特許第5693387号(P5693387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693387
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   H01R13/66
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-128158(P2011-128158)
(22)【出願日】2011年6月8日
(65)【公開番号】特開2012-256476(P2012-256476A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2014年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 ▲厳▼水
(72)【発明者】
【氏名】木村 毅
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−159986(JP,U)
【文献】 実開平04−055773(JP,U)
【文献】 実開平06−068357(JP,U)
【文献】 特開2000−243518(JP,A)
【文献】 特表2008−527674(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第02457248(DE,A1)
【文献】 米国特許第04239319(US,A)
【文献】 米国特許第04679885(US,A)
【文献】 米国特許第05624277(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部分を有する絶縁ハウジングと、
前記絶縁ハウジングの板状部分に互いに並んで配置された複数の金属条片と、
前記複数の金属条片に接続された電子部品とを備え、
前記絶縁ハウジングは、前記複数の金属条片の間に前記電子部品を保持する第1の凹部が設けられたものであり、
前記複数の金属条片には、互いに対向する位置であって前記第1の凹部に連続する位置に、前記電子部品を該第1の凹部と共同して保持する第2の凹部が設けられたものであることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記複数の金属条片は、前記板状部分を向いた面とは反対側の面が、前記第1の凹部および前記第2の凹部に保持された電子部品とほぼ共通の面を形成するものであることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記板状部分には、前記複数の金属条片の、該板状部分に配置された部分が埋め込まれる溝が形成され、
前記複数の金属条片は前記溝内に配置され、前記板状部分と共通の面を形成するものであることを特徴とする請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項4】
板状部分を有する絶縁ハウジングと、
前記絶縁ハウジングの板状部分に並んで配置された複数の金属条片と、
前記複数の金属条片に接続された電子部品とを備え、
前記複数の金属条片は、互いに対向する位置に前記電子部品を保持する凹部を有するものであることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
相手側の電子部品に接続されるコネクタには、信号や電力を伝える導体以外に電子部品が内蔵され、回路として積極的な機能を果たすものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、信号調整を行う電子部品である回路素子が取り付けられた回路板をハウジング内に備え、この回路板に電気コンタクトおよびケーブルの導体が半田接続されたケーブル組立体が示されている。
【0004】
図1は、プリント回路基板を有するコネクタの一例を示す斜視図である。
【0005】
図1に示すコネクタ8は、例えば図示しない回路基板に実装され、図示しない相手コネクタと嵌合するコネクタである。コネクタ8は、プリント回路基板81、4つのコンタクト82、4つの基板接続端子83、および2つの電子部品84を備えている。コネクタ8には、ケースとしても機能する絶縁ハウジングも備えられている。しかし、図1では、内部構造を見やすくするため、絶縁ハウジングが取り除かれた状態が示されている。
【0006】
