特許第5693428号(P5693428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693428
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】医用画像形成時の造影剤量の決定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20150312BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20150312BHJP
   A61N 5/10 20060101ALN20150312BHJP
【FI】
   A61B6/00 331B
   A61B6/03 375
   !A61N5/10 P
   !A61N5/10
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-229839(P2011-229839)
(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公開番号】特開2012-90979(P2012-90979A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2011年12月2日
(31)【優先権主張番号】10 2010 042 931.7
(32)【優先日】2010年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アルメンディンガー
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/101184(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/012023(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/081830(WO,A1)
【文献】 特開2006−212430(JP,A)
【文献】 特開2006−325615(JP,A)
【文献】 特開2006−305323(JP,A)
【文献】 特開2010−167189(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/123256(WO,A1)
【文献】 特表2008−521506(JP,A)
【文献】 特表2007−502140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施すべき画像形成検査のためのパラメータを操作者が入力できる入力ユニット(1)と、
その検査に必要な造影剤量を決定するための複数の計算式が少なくとも記憶されているメモリユニット(2)と、
画像形成装置(6)に対するインターフェース(3)とを備え、
このインターフェース(3)を介して、画像形成装置(6)の設定パラメータが、照会により画像形成装置(6)から取り出されるか、又は画像形成装置(6)に伝達され、
さらに、
計算のために必要な設定パラメータをこのインターフェース(3)を介して照会により画像形成装置(6)から取り出すか又は入力された設定パラメータをインターフェース(3)を介して画像形成装置(6)に伝達し、入力されたパラメータまたは照会されたパラメータに応じて、割り当てられた計算式を呼び出し、この計算式を用いて、入力されたパラメータまたは照会されたパラメータに基づいて造影剤量を計算する計算ユニット(4)と、
この計算ユニット(4)によって計算された造影剤量を表示する出力ユニット(5)とを備え、
計算された造影剤量に関して検査に必要な造影剤量の最小値が定められている
医用画像形成時の造影剤量の決定装置。
【請求項2】
インターフェース(3)は画像形成装置(6)としてのCT装置との通信用に構成され、計算ユニット(4)は、インターフェース(3)を介して、画像形成検査のために計画されたスキャン時間を、画像形成装置(6)から取り出すことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
計算ユニット(4)は、インターフェース(3)を介して、画像形成検査のために画像形成装置(6)に設定されたX線電圧を照会することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
計算ユニット(4)は、入力ユニット(1)により入力された画像形成装置(6)のための設定パラメータを、インターフェース(3)を介して画像形成装置(6)に伝達することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
計算ユニット(4)は、インターフェース(3)を介して、画像形成装置(6)により決定されたテストボーラスの遅れ時間を、照会により画像形成装置(6)から取り出すことを特徴とする請求項1から4の1つに記載の装置。
