(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストッパは、前記外筒に設けられた第1の係合部と、該第1の係合部を前記外筒の内側に向かって付勢する弾性部と、前記第2のコネクタ本体に設けられ、該第2のコネクタ本体の前記第1のコネクタに対する挿入深さに応じて前記第1の係合部と係合する複数の第2の係合部で構成されている請求項6に記載のコネクタ組立体。
前記挿入操作の規制の解除と前記抜去操作の規制の解除とは、前記第1のコネクタと第2のコネクタとをその軸回りに相対的に回転操作することにより行われ、その際、前記第1の刺通部と前記第2の刺通部とは、同方向に回転するよう構成されている請求項1に記載のコネクタ組立体。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のコネクタ組立体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のコネクタ組立体の実施形態を示す分解斜視図、
図2〜
図5は、それぞれ、
図1に示すコネクタ組立体における第1のコネクタと第2のコネクタとを組立状態とするまでの過程を示す縦断面図、
図6〜
図9は、
図1に示すコネクタ組立体における第1のコネクタと第2のコネクタとを組立状態とするまでの過程を示す斜視図(
図2〜
図5にそれぞれ対応する図)、
図10は、
図3中のA−A線断面図、
図11は、
図4中のB−B線断面図、
図12は、
図1に示すコネクタ組立体の第1のコネクタに接続されるシリンジを示す部分縦断面図、
図13は、
図1に示すコネクタ組立体の第2のコネクタに接続されるバッグの縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1〜
図13中の上側を「先端」、「上」または「上方」、下側を「基端」、「下」または「下方」と言う。
【0023】
図1〜
図9に示すように、コネクタ組立体1は、第1のコネクタ(メスコネクタ)2と第2のコネクタ(オスコネクタ)3とを有するものである。
図12に示すように、第1のコネクタ2は、シリンジ(第1の医療器具)20に装着されている。
図13に示すように、第2のコネクタ3は、バッグ(第2の医療器具)50に装着されている。このコネクタ組立体1は、第1のコネクタ2にその先端側から第2のコネクタ3を挿入して、これらのコネクタ同士を組み立てた組立状態(
図5、
図9に示す状態)で、第1のコネクタ2側から第2のコネクタ3側へまたはその反対方向へ、液体を移送するのに用いられる。
【0024】
バッグ50は、粉末状の薬剤Qを収納するものである。このバッグ50の基端部には、硬質管で構成された口部503が設けられている。この口部503を介して、液体が出入りすることができる。
【0025】
また、口部503には、当該口部503を封止するゴム栓505が装着されている。ゴム栓505は、第2のコネクタ3の瓶針部103で刺通される。この刺通した状態で、第2のコネクタ3とバッグ50とが連通する。
【0026】
バッグ50に収納される薬剤Qとしては、特に限定されないが、例えば、抗がん剤、免疫抑制剤等、医療従事者が誤って触れると危険な薬剤や、抗生剤、止血剤等の使用にあたって溶解が必要な薬剤、小児用の薬剤等の希釈が必要な薬剤、ワクチン、ヘパリン、小児用の薬剤等の複数回取り分ける薬剤等が挙げられる。また、この薬剤Qは、粉末状のものに限定されず、例えば、液体状のものであってもよい。
【0027】
次に、コネクタ組立体1について説明する。前述したように、コネクタ組立体1は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とを有している。
【0028】
図2〜
図5に示すように、第1のコネクタ2は、円筒状をなす外筒4および内筒7で構成された第1のコネクタ本体と、外筒4に支持された中空針5と、内筒7に支持された第1の封止部材6と、第1の封止部材6を先端方向に向かって付勢する付勢部材としてのコイルバネ8と、外筒4に設置された挟圧部材9とを有している。
【0029】
図1、
図2に示すように、外筒4は、有底筒状をなしている。この外筒4の先端開口から第2のコネクタ3が挿入される。
【0030】
また、外筒4の底部41の中心部には、管状をなすハブ部42が外筒4と同心的に形成されている。このハブ部42は、その先端部に中空針5の基端部を支持することができる。これにより、ハブ部42と中空針5とが連通する。また、ハブ部42の基端部(第1の接続部)には、シリンジ20の口部202を挿入する(接続する)ことができる(
