(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサー冷却風路は、対向する前記庫外給気ダクトの外面および前記マグネトロンの外面と、前記庫外給気ダクトの外面または前記マグネトロンの外面のいずれか一方に設けられた庫外空気ガイド部とで形成されることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明に係る加熱調理器の実施の形態1を図面を用いて説明する。まず、本実施の形態1の加熱調理器の構成について
図1〜
図7を用いて説明する。
図1は実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す斜視図、
図2は実施の形態1に係る加熱調理器の内部を示す斜視図、
図3は
図2の加熱調理器の背面ケースを分解して示す斜視図、
図4、
図5はそれぞれ、
図2の加熱調理器の正面側を切断して示す断面の模式図、側面側を切断して示す断面図の模式図、
図6は実施の形態1に係る加熱調理器の庫外給気ダクトと冷却空気ガイドの分解斜視図、
図7は実施の形態1に係る加熱調理器の庫外給気ダクトと庫外冷却ファンの上面側を切断して示す断面の模式図である。
【0010】
図において、本実施の形態1における加熱調理器100は、例えばオーブンレンジに適用され、後部に背面ケース3が設けられた本体ケース1と、本体ケース1の前部に回動自在に設けられたドア2を備えている。ドア2の上部中央には、ハンドル4が取り付けられ、ドア2の前面の片側には、表示部5aを有する操作パネル5が設けられている。背面ケース3の上部枠体3pには、後述する本体排気装置6の排気口が突出して設けられ、背面ケース3の片側の側部枠体3qには、複数の矩形状の穴からなる側部吸気口3aが設けられている。
【0011】
前述の背面ケース3は、
図3に示すように、本体ケース1の背面を覆う第1の背面板3gと、第1の背面板3gと空間を有して接合される第2の背面板3dとで構成されている。第1の背面板3gには、後述する加熱庫7の背面板7eとほぼ同じ大きさを有する矩形状の凹部3hが設けられている。第1の背面板3gに加熱庫7を取り付ける場合、その凹部3hを覆うようにしてネジ止めにより固定される。その場合、加熱庫7の背面板7eと凹部3hの間には隙間が存在する。
【0012】
第1の背面板3gの上側の面には、横方向に延びる矩形状の第1の庫外通気口3bと庫内通気口3cが設けられ、左側の面には、縦方向に延びる矩形状の第2の庫外通気口3iが設けられている。第1の背面板3gの右側の面には、複数のパンチ穴からなる上部吸込口3kと下部吸込口3lが設けられ、第1の背面板3gの凹部3hには、横方向に延びる第3の庫外通気口3jが設けられている。
【0013】
第2の背面板3dは、第1の背面板3g側に直角に折り曲げられた上部枠体3pおよび側部枠体3qを有している。また、第2の背面板3dの上部枠体3pには、本体排気装置6の排気口カバー62aを突出させるための切欠部3eが設けられている。また、第2の背面板3dには、側部吸気口3aが設けられた側部枠体3q側に板状の仕切板3fが設けられている。第1の背面板3gと第2の背面板3dを合わせて背面ケース3を構成した場合、仕切板3fを境に下部吸気口3mと下部排気口3nが形成される。
【0014】
本体ケース1内には、
図2および
図4、
図5に示すように、前面開口の矩形状箱体の加熱庫7が設けられている。加熱庫7の前面開口は,前述のドア2によって開閉される。加熱庫7の上面板7cには、マイカヒーター17とマイカヒーター17を覆う断熱材8が取り付けられている。マイカヒーター17は、加熱庫7内に収納される被加熱物を上方から加熱するための面状発熱体である。加熱庫7の片側の側面板7dには、複数のパンチ穴からなる庫内給気口7aが設けられ、上面板7cの後部には、複数のパンチ穴からなる庫内排気口7bが設けられている。庫内排気口7bと前述の庫内通気口3cは、排気ダクト16により連通されている。
【0015】
また、加熱庫7の背面板7eには、
図4に示すように、複数のパンチ穴からなる吸込口22と吹出口23がそれぞれ設けられている。吸込口22と吹出口23は、加熱庫7の背面板7eの外側に設けられたコンベクションユニット7gと連通している(
