特許第5693381号(P5693381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693381内視鏡、内視鏡システム、及び内視鏡管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693381
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】内視鏡、内視鏡システム、及び内視鏡管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20150312BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   A61B1/00 300D
   G02B23/24 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-120843(P2011-120843)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-245254(P2012-245254A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩之
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−314775(JP,A)
【文献】 特開平03−004831(JP,A)
【文献】 特開2007−130175(JP,A)
【文献】 特開平05−176879(JP,A)
【文献】 特開2006−280594(JP,A)
【文献】 特開2010−220960(JP,A)
【文献】 特開2003−230536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲自在に構成される湾曲部を先端に備える内視鏡であって、
前記湾曲部に収納され、前記湾曲部が曲がったとき湾曲角度ごとに湾曲信号を出力する湾曲検出部と、
前記湾曲信号の値に応じて、湾曲角度ごとに前記湾曲部の湾曲を記録する制御部とを備える内視鏡。
【請求項2】
前記制御部は、前記湾曲信号の値に応じて前記湾曲角度ごとに前記湾曲部の湾曲回数を積算して記録する請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
湾曲検出部は、前記湾曲部の湾曲角度に応じて異なる値を有する湾曲信号を出力し、
前記制御部は、前記湾曲信号の値が所定値以上である場合に前記湾曲角度ごとに前記湾曲回数を積算して記録する請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記制御部は、前記湾曲信号の値に応じて、前記湾曲部が曲げられている湾曲期間を前記湾曲角度ごとに積算して記録する請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項5】
湾曲検出部は、前記湾曲部の湾曲角度に応じて異なる値を有する湾曲信号を出力し、
前記制御部は、前記湾曲信号の値が所定値以上となった時から所定値未満となった時までの期間を積算して得られた湾曲期間を前記湾曲角度ごとに記録する請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
請求項2から5に記載の内視鏡と、前記内視鏡に接続される内視鏡プロセッサとを備え、
前記内視鏡プロセッサは、前記内視鏡から前記湾曲角度ごとの前記湾曲回数又は前記湾曲期間を受信し、前記湾曲回数又は前記湾曲期間が所定値を超えたときに警告を行う警告部を有する内視鏡システム。
【請求項7】
請求項2から5に記載の内視鏡と、前記内視鏡に接続される内視鏡プロセッサと、前記内視鏡プロセッサがネットワークを介して接続される内視鏡管理装置とを備え、
前記内視鏡管理装置は、前記内視鏡プロセッサを介して前記内視鏡から前記湾曲角度ごとの前記湾曲回数又は前記湾曲期間を受信し、前記湾曲回数又は前記湾曲期間が所定値を超えたときに警告を行う警告部を有する内視鏡管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端が湾曲可能な内視鏡に関し、より詳しくは内視鏡の湾曲状態を記録可能な内視鏡、並びに前記内視鏡を有する内視鏡システム及び内視鏡管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体に挿入されて体内の画像を撮像する内視鏡と、内視鏡から画像を受信して表示する内視鏡プロセッサとが知られている。このような内視鏡は先端の湾曲可能に構成されるが、湾曲によって内視鏡が損耗する。そこで内視鏡の損耗状態を把握するため、内視鏡と内視鏡プロセッサとの接続回数を積算して、積算回数が基準値を超えたときに内視鏡が損耗したと予想してユーザに警告し、内視鏡のメンテナンスを促す構成が知られている(特許文献1)。
