(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図15、
図16は、従来の車両用内装装置1としての車両用グローブボックス装置を示している。車両用内装装置1は、
図15に示すように、固定部材2と、可動部材3と、クッションゴム4と、ロック装置5と、を有する。
可動部材3は、固定部材2に開閉可能に支持されている。
クッションゴム4は、固定部材2に取付けられており、可動部材3が閉位置にあるときに可動部材3に当接する。
ロック装置5は、可動部材3を閉位置にあるときに固定部材2にロック・アンロックする。ロック装置5は、プッシュ式のノブ5aと、端部にロック雄部5bが形成される一対のロッド5cと、ロック受け部5dと、を備えている。
【0003】
ロック装置5のロックは、
図16に示すように、ノブ5aをA1方向に押して、一対のロッド5cをロック雄部5bがロック受け部5dから抜ける方向(B1方向とC1方向)に移動させて解除する。ノブ5aを押してロック装置5のロックを解除すると、可動部材3が自重で開位置側(D1方向)に移動する。
【0004】
しかし、従来の車両用内装装置にはつぎの問題点がある。
−10℃より低温(たとえば−30℃)の時、クッションゴム4が可動部材3にくっ付く(付着する)ことがある。その場合、可動部材3の自重のみではクッションゴム4を可動部材3から引き剥がすことができず、ロック装置5のロックを解除しても可動部材3を開位置側に移動させることができないおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ロック装置のロックを解除したときに、確実に可動部材を開位置側に移動させることができる、車両用内装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定部材と、可動部材と、クッションゴムと、ロック装置と、変換機構と、を有し、
前記可動部材は、回動軸芯を備えており、前記固定部材に開位置と閉位置とに前記回動軸芯まわりに回動可能に支持されており、
前記クッションゴムは、前記固定部材と前記可動部材の一方の部材に取付けられており、前記可動部材が前記閉位置にあるときに前記固定部材と前記可動部材の他方の部材に当接しており、
前記ロック装置は、前記可動部材を前記閉位置にあるときに前記固定部材にロック・アンロックしており、操作部と、一対のロック部と、前記操作部の動きを前記一対のロック部の各ロック部に伝達する伝達部と、を備えており、
前記操作部は、前記固定部材と前記可動部材のうち前記固定部材側に設けられており、プッシュ式のノブと、該ノブの動く方向と異なる方向に可動なシャフトと、前記ノブの動きを前記シャフトの動きに変換する変換部と、を備えており、
前記一対のロック部は、前記可動部材の、前記回動軸芯の延びる方向の両側部に対応させて設けられており、前記一対のロック部の各ロック部は、前記固定部材と前記可動部材のうち前記固定部材側に設けられるロック雌部と、前記固定部材と前記可動部材のうち前記可動部材側に設けられるロック雄部と、を備えており、
前記伝達部は、前記固定部材と前記可動部材のうち前記可動部材側に設けられており、前記操作部の前記シャフトの動きを前記一対のロック部の各ロック部に互いに同期して伝達するように構成されており、第1のロッドと、第2のロッドと、前記第1のロッドと前記第2のロッドを互いに反対方向に同期させる同期部と、を備えており、前記第1のロッドと前記第2のロッドの端部に前記ロック部の前記ロック雄部が形成されており、
前記変換機構は、前記可動部材が前記閉位置にあり前記ノブを操作したときに、該ノブの操作力を、前記可動部材を前記固定部材に対して前記開位置側へ移動させる力に変換する、
車両用内装装置。
(2)(実施例1)
前記変換機構は、第1の斜面を備えており、
前記第1の斜面は、前記ロック雄部に設けられており、前記可動部材が前記閉位置にあり前記ノブを操作したときに、前記ロック雌部に摺動する、(1)記載の車両用内装装置。
(3)(実施例2)
前記変換機構は、第2の斜面を備えており、
前記第2の斜面は、前記シャフトに設けられており、前記可動部材が前記閉位置にあり前記ノブを操作したときに、前記第1のロッドに摺動する、(1)記載の車両用内装装置。
(4)(実施例3)
前記固定部材は、該固定部材に可動に支持され前記可動部材が前記閉位置にあるときに前記可動部材に当接するブロックを備えており、
前記変換機構は、第3の斜面を備えており、
前記第3の斜面は、前記ブロックに設けられており、前記可動部材が前記閉位置にあり前記ノブを操作したときに、前記シャフトに摺動する、(1)記載の車両用内装装置。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)の車両用内装装置によれば、変換機構を有しており、変換機構が、プッシュ式のノブの操作力を、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換するため、つぎの効果を得ることができる。
