(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1補強金具及び第2補強金具は基板上の固定用パッドに電気的に接続され、前記基板には検出用パッドが形成され、該検出用パッドが前記検出回路の両端となる請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板対基板コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における第1コネクタの嵌合面側から観た斜視図、
図2は本発明の実施の形態における第1コネクタの実装面側から観た斜視図、
図3は本発明の実施の形態における第1補強金具を示す斜視図、
図4は本発明の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合した状態を示す斜視図であり第1コネクタの嵌合面側から観た図である。
【0023】
図において、1は本実施の形態における一対の基板対基板コネクタの一方としての第1コネクタであり、後述される第1基板91の表面に実装される表面実装型のコネクタである。また、101は本実施の形態における一対の基板対基板コネクタの他方としての第2コネクタであり、後述される第2基板191の表面に実装される表面実装型のコネクタである。本実施の形態における基板対基板コネクタは、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101を含み、第1基板91及び第2基板191を電気的に接続する。なお、前記第1基板91及び第2基板191は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0024】
また、本実施の形態において、基板対基板コネクタの各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記基板対基板コネクタの各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0025】
そして、前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面側(
図1における上側)には、周囲が囲まれた概略長方形の凹部12が形成されている。前記第1コネクタ1は、例えば、縦約10.0〔mm〕、横約2.5〔mm〕及び厚さ約1.0〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、前記凹部12内には島部としての第1凸部13が第1ハウジング11と一体的に形成され、また、前記第1凸部13の両側には該第1凸部13と並行に延在する側壁部14が第1ハウジング11と一体的に形成されている。この場合、前記第1凸部13及び側壁部14は、凹部12の底面から上方に向けて突出し、第1ハウジング11の長手方向に延在する。これにより、前記第1凸部13の両側、具体的には、第1凸部13と側壁部14との間に、凹部12の一部として、第1ハウジング11の長手方向に延在する細長い凹部である凹溝部12aが形成される。なお、図に示される例において、前記第1凸部13は単数であるが、複数であってもよく、その数はいくつであってもよい。また、前記第1凸部13は、例えば、幅約0.6〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0026】
ここで、前記第1凸部13の両側の側面には凹溝状の第1端子収容内側キャビティ15aが形成されている。また、前記側壁部14の内側の側面には凹溝状の第1端子収容外側キャビティ15bが形成されている。そして、前記第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとは、凹溝部12aの底面において連結され互いに一体化しているので、第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとを統合的に説明する場合には、第1端子収容キャビティ15として説明する。
【0027】
該第1端子収容キャビティ15は、第1凸部13の両側に、例えば、約0.4〔mm〕のピッチで6個ずつ形成されている。そして、第1端子収容キャビティ15の各々に収容される第1端子61も、第1凸部13の両側に、例えば、約0.4〔mm〕のピッチで6個ずつ配設されている。なお、前記第1端子収容キャビティ15のピッチ及び数は適宜変更することができる。
【0028】
前記第1端子61は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部63と、該被保持部63の下端に接続されたテール部62と、前記被保持部63の上端に接続された上側接続部67と、該上側接続部67の内方端近傍に形成された第2接触凸部としての第2接触部66と、該第2接触部66に接続された下側接続部64と、該下側接続部64の自由端近傍に形成された第1接触凸部としての第1接触部65とを備える。
【0029】