【0003】
他方、内視鏡の湾曲状態を調べるため、湾曲可能な範囲に複数の曲げセンサや光ファイバを取り付ける構成が知られている(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3345180号公報
【特許文献2】特開2001−169998号公報
【特許文献3】特開2002−34903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、内視鏡のメンテナンス時期は、先端がどれくらいの回数又は期間、曲げられていたかで決定すべきと考えられる。ところが、内視鏡の湾曲頻度は観察対象によって異なるため、内視鏡と内視鏡プロセッサとの接続回数を単純に積算しただけでは、まだメンテナンスが必要なくてもユーザに警告してしまうおそれがある。
【0006】
また、被験者の負担を減らすため、内視鏡の先端径は細くすべきであり、複数の曲げセンサや光ファイバを設けて内視鏡の先端径を太くすることは現実的でない。
【0007】
本発明はこれらの問題を鑑みてなされたものであり、内視鏡先端部の径を可能な限り細く保ちながら、内視鏡の湾曲を把握可能な内視鏡、並びに前記内視鏡を有する内視鏡システム及び内視鏡管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1の発明による内視鏡は、湾曲自在に構成される湾曲部を先端に備える内視鏡であって、湾曲部に収納され、湾曲部が曲がったときに湾曲信号を出力する湾曲検出部と、湾曲信号の値に応じて、湾曲部の湾曲を記録する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
制御部は、湾曲信号の値に応じて湾曲部の湾曲回数を積算して記録することが好ましい。
【0010】
湾曲検出部は、湾曲部の湾曲角度に応じて異なる値を有する湾曲信号を出力し、制御部は、湾曲信号の値が所定値以上である場合に湾曲回数を積算して記録することが好ましい。
【0011】
制御部は、湾曲信号の値に応じて、湾曲部が曲げられている湾曲期間を積算して記録することが好ましい。
【0012】
湾曲検出部は、湾曲部の湾曲角度に応じて異なる値を有する湾曲信号を出力し、制御部は、湾曲信号の値が所定値以上となった時から所定値未満となった時までの期間を積算して得られた湾曲期間を記録することが好ましい。
【0013】
本願第2の発明による内視鏡システムは、前記内視鏡と、内視鏡に接続される内視鏡プロセッサとを備え、内視鏡プロセッサは、内視鏡から湾曲回数又は湾曲期間を受信し、湾曲回数又は湾曲期間が所定値を超えたときに警告を行う警告部を有することを特徴とする。
【0014】
本願第3の発明による内視鏡管理システムは、前記内視鏡と、内視鏡に接続される内視鏡プロセッサと、内視鏡プロセッサがネットワークを介して接続される内視鏡管理装置とを備え、内視鏡管理装置は、内視鏡プロセッサを介して内視鏡から湾曲回数又は湾曲期間を受信し、湾曲回数又は湾曲期間が所定値を超えたときに警告を行う警告部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内視鏡先端部の径を可能な限り細く保ちながら、内視鏡の湾曲を把握可能な内視鏡、並びに前記内視鏡を有する内視鏡システム及び内視鏡管理システムを得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】内視鏡を概略的に示したブロック図である。
図2】内視鏡の先端を示した図である。
図3】セグメントの一部断面図である。
図4】セグメントの斜視図である。
図5】ひずみゲージを示した図である。
図6】第1の湾曲回数積算処理を示したフローチャートである。
図7】第1の湾曲回数・期間積算処理を示したフローチャートである。
図8】プロセッサ警告処理を示したフローチャートである。
図9】システム警告処理を示したフローチャートである。
図10】曲げセンサを示した図である。
図11】第2の湾曲回数積算処理を示したフローチャートである。
図12】第2の湾曲回数・期間積算処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における内視鏡管理システム100について添付図面を参照して説明する。まず、図1を用いて内視鏡管理システム100の構成について説明する。
【0018】
内視鏡管理システム100は、内視鏡200、内視鏡プロセッサ300、及び内視鏡管理装置である内視鏡管理サーバ400を主に備える。
【0019】
