特許第5693354号(P5693354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693354
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】衣類投入機
(51)【国際特許分類】
   D06F 89/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   D06F89/00
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-99230(P2011-99230)
(22)【出願日】2011年4月27日
(65)【公開番号】特開2012-125540(P2012-125540A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2014年2月4日
(31)【優先権主張番号】特願2010-260375(P2010-260375)
(32)【優先日】2010年11月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100089222
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 康伸
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(72)【発明者】
【氏名】矢野 誠
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−087321(JP,A)
【文献】 実開平01−175797(JP,U)
【文献】 特開2008−006097(JP,A)
【文献】 特開2002−011298(JP,A)
【文献】 特開平02−080100(JP,A)
【文献】 特開2006−149491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯した後の半乾燥状態の衣類を後工程装置に投入するための投入装置であって、
前記後工程装置に衣類を預け渡すコンベヤ機構と、
前記コンベヤ機構に受け渡す衣類を、両袖を広げた状態で吸引保持する背面吸引ボックスと、
前記背面吸引ボックスで吸引保持される袖を撫でつける撫で付け機構とを備えており、
前記撫で付け機構は、袖に柔らかく接触して撫で付ける撫で付け部材と、該撫で付け部材を袖の付け根にあたる基部側から先端部側に向けて移動させる移動機構と、
前記撫で付け部材の移動と同期して、前記背面吸引ボックスの吸引領域を移動させる吸引同期機構を備えている
ことを特徴とする衣類投入機
【請求項2】
記吸引同期機構は、
衣類の左右の両袖を吸引できる幅を有し、幅方向中央で吸引ダクトに連結された背面吸引ボックスと、
前記背面吸引ボックス内に配置された仕切り板と、
該仕切り板を前記背面吸引ボックス内で前記吸引ダクトに近い基端側と該背面吸引ボックスの外端に近い先端側との間で移動させる移動機構とからなる
ことを特徴とする請求項記載の衣類投入機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類投入機に関する。さらに詳しくは、洗濯した後の半乾燥状態の衣類を整形体に掛けることによって整姿状態とし、整形体からコンベヤへ衣類を預け渡し、最終的には、アイロン掛けを行うアイロナーや折り畳み機等へ衣類を搬送する衣類投入機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯した後に半乾燥した衣類をアイロナー、あるいは折り畳み機等へ投入するために、整形体を有する投入機を使用することは既に公知である。整形体は、たとえば模擬人体と称される部材を有し、そこに衣類を着せるように掛けて整姿状態とし、袖を伸ばすなどして、衣類が原形に近い状態で仕上げられるようにされている。このような投入装置の従来例として特許文献1がある。
【0003】
この特許文献1の従来技術は図17に示すように、投入機本体111の下部前面に整形体112を備え、本体111の上部に下コンベヤ121および上コンベヤ122を備えている。整形体112の基端部はベース113に対し傾斜自在に取付けられ、伸縮装置114で昇降自在である。また、整形体112の上部には左右の伸縮腕115,116が取付けられ、この伸縮腕115,116は左右の伸縮機構117,118で左右方向に伸長したり収縮するようになっている。
【0004】
そして、半乾燥した衣類を投入するときは、図18に示すように、まず、(a)整形体112に衣類Cを被せ、ついで、(b)伸縮腕115,116を伸ばして衣類Cの袖を左右に広げ、さらに(c)整形体112を上昇させる。この動作により図17に示す上下コンベヤ121,122に受け渡すことができる。
