(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100の全体回路構成を示す概略構成図である。
図2は、ガソリンベーパ回収装置100の別の構成を示す概略構成図である。
図1及び
図2に基づいて、ガス状炭化水素の回収装置であるガソリンベーパ回収装置100の回路構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。なお、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0024】
ガソリンベーパ回収装置100は、自動車等にガソリンを給油するための給油装置1とともに、ガソリンスタンド等に設置されるようになっている。このガソリンベーパ回収装置100は、給油部近傍から吸引したガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2つの吸脱着装置(吸脱着塔7、吸脱着塔8)を設け、この2つの吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。
【0025】
このガソリンベーパ回収装置100は、ガソリンベーパ吸入ポンプ2と、凝縮管3と、熱媒体貯留槽4と、熱交換器5と、冷凍機6と、2つの吸脱着塔(吸脱着塔7、吸脱着塔8)と、気液分離器9と、液体循環ポンプ10と、吸引ポンプ11と、ガソリン槽12と、圧力コントローラー13と、ガソリンベーパ送気管14と、浄化空気排出管15と、パージガス流入管16と、パージガス排出管17と、気液混合ガソリン流出管18と、ガソリンベーパ圧縮ポンプ19と、第2凝縮管20と、第2気液分離器21と、第2熱媒体貯留槽22と、第2圧力コントローラー23と、を有している。
【0026】
ガソリンベーパ吸入ポンプ2は、給油装置1の給油部近傍で発生したガソリンベーパを図示省略のノズルを介してガソリンベーパ回収装置100内に吸入するためのものである。凝縮管3は、吸入したガソリンベーパを冷却して凝縮液化するものである。熱媒体貯留槽4は、凝縮管3が内部に収容されるとともに、凝縮管3を冷却するためのブラインなどの熱媒体を蓄えるものである。熱交換器5は、冷凍機6の一部を構成するとともに、熱媒体貯留槽4内に収容されており、熱媒体貯留槽4内の熱媒体を冷却するものである。冷凍機6は、冷凍サイクルを備え、その冷凍サイクルを構成している熱交換器5に冷媒を供給するものである。
【0027】
吸脱着塔7及び吸脱着塔8は、凝縮管3から排出されたガソリンベーパ含有空気中のガソリンベーパを吸着除去する吸着剤(たとえば、シリカゲルやゼオライト、活性炭など)が充填されており、ガソリンベーパを吸着する吸着塔としての機能と、ガソリンベーパを脱着する脱着塔としての機能と、を有している。この
図1では、吸脱着塔7が吸着塔(以下、吸着塔7と称する場合があるものとする)として稼動し、吸脱着塔8が脱着塔(以下、脱着塔8と称する場合があるものとする)として稼動している状態を例に示している。
【0028】
気液分離器9は、凝縮管3の下流側に接続されており、凝縮管3で液化されたガソリン液とガソリンベーパとを気液分離するものである。液体循環ポンプ10は、熱媒体貯留槽4と2つの吸脱着塔とに接続されており、熱交換器5で冷却された熱媒体を吸脱着塔7、吸脱着塔8に供給するものである。吸引ポンプ11は、2つの吸脱着塔に接続されている配管に設けられており、吸脱着塔7、吸脱着塔8内の吸着剤に吸着したガソリンベーパを吸引脱着するものである。ガソリン槽12は、気液分離器9と給油装置1とに接続されており、気液分離器9で気液分離したガソリン液を一時的に蓄えるものである。
【0029】
圧力コントローラー13は、2つの吸脱着塔に接続されている浄化空気排出管15に設けられており、2つの吸脱着塔内の圧力を調整する機能を有している。ガソリンベーパ送気管14は、気液分離器9と2つの吸脱着塔とを接続し、気液分離器9で分離されたガソリンベーパを2つの吸脱着塔に導く配管である。浄化空気排出管15は、2つの吸脱着塔に接続されており、ガソリンベーパが吸着され、吸脱着塔から排出された空気を大気に送出する配管である。
【0030】
パージガス流入管16は、2つの吸脱着塔に接続されており、吸脱着塔7又は吸脱着塔8から大気に排出する清浄なガスの一部をパージガスとして使用するために吸脱着塔8又は吸脱着塔7に送るための配管である。パージガス排出管17は、吸引ポンプ11と2つの吸脱着塔とを接続し、吸脱着塔7又は吸脱着塔8の脱着後のパージガスを第2熱媒体貯留槽22まで導通させる配管である。気液混合ガソリン流出管18は、凝縮管3と気液分離器9と接続する配管である。ガソリンベーパ圧縮ポンプ19は、吸引ポンプ11と第2熱媒体貯留槽22との間に設けられており、吸引ポンプ11から排出された濃縮ガソリンベーパ含有空気を圧縮するものである。
【0031】
第2凝縮管20は、パージガス排出管17に接続されており、ガソリンベーパ圧縮ポンプ19で圧縮された濃縮ガソリンベーパ含有空気中のガソリン成分を凝縮するものである。第2気液分離器21は、第2凝縮管20の下流側に接続されており、第2凝縮管20で液化されたガソリン液とガソリンベーパとを気液分離するものである。第2熱媒体貯留槽22は、第2凝縮管20が内部に収容されるとともに、第2凝縮管20を冷却するためのブラインなどの熱媒体を蓄えるものである。第2圧力コントローラー23は、第2気液分離器21に接続されており、第2気液分離器21内の圧力を調整することで、第2凝縮管20の圧力を調整するものである。