【請求項6】
計算ユニット(4)は、インターフェース(3)を介して、画像形成装置(6)によってトポグラムから求められた被検査患者の体重を照会することを特徴とする請求項1から5の1つに記載の装置。
【請求項7】
計算ユニット(4)は、実施されるべき画像形成検査のための造影剤流量を算出することを特徴とする請求項1から6の1つに記載の装置。
【請求項8】
請求項1から7の1つに記載の装置を有するコンピュータ断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像形成時、特にコンピュータ断層撮影による検査時の造影剤量の決定装置に関する。この装置は、患者に画像形成時に造影剤を注入しなければならない他の画像形成装置に接続して使用することもでき、例えば磁気共鳴断層撮影において使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
CTスキャン(CT:コンピュータ断層撮影)の実施および計画は、満足のいく画像結果を得るために、確かな知識および経験を必要とする。操作者が入力した検査シナリオもしくは選択したスキャンプロトコルに応じてCT装置自体がCT装置の複雑な設定を行なう範囲が次第に増えている。例えばX線電圧の自動的又は半自動的な選択のように部分的に自動化されメカニズムも知られている。
【0003】
しかし、造影剤を注入しながらCTスキャンを実施する際には、CT装置の設定パラメータのほかにスキャンに必要な造影剤量も決定しなければならない。造影剤流量も造影剤量も従来では完全に手作業にて患者ごとに個々に計算されていた。多くの場合、このために造影剤注入のための計算を引き受ける経験豊かな医師が必要である。その他の場合には、たいてい必要な量の旧式の概算が行なわれ、この方法では確かに十分な量ではあるが、もちろん一般には過剰な量の造影剤が投与される。例えば体重、年齢、性別、腎臓状態等の患者に直接的に関係する情報のほかに、CT装置の設定パラメータも、造影剤量を正しく決定するために重要である。これらのデータは、操作者によって手作業で引き受けられて、造影剤量の計算に利用される。これはもちろん労力を要し、とりわけ計算が医師によって行なわれない場合間違い易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、画像形成装置の操作者のために医用画像形成時の造影剤量の決定を容易にし、決定の際の間違い易さを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、
実施すべき画像形成検査のためのパラメータを操作者が入力できる入力ユニットと、
その検査に必要な造影剤量を決定するための複数の計算式が少なくとも記憶されているメモリユニットと、
画像形成装置の設定パラメータが照会により画像形成装置から取り出されるか、又は画像形成装置に伝達されることを可能にする、画像形成装置に対するインターフェースと、
このインターフェースを介して計算のためになおも必要な設定パラメータを照会により画像形成装置から取り出すか又はインターフェースを介して入力された設定パラメータを画像形成装置に伝達し、入力されたパラメータおよび/または照会されたパラメータに応じて、割り当てられた計算式を呼び出し、この計算式を用いて、入力されたパラメータおよび/または照会されたパラメータに基づいて造影剤量を計算する計算ユニットと、
この計算ユニットによって計算された造影剤量を表示する出力ユニットとを備え、
計算された造影剤量に関して検査に必要な造影剤量の最小値が定められている、医用画像形成時、特にコンピュータ断層撮影による検査時の造影剤量の決定装置により解決される(請求項1)。
本発明の有利な実施態様は次の通りである。
・インターフェースは画像形成装置としてのCT装置との通信用に構成され、計算ユニットは、インターフェースを介して、画像形成検査のために計画されたスキャン時間を画像形成装置から取り出す(請求項2)。
・計算ユニットは、インターフェースを介して、画像形成検査のために画像形成装置に設定されたX線電圧を照会する(請求項3)。
・計算ユニットは、入力ユニットにより入力された画像形成装置のための設定パラメータ、特にスキャンプロトコル、スキャン時間および/又はCTスキャンの場合におけるX線電圧(つまり、スキャンプロトコル、スキャン時間およびCTスキャンの場合におけるX線電圧のうちの少なくとも1つ)をインターフェースを介して画像形成装置に伝達する(請求項4)。
・計算ユニットは、インターフェースを介して、画像形成装置により決定されたテストボーラスの遅れ時間を照会により画像形成装置から取り出す(請求項5)。
・計算ユニットは、インターフェースを介して、画像形成装置によってトポグラムから求められた被検査患者の体重を照会する(請求項6)。
・計算ユニットは、実施されるべき画像形成検査のための造影剤流量を算出する(請求項7)。
【0006】
