(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693431
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】箸
(51)【国際特許分類】
A47G 21/10 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
A47G21/10 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-243686(P2011-243686)
(22)【出願日】2011年11月7日
(65)【公開番号】特開2013-99377(P2013-99377A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2013年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】593208935
【氏名又は名称】株式会社兵左衛門
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 剛人
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−066461(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3153032(JP,U)
【文献】
実開昭50−138287(JP,U)
【文献】
特開2008−206993(JP,A)
【文献】
特開平10−108776(JP,A)
【文献】
特開2012−050632(JP,A)
【文献】
実開昭54−143783(JP,U)
【文献】
特開2005−104005(JP,A)
【文献】
米国特許第06237226(US,B1)
【文献】
米国特許第05486029(US,A)
【文献】
国際公開第00/056193(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箸本体に、装飾が施され、その装飾を覆うように、透明な熱収縮チューブが嵌められ、かつ、その熱収縮チューブが加熱によって収縮密着した、箸であって、
前記熱収縮チューブが前記箸本体の長手方向の両方向へずれないよう、前記箸本体と前記熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段を有し、
前記箸本体は、箸先部側に向かって先細に形成された先細形状部を有し、その先細形状部と、前記熱収縮チューブにおける前記先細形状部に密着する先細部分とが、前記係合手段を構成する第1の係合手段となり、その第1の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸先部側から箸頭部側へと向かう方向のずれが規制され、
前記熱収縮チューブは、箸頭部の端面に掛け止められる被掛止部を有し、その被掛止部と箸頭部の端面とが、前記係合手段を構成する第2の係合手段となり、その第2の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸頭部側から箸先部側へと向かう方向のずれが規制され、
前記熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから前記箸本体に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブが表面に露出した状態で使用されることを特徴とする箸。
【請求項2】
箸本体に、装飾が施され、その装飾を覆うように、透明な熱収縮チューブが嵌められ、かつ、その熱収縮チューブが加熱によって収縮密着した、箸であって、
前記熱収縮チューブが前記箸本体の長手方向の両方向へずれないよう、前記箸本体と前記熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段を有し、
前記箸本体は、箸先部側に向かって先細に形成された先細形状部を有し、その先細形状部と、前記熱収縮チューブにおける前記先細形状部に密着する先細部分とが、前記係合手段を構成する第1の係合手段となり、その第1の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸先部側から箸頭部側へと向かう方向のずれが規制され、
前記箸本体は、その箸本体の周面を回る環状の凹部を有し、その凹部と、前記熱収縮チューブにおける箸頭部側の端部に位置して前記凹部に掛け止められる被掛止部とが、前記係合手段を構成する第2の係合手段となり、その第2の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸頭部側から箸先部側へと向かう方向のずれが規制され、
前記熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから前記箸本体に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブが表面に露出した状態で使用されることを特徴とする箸。
【請求項3】
箸本体に、装飾が施され、その装飾を覆うように、透明な熱収縮チューブが嵌められ、かつ、その熱収縮チューブが加熱によって収縮密着した、箸であって、
前記熱収縮チューブが前記箸本体の長手方向の両方向へずれないよう、前記箸本体と前記熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段を有し、