【0032】
また、ガソリンベーパ回収装置100には、給油装置1とガソリンベーパ吸入ポンプ2との間に設けられているバルブB1、気液分離器9とガソリン槽12との間に設けられているバルブB2、2つの吸脱着塔と吸引ポンプ11との間に設けられている脱着用バルブB3、2つの吸脱着塔と圧力コントローラー13との間に設けられている吸着用排出バルブB4、2つの吸脱着塔に接続されているパージガス流入管16に設けられているマスフローコントローラーB5、2つの吸脱着塔に接続されているガソリンベーパ送気管14の途中に設けられている吸着用流入バルブB6、及び、第2気液分離器21とガソリン槽12との間に設けられているバルブB7を有している。なお、開放されているバルブを黒塗りで、閉鎖されているバルブを白抜き(符号には’を付記している)で、表している。
【0033】
バルブB1は、給油装置1の稼動と連動して開放されるようになっている。バルブB2は、気液分離器9で回収したガソリン液をガソリン槽12に供給する際に開放されるようになっている。脱着用バルブB3は、吸脱着塔7又は吸脱着塔8の脱着後のパージガスを導通する際に開放されるようになっている。吸着用排出バルブB4は、2つの吸脱着塔の圧力を調整するために開閉されるようになっている。マスフローコントローラーB5は、パージガス流入管16を流れるガスの量を調整するために開閉されるようになっている。吸着用流入バルブB6は、気液分離器9から供給されるガソリンベーパを導通する際に開放されるようになっている。バルブB7は、第2気液分離器21で回収したガソリン液をガソリン槽12に供給する際に開放されるようになっている。
【0034】
ガソリンベーパ回収装置100の動作について説明する。
給油装置1が稼動すると、それに併せてバルブB1が開放されるとともにガソリンベーパ吸入ポンプ2が動作を開始する。そうすると、給油装置1の給油部近傍に発生するガソリンベーパ(常温で約40vol%)がガソリンベーパ回収装置100内に吸い込まれ、たとえば0.2〜0.4MPa程度に加圧圧縮されて凝縮管3に送気される。凝縮管3は、熱媒体貯留槽4内に備えられており、熱媒体貯留槽4内に蓄えられた熱媒体により冷却されている。したがって、ガソリンベーパが凝縮管3を導通する際に冷却されることになる。
【0035】
通常、凝縮管3内部は、0℃から5℃程度に保たれており、ガソリン及びガス中に含まれた水分が一部凝縮する。その後、気液分離器9に流入し、この気液分離器9によって気体(ガソリンベーパ)と液体(ガソリン)に分離される。ところで、凝縮管3の運転条件を圧力0.3MPa、冷却温度5℃、ガス流量100L/minとし、この条件下でガソリンベーパ回収装置100を運転させると、凝縮管3に送気されたガソリンベーパの濃度は10vol%程度になる。
【0036】
なお、ガソリンベーパの飽和濃度線図(図示省略)からわかるように、圧力0.3MPa、温度5℃では飽和ガソリンベーパ濃度は約10vol%であり、この条件ではガソリンベーパ濃度が理論的に10vol%以下になることはない。また、温度を下げることにより、凝縮管3の出口でのガソリンベーパ濃度を低減することはできる。しかしながら、設定温度を氷点以下にすると、ガス中に含まれる水が凝縮管3で結氷し、配管詰まりの問題が発生するため、凝縮管3の設定温度は0℃から5℃程度にすることが望ましい。
【0037】
また、給油時間がある所定の時間に達すると、バルブB2が開放される。これにより、気液分離器9の下部に溜まったガソリン液はガソリン槽12を経由して給油装置1に戻される。その後、一定時間経過すると、バルブB2が閉じられ、気液分離器9の下部にガソリン液が再び溜められる。このように、ガソリン槽12を設けているため、ガソリンベーパが気液分離器9に流れ込むことが防止できる。このようにして、高濃度ガソリンベーパの吸脱着塔7又は吸脱着塔8への流れ込みによる吸脱着塔7又は吸脱着塔8の吸着破過時間の短縮化(切り換えタイミングの短縮化)を防止可能にしている。
【0038】
図1に示すように、ガソリン槽12では、下部に一定量のガソリン液が溜められるようになっており、気液分離器9で分離されたガソリン液は底部から流れ込み、ガソリン槽12内において下から上に向かって流れるようにしている。これによって、ガソリン槽12では、上部にガソリンベーパが存在する構造となっている。このため、バルブB2が開いた場合にも、ガソリンベーパがガソリン液の流れにさからって気液分離器9に流れ込むことはなく、吸脱着塔7又は吸脱着塔8に高濃度のガソリンベーパが送気されることがなくなる。
【0039】
凝縮管3で処理できなかった10vol%程度のガソリンベーパは、吸脱着塔7又は吸脱着塔8(
図1では吸着塔として稼働している吸脱着塔7)に送気されて処理される。したがって、このとき、脱着用バルブB3が開放(黒塗り)、脱着用バルブB3’(白抜き)は閉鎖の状態であり、吸着用排出バルブB4が開放(黒塗り)、吸着用排出バルブB4’(白抜き)が閉鎖の状態であり、吸着用流入バルブB6が開放(黒塗り)、吸着用流入バルブB6’(白抜き)が閉鎖の状態に制御されている。
【0040】
吸着塔7で任意の時間吸着処理した後は脱着塔として使用する。この場合は、脱着用バルブB3、吸着用排出バルブB4、及び、吸着用流入バルブB6が閉鎖、脱着用バルブB3’、吸着用排出バルブB4’、及び、吸着用流入バルブB6’が開放の状態に制御されて使用される。また、脱着が終了した時点で、再び吸着塔として用い、この動作を時間的に繰り返して使用する。吸着・脱着の切り替えは、前述のように脱着用バルブB3と脱着用バルブB3’、吸着用排出バルブB4と吸着用排出バルブB4’、吸着用流入バルブB6と吸着用流入バルブB6’の切り替えでコントロールする。