【0005】
この特許文献1では、整形体に浴衣等を着せて袖を展開しても、それだけでは皺が無いように袖を伸ばすことはできず、衣類等の袖への皺の発生を抑止できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-87321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、衣類等の袖に皺が発生しないようにした衣類投入機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の衣類投入機は、洗濯した後の半乾燥状態の衣類を後工程装置に投入するための投入装置であって、前記後工程装置に衣類を預け渡すコンベヤ機構と、前記コンベヤ機構に受け渡す衣類を、両袖を広げた状態で吸引保持する背面吸引ボックスと、前記背面吸引ボックスで吸引保持される袖を撫でつける撫で付け機構とを備えており、前記撫で付け機構は、袖に柔らかく接触して撫で付ける撫で付け部材と、該撫で付け部材を袖の付け根にあたる基部側から先端部側に向けて移動させる移動機構と、前記撫で付け部材の移動と同期して、前記背面吸引ボックスの吸引領域を移動させる吸引同期機構を備えていることを特徴とする
第2発明の衣類投入機は、第発明において、前記吸引同期機構は、衣類の左右の両袖を吸引できる幅を有し、幅方向中央で吸引ダクトに連結された背面吸引ボックスと、前記背面吸引ボックス内に配置された仕切り板と、該仕切り板を前記背面吸引ボックス内で前記吸引ダクトに近い基端側と該背面吸引ボックスの外端に近い先端側との間で移動させる移動機構とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)撫で付け機構で袖を撫でて皺がない状態としてから背面吸引ボックスで衣類を吸引保してコンベヤ機構後工程に送る。このため、衣類を皺のない状態に仕上げることができる。
b)撫で付け部材は袖に柔らかく接触して撫でるので皺をのばしやすく、その撫で付け部材が移動機構で袖の基部側から先端部側に移動すると、袖を外向きに広げながら伸ばすことができるので、皺を完全に無くすることができる。
c)撫で付け部材と同期して背面吸引ボックスの吸引領域が移動するので、撫で付けた後の皺の無い部分の袖が背面吸引ボックスで吸引保持され、かつ撫で付け前の部分は未だ吸引されていないので、撫で付けによる皺のばしが容易に行える。
発明によれば、背面吸引ボックス内で仕切り板を移動機構で移動させるだけの簡単な構成で吸引領域の変動が行えるので、装置の信頼性が高く、また、撫で付け機構も移動機構を用いているので、仕切り板の移動機構との同期をとりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の衣類投入機で用いられる撫で付け機構の構造説明図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は正面図におけるC矢視断面図、(D)は正面図におけるD矢視断面図である。
図2】撫で付け機構の要部拡大平面図である。
図3図1の袖展開機構における1次動作の説明図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は正面図におけるC矢視断面図、(D)は正面図におけるD矢視断面図である。
図4図1の袖展開機構における2次動作の説明図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は正面図におけるC矢視断面図、(D)は正面図におけるD矢視断面図である。
図5】本発明の衣類投入機で用いられる吸引同期機構の構造説明図であって、(A)は袖吸引ボックスの正面図、(B)は同背面図である。
図6】(A)は吸引同期機構の平面図、(B)は(A)図におけるB矢視側面図、(C)は(A)図におけるC矢視側面図である。
図7】(A)は仕切り動作後における吸引同期機構の正面図、(B)は同背面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る衣類投入機の正面図である。
図9図8の衣類投入機の側面図である。
図10】上コンベヤ2と下コンベヤ1からなるコンベヤ機構の正面図である。
図11】上コンベヤ2と下コンベヤ1からなるコンベヤ機構の縦断面図である。
図12】袖バキュームボックスの正面図である。
図13】袖バキュームボックスの縦断面図である。
図14】整形体10の正面図である。
図15】整形体10の側面図である。
図16】(A)は整形体10の正面一部破断図、(B)は(A)図のB−B線横断面図である。