前記箸本体は、その箸本体の周面を回る環状の、凹部または凸部を有し、その凹部または凸部と、前記熱収縮チューブにおける中間に位置して前記凹部または凸部に係合する係合部とが、前記係合手段を構成し、その係合手段を構成する、前記凹部または凸部および前記係合部により、前記熱収縮チューブは、前記箸本体の長手方向の両方向のずれが規制され、
前記熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから前記箸本体に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブが表面に露出した状態で使用されることを特徴とする箸。
【請求項4】
前記熱収縮チューブは、合成樹脂フィルムまたは合成樹脂シートからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の箸。
【請求項5】
前記箸本体は、天然の木地に合成樹脂の木固め剤が摺り込まれて木固めされており、その箸本体の木固めされた木固め上に前記装飾が施されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の箸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装飾が施されて透明な熱収縮チューブが密着した箸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、箸本体の表面に熱収縮チューブが密着した箸があった(例えば、特許文献1参照)。この箸は、箸本体に対し、熱収縮チューブの印刷のされていない透明部における内側にホログラム箔が貼り付けられ、これによって、熱収縮チューブと箸本体との間にホログラム箔が介在するものであった。そして、一般には、熱収縮チューブが箸本体の長手方向にずれないよう、熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから箸本体に渡る部分に、透明の樹脂塗料が塗布されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−108776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の箸にあっては、熱収縮チューブのずれを防止するために、熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから箸本体に渡る部分に樹脂塗料を塗布する必要があり、その作業が面倒であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、熱収縮チューブのずれを簡単に防止することができる箸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る箸は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る箸は、箸本体に、装飾が施され、その装飾を覆うように、透明な熱収縮チューブが嵌められ、かつ、その熱収縮チューブが加熱によって収縮密着した、箸である。この箸は、前記熱収縮チューブが前記箸本体の長手方向の両方向へずれないよう、前記箸本体と前記熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段を有する。
ここで、前記箸本体は、箸先部側に向かって先細に形成された先細形状部を有し、その先細形状部と、前記熱収縮チューブにおける前記先細形状部に密着する先細部分とが、前記係合手段を構成する第1の係合手段となり、その第1の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸先部側から箸頭部側へと向かう方向のずれが規制される。また、前記熱収縮チューブは、箸頭部の端面に掛け止められる被掛止部を有し、その被掛止部と箸頭部の端面とが、前記係合手段を構成する第2の係合手段となり、その第2の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸頭部側から箸先部側へと向かう方向のずれが規制される。そして、この箸は、前記熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから前記箸本体に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブが表面に露出した状態で使用される。
【0007】
この箸によると、箸本体に透明な熱収縮チューブが嵌められ加熱によって収縮密着しているため、箸本体は、その箸本体に施された装飾を含めて保護される。このとき、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段により、熱収縮チューブは、箸本体の長手方向の両方向のずれが防止される。そして、このように、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合うことで、熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから箸本体に渡る部分への塗料の塗布が不要となる。
【0008】
【0009】
【0010】
また、請求項
2に記載の発明に係る箸