【0041】
したがって、凝縮管3で処理できなかったガソリンベーパは、ガソリンベーパ送気管14を通って吸着塔7に送気される。吸脱着塔7及び吸脱着塔8には、上述したようにガソリンベーパを吸着する吸着剤が封入されている。ガソリンベーパを吸着する吸着剤としては、特に4〜100オングストロームの孔径をもつシリカゲル、合成ゼオライトの単独、又は、これらの混合物が有効である。この吸着剤中をガソリンベーパが通過することにより、吸着剤によってガソリン成分は吸着除去され、1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって浄化空気排出管15を介して大気に放出される。
【0042】
また、大気へ清浄空気を排出する浄化空気排出管15には、上述したように吸脱着塔7及び吸脱着塔8の圧力を規定値に制御する圧力コントローラー13が配設されている。したがって、圧力コントローラー13は、吸着塔7内の圧力を規定値に維持するようにしている。実施の形態1では、凝縮管3の高圧(0.3MPa程度)の排気ガスを用いて吸着するため、常圧で吸着するより吸着容量が大幅に改善される。
【0043】
吸脱着塔7及び吸脱着塔8は、ガソリンベーパの吸脱着の役割に関係なく、常に液体循環ポンプ10によって供給される熱媒体により一定温度に冷却されている。すなわち、凝縮管3及び2つの吸脱着塔の冷却系統は、所定の設定温度に維持されるように常に運転制御されている。これは、吸脱着塔7及び吸脱着塔8に充填されている吸着剤が吸脱着塔7及び吸脱着塔8内に備え付けられているフィンチューブ熱交換器からの伝熱によって冷却されるため、ある程度の冷却時間が必要不可欠であり、瞬時の運転に対応できないからである。また、短時間に冷却できるように冷却能力が大きい冷凍機6を備えることは、設備コストに悪い影響を与え、安価なガソリン回収装置を提供できなくなるからである。
【0044】
なお、吸着塔7内部の温度を低くすることにより、吸着剤の吸着容量を大きくでき、吸着剤の使用量を低減することができる。また、吸脱着塔7及び吸脱着塔8を所定の設定温度に維持しているため、ガソリンベーパ回収停止時に吸脱着塔7及び吸脱着塔8内の吸着剤の温度が上昇することにより、吸脱着塔7及び吸脱着塔8内の吸着剤からガソリンベーパが脱着し、吸脱着塔7及び吸脱着塔8内の圧力が上昇してしまうことを効果的に防止することができる。
【0045】
ガソリンベーパの脱着プロセスについて説明する。
吸着剤に吸着したガソリンを脱着する場合には、吸引ポンプ11によりパージガス排出管17を介して脱着塔8からガスを吸引して吸着剤からガソリンを脱着する。このとき、脱着用バルブB3を開放、脱着用バルブB3’を閉鎖にしておく。吸着時には吸着塔(この例では吸着塔7)は0.3MPaの高圧状態で動作しているが、脱着時には吸引ポンプ11により大気圧以下に減圧されるため、この圧力差によって吸着剤に吸着したガソリンが脱着される。
【0046】
脱着されたガソリンベーパは、ガソリンベーパ圧縮ポンプ19及び第2圧力コントローラー23により圧縮され、第2凝縮管20に送られる。第2凝縮管20は、第2熱媒体貯留槽22内に備えられており、第2熱媒体貯留槽22内に蓄えられた熱媒体により冷却されている。したがって、ガソリンベーパが第2凝縮管20を導通する際に冷却されることになる。通常、第2凝縮管20内部は、0℃から5℃程度に保たれており、ガソリン及びガス中に含まれた水分が一部凝縮する。その後、第2気液分離器21に流入し、この第2気液分離器21によって気体と液体(ガソリン、水)に分離される。
【0047】
第2気液分離器21内のガソリンが所定量に達すると、バルブB7が開放される。これにより、第2気液分離器21の下部に溜まったガソリン液はガソリン槽12を経由して給油装置1に戻される。一方、第2凝縮管20で処理できなかった10vol%程度のガソリンベーパは、第2圧力コントローラー23、及び、ガソリンベーパ送気管14を経て吸着塔7に戻される。すなわち、脱着塔8から取り出された濃縮ガソリンベーパは、濃度が高い状態を維持したまま第2凝縮管20に供給されて効率的に液化され、液化されなかったガソリンベーパは吸着塔7において再度吸着除去される。
【0048】
脱着時に、吸引ポンプ11の吸引による圧力差を利用する方法だけでは、脱着効率があまり高くないため、パージガスを外部から導入することが有効である。そこで、実施の形態1では、このパージガスとして吸着塔7から大気に排出する清浄なガスの一部をパージガス流入管16’によって脱着塔8に送って使用するようにしている。マスフローコントローラーB5及びマスフローコントローラーB5’は、パージガス流入管16を通過するガス流量を制御するものであり、この場合、マスフローコントローラーB5が開放状態で、マスフローコントローラーB5’が閉鎖状態になっている。
【0049】
つまり、マスフローコントローラーB5は、開放状態で規定量のガスを流通できる状態であり、マスフローコントローラーB5’は、閉鎖状態になっていてガスは流れないようになっている。なお、実施の形態1では、前段の凝縮管3でガス中の水分量を十分低くしているため、パージガスに含まれる水分が脱着塔8内の吸着剤に悪影響を与えることは殆どない。
【0050】
吸脱着塔7と吸脱着塔8の切り替えについて説明する。