プリント回路基板81は、コンタクト82と基板接続端子83とを電気的に中継する。プリント回路基板81は、絶縁板の表面に導体パターン811が形成されたものである。導体パターン811には、コンタクト82と基板接続端子83が半田接続されている。電子部品84の1つは、4本ある導体パターン811のうち2本に接続され、電子部品84の残りの1つは、残り2本の導体パターン811に接続されている。
【0007】
コネクタ8は、電子部品84が搭載されたプリント回路基板81を内蔵することで、電子部品84による機能を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2000−502494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コネクタ8に内蔵されるプリント回路基板81は、一般の電子機器に内蔵されるプリント回路基板と同様の工程で製造される。すなわち、絶縁板の上に、印刷やエッチングにより導体パターン811を形成してプリント回路基板81を製造する。この後、例えば半田リフロー処理によって電子部品84を導体パターン811に半田接続する。また、コンタクト82および基板接続端子83も、導体パターン811に半田接続する。電子部品84をプリント回路基板81に半田リフロー処理で半田接続する前には、プリント回路基板81上に電子部品84を位置決めし、接着剤等により仮固定しておく必要がある。
【0010】
また、図1に示すものとは別の構造として、コンタクトに電子部品を、ボンディングワイヤを介して接続することが考えられる。しかし、ボンディングワイヤによる固定は不十分なため、コンタクトおよび電子部品を樹脂のオーバーモールドによって封止し、固定する必要がある。仮にボンディングワイヤによる接続であっても、樹脂で封止する際に電子部品がずれるのを防ぐために、電子部品の接着等による仮固定が必要となる。
【0011】
このように、コネクタに電子部品を備えようとすると、構造が複雑となり、またプリント基板の製造や仮固定等の製造工程が増える。
【0012】
本発明は上記問題点を解決し、電子部品を備えつつも、部品数および製造工程を低減したコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明ののうちの第1のコネクタは、
板状部分を有する絶縁ハウジングと、
上記絶縁ハウジングの板状部分に互いに並んで配置された複数の金属条片と、
上記複数の金属条片に接続された電子部品とを備え、
上記絶縁ハウジングは、上記複数の金属条片の間に上記電子部品を保持する凹部が設けられたものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の第1のコネクタでは、絶縁ハウジングの複数の金属条片の間に電子部品を保持する凹部が設けられている。このため、導体パターンが形成されたプリント配線板を用いる必要がない。また、コネクタの製造では、絶縁ハウジングの凹部に電子部品を挿入するだけで、電子部品が複数の金属条片の間に位置決めされ、仮固定される。したがって、構造が簡潔で部品数および製造工程が低減される。
【0015】
ここで、上記本発明の第1のコネクタにおいて、上記複数の金属条片は、上記板状部分を向いた面とは反対側の面が、上記凹部に保持された電子部品とほぼ共通の面を形成するものであることが好ましい。ここで、「金属条片の面が電子部品とほぼ共通の面を形成する」とは、金属条片の面と電子部品の面との差が金属条片の厚さの1/2程度以内であることを指す。
【0016】
金属条片と電子部品とが共通の面を形成することによって、例えば金属条片と電子部品とを半田リフロー処理で半田接続する場合に、金属条片と電子部品とに亘って半田ペーストを塗布することが容易である。
【0017】
また、上記本発明の第1のコネクタにおいて、上記板状部分には、上記複数の金属条片の、この板状部分に配置された部分が埋め込まれる溝が形成され、
上記複数の金属条片は上記溝内に配置され、上記板状部分と共通の面を形成するものであることが好ましい。
【0018】
金属条片と板状部分とが共通の面を形成することによって、半田ペーストの塗布がさらに容易になる。
【0019】
また、上記本発明の第1のコネクタにおいて、上記複数の金属条片には、互いに対向する位置に上記電子部品を保持する凹部が設けられたものであることが好ましい。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明のコネクタのうちの第2のコネクタは、
板状部分を有する絶縁ハウジングと、
上記絶縁ハウジングの板状部分に並んで配置された複数の金属条片と、
上記複数の金属条片に接続された電子部品とを備え、
上記複数の金属条片は、互いに対向する位置に上記電子部品を保持する凹部を有するものであることを特徴とする。
