特許第5693490号(P5693490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693490
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】ドーリー台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   B62B5/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-36173(P2012-36173)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2013-169932(P2013-169932A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社サンカ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−118404(JP,A)
【文献】 実開昭61−183776(JP,U)
【文献】 特開平8−310405(JP,A)
【文献】 米国特許第3137250(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体の下部に、車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくはこの車輪固定用ボルトが螺着可能な車輪固定用ナットを回り止め状態にして脱落防止状態に収容可能な収容溝を設け、この収容溝は、台車本体の下側が開口する溝形状に形成して、この収容溝に前記車輪固定用ボルトのボルト頭部を収容することにより車輪固定用ボルトのボルト杆部が収容溝の下側開口部から突出するか、若しくはこの収容溝に前記車輪固定用ナットを収容することによりこの車輪固定用ナットに収容溝の下側開口部から車輪固定用ボルトのボルト杆部を螺着し得るように構成し、この収容溝から突出する前記車輪固定用ボルトのボルト杆部を利用して前記台車本体の下部に車輪部を固定するか、若しくは収容溝に収容した車輪固定用ナットに螺着する車輪固定用ボルトを利用して前記台車本体の下部に車輪部を固定したドーリー台車において、前記収容溝に、前記車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットをこの収容溝より出し入れ可能な出入許容部を設けると共に、この出入許容部は、前記車輪部固定時に車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットが位置している収容溝の車輪固定時収容位置から離れた位置に設けて、前記車輪固定時収容位置から前記ボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットを収容溝に沿って前記出入許容部にスライド移動させることにより出入許容部を介して前記ボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットを取り出しし得、且つ前記出入許容部から前記収容溝に収容した前記ボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットを収容溝に沿って前記車輪固定時収容位置にスライド移動し得るように構成したことを特徴とするドーリー台車。
【請求項2】
前記収容溝は、前記車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットの外径寸法と略合致する溝幅を有すると共に、前記下側開口部の開口幅が前記ボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットの外径寸法より幅狭となる溝形状に形成することにより、この収容溝に前記ボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットを回り止め状態にして脱落防止状態で収容し得るように構成し、この収容溝の前記車輪固定時収容位置から離れた位置に、前記下側開口部の開口幅が前記ボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットの外径寸法より幅広となる幅広開口部を形成して、この幅広開口部を前記出入許容部としたことを特徴とする請求項1記載のドーリー台車。
【請求項3】
前記出入許容部としての幅広開口部は、前記台車本体の側面部にも開口する形状に形成して、この台車本体の側面部に開口する幅広開口部からも前記車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは前記車輪固定用ナットを出し入れ可能な構成としたことを特徴とする請求項2記載のドーリー台車。
【請求項4】
前記台車本体は、対向配置される一対の側部フレームを備えた構成として、この各側部フレームの端部に前記車輪部を固定し得るように構成し、この各側部フレームの長さ方向に沿って各側部フレームの下面に前記下側開口部を有する前記収容溝を設け、この各収容溝の、前記各側部フレームの端部から離れた位置に前記出入許容部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドーリー台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナなどの運搬物を載せて運搬するドーリー台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なドーリー台車は、左右フレームと前後フレームとが連結組成された方形枠状の台車本体の底部四隅に、旋回自在な車輪部(キャスター)が垂設状態に固定された構成である(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