そして、前記被保持部63は、上下方向、すなわち、第1ハウジング11の厚さ方向に延在し、前記第1端子収容外側キャビティ15bに嵌入されて保持される部分である。また、前記テール部62は、被保持部63に対して曲げて接続され、左右方向、すなわち、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて延出し、第1基板91上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続される。さらに、前記上側接続部67は、被保持部63に対して曲げて接続され、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて延出する。
【0030】
前記上側接続部67の内方端には、下方に向けて曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて突出する湾曲した第2接触部66が形成されている。また、前記下側接続部64は、前記第2接触部66の下端に接続されたU字状の側面形状を備える部分である。前記下側接続部64の自由端、すなわち、前記内方の上端近傍には、U字状に曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて突出する湾曲した第1接触部65が形成されている。
【0031】
前記第1端子61は、実装面側(
図2における上側)から、第1端子収容キャビティ15内に嵌入され、被保持部63が側壁部14の内側の側面に形成された第1端子収容外側キャビティ15bの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。この状態、すなわち、第1端子61が第1ハウジング11に装填(てん)された状態において、前記第1接触部65と第2接触部66とは、凹溝部12aの左右両側に位置し、互いに向合っている。
【0032】
なお、第1端子61は、金属板に加工を施すことによって一体的に形成された部材であるので、ある程度の弾性を備える。そして、その形状から明らかなように、互いに向合う第1接触部65と第2接触部66との間隔は、弾性的に変化可能である。すなわち、第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入されると、それにより、第1接触部65と第2接触部66との間隔は弾性的に伸長する。
【0033】
また、前記第1ハウジング11の長手方向両端には第1嵌合ガイド部としての第1突出端部21が各々配設されている。各第1突出端部21には、前記凹部12の一部として突出端凹部22が形成されている。該突出端凹部22は、略長方形の凹部であり、各凹溝部12aの長手方向両端に接続されている。そして、前記突出端凹部22は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101が備える後述される第2突出端部122が挿入される挿入凹部として機能する。
【0034】
さらに、前記第1突出端部21は、側壁部14の長手方向両端から第1ハウジング11の長手方向に延出する側壁延長部21bと、第1ハウジング11の短手方向に延在し、両端が側壁延長部21bに接続された端壁部21cとを備える。各第1突出端部21において、端壁部21cとその両端に接続された側壁延長部21bとは、連続したコ字状の側壁を形成し、略長方形の突出端凹部22の三方を画定する。
【0035】
そして、前記第1突出端部21には、補強金具としての第1補強金具51が取付けられる。具体的には、各々の突出端凹部22内に第1補強金具51が2つずつ配設され、突出端凹部22に形成された第1金具保持凹部26内に収容されて保持される。なお、前記第1補強金具51は、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を電気的に検出するためのスイッチのスイッチング部材として機能する第1スイッチ用金具51bと第1非スイッチ用金具51aとを含んでいる。そして、前記側壁延長部21bには、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する第1非スイッチ用金具保持スリット部26aが形成され、前記端壁部21cには、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する第1スイッチ用金具保持スリット部26bが形成されている。なお、該第1金具保持凹部26は、突出端凹部22における第1ハウジング11の幅方向中央に形成されたストッパとしての第1金具位置規制部27によって、左右(第1ハウジング11の幅方向)に2分割されている。
【0036】
本実施の形態において、第1補強金具51は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された概略L字状の形状の部材であり、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する被保持部57と、該被保持部57の左右両端に曲げて接続され、第1ハウジング11の実装面に沿った方向に延在する本体部としての第1基板接続部56と、該第1基板接続部56に接続され、第1ハウジング11の実装面に沿った方向に延出する弾性接触片としての第1接触片58とを有する。なお、第1補強金具51の各部を第1非スイッチ用金具51aと第1スイッチ用金具51bとに識別して説明する場合には、各部の符号の最後にaとbとを付与して識別する。