図17】従来の衣類投入機の正面図である。
図18】従来例による衣類投入作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の一実施形態に係る衣類投入機を図面に基づき説明する。
まず、図8および図9に基づき本実施形態に係る衣類投入機の基本構成を説明する。
衣類投入機Pの下部正面には、整形体10が立設され、衣類投入機Pの上部正面には、下コンベヤ1と上コンベヤ2の対が設けられている。下コンベヤ1と上コンベヤ2の対が、特許請求の範囲にいうコンベヤ機構である。整形体10は洗濯した後に半乾燥した衣類C(代表的には浴衣やガウンであるが、これには限られない)を整姿状態とし、その状態で衣類Cを下コンベヤ1と上コンベヤ2の間に挿入する装置である。
【0012】
下コンベヤ1と上コンベヤ2の対は、整形体10から送り込まれた衣類Cを受け取って、搬送を開始するための機構である。このコンベヤ1,2の下流には更にコンベヤC1,C2、C3が連設され、ロールアイロナーRにつなげられている。ロールアイロナーRは衣類にアイロン掛けをする公知の装置である。なお、アイロナーRの代りに折り畳み装置が設けられることもある。アイロナーRや折り畳み装置が特許請求の範囲にいう後工程装置である。
【0013】
上記衣類投入機Pの各部の詳細説明をさらに続ける。
図10および図11に示すように、下コンベヤ1は10本から20本位のベルト1aを並列に掛け並べたもので、その全幅は衣類Cの両軸を広げたときの幅よりも広くなっている。各ベルト1aは数本のガイドロール1bと背面吸引ボックス3の吸引面に掛け回されている。
【0014】
上コンベヤ2は下コンベヤ1の幅方向中央部における上方部分に配置されている。その構成は、数本(図では6本)のベルト2aを並列に掛け並べたもので、その幅は衣類Cの肩幅に相当する程度である。各ベルト2aは、上下に配置した水平なガイドローラ2bに掛け回されており、2本のガイドローラ2bは左右に離れて配置された2本の傾動アーム2cに軸支されている。この傾動アーム2cの上端にはエアシリンダ2dが連結されている。このため、エアシリンダ2dを伸縮させることにより、上コンベヤ2を下コンベヤ1に接触させた接触位置とそこから離れた離間位置との間で姿勢変更することができる。
【0015】
背面吸引ボックス3は投入機Pの前面内側に設けられており、下コンベヤ1とほぼ同じ全幅、つまり衣類Cの両袖(広げられた状態)の全幅よりも広いをもっている。また、下コンベヤ1のベルト1aは多孔ベルトであり、背面吸引ボックス3による空気の吸引を許容する。このため、衣類Cの背面を吸引して落下しないように保持することができる。
【0016】
下コンベヤ2の左右両端部の前面には、図8に示すように、袖吸引ボックス4、4が左右に2個設けられている。つまり、袖吸引ボックス4、4は衣類の両袖を左右方向に吸引する位置に配置されている。この袖吸引ボックス4は、図12および図13に示すように、上傾動アーム4aと下傾動アーム4bで支持されており、上傾動アーム4aにはエアシリンダ4cが連結されている。このため、エアシリンダ4cを伸縮させると、袖吸引ボックス4を下コンベヤ1の表面に近接した吸引位置とここから離れた離間位置との間で姿勢変更することができる。なお、4eは袖吸引ボックス4の内側に取付けられた透明板で、空気の流れを案内しつつ、作業員が袖の状態を視認できるようにしている。
【0017】
前記背面吸引ボックス3と袖吸引ボックス4は、ダクト5a、5b、5cでブロア5dに接続されている。また、ブロア5cの入側ダクトには、ダンパー5e、5fを取付けており、背面吸引ボックス3と袖吸引ボックス4の吸引・停止を制御できるようになっている。
【0018】
図14および図15に基づき、整形体10の基本構造を説明する。
整形体10は基板11と昇降板12を備えている。基板11はベース部材13にピンで前傾後傾自在に軸支されており、エアシリンダ14で直立姿勢と少し後方に傾斜した後傾姿勢との間で傾斜動作できるようになっている。
【0019】
図16に基づき、整形体10の昇降機構を説明する。基板11には縦方向にレール15aが取付けられており、昇降板12にはスライダ15bが取付けられ、レール15aにはスライダ15bが昇降自在となっている。また、基板11と昇降板12との間には伸縮機構としてのエアシリンダ16が取付けられている。このため、エアシリンダ16を昇降させると、昇降板12が上昇したり下降したりする。
なお、昇降板12には前カバー17が取付けられており、この前カバー17は基板11の前面も覆っている。
【0020】
図16において、21は左右のアームであり(図示は左側のみ)、衣類Cの左右の袖を左右方向に張り出すための部材である。