図3参照)。コンベクションユニット7gは、吸込口22と対向配置されたコンベクションファンと、吹出口23と対向配置された石英ガラス管ヒーターからなるコンベクションヒーターにより構成されている。そのコンベクションファンは、本体ケース1の底部に設置されたモーターにベルトを通して回転可能に連結されている。加熱庫7内の両側面に庫内中央より低い位置に設けられた一対のガイドレール7hが設けられ、セラミックプレート7iが着脱自在に支持される。コンベクションファンにより加熱庫7内の空気を吸込口22から吸い込み、その空気をコンベクションヒーターにより高温にし、吹出口23から高温の空気を吹き出し、庫内のセラミックプレート7iで区画される上の空間に熱風を循環させて加熱庫7内の被加熱物を加熱する。
【0016】
ところで、従来のように加熱庫内の加熱室について、幅または奥行きの寸法に対する高さ寸法が1/2以上に設定されているものにあっては、レンジ加熱機能の他に被加熱物をヒーター等で加熱するオーブン加熱機能を有している場合は、ヒーターの輻射エリア内に加熱室の内壁面も入ってしまう。このため、被加熱物だけでなく、加熱室内壁面も加熱してしまい、熱エネルギーロスが大きくなる。
【0017】
本発明の実施形態1に係る加熱調理器においては、加熱庫7内の加熱室の幅と奥行き寸法はそれぞれ約300mmであり、高さは約150mmの寸法となっている。すなわち、幅または奥行きの寸法に対する高さ寸法が1/2程度に設定されるが、加熱効率の点から1/2以下に設定するほうが望ましい。すなわち、加熱室の高さ方向での余剰空間が小さくなっているので、マイカヒーター17、シーズヒーター18の輻射エリア内に加熱室の内壁面が入らず、上下ヒーター7a,7bからの輻射熱の殆どを被加熱物に当てることができ、加熱室内壁面に伝達される熱エネルギーロスも小さく、加熱時間を大幅に短縮することができる。
【0018】
また、加熱時間が大幅に短縮され、加熱庫内壁面に伝達される熱エネルギーロスが小さくなることで、ヒーター加熱後も加熱室内温度が上がらず、直ぐにレンジ等を使用する場合でも火傷の心配がなくなる。
【0019】
加熱庫7から空間を隔てて設けられた庫外冷却ファン9(第1の冷却ファン)は、吸引側が背面ケース3の第1の背面板3gに設けられた上部吸込口3kと対向するように設置されている。庫外冷却ファン9の送風側には、内部で電源基板11(電源部)を支持する庫外給気ダクト10が設けられている。電源基板11は隣接して配置されるマグネトロン14を駆動するための電源であり、電源基板11上には電圧変換コイル11a、高周波スイッチング素子のヒートシンク11bなどの発熱部品、その他の電気回路部品を載置している。庫外冷却ファン9からの冷却空気(庫外空気)は庫外給気ダクト10内を通過する時に、これらの発熱部品を冷却する。そして、庫外給気ダクト10内を通過した冷却空気は、加熱庫7の側面に沿って、加熱調理器100の前方(ドア2の方向)に送風される。その後、本体ケース1の底部上に設置された制御基板12や、加熱庫7の周囲を冷却する。
【0020】
加熱庫7の側面板7dには、加熱庫内に収納された被加熱物の温度を検出する赤外線センサーユニット71を設置する凹部72とセンサー用開口73が設けられている。赤外線センサーユニット71は、
図4に示すように、センサー基板71aにセンサー素子71bと電気回路部品(図示しない)が載置されており、センサー基板71aやセンサー素子71bに通気するホルダー開口71c、71eを有するセンサーホルダー71dによって側面板7dに下向きの状態で固定される。
【0021】
加熱庫7に対し赤外線センサーユニット71が設定される位置(高さ)は、少なくともセラミックプレート7iに載置される被加熱物の温度を検出することができるように、ガイドレール7hよりも上方が望ましい。また、被加熱物全体の温度を検出するためには、赤外線センサーユニット71は加熱庫7のできるだけ上方に設け、赤外線センサーユニット71の指向する方向を下向きとする方が望ましい。
【0022】
庫外給気ダクト10は、