内視鏡200は、観察対象、例えば人体の内部に挿入される挿入部210と、使用者が把持する操作部251と、そして接続管252を介して操作部251と内視鏡プロセッサ300とを接続するコネクタ253とから主に構成される。
【0020】
挿入部210の先端に設けられる湾曲部211の内部には、湾曲検出部を成すひずみゲージ212が取り付けられる。ひずみゲージ212は、外力により曲げられると抵抗値が変化するセンサである。ひずみゲージ212については後述される。
【0021】
操作部251は複数の操作ダイヤル255を備え、ユーザが操作ダイヤル255を操作すると、湾曲部211が湾曲する。
【0022】
コネクタ253の内部には、制御部を成すマイコン254が格納され、ひずみゲージ212から延びる導電性のケーブル213がマイコン254に接続される。マイコン254は、ひずみゲージ212の抵抗を計測して、湾曲部211の湾曲回数及び湾曲期間を算出する。湾曲部211が曲げられた回数を湾曲回数といい、湾曲部211が曲げられている期間を湾曲期間という。算出の詳細については後述される。
【0023】
内視鏡プロセッサ300は、プロセッサモニタ301を備え、コネクタ253を介してマイコン254に接続されて、内視鏡200に関する情報をマイコン254から取得する。また、後述するプロセッサ警告処理を実行し、湾曲回数が所定値以上となったとき、プロセッサモニタ301に警告を表示する。この所定値は、内視鏡200に応じて決定される値であって、内視鏡200の耐用試験、経験値などによって決定され、内視鏡200に記録される。所定値を内視鏡200に記録することにより、内視鏡200ごとに所定値を設定することができる。様々な種類の内視鏡200が内視鏡プロセッサ300に取り付け可能である。
【0024】
内視鏡管理サーバ400は、内視鏡200が撮像した画像を管理するファイリングシステムを構成する。複数の内視鏡プロセッサ300がネットワーク500を介してファイリングシステムに接続される。内視鏡管理サーバ400は管理モニタ401を備え、ネットワーク500を介して内視鏡プロセッサ300と接続されて、ネットワーク500を介して内視鏡プロセッサ300から内視鏡200に関する情報を取得し、記録する。本実施形態において、内視鏡200に関する情報とは湾曲回数及び湾曲期間である。内視鏡管理サーバ400は、後述するシステム警告処理を実行し、湾曲回数が所定値以上となったとき、管理モニタ401に警告を表示する。この所定値は、内視鏡200に応じて決定される値であって、内視鏡200の耐用試験、経験値などによって決定され、内視鏡200に記録される。所定値を内視鏡200に記録することにより、内視鏡200ごとに所定値を設定することができる。
【0025】
次に図2から4を用いて湾曲部211について説明する。
【0026】
図2を参照すると、湾曲部211は、金属の環状部材であるセグメント215を互いに揺動可能となるように接続して成る関節部材214と、関節部材214の外周面を覆うように取り付けられる網状管部材216と、網状管部材216の外周面に密着して設けられる樹脂から成る外皮217とから主に構成される。
【0027】
図3及び4を参照してセグメント215及び関節部材214の湾曲について説明する。セグメント215は、その内周面に突出するワイヤガイド218を備える。ワイヤガイド218はセグメント215の軸方向に貫通する穴219を有し、穴219には操作ワイヤ220が挿通される。操作ワイヤ220の一端は内視鏡200の先端内部に固定され、他端は操作ダイヤル255に固定される。ユーザが操作ダイヤル255を回転させると、操作ワイヤ220が操作ダイヤル255に巻き取られ、あるいは操作ワイヤ220が操作ダイヤル255から送り出される。これにより挿入部210内に存在する操作ワイヤ220の長さが変化して、挿入部210が湾曲する。ひずみゲージ212は、セグメント215の内周に取り付けられる。
【0028】
図5を用いてひずみゲージ212について説明する。ひずみゲージ212は、薄膜から成る箔部221と、箔部221から延びる2本のゲージリード222とから成る。箔部221は、箔状のベース部223と、ベース部223に形成されたグリッド部224及び端子部225とを有する。端子部225は、グリッド部224から延びて、グリッド部224をゲージリード222に接続する。ベース部223の長辺長さは約3.3ミリメートル、幅は約2.4ミリメートルであり、グリッド部224の長辺長さは約1.4ミリメートル、幅は約0.2ミリメートルである。グリッド部224が外力により曲げられると、ひずみゲージ212の抵抗値が変化する。つまり、ひずみゲージ212の抵抗値を測定することによって、ひずみゲージ212が曲げられたか否かを知ることができる。本実施形態では、ひずみゲージ212の一端をGNDに接続し、他端に電圧を印加してマイコン254のA/D端子に分圧を入力する。マイコン254はA/D端子に印加された分圧を測定することにより、ひずみゲージ212が曲げられたか否かを検知する。グリッド部224が複数のセグメント215を跨がるように、ひずみゲージ212が関節部材214に取り付けられる(図3参照)。これにより、ひずみゲージ212が関節部材214の湾曲を検知できる。また、ひずみゲージ212は極めて薄い箔状であるため、セグメント215の径を大きくすることなく、その内周面に取り付けることができる。つまり、ひずみゲージ212は湾曲部211の径に影響を与えることなく取り付けられ、湾曲部211は太くならない。