可動部材が閉位置にあるときに、可動部材の自重と、プッシュ式のノブの操作力と、の両方を用いて、可動部材を開位置側に移動させることができる。そのため、固定部材と可動部材の一方の部材に取付けられ固定部材と可動部材の他方の部材にくっ付いている(付着している)クッションゴムのくっ付き力(付着力)よりも、可動部材の自重とノブの操作力との和が大になるように、ノブを操作することにより、固定部材と可動部材の一方の部材に取付けられているクッションゴムを、固定部材と可動部材の他方の部材から引き剥がすことができる。そのため、プッシュ式のノブを操作してロック装置のロックを解除したときに、可動部材を確実に開位置側に移動させることができる。
【0009】
上記(2)の車両用内装装置によれば、変換機構が第1の斜面を備えており、第1の斜面がロック雄部に設けられておりロック雌部に摺動するため、つぎの効果を得ることができる。
ロック雄部に第1の斜面を設けることで、ノブの操作力を、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換できる。そのため、ノブの操作力を、比較的容易に、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換できる。
【0010】
上記(3)の車両用内装装置によれば、変換機構が第2の斜面を備えており、第2の斜面がシャフトに設けられており第1のロッドに摺動するため、つぎの効果を得ることができる。
シャフトに第2の斜面を設けることで、ノブの操作力を、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換できる。そのため、ノブの操作力を、比較的容易に、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換できる。
【0011】
上記(4)の車両用内装装置によれば、固定部材が、固定部材に可動に支持され可動部材が閉位置にあるときに可動部材に当接するブロックを備えており、変換機構が、第3の斜面を備えており、第3の斜面がブロックに設けられておりシャフトに摺動するため、つぎの効果を得ることができる。
ブロックに第3の斜面を設けることで、ノブの操作力を、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換できる。そのため、ノブの操作力を、比較的容易に、可動部材を固定部材に対して開位置側へ移動させる力に変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明実施例1の車両用内装装置の、透視正面図である。ただし、本図は、本発明実施例2及び本発明実施例3にも適用可能である。
【
図2】本発明実施例1の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときの断面図である。ただし、本図は、本発明実施例2及び本発明実施例3にも適用可能である。
【
図3】本発明実施例1の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときの模式断面図である。
【
図5】本発明実施例1の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを操作したときの模式断面図ある。
【
図6】本発明実施例1の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを操作して可動部材が閉位置から開位置側に移動している途中の状態を示す、模式断面図である。
【
図7】本発明実施例2の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときの模式断面図である。
【
図8】本発明実施例2の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを操作し始めたときの模式断面図である。
【
図9】本発明実施例2の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを
図8の状態よりもさらに操作したときの、模式断面図である。
【
図10】本発明実施例2の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを操作して可動部材が閉位置から開位置側に移動している途中の状態を示す、模式断面図である。
【
図11】本発明実施例3の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときの、プッシュ式のノブとその近傍の模式拡大断面図である。
【