【0037】
前記第1補強金具51は、被保持部57a、bが、実装面側から、第1非スイッチ用金具保持スリット部26a及び第1スイッチ用金具保持スリット部26b内に嵌入され、前記第1非スイッチ用金具保持スリット部26a及び第1スイッチ用金具保持スリット部26bの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。
【0038】
そして、前記第1基板接続部56a、bは、第1補強金具51のはんだテール部として機能し、その下面が第1ハウジング11の実装面(
図2における上面)とほぼ平行となるように形成され、第1基板91上の後述される第1固定用パッド93にはんだ付等によって固定される。
【0039】
また、前記第1接触片58は、実装面とほぼ平行となるように第1金具保持凹部26内に収容される。なお、前記第1基板接続部56a、bと第1接触片58a、bとの接続部分には段差が形成され、第1接触片58a、bは、第1基板接続部56a、bと平行ではあるが、第1基板接続部56a、bよりも嵌合面寄りに位置し、その下面から第1基板91までの距離は、第1基板接続部56a、bの下面から第1基板91までの距離よりも大きくなるように設定されている。
【0040】
図3には、第1ハウジング11に固定された状態の第1非スイッチ用金具51a及び第1スイッチ用金具51bの姿勢が、それぞれ、示されている。
図3は、
図1から第1ハウジング11及び第1端子61を消去したものである、とも言える。
【0041】
第1非スイッチ用金具51aは、第1接触片58aが第1ハウジング11の幅方向中央に向けて延出するような姿勢となっている。そして、前記第1接触片58aの先端、すなわち、自由端の上方向、すなわち、嵌合面方向への変位は、第1金具位置規制部27によって制限される。
【0042】
一方、第1スイッチ用金具51bは、第1接触片58bが第1ハウジングの長手方向中央に向けて延出するような姿勢となっている。つまり、第1スイッチ用金具51bの第1接触片58bの延在方向は、第1非スイッチ用金具51aの第1接触片58aの延在方向と直交する。また、第1接触片58bの先端には、その延在方向に対して直交せずに傾斜する傾斜部59が形成されている。すなわち、第1接触片58bの先端は、その延在方向に対して直交せずに傾斜するように切断されている。そして、前記傾斜部59は、スイッチング部材として機能する第1スイッチ用金具51bの接触部として機能し、第2コネクタ101の後述される第2補強金具151と接触する。
【0043】
次に、前記第2コネクタ101の構成について説明する。
【0044】
図5は本発明の実施の形態における第2コネクタの嵌合面側から観た斜視図、
図6は本発明の実施の形態における第2コネクタの実装面側から観た斜視図、
図7は本発明の実施の形態における第2補強金具を示す斜視図である。
【0045】
第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としての第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、例えば、縦約8.0〔mm〕、横約1.5〔mm〕及び厚さ約0.8〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、第2ハウジング111の第1コネクタ1に嵌入される側、すなわち、嵌合面側(
図5における上側)には、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凹溝部113と、該凹溝部113の外側を画定するとともに、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凸部としての第2凸部112とが一体的に形成されている。該第2凸部112は、凹溝部113の両側に沿って、かつ、第2ハウジング111の両側に沿って形成されている。また、各第2凸部112には、端子としての第2端子161が配設されている。
【0046】
図に示されるように、凹溝部113は、第2基板191に実装される側、すなわち、実装面(
図6における上面)側が底部によって閉止されている。なお、図に示される例において、前記第2凸部112は2本であるが、単数であってもよく、その数はいくつであってもよい。また、前記凹溝部113は、例えば、幅約0.7〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0047】
前記第2端子161は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、図示されない本体部と、該本体部の下端に接続されたテール部162と、前記本体部の上端に接続された第1接触部165と、該第1接触部165の上端に接続された接続部164と、該接続部164の外方端に接続された第2接触部166とを備える。なお、該第2接触部166の表面には、第1端子61の第2接触部66と係合する第2接触凹部166aが形成されている。
【0048】
そして、前記本体部は、第2ハウジング111に周囲を囲まれて保持される部分であり、
