(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
太陽電池パネルを裏面側から支持する複数の縦材と、この縦材に開設された貫通孔を貫通して縦材を連結する横材と、この横材の端部に取り付けられるジョイント部材と、このジョイント部材に取り付けられた設置脚部と、前記横材を縦材に対して固定する固定部材とを具備しており、前記縦材には、前記固定部材の挿入のために、少なくとも横材が貫通する箇所の上面が開放されていることを特徴とする太陽電池パネル取付架台。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル取付架台Aは、
図1に示すように、太陽電池パネルSPを裏面側から支持する複数の平行に設置された縦材100と、この縦材100の側面110に開設された貫通孔111を貫通して縦材100を連結する2本の横材200と、この横材200の端部に取り付けられたジョイント部材300と、このジョイント部材300に取り付けられる設置脚部510、520と、前記横材200を縦材100に対して固定する固定部材400とを備えており、前記縦材100は前記固定部材400の挿入のために、少なくとも横材200が貫通する箇所の上面120が開放されている。
【0010】
この太陽電池パネル取付架台Aの主要構成材の1つである縦材100は、
図2に示すように、金属製の角形パイプの上面120に長さ方向に沿った溝121を形成して開放したものである。この縦材100の長さ方向は、支持すべき太陽電池パネルSPの長辺寸法又は短辺寸法のほぼ整数倍に設定されている。例えば、
図1に示す太陽電池パネル取付架台Aに用いられる縦材100では、太陽電池パネルSPの短辺方向の約3倍に設定されている。これは、太陽電池パネル取付架台Aが横長にした3枚の太陽電池パネルSPを一列に並べて設置する構成になっているからである。
【0011】
また、この縦材100の対向する一対の側面110には、丸形の貫通孔111が同じ位置に開設されている。
図2に示すものにあっては、1つの側面110について2つ、合計4つの貫通孔111が開設されている。この貫通孔111は、後述する横材200が貫通する部分であって、横材200が貫通できる程度の大きさに設定されている。
【0012】
また、この貫通孔111は、太陽電池パネル取付架台Aの設置脚部510、520の位置にも関係するので、ある程度離れた位置に設けられなければならない。
なお、
図2では、1つの側面110に2つの貫通孔111が開設されているが、縦材100の長さによっては、1つの側面110に3つ以上の貫通孔111を開設して安定性を向上させることが大切である。
【0013】
前記貫通孔111は、縦材100の側面110の下縁に接するように開設されている。すなわち、この貫通孔111に挿入された横材200は、縦材100の下面130に内側から接触するようになっているのである。
【0014】
また、この縦材100の下面130、それも前記貫通孔111が開設された位置を跨ぐ位置には一対の孔131が開設されている。この孔131は、後述する固定部材400の締結手段を構成するボルト413の脚部413Bの先端が貫通するものである。従って、この孔131は、前記ボルト413の脚部413Bより若干大径に設定されている。
また、一対のボルト413の間隔は、固定部材400を構成する固定部材本体410の一対の筒部412の間隔に等しく設定されている。
【0015】
一方、前記縦材100の貫通孔111を貫通して、縦材100に対して直交方向から組み合わせられる横材200は、丸パイプであって、支持すべき太陽電池パネルSPの長辺寸法又は短辺寸法のほぼ整数倍より若干長めに設定されている。例えば、
図1に示す太陽電池パネル取付架台Aに用いられる縦材100は、太陽電池パネルSPの短辺寸法の4倍より若干長めに設定されている。
【0016】
前記固定部材400は、前記横材200を跨ぐような略逆U字形状の横材保持部411と、この横材保持部411の両サイドに形成された一対の筒部412とを有する固定部材本体410と、この固定部材本体410を横材200とともに縦材100に固定する締結手段を有している。
前記締結手段は、前記一対の筒部412に挿入される一対のボルト413と、このボルト413と螺合するナット411とを有している。
【0017】
前記固定部材本体410は、
図3に示すように、横長の長方形状の1枚の金属板から構成されている。この金属板の中央に下端に向かって開放された略逆U字形状の横材保持部411を切欠形成している。筒部412は、前記金属板の両サイド、横材保持部411の両サイドを丸めることで構成される。そして、筒部412の上端側を切り欠いて、横材保持部411の上側よりも一段下がる隅切欠部412Aとなっている。
なお、前記金属板の高さ寸法は、固定すべき横材200の外直径より大きく、かつ前記縦材100の深さ寸法とほぼ同じか若干小さめに設定されている。横材200を固定した固定部材本体410が縦材100の上面から極端に突出していると、支持する太陽電池パネルSPと干渉するためである。
【0018】
前記横材保持部411は、保持すべき横材200を抱え込むことができるように、横材200の外直径より若干大きく設定されている。しかも、横材保持部411の上縁部には、抱え込んだ横材200に食い込んで横材200の保持を確実にするための3つの突起411Aが突出されている。