図12】本発明実施例3の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを操作し始めたときの、プッシュ式のノブとその近傍の模式拡大断面図である。
【
図13】本発明実施例3の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを
図12の状態よりもさらに操作したときの、プッシュ式のノブとその近傍の模式拡大断面図である。
【
図14】本発明実施例3の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを
図13の状態よりもさらに操作したときの、プッシュ式のノブとその近傍の模式拡大断面図である。
【
図15】従来の車両用内装装置の、可動部材が閉位置にあるときの模式断面図である。
【
図16】従来の車両用内装装置の、プッシュ式のノブを操作して可動部材が閉位置から開位置側に移動している途中の状態を示す、模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜
図6は、本発明実施例1の車両用内装装置を示しており、
図7〜
図10は、本発明実施例2の車両用内装装置を示しており、
図11〜
図14は、本発明実施例3の車両用内装装置を示している。なお、図において、FRは車両前方を示し、UPは上方を示す。
本発明全実施例にわたって共通する部分には、本発明全実施例にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明全実施例にわたって共通する部分を説明する。
【0014】
本発明実施例の車両用内装装置(以下、単に、内装装置ともいう)10は、たとえば、車両の助手席前方でインストルメントパネル部位に配置される車両用グローブボックス装置である。ただし、内装装置10は、車両用グローブボックス装置の上方に配置される車両用アッパボックス装置であってもよく、車両の運転席と助手席の間に配置される車両用コンソールボックス装置であってもよく、その他の装置であってもよい。以下、本発明実施例と図示例では、内装装置10が車両用グローブボックス装置である場合を例にとって説明する。
【0015】
内装装置10は、
図3に示すように、固定部材20と、可動部材30と、クッションゴム40と、ロック装置50と、変換機構60と、を有する。
【0016】
固定部材20は、インストルメントパネルであってもよく、インストルメントパネルに対して固定されている部材であってもよい。固定部材20は、
図2に示すように、車両後方(車室側)に開放する収容部21を備える。
【0017】
可動部材30は、収容部21を開閉する。可動部材30は、収容部21を開閉するドアである。可動部材30は、小物類を収納可能な図示略のボックス部を備えていてもよい。可動部材30は、回動軸芯31と、アウタ部材32と、インナ部材33と、を備える。
【0018】
回動軸芯31は、可動部材30の下端部(その近傍を含む)で車両左右方向に延びている。可動部材30は、固定部材20に開位置30a(
図2の2点鎖線にて示す位置)と閉位置30b(
図2の実線にて示す位置)とに回動軸芯31まわりに上下方向に回動可能に支持されている。可動部材30は、ロック装置50がアンロックされれば、回動軸芯31まわりに自重でおよび/または図示略の付勢部材の付勢力で閉位置30bから開位置30aに回動する(開く)。可動部材30を開位置30aから閉位置30bに回動させる(閉める)ときは、回動軸芯31まわりに手で可動部材30を持ち上げる。可動部材30が閉位置30bにあるときにロック装置50をロックすれば、可動部材30は固定部材20に対して閉位置30bを維持する。
【0019】
アウタ部材32とインナ部材33とは、互いに固定されている。アウタ部材32とインナ部材33は、アウタ部材32とインナ部材33の少なくともいずれか一方の部材に形成したリブ34の先端部で、溶着または締結にて、互いに固定されている。アウタ部材32とインナ部材33との間には、ロッド収納用空間部35が設けられている。
【0020】
クッションゴム40は、可動部材30を開位置30aから閉位置30bに回動させるときに固定部材20と可動部材30とが当たり合い音が発生することを抑制するとともに、可動部材30が閉位置30bにあるときに車両走行振動により固定部材20に対してがたついて音が発生することを抑制するために設けられる。
【0021】
クッションゴム40は、ゴム製である。クッションゴム40は、1個のみ設けられていてもよく、