図5及び6には示されていない部分である。また、前記テール部162は、本体部の左右方向、すなわち、第2ハウジング111の幅方向に延在する下端に接続され、第2ハウジング111の外方を向いて延出し、第2基板191上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続される。
【0049】
さらに、前記第1接触部165は、本体部に接続され、上下方向、すなわち、第2ハウジング111の厚さ方向に延在する平板状の部分である。そして、前記接続部164は、第1接触部165に対して曲げて接続され、第2ハウジング111の幅方向に外方を向いて延出する。また、前記第2接触部166は、接続部164の外方端に、下方に向けて曲げられて接続され、下方に延出する部分である。
【0050】
前記第2端子161はオーバーモールドによって第2ハウジング111と一体化される。すなわち、該第2ハウジング111は、第2端子161をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に樹脂を充填することによって成形される。これにより、第2端子161は、本体部が第2ハウジング111内に埋没し、第1接触部165、接続部164及び第2接触部166の表面が第2凸部112の各側面及び嵌合面に露出した状態で、第2ハウジング111に一体的に取付けられる。この場合、前記第2端子161は、例えば、約0.4〔mm〕のピッチで左右に6個ずつ配設されている。なお、第2端子161のピッチ及び数は適宜変更することができる。
【0051】
そして、前記第2ハウジング111の長手方向両端には第2嵌合ガイド部としての第2突出端部122が各々配設されている。該第2突出端部122は、第2ハウジング111の幅方向に延在し、両端が各第2凸部112の長手方向両端に接続された肉厚の部材であり、その上面は概略長方形の形状を備える。そして、前記第2突出端部122は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、前記第1コネクタ1が備える第1突出端部21の突出端凹部22に挿入される挿入凸部として機能する。
【0052】
また、前記第2突出端部122の嵌合面側の面、すなわち、上面には、規制部収容凹溝部127が形成されている。該規制部収容凹溝部127は、第2ハウジング111の長手方向に延在する溝状の凹入部であって、第2突出端部122が第1コネクタ1の突出端凹部22に挿入された際に、第1金具位置規制部27が進入する。
【0053】
さらに、前記第2突出端部122には、補強金具としての第2補強金具151が取付けられる。該第2補強金具151は、第2突出端部122に形成された第2金具保持凹部126内に収容されて保持される。なお、第2突出端部122の上面における第2金具保持凹部126のスロット状の開口は、第2ハウジング111の幅方向に延在し、前記規制部収容凹溝部127を横断する。
【0054】
本実施の形態において、第2補強金具151は、導電性の金属板に打抜き等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、全体として第2ハウジング111の幅方向に延在する細長い帯状の第2本体部152と、該第2本体部152の左右両端に接続され、実装面の方向に延出する第2基板接続部156と、前記第2本体部152の上端から更に突出するように延出する固定接触片158とを備える。なお、該固定接触片158は、非スイッチ用接触片158a及びスイッチ用接触片158bを含んでいる。
【0055】
そして、第2補強金具151は、嵌合面側から前記第2金具保持凹部126内に嵌入され、該第2金具保持凹部126の側壁によって両側から挟持されることにより、第2ハウジング111に固定される。この際、第2本体部152の実装面側の縁面である補強金具側基準面152aが、前記第2金具保持凹部126内に配設されている後述されるハウジング側基準面126aと当接することによって、第2補強金具151の位置決めがなされる。位置決めされた状態では、非スイッチ用接触片158a及びスイッチ用接触片158bが第2突出端部122の上面から突出する。なお、第2本体部152の嵌合面側の縁面における非スイッチ用接触片158aとスイッチ用接触片158bとの間の部分である規制部収容凹部157は、規制部収容凹溝部127よりも突出しない。
【0056】
図7には、第2ハウジング111に固定された状態の第2補強金具151の姿勢が、それぞれ、示されている。
図7は、
図5から第2ハウジング111及び第2端子161を消去したものである、とも言える。
【0057】
スイッチ用接触片158bの上端部は、非スイッチ用接触片158aの上端部よりも幅広であり、第2ハウジング111の幅方向に延在する直線部159となっている。そして、該直線部159は、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を電気的に検出するためのスイッチのスイッチング部材として機能する第2補強金具151の接触部として機能し、前記第1コネクタ1の第1スイッチ用金具51bと接触する。したがって、直線部159は、相手方コネクタとしての第1コネクタ1における第1スイッチ用金具51bの傾斜部59が位置する範囲に対応する位置に形成されている。