前述したように、ガソリンベーパは、吸着塔7を通過することによってガソリン成分が吸着除去され、ガソリン濃度が1vol%以下の清浄空気となって浄化空気排出管15を介して大気に放出される。しかしながら、吸着塔7に供給されるガソリンベーパ量が増大するにつれて、吸着塔7の吸着能力が徐々に低下していくことになる。この状態が続き、吸着塔7出口でのガソリン濃度が1vol%に近づくと、吸脱着塔7と吸脱着塔8との切り替えが必要になる。
【0051】
ガソリンスタンドにおいて、給油は不定期に行われる。そのため、単純に時間で吸脱着塔7と吸脱着塔8の切り替えを行なう場合、給油タイミングによってはどちらか一方の吸脱着塔7又は吸脱着塔8のみで吸着動作が行なわれるといった事態が発生する可能性がある。そうすると、ガソリンベーパ回収装置100から1vol%以上のガソリンベーパが排出されるおそれがある。したがって、吸脱着塔7と吸脱着塔8の切り替えは、ガソリン回収装置100が動作している時間の積算値で行なうことが有効である。すなわち、ガソリン回収装置100が稼動している時間の積算値が所定時間に達した時に、吸脱着塔7と吸脱着塔8の切り替えを行なうとともに、その積算値をリセットし、再度、稼動時間の積算を最初から行なうようにする。
【0052】
なお、ガソリンベーパ回収装置100の稼動を表す指標としては、ガソリンベーパ吸入ポンプ2や吸引ポンプ11の稼動が挙げられる。ガソリンベーパ回収装置100では、ガソリンベーパ吸入ポンプ2と吸引ポンプ11は同期しているため、どちらの稼動時間を積算しても問題はない。また、実際の切り替えのタイミングとしては、積算時間が所定値に達成しても、すぐに切り替えることはせず、一定時間が経過した後に切り替えるようにしてもよい。
【0053】
第2凝縮管20の冷却制御方法について説明する。
冷凍機6によって冷却された熱媒体貯留槽4内の熱媒体が、液体循環ポンプ10によって第2熱媒体貯留槽22に供給され、これによって第2凝縮管20が冷却されることになる。なお、
図1には、脱着塔8に供給される熱媒体が流れる配管が分岐されて、第2熱媒体貯留槽22に熱媒体が供給される場合を図示しているが、これに限定するものではない。つまり、第2熱媒体貯留槽22、吸脱着塔7、吸脱着塔8への熱媒体の供給が並列になっていればよいのである。したがって、第2熱媒体貯留槽22への熱媒体の供給は、吸着塔7に供給される熱媒体が流れる配管から分岐されていてもよく、液体循環ポンプ10の出口が3方向に分岐されていてもよい。
【0054】
第2熱媒体貯留槽22、吸脱着塔7、吸脱着塔8への熱媒体の供給が並列に実行されるようにした理由は、第2熱媒体貯留槽22、吸脱着塔7、吸脱着塔8への熱媒体の供給が直列に行なわれると、最後に流れる機器(最下流に位置する機器)で熱媒体の温度が所定の温度よりも高くなっているため、その機器での性能が低下することになり、ひいてはガソリンベーパ回収装置100全体の性能が低下してしまうことになるからである。
【0055】
実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100の特徴事項である脱着したガソリンベーパを単独で凝縮する方式について、従来方式と比較しながら説明する。脱着したガソリンベーパを単独で凝縮する方式とは、吸脱着塔で脱着したガソリンベーパを給油装置から取り込んだガソリンベーパと混合させずに、それぞれ独立して凝縮するようにしたものである(以下、本方式と称する)。また、比較する従来方式とは、脱着したガソリンベーパを給油装置から取り込んだガソリンベーパと混合してから凝縮するようにしたものである。
【0056】
図9は、従来方式におけるガソリン成分(横軸)と各機器毎の量(縦軸)との関係を示すグラフである。
図10は、従来方式における給油時間の長さに応じたガソリン成分(横軸)と各機器毎の量(縦軸)との関係を示すグラフである。
図11は、ガソリン成分の0.3MPa時における飽和濃度を示す飽和濃度線図(横軸に温度[℃]、縦軸に飽和濃度[vol%])である。
図12は、ガソリン成分の5℃時における飽和濃度を示す飽和濃度線図(横軸に圧力[MPa]、縦軸に飽和濃度[vol%])である。
図9〜
図11に基づいて、ガソリンの構成成分について説明するとともに、低沸点炭化水素の回収について説明する。
【0057】
図9には、ガソリンベーパ回収装置100の4つの要素(ガソリン槽12(a)、ガソリンベーパ圧縮ポンプ19(b)、気液分離器9出口(c)、吸脱着塔出口(d))のガソリン成分の量が表されている。この
図9では、250L給油時におけるガソリン成分の量を示している。
図9から、低沸点炭化水素(C4炭化水素及びC5炭化水素)の量が気液分離器9で低減されていないことがわかる。また、
図9から、低沸点炭化水素の吸脱着塔出口の量も低減されていないことがわかる。
【0058】
図10では、50L給油時における吸脱着塔出口におけるガソリン成分の量(e)と、285L給油時における吸脱着塔出口におけるガソリン成分の量(f)と、を図示している。
図10から、給油時間が増大するに伴って、低沸点炭化水素(中でも特にブタンやイソブタン等のC4炭化水素、及び、オルダムリング遠端やイソペンタンなどのC5炭化水素)の漏れ出し量も増大するということがわかる。
図9及び
図10から、低沸点炭化水素の回収効率を向上させることが、ガソリンベーパ全体の回収効率の向上になるということがわかる。
【0059】