【0021】
本発明の第2のコネクタでは、導体パターンが形成されたプリント配線板を用いる必要がない。また、コネクタの製造において、電子部品を複数の金属条片の凹部に保持されるように挿入するだけで、電子部品が複数の金属条片の間に位置決めされ、仮固定される。したがって、構造が簡潔で製造工程が低減する。
【0022】
なお、本発明の第2のコネクタについては、ここではその基本形態のみを示すのに留めるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明の第2のコネクタには、上記の基本形態のみではなく、本発明の第1のコネクタに対応する各種の形態が含まれる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、電子部品を備えつつも、部品数および製造工程を低減したコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、プリント回路基板を有するコネクタの一例を示す斜視図である。
図2】本発明のコネクタの第1実施形態を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の第1変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。
図4】第1実施形態の第2変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。
図5】本発明のコネクタの第2実施形態を示す斜視図である。
図6】第2実施形態の第1変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。
図7】第2実施形態の第2変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。
図8】本発明のコネクタの第3実施形態を示す斜視図である。
図9】第3実施形態の変形例であるコネクタの、コンタクトの一部を示す拡大斜視図である。
図10】本発明のコネクタの第4実施形態を示す斜視図である。
図11】本発明のコネクタの、コンタクトと電子部品の配置が異なる変形例を説明する部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図2は、本発明のコネクタの第1実施形態を示す斜視図である。
【0027】
図2に示すコネクタ1は、例えば、図示しない回路基板に半田接続され、図示しない相手部品と着脱自在に嵌合するものである。コネクタ1は、絶縁ハウジング11、4つのコンタクト12、および2つの電子部品14を備えている。
【0028】
絶縁ハウジング11は、例えば絶縁性の樹脂材料で形成されており、板状部分111を有する。絶縁ハウジング11は、コンタクト12を収容・保持するとともに、コネクタ1における残りの部材の全体を取り囲み、コネクタ1の外装ケースとしても機能する。ただし、図2では、内部構造を見やすくするため、絶縁ハウジング11のうち、板状部分111のみを示す。このことは、以降の図においても同様である。
【0029】
4つのコンタクト12は、絶縁ハウジング11の板状部分111の上に互いに並んで配置されている。板状部分111の、コンタクト12が配置された面は平板状になっている。コンタクト12のそれぞれは、長く延びた金属条片である。コンタクト12は、例えば、導電性の金属板を打抜き加工および折曲げ加工することによって形成されており、矩形状の断面を有する。コンタクト12は、一端に、図示しない相手部品の導体と弾性接触する接触部121を有し、他端に、図示しない回路基板に半田接続される接続部122を有する。コンタクト12は、図示しない相手部品と回路基板との間を電気的に結合する。
【0030】
ここで、コンタクト12が、本発明にいう金属条片の一例に相当する。
【0031】
コンタクト12は、板状部分111と接している。より詳細には、4つのコンタクト12は、互いに略平行に並んでいる。コンタクト12は、接触部121と接続部122との間の途中の部分が板状部分111の上に載っている。なお、コンタクト12は、板状部分111に接着等により固定されていてもよく、あるいは、絶縁ハウジング11のうち板状部分111以外の部分に固定されることにより、板状部分111に対して間接的に固定されていてもよい。
【0032】