図3に示すように複数個設けられていてもよい。クッションゴム40は、固定部材20と可動部材30の一方の部材に取付けられており、可動部材30が閉位置30bにあるときに固定部材20と可動部材30の他方の部材に当接しており、可動部材30が開位置30aにあるときに固定部材20と可動部材30の他方の部材から離れている。なお、本発明実施例及び図示例では、クッションゴム40が、固定部材20に固定して取付けられており、可動部材30が閉位置30bにあるときに可動部材30に当接しており、可動部材30が開位置30aにあるときに可動部材30から離れている場合を示す。ただし、クッションゴム40は、可動部材30に固定して取付けられており、可動部材30が閉位置30bにあるときに固定部材20に当接しており、可動部材30が開位置30aにあるときに固定部材20から離れていてもよい。
【0022】
ロック装置50は、可動部材30を閉位置30bにあるときに固定部材20にロック・アンロックする装置である。ロック装置50は、操作部51と、ロック部52と、伝達部53と、を備える。
【0023】
操作部51は、可動部材30の、回動軸芯31の延びる方向(幅方向、左右方向、車両左右方向)の中央位置よりも運転席に近い位置に配置される。操作部51は、固定部材20と可動部材30のうち固定部材20側に設けられる。操作部51は、プッシュ式のノブ51aと、ノブ51aの動く方向と異なる方向(たとえば直交する方向)に可動なシャフト51bと、ノブ51aの動きをシャフト51bの動きに変換する変換部51cと、を備える。変換部51cは、ノブ51aおよび/またはシャフト51bに設けられる斜面構造からなる。
図5に示すように、ノブ51aをA2方向(車両前方)に操作する(押す)と、ノブ51aは変換部51cを介してシャフト51bを、図示略のばねの付勢に抗して押して、可動部材30側(B2方向)に移動させる。
【0024】
ロック部52は、可動部材30の、回動軸芯31の延びる方向の両側部(両端部)に対応させて一対設けられる。一対のロック部52の各ロック部52は、固定部材20と可動部材30のうち固定部材20側に設けられるロック雌部52aと、固定部材20と可動部材30のうち可動部材30側に設けられロック雌部52aに対して直線状にストローク動するロック雄部52bと、を備える。
ロック雌部52aは、固定部材20の、回動軸芯31の延びる方向に可動部材30と対向する壁部22または壁部22に固定して取付けられるブッシュ22a(
図11〜
図14参照)に設けられており、ロック雄部52bが出入りする孔52cを備える。
【0025】
伝達部53は、
図5に示すように、操作部51の動きを一対のロック部52の各ロック部52に伝達する。伝達部53は、操作部51のシャフト51bの動きを、一対のロック部52の各ロック部52に互いに同期して伝達するように構成されている。伝達部53は、固定部材20と可動部材30のうち可動部材30側に設けられている。
【0026】
伝達部53は、回動軸芯31の延びる方向に延びる第1のロッド53aと、回動軸芯31の延びる方向に延びる第2のロッド53bと、第1のロッド53aと第2のロッド53bを互いに反対方向に同期させて動かす同期部53cと、を備える。
【0027】
第1のロッド53aの、第2のロッド53bと反対側の端部と、第2のロッド53bの、第1のロッド53bと反対側の端部とに、ロック部52のロック雄部52bが形成されている。第1のロッド53aおよび第2のロッド53bの、ロック雄部52bが形成される端部以外の部分は、常時、ロッド収納用空間部35にある。第1のロッド53aと第2のロッド53bの断面形状は、円形であってもよいし、非円形であってもよい。第1のロッド53aと第2のロッド53bは、ばね53d(
図1参照)によって、ロック雄部52bがロック雌部52aに係合する方向(入り込む方向)に常時付勢されている。
同期部53cは、ロッド収納用空間部35にある。同期部53cは、たとえば、
図5に示すようにギアからなる。ただし、同期部53cは、リンクからなっていてもよい。
【0028】
ロック装置50のロック解除のためにノブ51aをA2方向に操作すると、ノブ51aは変換部51cを介してシャフト51bをB2方向に押す。そのため、第1のロッド53aがシャフト51bによって押されてC2方向に移動する。第1のロッド53aがC2方向に移動すると、同期部53cにより第2のロッド53bがD2方向(反C2方向)に移動し、ロック雄部52bとロック雌部52aの係合は解除される(ロック雄部52bがロック雌部52aから抜ける)。ロック雄部52bとロック雌部52aとの係合が解除されることにより、ロック装置50がロック解除される。
【0029】
変換機構60は、可動部材30が閉位置30bにありロック装置50のノブ51aを操作したときに、ノブ51aの操作力を、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換する機構である。変換機構60は、ノブ51aを操作したときにノブ51aの動きに連動する部材に設けられる。
【0030】
つぎに、本発明全実施例に共通な上記構成部分の作用・効果を説明する。
(a)変換機構60を有しており、変換機構60が、プッシュ式のノブ51aの操作力を、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換するため、つぎの作用・効果を得ることができる。