【0058】
また、非スイッチ用接触片158aの上端部も、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態において、第1非スイッチ用金具51aの第1接触片58aの上面と当接する。したがって、非スイッチ用接触片158aは、前記第1コネクタ1における第1非スイッチ用金具51aの第1接触片58aの自由端近傍が位置する範囲に対応する位置に形成されている。
【0059】
さらに、前記第2基板接続部156は、第2補強金具151のはんだテール部として機能し、その下面が第2ハウジング111の実装面とほぼ平行となるように形成され、第2基板191上の後述される第2固定用パッド193にはんだ付等によって固定される。
【0060】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合する動作について説明する。
【0061】
図8は本発明の実施の形態における基板対基板コネクタと基板との関係を示す斜視図、
図9は本発明の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1端子及び第2端子の関係を示す断面図であり、
図4におけるA−A矢視断面図、
図10は本発明の実施の形態における基板対基板コネクタの嵌合が完了した状態での第1補強金具及び第2補強金具の関係を示す断面図であり、
図4におけるB−B矢視断面図である。
【0062】
本実施の形態において、第1基板91上には、
図8に示されるように、固定用パッドとしての第1固定用パッド93−1〜93−4、並びに、検出用パッド94−1及び94−2が配設されている。なお、第1固定用パッド93−1〜93−4、並びに、検出用パッド94−1及び94−2を統合的に説明する場合には、それぞれ、第1固定用パッド93及び検出用パッド94として説明する。また、
図8においては、説明の都合上、第1端子61のテール部62が接続される端子接続パッドの図示が省略されている。
【0063】
前記第1固定用パッド93は、第1補強金具51の第1基板接続部56が固定されるパッドであり、導電性の金属等から成り、各第1補強金具51の第1基板接続部56に対応する位置に配設されている。また、前記検出用パッド94は、例えば、テスター等の検査機器の一対の端子が各々接続されるパッドであり、導電性の金属等から成り、第1コネクタ1が実装される位置の近傍に配設されている。
【0064】
そして、検出用パッド94−1は、第1検出用導電トレース95−1を介して、一方の第1スイッチ用金具51bの第1基板接続部56bが固定されて接続される第1固定用パッド93−1と導通され、検出用パッド94−2は、第1検出用導電トレース95−2を介して、他方の第1スイッチ用金具51bの第1基板接続部56bが固定されて接続される第1固定用パッド93−4と導通されている。なお、第1検出用導電トレース95−1及び95−2を統合的に説明する場合には、第1検出用導電トレース95として説明する。換言すると、前記検出用パッド94は、第1検出用導電トレース95を介して、対角線上に位置し、第1スイッチ用金具51bの第1基板接続部56bが固定される一対の第1固定用パッド93の各々と導通されている。
【0065】
また、第2基板191上には、
図8に示されるように、固定用パッドとしての第2固定用パッド193−1〜193−4が配設されている。なお、該第2固定用パッド193−1〜193−4を統合的に説明する場合には、第2固定用パッド193として説明する。また、
図8においては、第2固定用パッド193が実線で描かれているのに対し、第2基板191自体は仮想的に描かれている。これは、第2固定用パッド193は、第2基板191の図における下側の面に配設されているので、本来であると、第2基板191の陰に隠れて視認することができないためである。さらに、
図8においては、説明の都合上、第2端子161のテール部162が接続される端子接続パッドの図示が省略されている。
【0066】
前記第2固定用パッド193は、第2補強金具151の第2基板接続部156が固定されるパッドであり、導電性の金属等から成り、各第2補強金具151の第2基板接続部156に対応する位置に配設されている。そして、第2固定用パッド193−1と第2固定用パッド193−4とは、第2検出用導電トレース195を介して、互いに導通されている。換言すると、対角線上に位置する一対の第2固定用パッド193の各々は、第2検出用導電トレース195を介して、互いに導通されている。互いに導通された第2固定用パッド193は、第1基板91上において検出用パッド94に導通されている第1固定用パッド93にほぼ対向する位置にある。
【0067】
そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる際には、第1コネクタ1は、第1端子61のテール部62が第1基板91上の端子接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第1補強金具51の第1基板接続部56が第1基板91上の第1固定用パッド93にはんだ付等によって接続されることにより、あらかじめ第1基板91に表面実装されているものとする。また、第2コネクタ101は、第2端子161のテール部162が第2基板191上の端子接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第2補強金具151の第2基板接続部156が第2基板191上の第2固定用パッド193にはんだ付等によって接続されることにより、あらかじめ第2基板191に表面実装されているものとする。
【0068】
なお、
図9及び10において、第1基板91及び第2基板191は、説明の都合上、図示が省略されている。
【0069】
オペレータは、第1コネクタ1の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面とを対向させた状態として、第1コネクタ1と第2コネクタ101との位置合せを行い、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向に移動させる。
【0070】
これにより、第2コネクタ101の左右の第2凸部112が第1コネクタ1の左右の凹溝部12a内に挿入される。そして、各第1端子61の第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入され、第1端子61の第1接触部65が第2端子161の第1接触部165の表面に当接し、第1端子61の第2接触部66が第2端子161の第2接触部166の表面に当接する。これにより、第1端子61における第1接触部65と第2接触部66との間隔は、第2端子161によって押広げられ、弾性的に伸長する。
【0071】
続いて、オペレータが第1コネクタ1に対して第2コネクタ101を相対的に嵌合方向に更に移動させ、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了して完全嵌合となると、
図9に示されるように、第1端子61の第1接触部65が第2端子161と接触し、第1端子61の第2接触部66が第2端子161の第2接触凹部166aと係合した状態となる。
【0072】
その結果、第1端子61のテール部62が接続された第1基板91上の端子接続パッドに接続された導電トレースと、第2端子161のテール部162が接続された第2基板191上の端子接続パッドに接続された導電トレースとが導通する。
【0073】
また、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、すなわち、完全嵌合となると、
図10に示されるように、第2コネクタ101の第2補強金具151のスイッチ用接触片158bの上端(
図10における下端)に、第1コネクタ1の第1スイッチ用金具51bの第1接触片58bの先端が当接して導通する。すなわち、直線部159に傾斜部59が当接して導通する。その結果、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合完了を検出するための検出回路がクローズされ、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが完全嵌合となったことが電気的に検出される。つまり、第1スイッチ用金具51bと第2補強金具151とが完全嵌合検出用のスイッチのスイッチング部材として機能し、第1接触片58bとスイッチ用接触片158bとが接触する。
【0074】
なお、前記検出回路を
図8に示される例に沿って説明すると、検出用パッド94−1:第1検出用導電トレース95−1:第1固定用パッド93−1:左上方の第1スイッチ用金具51b:上方の第2補強金具151:第2固定用パッド193−1:第2検出用導電トレース195:第2固定用パッド193−4:下方の第2補強金具151:右下方の第1スイッチ用金具51b:第1固定用パッド93−4:第1検出用導電トレース95−2:検出用パッド94−2、ということになる。したがって、例えば、テスターのように回路の導通状態を検出可能な検査機器の一対の端子を検出用パッド94−1と検出用パッド94−2とに接続させれば、検出回路がクローズされて導通状態となっていることを検出することができ、これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を電気的に検出することができる。
【0075】
また、第2本体部152の補強金具側基準面152aは、第2金具保持凹部126内のハウジング側基準面126aと当接している。典型的には、前記補強金具側基準面152a及びハウジング側基準面126aは、他の部材よりも高い精度で作成されている。そのため、前記補強金具側基準面152aがハウジング側基準面126aと当接することによって、第2ハウジング111に対する位置及び姿勢が正確に保たれる。したがって、スイッチ用接触片158bの第2ハウジング111に対する位置、すなわち、第2コネクタ101における位置も正確なものとなる。したがって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を正確に検出することができる。
【0076】
ところで、