電子部品14は、チップ形に作られたいわゆるチップ部品である。電子部品14は、例えば、直方体形状を有し、両端に電極141が設けられたチップ抵抗器である。ただし、電子部品14の種類としては、コネクタ1の用途や機能に応じて、コンデンサ等、他の受動素子や半導体等の能動素子、あるいは素子を組み合わせたモジュールも採用可能である。本実施形態のコネクタ1は、2つの電子部品14を有するが、図2では、電子部品14の保持構造を見やすくするよう、一方の電子部品を取り除いた状態が示されている。このことは、以降の図についても同様である。
【0033】
2つの電子部品14のうちの1つは、4つのコンタクト12のうちの隣り合った2つに接続されており、残り1つは、4つのコンタクト12のうち残りの隣り合った2つに接続されている。2つの電子部品14にそれぞれ対応するコンタクト12の組は、互いに同じ構造を有しているので、図における符号は説明に応じて見やすい側に付すこととする。
【0034】
電子部品14は、隣り合った2つのコンタクト12の間に配置されており、電子部品14が有する2つの電極141が、半田接続によって2つのコンタクト12にそれぞれ接続されている。
【0035】
絶縁ハウジング11の板状部分111には、2つのコンタクト12の間に、電子部品14を保持する凹部111rが設けられている。凹部111rは、電子部品14の形状に相応した形状を有する。ここでは、凹部111rは矩形状である。凹部111rには、電子部品14の底面部分が嵌り込む。凹部111rの深さは、電子部品14の、板状部分111に配置された姿勢における高さと、コンタクト12の高さすなわち板厚との差に略等しい。
【0036】
電子部品14が間に配置される、互いに隣り合った2つのコンタクト12には、互いに対向する位置に凹部12rが設けられている。コンタクト12の凹部12rは、コンタクト12の一部が、電子部品14の電極141部分に相応した略矩形に切り欠かれた形状を有する。コンタクト12の凹部12rは、板状部分111の凹部111rが設けられた位置に、板状部分111の凹部111rに連続するように設けられている。
【0037】
電子部品14が板状部分111の凹部111rに挿入された状態では、電子部品14の電極141の部分が、コンタクト12の凹部12rに入り込んでいる。より詳細には、電子部品14は、底面部分が板状部分111の凹部111rに入り込んでおり、電子部品14の板状部分111から突出した部分のうち、電極141の部分が、コンタクト12の凹部12rに入り込んでいる。電子部品14の電極141は、コンタクト12に接触するか、または、間に溶融半田が入り込む程度の隙間を有して近接している。
【0038】
また、電子部品14の高さは、凹部111rの深さとコンタクト12の板厚との和に略等しい。このため、コンタクト12の上面12u、すなわち、板状部分111を向いた面とは反対側の面が、凹部111rに保持された電子部品14と共通の面Sを形成する、いわゆる面一(つらいち)の関係を成している。
【0039】
電子部品14の電極141とコンタクト12とは、図示しない半田によって電気的に結合している。
【0040】
[コネクタの組立て方法]
コネクタ1の組立てにおいては、まず、板状部分111を含む絶縁ハウジング11と、コンタクト12とを作成する。板状部分111の凹部111rは、絶縁ハウジング11の成型時に他の部分と同時に形成される。また、コンタクト12の凹部12rも、打抜き加工時に他の部分と同時に形成される。
【0041】
次に、絶縁ハウジング11にコンタクト12を組み合わせることで、絶縁ハウジング11の板状部分111にコンタクト12の位置が直接あるいは間接に固定された状態とする。このとき、コンタクト12の凹部12rの位置が、板状部分111の凹部111rの位置に合わせられる。
【0042】
次に、板状部分111の凹部111rに電子部品14を挿入する。電子部品14は、板状部分111の凹部111rに挿入されることによって、コンタクト12の間に位置決めされ、仮固定される。
【0043】
次に、電子部品14の電極141と、コンタクト12のうち電極141近傍の部分とに亘って、クリーム状の半田を塗布する。本実施形態のコネクタ1は、コンタクト12の上面12uと電子部品14とがいわゆる面一の関係を成しているため、クリーム状の半田がスクリーン印刷によって両者に亘り切れ目なく塗布される。
【0044】
次に、板状部分111、コンタクト12、および電子部品14からなる組立体を半田リフロー装置で熱処理する。これにより、クリーム状の半田が溶融し、コンタクト12と電子部品14とを電気的に結合するとともに機械的に固定する。
【0045】
次に、上記組立体を取り囲むように絶縁ハウジング11を組み付ける。これにより、コネクタ1が完成する。
【0046】