【0029】
次に、マイコン254が湾曲回数を算出する処理について説明する。マイコン254は、湾曲部211が今までに湾曲された回数を湾曲回数として予め記録している。内視鏡200が使用されているとき、マイコン254はA/D端子を介してひずみゲージ212からの分圧を測定する。そして、分圧が所定値以上になったとき、記録済みの湾曲回数に1を加える。これを反復することにより、湾曲回数が積算される。この所定値は、内視鏡200に応じて決定される値であって、内視鏡200の湾曲試験、経験値などによって決定され、内視鏡200に記録される。所定値を内視鏡200に記録することにより、内視鏡200ごとに所定値を設定することができる。
【0030】
次に、マイコン254が湾曲期間を算出する処理について説明する。マイコン254は、湾曲部211が今までに湾曲された期間を湾曲期間として予め記録している。内視鏡200が使用されているとき、マイコン254はA/D端子を介してひずみゲージ212からの分圧を測定する。そして、分圧が所定値以上になったとき、時間を計測し始め、分圧が所定値未満になったとき、時間の計測を停止する。これにより得られた時間を記録済みの湾曲期間に加える。これを反復することにより、湾曲期間が積算される。この所定値は、内視鏡200に応じて決定される値であって、内視鏡200の湾曲試験、経験値などによって決定され、内視鏡200に記録される。所定値を内視鏡200に記録することにより、内視鏡200に応じて所定値を変更することができる。
【0031】
次に、図6を用いて第1の湾曲回数積算処理について説明する。第1の湾曲回数積算処理は、内視鏡200の使用が開始されたときにマイコン254が実行する処理であって、湾曲部211の湾曲回数を積算するために用いられる。
【0032】
始めのステップS601では、フラグFに“OFF”が代入される。これによりフラグFが初期化される。次に、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS602からS608までの処理が反復実行される。
【0033】
ステップS603では、ひずみゲージ212がオンになっているか、すなわちひずみゲージ212からの分圧が所定値以上となっているか、かつ、フラグFが“OFF”であるかを判断する。ひずみゲージ212がオンになっており、かつ、フラグFが“OFF”である場合、処理はステップS604及びS605を実行し、そうでない場合、処理はステップS604及びS605を実行せずに、ステップS606に進む。
【0034】
ステップS604では、フラグFに“ON”を代入する。そして、次のステップS605では、マイコン254は、予め記憶している湾曲回数に1を加え、得られた値を新しい湾曲回数として記憶する。そして処理はステップS606に進む。
【0035】
ステップS606では、ひずみゲージ212がオフになっているか、すなわちひずみゲージ212からの分圧が所定値未満となっているかを判断する。ひずみゲージ212がオフになっている場合、処理はステップS607を実行し、そうでない場合、処理はステップS607を実行せずに、ステップS608に進む。
【0036】
ステップS607では、フラグFに“OFF”を代入し、その後ステップS608に進む。そして、処理は再度ステップS601に戻り、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS602からS608までを反復実行する。
【0037】
第1の湾曲回数積算処理によって、湾曲部211の湾曲回数を得ることができる。
【0038】
次に、図7を用いて第1の湾曲回数・期間積算処理について説明する。第1の湾曲回数・期間積算処理は、内視鏡200の使用が開始されたときにマイコン254が実行する処理であって、湾曲部211の湾曲回数及び湾曲期間を積算するために用いられる。
【0039】
始めのステップS701では、フラグFに“OFF”が代入される。これによりフラグFが初期化される。次に、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS702からS710までの処理が反復実行される。