本発明による装置は、少なくとも、入力ユニット、メモリユニット、画像形成装置に対するインターフェース、計算ユニットならびに出力ユニットを有する。入力ユニットを介して操作者によって、実施すべき画像形成検査(画像化検査)のためのパラメータが入力される。これらのパラメータは、とりわけ又は専ら、造影剤量を決定するために必要なパラメータである。これらは、一方では患者データ、特に患者の体重であり、他方では画像形成装置用の設定パラメータ、例えば特定のスキャンプロトコルの入力又は選択、又は予想スキャン時間、又はCTスキャンの場合における選択されたX線電圧である。造影剤流量が本発明による装置によって自動的に計算されない場合は造影剤流量も入力することができる。メモリユニット内には造影剤量の計算のための計算式が記憶されている。このメモリユニットには、操作者によって入力されたパラメータ、又は画像形成装置からインターフェースを介して得られたデータ、例えば現在の設定値もしくは設定パラメータも、あるいはその他の情報も記憶することができる。画像形成装置に対するインターフェースは、該インターフェースを介して画像形成装置の現在の設定パラメータもしくは設定値を照会し、又は所望の設定パラメータもしくは設定値を画像形成装置に伝達することができるように構成されている。計算ユニットは、計算式に基づいて造影剤量を決定するためになおも必要な設定パラメータをインターフェースを介して画像形成装置から取り出すように、又は、これらの設定パラメータが操作者によって直接に本発明による装置に入力された場合にはこれらの入力された設定パラメータをインターフェースを介して画像形成装置に伝達するように構成され、画像形成装置は後で画像形成検査を実施するためにこれらのパラメータを受け取る。この場合に、画像形成装置は、インターフェースを介して設定パラメータを照会し、又は設定パラメータを受信して受け取るべく構成されている。計算ユニットは、入力されたパラメータおよび/または照会されたパラメータに応じて正しい計算式を呼び出し、この計算式を用いて、入力されたパラメータおよび/または照会されたパラメータに基づいて造影剤量を算出する。この場合に、造影剤量の計算に関しては、一般に次の近似式しか、即ち、例えばコンピュータ断層撮影の分野では、検査すべき身体部分およびスキャンプロトコルの種類に応じて異なる近似式しか知られていないことが考慮される。従って、正しい計算式が、計算ユニットによって、このために入力されたパラメータに応じて識別されて呼び出される。従って、計算式ごとに相応に当該計算式が成り立つパラメータ範囲も記憶されている。算出された造影剤量は計算ユニットによって出力ユニットに転送され、算出された造影剤量が出力ユニットによって操作者に対して表示される。出力ユニットは、入力されたパラメータおよび/または照会されたパラメータをその入力時および/又は出力時に表示することができる画面であるとよい。
【0007】
従って、本発明による装置によって、操作者は画像形成検査(画像化検査)のために必要な造影剤量の決定が容易になり、操作者は造影剤量をもはや手作業で計算する必要がない。必要な計算式は、一度だけ経験豊かな医師又は技師によって本発明による装置内に記憶され、その後は全ての操作者によって使用することができる。それによって、経験の少ない操作者も画像形成検査を実施することができる。画像形成装置または本発明による装置に入力された画像形成装置ための設定パラメータを自動的に受信するか又は送信することによって、これらのパラメータを手動的に伝達する場合に起こる間違いを回避することができる。設定パラメータは、一度だけ画像形成装置自体または本発明による装置に入力すればよく、同時に造影剤量の算出と画像形成装置の設定とのために使用することができる。
【0008】
CT装置を用いた用途のための本発明による装置の好ましい実施態様では、インターフェースを介して、計画されたスキャンの時間が少なくとも照会される。随意的に、計画されたスキャンのためのX線電圧も、これが計算のために必要であるならば照会することができる。
【0009】
本発明による装置の他の実施態様においては、入力ユニットが、この入力ユニットを介して操作者が画像形成装置のために必要な設定パラメータを入力することができるように構成されている。計算ユニットはこれらのデータを画像形成装置に伝達するので、そこでは特別な入力を行なう必要がない。特に、画像形成装置のためのこれらの入力データは、特定のスキャンプロトコルの選択又は指定、および/又はスキャン時間、および/又はX線電圧である。
【0010】
他の有利な実施態様においては、前もって画像形成装置により患者においてテストボーラスが実施された際に求められたテストボーラスの遅れ時間が、インターフェースを介して照会によりその画像形成装置から取り出される。
【0011】
テストボーラスは、時間的進展の知識から注入と撮影期間との間の時間的な同調を改善するために、少量の造影剤量およびX線量により実施される。テストボーラスの遅れ時間は造影剤量の計算時に重要である。