図12参照)。これにより、シリンジ20に第1のコネクタ2が装着され、この装着状態で第1のコネクタ2を用いることができる。また、装着状態では、ハブ部42を介して、シリンジ20の空間200と、中空針5の内腔(第1の流路52)とが連通する。これにより、シリンジ20から中空針5内に溶解用液Pを供給することができる。
【0031】
図6〜
図9に示すように、外筒4の壁部の途中には、当該壁部を貫通する溝部48が形成されている。この溝部48は、側面視で「L」字状をなし、外筒4の壁部の周方向に沿って形成された横溝481と、横溝481の一端から外筒4の軸方向に沿って基端方向へ形成された縦溝482とで構成されている。溝部48には、内筒7の突部76が挿入される。そして、内筒7の突部76は、溝部48内を移動することができる。
【0032】
図2〜
図5に示すように、外筒4の壁部の先端部には、その中心軸を介して対向して形成された一対の溝部43が形成されている。この溝部43に、リング状をなす2つの挟圧部材9が重なった状態で挿入されている。挟圧部材9は、外筒4の中で第2のコネクタ3(第2のコネクタ本体10)の先端方向への移動を規制するストッパ17の一部として機能するものである。このストッパ17の構成としては、公知の構成(例えば特開平8−126630号公報に記載の「ハブ着脱機構」の構成)を用いることができる。
【0033】
この場合、各挟圧部材9は、それぞれ、その外周部の一部に当該挟圧部材9を押圧操作する操作部92を有する。この操作部92を押圧することにより、挟圧部材9が外筒4の軸に対し直交する方向に移動する。
【0034】
また、各挟圧部材9は、それぞれ、操作部92と反対側の部分に、内側に突出した複数の突部(第1の係合部)91を有している。そして、一方の挟圧部材9の突部91と、他方の挟圧部材9の突部91とは、外筒4の中心軸を介して対向して配置される。
【0035】
さらに、各挟圧部材9は、それぞれ、突部91と同じ側に、外周部から突出した一対の弾性片93を有している。一方の挟圧部材9の各弾性片93は、他方の挟圧部材9の操作部92の内側に当接し、これと同様に、他方の挟圧部材9の各弾性片93は、一方の挟圧部材9の操作部92の内側に当接している。
【0036】
各挟圧部材9を押圧操作する際には、弾性片93の付勢力(弾性力)に抗して、その押圧操作を行なうこととなる。この操作により、一方の挟圧部材9の突部91と、他方の挟圧部材9の突部91とが互いに離間した状態となる。そして、各挟圧部材9に対する押圧力を解除すると、弾性片93の付勢力により、一方の挟圧部材9の突部91と、他方の挟圧部材9の突部91とが接近した状態となる。
【0037】
一方の挟圧部材9の突部91と、他方の挟圧部材9の突部91とが接近した状態では、各突部91が一括して第2のコネクタ3の係合部(第2の係合部)105aまたは105bに係合する(
図3〜
図5参照)。これにより、外筒4から第2のコネクタ3が不本意に離脱するのを確実に防止することができる。
【0038】
また、一方の挟圧部材9の突部91と、他方の挟圧部材9の突部91とが互いに離間した状態では、各挟圧部材9と第2のコネクタ3との係合が解除される。
【0039】
図1に示すように、第2のコネクタ3の係合部105aおよび105bは、それぞれ、第2のコネクタ本体10の外周部に形成され、その外径が拡径したフランジ部で構成されている。係合部105aおよび105bは、それぞれ、第2のコネクタ本体10の軸方向に沿って離間して配置されている。そして、
図3、
図5に示すように、第2のコネクタ3の第1のコネクタに対する挿入深さに応じて、係合部105aおよび105bのうちの一方が、前述したように各突部91と係合する。
【0040】
コネクタ組立体1では、挟圧部材9と第2のコネクタ3の係合部105aおよび105bとが、外筒4と第2のコネクタ3とをロックする「ストッパ17」を構成していると言うことができる。
【0041】
図2、
図6に示すように、外筒4の壁部には、その内周部47の溝部48と溝部43との間の部分に、内側に向かって突出した段差部49が複数(本実施形態では4つ)形成されている。
図2に示すように、各段差部49に内筒7が当接することにより、当該内筒7の先端方向への移動を規制することができ、よって、内筒7が外筒4から離脱するのを確実に防止することができる。