可動部材30が閉位置30bにあるときに、可動部材30の自重と、プッシュ式のノブ51aの操作力と、の両方を用いて、可動部材30を開位置30a側に移動させることができる。そのため、固定部材20と可動部材30の一方の部材に取付けられ固定部材20と可動部材30の他方の部材にくっ付いている(付着している)クッションゴム40のくっ付き力(付着力)よりも、可動部材30の自重とノブ51aの操作力との和が大になるように、ノブ51aを操作することにより、固定部材20と可動部材30の一方の部材に取付けられているクッションゴム40を、固定部材20と可動部材30の他方の部材から引き剥がすことができる。そのため、プッシュ式のノブ51aを操作してロック装置50のロックを解除したときに、可動部材30を確実に開位置30a側に移動させることができる。
【0031】
(b)ノブ51aをプッシュ式にしたため、つぎの作用・効果を得ることができる。
ノブ51aを回転式にする場合に比べて、操作が容易である。また、ノブ51aを可動部材30に設けられる回転式にする場合と異なり、可動部材30のノブ51a背面に指を差し込む凹部を設ける必要がなく、見栄えがよい。
【0032】
つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を説明する。
〔実施例1〕(
図1〜
図6)
本発明実施例1では、図変換機構60は、
図4に示すように、第1の斜面61を備える。第1の斜面61は、ロック雄部52b(第1のロッド53aおよび第2のロッド53b)に設けられており、可動部材30が閉位置30bにありノブ51aを操作したときに、ロック雌部52aに摺動する。
【0033】
第1の斜面61は、平面であってもよく湾曲面であってもよい。第1の斜面61は、ロック雄部52bの移動方向に対して傾斜している。第1の斜面61は、ロック雄部52bがロック雌部52aに係合する方向(孔52cに入り込む量が大になる方向)、かつ、可動部材30が開位置30aから閉位置30bへ移動する方向に、傾斜している。
【0034】
第1の斜面61は、
図5に示すように、ロック雄部52bがロック雌部52aから抜けるときに、ロック雌部52aの孔52cの縁に摺動する(干渉する)。そのため、ノブ51aをプッシュしたとき、ロック雄部52bが、可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向に、ロック雌部52aによって押される。ロック雄部52bがロック雌部52aによって押されるこの力は、ロック雄部52bが形成される第1のロッド53aおよび第2のロッド53bを、可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向に移動させる力であり、第1のロッド53aおよび第2のロッド53bが設けられる可動部材30を、可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向(E2方向)に移動させる力である。
【0035】
本発明実施例1では、変換機構60が第1の斜面61を備えており、第1の斜面61がロック雄部52bに設けられておりロック雌部52aに摺動するため、つぎの作用・効果を得ることができる。
ロック雄部52bに第1の斜面61を設けることのみで、ノブ51aの操作力を、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換できる。そのため、ノブ51aの操作力を、比較的容易に、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換できる。
【0036】
〔実施例2〕(
図7〜
図10)
本発明実施例2では、変換機構60は、
図7に示すように、第2の斜面62を備える。第2の斜面62は、シャフト51bに設けられており、可動部材30が閉位置30bにありノブ51aを操作したときに、第1のロッド53aに摺動する。
【0037】
第2の斜面62は、シャフト51bの、第1のロッド53a側の端部に設けられる。第2の斜面62は、平面であってもよく湾曲面であってもよい。第2の斜面62は、シャフト51bの移動方向に対して傾斜している。第2の斜面62は、第1のロッド53aから離れる方向、かつ、可動部材30が閉位置30bから開位置30aへ移動する方向に、傾斜している。
【0038】
第2の斜面62は、
図8、
図9に示すように、ノブ51aをA2方向に操作してシャフト51bが第1のロッド53a側(B2方向)に移動するときに、第1のロッド53aに摺動する。そのため、ノブ51aを操作したとき、第1のロッド53aが、可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向に、シャフト51bによって押される。第1のロッド53aがシャフト51bによって押されるこの力は、第1のロッド53aが設けられる可動部材30を、可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向(