図11から、低温利用によりガソリンベーパの回収効率を向上できることがわかる。この原理は、本方式においても、従来方式においても、冷凍機によって熱媒体貯留槽内の熱媒体を冷却すること、及び、吸脱着塔を所定温度に維持することによって利用している。
図12から、ガソリンベーパの飽和濃度、特に低沸点炭化水素の飽和濃度は、圧力の影響によって左右されるということがわかる。
図11及び
図12から、低温を利用すること、及び、圧力を利用することが低沸点炭化水素の回収効率の向上になるということがわかる(実施の形態6で2段圧縮について説明する)。
【0060】
給油装置から取り込むガソリンベーパ含有空気中のイソブタン濃度を40vol%、そのガス流量を70L/min、脱着したガソリンベーパ含有空気中のイソブタン濃度を70vol%、そのガス流量を30L/minとした場合で従来方式と本方式とを比較する。なお、凝縮条件をガス圧力0.3MPa、冷却温度2℃としているものとする。この条件におけるイソブタンの飽和蒸気濃度は56vol%である。したがって、従来方式では、混合した場合のガソリンベーパ含有空気のイソブタン濃度は、49vol%となり、飽和蒸気濃度以下となる。このような条件では、イソブタンを全く回収することができない。
【0061】
一方、本方式では、給油装置1からのガソリンベーパ含有空気のイソブタンは回収できないが、脱着したガソリンベーパ含有空気のブタンは4.2L/min[30L/min×(70vol%−56vol%)]で回収することができる。このように、本方式により、ブタンやイソブタンなどの低沸点炭化水素が吸着塔に流れ込む量を低減することができ、吸着塔の負荷を小さくすることができ、吸着塔の小型化や吸脱着切り替えタイミングの長時間化を実現できることになる。したがって、ガソリンベーパ回収装置100に本方式を採用することにより、ブタンやイソブタンなどの低沸点炭化水素も回収することが可能になり、コンパクトで、かつ、効率的にガソリンベーパを液化凝縮できるガソリン回収装置100を得ることができる。
【0062】
以上のように、実施の形態1に係るガソリン回収装置100は、脱着した濃縮ガソリンベーパ含有空気を凝縮する凝縮装置(第2凝縮管20)と、給油装置1から取り込んだガソリンベーパ含有空気を凝縮する凝縮装置(凝縮管3)と、を別個に設けるようにしたので、従来方式では回収することのできなかったブタンやイソブタンなどの低沸点炭化水素も効率よく回収することができる。
【0063】
また、ガソリンベーパ回収装置100は、凝縮温度の低下や圧縮圧力の上昇を伴わないで低沸点炭化水素を効率よく回収できるので、冷凍機6を冷却効率が高い状態で運転できる。さらに、ガソリンベーパ回収装置100は、ガソリンベーパ圧縮ポンプ19の動力を低減できるため、無駄なエネルギーを消費することもなく、省エネルギーで高効率にガソリンを回収できる。加えて、ガソリンベーパ回収装置100は、低沸点炭化水素を効率よく液化できるので、吸着剤の使用量を低減することができ、吸着塔のコンパクト化を実現できる。
【0064】
なお、実施の形態1では、第2圧力コントローラー23により、ガソリンベーパ圧縮ポンプ19と第2圧力コントローラー23の間の配管の圧力が吸脱着塔7、吸脱着塔8の後段に設けられた圧力コントローラー13と同等の値に設定している場合について示したが、同等の値に設定することができれば第2圧力コントローラー23を設けなくても同等の効果が得られる。ただし、脱着ガス中のガソリン成分を凝縮する第2凝縮管20に給油装置1から流れ込んだガソリンベーパ含有空気が流れ込まないようにすることが必要である。また、第2圧力コントローラー23を備える場合には、第2圧力コントローラー23の設定圧力を圧力コントローラー13の設定圧力よりも高くしてもよい。これにより、濃縮ガソリンベーパ中に含まれる低沸点炭化水素をより効率よく回収することができる。
【0065】
さらに、実施の形態1では、第2熱媒体貯留槽22を設け、液体循環ポンプ10により第2熱媒体貯留槽22に熱媒体を供給して、第2凝縮管20を冷却する場合について示したが、
図2に示すように、凝縮管3と第2凝縮管20とを同時に冷却できる熱媒体貯留槽31を設けて、熱媒体を循環供給するのを吸脱着塔7及び吸脱着塔8に絞るようにしてもよい。これにより、部品点数を減らすことができるとともに、液体循環ポンプ10の容量を小さくすることができる。したがって、ガソリンベーパ回収装置100は、液体循環ポンプ10の発熱量を小さくすることができ、安価、かつ、エネルギー消費量が少ないものとなる。
【0066】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係るガソリンベーパ回収装置100aの全体構成を示す概略構成図である。
図3に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100aの構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。このガソリンベーパ回収装置100aも、実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100と同様に、ガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2つの吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付している。
【0067】