は、箸本体に、装飾が施され、その装飾を覆うように、透明な熱収縮チューブが嵌められ、かつ、その熱収縮チューブが加熱によって収縮密着した、箸である。この箸は、前記熱収縮チューブが前記箸本体の長手方向の両方向へずれないよう、前記箸本体と前記熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段を有する。ここで、前記箸本体は、箸先部側に向かって先細に形成された先細形状部を有し、その先細形状部と、前記熱収縮チューブにおける前記先細形状部に密着する先細部分とが、前記係合手段を構成する第1の係合手段となり、その第1の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸先部側から箸頭部側へと向かう方向のずれが規制される。また、前記箸本体は、その箸本体の周面を回る環状の凹部を有し、その凹部と、前記熱収縮チューブにおける箸頭部側の端部に位置して前記凹部に掛け止められる被掛止部とが、前記係合手段を構成する第2の係合手段となり、その第2の係合手段により、前記熱収縮チューブは、箸頭部側から箸先部側へと向かう方向のずれが規制され
る。そして、この箸は、前記熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから前記箸本体に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブが表面に露出した状態で使用される。
この箸によると、箸本体に透明な熱収縮チューブが嵌められ加熱によって収縮密着しているため、箸本体は、その箸本体に施された装飾を含めて保護される。このとき、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段により、熱収縮チューブは、箸本体の長手方向の両方向のずれが防止される。そして、このように、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合うことで、熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから箸本体に渡る部分への塗料の塗布が不要となる。
【0011】
また、請求項
3に記載の発明に係る箸
は、箸本体に、装飾が施され、その装飾を覆うように、透明な熱収縮チューブが嵌められ、かつ、その熱収縮チューブが加熱によって収縮密着した、箸である。この箸は、前記熱収縮チューブが前記箸本体の長手方向の両方向へずれないよう、前記箸本体と前記熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段を有する。ここで、前記箸本体は、その箸本体の周面を回る環状の、凹部または凸部を有し、その凹部または凸部と、前記熱収縮チューブにおける中間に位置して前記凹部または凸部に係合する係合部とが、前記係合手段を構成し、その係合手段を構成する、前記凹部または凸部および前記係合部により、前記熱収縮チューブは、前記箸本体の長手方向の両方向のずれが規制され
る。そして、この箸は、前記熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから前記箸本体に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブが表面に露出した状態で使用される。
この箸によると、箸本体に透明な熱収縮チューブが嵌められ加熱によって収縮密着しているため、箸本体は、その箸本体に施された装飾を含めて保護される。このとき、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合う係合手段により、熱収縮チューブは、箸本体の長手方向の両方向のずれが防止される。そして、このように、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合うことで、熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから箸本体に渡る部分への塗料の塗布が不要となる。
【0012】
また、請求項
4に記載の発明に係る箸のように、請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の箸において、前記熱収縮チューブは、合成樹脂フィルムまたは合成樹脂シートからなってもよい。
【0013】
また、請求項
5に記載の発明に係る箸のように、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の箸において、前記箸本体は、天然の木地に合成樹脂の木固め剤が摺り込まれて木固めされており、その箸本体の木固めされた木固め上に前記装飾が施されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る箸によれば、箸本体と熱収縮チューブとが互いに係り合うことで、熱収縮チューブ上とその熱収縮チューブから箸本体に渡る部分への塗料の塗布が不要となり、このため、熱収縮チューブのずれを簡単に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】同じく、要部拡大図であって、(A)は、平面図、(B)は、縦断面図である。
【
図3】この発明の一実施の形態の第1の変形例を示す、要部拡大図であって、(A)は、平面図、(B)は、縦断面図である。
【
図4】この発明の一実施の形態の第2の変形例を示す、要部拡大縦断面図である。
【
図5】この発明の他の実施の形態の、要部拡大縦断面図である。
【
図6】この発明のさらに他の実施の形態の、要部拡大縦断面図である。
【
図7】この発明のさらに他の実施の形態の、要部拡大縦断面図である。
【
図8】この発明のさらに他の実施の形態の、要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る箸を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1および