【0040】
ステップS703では、ひずみゲージ212がオンになっているか、すなわちひずみゲージ212からの分圧が所定値以上となっているか、かつ、フラグFが“OFF”であるかを判断する。ひずみゲージ212がオンになっており、かつ、フラグFが“OFF”である場合、処理はステップS704からS706を実行し、そうでない場合、処理はステップS704からS706を実行せずに、ステップS707に進む。
【0041】
ステップS704では、フラグFに“ON”を代入する。そして、次のステップS705では、マイコン254は、予め記憶している湾曲回数に1を加え、得られた値を新しい湾曲回数として記憶する。そして処理はステップS706に進む。
【0042】
ステップS706では記録済みの湾曲期間に時間を加算し始める。その後、処理はステップS707に進む。
【0043】
ステップS707では、ひずみゲージ212がオフになっているか、すなわちひずみゲージ212からの分圧が所定値未満となっているかを判断する。ひずみゲージ212がオフになっている場合、処理はステップS708を実行し、そうでない場合、処理はステップS708からS709を実行せずに、ステップS710に進む。
【0044】
ステップS708では、フラグFに“ON”を代入する。そして次のステップS709では、ステップS706で開始した時間の加算を終了する。これにより、ひずみゲージ212からの分圧が所定値以上となった時から所定値未満となった時までの期間、すなわち湾曲部211が曲げられてから所定の角度以下になるまでの期間が、記録済みの湾曲期間に積算される。
【0045】
その後処理は、ステップS710に進む。そして、処理は再度ステップS702に戻り、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS702からS710までを反復実行する。これを反復することにより、湾曲期間が積算される。
【0046】
第1の湾曲回数・期間積算処理によって、湾曲部211の湾曲回数及び湾曲期間を得ることができる。
【0047】
次に、図8を用いてプロセッサ警告処理について説明する。プロセッサ警告処理は、内視鏡プロセッサ300が定期的に実行する処理であって、内視鏡200のメンテナンス時期をユーザに知らせるために実行される。
【0048】
内視鏡プロセッサ300の電源がオフにされるまでステップS801からS806までの処理が反復実行される。
【0049】
ステップS802では、内視鏡プロセッサ300に内視鏡200が接続されたか否かを判断する。内視鏡200が接続された場合、処理はステップS803からS805を実行し、そうでない場合、処理はステップS803からS805を実行せずに、ステップS806に進む。
【0050】
ステップS803では、内視鏡200から湾曲回数を受信する。そして、次のステップS804では、湾曲回数が所定値以上であるか否かを判断する。湾曲回数が所定値以上である場合、処理はステップS805を実行し、そうでない場合、処理はステップS806に進む。
【0051】
次のステップS805では、内視鏡200が所定回数湾曲された旨、使用限界が来た旨、及びメンテナンス時期が来た旨をプロセッサモニタ301に表示して、ユーザに警告する。
【0052】
その後処理は、ステップS806に進む。そして、処理は再度ステップS801に戻り、内視鏡プロセッサ300の電源がオフにされるまでステップS802からS805までを反復実行する。
【0053】
プロセッサ警告処理により、使用限界が来た旨及びメンテナンス時期が来た旨をユーザに警告できる。
【0054】
次に、図9を用いてシステム警告処理について説明する。システム警告処理は、内視鏡管理サーバ400が起動したときに実行される処理であって、内視鏡200のメンテナンス時期をユーザに知らせるために実行される。
【0055】
内視鏡管理サーバ400に登録されている全ての内視鏡200に関してステップS901からS905までの処理が実行される。なお、前述したように、内視鏡管理サーバ400は、複数の内視鏡200に関して湾曲回数及び湾曲期間を記録している。
【0056】
ステップS902では、内視鏡管理サーバ400に記憶されている湾曲回数が1つだけ読み出される。
【0057】
次のステップS903では、読み出した湾曲回数が所定値以上であるか否かを判断する。湾曲回数が所定値以上である場合、処理はステップS904を実行し、そうでない場合、処理はステップS905に進む。
【0058】
ステップS904では、内視鏡200が所定回数湾曲された旨、使用限界が来た旨、及びメンテナンス時期が来た旨を管理モニタ401に表示して、ユーザに警告する。そして処理は、ステップS905に進む。