実施の形態1では、熱交換器5及び冷凍機6によって熱媒体を冷却し、その熱媒体によって、凝縮管3と第2凝縮管20を同じ温度に冷却するようにした場合を例に示した。一方、実施の形態2では、第2熱媒体貯留槽(第2熱媒体貯留槽22aと称する)内に熱媒体を冷却する第2熱交換器32と第2冷凍機33を設け、第2凝縮管(以下、第2凝縮管20aと称する)を冷却するようにして、第2凝縮管20aを凝縮管3よりも低い温度で冷却するようした場合を例に示している。
【0068】
このような構成にすることにより、第2凝縮管20aにおいてブタンやペンタンなどの低沸点炭化水素を効率よく液化できる効果がある。なお、第2凝縮管20aを流れる濃縮ガソリンベーパ含有空気中には水分が含まれないため、第2凝縮管20a内部でガス中の水分が結氷し、第2凝縮管20aでガスの流れが滞ることはない。したがって、ガソリンベーパ回収装置100aは、脱着した濃縮ガソリンベーパ中に含まれる低沸点炭化水素を効率よく回収することができ、更にコンパクトなものにすることができる。
【0069】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3に係るガソリンベーパ回収装置100bの全体構成を示す概略構成図である。
図4に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100bの構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。このガソリンベーパ回収装置100bも、実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100と同様に、ガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2つの吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。なお、実施の形態3では実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には、同一符号を付している。
【0070】
実施の形態1及び実施の形態2では、脱着した濃縮ガソリンベーパ含有空気を凝縮する凝縮装置(第2凝縮管)と、給油装置1から取り込んだガソリンベーパ含有空気を凝縮する凝縮装置(凝縮管3)と、を別個に設けたものを例に示した。一方、実施の形態3は、ガソリンベーパ含有空気のガス流量を変えることができる可変型ガス供給装置であるガス流量可変ポンプ41を設け、脱着塔8から脱着した濃縮ガソリンベーパと給油装置1から取り込んだガソリンベーパとを混合した後に凝縮管3において凝縮するようにしたものを例に示している。
【0071】
また、ガソリンベーパ回収装置100bには、ガソリンベーパ吸入ポンプ2、第2凝縮管、第2熱媒体貯留槽、第2熱交換器、第2冷凍機、ガソリンベーパ圧縮ポンプ、第2気液分離器、及び、第2圧力コントローラーを設けておらず、パージガス排出管17をバルブB1とガス流量可変ポンプ41との間に接続するようにしている。ガス流量可変ポンプ41は、給油装置1から取り込んだガソリンベーパ含有空気のガス流量を変えることができるものである。
【0072】
ガソリンベーパ回収装置100bの動作について説明する。
ガソリンスタンドにおいて、給油は不定期に行われる。このため、給油時の限られた時間だけガス流量可変ポンプ41を大流量モードで駆動させ、給油装置1の図示省略のノズル近傍のガソリンベーパを回収するようにしている。一方、給油が行なわれない場合は、バルブB1を閉じ、ガス流量可変ポンプ41を小流量モードで駆動させるようにしている。これにより、吸引ポンプ11により脱着塔8から引き抜かれた濃縮ガソリンベーパ含有空気は、ガス流量可変ポンプ41を介して凝縮管3に供給されることになる。
【0073】
すなわち、ガソリンベーパ回収装置100bは、給油が行なわれない間、脱着した濃縮ガソリンベーパ含有空気のみを凝縮管3で凝縮していることになる。このようにすることにより、ガソリンベーパ回収装置100bでは、脱着した濃縮ガソリンベーパ含有空気中の低沸点炭化水素を効率よく回収することができる。したがって、脱着操作を長時間行なうことにより、吸脱着塔に蓄えられているガソリン成分を減らすことができ、次の回に吸着できるガソリン量を多くすることができる。
【0074】
しかしながら、吸引ポンプ11及びガス流量可変ポンプ41の運転時間が増加するために、エネルギー消費量が増大することになる。このため、吸引ポンプ11が所定時間稼働すると、吸引ポンプ11を停止し、その際に吸脱着塔7と吸脱着塔8が切り替わるようにするのがよい。このようにすることにより、給油装置1から連続的にガソリンベーパの供給される場合を除いて、いつもガソリン成分が吸着していない吸脱着塔に気液分離器9から排出されたガソリンベーパ含有空気を供給することができ、高効率にガソリンベーパを吸着除去することが可能になる。
【0075】
すなわち、給油装置1の停止時間が吸引ポンプ11の稼動時間よりも長くなると、ガソリン成分が残っていない吸脱着塔(たとえば、吸脱着塔7)に凝縮管3で凝縮しない低沸点炭化水素を供給することができる。そのため、吸脱着塔に低沸点炭化水素を効率的に吸着させることができ、吸脱着塔に充填されている吸着剤の使用量を少なくできるという効果がある。以上のことから、ガソリンベーパ回収装置100bは、安価で、かつ、コンパクトなものとなる。なお、実施の形態3に実施の形態1の特徴事項及び実施の形態2の特徴事項のいずれか又は双方を適用するようにしてもよい。
【0076】
実施の形態4.