ここで、コンタクト12および電子部品14が半田によって固定される前の段階、すなわち、クリーム状の半田が塗布される段階や、半田リフロー装置に投入される段階では、電子部品14がコンタクト12に固定されていない。しかし、本実施形態では、板状部分111の凹部111rに電子部品14が挿入されるため、電子部品14がコンタクト12の間に位置決めされ、仮固定される。また、電子部品14の位置決めおよび仮固定は、コンタクト12の凹部12rによっても補強される。
【0047】
このように、本実施形態のコネクタ1によれば、例えばプリント回路基板や仮固定の接着剤を用いることがない。したがって、部品数および製造工程が低減される。
【0048】
また、半田接続後においても、板状部分111の凹部111rおよびコンタクト12の凹部12rによって、電子部品14の固定が強固である。このため、例えばオーバーモールドによる電子部品14の固定が不要である。
【0049】
[第1実施形態の第1変形例]
続いて、上述した第1実施形態に対し、コンタクト12の凹部12rが設けられていない第1の変形例および第2の変形例について説明する。
【0050】
図3は、第1実施形態の第1変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。図3には、構造を見やすいように、変形例における違いを有する電子部品周辺の一部が切断され、拡大して示されている。
【0051】
図3に示すコネクタ1Aは、電子部品14Aを挟んで隣り合う2つのコンタクト12Aに凹部が設けられていない。2つのコンタクト12Aの間隔は、コンタクト12Aの並ぶ方向における電子部品14Aの長さと同じとなっている。したがって、2つのコンタクト12Aの間に配置された電子部品14Aは、これら2つのコンタクト12Aに電気的に接続される。
【0052】
図3に示すコネクタ1Aは、板状部分111Aに、図1に示すコネクタ1と同様の凹部111Arが設けられており、電子部品14Aは、凹部111Arに挿入されている。コネクタ1Aの製造過程において、電子部品14Aがコンタクト12Aの間に位置決めされ、仮固定される。
【0053】
[第1実施形態の第2変形例]
図4は、第1実施形態の第2変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。図4図3と同様、コネクタの1つの電子部品の周辺の一部が切断され、拡大して示されている。
【0054】
図4に示すコネクタ1Bは、電子部品14Bを挟んで隣り合う2つのコンタクト12Bに、互いに対向する向きに突出した凸部12Bpが設けられている。2つのコンタクト12Bの間隔は、コンタクト12Bの並ぶ方向における電子部品14Bの長さよりも長いが、2つの凸部12Bpの間隔と略等しい。したがって、2つのコンタクト12Bの間、より詳細には、2つの凸部12Bpの間に配置された電子部品14Bは、これら2つのコンタクト12Aに電気的に接続される。
【0055】
図4に示すコネクタ1Bも、板状部分111Bに、図1に示すコネクタ1と同様の凹部111Brが設けられており、電子部品14Bは、凹部111Brに挿入されている。コネクタ1Bの製造過程において、電子部品14Bがコンタクト12Bの間に位置決めされ、仮固定される。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、第1実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0057】
図5は、本発明のコネクタの第2実施形態を示す斜視図である。
【0058】
図5に示すコネクタ2は、絶縁ハウジング21の板状部分211に、4つのコンタクト12が埋め込まれる4つの溝211sが設けられている。4つのコンタクト12は、溝211sの中にそれぞれ配置されている。溝211sは、コンタクト12の形状に合わせて直線状に延びた形状を有している。溝211sの深さは、コンタクト12の、板状部分211に配置された部分の板厚と略等しい。また、溝211sの幅は、コンタクト12の、板状部分211に配置された部分の幅と略等しい。
【0059】
また、絶縁ハウジング21に形成された凹部211Brの深さは、電子部品14Bの高さと略等しい。
【0060】
図5に示すコネクタ2は、コンタクト12の上面12uと、凹部211rに保持された電子部品14と、板状部分211との3つの部分が、共通の面Sを形成する、いわゆる面一(つらいち)の関係を成している。このため、コネクタ2の製造過程において、クリーム状の半田を印刷によって塗布する際に、クリーム状の半田がコンタクト12とコンタクト12との間の隙間に入り込むことが防止される。