また、この台車本体への車輪部の固定構造は、前記左右フレーム若しくは前後フレームの下面に、この左右フレーム若しくは前後フレームの長さ方向に沿って下部開口型の収容溝が設けられると共に、この収容溝は、車輪固定用ボルトのボルト頭部を回り止め状態にして脱落防止状態に収容可能な溝形状に形成され、この収容溝に前記車輪固定用ボルトのボルト頭部を収容しつつ車輪固定用ボルトのボルト杆部を収容溝の下側開口部から垂下突出させて、この垂下突出する前記車輪固定用ボルトのボルト杆部を利用して車輪部がナット止め固定される構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3107873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のドーリー台車は、車輪部が損傷したり摩耗したりし易いため、車輪部の交換修理の頻度が非常に高い。
【0006】
また、乱暴な取り扱いなどにより、車輪部だけでなく車輪固定用ボルトが損傷してしまうこともあり、損傷してしまった車輪固定用ボルトは交換が必要になる。
【0007】
しかしながら、車輪固定用ボルトは、前記したように収容溝にボルト頭部が脱落防止状態で収容される構成のために、交換するためには台車本体の左右フレームと前後フレームを分解することで収容溝の端部を露出させて、この露出する収容溝の端部から車輪固定用ボルトを出し入れするようにしなければならず、かような台車本体のバラし作業を伴うことからこの車輪固定用ボルトの交換作業は容易ではなかった。
【0008】
本発明は、このような従来のドーリー台車の車輪固定用ボルト交換時の問題点に鑑み、これを解決しようとするためのもので、台車本体をバラすことなく簡易な作業で車輪固定用ボルト若しくは車輪固定用ナットを交換可能となる実用的なドーリー台車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
台車本体1の下部に、車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくはこの車輪固定用ボルト2が螺着可能な車輪固定用ナット5を回り止め状態にして脱落防止状態に収容可能な収容溝6を設け、この収容溝6は、台車本体1の下側が開口する溝形状に形成して、この収容溝6に前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3を収容することにより車輪固定用ボルト2のボルト杆部4が収容溝6の下側開口部7から突出するか、若しくはこの収容溝6に前記車輪固定用ナット5を収容することによりこの車輪固定用ナット5に収容溝6の下側開口部7から車輪固定用ボルト2のボルト杆部4を螺着し得るように構成し、この収容溝6から突出する前記車輪固定用ボルト2のボルト杆部4を利用して前記台車本体1の下部に車輪部8を固定するか、若しくは収容溝6に収容した車輪固定用ナット5に螺着する車輪固定用ボルト2を利用して前記台車本体1の下部に車輪部8を固定したドーリー台車において、前記収容溝6に、前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5をこの収容溝6より出し入れ可能な出入許容部9を設けると共に、この出入許容部9は、前記車輪部8固定時に車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5が位置している収容溝6の車輪固定時収容位置Pから離れた位置に設けて、前記車輪固定時収容位置Pから前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を収容溝6に沿って前記出入許容部9にスライド移動させることにより出入許容部9を介して前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を取り出しし得、且つ前記出入許容部9から前記収容溝6に収容した前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を収容溝6に沿って前記車輪固定時収容位置Pにスライド移動し得るように構成したことを特徴とするドーリー台車に係るものである。
【0011】
また、前記収容溝6は、前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5の外径寸法と略合致する溝幅を有すると共に、前記下側開口部7の開口幅が前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5の外径寸法より幅狭となる溝形状に形成することにより、この収容溝6に前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を回り止め状態にして脱落防止状態で収容し得るように構成し、この収容溝6の前記車輪固定時収容位置Pから離れた位置に、前記下側開口部7の開口幅が前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5の外径寸法より幅広となる幅広開口部9を形成して、この幅広開口部9を前記出入許容部9としたことを特徴とする請求項1記載のドーリー台車に係るものである。