図6に示すように、庫外給気ダクト上側ケース10aと庫外給気ダクト下側ケース10bによって構成され、庫外給気ダクト上側ケース10aは内側上面から垂下する複数の冷却空気矯正リブ10cを備え、庫外給気ダクト下側ケース10bは外側下面に一対の冷却空気誘導リブ10d、10eを備える。
【0023】
冷却空気矯正リブ10cは庫外冷却ファン9からの冷却空気を、庫外給気ダクト10内に設けられた電源基板11上の電圧変換コイル11aや高周波スイッチング素子のヒートシンク11bに効率よく当てて冷却効果を高めるように、角度と間隔を調節して設けられている。
【0024】
庫外冷却ファン9の下方に設置された庫内冷却ファン13(第2の冷却ファン)は、吸引側が背面ケース3の第1の背面板3gに設けられた下部吸込口3lと対向するように設置されている。庫内冷却ファン13の送風側には、冷却空気をマグネトロン14に導く傾斜面を有する冷却空気ガイド10fが設けられている。マグネトロン14には、マイクロ波を発生するための磁界を発生する永久磁石14aと、駆動により発生する熱を放熱するための放熱フィン14bが、外部からの空気で冷却できるように露出して設けられており、冷却空気ガイド10aを通過した空気により冷却される。
【0025】
マグネトロン14は、庫内給気ダクト15により、加熱庫7の庫内給気口7aに風路が連結されており、庫内冷却ファン13から送出された空気は加熱庫7内に給気され、庫内排気口7bから排出される。
【0026】
マグネトロン14は、マイクロ波を出力するアンテナ14cを下方に向けて設置され、上側外面は
図5、
図6に示すように、庫外給気ダクト下側ケース10bの下側外面と約5mmの距離を隔てて対向している。
【0027】
図4に示すように、マグネトロン14及びその上部に隣接して配置される庫外給気ダクト10は、高温になる加熱庫7からの熱の影響を避けるため、加熱庫7と空間を介して配置される。その結果、赤外線センサーユニット71は庫外給気ダクト10の内部を通過する冷却風路から離れることになる。したがって、この冷却風路に送風される冷却風は赤外線センサーユニット71を効率よく冷却することができない。ここで、庫外給気ダクト10の内部にリブなどを設け、庫外給気ダクト10の出口からの冷却風を赤外線センサーユニット71の方向に偏向することも考えれるが、圧損となり、本来冷却したい加熱庫7の周囲に送風すべき冷却風の風速が低下する虞がある。
【0028】
そこで、庫外給気ダクト10とマグネトロン14との間の空間に、赤外線センサーユニット71を冷却するセンサー冷却風路を形成する。そして、赤外線センサーユニット71を庫外給気ダクト10とマグネトロン14との間の空間の高さとほぼ同じ高さに配置する。
【0029】
庫外給気ダクト下側ケース10bに設けられた冷却空気誘導リブ10dは、高さ約5mmの湾曲した形状のリブであり、マグネトロン14の上側外面とこれに対向する庫外給気ダクト下側ケース10bの下側外面とを隔てるとともに、この空間のセンサー冷却風路を通過する空気を横方向に向ける作用をする。
【0030】
冷却空気誘導リブ10eは高さ約15mmのリブであり、リブの一部がマグネトロン14の上部側面に沿うように設けられている。冷却空気誘導リブ10eは冷却空気誘導リブ10dによって横方向に向けられた空気が、マグネトロン14の上面の周囲に拡散しないように規制する。
【0031】
冷却空気誘導リブ10d及び冷却空気誘導リブ10eは庫外空気ガイド部を構成するものである。
【0032】
冷却空気ガイド10fの上面は、庫外給気ダクト下側ケース10bの下面とによって風路を形成し、マグネトロン14の上面と、庫外給気ダクト下側ケース10bの下面と、冷却空気誘導リブ10d、10eによって形成されるセンサー冷却風路に庫外冷却ファン9からの空気を誘導する。
【0033】
センサー冷却風路は庫外給気ダクト10及びマグネトロン14との間の空間に設けられる。冷却空気誘導リブ10d、10eは、湾曲しながら徐々に近接するように設けられており、庫外冷却ファン9からの空気は、加熱庫7の側面板7d側に向けて、送出される。センサー冷却風路から送出された空気は、側面板7dに設けられた赤外線センサーユニット71の周辺に当てられる。
【0034】