【0012】
他の実施態様においては、患者の体重が、本発明による装置又はCT装置によって自動的に、予め作成された患者のトポグラムに基づいて算出される。この種の算出は既に従来技術から知られている。この際に求められた体重は造影剤量の計算に利用される。従って、この場合には操作者が患者の体重を特別に入力する必要がない。
【0013】
造影剤流量は、操作者によって手動的に入力されてもよいし、本発明による装置の他の有利な実施態様に従って本装置によって自動的に計算されてもよい。このために、ここでも相応の公知の計算式が記憶されている。本発明による装置は、画像形成装置から分離して構成することができ、画像形成装置とのケーブル接続又は無線接続により必要なデータを交換することができる。しかし、有利な実施態様では、本発明による装置が画像形成装置に組み込まれている。この場合に画像形成装置の設定パラメータのための入力ユニットは同時に、本発明による装置の入力ユニットであってよい。
【0014】
以下において、図面を参照しながら実施例に基づいて、本発明による装置をもう一度簡潔に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明による装置の構成を示す概略図である。
図2図2は入力パラメータおよび造影剤量出力の第1の例を示す概略図である。
図3図3は入力パラメータおよび造影剤量出力の第2の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明による装置の原理的構成の一例を概略的に示す。この装置は、画像形成装置の操作者によって検査パラメータを入力するための入力ユニット1と、メモリユニット2と、画像形成装置、例えばCT装置6のためのインターフェース3と、計算ユニット4と、出力ユニット5とを有する。メモリユニット2内には造影剤量を計算するための計算式が記憶されている。本発明による装置はインターフェース3を介してCT装置6に接続され、このインターフェース3を介してCT装置6の設定パラメータが照会可能であり、又はCT装置6に伝達可能である。計算ユニット4は、設定パラメータのこの伝達又は照会を実行し、操作者によって入力され計算に必要である設定パラメータおよびその他のパラメータに基づいて造影剤量を計算し、場合によって造影剤流量も計算する。
【0017】
実現可能な非常に簡単な実施態様においては、心臓検査時の造影剤量の計算のために、次の非常に簡単な計算式を使用することができる。しかし、予め与えられた造影剤流量F、および照会によりCT装置から取り出された推定スキャン時間Sの場合に、造影剤量S×Fは、少なくとも60mlであり、且つ最大120mlである。包括的な式として、心臓検査のために選択されたスキャンプロトコルに関しては、必要な造影剤量Cの計算のために次の式が本発明による装置内に記憶されているとよい。
C=MIN[MAX[S×F,60],120]
【0018】
造影剤量Cについてのこの値は自動的に計算されて、操作者に対して提示される。
【0019】
以下において2つの他の例に基づいて考えられ得る簡単な実現が示されている。この場合に入力パラメータとしては、
計画されたスキャンの予想時間S、
CT装置の設定電圧V、
患者の体重W(手動で入力されるか、又はトポグラムにより計算される)、
テストボーラスによって決定される遅れ時間D、
使用される造影剤の濃度K、
造影剤流量F(固定設定又は同様に式による自動決定が選択可能である)、
が使用される。
【0020】
図2は、可能な入力、式および結果に関する第1の例を示す。ここで使用される画面は、入力ユニットにおける入力と照会によりCT装置から取り出された設定パラメータとの表示用と同時に、出力ユニットの表示用としても使用されている。この例では流量Fは手動で書き込まれ、5.5ml/sに決定された。これらのパラメータに対して必要な造影剤量Cが、本発明による装置内に記憶された式から算出される。この例では造影剤量Cは流量を乗算されたスキャン時間Sから算出されるが、しかし最小量10×Fが必要とされ、付加的にテストボーラスの遅れ時間Dが20sより大きい場合には、その量が20mlだけ高められる。限界条件として100mlを上回る造影剤が使用されないことが要求される。操作者は、入力値が自動的に照会によりCT装置から取り出されない場合に限り、該当入力値を入力する。計算キーBを押すことによって同じ表示面に結果が出力される。計算に使用される式が、この例および次の例では、同様に画面上に表示される。その量Mはこの例では24.8mgである。
【0021】
図3による第2の例では、付加的に造影剤流量Fが、画面に表示されている式から患者の体重Wに依存して計算される。更にここでは、なおも幾つかの値、特にスキャン時間Sおよび遅れ時間Dならびに造影剤の濃度Kが変更されている。
【符号の説明】
【0022】
1 入力ユニット
2 メモリユニット
3 インターフェース
4 計算ユニット
5 出力ユニット
6 CT装置
図1
図2
図3