図5は、本発明の実施の形態4に係るガソリンベーパ回収装置100cの全体構成を示す概略構成図である。
図5に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100cの構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。このガソリンベーパ回収装置100cも、実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100と同様に、ガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2つの吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。なお、実施の形態4では実施の形態1〜実施の形態3との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態3と同一部分には、同一符号を付している。
【0077】
実施の形態3では、ガソリンベーパ含有空気のガス流量を変えることができるガス流量可変ポンプ41を設けた場合を例に示している。一方、実施の形態4では、気液分離器9のガス出口に第3冷凍機51の構成要素の1つである第3熱交換器52(冷凍装置)を備えて、その第3熱交換器52を介して気液分離器9から流出したガソリンベーパを冷却するようにした場合を例に示している。つまり、第2凝縮管、第2熱媒体貯留槽、第2熱交換器、第2冷凍機、ガソリンベーパ圧縮ポンプ、第2気液分離器、及び、第2圧力コントローラーを設けていない点で実施の形態2に係るガソリンベーパ回収装置100bと同様であるが、ガス流量可変ポンプ41ではなく、ガソリンベーパ吸入ポンプ2としている点で実施の形態3と相違している。
【0078】
このような構成とすることにより、気液分離器9から流出するガソリンベーパ含有空気を第3熱交換器52で冷却できるようにしたものである。これにより、吸脱着塔7及び吸脱着塔8においてガソリンベーパ含有空気の温度を更に低くすることができる。したがって、吸脱着塔7及び吸脱着塔8での低沸点炭化水素の除去能力を大きくすることができる。以上のことから、ガソリンベーパ回収装置100cは、高効率にガソリンベーパを液化できるものとなる。
【0079】
なお、吸脱着塔7及び吸脱着塔8に金属粒体を入れることにより(実施の形態1〜実施の形態3、実施の形態5〜実施の形態7でも同様)、吸着剤の冷却性能を高くすることができ、低沸点炭化水素の吸着除去性能を更に高めることができる。この金属粒体は熱伝導がよく、ガソリンベーパなどに腐食されないアルミニウムや銅などが適当である。また、実施の形態4に実施の形態1の特徴事項〜実施の形態3の特徴事項のいずれか又は複数を適用するようにしてもよい。
【0080】
実施の形態5.
図6は、本発明の実施の形態5に係るガソリンベーパ回収装置100dの全体構成を示す概略構成図である。
図6に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100dの構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。このガソリンベーパ回収装置100dも、実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100と同様に、ガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2つの吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。なお、実施の形態5では実施の形態1〜実施の形態4との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態4と同一部分には、同一符号を付している。
【0081】
図6に示すように、ガソリンベーパ回収装置100dは、気液分離器9のガス出口と第2凝縮管63を接続し、その間に圧縮ポンプである第2ガソリンベーパ圧縮ポンプ61を備えるようにしたものである。つまり、ガソリンベーパ回収装置100dは、凝縮管3と気液分離器9とを通過したガソリンベーパ含有空気を第2ガソリンベーパ圧縮ポンプ61で更に圧縮してから、第2凝縮管63に供給するようにしたものである。第2ガソリンベーパ圧縮ポンプ61で再圧縮されたガソリンベーパ含有空気は、第2熱媒体貯留槽64の中に備えられた第2凝縮管63に供給され、残留していた低沸点炭化水素が凝縮する。
【0082】
低沸点炭化水素が凝縮除去されたガソリンベーパ含有空気は、第2気液分離器62を介して吸脱着塔7又は吸脱着塔8に供給される。なお、一段で目標の圧力にする場合と二段で目標の圧力にする場合と比較すると、到達圧力は同じであるため、吸脱着塔7又は吸脱着塔8に供給されるガソリンベーパ量は変わらない。しかしながら、二段圧縮の場合、一段目で液化するガソリン成分があるため、二段目で圧縮しなければならないガソリンベーパ含有空気のガス量が少なくなり、ガソリンベーパ含有空気を圧縮する際に使用するエネルギーを少なくすることができる。
【0083】
また、このようにすることにより、低沸点炭化水素が凝縮除去されたガソリンベーパ含有空気が吸脱着塔7又は吸脱着塔8に供給されるため、吸脱着塔7及び吸脱着塔8で除去しなければならなかった低沸点炭化水素を低減することができる。したがって、吸脱着塔7及び吸脱着塔8に充填している吸着剤を低減することができる。
【0084】
以上のことから、ガソリンベーパ回収装置100dは、凝縮装置(凝縮管3で構成される凝縮装置と、第2凝縮管63で構成される凝縮装置)を複数設け、二段圧縮することにより、ガソリンベーパ含有空気の圧縮に必要なエネルギーを低減しながら、高効率に低沸点炭化水素を液化除去することができ、省エネルギーで高効率にガソリンベーパを回収することができるものとなる。なお、実施の形態5に実施の形態1の特徴事項〜実施の形態4の特徴事項のいずれか又は複数を適用するようにしてもよい。
【0085】
実施の形態6.