このように、実施の形態1の加熱調理器100では、赤外線センサーユニット71を設ける高さを、庫外給気ダクト10の外側下面とマグネトロン14の外側上面との間の高さとほぼ同じに設定し、庫外給気ダクト10の外側下面とマグネトロン14の外側上面との間の空間のセンサー冷却風路の冷却風を赤外線センサーユニット71の周辺に当てることにより、効率的に赤外線センサーユニット71を冷却することができる。
【0035】
また、センサー冷却風路は、その断面積がセンサー冷却風路の上流側(冷却空気誘導リブ10d、10eの上流側端)よりも下流側(冷却空気誘導リブ10d、10eの下流側端)が小さいので、センサー冷却風路を流れる庫外空気の風速は上流側よりも下流側の方が速い。また、センサー冷却風路の断面積が徐々に縮小するため、センサー冷却風路における庫外空気の流れの乱れが抑制され、圧損が低減される。その結果、速い風速の気流が発生し、赤外線センサーユニット71に当てる庫外空気の風速が高まり、赤外線センサーユニット71の冷却効果が高まる。
【0036】
なお、冷却空気誘導リブ10d及び冷却空気誘導リブ10eを庫外給気ダクト下側ケース10bの下側外面に設けたが、マグネトロン14の上側外面に設けてもよい。
また、庫外空気ガイド部をリブで構成したが、庫外給気ダクト下側ケース10bの下側外面またはマグネトロン14の上側外面のいずれか一方、もしくは両方に溝を形成して構成してもよい。
【0037】
また、赤外線センサーユニット71のセンサーホルダー71dにはホルダー開口71c、71eが形成されているため、センサー素子71bを効果的に冷却することができる。
【0038】
加熱庫7の底面板7fの下側には、加熱庫7内に収納された被加熱物を下方から加熱するシーズヒーター18が設置されている。また、シーズヒーター18の中心をほぼ軸心として回転アンテナ19および回転アンテナ19を回転させるアンテナモーター20が設置されている。また、加熱庫7の底面板7fの下側には、レンジ加熱時にマグネトロン14から発振されたマイクロ波を回転アンテナ19に伝搬するための導波管21が設けられている。そのマイクロ波は、回転アンテナ19により加熱庫7の加熱室内に放射され、被加熱物を加熱する。
【0039】
次に、前述した本体排気装置6の構成について
図8を用いて説明する。
図8は実施の形態に係る加熱調理器100の本体排気装置を拡大して示す正面図、断面図および下面図である。
本体排気装置6は、排気カバー61aと、排気カバー61aの上部に設けられた排気口カバー62aと、分離手段であるセパレーター板63aを備えている。
【0040】
排気カバー61aは、第1の背面板3gに設けられた凹部3hの幅とほぼ同じ長さを有し、断面が不等辺山形状に形成され、その両端部に側板61bが設けられている。排気カバー61aの短辺板61c(水平側)のうち排気口カバー62a側の部分には、1つの矩形状の開口部61dが設けられている。排気口カバー62aは、前述した開口部61dを覆うように排気カバー61aの短辺板61cから上方に突出して設けられ、第1の背面板3g側に1つの矩形状の開口部62bが設けられている。その開口部62bは、短辺板61cから上方に向かうに従って後方に傾斜している。また、その開口部62bには、複数のリブ62cが設けられている。
【0041】
セパレーター板63aは、リブ62cから後方に延びて直角に下方に折り曲げられた板状の例えばアルミ材からなっている。セパレーター板63aは、第1の背面板3gに設けられた第1の庫外通気口3bと対向し、排気カバー61aのほぼ中央から第1の背面板3g側に斜めに折り曲げられている。セパレーター板63aの折れ曲がった上端部によって、排気口カバー62aの開口部62bが上下に分離されている。その上が庫内空気排気口62dとして、その下が庫外空気排気口62eとして使用されている。
【0042】