【0042】
図2(
図3〜
図5についても同様)に示すように、外筒4の内側には、内筒7が配置されて(支持されて)いる。この内筒7は、外筒4に対し変位可能、すなわち、外筒4の軸回りに回動可能であるとともに、外筒4の軸方向に沿って移動可能なものである。
【0043】
内筒7は、第1の封止部材6が設置される封止部材設置部73を有している。封止部材設置部73は、内筒7の内側に設けられ、第1の封止部材6を上下方向から挟持する円環状の一対の板状部731、732で構成されている。
【0044】
また、内筒7は、当該内筒7が変位する際に中空針5を摺動する摺動部材74と、摺動部材74を固定する固定部75とを有している。摺動部材74は、筒状をなし、その内径が縮径した縮径部741を有する弾性材料で構成された部材である。摺動部材74の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の弾性材料が挙げられる。内筒7が変位する際には、縮径部741が中空針5の外周部54に当接して摺動する。固定部75は、板状部732から一体的に下方に向かって突出形成された筒状をなす部分である。
【0045】
図6(
図7〜
図9についても同様)に示すうように、内筒7の壁部には、その外周部に突部76が突出形成されている。この突部76は、外筒4の溝部48に挿入され、内筒7の変位に伴って溝部48内を移動する。これにより、第1のコネクタ2は、突部76が横溝481に位置した第1の状態(
図6、
図7に示す状態)と、第1の状態から内筒7を外筒4に対し回転操作することにより突部76が横溝481と縦溝482との交差部483に位置する第2の状態(
図8に示す状態)と、第2の状態から内筒7を外筒4に対し押し込み操作することにより突部76が縦溝482に位置する第3の状態(
図9に示す状態)とを取り得る。
【0046】
図6(
図2)に示す第1の状態の第1のコネクタ2に第2のコネクタ3を挿入する(以下この操作を「挿入操作」と言う)と、第2のコネクタ3の第2の封止部材11が第1のコネクタ2の第1の封止部材6に当接して、当該第1の封止部材6を基端方向に押圧し、内筒7ごと移動させようとするが、内筒7の突部76が外筒4の横溝481に位置しているため、内筒7の基端方向への移動が規制される(
図3、
図7参照)。
【0047】
図7に示す状態から例えば内筒7の突部76に指を掛けて、
図8に示すように、内筒7を矢印方向に回転操作すると、第1のコネクタ2は、
図8に示す第2の状態となる。これにより、内筒7の基端方向への移動の規制が解除されて、その移動が可能となり、よって、挿入操作を再開することができる。なお、
図4に示すように、第2の状態でも第1の封止部材6と第2の封止部材11との密着状態が維持されている。また、第2の状態では、内筒7と第2のコネクタ3(第2のコネクタ本体10)とがロック手段19によりロックされて(連結されて)いる。これにより、第1の封止部材6の第1の刺通部61と第2の封止部材11の第2の刺通部111との密着状態が固定される。このロック手段19については、後述する。
【0048】
図8に示す状態から第2のコネクタ3をコイルバネ8の付勢力に抗して基端方向に押し込むと、挿入操作が再開され、第1のコネクタ2は、
図9に示す第3の状態となる。なお、
図5に示すように、第3の状態でも第1の封止部材6と第2の封止部材11との密着状態が維持されている。
【0049】
図9に示す状態(組立状態)で第1のコネクタ2から第2のコネクタ3を抜去する(以下この操作を「抜去操作」と言う)際には、前記とは逆に、コイルバネ8の付勢力に従って、第2のコネクタ3とともに内筒7が先端方向へ移動し、第1のコネクタ2は、
図8に示す第2の状態となる。この第2の状態では、内筒7の突部76のそれ以上の先端方向への移動が規制される。これにより、抜去操作を途中で一旦規制することができる。
【0050】
さらに、第2の状態から内筒7を前記と反対方向に回転操作すると、第1のコネクタ2は、
図7に示す第1の状態となる。これにより、ロック手段19による内筒7と第2のコネクタ3とのロック状態が解除されて、第2のコネクタ3のみの先端方向への移動が可能となり、よって、抜去操作を再開することができる。この抜去操作を再開すると、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3とは、再度、