【0012】
また、前記出入許容部9としての幅広開口部9は、前記台車本体1の側面部にも開口する形状に形成して、この台車本体1の側面部に開口する幅広開口部9からも前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を出し入れ可能な構成としたことを特徴とする請求項2記載のドーリー台車に係るものである。
【0013】
また、前記台車本体1は、対向配置される一対の側部フレーム10を備えた構成として、この各側部フレーム10の端部に前記車輪部8を固定し得るように構成し、この各側部フレーム10の長さ方向に沿って各側部フレーム10の下面に前記下側開口部7を有する前記収容溝6を設け、この各収容溝6の、前記各側部フレーム10の端部から離れた位置に前記出入許容部9を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドーリー台車に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、収容溝に収容されている車輪固定用ボルト若しくは車輪固定用ナットの交換を要する場合には、収容溝に設けた出入許容部から収容溝に対し車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは車輪固定用ナットを出し入れして交換でき、従って従来までのドーリー台車とは異なり、車輪固定用ボルト若しくは車輪固定用ナットの交換作業を台車本体を分解することなく非常に容易に行うことができる極めて実用性に優れたドーリー台車となる。
【0015】
また、請求項2記載の発明においては、車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは車輪固定用ナットを確実に回り止め状態にして脱落防止状態で収容し得る構成の収容溝を簡易に設計実現可能となると共に、車輪固定用ボルトのボルト頭部若しくは車輪固定用ナットを収容溝に対して確実に出し入れできる構成の出入許容部を簡易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のドーリー台車となる。
【0016】
また、請求項3記載の発明においては、台車本体の側方からも車輪固定用ボルト(のボルト頭部)若しくは車輪固定用ナットを出し入れして交換可能となる一層実用性に優れた構成のドーリー台車となる。
【0017】
また、請求項4記載の発明においては、台車本体に対向配置される一対の側部フレームを具備する既存のドーリー台車に対して簡易に本発明を適用可能となる一層実用性に優れた構成となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例の使用状態を示す斜視図である。
図3】本実施例の車輪部の取付構造を示す部分拡大正断面図である。
図4】本実施例の車輪部の取付構造を示す部分拡大平断面図である。
図5】本実施例の車輪部を、台車本体から取り外した状態を示す部分拡大斜視図である。
図6図5に続いて、車輪固定用ボルトを出入許容部に向けてスライド移動させた状態を示す部分拡大平断面図である。
図7図6に続いて、出入許容部から車輪固定用ボルトを取り出した状態を示す部分拡大斜視図である。
図8】本実施例の掛止部の取付構造を示す部分拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
車輪固定用ボルト2若しくはこの車輪固定用ボルト2が螺着する車輪固定用ナット5が損傷するなどして交換が必要となった場合には、例えば、先ず車輪固定用ボルト2を利用して台車本体1の下部に固定されている車輪部8を取り外した後、収容溝6の車輪固定時収容位置Pに位置している車輪固定用ボルト2若しくは車輪固定用ナット5を、この収容溝6に沿って車輪固定時収容位置Pから離れた位置に設けられている出入許容部9にスライド移動させると、この出入許容部9を介して前記車輪固定用ボルト2(のボルト頭部3)若しくは前記車輪固定用ナット5を収容溝6から取り出すことができる。
【0021】
次いで、交換用の車輪固定用ボルト2(のボルト頭部3)若しくは車輪固定用ナット5を出入許容部9から前記収容溝6に収容し、このボルト頭部3若しくは車輪固定用ナット5を収容溝6に沿って前記車輪固定時収容位置Pにスライド移動させると、この車輪固定時収容位置Pの下側開口部7から突出する車輪固定用ボルト2のボルト杆部4を利用して台車本体1の下部に車輪部8を固定し直すか、若しくは収容溝6の車輪固定時収容位置Pに収容した車輪固定用ナット5に螺着する車輪固定用ボルト2を利用して台車本体1の下部に車輪部8を固定し直すことができる。
【0022】
従って、本発明によれば、車輪固定用ボルト2若しくは車輪固定用ナット5の交換に際して台車本体1を分解する必要がなく、出入許容部9から収容溝3に対し車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは車輪固定用ナット5を出し入れすることによって容易に交換可能である。