【0059】
その後、処理はステップS905を経て再度ステップS801に戻り、内視鏡管理サーバ400に登録されている全ての内視鏡200に関してステップS901からS905までの処理を実行する。
【0060】
プロセッサ警告処理により、使用限界が来た旨及びメンテナンス時期が来た旨をユーザに警告できる。
【0061】
本実施形態によれば、内視鏡湾曲部の径を太くすることなく、内視鏡200の湾曲回数及び湾曲期間を得ることができる。
【0062】
次に、図10から12を用いて第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。第2の実施形態は、ひずみゲージ212の代わりに曲げセンサ1001を用いる点において第1の実施形態と異なる。曲げセンサ1001について図10を用いて説明する。
【0063】
曲げセンサ1001は、薄膜状の長尺形状を有するセンサであって、曲げセンサ1001の湾曲角度に応じて抵抗値が略線形に変化する。曲げセンサ1001の抵抗値が40kΩであるとき湾曲角度は180度、抵抗値が30kΩであるとき湾曲角度は120度、抵抗値が20kΩであるとき湾曲角度は60度、抵抗値が10kΩであるとき湾曲角度は0度である。
【0064】
曲げセンサ1001は2つの端子を備え、一端はGNDに接続され、他端には+5Vの電圧が印加されてマイコン254のA/D端子1011に接続される。マイコン254は、例えばPIC12F675が用いられる。マイコン254は、A/D端子1011に印加される電圧を測定し、電圧に応じて曲げセンサ1001の湾曲角度を決定する。そして、湾曲角度ごとに湾曲回数及び湾曲期間を積算する。湾曲角度が60度より大きく120度未満であるとき第1の湾曲回数A及び第1の湾曲期間a、湾曲角度が120度より大きく180度未満であるとき第2の湾曲回数B及び第2の湾曲期間b、湾曲角度が180度以上であるとき第3の湾曲回数C及び第3の湾曲期間cを、それぞれ積算する。湾曲角度が60度未満であるときは、内視鏡200の寿命に影響を与えないため湾曲回数を積算しない。
【0065】
次に、図11を用いて第2の湾曲回数積算処理について説明する。第2の湾曲回数積算処理は、内視鏡200の使用が開始されたときにマイコン254が実行する処理であって、湾曲部211の湾曲回数を湾曲角度ごとに積算するために用いられる。実際にはマイコン254は曲げセンサ1001からの分圧を測定するが、以下説明のため、抵抗値を基準に湾曲角度を判断する。
【0066】
始めのステップS1101では、フラグInt_flagに“0”が代入される。これによりフラグInt_flagが初期化される。次に、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS1102からS1114までの処理が反復実行される。
【0067】
ステップS1103では、曲げセンサ1001の抵抗値が40kΩ以上かつフラグInt_flagが2であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が40kΩ以上かつフラグInt_flagが2である場合、処理はステップS1104及びS1105を実行し、そうでない場合、処理はステップS1104及びS1105を実行せずに、ステップS1106に進む。
【0068】
ステップS1104では、フラグInt_flagに“3”を代入する。そして、次のステップS1105では、マイコン254は、予め記憶している第3の湾曲回数Cに1を加え、得られた値を新しい第3の湾曲回数Cとして記憶する。そして処理はステップS1106に進む。
【0069】
ステップS1106では、曲げセンサ1001の抵抗値が30kΩ以上40kΩ未満かつフラグInt_flagが1であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が30kΩ以上40kΩ未満かつフラグInt_flagが1である場合、処理はステップS1107及びS1108を実行し、そうでない場合、処理はステップS1107及びS1108を実行せずに、ステップS1109に進む。
【0070】
ステップS1107では、フラグInt_flagに“2”を代入する。そして、次のステップS1108では、マイコン254は、予め記憶している第2の湾曲回数Bに1を加え、得られた値を新しい第2の湾曲回数Bとして記憶する。そして処理はステップS1109に進む。
【0071】
ステップS1109では、曲げセンサ1001の抵抗値が20kΩ以上30kΩ未満かつフラグInt_flagが0であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が20kΩ以上30kΩ未満かつフラグInt_flagが0である場合、処理はステップS1110及びS1111を実行し、そうでない場合、処理はステップS1110及びS1111を実行せずに、ステップS1112に進む。