前記のように構成された排気カバー61aを第1の背面板3gに後ろから取り付けた場合、排気カバー61aの両側の側板61bが第1の背面板3gの凹部3hの上部に載置されて、第1の庫外通気口3bおよび庫内通気口3cが覆われる。その時、セパレーター板63aの傾斜部の先端が第1の庫外通気口3bの右側部分の第1の背面板3gに当接して、排気カバー61aのもう一方の側板61bと第1の背面板3gの凹部3hの上部とで、第1の庫外通気口3bを覆った状態となる。そのセパレーター板63aにより、第1の庫外通気口3bと排気口カバー62aの庫外空気排気口62eを連通する排気風路が形成される。また、前述のセパレーター板63aにより、庫内通気口3cと排気口カバー62aの庫内空気排気口62dを連通するもう一つの排気風路が形成される。
【0043】
ここで、加熱庫7内の被加熱物を加熱しているときの冷却空気(庫外空気および庫内空気)の流れを
図9〜
図13を用いて説明する。
図9は、実施の形態1の加熱調理器において側部吸気口および下部吸気口から庫外給気ダクトを通過して第1の庫外通気口に至るまでの冷却空気(庫外空気)の流れを示す斜視図、
図10、
図11、
図12は、それぞれ、実施の形態1の加熱調理器において側部吸気口および下部吸気口から庫外給気ダクトの下面を通過して第1の庫外通気口に至るまでの冷却空気(庫外空気)の流れを示す斜視図、
図10の加熱調理器の正面側断面の模式図、側面側断面の模式図である。
図13は実施の形態1の加熱調理器において側部吸気口および下部吸気口から庫内通気口に至るまでの冷却空気(庫内空気)の流れを示す斜視図、
図14は
図9〜
図13に続いて上部排気部から排出される冷却空気(庫外空気および庫内空気)の流れを示す斜視図である。
【0044】
まず、
図9を参照しながら冷却空気の流れについて説明する。
庫外冷却ファン9の駆動により、外気が側部吸気口3aおよび下部吸気口3mから吸引されると、その外気は、さらに庫外冷却ファン9により上部吸込口3kから吸引され、冷却空気として庫外給気ダクト10内に導かれて本体ケース1内に放出される。冷却空気は、庫外給気ダクト10内に設置された電源基板11上の電圧変換コイル11a、高周波スイッチング素子のヒートシンク11bなどの発熱部品、その他の電気回路部品を冷却した後、本体ケース1の底部上に設置された制御基板12や、加熱庫7の周囲を冷却する。
【0045】
前述の電気部品を冷却した冷却空気は、加熱庫7の側面板7dによって、一方は加熱庫7の上方に流れ、他方は加熱庫7の下方に流れる。上方に流れた冷却空気は、加熱庫7の上面板7cおよび断熱材8からの放熱により暖められる本体ケース1の上部を冷却しながら第1の庫外通気口3bに至る。また、下方に流れた冷却空気は、加熱庫7の底面板7fおよびシーズヒーター18からの放熱により暖められる本体ケース1の下部を冷却しながら本体ケース1と加熱庫7の間の空間に押し上げられ、第1の庫外通気口3bに至る。
【0046】
庫外給気ダクト10内を通過する空気は、ダクト外の広い空間に出ると、拡散して近傍の電気部品を広範囲に冷却するが、風速が減少するため、熱の伝達効率は低下する。
【0047】
赤外線センサーユニット71は、加熱庫7の側面板7dの上側の、庫外給気ダクト10の冷却空気の通過する領域から外れた位置に設けられおり、冷却空気が直接当たらないため、この冷却空気による赤外線センサーユニット72の冷却効果は小さい。
【0048】
次に、
図10〜
図12を参照しながら庫内空気の流れについて説明する。
庫外冷却ファン9の駆動により吸引された外気は、前述のように庫外給気ダクト10内に導かれるとともに、庫外給気ダクト下側ケース10bの下面と冷却空気ガイド10fの上面によって形成される風路にも導かれる。そして、マグネトロン14の上面と、庫外給気ダクト下側ケース10bの下面と、冷却空気誘導リブ10d、10eによって形成される風路に導かれ、風路の断面積の縮小に伴って風速が増加する。
【0049】
風速の増加した冷却空気は加熱庫7の側面板7dに向けて送出され、赤外線センサーユニット71を冷却する。冷却空気はホルダー開口71c、71eを通して、赤外線センサーユニット71内に流入し、センサー素子71bが効果的に冷却される。赤外線センサーユニット71を冷却した空気は、前述の庫外給気ダクト10内を通過して電気部品を冷却した空気と合わさって、本体ケース1の上部を冷却しながら第1の庫外通気口3bに至る。
【0050】
次に、
図13を参照しながら庫内空気の流れについて説明する。