【実施例】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例のドーリー台車は、図1に示すように、方形枠状の台車本体1の底部四隅に車輪部8を設けている。
【0025】
また、台車本体1は、左右に対向配置した一対の側部フレーム10の両端部間に、この側部フレーム10より長さが短い第二フレーム13を架設状態に連結固定して構成した長方形枠状体とし、更にこの台車本体1の前後の第二フレーム13の長さ方向の中央部間に、載置用桟板16を架設固定した構成としている。図中符号17は側部フレーム10と第二フレーム13の連結部に被嵌固定してこの連結部を補強するコーナー部材、18はコーナー部材17を側部フレーム10の垂直板部11と第二フレーム13の垂直板部14に固定するためのリベットである。
【0026】
また、側部フレーム10と第二フレーム13とは、断面略L字状の金属製長尺部材で構成し、本実施例では、この側部フレーム10の垂直板部11と第二フレーム13の垂直板部14とが外側に位置するようにして側部フレーム10と第二フレーム13とを連結し前記台車本体1を構成することにより、この台車本体1の外周縁部に存する前記各垂直板部11・14が、台車本体1上に載置した載置物Sの滑り落下を防止するように構成している。
【0027】
また、図面では、第二フレーム13の水平板部15の上面に、側部フレーム10の水平板部12の下面を重合載置するようにして側部フレーム10(の水平板部12)と第二フレーム13(の水平板部15)とを連結固定した構成とし、前記載置用桟板16は、その両端部の下面を第二フレーム13の水平板部15の上面に重合載置するようにしてリベット22止めした構成としている。
【0028】
また、本実施例の台車本体1は、前記前後の第二フレーム13に、載置物Sの荷崩れを防止するためのベルト31やロープなどを掛止可能な掛止部19を設けている(図2参照。)。
【0029】
この掛止部19について具体的に説明すると、図8に示すように帯板状の取付板24に掛棒26が沿設状態に突設された構成としている。
【0030】
また、この掛止部19の第二フレーム13への固定構造は、前記取付板24に設けた取付孔25と、前記第二フレーム13の水平板部15に設けた貫通孔23とにボルト27(六角ボルト27)を挿通してナット28(六角ナット28)で締付固定した構成としている。図中符号29は座金である。
【0031】
また、この掛止部19は、ボルト27・ナット28の締付固定を解除することで第二フレーム13から取り外し可能な構成とし、この掛止部19にはベルト31などを介して載置物Sの大きな荷重が加わり易いが、仮にこの掛止部19が破損してもこの掛止部19だけを簡易に部品交換できるようにしている。
【0032】
本実施例は、前記台車本体1を構成する各側部フレーム10の下面に、車輪固定用ボルト2としての六角ボルト2のボルト頭部3若しくはこの車輪固定用ボルト2が螺着可能な車輪固定用ナット5としての六角ナット5を回り止め状態にして脱落防止状態に収容可能な収容溝6を設け、この収容溝6は、台車本体1の下側が開口する溝形状に形成して、この収容溝6に前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3を収容することにより車輪固定用ボルト2のボルト杆部4が収容溝6の下側開口部7から突出するか、若しくはこの収容溝6に前記車輪固定用ナット5を収容することによりこの車輪固定用ナット5に収容溝6の下側開口部7から車輪固定用ボルト2のボルト杆部4を螺着し得るように構成し、この収容溝6から突出する前記車輪固定用ボルト2のボルト杆部4を利用して前記台車本体1の下部に前記車輪部8を固定するか、若しくは収容溝6に収容した車輪固定用ナット5に螺着する車輪固定用ボルト2を利用して前記台車本体1の下部に前記車輪部8を固定する構成としている。
【0033】
具体的には、前記収容溝6は、前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5の外径寸法と略合致する溝幅を有すると共に、前記下側開口部7の開口幅が前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5の外径寸法より幅狭となる溝形状に形成することにより、この収容溝6に前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を回り止め状態にして下方へ脱落防止状態で収容し得るように構成している。尚、本発明で言うボルト頭部3若しくは車輪固定用ナット5の外径寸法とは、六角形の対角距離寸法ではなく、対辺距離(所謂二面幅)寸法を意味している。
【0034】
また、この収容溝6の下側開口部7は、その開口幅が車輪固定用ボルト2のボルト杆部4の外径寸法よりやや幅広となる形状に形成することにより、この下側開口部7に前記ボルト杆部4を挿通し得るように構成している。
【0035】
即ち、本実施例の収容溝6は、図3図5図7に示すようなアリ溝形(内広溝形)に形成したもので、例えば側部フレーム10を押し出し成形することによってこの収容溝6を側部フレーム10に一体成形している。
【0036】
また、この収容溝6は、一対の前記側部フレーム10の夫々の下面に、この側部フレーム10の長さ方向に沿って且つ側部フレーム10の一端から他端に至る長さのものを二条形成し、一つの前記車輪部8をこの二条の収容溝6と、複数(図面では四個)の車輪固定用ボルト2と車輪固定用ナット5を用いて固定する構成としている。
