(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693314
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】シールド工法の曲線部におけるセグメント設置方法、及びセグメント
(51)【国際特許分類】
E21D 11/00 20060101AFI20150312BHJP
E21D 11/04 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
E21D11/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-65199(P2011-65199)
(22)【出願日】2011年3月24日
(65)【公開番号】特開2012-202041(P2012-202041A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2013年12月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】大江 郁夫
【審査官】
▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−030900(JP,A)
【文献】
実開昭63−091595(JP,U)
【文献】
特公昭43−015496(JP,B1)
【文献】
特開昭60−126499(JP,A)
【文献】
実開昭56−033397(JP,U)
【文献】
特開2006−299723(JP,A)
【文献】
米国特許第04363565(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/00 − 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド工法の曲線部において、
セグメントの外周側に当接部材を突出させて、地山に前記当接部材を当接させた状態で前記セグメントを前記曲線部に設置する方法であって、
前記セグメントに穴を開けて、その内周側にナットと鋼管を固定し、その際、前記鋼管が前記ナットを囲むように固定し、
前記セグメントの内周側から前記ナットに可動部材をねじ込んで、前記穴から前記セグメントの外周側に前記可動部材を突出させて、
前記可動部材の突出端に設けられた前記当接部材を前記地山に当接させた後、
前記鋼管の内側に予め施されたねじ切りに止水のための蓋をねじ込んで固定することを特徴とするシールド工法の曲線部におけるセグメント設置方法。
【請求項2】
セグメントの外周側に突出可能で地山に当接可能な当接部材を備えるセグメントであって、
前記セグメントに穴を開けて、その内周側に固定したナットと鋼管を備えるとともに、
前記セグメントの内周側から前記ナットにねじ込まれて、前記穴から前記セグメントの外周側に突出可能な可動部材を備え、
前記鋼管が前記ナットを囲むように固定されているとともに、
前記可動部材の突出端に、前記当接部材が設けられていて、
前記鋼管の内側に予め施されたねじ切りにねじ込んで固定される止水のための蓋を備えることを特徴とするセグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法の曲線部におけるセグメントの設置方法と、それに用いるセグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法では、直線だけでなく曲線施工も行う。
そして、曲線施工では、コピーカッター等で余掘りを行うため、裏込め材がシールド機全面に回り込まないように袋付きセグメントを用いることがある(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3046590号公報
【特許文献2】特開2006−299723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2のような袋付きセグメントは、例えば
図4に示すように、計画余掘り量に余裕高を加えた大きめのサイズで作成することから、施工中に袋Bに裏込め材を注入すると、袋Bが膨張して地山を押すことで、矢印で示されるように、セグメントSが移動しやすく、線形確保、シールド機のテールブラシの保護等の観点から問題が生じることがある。
【0005】
本発明の課題は、シールド工法の曲線部において、セグメントを確実に設置することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
シールド工法の曲線部において、
セグメントの外周側に当接部材を突出させて、地山に前記当接部材を当接させた状態で前記セグメントを前記曲線部に設置する方法であって、
前記セグメントに穴を開けて、その内周側にナット
と鋼管を固定し、
その際、前記鋼管が前記ナットを囲むように固定し、
前記セグメントの内周側から前記ナットに可動部材をねじ込んで、前記穴から前記セグメントの外周側に前記可動部材を突出させて、
前記可動部材の突出端に設けられた前記当接部材を前記地山に当接させた後、
前記鋼管の内側に予め施されたねじ切りに
止水のための蓋をねじ込んで固定することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
セグメントの外周側に突出可能で地山に当接可能な当接部材を備えるセグメントであって、
前記セグメントに穴を開けて、その内周側に固定したナット
と鋼管を備えるとともに、
前記セグメントの内周側から前記ナットにねじ込まれて、前記穴から前記セグメントの外周側に突出可能な可動部材を備え、
前記鋼管が前記ナットを囲むように固定されているとともに、
前記可動部材の突出端に、前記当接部材が設けられていて、
前記鋼管の内側に予め施されたねじ切りにねじ込んで固定される
止水のための蓋を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シールド工法の曲線部において、セグメントを確実に設置することができる。
その後、ナット外周側の鋼管の内側に予め施されたねじ切りに蓋をねじ込んで固定すれば、セグメントの止水性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用したセグメントの一実施形態の構成を示すもので、当接部材及び可動部材の組み付け部分を示した断面図である。
【
図2】
図1の部分に可動部材及び当接部材を組み付けた状態の図である。
【
図3】
図2の状態から可動部材及び当接部材を突出させて地山に当接させた状態の図である。
【
図4】従来の袋付きセグメントによるセグメントの移動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1及び
図2は本発明を適用したセグメントの一実施形態の構成として可動部材4及び当接部材5の組み付け部分を示したもので、1はスキンプレート、2は鋼管、3はナットである。
【0013】
図示のように、鋼製セグメントのスキンプレート1に穴を開けて、その内周側に鋼管2とナット3を溶接する。
そして、鋼製セグメントの内周側からスキンプレート1のナット3に、可動部材としての長ボルト4をねじ込んで、スキンプレート1の穴から外周側に突出する長ボルト4の先端に、当接部材としての鉄板5を溶接する。
【0014】
図3は長ボルト4及び鉄板5を突出させて地山Gに当接させた状態を示したもので、6は蓋である。
【0015】
すなわち、シールド工法の曲線部において、セグメント設置後、図示のように、長ボルト4をナット3に対しねじ込んで、そのボルト先端の鉄板5を地山Gに当接させる。これにより鋼製セグメントの移動がなくなる。
【0016】
その後、鋼管2の内側に予め施されたねじ切りに蓋6をねじ込んで固定すれば、セグメントの止水性を確保できる。
【0017】
以上、実施形態の鋼製セグメント及びその設置方法によれば、鋼製セグメントの内周側から外周側に突出可能な長ボルト4及びその先端の鉄板5を備えたことで、シールド工法の曲線部において、セグメントを確実に設置することができる。
【0018】
(変形例)
以上の実施形態においては、鋼製セグメントとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンクリートセグメントであってもよい。
また、実施形態では、ボルトによる可動部材、鉄板による当接部材としたが、可動部材及び当接部材の形状や材質等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0019】
1 スキンプレート
2 鋼管
3 ナット
4 可動部材
5 当接部材
6 蓋