庫内冷却ファン13の駆動により、外気が側部吸気口3aおよび下部吸気口3mから吸引されると、その外気は、さらに庫内冷却ファン13により下部吸込口3lから吸引され、冷却空気ガイド10fを介してマグネトロン14の発熱部を冷却した後、庫内給気ダクト15内に導かれて、庫内給気口7aから加熱庫7内に送出される。加熱庫7内に流れ込んだ庫内空気は、マイクロ波により被加熱物から放出される蒸気と共に庫内排気口7bから排出され、排気ダクト16を通って庫内通気口3cに至る。
【0051】
次に、
図14を参照しながら上部排気部62から外部へ排出される冷却空気および庫内空気の流れについて説明する。
第1の庫外通気口3bに至った冷却空気は、排気カバー61aのセパレーター板63aと第1の背面板3gおよびその凹部3hとで形成される排気風路により上方に流れ、排気口カバー62aの庫外空気排気口62eから斜め上方に外部へ排出される。
【0052】
一方、庫内通気口3cに至った蒸気を含む庫内空気は、排気カバー61aおよびセパレーター板63aと第1の背面板3gおよびその凹部3hとで形成される排気風路に流れ込み、セパレーター板63aによって庫内空気排気口62d側に案内され、その庫内空気排気口62dからほぼ水平に外部へ排出される。その時、蒸気を含む庫内空気は、庫内空気排気口62dから排出される際に、庫外空気排気口62eから斜め上方に排出される冷却空気と混合される。前述の庫内空気は、庫外空気より高温で、排気カバー61a内に送り込まれたときに、セパレーター板63aを介して庫外空気と熱交換され、さらに、庫内空気排気口62dから排出される際に庫外空気排気口62eから排出される庫外空気と混合されるので、低温となる。
【0053】
なお、本体ケース1と加熱庫7の間の空間に流れた冷却空気は、第2の庫外通気口3iを通過し、背面ケース3に設けられた下部排気口3nから外部へと排出される。さらに、加熱庫7の上方に流れた冷却空気は、加熱庫7と背面ケース3の第1の背面板3gに設けられた凹部3hとの間の隙間を通って、その凹部3h内に流れ込み、第3の庫外通気口3jから前述の下部排気口3nへと流れる。
【0054】
実施の形態の加熱調理器100はレンジ加熱、グリル加熱、オーブン加熱の調理機能を備える。レンジ加熱時は、マグネトロン14によって加熱庫7内にマイクロ波が放射され、被加熱物が内側から加熱される。グリル加熱時は、マイカヒーター17とコンベクションユニット7gにより、被加熱物に加熱庫7の内部天面の輻射熱と背面からの熱風が加えられ、表面が加熱される。オーブン加熱時は、マイカヒーター17とシーズヒーター18により、被加熱物に加熱庫7の内部天面と下面の輻射熱が加えられ、表面が加熱される。また、加熱調理器100はレンジ加熱の後にグリル加熱に自動的に切り替わるレンジグリル加熱の調理機能を備えており、被加熱物はマイクロ波による加熱の後に、輻射熱による加熱に自動的に切り替わる。このレンジグリル加熱を使用すると、短時間の加熱で被加熱物の内側を十分加熱するとともに、表面に焦げ目をつけることが可能となる。
【0055】
本実施の形態の加熱調理器100は、レンジ加熱時に、赤外線センサーユニット71のセンサー素子71bにより、加熱庫7内の被加熱物の温度を検出し、マイクロ波によるレンジ加熱時間を制御する。レンジ加熱時は、庫内冷却ファン13を駆動してマグネトロン14を冷却するとともに、加熱庫7内に冷却風を給気して、被加熱物から発生する蒸気を庫外に排出する。また、庫外冷却ファン9も同時に駆動され、電源基板11やその他の電気部品を冷却する。
【0056】
また、グリル加熱時、および、オーブン加熱時は、赤外線センサーによる被加熱物の温度検出は行わず、加熱庫7内に設けられたサーミスター(図示しない)により加熱時間を制御する。このとき、庫外冷却ファン9のみ駆動され、庫外に冷却空気が流れる。
【0057】
グリル加熱、および、オーブン加熱を行うと、加熱庫7内の温度が約200度に上昇するため、赤外線センサーユニット71も高温になり、正確な温度検知ができなくなる。この状態でレンジ加熱での赤外線センサーの温度検知による制御を行うために、グリル加熱、および、オーブン加熱の終了後は、庫外冷却ファン9と庫内冷却ファン13を同時に駆動して、赤外線センサーユニット71の冷却を行う。