図7は、本発明の実施の形態6に係るガソリンベーパ回収装置100eの全体構成を示す概略構成図である。
図7に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100eの構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。このガソリンベーパ回収装置100eも、実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100と同様に、ガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2組の吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。なお、実施の形態6では実施の形態1〜実施の形態5との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態5と同一部分には、同一符号を付している。
【0086】
図7に示すように、ガソリンベーパ回収装置100eは、吸脱着塔7及び吸脱着塔8から排出された低濃度のガソリンベーパ含有空気中の低沸点炭化水素を吸着除去する第2吸脱着装置である低沸点炭化水素用吸脱着塔71及び第2吸脱着装置である低沸点炭化水素用吸脱着塔72を備えるようにしたものである。すなわち、吸着塔として稼働している吸脱着塔7から排出されたガソリンベーパ含有空気は、吸着塔として稼働している低沸点炭化水素用吸脱着塔71に供給され、そこで低沸点炭化水素を除去されて大気に放出される。低沸点炭化水素用吸脱着塔71及び低沸点炭化水素用吸脱着塔72に充填する吸着剤としては、5〜10オングストロームの孔径をもつシリカゲル、合成ゼオライトの単独、又は、これらの混合物が有効である。これにより、低沸点炭化水素を効率よく吸着できる。
【0087】
なお、低沸点炭化水素用吸脱着塔71と低沸点炭化水素用吸脱着塔72の切り替え、及び、吸脱着塔7と吸脱着塔8の切り替えについては、ガソリンベーパ吸入ポンプ2や吸引ポンプ11の稼動積算時間が挙げられる。すなわち、これらの稼動積算時間が所定時間に達した場合、たとえば吸脱着塔7と吸脱着塔8、低沸点炭化水素用吸脱着塔71と低沸点炭化水素用吸脱着塔72を同時に切り替える方法がある。また、脱着については、再吸着をできるだけ抑えるために、吸脱着塔7、吸脱着塔8と、低沸点炭化水素用吸脱着塔71、低沸点炭化水素用吸脱着塔72から並列に脱着する方が直列につないで脱着するよりも望ましい。
【0088】
次に、低沸点炭化水素用吸脱着塔71、低沸点炭化水素用吸脱着塔72で吸着する場合(吸脱着塔7、吸脱着塔8に低沸点炭化水素用吸着材を充填する場合)と、吸脱着塔7、吸脱着塔8に加え、低沸点炭化水素用吸脱着塔71、低沸点炭化水素用吸脱着塔72を併用する場合と比較する。凝縮管3、気液分離器9から排出されるガソリンベーパ含有空気中には、数十種類の炭化水素が含まれている。そのために、低沸点炭化水素用吸着剤では、比較的分子径の小さな分子は吸着することはできるが、大きな分子は吸着することはできない。したがって、低沸点炭化水素用吸脱着塔71、低沸点炭化水素用吸脱着塔72で吸着する場合には、分子径が大きな炭化水素の漏れ出しが早くなることになる。
【0089】
一方、吸脱着塔7、吸脱着塔8に加え、低沸点炭化水素用吸脱着塔71、低沸点炭化水素用吸脱着塔72を併用する場合には、分子径の大きな炭化水素は吸脱着塔7又は吸脱着塔8で吸着除去され、分子径が小さな炭化水素は低沸点炭化水素用吸脱着塔71又は低沸点炭化水素用吸脱着塔72で吸着除去される。そのために、ガソリンベーパ含有空気中の炭化水素を効率よく吸着除去することができる。以上のことから、ガソリンベーパ回収装置100eは、充填する吸着剤が異なる吸脱着塔を直列に配置して、二段吸着することにより、高効率に低沸点炭化水素を液化除去することができ、高効率にガソリンベーパを回収できるようになっている。なお、実施の形態6に実施の形態1の特徴事項〜実施の形態5の特徴事項のいずれか又は複数を適用するようにしてもよい。
【0090】
実施の形態7.
図8は、本発明の実施の形態7に係るガソリンベーパ回収装置100fの全体構成を示す概略構成図である。
図8に基づいて、ガソリンベーパ回収装置100fの構成及びガソリンベーパのフローについて説明する。このガソリンベーパ回収装置100fも、実施の形態1に係るガソリンベーパ回収装置100と同様に、ガソリンベーパを凝縮管3で冷却して回収するとともに、ガソリンベーパを吸着又は脱着する2組の吸脱着塔の機能を適宜切り替えてガソリンベーパを回収(吸着)及び再利用(脱着)するものである。なお、実施の形態7では実施の形態1〜実施の形態6との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態6と同一部分には、同一符号を付している。
【0091】
実施の形態6では、低沸点炭化水素用吸脱着塔71と低沸点炭化水素用吸脱着塔72の切り替え、及び、吸脱着塔7と吸脱着塔8の切り替えを、ガソリンベーパ吸入ポンプ2や吸引ポンプ11の稼動積算時間で同時に行なう場合について示した。一方、実施の形態7では、ガソリンベーパ含有空気のガス流量を変えることができるガス流量可変ポンプ41を設け、吸脱着塔7と吸脱着塔8、低沸点炭化水素用吸脱着塔71と低沸点炭化水素用吸脱着塔72から独立して脱着できるようにしたものである。
【0092】
ガス流量可変ポンプ41を設けることにより、吸脱着塔7と吸脱着塔8、及び、低沸点炭化水素用吸脱着塔71と低沸点炭化水素用吸脱着塔72に吸着したガソリン成分が独立して脱着再生できるという効果がある。したがって、ガソリンベーパ回収装置100fは、脱着した濃縮ガソリンベーパ中に含まれる低沸点炭化水素を効率よく回収することができ、コンパクトなものとすることができる。なお、実施の形態7に実施の形態1の特徴事項〜実施の形態6の特徴事項のいずれか又は複数を適用するようにしてもよい。