないで、窓掛け処理の実行されていない区分データに基づいて測定対象信号Siについての測定値Dmを算出する。したがって、この測定装置1および測定方法によれば、一定区間に含まれる測定対象信号Siについての基本波が基準数に達していない状態(基準数未満の状態)で窓掛け処理を実行することに起因して発生する誤差の増大を回避できるため、このような状態においても、測定対象信号Siの測定値Dmを精度よく測定することができる。
【0054】
また、この測定装置1によれば、信号処理部7とは別に、検出部4および判別部5を設け、検出部4が測定対象信号Siの周波数(または周期)を検出し、判別部5がこの周波数(または周期)と一定区間の区間長とに基づいて一定区間内に測定対象信号Siの基本波が基準数以上含まれているか否かを判別して、この判別結果を信号処理部7に出力する構成(本例では、判別結果を制御信号Sc2のレベルに表して出力する構成)を採用したことにより、信号処理部7の処理、つまり、信号処理部7を構成するDSPの処理を軽減することができる結果、安価なDSPを使用して装置コストを低減することができる。
【0055】
なお、測定装置1において、信号処理部7が測定値Dmとして実効値Dm1を算出する構成は、上記の構成、つまり、窓掛け処理の前に二乗処理を行う構成に限定されない。例えば、
図6に示すように、窓掛け処理の後に二乗処理を行う構成の実効値算出処理50Aを行う構成とすることもできる。この実効値算出処理50Aについては、既に説明した実効値算出処理50と上記した点で相違するだけであるため、同一の処理については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0056】
また、上記の実効値算出処理50,50A、交流平均値算出処理60、および直流平均値算出処理70では、いずれのデータに対してもノイズ除去のためのフィルタリング処理を実行していないが、必要に応じて任意のデータに対するフィルタリング処理を実行する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 測定装置
4 検出部
5 判別部
7 信号処理部
Dm 測定値
Dm1 実効値
Dm2 交流平均値
Dm3 直流平均値
Dw 波形データ
Si 測定対象信号