各アーム21は湾曲しており、上昇動作することによって左右に張り出すようになっている。この動作を可能とするため、その下端部分は(図示しない)エアシリンダに連結されており、かつ各アーム21の上端部分は3個のガイドローラ23で挟まれている。
このアーム21を左右に伸長すると、図8に示すように衣類Cの両袖を、左右両方向に張り出すことができる。
【0021】
つぎに、本発明の特徴である撫で付け機構を、図1図7に基づき説明する。
本実施形態における撫で付け機構は、背面吸引ボックス3および袖吸引ボックス4と協同して袖を左右に張り、皺のない状態に保持する機構である。既述のごとく、袖吸引ボックス4は、整形体10のアーム21で展開された袖を負圧で吸引して左右に引張った状態に保持するものである。
撫で付け機構は、図1および図2に示すように、撫で付け部材50と、その移動機構とから構成されている。撫で付け部材50としては、ブラシのような衣類に柔らかく接触し、かつ皺を押し延ばして平坦にできる部材であれば、どのようなものを用いてもよい。本実施形態では、基材に多数本の毛を植毛したブラシを用いている。以下では、撫で付け部材をブラシ50として説明する。
【0022】
ブラシ50の移動機構は、つぎのように構成されている。
図2に示すように、エアーシリンダ51のピストンロッド52の先端には取付板53を介してロータリアクチュエータ54が取付けられており、このロータリアクチュエータ54の出力軸に前記ブラシ50が取付けられている。
ロータリアクチュエータ54は、ブラシ50が背面吸引ボックス3および下コンベヤ1(図8参照)の表面に対し、平行に向いた非使用位置と、背面吸引ボックス3および下コンベヤ1の表面に対し垂角に向いた使用位置との間で、姿勢変更するものである。
【0023】
エアーシリンダ51は伸縮することにより、ブラシ50を撫で付けストロークの基部側から先端部側(袖吸引ボックス3の外端)の間で移動させることができる。なお、撫で付けストロークの基部側は、衣類Cの袖の付け根にあたる位置である。
この構造は左右のブラシ50について同様であり、左右一対のブラシ50で衣服の両袖を撫で付けることができる。
【0024】
図1は撫で付け動作前の状態を示している。つまり、ブラシ50が基部側で待機している状態を示し、ブラシ50は背面吸引ボックス3および下コンベヤ1の吸引面に対し平行である。
図3は撫で付け一次動作の終了と二次動作の開始前の状態を示している。つまり、ブラシ50が基部側に位置しているが、ブラシ50が背面吸引ボックス3および下コンベヤ1の吸引面に直角になった状態である。この動作変更は、既述のロータリアクチュエータ54の回転動作で行われる。
【0025】
図4は撫で付け二次動作の終了後の状態を示している。つまり、ブラシ50が背面吸引ボックス3の外端まで移動した状態であり、この動作はエアーシリンダ51の伸長動作で行われる。このブラシ50の移動は袖吸引ボックス4の横にある透明板4eの裏側で行われる。つまり、ブラシ50で袖の皺を取り除くと、その袖は袖吸引ボックス4で引かれ続け、この空気吸引は透明板4で袖に平行に移動するように案内される。
したがって、このあと背面吸引ボックス3の吸引面に衣類Cの両袖が吸引保持されれば、袖の皺がない状態で衣類Cが保持されることになる。
また、この撫で付け動作により袖が袖吸引ボックス4による負圧吸引のみで左右に引かれているときの不安定なバタツキが抑制され、両袖が左右に展開された状態が安定することになる。
【0026】
本実施形態では、撫で付け機構に加え、図5図7に示す吸引同期機構が設けられている。
図5および図6に示すように、吸引同期機構は、背面吸引ボックス3内に配置された仕切り板61と、その移動機構からなる。
仕切り板61は背面吸引ボックス3の内部を吸引側と非吸引側に区切る板部材である。
【0027】
移動機構を構成するエアーシリンダ62は背面吸引ボックス3の裏面に水平に取付けられている。エアーシリンダ62のピストンロッド63には取付金具64を介して仕切り板61が固定されているが、取付金具64は、背面吸引ボックス3の裏面に形成された細長い水平なスリット65を通って移動する。
このため、エアーシリンダ62の伸縮動作によって仕切り板61は背面吸引ボックス3内で左右方向に移動する。
【0028】
図5に示すように、背面吸引ボックス3における幅方向中央の裏面には吸引口3hが形成されており、この吸引口3hには吸引ダクト5aが接続されている。
図5は仕切り板61が吸引口3hに近い基端側に位置している状態であり、図7は仕切り板61は背面吸引ボックス3の先端側に移動した状態を示している。
【0029】
この仕切り板61とブラシ50とは同期して動かす。つまり、衣類Cの両袖を背面吸引ボックス3に吸着させたとき、ブラシ50を基端側から先端側へ動かして袖を撫で付ける動作を行うとき、同じタイミングで仕切り板61を基端側から先端側を動かす。