【0037】
また、この一対の側部フレーム10下面の夫々の両端部に前記車輪部8を固定することで、台車本体1の底部四隅に車輪部8を固定した構成としている。
【0038】
また、車輪部8は、前記側部フレーム10の下面に面接当接する方形状のベース板20を具備し、このベース板20の四隅に形成した取付穴21に四本の車輪固定用ボルト2を挿通してこのベース板20を側部フレーム10の両端部の下面と、この側部フレーム10の両端部の下方に重合している前記第二フレーム13の水平板部15の下面に締付固定し得る構成としている。
【0039】
また、前記二条の収容溝6は、このベース板20の隅部の取付穴21の隣接間隔に略合致する間隔を介在するようにして形成し、前記車輪部8の固定位置において前記各取付穴21に対応する収容溝6位置(四箇所)を、車輪部8固定時に車輪固定用ボルト2若しくは車輪固定用ナット5が位置する車輪固定時収容位置Pとしている(図4図5参照。)。
【0040】
また、本実施例では、収容溝6に車輪固定用ボルト2のボルト頭部3を収容し、車輪固定時収容位置Pの下側開口部7から垂下突出する車輪固定用ボルト2のボルト杆部4を、車輪部8のベース板20の取付穴21に挿通した上でこのボルト杆部4の先端部に車輪固定用ナット5を螺着し、この車輪固定用ナット5を締付することによりベース板20を側部フレーム10の(水平板部12の)下面と第二フレーム13の(水平板部15の)下面とに締付固定して車輪部8を台車本体1の底部四隅に垂設状態に設けた構造としている。図中符号30は側部フレーム10の下面と第二フレーム13の下面との段差によってベース板20と側部フレーム10の下面との間に生じる隙間を解消するためのスペーサーである。尚、車輪固定用ナット5を収容溝6に収容してこの収容されている車輪固定用ナット5に螺着した車輪固定用ボルト2で車輪部8を締付固定するようにしても良い。
【0041】
本実施例は、前記収容溝6に、前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5をこの収容溝6より出し入れ可能な出入許容部9を設けると共に、この出入許容部9は、前記車輪部8固定時に車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5が位置している収容溝6の前記車輪固定時収容位置Pから離れた位置に設けている。
【0042】
具体的には、図4図6に示すように、前記各側部フレーム10の長さ方向の中央側に存する収容溝6の前記車輪固定時収容位置Pから、更に側部フレーム10の中央側にボルト頭部3及び車輪固定用ナット5の外径寸法の1.5倍ほどの間隔を置いた位置の収容溝6を、この収容溝6の溝長さ方向と直交する外方に向けて切欠して、各側部フレーム10の側面部も、この側面部と前記下側開口部7との間に存する側部フレーム10の下面も開口する幅広開口部9を形成すると共に、この幅広開口部9は、前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5の外径寸法より幅広な開口形状に形成して、この幅広開口部9を前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5が出入り可能な前記出入許容部9としている。
【0043】
更に詳しくは、台車本体1の内側に存する収容溝6には、この台車本体1内側面となる側部フレーム10の内側面部が開口する前記幅広開口部9を形成し、台車本体1の外側に存する収容溝6には、この台車本体1外側面となる側部フレーム10の外側面部が開口する前記幅広開口部9を形成している。
【0044】
従って、本実施例の出入許容部9は、台車本体1の下方からも側方からも前記車輪固定用ボルト2のボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を出し入れ可能な構成としている。
【0045】
従って、例えば、車輪固定用ボルト2若しくはこの車輪固定用ボルト2が螺着する車輪固定用ナット5が損傷するなどして交換が必要となった場合には、図5に示すように車輪固定用ボルト2と車輪固定用ナット5の締付を緩めて車輪部8を取り外した後、図6図7に示すように前記車輪固定時収容位置Pから前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を収容溝6に沿って前記出入許容部9にスライド移動させることにより出入許容部9を介して前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を取り出でき、且つ前記出入許容部9から前記収容溝6に収容した前記ボルト頭部3若しくは前記車輪固定用ナット5を収容溝6に沿って前記車輪固定時収容位置Pにスライド移動して再び車輪部8を固定できるように構成している。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 台車本体
2 車輪固定用ボルト
3 ボルト頭部
4 ボルト杆部
5 車輪固定用ナット
6 収容溝
7 下側開口部
8 車輪部
9 出入許容部
10 側部フレーム
P 車輪固定時収容位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8