【0061】
[第2実施形態の第1変形例]
図6は、第2実施形態の第1変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。
【0062】
図6に示すコネクタ2Aは、図3に示す第1実施形態の第1変形例と同様、コンタクト12Aに凹部が設けられていない。2つのコンタクト12Aの間隔は、コンタクト12Aの並ぶ方向における電子部品14Aの長さと同じとなっている。したがって、2つのコンタクト12Aの間に配置された電子部品14Aは、これら2つのコンタクト12Aに電気的に接続される。
【0063】
図6に示すコネクタ2Aは、図5に示すコネクタ2と同様、電子部品14Aが、板状部分211Aの凹部211Arに挿入される。したがって、コネクタ1Aの製造過程において、電子部品14Aがコンタクト12Aの間に位置決めされ、仮固定される。また、コンタクト12A、電子部品14A、および板状部分211Aは共通面を形成しており、半田が適切な領域に配置される。
【0064】
[第2実施形態の第2変形例]
図7は、第2実施形態の第2変形例であるコネクタを示す拡大斜視図である。
【0065】
図7に示すコネクタ1Bは、図4に示す第1実施形態の第2変形例と同様、電子部品14Bを挟んで隣り合う2つのコンタクト12Bに、互いに対向する向きに突出した凸部12Bpが設けられている。2つのコンタクト12Bの間、より詳細には、2つの凸部12Bpの間に配置された電子部品14Bは、これら2つのコンタクト12Bに電気的に接続される。
【0066】
図7に示すコネクタ2Bも、図5に示すコネクタ2と同様、電子部品14Bが、板状部分211Bの凹部211Brに挿入されている。コネクタ1Bの製造過程において、電子部品14Bがコンタクト12Bの間に位置決めされ、仮固定される。また、コンタクト12B、電子部品14B、および板状部分211Bは共通面を形成しており、半田が適切な領域に配置される。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の第3実施形態の説明にあたっては、第1実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0068】
図8は、本発明のコネクタの第3実施形態を示す斜視図である。
【0069】
図8に示すコネクタ3の板状部分311には、電子部品14を挿入する凹部は設けられていない。電子部品14は、平板状である板状部分311の上に載っており、コンタクト12の上面12uより突出している。
【0070】
コネクタ3のコンタクト12は、図2に示す第1実施形態のコネクタ1の場合と同じく、電子部品14を保持する凹部12rが設けられている。電子部品14は、コンタクト12の凹部12rに入り込んでおり、コンタクト12と半田接続されている。
【0071】
コネクタ3の製造過程において、コンタクト12および電子部品14が半田によって固定される前の段階では、電子部品14がコンタクト12に固定されていない。しかし、本実施形態では、電子部品14がコンタクト12の凹部12rに保持されるため、電子部品14がコンタクト12の間に位置決めされ、仮固定される。また、半田接続後も、コンタクト12の凹部12rによって、電子部品14の固定が強固になる。
【0072】
このように、本実施形態のコネクタ3によれば、例えば仮固定の接着剤を用いることがない。
【0073】
[第3実施形態の変形例]
図9は、第3実施形態の変形例であるコネクタの、コンタクトの一部を示す拡大斜視図である。
【0074】
図9に示すコンタクト12Aの凹部12Arの概略形状は電子部品14の電極141(図8参照)の部分の形状に合わせて、矩形状である。より詳細には、凹部12Arは、コンタクト12Aの縁を除いた3辺に形成された凸部Jと、3辺の凸部Jに囲まれ、凸部Jよりも低い窪み部Kとを有する。凸部Jは3辺に沿って延びた突条である。凸部Jと窪み部Kで構成された凹部12Arもまた、図8に示すコンタクト12の凹部12rと同様に電子部品14を保持することができる。
【0075】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の第4実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた第3実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、第3実施形態との相違点について説明する。
【0076】
図10は、本発明のコネクタの第4実施形態を示す斜視図である。