そうすると、ブラシ50を撫で付けられた後、皺が無くなった部分の袖は背面吸引ボックス3の吸引面に吸着され、皺のない状態に保持される。そして、ブラシ50で撫で付けられている部分は吸引されていないので、ブラシ50の撫で付けによる皺取りが容易に行えることになる。
【0030】
つぎに、撫で付け動作の詳細を説明するが、その前に衣類投入機Pの投入動作の全体を説明する。
この全体の動作手順は、次のとおりである。
(1)投入動作前の整形体10は、図14および図15に実線で示すように、下降位置にあり、直立している。この状態で整形体10に衣類Cを被せる。
(2)整形体10が図14および図15の点線で示すように、コンベヤ1の面に沿う角度に後傾し、昇降体12が上昇する。この状態になった後、衣類Cの袖を左右に広げる展開作業が行われる。
(3)図8に示す袖吸引ボックス4が下コンベヤ1の表面に沿った状態で衣類の袖を吸引すると、衣類Cの左右の袖は左右に負圧で引張られる。このとき、袖の撫で付けが行われる。
(4)ついで、袖吸引ボックス4の吸引を停止し、同時に背面吸引ボックス3が吸引を開始すると下コンベヤ1の表面に衣類Cが張り付く。
(5)上コンベヤ2が下降し衣類Cの衿付近をコンベヤ1と挟み込む。同時に袖吸引ボックス4が旋回して上昇する。
(6)整形体10が下降し、同時に下コンベヤ1が起動して衣類Cだけが搬送される。
(7)衣類Cが下コンベヤ1を通過し終えると、背面吸引ボックス3は吸引を止める。
(8)衣類Cはその後、コンベヤC1、C2、C3の順番で搬送され、ロールアイロナーRまで搬送される。
【0031】
袖の撫で付け動作と吸引の同期は、前記動作(3)と同時に行われるが、その詳細はつぎのとおりである。
つまり、袖吸引ボックス4で両袖を負圧で吸引している状態で、袖の部分をブラシ50で撫で付け、かつ撫で付けの終わった部分から両袖を背面吸引ボックス3で吸引保持していく。この動作は、ブラシ50の移動による袖の撫で付けを少し先行させ、その直後を吸引同期機構の仕切り板61を移動させることで行われる。この動作により、撫で付けて綺麗に皺を伸ばした部分の袖が順に下コンベア1面に張り付き、動作最終時には袖の全面を綺麗に展開して、皺のない状態で、背面吸引コンベヤ3に吸引保持された状態となる。この状態から袖吸引ボックス4が退避し、上コンベヤ2が降下して、下コンベヤ1との間で衣類Cを挟むと、搬送の準備が完了である。この後はコンベヤ1、2を駆動すれば、衣類Cを後続のコンベヤC1、C2、C3に送り込むことができる。
【0032】
(先の出願の記載事項)
以下は、先の出願における撫で付け機構の記載である。ただし、符号は本項の実施形態に合わせるよう変更している。
【0033】
C.袖展開機構
袖展開機構は、袖バキュームボックス3と撫で付け機構を備えている。
袖バキュームボックス3は、展開された袖を負圧で吸引して展開状態に保持するものである。
なお、投入機の下コンベアの裏側には、コンベアを通して負圧吸引する吸引部が設けられている。
撫で付け機構は、ブラシ等で構成した稼働体を備えている。この稼働体は待機時ではブラシの羽先に横向きにしているが撫で付け開始時には下向きになって袖に対面するようになっている。また、袖に対面した状態で、エアシリンダー等のアクチュエータで左右に移動し、袖Csの上面を撫で付けながら移動する。この動作により袖が負圧吸引されているときの不安定なバタツキが抑制され、前記下コンベア側の吸引部で吸引され、展開された状態が安定することになる。
【0034】
(動作概略)
動作手順においてコンベア1面に衣類等を張り付けるが、袖バキュームボックス3内部でバタついている袖を綺麗に展開し、皺なくコンベア1面に張り付かせるのは難しい。
そこで、ボックス内部に袖を押さえながら広げる(以後、撫で付けという)機能を要した稼働体(ブラシ等)を設け稼働させる。同時にコンベア1面の吸引ボックス内部に設置した仕切りを同じ方向に稼働させる。これにより撫で付けて綺麗に皺を伸ばした部分から順に下コンベア1面に張り付き、動作最終時には袖の全面を綺麗に展開し皺無く下コンベア1面に張り付かせることができる。
補足として、下図袖撫で付け一次動作とは袖の広げ方向に動作。袖撫で付け二次動作とはブラシの回転動作を指す。
【0035】
(効果)
袖バキュームボックス内部でバタついている袖を綺麗に展開し皺無くコンベア一面に張り付かせる。
【符号の説明】
【0036】
3 背面吸引ボックス
4 袖吸引ボックス
50 撫で付け部材
51 エアーシリンダ
54 ロータリアクチュエータ
61 仕切り板
62 エアーシリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18