【0072】
ステップS1110では、フラグInt_flagに“1”を代入する。そして、次のステップS1111では、マイコン254は、予め記憶している第1の湾曲回数Aに1を加え、得られた値を新しい第1の湾曲回数Aとして記憶する。そして処理はステップS1112に進む。
【0073】
ステップS1112では、曲げセンサ1001の抵抗値が10kΩ以上20kΩ未満であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が10kΩ以上20kΩ未満である場合、処理はステップS1113を実行し、そうでない場合、処理はステップS1113を実行せずに、ステップS1114に進む。
【0074】
ステップS1113では、フラグInt_flagに“0”を代入する。そして処理はステップS1114に進む。
【0075】
ステップS1114を経て処理は再度ステップS1102に戻り、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS1102からS1114までを反復実行する。
【0076】
第2の湾曲回数積算処理によって、湾曲部211の湾曲回数を湾曲角度ごとに得ることができる。
【0077】
次に、図12を用いて第2の湾曲回数・期間積算処理について説明する。第2の湾曲回数・期間積算処理は、内視鏡200の使用が開始されたときにマイコン254が実行する処理であって、湾曲部211の湾曲回数及び湾曲期間を湾曲角度ごとに積算するために用いられる。実際にはマイコン254は曲げセンサ1001からの分圧を測定するが、以下説明のため、抵抗値を基準に湾曲角度を判断する。
【0078】
始めのステップS1201では、フラグInt_flagに“0”が代入される。これによりフラグInt_flagが初期化される。次に、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS1202からS1114までの処理が反復実行される。
【0079】
ステップS1203では、曲げセンサ1001の抵抗値が40kΩ以上であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が40kΩ以上である場合、処理はステップS1204からS1207を実行し、そうでない場合、処理はステップS1204からS1207を実行せずに、ステップS1208に進む。
【0080】
ステップS1204では記録済みの第3の湾曲期間cに時間の加算を開始する。その後、処理はステップS1205に進む。
【0081】
ステップS1205では、フラグInt_flagが2であるか否かを判断する。フラグInt_flagが2である場合、処理はステップS1206及びS1207を実行し、そうでない場合、処理はステップS1206及びS1207を実行せずに、ステップS1208に進む。
【0082】
ステップS1206では、フラグInt_flagに“3”を代入する。そして、次のステップS1207では、マイコン254は、予め記憶している第3の湾曲回数Cに1を加え、得られた値を新しい第3の湾曲回数Cとして記憶する。そして処理はステップS1208に進む。
【0083】
ステップS1208では、曲げセンサ1001の抵抗値が30kΩ以上40kΩ未満であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が30kΩ以上40kΩ未満である場合、処理はステップS1209からS1213を実行し、そうでない場合、処理はステップS1209からS1213を実行せずに、ステップS1214に進む。
【0084】
ステップS1209では、ステップS1204で開始した第3の湾曲期間cに対する時間の加算を終了する。
【0085】
次のステップS1210では、記録済みの第2の湾曲期間bに時間の加算を開始する。その後、処理はステップS1211に進む。
【0086】
ステップS1211では、フラグInt_flagが1であるか否かを判断する。フラグInt_flagが1である場合、処理はステップS1212及びS1213を実行し、そうでない場合、処理はステップS1212及びS1213を実行せずに、ステップS1214に進む。
【0087】
ステップS1212では、フラグInt_flagに“2”を代入する。そして、次のステップS1213では、マイコン254は、予め記憶している第2の湾曲回数Bに1を加え、得られた値を新しい第2の湾曲回数Bとして記憶する。そして処理はステップS1214に進む。
【0088】