図6に示す分解状態となる。
【0051】
このようにコネクタ組立体1では、内筒7の突部76の外筒4の溝部48における位置に応じて、挿入操作の規制と、挿入操作の規制の解除と、抜去操作の規制と、抜去操作の規制の解除とが行われる。従って、内筒7の突部76と外筒4の溝部48とは、これらの操作を規制する「操作規制手段18」を構成するものであると言うことができる。
【0052】
図2に示すように、内筒7の先端部には、複数(本実施形態では4枚)の係合片(弾性片)77が先端方向に向かって突出形成されている。各係合片77は、それぞれ、その先端部に第2のコネクタ3の凹部(係合部)101aに係合可能な爪771を有している。
【0053】
なお、凹部101aは、第2のコネクタ本体10の外周部101の先端部に、その周方向に沿ってリング状に形成された部分である。
【0054】
各係合片77は、第1のコネクタ2に第2のコネクタ3が未だ挿入されていない状態では、外方に向かって傾斜している。これにより、第1のコネクタ2に第2のコネクタ3を挿入した状態で、各係合片77は、それぞれ、第2のコネクタ3の凹部101aから離間した状態(
図3、
図10に示す状態)と、外筒4の押圧部471に押圧されて凹部101aに接近して係合する状態(
図4、
図5、
図11に示す状態)とを取り得る。そして、この係合により、内筒7と第2のコネクタ3とが確実にロックされる。
【0055】
なお、押圧部471は、外筒4の内周部47にその軸方向に沿って複数(本実施形態では4つ)形成されたリブで構成されている。
【0056】
また、これらの押圧部471は、外筒4の周方向に沿って等間隔に配置されている。
図10に示す状態では、隣接する押圧部471同士の間に1枚の係合片77が位置し、係合片77対する押圧部471の押圧が未だなされていない。このとき、第1のコネクタ2は、前記第1の状態となっている。
【0057】
各係合片77は、内筒7の軸回りに等間隔に配置されている。
図10に示す状態から前述したように内筒7を回転操作することにより、係合片77がそれぞれ押圧部471の傾斜面472を登り、結果、1つの押圧部471が1枚の係合片77をその弾性力に抗して押圧することとなる。これにより、4枚の係合片77が第2のコネクタ3の周方向に沿って均一に係合し、よって、内筒7と第2のコネクタ3とがより確実にロックされる。このとき、第1のコネクタ2は、前記第2の状態となっている。この押圧部471が係合片77を押圧した状態は、第1のコネクタ2が前記第3の状態になっても維持される。
【0058】
このようにコネクタ組立体1では、内筒7の係合片77、外筒4の押圧部471、第2のコネクタ3の凹部101aは、内筒7と第2のコネクタ3とを確実にロックする「ロック手段19」を構成していると言うことができる。そして、このロック手段19は、第1のコネクタ2が第1の状態から第2の状態となったときに作動する、すなわち、挿入操作の規制を解除する解除操作に連動して作動する。また、この反対に、ロック手段19は、第1のコネクタ2が第2の状態から第1の状態となったときも作動する、すなわち、抜去操作の規制を解除する解除操作に連動しても作動する。これにより、第1のコネクタ2が第1の状態と第2の状態との間を相互変位する間、すなわち、中空針5が第1の封止部材6および第2の封止部材11を刺通する前後において、第1の封止部材6と第2の封止部材11との密着(液密性)を確実に保つことができ、かつ、抜去時に第2のコネクタ3のみが不意に抜去される(脱落する)のを防止することができる。
【0059】
なお、外筒4、内筒7、挟圧部材9の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられるが、その中でも、成形が容易であり、かつ水蒸気透過性が低い点で、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステルのような樹脂が好ましい。
【0060】
図2に示すように、外筒4の軸上には、金属材料で構成された中空針5が配置されている。前述したように、この中空針5は、その基端部が外筒4のハブ部42に支持されている。
【0061】
中空針5は、管状をなし、その内腔が溶解用液P(液体)が通過可能な第1の流路52として機能するものである。また、中空針5は、その先端が閉塞しており、壁部の先端部に開口した側孔(開口部)53が形成されている。側孔53は、第1の流路52と連通している。