【0019】
前記筒部412は、固定部材本体410の両サイドに1つずつ存在し、各筒部412の中心軸を含む平面は、固定部材本体410の平面と一致するように設定されている。
筒部412の上端側が隅切欠部412Aとして切り欠かれているのは、ボルト413とナット414とを螺合させる際に、ボルト413が空回りしないようにボルト413の頭部413Aがはまり込むためである。
【0020】
なお、このように構成された固定部材本体410は、縦材100の上面120の溝121から内部に嵌まり込むことができるようなサイズに設定されていることはいうまでもない。
【0021】
前記ボルト413は、脚部413Bを筒部412に挿入した状態で、脚部413Bの先端が筒部412の下端から突出し、さらに縦材100の下面130の孔131からも突出する程度の長さに設定されている。また、このボルト413の六角形の頭部4131は、前記隅切欠部412Aに嵌まり込むサイズに設定されている。
【0022】
縦材100の貫通孔111に挿入された横材200は、固定部材400によって次の手順で縦材100に対して固定される。
縦材100の上面120の溝121から固定部材本体410を挿入し、固定部材本体410の横材保持部411で横材200を抱え込む。
一対の筒部412にボルト413の脚部413Bを挿入する。
縦材100の下面130の孔131から突出したボルト413の脚部413Bの先端にナット414を螺合させる。
これによって、横材200は、
図4に示すように、上方には固定部材本体410の突起411Aが食い込み、かつ下方が縦材100の下面130の内側に押しつけられることで、縦材100に固定されることになる。
【0023】
前記横材200の端部には、ジョイント部材300が取り付けられる。このジョイント部材300は、太陽電池パネル取付架台Aを地面や屋根、屋上等に据え付ける際の設置脚部510、520が取り付けられるものである。
かかるジョイント部材300は、
図1に示すように、T字形状のいわゆるチーズ管であって、横軸部の両端に横材200が挿入連結され、縦軸部に設置脚部510、520が挿入連結されるようになっている。
なお、このジョイント部材300と横材200との固定は、ボルト等の適宜な手段で行われる。
【0024】
一方、前記設置脚部510、520は、ジョイント部材300の縦軸部に挿入連結が可能なパイプ状のものであって、その長さ寸法は太陽電池パネル取付架台Aが設置されるべき箇所に応じたものに設定される。この設置脚部510、520は、
図1に示すようなコンクリート製の基礎部600に立設されたり、地面に打ち込まれた基礎杭であったりする。
【0025】
太陽電池パネル取付架台Aは、かかる設置脚部510、520の長さを変更することで、角度を変えることが可能になる。例えば、
図1に示すように、公報の設置脚部510を前方の設置脚部520より長くすると、傾いた状態で太陽電池パネルSPを支持することができるし、同じ長さにすると、切妻屋根の傾斜面に沿った状態で太陽電池パネルSPを支持することができる。
【0026】
上述した実施の形態では、固定部材本体410は、縦長の長方形状の1枚の金属板から構成されるとして説明したが、例えは、
図5に示すようなダイキャスト製のものであってもよい。
このダイキャスト製の固定部材本体410Dは、前記横材200を跨ぐような略逆U字形状の横材保持部411Dと、この横材保持部411Dの両サイドに形成された一対の筒部412Dとを有している。筒部412Dの上端部は、ボルト413の六角形の頭部413Aが嵌まり込むことができる形状に形成されている。
また、このダイキャスト製の固定部材本体410Dでは、横材保持部411Dの上縁部の突起411ADを洗濯板状に多数並べて構成することも容易である。
【0027】
また、このダイキャスト製の固定部材本体410Dの変形例として、
図6に示すようなものがある。この固定部材本体410Eでは、上記固定部材本体410Dの筒部412Dに相当する部分の下端にボルト413の脚部413Bに相当するボルト部413Eが、横材保持部411Eの開放端の縁部から突出している。
かかる固定部材本体410Eであると、ボルト413を別途準備する必要もないし、ボルト413を筒部412Dに挿入したり、筒部412Dに挿入されたボルト413の脚部413Bを縦材100の下面130の孔131から突出させたりする作業が不要になる。
【0028】
なお、この固定部材本体410Eの横材保持部411Eの上縁部には、抱え込んだ横材200に食い込んで横材200の保持を確実にするための突起411AEが洗濯板状に並んで形成されている。
【0029】
さらに、
図7に示すような両端がボルト部413Uとなったいわゆる汎用のUボルトも固定部材本体410Uとして用いることができる。なお、汎用のUボルトには、横材保持部411の上縁部の突起411Aに相当するものはないのが一般的なので、突起411AUを切起しておいてもよい。
この汎用のUボルトを固定部材本体410Uとして使用すると、上述したような専用品である固定部材本体410等を使用しないので、より低コスト化を図ることができる。
【0030】
上述した太陽電池パネル取付架台Aでは、設置脚部510、520の長さを変更することで太陽電池パネルSPの角度を変化させているので、設置後であっても、設置脚部510、520を交換したりすることで長さを変化させれば、太陽電池パネルSPの角度を変化させることができる。