図10のE2方向)に移動させる力である。
【0039】
本発明実施例2では、変換機構60が第2の斜面62を備えており、第2の斜面62がシャフト51bに設けられており第1のロッド53aに摺動するため、つぎの作用・効果を得ることができる。
シャフト51bに第2の斜面62を設けることのみで、ノブ51aの操作力を、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換できる。そのため、ノブ51aの操作力を、比較的容易に、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換できる。
【0040】
〔実施例3〕(
図11〜
図15)
本発明実施例3では、固定部材20は、
図11に示すように、ブロック23を備える。ブロック23は、固定部材20に可動に支持されており、可動部材30が閉位置30bにあるときに可動部材30に当接し、可動部材30が開位置30aにあるときに可動部材30から離れる。また、変換機構60は、第3の斜面63を備える。第3の斜面63は、ブロック23に設けられており、可動部材30が閉位置30bにありノブ51aを操作したときに、シャフト51bに摺動する。
【0041】
固定部材20は、固定部材20の車両後方側端部(車室側端部)に、固定部材20の収容部21の容積を大にする段差部24を備えている。可動部材30は、閉位置30bにあるときに、収容部21の、段差部24によって容積が大とされたスペースに入り込む張出部36を備える。段差部24と張出部36とは、可動部材30が閉位置30bにあるとき、可動部材30が固定部材20に対して移動する方向に対向し合っている。
【0042】
ブロック23は、段差部24に、可動部材30の固定部材20に対する移動方向に往復直線動可能に支持される。第3の斜面63は、
図13に示すように、ノブ51aをA2方向に操作してシャフト51bがB2方向に移動するとき、シャフト51bに設けられるブロック当接部51dに摺動する。
【0043】
第3の斜面63は、平面であってもよく湾曲面であってもよい。第3の斜面63は、ブロック23の移動方向に対して傾斜している。第3の斜面63は、ノブ51aをA2方向に操作したときにシャフト51bが移動する方向(B2方向)、かつ、可動部材30が開位置30aから閉位置30bへ移動する方向に、傾斜している。
【0044】
ここで、本発明実施例3の作動を説明する。
(a)
図11に示すように可動部材30が閉位置30bにあるときに、ノブ51aを
図12のA2方向に操作してシャフト51bが第1のロッド53a側(
図12のB2方向)に移動し始めると、シャフト51bは、第3の斜面63と摺動してブロック23を移動させる前に、第1のロッド53aを、ロック雄部52bがロック雌部52aから抜ける方向(
図12のC2方向)に押す。
(b)
図12に示すように、ノブ51aをさらにA2方向に操作してシャフト51bをさらにB2方向に移動させると、ロック雄部52bがロック雌部52aから抜ける。また、ロック雄部52bがロック雌部52aから抜けると同時(ほぼ同時を含む)に、シャフト51bのブロック当接部51dが第3の斜面63に接触し、ブロック当接部51dと第3の斜面63とが摺動し始める。
(c)ノブ51aをさらにA2方向に操作してシャフト51bをさらにB2方向に移動させると、
図13に示すように、ロック雄部52bがロック雌部52aから抜けた状態のまま、ブロック当接部51dと第3の斜面63とが摺動する。ブロック当接部51dと第3の斜面63とが摺動するため、
図14に示すように、ブロック23が、固定部材20の段差部24に対して可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向(F2方向)に移動し、可動部材30の張出部36を、可動部材30が閉位置30bから開位置30aに移動する方向(F2方向)に押す。
【0045】
本発明実施例3では、固定部材20が、固定部材20に可動に支持され可動部材30が閉位置30bにあるときに可動部材30bに当接するブロック23を備えており、変換機構60が、第3の斜面63を備えており、第3の斜面63がブロック23に設けられておりシャフト51bに摺動するため、つぎの作用・効果を得ることができる。
ブロック23に第3の斜面63を設けることのみで、ノブ51aの操作力を、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換できる。そのため、ノブ51aの操作力を、比較的容易に、可動部材30を固定部材20に対して開位置30a側へ移動させる力に変換できる。