【0062】
中空針5の先端には、鋭利な針先51が形成されている。
図5に示すように、この針先51により、第1のコネクタ2の第1の封止部材6や後述する第2のコネクタ3の第2の封止部材11を刺通することができる。
図5に示すように、組立状態では、中空針5は、針先51から側孔53が形成されている部位までが第2のコネクタ3の内腔に露出する(突出する)。これにより、中空針5の側孔53を介して、中空針5の内腔と第2のコネクタ3の内腔とが連通する、すなわち、第1のコネクタ2の第1の流路52と後述する第2のコネクタ3の第2の流路102とが連通する。
【0063】
図2に示すように、内筒7の内側には、第1の封止部材6が設置されている。この第1の封止部材6は、内筒7の内腔部を封止するものであり、円板状をなし、その厚さ方向が内筒7の軸方向に一致するように配置されている。これにより、第1の封止部材6は、中空針5の軸方向に沿って基端側に向かって移動する際に、中空針5の針先51によって容易かつ確実に刺通される。
【0064】
また、第1の封止部材6は、その中心部の厚さが縁部の厚さよりも厚い弾性体である。この中心部は、中空針5で刺通される第1の刺通部61となっている。また、第1の封止部材6の縁部は、前述したように、内筒7の一対の板状部731、732により挟持されている。これにより、第1の封止部材6は、内筒7に対し確実に固定され、内筒7とともに移動することができる。
【0065】
また、コネクタ組立体1では、第1の封止部材6(第1の刺通部61)と第2の封止部材11(第2の刺通部111)の中空針5により刺通された部分と、該部分に接する中空針5の外周部54との摺動抵抗、および摺動部材74の縮径部741と該部分に接する中空針5の外周部54との摺動抵抗の合計が、コイルバネ8の付勢力よりも小さくなるように設定されている。これにより、第1のコネクタ2が
図5に示す第3の状態にあるストッパ17を解除した際に、コイルバネ8の付勢力によって第1のコネクタ2が
図4に示す第2の状態に戻ることができる。なお、これらの力同士の大小関係の設定方法としては、特に限定されないが、例えば、第1の封止部材6、第2の封止部材11や摺動部材74の構成材料の選択、第1の刺通部61や第2の刺通部111の厚さの調整、コイルバネ8の構成材料の選択、線径、巻き数の調整、中空針5の外径の調整等を行う方法が挙げられる。
【0066】
図2に示すように、第1の刺通部61は、外力を付与しない自然状態で、その先端面612が隆起している。そして、
図3に示すように、第1の封止部材6と第2の封止部材11とが密着した密着状態では、隆起していた先端面612が潰れる。これにより、密着状態がより確実となり、よって、第1の封止部材6と第2の封止部材11との境界部での液密性を確保することができる。これにより、組立状態での液体の移送を安全かつ確実に行なうことができる。
【0067】
なお、第1の封止部材6の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した摺動部材74の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0068】
図2に示すように、外筒4内には、ステンレス鋼等のような金属材料で構成されたコイルバネ8が設置されている。コイルバネ8は、圧縮状態で、その先端が内筒7の板状部732に当接し、基端が外筒4の底部41に当接している。これにより、内筒7を介して、第1の封止部材6を先端方向に向かって確実に付勢することができる。なお、付勢する手段としては、コイルバネ8の他に、蛇腹状の板バネや、円筒状や蛇腹状のゴムからなるものであってもよい。
【0069】
図1、
図2に示すように、第2のコネクタ3は、筒状の第2のコネクタ本体10と、第2のコネクタ本体10に設けられた第2の封止部材11とを有している。
【0070】
第2のコネクタ本体10は、円筒状をなす部材である。この第2のコネクタ本体10の内腔は、液体が通過可能な第2の流路102として機能する。
図13に示すように、第2のコネクタ本体10は、その基端部(第2の接続部)が先細り形状をなす瓶針部103となっており、バッグ50のゴム栓505を刺通することができる。また、瓶針部103には、側孔(図示せず)が形成されている。瓶針部103をバッグ50のゴム栓505に刺通し、当該側孔をバッグ50内に露出させると、バッグ50内と第2の流路102とが連通する。これにより、第2の流路102を通過した液体をバッグ50内に供給することができる。