図10に示されるように、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、第2コネクタ101の第2補強金具151の非スイッチ用接触片158aの上端(
図10における下端)にも、第1コネクタ1の第1非スイッチ用金具51aの第1接触片58aの先端が当接する。前記非スイッチ用接触片158a及び第1接触片58aは、完全嵌合検出用のスイッチのスイッチング部材として機能しないので、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合の電気的検出という観点からすると、いずれか一方、又は、両方とも省略することができる。
【0077】
しかし、第1スイッチ用金具51bの第1接触片58bは、弾性を備え、カンチレバー状のばね部材としても機能し、第2補強金具151のスイッチ用接触片158bに対して、
図10における上向きの付勢力を付与する。したがって、第2補強金具151及び第2コネクタ101が、
図10における左右において、下から受ける力のバランスを考慮すると、前記非スイッチ用接触片158a及び第1接触片58aを省略せず、カンチレバー状のばね部材として機能する第1接触片58aからの付勢力を非スイッチ用接触片158aが受けるようにしておくことが望ましい。
【0078】
次に、前記第1接触片58bとスイッチ用接触片158bとが接触する際の動作について詳細に説明する。
【0079】
図11は本発明の実施の形態における第1接触片とスイッチ用接触片とが接触している状態を示す斜視図、
図12は本発明の実施の形態における第1接触片の傾斜部とスイッチ用接触片の直線部との位置関係の変化を示す斜視図、
図13は本発明の実施の形態における第1接触片の傾斜部とスイッチ用接触片の直線部との位置関係の変化を示す平面図である。なお、
図12及び13において、(a)は第1接触片とスイッチ用接触片とが接触を開始した状態を示す図、(b)は第1接触片が弾性的に変形した状態を示す図である。
【0080】
第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合し、該第2コネクタ101の第2補強金具151のスイッチ用接触片158bの直線部159に、第1コネクタ1の第1スイッチ用金具51bの第1接触片58bの傾斜部59が当接する際、第2補強金具151と第1スイッチ用金具51bとの位置関係は、
図11、12(a)及び13(a)に示されるようになる。前述のように、直線部159は第2ハウジング111の幅方向に延在し、傾斜部59は、第1ハウジングの長手方向に延在する第1接触片58bの延在方向に対して直交せずに傾斜している。そのため、直線部159と傾斜部59とが当接した状態で、傾斜部59の延在方向は、
図11、12(a)及び13(a)に示されるように、直線部159の延在方向に対して傾斜している。
【0081】
そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合する際には、
図11、12(a)及び13(a)に示されるような、第2補強金具151のスイッチ用接触片158bの直線部159に第1スイッチ用金具51bの第1接触片58bの傾斜部59が当接した状態から、第1コネクタ1に対して第2コネクタ101が相対的に嵌合方向に更に移動させられて、完全嵌合、すなわち、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態となる。これにより、第2補強金具151と第1スイッチ用金具51bとの位置関係は、
図12(b)及び13(b)に示されるようになる。
【0082】
具体的には、第2補強金具151のスイッチ用接触片158bから、
図12における下方に押下げる力を受けることによって、板状のカンチレバーのような形状を備える第1スイッチ用金具51bの第1接触片58bは、全体が弾性的に変形し、その先端に形成された傾斜部59が下方に弾性的に変位する。そして、第1接触片58bの傾斜部59の延在方向がスイッチ用接触片158bの直線部159の延在方向に対して傾斜しているので、傾斜部59と直線部159との接触点は、傾斜部59の下方への変位に伴って、傾斜部59の延在方向に変位する。
【0083】
図13(a)に示される状態と
図13(b)に示される状態とを比較することによって、直線部159と傾斜部59とが当接を開始してから、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了するまでの間に、傾斜部59と直線部159との接触点は、傾斜部59に沿ってある程度の距離だけ、第1接触片58bの先端に向けて移動していることが分かる。これにより、傾斜部59と直線部159とが相互に摺動し、いわゆるワイピングが行われたことが分かる。つまり、傾斜部59と直線部159との接触点の微小な下方への変位を、傾斜部59の延在方向への変位に増幅してワイピングを得ることができる。そのため、傾斜部59及び直線部159の表面が十分なワイピングによって確実に清浄化され、接触不良を確実に防止することができる。
【0084】