【0077】
図10に示すコネクタ4のコンタクト12は、板状部分311の上に配置された部分の途中に、湾曲して板状部分311から離れた浮き上がり部42fが設けられている。コンタクト42の、電子部品14を保持する凹部42rは浮き上がり部42fに設けられている。コンタクト42の浮き上がり部42fは、この浮き上がり部42fの上面44wが、板状部分311に載った電子部品14を同じ高さとなる程度に、板状部分311から離れている。コンタクト42の凹部42rの形状は、第3実施形態のコネクタ3における凹部12rと同様である。このため、コンタクト42の浮き上がり部42fにおける上面12w、すなわち、板状部分311を向いた面とは反対側の面が、電子部品14と共通の面S2を形成する、いわゆる面一(つらいち)の関係を成している。
【0078】
コネクタ4の製造過程では、電子部品14がコンタクト12の凹部12rに保持されるため、電子部品14がコンタクト12の間に位置決めされ、仮固定される。また、仮固定された電子部品14の電極141と、コンタクト12の浮き上がり部42fとに亘って、クリーム状の半田が塗布され、加熱される。本実施形態におけるコネクタ4では、コンタクト12の浮き上がり部42fにおける上面12wと電子部品14とが、いわゆる面一の関係を成しているため、クリーム状の半田が印刷によって両者に亘り切れ目なく塗布される。
【0079】
なお、上述した実施形態には、本発明にいうコネクタの例として、4つのコンタクト(金属条片)および2つの電子部品を有するコネクタが示されている。ただし、本発明におけるコネクタはこれに限られるものではなく、例えば、4つ以外の複数の金属条片および2つ以外の数の電子部品を有するものであってもよい。
【0080】
また、上述した実施形態には、本発明にいうコネクタの例として、4つのコンタクトが略平行に並び、そのうちの隣り合った2つのコンタクトの間に電子部品が配置された構造が示されている。ただし、本発明における金属条片と電子部品が配置はこれに限られるものではない。
【0081】
図11は、本発明のコネクタにおける、コンタクトと電子部品の配置についての変形例を説明する部分平面図である。
【0082】
図11に示すコネクタ5は、図示しない相手部品と接触するコンタクト52と、図示しない回路基板に半田接続される接続端子53とを備えている。ここで、コンタクト52および接続端子53のそれぞれが、本発明における複数の金属条片の一例に相当する。コンタクト52および接続端子53は、板状部分511の上に、それぞれが延びる向きに一直線上に並んでいる。板状部分511には、コンタクト52と接続端子53との間に凹部511rが設けられており、電子部品14は凹部511rに保持されている。本発明のコネクタの金属条片は、例えば図11に示す配置のものであってもよい。
【0083】
また、上述した実施形態には、本発明にいう電子部品の例として、2つの電極141を有する電子部品14が示されている。ただし、本発明における電子部品はこれに限られるものではなく、例えば、3つ以上の電極を有するものであってもよい。また、電子部品の形状も、直方体形状に限られるものではなく、例えば、円筒形、錐形、または錐台形であってもよい。
【0084】
また、上述した実施形態には、本発明にいう金属条片および電子部品の例として半田接続されたコンタクトと電子部品が示されている。ただし、本発明における金属条片および電子部品は、半田接続されるものに限られるものではなく、ワイヤボンディングや導電性接着剤によって接続されたものであってもよい。
【0085】
また、上述した実施形態には、本発明にいうコネクタの例として、例えば、相手部品と着脱自在に嵌合するコネクタが示されている。ただし、本発明におけるコネクタは、これに限られるものではなく、例えば、ICに接続されるソケットであってもよい。
【0086】
さらに、コンタクトの上面は電子部品の上面とは必ずしも面一の関係にする必要はなく、例えば、コンタクトの上面と電子部品の上面との差がコンタクトの板厚の1/2程度以内であればよい。
【符号の説明】
【0087】
1,1A,1B,2,3,4,5 コネクタ
11,21 絶縁ハウジング
111,111A,111B,211,211A,211B,
311,511 板状部分
111r,111Ar,111Br,211r,211Br,511r 凹部
12,12A,12B,42,52 コンタクト
12r,12Ar,42r 凹部
14,14A,14B 電子部品
53 接続端子
S,S2 共通の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11