【0071】
また、前述したように、第2のコネクタ本体10の途中には、第1のコネクタ3の第1の係合部91と係合する係合部105a、105bが形成されている。
【0072】
また、第2のコネクタ本体10の外周部には、その長手方向に沿った複数(本実施形態では4本)のリブ104が形成されている。これらのリブ104は、第2のコネクタ本体10の外周部の周方向に沿って等間隔に配置されている。これにより、第2のコネクタ本体10を補強することできる。
【0073】
第2のコネクタ本体10は、その先端部に、第2の封止部材6が設置される封止部材設置部106を有している。封止部材設置部106は、第2の封止部材11を上下方向から挟持する円環状の一対の板状部106a、106bで構成されている。
【0074】
なお、第2のコネクタ本体10の構成材料としては、特に限定さえないが、例えば、第1のコネクタ2の外筒4、内筒7、挟圧部材9についての説明で挙げたような材料を用いることができる。
【0075】
図2に示すように、第2の封止部材11は、第2のコネクタ本体10の内腔部を封止するものであり、円板状をなし、その厚さ方向が第2のコネクタ本体10の軸方向に一致するように配置されている。これにより、第2の封止部材11は、密着した第1の封止部材6とともに、中空針5の針先51によって容易かつ確実に刺通される。
【0076】
また、第2の封止部材11は、その中心部の厚さが縁部の厚さよりも厚い弾性体である。この中心部は、中空針5で刺通される第2の刺通部111となっている。また、第2の封止部材11の縁部は、前述したように、第2のコネクタ本体10の一対の板状部106a、106bにより挟持されている。これにより、第2の封止部材11は、第2のコネクタ本体10に対し確実に固定される。
【0077】
図2に示すように、第2の刺通部111は、外力を付与しない自然状態で、その基端面112が隆起している。そして、
図3に示すように、第1の封止部材6と第2の封止部材11とが密着した密着状態では、隆起していた基端面112が第1の封止部材6の先端面612と同様に潰れる。これにより、密着状態がより確実となり、よって、第1の封止部材6と第2の封止部材11との境界部での液密性を確保することができる。
【0078】
なお、第2の封止部材11の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した摺動部材74の構成材料として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0079】
次に、コネクタ組立体1を使用する際の動作状態について説明する。
[1] 分解状態から組立状態となる過程(
図2(
図6)→
図3(
図7)→
図4(
図8)→
図5(
図9)の順に図面参照)
第1のコネクタ2をシリンジ20に装着する。第2のコネクタ3をバッグ50に装着する。
【0080】
図2に示すように、分解状態の第2のコネクタ3をその基端側から、第1のコネクタ2の先端部に向かって接近させる。分解状態では、第1のコネクタ2は、第1の状態(内筒7の突部76が外筒4の溝部48の横溝481に位置した状態)となっている(
図6参照)。また、第1の封止部材6は、中空針5よりも先端側に位置している。
【0081】
図3、
図7に示すように、第2のコネクタ3を第1のコネクタ2内に挿入していくと、まず、第1のコネクタ2の第1の封止部材6の先端面612と、第2のコネクタ3の第2の封止部材11の基端面112とが当接し、弾性変形して密着する。このとき、前述したように、第1のコネクタ2が第1の状態となっているため(
図7参照)、第1のコネクタ2に対する第2のコネクタ3の挿入操作が一旦規制される。
【0082】
また、
図3に示すように、ストッパ17が作動して(第1のコネクタ2の挟圧部材9が第2のコネクタ3の係合部105aに係合して)、第2のコネクタ3が再び先端方向へ逆戻りし、第1のコネクタ2から離脱するのが防止される。
【0083】
次に、
図8に示すように、第1のコネクタ2の内筒7を図中の矢印方向に回転操作すると、第1のコネクタ2は、第2の状態(内筒7の突部76が外筒4の溝部48の交差部483に位置した状態)となる。これにより、前述したように、挿入操作の規制が解除されて、当該挿入操作を再開することができる。
【0084】