ところで、第1基板91及び第2基板191の面積は、通常、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の嵌合面の面積と比較してかなり広いので、オペレータは、第1コネクタ1の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面とを目視することができず、手探りで嵌合作業を行うこととなる。そのため、オペレータは、第1コネクタ1の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面との位置関係を把握することができず、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了したか否かも判断することができないので、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了してからも、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を嵌合方向に更に移動させようとすることがある。
【0085】
このような場合、第1接触片58は、
図12における下方、すなわち、嵌合方向に弾性的に変形することによって、第1コネクタ1に対する第2コネクタ101の更なる変位、具体的には、固定接触片158の更なる変位を吸収する。したがって、第2コネクタ101が第1コネクタ1に対して、完全嵌合の位置から更に嵌合方向に変位した場合であっても、第1接触片58と固定接触片158との接触が維持されるので、第1接触片58と固定接触片158との接触信頼性が向上する。また、傾斜部59と直線部159とが相互に摺動する範囲が広がり、傾斜部59及び直線部159の表面のより広い範囲がワイピングによって清浄化される。その結果、前記検出回路の信頼性が向上し、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合の検出精度が向上する。
【0086】
このように、本実施の形態において、基板対基板コネクタは、第1端子61と、長手方向両端に形成された第1突出端部21を有する第1ハウジング11とを備える第1コネクタ1と、第1端子61と接触する第2端子161と、長手方向両端に形成され、第1突出端部21と嵌合する第2突出端部122を有する第2ハウジング111とを備える第2コネクタ101とから成り、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を電気的に検出する検出回路を閉じるスイッチを有し、スイッチは、互いに当接可能なスイッチング部材を含み、一方のスイッチング部材の接触部は傾斜部59であり、傾斜部59の延在方向は、他方のスイッチング部材の接触部である直線部159の延在方向に対して傾斜している。
【0087】
これにより、オペレータの目視、手の感触、クリック音の聴取等、すなわち、オペレータの五感に依存することなく、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合を正確に確認することができる。また、傾斜部59及び直線部159の表面が十分なワイピングによって確実に清浄化され、接触不良を確実に防止することができる。したがって、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が小型化及び低背化されたものであって、オペレータの目視、手の感触、クリック音の聴取等によっては嵌合完了を確認しにくい場合でも、嵌合工程における不完全嵌合の発生を確実に防止することができ、信頼性の高い基板対基板コネクタを提供することが可能となる。
【0088】
また、第1コネクタ1は、第1突出端部21に配設された第1補強金具51を有し、第2コネクタ101は、第2突出端部122に配設された第2補強金具151を有し、一方のスイッチング部材は第1補強金具51であり、他方のスイッチング部材は第2補強金具151である。このように、本来的には第1コネクタ1及び第2コネクタ101の第1基板91及び第2基板191への実装強度を向上させる第1補強金具51及び第2補強金具151を完全嵌合を検出する検出回路の一部として利用する。したがって、完全嵌合を検出するための部材を別途第1コネクタ1又は第2コネクタ101に取付ける必要がないので、第1コネクタ1又は第2コネクタ101の大型化や、部品点数の増加を防止することができる。また、第1端子61又は第2端子161を検出回路に利用しないので、端子数又は極数が実質的に減少してしまうこともない。
【0089】
さらに、第1補強金具51は第1接触片58bを含み、第2補強金具151はスイッチ用接触片158bを含み、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合方向に相対的に移動すると、第1接触片58bの先端の傾斜部59は、スイッチ用接触片158bの先端の直線部159との接触を維持しつつ弾性的に変位する。このように、第1接触片58bが嵌合方向に弾性的に変形することによって、第1コネクタ1に対する第2コネクタ101の嵌合方向への変位を吸収するので、検出回路の信頼性が向上し、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合の検出精度が向上する。
【0090】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。