図2は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、箸を示す。2は、箸本体を示す。3は、熱収縮性を備えた筒体である熱収縮チューブを示す。
【0018】
ここで、箸1は、箸本体2に、装飾4が施され、その装飾4を覆うように、透明な熱収縮チューブ3が嵌められ、かつ、その熱収縮チューブ3が加熱によって収縮密着している。つまり、箸1は、装飾4を覆うように、箸本体2に透明な熱収縮チューブ3が密着して被せられている。この箸1は、前記熱収縮チューブ3が箸本体2の長手方向の両方向へずれないよう、箸本体2と熱収縮チューブ3とが互いに係り合う係合手段5を有する。そして、箸1は、熱収縮チューブ3上とその熱収縮チューブ3から箸本体2に渡る部分に塗料が塗布されることなく、その熱収縮チューブ3が表面に露出した状態で使用(つまり、箸として使用)される。
【0019】
詳細には、箸本体2は、箸先部6側に向かって先細に形成された先細形状部2aを有する。そして、その先細形状部2aと、熱収縮チューブ3における前記先細形状部2aに密着する先細部分3aとが、前記係合手段5を構成する第1の係合手段5aとなり、その第1の係合手段5aにより、熱収縮チューブ3は、箸先部6側から箸頭部7側へと向かう方向のずれが規制される。また、熱収縮チューブ3は、箸頭部7の天頂面である端面7aに掛け止められる被掛止部3bを有する。そして、その被掛止部3bと箸頭部7の端面7aとが、前記係合手段5を構成する第2の係合手段5bとなり、その第2の係合手段5bにより、熱収縮チューブ3は、箸頭部7側から箸先部6側へと向かう方向のずれが規制される。
【0020】
具体的には、箸本体2は、木とか竹等からなる天然の木地8に、合成樹脂、例えば無色透明の合成樹脂の木固め剤が摺り込まれて木固めされており、その箸本体2の木固めされた木固め上に前記装飾4が施されている。詳細には、箸本体2は、箸先部6に、本漆による漆付着部あるいは本漆を主体とする漆による漆付着部が形成され、箸先部6を除く部分9(端面7aを含む)が、前記木固め剤により木固めされている。なお、前記漆付着部には、例えば、顔料とか、乾漆粉あるいはその他の天然素材の粉状物とかが混入されていてもよい。
【0021】
また、箸本体2は、その全長が前記先細形状部2aとなって、前記装飾4は、箸先部6を除くようにして(図示実施の形態においては、箸本体2の中央部から箸頭部7に渡って)施される。この装飾4は、例えば、絵、図、画像、記号、模様、文字あるいは色付け等からなり、図示実施の形態においては、装飾4として、雲の絵が描かれている。ここで、装飾4は、絵の具とかポスターカラー等の塗料を用いて描いたり、油性ペン等のペンを用いて描いたり、彫り込みによって描いてもよく、また、シールや写真や紙や布等、あるいは植物の葉等の天然の素材を張り付けたり巻き付けたりするものであってもよい。
【0022】
そして、箸本体2は、箸先部6を除く部分9(端面7aを含む)の所要部が、熱収縮チューブ3によって覆われる。この熱収縮チューブ3は、前述したように、装飾4を覆うように、箸本体2に嵌められ加熱によって収縮密着するが、図示実施の形態においては、熱収縮チューブ3は、木固めした部分(図示実施の形態では、箸先部6を除く部分9)の下部側については覆っていない。そして、木固めした部分の上部側については、熱収縮チューブ3は、箸本体2の周面を覆うとともに箸頭部7の端面7aを僅かに覆うように延びており、その端面7aを覆う部分が、前記被掛止部3bとなる。つまり、熱収縮チューブ3は、両端が開放した筒状形状となっている。ここで、熱収縮チューブ3は、合成樹脂フィルムからなるが、合成樹脂フィルムよりも厚い合成樹脂シートからなっていてもよい。また、熱収縮チューブ3は、全体が無色透明であるのが好ましいが、有色透明であってもよいし、部分的に模様、記号、文字、色付け等が施されたり描かれたりしていてもよい。
【0023】
次に、以上の構成からなる箸1の作用効果について説明する。この箸1は、箸本体2に透明な熱収縮チューブ3が嵌められ加熱によって収縮密着している。このため、箸本体2は、その箸本体2に施された装飾4を含めて保護される。このとき、箸本体2と熱収縮チューブ3とが互いに係り合う係合手段5により、熱収縮チューブ3は、箸本体2の長手方向の両方向のずれが防止される。そして、このように、直接、箸本体2と熱収縮チューブ3とが互いに係り合うことで、ずれ防止のための、熱収縮チューブ3上とその熱収縮チューブ3から箸本体2に渡る部分への透明塗料等の塗料の塗布が、不要となり、このため、熱収縮チューブ3のずれを簡単に防止することができる。
【0024】
また、係合手段5が、箸本体2の先細形状部2aを利用した第1の係合手段5aと箸頭部7の端面7aを利用した第2の係合手段5bとで構成されることで、箸本体2に特別の細工を施すことなく、前記係合手段5を構成することができる。
【0025】
また、箸本体2は、天然の木地8に合成樹脂の木固め剤が摺り込まれて木固めされている。このため、熱収縮チューブ3が破損したり熱収縮チューブ3および装飾4が破損した場合であっても、その破損部分から箸本体2の木地8に水が浸入するのを防ぐことができ、これによって、箸1の耐久性を容易に向上させることができる。
【0026】
また、箸本体2が、無色透明の合成樹脂の木固め剤により木固めされることで、木固めされた部分のうち装飾4が施されていない部分において、木地8の木目を活かしたままその木地8を保護することができる。
【0027】