また、ストッパ17、ロック手段19により、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3との組立状態が維持されている。これにより、第1のコネクタ2から第2のコネクタ3を抜去する、すなわち、組立状態のコネクタ組立体1が不本意に分解するのを確実に防止することができる。これにより、コネクタ組立体1を介して、溶解用液Pを安全に移送することができる。
【0085】
また、組立状態では、第1のコネクタ2の第1の封止部材6と第2のコネクタ3の第2の封止部材11との密着が維持されている(
図5参照)。これにより、第1の流路52および第2の流路102の特に接合部付近での液密性(気密性)を確実に維持することができ、これらの流路を通過する溶解用液Pが組立状態のコネクタ組立体1から漏出するのが確実に防止される。
【0086】
また、
図5に示す状態では、内筒7の基端78が外筒4の底部41から立設した壁部411の先端412が当接する。これにより、第2のコネクタ3の挿入限界が規制される。
【0087】
[2] 組立状態から再度分解状態となる過程(
図5(
図9)→
図4(
図8)→
図3(
図7)→
図2(
図6)の順に図面参照)
図5、
図9に示す状態から挟圧部材9を操作して、第1のコネクタ2と第2のコネクタとのロック状態を解除する。これにより、第1のコネクタ2から第2のコネクタを抜去する抜去操作を開始することができる。
【0088】
図4、
図8に示すように、抜去操作を開始すると、前記とは逆に、第2のコネクタ3が先端方向に移動する。このとき、第1の封止部材6には、コイルバネ8による付勢力が内筒7を介して作用しているため、第1の封止部材6は、第2のコネクタ3の移動に追従することができる。これにより、抜去操作を行なうときにも、第1の封止部材6と第2の封止部材11との密着状態が維持される。
【0089】
そして、第1のコネクタ2が第2の状態となったときに、前述したように、抜去操作が一旦規制される(
図8参照)。このとき、
図4に示すように、中空針5は、側孔53が第2の封止部材11(図示の構成では第2の封止部材11よりもさらに基端側にある第1の封止部材6)よりも基端側に位置している。なお、第1の封止部材6および第2の封止部材11は、それぞれ、中空針5で刺通された部分が自己閉塞性により閉じる。
【0090】
次に、内筒7を前記と反対方向に回転操作すると、第1のコネクタ2は、
図7に示す第1の状態となる。このとき、
図3に示すように、ロック手段19による内筒7と第2のコネクタ3とのロック状態が解除されて、第2のコネクタ3のみの先端方向への移動が可能となる。これにより、第2のコネクタ3の抜去操作を再開することができる。
【0091】
図2、
図6に示すように、抜去操作を再開すると、密着状態であった第1の刺通部61と第2の刺通部111とが離間し、組立状態であったコネクタ組立体1を再度分解状態とすることができる。その後、第1のコネクタ2をシリンジ20から取り外し、当該シリンジ20から液剤を投与することができる。
【0092】
このように、コネクタ組立体1では、第1のコネクタ2から第2のコネクタ3を抜去する際、中空針5が第2の封止部材11から抜けきらないうちに、第1の封止部材6と第2の封止部材11とが離間するのを防止することができる。これにより、組立状態のコネクタ組立体1を分解している最中でも、第1の流路52および第2の流路102の液密性が保持され、よって、これらの流路中の液剤(液体)がコネクタ組立体1から漏出するのが確実に防止される。これにより、コネクタ組立体1を用いて、液剤の移送を安全に行うことができる。
【0093】
以上、本発明のコネクタ組立体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、コネクタ組立体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0094】
また、操作規制手段は、外筒の壁部に形成された溝部と、内筒の壁部に突出形成され、溝部に挿入される突部とで構成されたものであるが、これに限定されず、内筒の壁部に形成された溝部と、外筒の壁部に突出形成され、溝部に挿入される突部とで構成されたものであってもよい。
【0095】
また、第1の刺通部および第2の刺通部は、それぞれ、その端面が隆起しているが、これに限定されず、例えば、それらの刺通部のうちの一方の端面のみが隆起していてもよい。