ステップS1214では、曲げセンサ1001の抵抗値が20kΩ以上30kΩ未満であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が20kΩ以上30kΩ未満である場合、処理はステップS1215からS1219を実行し、そうでない場合、処理はステップS1215からS1219を実行せずに、ステップS1220に進む。
【0089】
ステップS1215では、ステップS1210で開始した第2の湾曲期間bに対する時間の加算を終了する。
【0090】
次のステップS1216では、記録済みの第1の湾曲期間aに時間の加算を開始する。その後、処理はステップS1217に進む。
【0091】
ステップS1217では、フラグInt_flagが0であるか否かを判断する。フラグInt_flagが0である場合、処理はステップS1218及びS1219を実行し、そうでない場合、処理はステップS1218及びS1219を実行せずに、ステップS1220に進む。
【0092】
ステップS1218では、フラグInt_flagに“1”を代入する。そして、次のステップS1219では、マイコン254は、予め記憶している第1の湾曲回数Aに1を加え、得られた値を新しい第1の湾曲回数Aとして記憶する。そして処理はステップS1220に進む。
【0093】
ステップS1220では、曲げセンサ1001の抵抗値が10kΩ以上20kΩ未満であるか否かを判断する。曲げセンサ1001の抵抗値が10kΩ以上20kΩ未満である場合、処理はステップS1221及びS1222を実行し、そうでない場合、処理はステップS1221及びS1222を実行せずに、ステップS1223に進む。
【0094】
ステップS1221では、ステップS1216で開始した第1の湾曲期間aに対する時間の加算を終了する。
【0095】
次のステップS1222では、フラグInt_flagに“0”を代入する。そして処理はステップS1223に進む。
【0096】
その後処理は、ステップS1223を経ては再度ステップS1202に戻り、内視鏡200の電源がオフにされるまでステップS1202からS1223までを反復実行する。これを反復することにより、湾曲回数及び湾曲期間が積算される。
【0097】
第2の湾曲回数・期間積算処理によって、湾曲部211の湾曲回数及び湾曲期間を湾曲角度ごとに得ることができる。
【0098】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ると共に、湾曲部211の湾曲回数及び湾曲期間を湾曲角度ごとに得ることができる。内視鏡200の湾曲部211は、湾曲角度及び湾曲期間によって痛み方が異なる。湾曲角度が大きく、また湾曲期間が長くなればなるほど、湾曲部211の痛みが激しくなる。そこで、湾曲角度ごとに湾曲回数及び湾曲期間を得れば、より詳細にメンテナンス時期を推定し、ユーザに警告することができる。
【0099】
さらに、本実施形態を用いて、湾曲部211の痛み具合と湾曲角度及び湾曲期間との関係を蓄積することによって、メンテナンス時期予測の精度を向上させることができる。
【0100】
なお、システム警告処理は、内視鏡管理サーバ400が備えるボタンをユーザが押したとき、あるいは内視鏡200から湾曲回数又は湾曲期間を受信したときに実行されてもよい。
【0101】
また、システム警告処理において、内視鏡200が所定回数湾曲された旨、使用限界が来た旨、及びメンテナンス時期が来た旨をプロセッサモニタ301に表示させてもよい。
【0102】
ひずみゲージ212の代わりにフィルム状ポリマセンサ又は第2の実施形態における曲げセンサ1001を用いても良い。フィルム状ポリマセンサは曲げると電圧を生じる性質を持ち、フィルム状ポリマセンサの電圧を測定することによって、フィルム状ポリマセンサが曲げられたか否かを知ることができる。
【0103】
ひずみゲージ212の大きさは前述の大きさに限定されず、ひずみゲージ212の取り付け位置は、内視鏡200の種類によって適宜変更されても良い。
【0104】
曲げセンサ1001における抵抗値と湾曲角度との関係は、前述の値に限定されない。
【符号の説明】
【0105】
100 内視鏡管理システム
200 内視鏡
210 挿入部
211 湾曲部
212 ひずみゲージ
213 ケーブル
214 関節部材
215 セグメント
216 網状管部材
217 外皮
218 ワイヤガイド
220 操作ワイヤ
221 箔部
222 ゲージリード
223 ベース部
224 グリッド部
225 端子部
251 操作部
252 接続管
253 コネクタ
254 マイコン
255 操作ダイヤル
300 内視鏡プロセッサ
301 プロセッサモニタ
400 内視鏡管理サーバ
401 管理モニタ
500 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12