【0058】
レンジグリル加熱時のレンジ加熱ステップでは、庫外冷却ファン9と庫内冷却ファン13の両方が駆動される。また、グリル加熱ステップでも、庫外冷却ファン9と庫内冷却ファン13の両方が駆動されるが、庫内冷却ファン13の回転数は少なく抑えられる。これにより、グリル加熱ステップでも、赤外線センサーユニット71の温度上昇が抑えられる。また、セラミックプレート7iをガイドレール7hに支持させた状態でのレンジグリル加熱を行うことにより、加熱庫7の底面板7fはセラミックプレート7iにより、マイカヒーター17の輻射熱とコンベクション7gによる熱風から遮られて温度上昇が抑えられるため、レンジグリル加熱終了後、セラミックプレート7iを取り外すことにより、連続して赤外線センサーを使用したレンジ加熱制御を行うことが可能となる。
【0059】
なお、実施の形態では、グリル加熱時、および、オーブン加熱時には、庫外冷却ファン9のみ駆動する構成として説明したが、これに限定されるものではなく、庫内冷却ファン13も同時に駆動しても問題なく、庫内冷却ファン13の回転数を少なくして駆動してもよい。
【0060】
以上のように本実施の形態によれば、本体ケースと、本体ケースの中に配置された加熱庫と、加熱庫の側面に設けられた開口より加熱庫内に収納された被加熱物の温度を検出する赤外線センサーと、本体ケースの外側の外気を吸引し、加熱庫の外側の空間に庫外空気を送風する第1の冷却ファンと、本体ケースの外側の外気を吸引し、加熱庫内に庫内空気を送風する第2の冷却ファンとを備え、第1の冷却ファンの送風する庫外空気の一部を赤外線センサーに向けて導くセンサー冷却風路を備えたので、庫外冷却ファンの送風する庫内空気の一部を赤外線センサーユニットに効率よく当てることができ、冷却ファンを大型化することなく、赤外線センサーの冷却効果を高めることができる。
【0061】
また、本体ケースの中に配置され、加熱室内に収納された被加熱物を加熱するマグネトロンと、マグネトロンに隣接して配置され前記マグネトロンを駆動する電源部と、内部で電源部を支持し、第1の冷却ファンの送風する庫外空気を通過させる庫外給気ダクトとを備え、センサー冷却風路は、庫外給気ダクトとマグネトロンとの間の空間に設けたので、センサー冷却風路として新たな空間を必要とせず、加熱調理器を小型化することができる。
【0062】
また、センサー冷却風路は、対向する庫外給気ダクトの外面およびマグネトロンの外面と、庫外給気ダクトの外面またはマグネトロンの外面のいずれか一方に設けられた庫外空気ガイド部とで形成したので、センサー風路の一部として既存の構造を流用でき、新たな構造を追加することが抑制され、低コスト化が図れる。
【0063】
また、庫外空気ガイド部が1以上のリブで構成されるので、赤外線センサーへ庫外空気を導く際に、リブの形状や個数により風向や風速を簡単な構成で調整することができる。
【0064】
また、センサー冷却風路は、このセンサー冷却風路の断面積がセンサー冷却風路の上流側よりも下流側が小さいので、赤外線センサーに当てる庫外空気の風速を高めることができ、赤外線センサーの冷却効率を高めることができる。
【0065】
また、センサー冷却風路は、このセンサー冷却風路の断面積が赤外線センサーの設置された方向に向けて連続的に縮小するので、赤外線センサーに当てる庫外空気の風速を高めることができるとともにセンサー冷却風路における庫外空気の流れの乱れが抑制され、赤外線センサーの冷却効率を一層高めることができる。
【0066】
また、マグネトロンの下部に設けられ、マグネトロンの発生するマイクロ波を加熱庫下部に伝搬させる導波管とをさらに備え、電源部がマグネトロンの上方に配置されるので、加熱庫の中の加熱室に下方からマイクロ波を供給する加熱調理器において、マグネトロンと電源部とを効率的に配置できるのに加えセンサー冷却風路として新たな空間を必要とせず、加熱調理器を小型化することができる。
【0067】
さらに、加熱庫内の加熱室は、高さ寸法が幅または奥行きの寸法の1/2以下としたので、加熱室の高さ方向での余剰空間が小さくなり、加熱室内壁面に伝達される熱エネルギーロスも小さく、加熱時間を大幅に短縮することができる。