ところで、箸本体2は、箸1の使用者(購入者)が、箸1に任意の装飾4を施したりすることが可能な、自分好みの箸を製作するための箸素材として用いることができる。すなわち、箸本体2に、前記使用者(購入者)が、絵付け、彫り込み、張り付け、巻き付け等によって任意の装飾4を施すことができる。その後、この箸1は、箸1の製造者または販売者に一旦戻されるとともに、その製造者または販売者が、前記装飾4を覆うように、透明な熱収縮チューブ3を嵌めて、その熱収縮チューブ3を加熱によって収縮密着させる。熱収縮チューブ3は、係合手段5によって、箸本体2の長手方向の両方向のずれが防止される。ここで、熱収縮チューブ3による処理は、短時間で行うことができる。このため、熱収縮チューブ3を用いて装飾4を保護すれば、装飾4を覆うように透明な塗料を塗布する必要がなく、短納期で、使用者(購入者)に、その使用者(購入者)自身が装飾4を施した箸1を提供することができる。ここにおいて、熱収縮チューブ3による処理は、製造者または販売者ではなく、使用者(購入者)自身が行ってもよい。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第2の係合手段5bにおいて、熱収縮チューブ3の被掛止部3bが、箸頭部7の端面7aを僅かに覆うが、
図3に示すように、箸頭部7の端面7aを中心近くまで覆うようにしていもよいし、端面7a全体を覆うようにしてもよい。また、
図4に示すように、箸頭部7が斜めにカットされて、そのカットされた箸頭部7の端面7aを、熱収縮チューブ3の被掛止部3bが覆うようにしてもよい。
【0029】
また、
図5に示すように、箸本体2は、その箸本体2の周面を回る角環状(四角環状その他の多角環状)、円環状などの環状の凹部(つまり溝2b)を有していてもよい。そこで、その溝2bと、熱収縮チューブ3における箸頭部7側の端部に位置して溝2bに掛け止められる被掛止部3bとが、互いに係り合う前記係合手段5を構成する第2の係合手段5bとなり、その第2の係合手段5bにより、熱収縮チューブ3は、箸頭部7側から箸先部6側へと向かう方向のずれが規制される。
【0030】
また、
図6に示すように、箸本体2は、その箸本体2の周面を回る単数もしくは複数の(図示実施の形態においては、単数の)角環状(四角環状その他の多角環状)、円環状などの環状の凹部(つまり、溝2b)を有する場合において、その溝2bと、熱収縮チューブ3における中間に位置して溝2bに係合する係合部3cとが、互いに係り合う前記係合手段5を構成してもよい。すなわち、その係合手段5を構成する溝2bおよび係合部3cにより、熱収縮チューブ3は、箸本体2の長手方向の両方向のずれが規制される。
【0031】
また、
図7に示すように、箸本体2が、
図6に示す環状の溝2bを有し、かつ、熱収縮チューブ3が、
図2、
図3あるいは
図4に示す被掛止部3b、つまり、箸頭部7の端面7aに掛け止められる被掛止部を有してもよい。そこで、溝2bと、熱収縮チューブ3における中間に位置して溝2bに係合する係合部3cとが、前記係合手段5を構成する。そして、熱収縮チューブ3における被掛止部3bと、箸頭部7の端面7aとが、前記係合手段5を構成する第2の係合手段5bとなる。
【0032】
また、
図8に示すように、箸本体2は、
図6に示す環状の溝2b(一方の溝2b)に加えて、
図5に示す環状の溝2b(他方の溝2b)を有してもよい。そこで、一方の溝2bと、熱収縮チューブ3における中間に位置して一方の溝2bに係合する係合部3cとが、前記係合手段5を構成する。そして、他方の溝2bと、熱収縮チューブ3における箸頭部7側の端部に位置して他方の溝2bに掛け止められる被掛止部3bとが、前記係合手段5を構成する第2の係合手段5bとなる。
【0033】
また、図示を省略するが、箸本体2は、その箸本体2の周面を回る単数もしくは複数の角環状(四角環状その他の多角環状)、円環状などの環状の凸部を有していてもよい。そこで、その凸部と、熱収縮チューブ3における中間に位置して前記凸部に係合する係合部とが、互いに係り合う前記係合手段5を構成し、その係合手段5を構成する凸部および係合部により、熱収縮チューブ3は、箸本体2の長手方向の両方向のずれが規制される。また、これら凸部および係合部に加えて、
図7に示す例と同様に、熱収縮チューブ3が、
図2、
図3あるいは
図4に示す被掛止部3b、つまり、箸頭部7の端面7aに掛け止められる被掛止部を有してもよいし、
図8に示す例と同様に、箸本体2が、
図5に示す環状の溝2bを有し、熱収縮チューブ3における箸頭部7側の端部に位置する被掛止部3bが、溝2bに掛け止められてもよい。
【0034】
また、
図7とか
図8に示す例の他に、箸1には、前述した種々の係合手段5(第1および第2の係合手段5a、5bを含む)を重畳的に設けてもよいのは勿論である。
【0035】
また、箸本体2の木固めに用いられる合成樹脂の木固め剤は、無色透明の他、染料等により着色された有色透明のものでもよい。また、箸本体2は、染料で染められたうえで無色透明の合成樹脂の木固め剤により木固めされていてもよい。
【0036】
また、箸本体2は、木固めされているのが望ましいが、木固めされていなくともよい。
【0037】
また、箸本体2の木地8として、木とか竹等の天然の素材が用いられなくとも、合成樹脂材が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 箸
2 箸本体
2a 先細形状部
2b 溝(凹部)
3 熱収縮チューブ
3a 先細部分
3b 被掛止部
3c 係合部
4 装飾
5 係合手段
5a 第1の係合手段
5b 第2の係合手段
6 箸先部
7 箸頭部
7a 端面
8 木地