これに対して、
図8に示すような太陽電池パネル取付架台Bでは、設置後でも設置脚部530の長さを変更することなしに、太陽電池パネルSPの角度を変化させることができる。
【0031】
この太陽電池パネル取付架台Bは、横材200が1本である点が特徴である。すなわち、この太陽電池パネル取付架台Bは、太陽電池パネルSPを裏面側から支持する複数の平行に設置された縦材100と、この縦材100の長さ方向の中心位置の側面110に開設された貫通孔111を貫通して縦材100を連結する1本の横材200と、この横材200の端部に取り付けられるジョイント部材300と、このジョイント部材300に取り付けられる設置脚部530と、前記横材200を縦材100に対して固定する固定部材400とを備えており、前記縦材100は前記固定部材400の挿入のために、少なくとも横材200が貫通する箇所の上面120が開放されている。
【0032】
この太陽電池パネル取付架台Bは、4枚の太陽電池パネルSPを縦長にして横一列に並べて支持するタイプであり、縦材100は、支持すべき太陽電池パネルSPの長辺寸法より若干短めに設定されている。そして、この縦材100の貫通孔111は、長さ方向の中心位置の側面110に開設させている。これは、支持した太陽電池パネルSPのバランスをとるためである。
【0033】
また、この太陽電池パネル取付架台Bに用いられる横材200は、支持すべき太陽電池パネルSPの短辺方向の4倍より若干長く設定されている。これは、横材200の端部にジョイント部材300を取り付けるためである。
【0034】
この太陽電池パネル取付架台Bでは、横材200の端部はジョイント部材300の横軸部に挿入されているが、横材200の端部と横軸部とに予め開設されたピン孔にピン350を挿入することで、太陽電池パネルSPの角度を決定している。従って、ピン孔をいくつか設けておけば、太陽電池パネルSPの角度を容易に変更することができる。
【0035】
この太陽電池パネル取付架台Bに用いられる縦材100以外の部品、横材200、ジョイント部材300、設置脚部530は、上述したものと基本的に同じである。ただし、固定部材400については、
図3、
図5〜7のいずれに示されたものであってもよいが、太陽電池パネルSPの角度を変化させることを前提にする場合には、突起411、4111AD、411AE、411AUは設けない。
【0036】
かかる太陽電池パネル取付架台Bであると、横材200を中心軸として、太陽電池パネルSPの角度を変化させることができる。この太陽電池パネルSPの角度の変化は手動であってもよいし、太陽かのの光が太陽電池パネルSPに対してできるだけ垂直に当たるように太陽の動きに対応した自動であってもよい。
【0037】
なお、
図8に示した太陽電池パネル取付架台Bは、4枚の太陽電池パネルSPを支持していたが、
図9に示すように、この太陽電池パネル取付架台Bを横一列に並べることで、より多くの太陽電池パネルSPを支持することができる。
【0038】
例えば、
図9に示すように、2つの太陽電池パネル取付架台Bを連結することで合計8枚の太陽電池パネルSPを支持することができる。この場合、2つの太陽電池パネル取付架台Bの中央位置のジョイント部材300に設置脚部530を取り付けると安定する。また、太陽電池パネル取付架台Bの横材200の中間位置にジョイント部材300を取り付け、このジョイント部材300に設置脚部530を設けるとより安定する。この中間部分に取り付ける設置脚部530には、基礎杭を用いると、コンクリート製の基礎部600を設ける必要がないのでより簡単に安定性を増すことができる。
【0039】
このように、2つの太陽電池パネル取付架台Bを連結した場合でも、横材200を中心軸として、太陽電池パネルSPの角度を変化させることができる点は同じである。もちろん、3つ以上の太陽電池パネル取付架台Bを連結した場合でも同様である。
【0040】
また、
図10に示すように、先端が鈍角に折曲された横材200を立設し、先端の折曲された部分に2本の縦材100を取り付け、この縦材100に1枚の太陽電池パネルSPを支持させるタイプの太陽電池パネル取付架台Cもある。 このタイプの太陽電池パネル取付架台Cは、例えば、横材200に電飾看板や交通標識を取り付け、この電飾看板等の夜間の電源とすることが考えられる。
【0041】
なお、上述した3つの太陽電池パネル取付架台A、B、Cでは、固定部材400の固定部材本体410、410D、410E、410Uとして
図3、
図5〜7に示したものを使用するとしたが、特に太陽電池パネルSPの角度を変化させる必要がない場合には、固定部位として一般的なボルトとナットとを使用して横材200を縦材100に固定的に取り付けるようにすることも可能である。
【0042】
また、縦材100は固定部材400の挿入のために、横材200が貫通する箇所の上面120に全面にわたる溝121が形成されているとしたが、全長にわたる溝121ではなく、必要な箇所のみを開放しているものであってもよいことはいうまでもない。
【0043】
また、前記横材200は、丸パイプであるとして説明したが、角パイプであっても、中実の棒材であってもよい。ただし、固定部材本体410、410D、410E、410Uの横材保持部411、411D、411E、411Uの形状は、横材200の形状に合致させることが必要である。